アーマードコアの新作もこうなるんじゃないかと思うとなんか憂鬱です……。味わってプレイしたいのに……。
「オールドキング なんでおまえがここにいる」
《あぁ? 何ほざいてやがる。狂っちまったか?》
「こたえろ! おまえみたいなクズやろう――」
《狂ったなら興味ねぇ。死んでろ》
JOKERのAMSに精神を侵食されているイッシンが発狂したように意味不明な言語を喚き散らしている中、ナインボールを蹴り飛ばす形で彼を救ったオールドキングは存外不服そうな表情を見せると自身の駆る黄土色の逆関節機――リザ――の右手に握られた【
至近距離で放たれた散弾は散らばることなく全てコアに命中し、装甲を食い破り、たった一発でコックピットに新鮮な外気と施設内の眩しい照明を流入させる。しかしJOKERの活動を止めるには至らず、メインカメラには未だ光が灯っていた。その様子を見てオールドキングは無邪気な子供が面白がりながら蟻を踏み潰すようなサディスティックな笑みを作り、引き金をもう一度引こうとする。
《案外堅いな。じゃあもう一発……》
【未確認ネクストを確認。状況分析により対象をイレギュラーに追加認定】
《あぁ?》
突如響いた電子音声の方向を見ると、オールドキングがさきほど蹴り飛ばしたナインボールが炎による後光を纏ってブースターを噴かしながら突撃してきていた。パルスライフルとレーザーブレードを携えながら向かってくる姿はまさに赤い悪魔と呼ぶに相応しい存在感だが、当のオールドキングは遊びの興を削がれた苛立ちが込められた低い声で言い放つ。
《ガラクタ風情が出しゃばるんじゃねえよ》
瞬間、逆関節脚部の特性を活かして弾かれたように飛び出したリザは左手に持った【
あまりの衝撃にナインボールの周辺が亀裂を生じさせながらへこむが、オールドキングは気にする素振りも見せずに【
《さっさと壊れろ、カスが》
一発。ナインボールの装甲が捲り上がり、赤熱した鉄粉が舞い上がる。ナインボールはなんとか脱出しようと右手のパルスライフルを構えようと必死だが、それを見越したオールドキングによってリザの左脚に抑え込まれ銃口を向けられない。
二発。装甲を貫通して内部の電子回路が露出し、バチバチと電子ショートを起こしながら光を点滅させる。システムに物理的な損傷が出たためか、ジタバタと動く手足に力がはいっていない。
三発。機体を完全に貫通して、大きな風穴が出来上がった。既にナインボールのメインカメラからは光が消え去り、手足の機能は停止して指一本も動かない。
四発。ナインボールの頭部に撃ち込んで木っ端微塵にしたコレは無駄弾だが、オールドキングのフラストレーションを軽減する用の弾丸だった。
《さて、改めて殺してやるか》
自身の楽しみを邪魔した阿呆を黙らせたオールドキングは若干スッキリした表情でクルリとJOKERの方向へ向き直った時、急転直下とも言える落差で冷酷な苛立ちを兼ね備えた無表情に変化してしまう。何故なら死にかけのJOKERを守るようにマグヌスとバッカニアが臨戦態勢を整えていたからである。
《どけ。ソイツを殺すのは俺だ》
《残念だけど命の恩人を易々と見捨てるほど薄情でもないの。おわかり? 狂人さん》
《そういうことだ。ナインボールを軽々と
《――あ゙あ゙ぁ、ウゼぇ。どいつもこいつも邪魔しやがって……いいぜ、てめえら全員ぶっ殺してやる》
《そこまでだ。オールドキング》
両者に一触即発の雰囲気が流れ始めた時、どこか聞き覚えのある男性の優しい声が全員のコックピットに響き渡った。数秒後、トリコロールカラーのヒロイックなネクスト――セレブリティ・アッシュ――が彼等の斜め横に降り立って左手に持った【
《なんのつもりだ。新入り》
《メルツェルから君を連れ戻すよう任務を受けた。最悪の場合、撃墜も許可されている》
《ハッ! チェスしか打てない人形様が大きく出たな。必要なら大事な駒の俺を殺すか》
《帰投してくれ。仮にこの状況でやり合えば共倒れになってもおかしくない》
《それがどうした。今まで散々殺してきたんだ、殺されもするだろ》
セレブリティ・アッシュを駆る『新入り』と呼ばれた男――ダン・モロ――に対して不敵な悪態をつくオールドキングだが、言葉尻にさきほどまで纏っていた殺伐とした覇気が明らかに無くなっている。一応の楔が打てたことを確認したダンはオールドキングに【
《まさか此処で再会するとは思いませんでした。てっきり貴方はラインアークに残っているとばかり》
《御託はいい。ORCAがなんで此処にいる》
《……無断で出撃したオールドキングを連れ戻しにきただけです。今回に限って言えば敵意はありません》
《そんな言葉を信じろと?》
《信じる信じないは関係ありません。どちらにせよ私達はすぐに此処を離れますので》
いくら突発的とはいえ
《……チッ! またお預けかよ》
《そういう事だ。
ダンの言葉にしぶしぶ従ったオールドキングは名残惜しそうに最後までメインカメラをマグヌス達へ向けて、OBを噴かしながら施設を離脱する。彼が素直に応じた事を確認したダンはリザに向けていた【
《ダン。なんでORCAなんかに入ったのよ》
《ネリス……君は昔から変わらないね》
《貴方は変わった。鉄仮面と呼ばれてたあの頃とは大違いよ。それと、答えになってないわ。ちゃんと答えて》
《……いずれ人類は老人達によって自滅する。それならORCAが全てを喰らって人類をグレートリセットしたほうが種の存続に貢献出来ると考えただけさ》
《そんな嘘っぱち信じないわ。だってORCAのやり方を一番嫌ってたのは貴方じゃない。ねぇ教えて、本当の目的はなんなの?》
《………》
ネリスの鬼気迫る言葉に対してダンが選んだ言葉は沈黙だった。そして彼はセレブリティ・アッシュのサイドブースターを噴かした
《どうしてよ……ダン》
《感傷に浸っているところ悪いが、手遅れになる前に彼を搬送するぞ。聞こえるかキドウ・イッシン》
「ああ きこえているぜ? おれのこえはきこえないのか?」
《これは重症だな。セレン・ヘイズ、状況は聞こえているな》
《……聞こえてる。私は、私はどうすればいい……》
《あまり気に病むな。それよりもAMS技術に通じた科学者を知らないか。出来れば最新装置を導入しているヤツが良い。フィオナ・イェルネフェルトに処置を頼もうにも、ここからラインアークは遠すぎる》
《……一人だけアテがあるが、助かるのか? イッシンは助かるのか!?》
《それは彼次第だ。とにかく早くそこに搬送しよう》
10分後。
もぬけの殻となった施設の中で立体ホログラフィックの神様は腕を組み、目を閉じて佇んでいた。そしてふと瞳を開けると重心を後ろに倒し、いつの間にか置かれていた革製の一人がけソファにドカッと座り、いつの間にか手に持たれていたワイングラスをクイッと傾け、いつの間にか注がれていた赤ワインを嗜む。
『ふ~~……時期が早かったとはいえイッシン君がああなるのは想定内として。問題は彼だよねぇ』
『あのナインボールは万が一のために
『私達が転生させたのは6人。キドウ・イッシン、ダン・モロ、ドン・カーネル、フランソワ・ネリス、セロ、そして〇〇〇……。ヤツは入っていない』
『誰かが無理矢理捩じ込んだと見るのは?』
『だが他の柱が管理する世界の強制介入は有り得ん。那由他の一でも
『ならばどう説明する。名も無き世界の定命の者が神の力を打ち倒したことは事実だ』
『はいは~い。とりあえず注目~~』
まるで最初からそこに居たかのようにどこからか湧いて出て来た五人の老若男女がソファに座る神様を囲むように立って会話を始めるなか、特に気にする素振りもなく神様は手をあげて皆の注目を集める。
『彼がなんにせよ、試練の内容に変わり無いよ。それに面白そうだろ? 神に楯突く英雄は多いけど、凡人ってのはそういない。せいぜい抗って貰おうじゃないか』
そう言うと神様はワイングラスを大きく持ち上げ、血のように赤いワインを全て飲み干した。
という訳で若干キナ臭い回でした。
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