ドレイク冒険記   作:里中悠

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第3話

 ラクシアと呼ばれる世界がある。起源は「始まりの剣」という3本の剣から説かれる。

 始まりの剣は所有されることを望み、世界に生命と魂をばらまいた。こうして人間が生まれた。

 第一の剣ルミエルは最初にそれに触れた人間であるライフォスに力を与え始祖神とした。その勢力は人族と呼ばれる。

 第二の剣イグニスは、戦神ダルクレムとその眷族である蛮族に力を与えた。剣の力を独占しようと、ダルクレムはライフォスに戦いを挑み、第三の剣カルディアを賭けて両陣営は争うが、カルディアは自ら砕けてマナとなって世界に散らばった。

 争いの末、神々は永き眠りにつく。神紀文明シュネルア、魔法文明デュランディル、魔動機文明アル・メナスと三つの古代文明が起こっては、滅びていったが、一万年以上たった今もなお、人族と蛮族は戦いを繰り広げている。

 そんな世界で登場人物の一人となり物語を紡いでいくのが、ソードワールド2.0というゲームである。

 そして、浩一が今の姿になる直前までプレイしていたものでもある。とはいっても、キャラクターエディット、ようは登場人物の作成をしていただけだ。

 ソードワールド2.0、それはテーブルトークロールプレイングゲームといわれるジャンルの遊戯だ。ロールプレイ――役割を演じるという言葉が示す通り、「ごっこ遊び」といえば一番意味が通るかもしれない。つまるところ、自分が作成したキャラクターになりきるというのが真髄だ。複数人で行い、ゲームマスターと呼ばれる進行役が作成した台本――シナリオを元に即興で物語を紡いでいく。

 そんなゲームであるわけだから、登場人物の作成はある種ゲームの中心ともいえる作業だ。だが、浩一が行っていたのは、ゲームを進める側ではなく障害となる敵の方だ。

 基本的にはゲームマスターが蛮族と呼ばれる敵役を操り、それ以外の人――プレイヤーが人族を演じることとなる。

 プレイヤーが使用する人族は種族や職業に能力値や生い立ちなど細かく設定するが、蛮族は主に用意されているデータを活用するものだ。

 蛮族自体の設定を大幅にいじることはそうない。だが、浩一はそのそうないことを行っていた。ドレイクロードを作るために。

 ドレイクと呼ばれる蛮族がいる。強大な力を持った蛮族達のリーダー格で、他の蛮族を従えて軍勢を作る事が多い。美しい人間に似た姿をしているが、頭部には2本の太い角があり、背中には大きな皮膜の翼が備わっている。また、常に魔剣を装備しており、その力を取り込む事で巨大なドラゴンに変化する事が可能な種族だ。貴族階級に沿った格付けが存在し、バロン、バイカウント、カウント等が存在している。データ上には存在しないがマーキスという階級があり、浩一は遊び半分でそれより上である自分だけのドレイクである、ドレイクロードを考えていた。 レベルと呼ばれる階位で強さが決まる世界で、公式にデータが存在しているドレイクはドレイクカウントでレベル十七だ。そして、データ上で最高レベルのエルダードラゴンはレベル二十五だ。これを参考にし、最上級の位であることから考え、レベルは三十五とした。それに合わせて各種の能力値をドレイクカウントを元に底上げし、数々の魔法や技能にも追加を加えた。

 魔法でいえば、真語魔法、操霊魔法、深智魔法、魔動機術、召異魔法を最高レベルで使用でき、技能もファイター、シューター、エンハンサー、ライダーも同じくといった具合だ。それぞれの詳細は省くとして、簡単にいえば馬からドラゴン、果てはバイクまで乗りこなし、剣も銃も超一級であり、おまけに数々の魔法を極めているといったところだ。もっとも、ライダーはロードというからには騎乗経験がなくてはいけないという思考からであり、魔動機術とシューターを加えたのは剣と銃というアンバランスながらも子供心をくすぐられる組み合わせに憧れ加えたものだ。数種類の魔法が使用できるという状況で、そこまでの意味はない。

 他にもいくつかのチートじみた要素を盛り込み、浩一だけのドレイクロードは完成した。

 そして、それと同時に彼は地球から姿を消した。

 それはラクシアと呼ばれる世界に、ドレイクロードが生まれた瞬間でもあった。

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