正直、こんなに伸びると思って無かったのでビビってます。駄文豪ですが、今後ともお付き合い頂ければ嬉しいです
「それで?2機目が欲しいとは聞いているんだけど、具体的な要望は?」
「それはコイツから聞いてくれ」
「……え、俺?」
先程の奇々怪々な邂逅から少しして、ジョニーが催事場を軽く案内でもしようと言い、三人はコーヒーを片手に練り歩いていた。
「今乗っているのがローゼンタールの
「ジョニー、もっとマトモな選択肢はないのか……」
「冗談冗談。ちなみにイッシン君は軽量機に乗りたいのかい?それとも重量機?」
「うーん……出来れば軽量機に乗りたいですね。俺の反応に
「なら
そう言うとジョニーは一行の斜向かいに見えた店に立ち寄る。露店らしく精密機器が乱雑に積まれたクリーム色のテントの中ではターバンを巻いて顎髭を蓄えた中東風の中年男性が、折り畳み式のパイプ椅子に座りながら水タバコを愉しんでいた。
「ギャラハン、調子はどうだい?」
「見ての通り閑古鳥が鳴いてるよ。後ろの二人は?」
「僕の客人さ。軽量機が欲しいみたいでね、君の所に良い状態の
「おう。丁度、卸立てホヤホヤのが入ったところだ」
そう言うとギャラハンはおもむろに立ち上がり、テントの後ろに立っているネクストに掛けられた遮光シートを無造作に引き剥がす。その中から白銀一色で構成された細身の巨人が姿を現した。
アルゼブラ社の旧標準機である
そんな愛用者の多い
「中々良いだろう?今なら160万コームで現品引き渡しが出来るぜ。勿論、内装一式も併せてこの価格だ」
ギャラハンはどこからとも無く電卓を取り出し、慣れた手つきでデジタル画面に五桁の0を入力して見せてくる。穏やかではあるが商人の目になったギャラハンに気圧されたイッシンは僅かに頬を引きつらせた。自称〝やり手の商人〟であるギャラハンはその挙動を見逃さず、好機とばかりに畳みかける。
「分かった!この前アルゼブラから納品したスラッグガンとショットガン、在庫の武器腕もセットで170万コームならどうだい?」
顔をズズイと出したギャラハンにどう返答したものかと頭を掻いて誤魔化すイッシンは助けを求めるように背後のセレンへ目線を送るが、彼女は眼をランランと輝かせながら小さく何度も頷いている。どうやら守銭奴の彼女が自らGOサインを出す程度には破格を提示されているようなので、軽量機ならどれも同じようなものだと無理矢理自分を納得させて購入の意思を伝えようとしたとき、ふとあるネクストが目にとまった。
目の前の
「ギャラハンさんだっけ?あのネクストは?」
「あぁ、兄ちゃんも随分な物好きだね。あれは半年前にウチで買い取ったネクストだ。武装も内装も全部新品同然で身受けしたから高く売れると思ってたんだが、AMS接続が全く安定しなくて買い手が着かないんだよ。なんなら見てくかい?」
ギャラハンは久々の上客と判断したイッシンの機嫌を損ねないように彼等一行をネクストの足元まで誘導すると、イッシンに埃がかからないように気を配りながら勢いよく遮光シートを引っ張り降ろす。
次の瞬間、イッシンは現れた黒の巨人に言葉を失った。
戦闘機のように先鋭的な頭、F1カーを想起させる洗練されたコア、悪魔のような鋭さの腕、空気抵抗を抑えるために薄く設計された脚部。その全てがイッシンの脳を大きく揺さ振った。
――おいおい、まさか過ぎるだろ。この世界で
棒立ちのまま不良在庫に目を
「悪いことは言わねぇからあの
「ほぉ。私のリンクスがその程度に見えるか?」
「いいかいお嬢さん。コイツを乗りこなそうとして今まで5人のリンクスがAMS接続を試したが、その全員が病院送りになってるんだ。売り手として警告しない訳にはいかないだろう」
「それはそうだねぇ。でもイッシン君はこの子に決めたみたいだよ?」
「……………え゛?」
イッシンは思わずジョニーめがけて振り向く。その顔には茶化すような笑みが貼り付けられているが、此方に向けられる双眸は全然笑っていない。間違いなく目の前のネクストにAMS接続させる気満々である。
――いやいやいやギャラハンさんの話聞いてました?アベレージ100%で病院送りになってるって言いましたよね?あれか?俺のこと
どこぞの化け梟に勝るとも劣らない驚異的な頭脳の回転で最善の回避術を弾き出したイッシンは、早撃ちガンマンの如く首をセレンに向け哀願の目を走らせた。彼女なら一言交わすだけで通じる、そう確信して。
「セレンさ――」
「イッシン…………出来るな?」
「あっハイ」
セレン、お前もか。
古代ローマの名将もこんな気持ちだったのだろうか。陰鬱とも落胆とも違う何とも言えない感情を胸に抱きながら、イッシンはしぶしぶAMS接続テスト用の装置の前に設けられたている施術台を兼ねた椅子に座った。
流石にネクスト専門の卸売業だけあって〝週間ACマニア〟でしか見たことの無い最新機器の数々が導入されており、このタイプのテスト装置は機器から伸びている太いプラグを対象者の頸椎に設けられたジャックに直接差し込むらしい。
「いやぁイッシン君もチャレンジャーだねぇ。初めての買い物でこんなネクスト買うなんて僕も驚きだよ」
テスト装置を制御する役を進んで引き受けたジョニーが、やはり茶化すような笑いで着々と準備を進めながらイッシンに話しかける。対するイッシンはジットリと冷や汗をかきながら、どうすればこの場から離脱出来るかを考えていた。
(どうしてこうなった!どうしてこうなった!!てか一言も買うなんて言ってないんだけども!?だけど「やっぱり
「よしっ準備完了。それじゃ接続しようか――」
「あっー!ゴメンナサイちょっとお腹が痛くなってしまったので一番遠いトイレに行ってき」
「大丈夫、すぐ終わるからね~」
脳の電気信号を介さず反射的な勢いで椅子から立ち上がりトイレもとい安全圏へ逃げようとするイッシンだったが、それをも上回る速度でジョニーの右手がイッシンの二の腕を掴み捉えた。
(こっコイツ、ドミナントか!?)
「大丈夫。先っぽ、先っぽだけだから」ネットリ
「絶対違うじゃん!!奥までズッポリ接続するヤツじゃん!!ああああぁぁぁ!?」
変態パワーとでも言えば良いのだろうか。その体躯からは想像も出来ない怪力のイケメンに組み敷かれた哀れなフツメンはプラグを奥までズッポリと接続され、意識を手放された。
「久しぶりだね、イッシン君」
いかがでしたでしょうか。
今回のチャプター以降はオリジナルネクストを最低3~5機ほど登場させる予定なのですが、こんなネクストが見てみたい!等のリクエストはありますでしょうか?
もちろん登場リンクスとの兼ね合いだったり、ストーリー上の展開などでリクエストにお応えする事が出来ない場合も往々に考えられますが、出来る限り登場させようと思っています。
よければ感想欄に書いて頂けると幸いです。