とあるぼっちの無限支配   作:黒河桔梗

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今回はついに上条さんとの絡み。
拙い文ですが楽しんでもらえれば幸いです。


Episode01 ぼっちの遭遇劇
ぼっち


少年は今日も一人を満喫していた。

 

その目立つオレンジ頭にワンポイントとしてピン留めを付けいかにもめんどくさいと言わんばかりの表情を引っさげている。

それに加えて目付きも悪いというのが少年、一藤善鷹のマイナス点だった。

 

これじゃあそこそこ整っている顔も台無しである。

本人も大して自分の容姿を気にかけている様子もなくこんなもんだろうと過小評価しているぐらいだ。

卑下しているつもりはなくとも周囲にいる人間と自分とを比較してしまうのは己の性というやつだ。

 

まあ善鷹はそれにさえ気付けないだろうが。

 

理由なんてものは簡単だ常に自分なんてこの程度の人間だと思い込んでいるから。

つまりこれ以上ないくらい自分を最小評価しているからその物事自体に触れる以前の問題になってしまっているというわけだ。

 

 

 

「鬱陶しいくらいに良い天気だ」

 

 

俺の気持ちとはまったく裏腹に晴れ渡っていらっしゃる。

故にこんな時に限って現れる人物に顔を顰めてしまうのも仕方のないことだ決して俺が悪いわけじゃない絶対に、と不満だらけの感想をありありと表情に含ませていた。

 

相変わらず善鷹はやる気のかけた顔をしている。

 

でも仕方ないだろう一藤善鷹に友達と呼べる存在がいない今一人で時間を潰すしかないのだ。

仮にゲーセンへ行ってもいつも一人、周りからしたら目付きの悪い高校生がぽつんと一人寂しくいる姿を見たらさながら不良か何かだと勘違いされてもおかしくない。

実際世間の偏見なんかもあるわけで以前にも何度か本当の不良に絡まれたことがあった。

 

 

その時はなんとか穏便に事を済ませようとしたのだが逃がしてくれなさそうな雰囲気だったので以前の武装無能力集団ように強硬手段に出させてもらった。

不幸な話である。

善鷹はただ平和に何事もなく暮らしたいというのにどうして逃してくれない。

 

 

 

「嫌われてんのか俺?」

 

 

ある意味好かれていると言えるのかもしれないがそんなのはこっちから願い下げだ。

第一誰が率先してそんなめんどくさいポジションにつきたいというのだろうか、そんなの善鷹からしたら死んでも回避したいフラグである。

とはいえ善鷹は人付き合い自体苦手なタイプだし、天地がひっくり返りでもしない限り特定の誰かと一緒にいようという状況は作れないだろう。

 

 

 

「今日も俺にとって有意義な時間が過ごせれば満足だ」

 

 

ただ誰にも邪魔されず、というかなり限定された状態が必須条件になってしまうが。

 

本人にとってそれが一番リラックス出来るわけだから下手に文句いえないのが辛いところだ。

多分善鷹にその意識は全くない、彼もまたある意味哀れとしか言えない、友達がいないことを除けばどこにでもいる男子高校生であった。

 

 

 

 

 

「おーい善鷹」

 

 

聞こえた声にぴくりと震える。

何故、何のために何の用でここにいるのか。

一藤善鷹は一番の天敵の登場に身体を震わせる他なかった、だって自分の名前をなんの躊躇いもなく呼んでくる上にやたらと親しげだ。

 

はっきり言っておこう俺と奴はそんな仲じゃない。

奴が認めてもこの一藤善鷹が絶対に認めたりはしない、そうだろう?

 

 

「……上条」

 

 

 

原因の少年の名を呼んだ瞬間善鷹のテンションは急降下していた。

お人好しの代表と言っても過言ではない上条当麻の顔を合わせるとなんともいえない気分に晒された。

最も苦手とされる人種が目の前にいるのだからそれが顔に出てしまうのも仕方ないことでけれど人畜無害を顔に書いたような男である上条は不思議そうな顔でこちらを伺うだけ。

 

大して気にも止めてないあたり善鷹とは度量の違いがはっきりしていた。

 

 

上条当麻という少年は一藤善鷹とは真逆に位置する人間だった。

 

上条当麻を善人とするなら一藤善鷹は限りなく悪人に当て嵌まる。

困っている人間がいたら放っておくことが出来ず敵味方と相手構わず手を貸してやろうとする、それが良心の塊である上条の人となりだとするなら善鷹は他人だろうが知人だろうが人を側に寄せ付けず跳ね除けようとする己以外の存在に否定的な面を持つ冷徹な人間。

 

そんな相対的といっていい二人が顔を合わせた。

果てしなく現状は悪い方向へと進んでいた、主に一藤善鷹にとって。

 

 

 

 

「俺なんかに何の用だ」

 

「いや。お前がいるのが見えたから声かけたってだけだぜ?」

 

「相変わらず意味のないことに時間使ってんだなもっとマシなことに使えばいいものを」

 

「友達に話しかけるのに一々意味なんか考える必要ないだろ」

 

 

 

何言ってんだ?と至極当然のことように返答する上条に善鷹は目を細めた。

上条にしてみれば大したことでなくとも善鷹にとっては大きく意味を違えていた。

自分以外の存在とは極力関わらないで過ごすというのが善鷹のモットーであり生きがいだった。それを意味がないの一言で片付けられたのだ本来なら怒り狂っていただろう、しかし上条がそういう人間だと理解していたが故に善鷹が動くことはなかった。

 

 

「俺は善鷹だから声かけたんだしな」

 

「………」

 

「ちょっ、そこはなんか言ってくれよ!いくら上条さんでも無言でいられるとさすがに恥ずかしいんですがっ」

 

「お前が言うな」

 

「善鷹さん?何故そんな蔑んだ目で俺を見るんでせうか?」

 

 

 

この目付きは元々だ、と言ってやりたかったが下手に口にして会話を長引かせるのは気が引ける。

ただでさえ話すのが嫌だというのに自分できっかけを作るなんて自分の首を占めにいくようなものだ。

 

期待を裏切るようだが善鷹は自分から泥沼に突っ込んでいく程馬鹿になったつもりはない。

善鷹は表情を硬くした。この状況に飲まれるなんてらしくないとかぶりを振る。

 

 

 

「あの、善鷹さん?」

 

「あ?」

 

ぎろりと鋭い眼光が上条を映す。

表情は相変わらず読めない、けれど先程のような不機嫌さは見受けられない。

まあ外見に若干難があるため口で説明したところで信憑性は限りなく薄い。

 

 

 

「怒ってられます?」

 

「さあ?どっちだと思う?」

 

「すんませんでしたーーー!!!」

 

 

 

街中のど真ん中で土下座する姿はかなり目を引く。

周囲の視線が上条に突き刺さる中、善鷹は非常に冷静だった。

上条と知り合いだと思われるのが嫌だとか相変わらずコイツは馬鹿だとか思い至ることは山程あったがそれよりも善鷹が気になったのは上条当麻の人間性だった。

誰が相手だとかは関係ないと口で言うくせに結局のところ善鷹だったからと呼び止めた上条。

 

これじゃあ言っていることが滅茶苦茶だ。

あまりに矛盾点が多すぎる。

これを知ってか知らずか上条は言ってのけたわけで改めて甘い奴だと再確認する羽目になった。

 

軽々しく友達だと言ってしまうあたり聞いているこっちが恥ずかしくなってくる。

 

 

 

 

「謝る暇あんなら頭上げろ」

 

「善鷹…」

 

「痛々しくて見てらんねぇんだよ」

 

 

 

知り合いだと思われたくないと口にすると上条はムキになったように善鷹に詰め寄る。

本当、周りからの視線が痛々しすぎて耐えきれなくなりそうだ、さっさと帰りたい。

 

気だるいと言わんばかりに溜息を吐き出すと普段の三割増しくらいには煩くなった上条が掴みかかってくる、相手するのさえめんどくさい。

 

 

 

「お前たまに俺の扱い雑じゃねぇか!?」

 

「さてなんのことやら」

 

 

お互い軽口を叩き合う間柄ではあるがさながらその姿は友達同士のようであった。

善鷹が認めるかどうかで話は大分変わってくるのだろうが結果はまあ火を見るよりも明らかだ。

 

これ以上下手に詮索して場を荒らすよりかは幾分かマシだろうという理由で上条はグッと言葉を飲み込む。

 

一方、善鷹は上条をよそに欠伸を噛み殺していた。




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