ーユーキスー
シミュレーター訓練を終えたイングラム軍団の様子を覗いてみれば、…ものの見事にバラバラ。アヤ大尉の言葉を聞き流すリュウセイ君、そんな彼を正論で責めるライディース君。何とか纏めようとしているが、…アヤ大尉では力不足なのでは? …先が思いやられるな。
…で二週間、成果が上がるどころか下がっている。チーム内の連携はボロカス、更に稼働効率が予定より34%も下回っているんですけど? 既にRシリーズは開発済み、整備・調整もほぼ終わっている。後はパイロットに合わせた微調整だけ、なのにこの体たらく。俺を中心にカーク・ハミル博士とロバート・H・オオミヤ博士、ケンゾウ・コバヤシ博士達と頑張ったのによ。
マジで早くロールアウトさせろや、Rシリーズの勇姿を俺達に見せろってーの! …そんな不満を胸に秘め、俺専用のタイプTTのテストを行う。…T-LINKナックルは正常、その他も申し分なし。俺だからこの数値が出ているわけで、…R-1の候補であるリュウセイ君が今のままでは正常に運用出来まい。宝の持ち腐れとは言わずとも、最低値だけは叩き出さぬよう奮起して貰いたいんだけど。…そうならない為、マジで真面目にやれやイングラム軍団。
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内容が酷くても、とりあえず予定通りにスケジュールをこなす。今日は水鳥島演習場で実機による訓練を行う、沿岸地帯の敵基地制圧作戦を想定したものだが大丈夫か? …何て思っていたらエマージェンシーコールを受信、急遽訓練は中止となり救助へ向かうことに。アヤ大尉とライディース君が先行して出撃、リュウセイ君は待機となった。…妥当な采配、正直リュウセイ君は足手まといだからな。
…ってリュウセイ君も出すことにしたのかよ!? 何を考えとるんだイングラム少佐は! 最悪リュウセイ君が起点となって全滅するぞ!!
……………テストの為にタイプTTを持ってきておいて良かった、万が一を考えて俺も一緒に出るからな? イングラム少佐。誰一人落とさせんよ、まぁ…今回だけだがな。想定外の戦闘だが見込みなしであったのならSRX計画から離脱させて貰う、俺にだってやりたいことがあるんだよ。ぶっちゃけSRX計画の内容は全て頭の中、勿論T-LINKシステムもな。…これがどういうことか分かるよな?
そういうことだから気張れよ? さもなくば…今までの苦労が無になるぜ?
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ーアヤー
普段の調子のいい、…優しい雰囲気はなりを潜めて鋭利な雰囲気へ。博士としての彼からパイロットの彼へ、不甲斐ない私達へ彼は言った。
「リュウセイ、…自分勝手なスタンドプレイは自重しろ。その行動が仲間を危険に晒すと自覚せよ、それが出来ないのなら今すぐ荷物を纏めて去るがいい。」
普段とは違う無機質な声色に怯むリュウ、
「ライディース、君は間違っていない。…が今回はリュウセイを信じてやれ、それと力み過ぎだ。…下らぬミスを犯しかねん、気を付けたまえ。」
掛けられた言葉に敬礼で返すライ、
「アヤ大尉、言わずとも分かるだろう? …であれば気張りたまえ。」
SRX計画にユーキス博士がいるから余裕があった、だから…彼に甘えていたと自覚する。今回もまた何とかしてくれるだろう、そう思ってチーム内の不和もその内良くなると放置気味にしていた。
…私は何て浅はかな女なのだろう。これではSRX計画が進まない、進む筈がない。当たり前のことなのに、…ユーキス博士が愛想を尽かすのは当然のこと。ユーキス博士がそう思っているのなら、きっとイングラム少佐も同じように思っている筈。
ユーキス博士が去り、イングラム少佐に失望されてしまったら…。考えただけで目の前が暗くなる、…言われた通りに気張らなければ。今…この救出作戦の時だけでも前へ、これを乗り越えなければSRX計画が本当に頓挫してしまう。…それだけは阻止しないと、
「リュウ、…ライ! これから向かう先は本物の戦場、…シミュレーターじゃないわ。一つミスをすれば死に繋がる、…死が隣にあると認識して。…挽回するわよ、…今までの不手際を!」
今までにない程の強い口調で二人へ指示を飛ばせば、決意を漲らせた視線と共に、
「「…了解!」」
と敬礼をして速やかにそれぞれの自機へ。その姿を見て私も自機であるタイプTTへと乗り込み、…やる気を漲らせる。
本当のチームになるのだ、…この一戦で。………絶対に!