とあるぼっちの無限支配   作:黒河桔梗

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ついにインデックス登場!
なんか女の子とのエンカウント率がハンパないぞ善鷹!ってなわけで本日二度目の更新ですー。


Episode02 ぼっちと禁書目録
はらぺこシスター


一藤善鷹(いちふじよだか)はあくまでぼっちだ。

 

特に他人とコミュニケーションを取ろうとか皆で仲良くしましょうとか言われても二つ返事で素直に頷く存在ではない。

むしろコミュニティなんぞテメェ等でだけで勝手にやってればいいし仲良くしましょうなんて勝手な妄言を押し付けてくるんじゃねぇ鬱陶しい。

 

こんなところだ。

 

大体人間皆が皆同じようにお友達と仲良くしたいなんて甘ったれた思考をしていると思わないことだ。他人と交われない人間だって少なからずいる。

まず、善鷹の場合交われないじゃなくて交わらないのだが。

 

 

人と同じ空気を吸うのは許しても同じ輪の中に入って仲良く手を取り合おうなんてのは腹が煮えくり返りそうだ、仮にそれを自分がやっていると想像しただけで吐き気がする。

だから隣人である少年のように困っている誰かを助けよう、なんて思考は一ミリも湧かないしむしろ困っているのかそうかの一言で話はお終いだ。

 

一藤善鷹という少年は残忍な人間でないにしろ優しくはない。

困っているからといって他人にすぐ手を借りようとするのは間違っているし何より自分自身のテリトリーを脅かす存在を極端に嫌う。大した思い入れもないくせにずかずかと踏み入って来ることにも腹が立つし、相手に意見を押し付けて来る奴も気に入らない。

何より自分がさも正しいと輩が一番気に食わない。

 

 

 

そんな時だ。

 

不自然な修道着姿の少女が道端に倒れている。

普通なら声の一つでも掛けるべきなんだろう、がしかし一藤善鷹はそんな異質にも目もくれず足を早める。

 

 

 

「お腹減った…」

 

いかにも助けてくださいとコールを送っている少女に気付いていながら見なかったフリをして通り過ぎようとする善鷹。

でも通り過ぎようとする彼をこの腹ペコシスターは逃がさなかった。

 

 

「お腹が減ったんだよ?」

 

(何故俺に言う)

 

言葉に出さずとも善鷹の表情は引き攣っていた。

無理もない、出会い頭にお腹が空いたとコールしてくる輩を彼は見たことがない。

というかそんなことが早々あってたまるかと思う。

 

それ以前にだ、それを少女がやっているということに目を疑った。

こんな新手の詐欺をいたいけな少女が行っていることに対して複雑な心境で迎えなければならないということに。

 

何故俺なんだ俺意外なら助けてくれるぞ、多分。

 

そう思いながら善鷹はやはり歩みをやめなかった。

さすがは人との境界線を引くことに特化したぼっち少年だ、自分の平穏のためなら他人を無視出来なくて真のぼっちとは言えない。

といっても本人が特別意識したことはないのだが。

 

 

 

 

「お腹減ったって言ってるんだよーー!」

 

 

背後から雄叫び?というか不満を爆発させた銀髪シスターが善鷹の頭めがけて迫ってくる。

本来ならばそれを受け止めるべき少年がこの場にいないとおかしいのだが生憎とこの場には善鷹と彼女だけだ。

 

その異変に気付いたのか善鷹は自分に飛び付こうとする奇異の存在に無意識に手刀を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

「で、なんなんだお前」

 

善鷹の前にはしゅんとしたはらぺこ銀髪シスターが一匹。

こんないかにも人畜無害そうな少女が飛び付いてくるとはさすがに善鷹も予測不可能だった。

 

 

「だからインデックスはお腹が減ったって言ってるんだよ」

 

「いや、まずインデックスって…目次かよ?」

 

「そう!私の名前はインデックス、魔法名はDedicatus545(献身的な子羊は強者の知識を守る)なんだよ!」

 

「魔法名…?この科学の街でオカルトチックな話を持ち出すとかお前相当痛い奴だな」

 

 

それが率直な意見だ。

学園都市という数十年先を進んだ最先端の科学の街でいきなりオカルトな話を持ち出されてもピンと来ない。

善鷹にとってこのインデックスと名乗った少女は想像以上にイタい少女なのだと激しく勘違いをしていた。

 

 

「嘘じゃないもん!魔術はあるもん!」

 

 

ぷりぷりと怒る姿は見ていて大変微笑ましくもあるが善鷹からすればめんどくさいとしか取れないわけで。

何を思ったかこのオカルトシスター、善鷹にしがみついてきた上に駄々を捏ね始めたのだ。

確かに最近はめっきり変なビリビリ中学生だとか、お姉様大好き変態中学生だとか、おマヌケ金髪少女だとか、超が口癖のマセガキだとか、キレると手がつけられないビーム女とか…一々数えてたらきりがない。

それに加えてこのシスターときた、勘弁してくれ。

 

 

「はいはい、魔術はあるそれでいいんだろ」

 

「なんだか投げやりなんだよ?」

 

「気のせいだその点には目を瞑れ」

 

このシスターは一体何がしたいんだ。

魔術はあるとか言い出すし、あると認めたら認めたで文句ありありって感じで反論してくる。

なんでこうも最近俺の周りに現れる女は個性の塊みたいな奴等ばっかりなんだ?もう少し普通のがいたっていいものを…とぶつぶつ一人で考え込む始末。

 

 

「ねぇ」

 

「あ?なんだはらぺこシスター」

 

「確かに私はイギリス清教のシスターだけどその言い方はないかも!」

 

「事実じゃねぇの?」

 

「違うもん!私はっ」

 

 

 

おそらく反論しようとしたんだろうがその言葉が続く前に彼女のお腹の虫が限界を迎えた。

ぐー、と実に良いタイミングで鳴るものだからさすがの善鷹も笑いを堪えきれなかった。

 

 

「ぷっ、く、く…このタイミングで腹鳴らすかフツー」

 

「そんなに笑うことないじゃない!貴方が私を快く受け入れてくれていれば私のお腹が鳴ることもなかったし、こんなに惨めになることもなかったんだよ!!」

 

「何さも全部人が悪いみたいに話し進めてんだこのはらぺこオカルトシスターが!」

 

 

 

惨めになったのも腹が鳴ったのも全部自己管理出来てないお前のせいだろうが、なのにそれを人に全部なすりつけやがって。

善鷹は内心苛々していた、少なからず今まで顔を合わせた中でもこのシスターは飛び抜けているように思う。

近くに修道院があった覚えはないがこの少女を保護している奴がどこかにいるはずだ、ならそいつに預けてさっさとおさらばするのが一番得策だろう。

 

少々、いや大分気が重くはあるが少女から話を聞かないと話が進まない。

ここは気持ちを押さえ込んで挑む他ない、そう決心した善鷹ははらぺこシスターもといオカルトマニア、インデックスに挑む。

 

 

「おい、」

 

「なに?もしかして私にしたことを深く後悔したっていうなら今すぐにでも懺悔すれば神も快く許してくれると思うんだよ?」

 

(一々癪に障るシスターだな)

 

言っている本人は本気なのだからいくら口出ししても無駄だ。

というかこれ以上不要にしゃべられたら下手すれば手が出るかもしれない。善鷹はこれでも我慢しているのだ綺麗事を軽々と語るシスターに嫌という程嫌悪感を抱いているもののそれを勘付かれないよう必死に堪えた。

 

 

 

「そう思うならまず私のお腹を見たして欲しいかも!」

 

 

インデックスが満面の笑みで答えると同時にブチッと何かが千切れた音が二人の間に響いた。

 

今なんて言ったこのクソガキ。

善鷹は我慢したこれ以上ないくらいに、相手が女の子というのもあって少し、いいやとても、普段にないくらいに頑張った。

頑張って彼女の話を聞いてやっていた。

なのに、なのにだインデックスはなんて言った?自分にやったことを悪いと思うならそれ相応の対価を差し出せ?

しまいには彼女の腹を満たせだと…?

 

 

 

 

「なんで俺がお前なんかのために態々金出してまで腹を満たさなきゃならねーんだよ、クソッタレがッ何様だお前」

 

 

出てくるのは暴言の数々。

インデックスが、嫌いというわけじゃない彼女のなんでもわがままを言えば受け入れてくれるなんて甘すぎる考えに反吐が出るだけで。

そんなのは一部の甘ちゃん連中だけで十分だ、だが他がどうであろうが一藤善鷹は違う。

なんでも簡単に与えられると思うな、世の中弱肉強食だどれだけ優しくしてくれた相手でも結局最後は自分が可愛いんだ。

 

そんな奴が一番信用出来ない。

外面で良い顔をしていても腹で何を企んでいるか分からないから、だから俺は絶対に他人に隙を見せない。

だから常に善鷹は常に冷静に冷徹に世界を見つめる。

どんなに相手が親切で優しさを見せようと受け入れてくれようと裏には何かがある、人間には貶めたい、蹴落としてやりたいそんな負の感情が付き纏っているのだ。

 

 

 

「えっと…ごめ、んなんだよ」

 

まさか謝られるなんて思わなかった。

一方的に一方的な理由で捲し立てた相手に頭を下げられる奴はそうはいない。

けどインデックスがどんなにわがままだろうと彼女の意思を曲げていいことにはならない、悪いのは俺。

だからインデックスの腹を満たさないといけないというのは些か気に入らないがこれは借りだ。

 

だから彼女を傷付けていいことにはならないし暴言をぶつけていいわけもない。

だったら今の俺に出来ることはーーー考えるまでもないもう答えなんて出ていた。

 

 

 

「……今の暴言のついでだ飯食わせてやる」

 

善鷹の口から零れたのはぶっきらぼうな一言。

それを聞いたインデックスの目がこれほどにというまで輝いたのは言うまでもなく。

 

すっかり機嫌を良くした少女は少年に駆け寄った。




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