隻狼が荒れ寺で仏を彫っていたらいつの間にか荒れ寺ごと幻想郷にいた件について 作:荒北龍
「うつけさんの持ってるその刀。ずっと前に紅魔館で見たよ」
「···············そうか」
そう言って何度か『かくれんぼ』をした後、こいしが何かを思い出したかのように俺の腰に携えていた『開門』を指さしながら答えた。
そう言ってすぐにこいしは「今度は"うつけ"さんが私に会いに来てね」とだけ言い残してどこかへ消えてしまった。それはまるで嵐のような子で、隻狼は久方ぶりに体を動かしたせいか、それとも歳のせいか、体がどっと重くなるのを感じながら、こいしが言った『紅魔館』と言う単語が頭から抜けなかった。
この刀は"葦名 弦一郎"と、その祖父である"葦名 一心"と刀を交えた末に預かった代物。
もしかすればこいしの見間違えという線も···············とはまるで思えない。何せこのような刀は探したとて早々に見つかる代物ではない。
それにこのような異質な刀を見た目が似てるだけの刀と見間違えるはずもない。ましてや嘘をついているなどとはとても思えない。そもそもこの刀は元々俺のいた世界のものであって、元は弦一郎が所有していたもの。
もしやすると三つ目の不死斬りという事は··········それもありえまい。
そうして隻狼はこれ以上考えても埒が明かないと、紅魔館にいけばきっと何故そこに不死斬りがあったのか、不思議とわかる気がした。
····················紅魔館、縁があればいつか
そう思いながら空を見上げれば、既に日は沈み、外は暗くなり、星々と、大きく欠けた綺麗な三日月が地上を照らし、木々やその間に生える竹草の葉の上で鈴虫が鳴いている。
今日は良い夜だ、と呟きながら荒れ寺には戻ろうとすると、既に少女は立っていた。
「こんばんわ。あなたが人里で噂の『奇人』ね?····················随分と貧相ななりね」
そこに立っていたのは青みのかかった銀髪に、月の光に反射してギラつく赤い瞳はルビーさながら。身長は一般的な9、いや10歳くらいの人間の身長とほぼ変わらず、見た目はほぼ人間の幼女であるが、背中からはえる異質な黒い翼を見るだけでこの者は人間でないと隻狼の思考が断言させる。
頭にはナイトキャップを被り、周囲を大きな赤いリボンで締めており、全体的に白い服装で、腰や裾にはナイトキャップと同じように赤いリボンで縛られており大きめのスカートは踝辺りまで届く長さ。
「···············迷子?」
「違うわよ!!」
そんなことは隻狼も百も承知、言うなれば、ただ言ってみただけと言うやつである。
少女も思わず反論する。
「まぁ見た目が見た目だから仕方ないわね。まったく、不便な体よ」
少女は小さくため息を吐いて、口から愚痴をこぼすと、仕切り直しと言わんばかりもう一度隻狼の顔を見て笑顔を取り戻す。
そして今度は礼儀正しくスカートの左右の端を軽く摘み上げると左足を右足の真後ろに持ってゆき、軽く頭を垂れながら少女は名乗る。
「私は紅魔館現当主にて、偉大なる吸血鬼一族であるスカーレット家長女 レミリア・スカーレット。こう見えて貴方より年上なのよ」
「···············」
「あら、私がせっかく礼儀正しく名乗ったのだから、あなたも名乗るべきじゃないかしら」
少女、ことレミリアの口は空に浮かぶ三日月のように口の項を吊り上げながら、まるで隻狼を見下すかのように笑っている。
だが、レミリアの言い分も正しい。しかし、自分には名乗るほどの大層な名は持ち合わせてはいない。
「··········元忍ゆえ、名乗る名など持ち合わせてはいない」
「···············ふぅん。随分と無愛想なのね、"弦一郎"の言った通りだわ」
「····················」
「ふふ、なんで知ってるか知りたそうね」
なぜ、とは言うまい。
自分がこの異界に居るように、自分以外の誰かが元いた世界の者がここに居ても、それは何らおかしなことではないのだから。
「ねぇ、あなたが殺したんでしょ?弦一郎を」
「···············いや」
「あら、そうなの?」
「あ奴は······俺との戦いの末、自害した」
「·························ふぅん」
「最後まで、葦名の事を言っていた」
「····················そう」
レミリアの笑みが消え、代わりにどこかガッカリしたような、残念そうな、そしてほんの少しだけ悲しそうに目を細めながら視線を少し下にずらす。
そしてほんの数秒だけ、その虚ろな瞳を隻狼に向け、隻狼を凝視した。
しかしレミリアはすぐに何かに呆れたように、わざわざ隻狼に気づかれるようにわざと大きくため息を吐いて、少しだけ目を細めた。
「···············どうして人間の武士はすぐ死にたがるのかしら。どうせ短い運命のくせに···············本当に馬鹿な奴」
隻狼が口を開けることは無い。なぜなら自分は、忍であり武士ではない。
レミリアは気を取り直すかのように、こちらに目線を合わせ、ニッコリと絵で描いたような笑みを浮かべ、再び会釈した。
「これからあなたを私の屋敷、紅魔館にご招待するわ」
今度はイタズラ好きの少女がうかべる、楽しそうな、そしてどこか悪意の籠った笑みで
「勿論、あなたに拒否権などないわよ」
おっそくなりましたァ!
やー!オリジナルの方も書いてたらすっかり時間食っちゃいまして!
そういえば最近はシャーマンキングの葉アンにすっかりハマっちゃいまして、やーごめんなさい<(_ _)>〈 ゴン!〕
そんなわけで今度は紅魔館に隻狼がご招待!
そして、レミリアと弦一郎に一体どんな関係なのなか!乞うご期待
┌(┌ ^p^)┐テンション高いな