「大きいオーブンならありますよ。お爺ちゃんが調子に乗って買ったやつが」
ティッピーが頬を赤く染める。
ティッピーって普通のうさぎじゃないよね。鎹鴉みたいに喋るからな。
「ほんとぉ?今度の休みの日に、みんなで看板メニュー開発しない?焼き立てパン美味しいよぉ」
「いい考えだ。パンのことな俺に任せてくれ!」
「話ばっかしてないで仕事しろよ」
ぐう〜っとリゼの腹が鳴る。
「焼き立てって美味しいんだよ!」
「そんなことわかってる」
また鳴る。
「リゼ、顔赤いけど大丈夫か?」(追い討ち)
「うぅ…」
リゼの機嫌がすごく悪くなった。
休日、看板メニュー開発のためにラビットハウスに集まった。
「同じクラスの千夜ちゃんだよ」
「今日はよろしくね」
「チノちゃんとリゼちゃん」
「「よろしく(です)」」
顔合わせが終わり、早速パン作りだ。
「炭治郎くんも実家がパン屋よね?」
「あぁ、美味しいパン作りの極意を骨の髄まで叩き込む!ココアが」
「任せて!これでみんなもパン大好きフリスキーだよ!」
「なんか、不安になってきた…」
「私もです」
「うふふ、楽しくなりそうだわ」
今日集まった目的がズレてる気がするけどみんな楽しそうだからいいよね。
「各自、パンに入れたい材料提出!私は新規開拓に焼きそばパンならぬ焼うどん作るよ」
「私は自家製の小豆と梅と海苔を持ってきたわ」
「冷蔵庫にいくらと鮭と納豆と胡麻昆布がありました」
「俺はタラの芽を持ってきた!これでみんなも丈夫になる」
「これってパン作りだよな?」
「先ずは、強力粉とドライイーストを混ぜて」
「ドライイーストってパンをふっくらさせるんですよね?」
「よく知ってるねチノちゃんえらいえらい。乾燥させた酵母菌なんだよ」
「攻歩菌?うっ」
チノから恐怖の匂いが…安心させないと。
「大丈夫だチノ、怖がらなくていい。働き者で凄い菌なんだ!」
「ヒィッ…そんなに危険な物入れるくらいならパサパサパンで我慢します」
「余計怖がらせてどうする!?」
「はい、ドライイースト」
「ああっ…」
ココアが躊躇なくドライイーストを入れるとチノの顔が絶望したような表情になる。
絶望するな、そんなのは今することじゃない。
「パンをこねるのって凄く体力がいるんですね」
「腕がもう動かない」
「リゼさんは平気ですよね」
「な、何故決めつけた」
確かにリゼはいい筋肉の付き方をしている。(透き通る世界)
「千夜ちゃん大丈夫?手伝おうか?」
「うぅん、大丈夫よ」
「頑張るな?」(感心)
「千夜、無理しなくてもいいんだそ」
「ここで折れたら武士の恥ぜよ!息耐えるわけにはいかんきんっ」
「千夜ちゃん、炭治郎くんみたいなこと言ってるよ」
「頑張れ炭治郎頑張れ!俺が挫けることは絶対に無い!」
「確かにそうだな」
各々、好きな材料を入れて形を整えて、後は焼けるのを待つだけだ。
「チノ、そんなにたのしいか?」
「どんどん大きくなっていきます。お爺ちゃんがみんなに抜かれていきます。リゼさんだけ出遅れてます、もっと頑張ってください」
「私に言うなよ」
そうして、みんなのパンが焼き上がった。
「「「いただきます!!」」」
「美味しい!」
「ふかふかです」
「サクサクだ。さすが焼き立てだな」
「美味い!いやこれは…かなり美味い!!」
「これなら看板メニューにできるね!」
「この梅干パン」
「この焼うどんパン」
「この焦げたお爺ちゃん」
「このタラの芽羽織メロンパン」
今回は自信作!メロンパンに俺の羽織と同じ柄を着色、さらに中身はタラの芽が入っている。もう、完璧!究極のパンの完成だ。
「どれも食欲をそそらないぞ。特に炭治郎」
ガーンッ!長男は折れない!凹まない!
「じゃーん!ティッピーパンも作っておいたんだ」
「まぁかわいい」
「おお…」
「店にあっていてぴったりだ」
「看板メニューはこれで決定だな」
中身はなにが入っているのかな。気になるけど、食べるのが可哀想に思ってしまう。
「中身は真っ赤なイチゴジャムね!」
「なんか、エグいな」
「ごめんよ、ティッピー」
「炭治郎さん、泣きながらティッピーを食べないでください」
「そうじゃ!そうじゃ!」(ティッピー)
「中身は変えましょう」
リゼ「なんでココアに任せたんだ?いつもなら、自分からやりたがるのに」
炭治郎「俺は教えるのがすっごく下手なんだ」
リゼ「へ〜。試しにパンの作り方を説明してみて」
炭治郎「なんかこうグワーッてガーッてとかググーッて」
リゼ「うん、わかった」