とあるぼっちの無限支配   作:黒河桔梗

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ギャグなのか自分でもよく分からぬ。
絹旗メインのはずが結局フレンダがメインになっている不思議。
更新頑張ります!


とある少年は弄り上手

さぁあれはいつだったか、もしかしたら数時間前だったような気さえする。

 

 

「何超難しい顔をしてるんですか」

 

違った、数時間じゃなく数分前だった。

一藤善鷹は自分の今の状況に酷く嫌気がさしていた。

災厄が降りかかるのを回避するためにファミレスに入ったというのに運悪く女性客と相席する羽目になった上、変な少女に絡まれてしまったのだ。

金髪のちびっ子に少し世間の常識を教えてやっただけでキーキー喚き出した挙句、店内の視線を独り占め。おかげで善鷹の機嫌は急降下する一方で目の前の少女ーー絹旗最愛と何気ないおしゃべりにかまけることとなった。

 

 

「さぁて、なんでだろうな」

 

今ある現場を分析するに気分転換が出来なくなった上、自ら望んで選んでしまった選択肢を激しく後悔しているということだけは確かだ。

善鷹は頬杖をつきながら片側から聞こえる麦野とフレンダの騒音を背に少女に問いかけた。

 

「お嬢さん、アンタみたいな子は顔見知りでもないそこら辺にいる男を取っ替え引っ替えするタイプかい?」

 

「失礼にも程がありますが、まぁいいです」

 

「俺は軽薄な奴は信用してないましてや初対面なら尚更相手を警戒するべきだと思うわけだ、」

 

 

つまり何が言いたいかというと、

 

 

「もう少し話し相手は選んだ方がいい、じゃないとあのガキンチョみたいに遊ぶだけ遊ばれてポイなんてのがオチだぜ」

 

「つまり貴方のような物好きに弄ばれるということですか」

 

「悪いが俺にはそんなお子様趣味はない」

 

 

そこだけははっきり断言する。

勘違いだけはされたくない、どこぞのお姉様大好きな変態少女と一緒くたにされるのだけは納得出来ない。一度だけ顔を合わせたがアレは駄目だ受け付けない。

 

「いくら外見が良かろうが問題はそこじゃない、強いてあげるなら人間性だ。ようは美人だろうが可愛かろうが中身が駄目ならアウトっつーわけだ」

 

 

人間性が大事だと口にする割に自身が常人じゃないという自覚が欠落しているのに気付いているだろうか。

絹旗は苦い顔をしながら善鷹の様子を見た。

しかし善鷹からしたら大したことじゃないのか絹旗を見てさて次は何を言ってやろうかと模索している、その表情は限りなく悪戯をする子供のようで、

 

 

「私が言うのもなんですが本当貴方性格ひん曲がってますね」

 

「だからそれ褒め言葉にしか聞こえねぇって」

 

「………やっぱり超あり得ないです」

 

「ご愁傷さまお嬢さん」

 

 

実に愉快だと言わんばかりに笑う善鷹に絹旗最愛は大変複雑な心境に陥っていた。

目の前の男は一体何がしたいのか、ただフレンダで遊びたいのかもしくは自分達アイテムの情報を手に入れたい暗部の刺客とも考えられる。

考え始めたらきりがない、があまりにも彼はこちら側に踏み込み過ぎている。

 

 

「……貴方一体何者です」

 

「そう警戒するなよ、肩の力抜いて深呼吸することをお勧めするぜ?」

 

「馬鹿にするのもいい加減にッ!」

 

「はいはいそういうのいいから黙ってようかお嬢ちゃん」

 

 

ぺらぺらとよく回る口だと絹旗は目の前の少年を小馬鹿にした。

他人のくせにやたらと自分達に干渉してくることも含め、なんて常識はずれな奴だろうと思い顔を上げた。

そう文字通り上げたのだしかし絹旗の目に映ったのはあまりに予想はずれな少年の表情だった。

 

 

 

「これはお願いじゃない、命令だ」

 

笑っているのに目が笑っていない。

表情は優しげでぱっと見好青年に見えなくもない今の善鷹だがそういう簡単な説明では割り切れない程に纏う雰囲気は通常とは異なっている。

 

(雰囲気がさっきまでと超変わって、)

 

絹旗は震えた。

無意識にテーブルの下でぎゅっと拳を握り恐怖に耐える。

何を恐れる必要がある自分はLEVEL4の大能力者だ彼が何者だろうとそれを退けるだけの力を持っている。

なのになぜこんなにも呆気なく少年の纏う空気に怯えているのか。

 

 

「超意味が分かりません…っ」

 

しかも混乱する絹旗をよそに周囲に変化はないまま。

フレンダは麦野に灸を据えられているし滝壺は相変わらずぼーっとして何を考えているか分からない。

先程と別段代わりない光景に自分だけおかしくなってしまったのかと錯覚する。

だがどうだ目の前の少年はあからさまに楽しげに微笑むだけで何も仕掛けてこない。

 

 

「ちょっとイジメ過ぎたか」

 

「は…?」

 

一息つくと善鷹はぐっと伸びをしてから今一度絹旗と向き合った。

 

 

「あまりに俺に対して疑念を持つもんだからからかいたくなってな」

 

「から、かう?」

 

「そう。俺みたいなどこにでもいる一学生に何が出来る?精々机に向かってお勉強するぐらいのもんだろうぜ」

 

 

けらけらと笑う姿に先程のような威圧感はない。

まるでさっきまでのことが全て嘘だったように彼は何事もなく振る舞う。

 

「私は、」

 

「びびったのか?だとしたらお前も普通の女の子ってことになる、良かったなおめでとう」

 

(何も知らないずけずけと踏み込んでくる超最低野郎のはずなのに、)

 

何故こんなにも自分は安心してしまっているのだろう。

意図的としか言えない台詞を吐き出したことにも驚いた。

この少年は何も知らない一般人、しかも自分と真逆の世界で生きている。暗部という組織とは縁遠い学園都市の表で生活しているであろう善鷹には理解出来ないことを絹旗は嫌という程経験している。

 

そんな彼女を怯ませることを軽くやってのけた一藤善鷹。

はっきり断言出来るのは彼が普通というラインからはみ出していることだけ。

 

 

「だからってこんなの超あり得ないです!!!」

 

バンッとテーブルを叩くと同じ席に着いていた三人が顔を見合わせる。

 

「絹旗?」

 

「どうしたのよいきなり」

 

「もしかして絹旗もコイツに何か嫌がらせされったって訳?!」

 

 

約一名完全な偏見が入ってしまっているがまぁ概ね間違ってはいない。

果たしてそれが嫌がらせというのと当て嵌まるかと言えば微妙はところだが。

 

 

「おいおい言いがかりはやめてくれないか?流石に俺でも選ぶ権利ってものがある。あぁ間違ってもお嬢さんは選ばないから安心していい」

 

「むっかぁー!私を怒らせるとどうなるかってことをその身に刻みつけてやらないと分からないって!?」

 

やってやる!と息巻いているフレンダとは対照的に善鷹は冷静で今度は何を言ってやろうかと模索している。フレンダを弄る一方で絹旗がどう動くのか窺っていた善鷹だが、

 

 

 

「あー…、そろそろお暇するとするか」

 

いつの間にやら食事は終わっていたのか皿の中は殻になっておりフレンダは食べるの早っ!と言わんばかりの顔をしていた。まぁフレンダが麦野にお説教されている間に平らげただけだが彼女のマヌケな顔が見れただけでも良しとしよう。

 

 

「逃げるって訳?!」

 

「お前みたいなのの相手する暇はないって言ったろ」

 

「マジなんなのっ喧嘩売ってるとしか思えないっつーの!」

 

「文字通り売ってるんだが。何か?」

 

「むっきぃー!むかつくむかつくむかつくー!!!」

 

 

店内は騒動でてんやわんやだろうが原因の当人達には関係のないこと。

ただ間違いなくフレンダ=セイヴェルンという少女はこの場に居合わせた人間全てに目の前の一藤善鷹という一少年にからかわれているのだろうなということだけだ。

フレンダ本人にその意識は全くないのが哀れに思える程。

 

 

「ッ、わ、私ならアンタなんか一発で倒せるって訳よ!」

 

「人前でそういうプレイを宣言されてもな」

 

喜ぶのは一部の変態さん達だけで善鷹はそういった趣味を持ち合わせていない。

至って可愛らしい部類に入る少女からこんなことを言われてしまえば嬉しいのだろうがそういうのはごく一部の少女趣味の連中にお任せするとしよう。

ほら言った先からフレンダが泣きそうな顔を浮かべた。

 

 

「プ、プレイ!?なっなに意味分かんないこと言ってくれちゃって…っ」

 

「どうした泣きそうな顔して。お前もしかして変態なのか?あぁ、もしかしなくてもそうなのか」

 

「納得すんなばかぁああああー!!!!」

 

 

本日三度目の少女から発せられた悲鳴は醜態を晒したからなのかはたまた少年に虐められたのが原因なのかどちらが原因かは分からないが顔を真っ赤にして叫んだ。

残りアイテム三名はぽかんとして、善鷹はニヤニヤしながら実に可笑しな状況が作り上げられた瞬間だった。




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