今回は幼馴染のお話です。
子供の喋り方ってこんな感じで良いのだろうか...
もし間違っていても温かい目で読んでくださると幸いです。
それではどうぞ。
あれから2日が経過し、歩くことができるまでには回復した。
と言っても、相変わらず走ることはできず、歩くスピードも普通の人と比べると遅いのだが。
今後の回復次第では走ることを諦めなければならないかもしれない。
「あー暇だー。」
毎日が暇で仕方ない。
1日2日であれば、どうということはなかったが、それ以上となると我慢でどうこうできなくなってきている。
いい加減に我慢の限界だ。怪しまれるかもしれないが少し大胆に動くことも必要かもしれない。
「──────────!!!」
「ん?」
外から声が聞こえてくる。子供の声だ。
それも今の自分と殆ど同じくらいの年頃だと思われる。
別におかしいことではない。一応此処も住宅地域だ。
子供がいたっておかしくないし、現に前世でも近所にはほぼ同年代の友達が数人いた。
─────そういえば昔はよく一緒に遊んでたな。
殆どの友達が中学校に入ってからは疎遠になってしまい、学校で会った時に少し話す程度の関係になってしまったが、それまではよく一緒に遊んだものだ。
また会えるのなら会いたい。そんな気持ちが強くなる。
「ああ、そういえばお兄ちゃんが遊びに行ってくるとか言ってたっけ。」
2時頃にお兄ちゃんがそんなことを言っていた気がする。
ということはこの声は帰ってきたお兄ちゃんたちの声だろうか。
それなら、この声の主は全員自分が知っている人達のはずだ。
─────会うか?
幸いなことに今は夕暮れ時の為、日の光はそれほど気にしなくていい。
一応、念のために日傘を差して、パーカーのフードでも被っていれば完璧だろう。
「.....まだ行けるか..」
子供の声に交じって大人の声もちらほら聞こえてきている。
と言っても帰ってくるように言っているわけではない。
母親同士で世間話をしているのだ。
家の前でやる井戸端会議が一番近いだろうか。
昔の記憶が確かなら、この世間話が終わらない限り、子供達は家に帰らず遊んでいるはずである。
時間はまだある。顔を見せるぐらいはしておいた方が良いかもしれない。
─────
思い浮かべるのは近所の子供たちの中で唯一同年代の幼馴染のこと。
『
アイツとの関係は...何なんだろう.....良かったとは思っている。
もし、一言で言うのなら『腐れ縁』が一番正しい表現だろうか。
アイツは酷い男だ。頻繁に煽ってくるし、人の弱点を的確に突いてくるしでとにかく性格が悪い。
まあ、売り言葉に買い言葉で直ぐに煽りに乗ってしまう自分も自分なのだが。
でもその反面、一緒にいて過ごしやすい奴でもあった。
趣味嗜好は似ているし、長い付き合いなので気心が知れている。
何より、アイツは人の踏み込んで欲しくない事には絶対に踏み込まないのだ。
だから一緒にいて誰よりも楽だった。
そんな感じで最後の時まで関係が続いた幼馴染。それが豊山大地だ。
自分はそんなアイツを信頼している。
「久しぶりに会いたいし、行くか。」
そんな幼馴染とも別々の高校に行ってからは全然会っていない。
精々ネット上で会話をしながら、偶に一緒にゲームで遊ぶぐらいだ。
姿を最後に見たのは2年くらい前だろうか。
だから久しぶりに会って顔を見ておきたい。それが例え15年前の少年の姿でも。
念のために日焼け止めを塗ってから、落ちないようにゆっくりと階段を下りていく。
その後、玄関で外靴に履き替えてから、忘れずに日傘をしっかりと持つ。
そして、1度深呼吸をしてから外への扉を開いた。
─────懐かしい...
周囲を見渡して最初に思ったのはそれだった。
走り回る子供、世間話をするお母さん達、どれも同じだ。本当に懐かしい。
今となっても微かに覚えている光景を見て、改めて戻ってきたのだと感じた。
「あら?」
およそ十数年ぶりに見た光景に1人で懐かしんでいると横から声が聞こえてきた。
声の方を見てみればお母さん達が自分のことを見ている。どうやら気付いたようだ。
取り敢えずお辞儀をしておいた。
「出てきて大丈夫なの!?」
「別に大丈夫だよ。」
自分の元まで走ってきたお母さんに大丈夫だと伝える。
心配してくれるのは嬉しいが、そんなに過保護にならなくても別に良いのにと思ってしまう。
一応は病み上がりなので仕方ないのかもしれないが。
「あっ、もしかしてその子美空ちゃん?」
「あら本当、美空ちゃんじゃない。大きくなったわね~。」
「本当にね。前見た時は赤ちゃんだったのに。」
─────ん?赤ちゃん!?
お母さんと話していた2人の女性が此方に近づいてきた。
何やら、自分の話をしているようなので耳を傾けると、聞き捨てならない話が聞こえてくる。
赤ちゃん?最後に会った時が?それはおかしい。
まだ幼いとはいえ4歳児は外遊びを覚える年ごろだ。外に出ていないとは俄かには信じがたい。
アルビノだからか?それともただの聞き間違いか。
「最後に会ったのは...3年前かしら?自分から外に出ようとしないから、随分時間が経っちゃったわね。」
お母さんの言葉に聞き間違いではなかったと確信する。
それにしても以前の『私』は一体どんな人間だったのだろう。
この年齢まで自分から外に出たがらないなんて天性の引きこもりの才能でもあったのか。いらない。
「ほら、美空。挨拶しなさい。」
「えと...こんばんは。しr..黒瀬美空です。よろしくお願いします。」
「礼儀正しいわね~。うちの子にも見習ってほしいわ。」
挨拶しろと言われたので、取り敢えず挨拶したが何とも子供らしくない挨拶になってしまった。
これで怪しまれるなんてことがなければいいのだが。
まあ受けはいいので大丈夫だろう。
「それじゃあ次は私達ね~。
「
「2人とも昔に会ったことがあるんだけど覚えてる美空?」
「...覚えてない。」
「そっかー。まあ、覚えてなくても仕方ないか。」
嘘、当然全員覚えている。
だが、この場では覚えていないといった方が自然だろう。
当たり前だ。3年前、それも赤ちゃんの時の出来事なんて覚えている人は殆どいない。
そもそも、自我が芽生えてるかすら怪しいのに。
「それにしても、美空ちゃん本当に可愛くなったわね。」
「ね~。将来は絶対美人さんになるわ。」
「えと...ありがとうございます?」
可愛いなんて生まれてこの方言われたことがないので反応に困ってしまう。
何と言うか、物凄くこそばゆい。褒められ慣れていないからだろうか。
それと同時にモヤモヤともしてしまう。これに関しては精神が男性なので仕方ないだろう。
「美空。」
「何?」
「折角だから他の子たちと遊んで来たら?」
「えっ。」
会って顔を見る気はあったが、遊ぼうとは思っていなかった。
理由は勿論、脚への負担が心配なのだ。
折角、治り始めたのに、遊んだせいでまた動けない状態に逆戻りなんてことだけには絶対になりたくない。
「う~ん。やめとく。」
「どうして?」
「また脚が動かなくなったら困るから。」
「そう...。でも他の子達にも挨拶だけはしなさいよ。」
「わかってる。」
元よりそのつもりだ。
だが、残念なことにその当の本人達の姿が見えない。
外に出たときに向こうへ走っていく姿が見えたので、おそらく近くにはいるのだと思う。
まあ、待っていればそのうちやってくるだろう。
「──────────!!!」
「ん?」
お母さん達と話しながら待っていると、遠くから声が聞こえてきた。
さっき家の中で聞いた声と同じ声だ。
その場に止まっていると声は段々と大きくなってくる。
更に少し待つと、とうとうその姿が見えた。
うん。見たことのない顔は1つもない、全員前世と同じだ。
自分の様に性別が違うということもない。
「あれ?美空だ。」
「やっほーお兄ちゃん。」
お兄ちゃんが驚いた顔で話しかけてきた。
その後ろでは、幼馴染達が好奇の視線で自分のことを見ている。
十中八九、この髪と目が原因だろう。
初日にも思ったが、今の自分の見た目は人目を引きすぎる。
どうにかならないものか。
「祐樹。その子誰?」
「前にいるって言ってた俺の妹だよ。」
「へー、その子がそうなんだ。」
お兄ちゃんと女の子が親しげに話している。
彼女はお兄ちゃんと同年代の子供だ。
そんな訳で、前世では幼馴染の中で特にお兄ちゃんと仲が良かった。
今世でもきっとそうなのだろう。
それに、彼女はまた別の事でも自分とは関係のある人物だ。
それは...
「ほら、美空挨拶しなさい。」
「あ、うん。分かった。」
お母さんに挨拶をするよう促され、考え事を中断する。
取り敢えずは挨拶をすることが先だろう。
「初めまして。黒瀬美そr─────」
「お化け?」
「.....はい?」
挨拶をしていると、突然声が割り込んできた。
誰だ。割り込んできた奴は。それに何だお化けって。
あながち間違いでもないから反応に困るだろうが。
─────一体誰が...
「こらっ!大地!!失礼なこと言わないの!!」
「いや、だって...」
─────お前かい...
大地と呼ばれた男の子が先程の女の子に怒られている。
そう。彼女『
だから、お兄ちゃんとは別に大地関連でも会うことが多かった。
幼馴染の中で大地の次に思い出のある人を聞かれたら早苗さんだろう。
「えっと、美空ちゃん?ごめんね。弟が変なこと言っちゃって。」
「...大丈夫ですよ?」
「ほら大地!謝りなさい。」
「...」
「大地?」
「...ごめんなさい。」
「あっハイ。」
渋々といった様子で謝ってきた。
まあこのぐらいで怒るような自分でもないので特には気にしない。
それに同い年とは言え、相手はまだ子供だ。
多少の失礼は仕方がないだろう。
「初めまして黒瀬美空です。黒瀬祐樹の妹で4歳になります。よろしくお願いします。」
「へー同い年なんだ。俺は豊山大地。よろしく。」
「あっ私は豊山早苗って言うの。さっきは弟が本当にごめんね。」
「あはは...気にしなくていいですよ。」
仕切り直してもう1度挨拶をする。
今度は何事もなくやることができた。
「あっ哲也君も挨拶しないと。」
「ん。初めまして。
これで幼馴染は全員だ。
日によって増えることも減ることもあるが、基本的に幼少期はこの5人で一緒に遊んでいた。
遊ぶ内容は色々だ。公園で遊ぶこともあれば、誰かの家に行くこともある。
全員でどこかに出掛けることもあれば、夏には近所で集まってバーベキューなんかもやったりしていた。
そういったことがまたできるのであれば楽しみだ。
「なあ、美空...ちゃん?」
「美空でいいよ。で、どうしたの?」
「じゃあ俺のことも大地でいいぞ。あのさ聞きたいことがあるんだけどさ。」
「何?」
ある程度、挨拶が終わったところで大地が話しかけてきた。
取って付けたように『ちゃん』を付けていたが直ぐに止めさせる。
今更、コイツに呼び捨てではなくちゃん付けされるなんて気持ち悪くて仕方がない。
それにしても聞きたいことか。この見た目の事かな?
「なんでそんなに白いの?」
「白...髪の事?」
「うん。」
「これはね、生まれた時からこうなの。染めたりしている訳じゃないよ。」
「へーそうなんだ。」
「それに...」
そこまで言ったところで大地の手を掴む。
「わっ!?いきなりなんだよ!」
「ちゃんと触れられるし、脚だってあるでしょ?」
「...お、おう。」
驚いた様子で自分のことを見てくる大地に手の感触をしっかりと感じさせてから、履いていたズボンの裾を捲り上げ、隠れていた脚を見せた。
大地が少し赤らんだ顔で自分の脚を見てくる。なんだか少し妙な感覚だ。
晒していた脚をまた隠してから掴んでいた手を放す。
結局のところ、何が言いたいのかというと。
「だからお化けじゃありませーん。」
「な!?」
これが言いたかっただけである。
怒らないとは言ったが、蒸し返さないとは言っていない。
幼い大地の姿を見て少々揶揄いたくなってしまったのだ。
とは言え、随分と大人げないことをしてしまった。反省しなければいけない。
まあ、初対面の一言目で『お化け』と言ってきた大地も十分悪いだろう。
「お、お前生意気だ!!」
「あはは...ごめんごめん。」
怒りからか先程よりも顔を赤くしながら大地が言ってきた。
少しやり過ぎてしまったかもしれない。
今度から気を付けよう。
「あらあら、随分と仲良しね~。」
「な!?仲良くねえよ!!」
「うんうん。心配だったけど仲が良さそうで良かったわ。」
「お母さん...」
いつの間にか、遠くで見守っていたお母さん達が近付いてきていた。
仲良く見えていたのなら嬉しいが、大地がそのことを必死に否定しているのが少し悲しい。
「こら大地。そんな酷いこと言わないの。折角の同い年なんだから仲良くしないと駄目よ。」
「むー俺悪くないし。あっちが悪いんだ。」
「美空もあんまり意地悪しちゃ駄目よ。」
「はい。ごめんなさい。」
今回は自分が悪かった。
過度な弄りはもっと仲が良くなるまで禁止にしようと思う。
「美空ちゃんはちゃんと謝れて偉いわね。もし良かったら、大地と仲良くしてあげてね。」
「はい。もちろんです。」
言われなくても仲良くするつもりだ。
自分にとって大地は、幼馴染で腐れ縁で親友なのだから。
大地から拒絶でもされない限り、一緒に遊びたいと思っている。
「そろそろ良い時間だし、お開きにしましょうか。」
「そうね~。」
「そうしましょうか。」
見上げてみれば、空はもうだいぶ暗くなっている。
時計がないので分からないが、きっと夕食に良い時間なのだろう。
家に帰るのが少し名残惜しい。
まだ他の人とも全然話せていないし、他に話したいこともいっぱいあるのに。
こんなことならもっと早く、外に出れば良かった。
「大地!!!」
「...なんだよ。」
「またね。」
「おう...またな。」
また会う日が楽しみだ。早く明日にならないかな。
そんなことを考えながら家に帰った。
どうでしたでしょうか。
今回あまり話に出てこなかった幼馴染やお母さん達については、また別の話で出そうと思います。
キャラもだいぶ出てきたので次回はキャラ紹介にするつもりです。
次回もできるだけ早く出すつもりですが、気長に待ってくださると幸いです。
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