とあるぼっちの無限支配   作:黒河桔梗

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久しぶりの更新!
待ってくださっていた方々ありがとうございます、最新話ですよー!って待ってない人の方が多いかもしれませんがね。


一件落着?

あれから麦野を除くアイテム面々が到着するまで善鷹は精神的なダメージを食らっていた。

理由は言うまでもなく彼女、麦野沈利にある。

一悶着あって隣でやれ髪が乱れただの服が汚れただの文句をつけ始めた時には善鷹も参った。確かに原因は善鷹にもあるが一番の原因であろう麦野自身は自分が悪いという自覚がない。

だからこそ余計に善鷹は精神をすり減らす羽目になった。

 

 

 

 

 

「麦野無事ですか?!」

 

「麦野っ無事で良かったって訳よー!!」

 

「……怪我はない?」

 

「この通りピンピンしてるわよまぁこんな格好になっちゃってるけど」

 

 

 

水を指すようで悪いが善鷹は嫌という程疎外感を感じていた。

はなからアイテムの面々と関わり合う気はこれっぽっちもなかったわけだがこうも無視されるのも腹が立つ。溜め息を吐きつつ関わり合いになるのを認めなくてはならない状況に酷く嫌気がさした。

 

 

 

「お前等、」

 

 

一歩善鷹は彼女等に近付く。

途端に麦野の盾になるよう前に出る絹旗。

それもそのはず、彼女含めこの場に居合わせた善鷹以外の全員が麦野の仲間なのだから自然とこういう仲間に手を下そうとした敵といった認識になる。

大して善鷹にはダメージにはならないがまぁ電話で呼び出したのは紛れもなく自分自身だし仕方ない。

 

 

 

「そう気張るな。クールダウンしようぜお嬢さん方」

 

「何を!」

 

「それとその手に持ってるブツから手を離せよガキンチョ」

 

「なによ!私のことを言ってるって訳?!マジでなめてるコイツっ自分の状況分かってんの?」

 

 

(分かってるっつーの)

 

むしろ分かってないのはお前等だ。

と、この際はっきり言ってやりたかったがこの場では分が悪い上にこの緊張状態を解かないことには話にもならない。

今は彼女達に説明をする方が先だ。

一藤善鷹という一少年がただの一般人であるということと君達の同僚に危険人物扱いされ挙句殺されかけた一市民であると。

 

 

「お互い認識しきれてない部分だってあるだろそれを今から再確認するだけだ」

 

「そんなの信用出来ません」

 

「じゃあ何か?何の説明もなくはい分かりましたって言えんのかお前は?」

 

「くっ」

 

「理解出来たなら黙って話聞いてろ」

 

 

 

必要以上のことは話さない俺は意味のない会話はしない主義だからな。

そう断言し一度絹旗を視線をやってから反論の言葉がないことを確認すると善鷹は口を開く。

 

自分と麦野が今に至った経緯を一通り説明した。

善鷹自身にこれ以上麦野に手を出す意思がないこと、そして彼女達アイテムに関わる気がないこと。

視界には納得しきれないと不満そうな顔をしたフレンダと絹旗、無表情で何を考えているか分からない滝壺、言い分は理解して一応満足した麦野がいた。

 

三者三様の反応が返ってきたわけだが善鷹は何か他に説明は?と視線で返答を待った。

一番に声を上げたのはフレンダだった。

 

 

「アンタ結局何者って訳よ!」

 

びしっと善鷹を指差して言うフレンダにやはり平然とした態度でさらっと答えを返す。

 

 

 

「ただの高校生だ」

 

「そうじゃなくて!麦野を良いとこまで追い詰めたわけでしょ?ってことはただの学生のわけがない!」

 

「フーレーンーダー?」

 

「ひっ!ご、ごめんって訳よ麦野ぉーーー!」

 

 

どうやら麦野は良いとこまで追い詰めた=負けたと言われたようで機嫌を損ねたようだ。

まぁプライドの高い彼女のことだから分からなくもないが善鷹にとって大したことはない、これが彼女等なりのスキンシップか何かだろうと判断することにした。

 

「それで他には?」

 

「それじゃ説明になってないって言ってんの!」

 

「何がだ、俺はただの高校生だぞ」

 

「それが気に食わないってのよ!ただの高校生が暗部と渡り合えたらおかしい、っていうか異常って訳よ!」

 

『暗部』聞こえた単語に何やら危険な匂いがしたがここで考えていても仕方ない今はこのじゃじゃ馬娘にそれ相応の対応をしてやろう。

善鷹はスッと目を細めるとフレンダだけを捉える。

 

 

 

「渡り合えたらおかしい?お前の経験なんて知ったことか、目の前にある現実が答えだ。あり得ないとか全部自分基準に考えてんじゃねぇよ」

 

そうやって全て自分基準にものを見ようとしなかったことでお前がヘマを犯したなんてことこれまでにも幾つかあったんじゃないか?と言ってやればフレンダは目に見えて分かる程に慌てた。

まるで見透かされたように己の失敗をぺらぺら語られたらそりゃ聞きたくもなくなる、加えて目の前の少年に言われたことが何よりもダメージだった。

 

 

「うるさいうるさいうるさーい!黙っててって訳よ!」

 

「なんだまさかその通りだったのか?」

 

「というかまさにその通り、ドンピシャよ」

 

「へぇ、そりゃ悪かったなお前のドジっ子振りを暴露したみたいで」

 

「悪いとも思ってないくせに!ニヤニヤすんな!笑うなぁ!!」

 

 

だがそんなフレンダの表情を見て善鷹はこれまた面白い玩具を見つけたと言わんばかりににんまりと笑う。

はっきり言おう今の彼の顔はある種残忍な輩の目をしていた。

 

麦野がまさか善鷹側に回ってしまったことがフレンダには致命的な状況だった。意図してやったことでなくとも必然的にアイテムのリーダーを手玉に取られたのは痛い。

フレンダは考える、この極悪人(善鷹)を地の底へ突き落とせるだけの手数を。

 

 

「アンタ、なんか…アンタなんか…!!」

 

見境なくフレンダが下した切り札は。

仲間を敵に売るという自己保身に走ったものだった。

 

 

「絹旗もコイツに辱められたじゃない!?」

 

「私に丸投げしないでください!!」

「だってだって!結局こうするしかなかったって訳よ!」

 

「私を売ろうだなんて百年早いですフレンダ!」

 

「…大丈夫私はそんなフレンダと絹旗を応援してる」

 

 

仲間内で内乱が繰り広げられていた。

フレンダと絹旗は仲間内で言い争いが勃発しており善鷹どころではなくなっており、滝壺は二人と一定の距離を保ったまま傍観者に徹している上、彼女等のリーダーである麦野は黙ったまま。

はっきり言おうカオスすぎる。

部外者である善鷹が言うことではないかもしれないが今の状況をどうにかしなくていいのか、と思う。

 

 

 

(この状況を俺にどうしろと?)

 

それが素直な感想だったわけだがいい加減どうにかしてほしい。

苦い顔をして麦野を見ればそれに気付くや否やクスッと笑った。彼女からそのような反応が返ってくると思っていなかっただけに目を白黒させる他なかった。

 

 

「お前が望んだ結果じゃない」

 

「こんなめんどくさいことになるならカマなんてかけねーよ」

 

「つまり仇になったわけね御愁傷様」

 

「それならアレどうにかしろよアンタ。あいつ等の同僚なんだろ?」

 

「自分で犯したミスくらい自分で処理しなさい」

 

 

その意見はごもっとも。

確かに善鷹も他人に助けを求めるなんて死んでもやりたくないが今回の場合自業自得とも取れるが単にフレンダが間抜けだっただけとも取れるわけで。

つまり何が言いたいかというと、善鷹的に答えるなら「俺は全くもって無実でありあくまで自分の欠点を余すことなく指摘された挙句自爆したガキンチョを態々フォローしてやるだけの必要性を感じない」といったところだ。

 

 

「腹は立つが確かにその通りだな」

 

苦虫を押しつぶしたような顔で返答した善鷹の表情はさぞかし歪み切っていたことだろう。

事実歪んでいたわけでそれを見た麦野は面白いものを見たと満足そうにしていたがこれまた仕返しとばかりにニヤニヤと笑うと至近距離にいた善鷹の腕を掴んだ。

いきなりのことにわけが分からない善鷹は当然麦野に視線を送ったが。

 

 

 

 

「ほらフレンダお前の獲物よ」

 

「は?」

 

「麦野感謝するって訳よ!」

 

いや待て意味が分からん。

何故俺がお前等の鬱憤発散のために身を差し出さないといけないんだ、第一一度も許可した覚えもなければ放置して話を先に進められるいわれもない。

 

 

「…私もちょうどサンドバッグが欲しかったんです」

 

 

拳を握り臨戦体制に入っているのが約一名。

嫌な予感がひしひしと伝わってくる。

顔合わせも初めてでそんな相手にサンドバッグ代りにされるなんてごめんだ。

 

 

 

「悪いがそういう話ならお前等だけでやってくれ」

 

明確に俺は参加しないという意味も含めて麦野の手をやんわりと解く。

拒否という形に関しては随一と言えるほどに分かりやすい善鷹は逃走という方法を選ぶ。案外その点からすれば善鷹は実に人間らしい少年なのだろうがそんなの彼女達からしたら関係ない。

 

 

「待ちなさい!」

 

「結局、アンタなんかぎったんぎったんに叩きのめしてやるんだから!逃がさないって訳!!」

 

「死んでも断るっ!」

 

 

これから小一時間ほどこの少女達に追い回されることに酷く、本当に酷く深い溜息を吐きながら善鷹は逃げ切るべく足を早めた。




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