凡人は気まぐれで山猫になる   作:seven4

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UA300越えました。一週間経らずで超えるとは……。
これからも精進致します。


6.愚者の王国に、凡庸は立つ

「AMSシンクロ率87%、FCSオールグリーン、ジェネレータ稼働率95%、全駆動アクチュエータは正常に稼動中」

 

モニター光に照らされた薄暗い小部屋の中にセレンの声が反響する。それをBGMに、俺はモニターから伝達される情報に目を通していた。

 

 

「ラインアークへの武力行使。あくまで示威行為とするため、撃破対象は守備部隊の一部に留めること。なお、ランク9【ホワイトグリント】は作戦行動中のため、乱入の危険性なし、ね」

 

 

俺は一人呟く。ラインアーク自体は結構好きではあるが原作内での初陣という位置付け上、やるしか無い。

 

ラインアークを説明するにはクレイドル………いや、コジマ粒子から説明する必要があるだろう。

コジマ粒子は、簡単にいってしまえば万能エネルギーだ。そんなものが軍事転用されない訳がなく、今ではネクスト技術の根幹に深く食い込んでいる。バリアとして展開すれば実弾兵器など豆鉄砲の如く無効化し、高濃度に圧縮すればエネルギー兵器としても使える。

 

ここまでは非常に魅力的な粒子に見えるだろう。だが、それとは反対に致命的な欠陥も存在する。

環境汚染だ。先の大戦により汚染は加速度的に増加、地上で暮らせる地域は一握りとなってしまった。

 

そして、そんな地上から逃げ延びるために建設された救済装置がクレイドルという訳だ。収容人数は一基につき2000万人、クレイドルは100基が運用中であるため既に20億近い人類が空に居を移した計算になる。

 

だが、人類全てがクレイドルに移住できる訳ではない。いわゆる貧困層は地上に置き去りのままに、特権階級が優先的に移住している。

 

そんな現状を憂いたのがラインアークだ。そして企業支配の象徴たるクレイドル体制に反旗を翻した。「民主主義による政治にこそ正義はある」という崇高な理念に涙した者も多いだろう。しかし時は残酷だ。今やその理念も形骸化し、アウトローや亡命者などが流入。衆愚政治の手本のような形になってしまっている。

 

――だから好きなんだよなぁ。なんというか、人間臭いじゃん。移住したいかって言われたらしたくないけど。

 

 

「イッシン、まもなく作戦エリアに到着する。準備出来ているな」

 

「今すぐにでも行けます」

 

「ふっ、いい返事だ。だが油断するなよ? 何があるか分からんからな」

 

 

セレンさんは俺が載っているネクストを運ぶ輸送機内から連絡を取っている。俺を作戦エリアに投下後、速やかに離脱。超長距離無線によるオペレーティングで戦闘を支援する格好になる。

 

 

「よし、作戦エリアに到達。……折角の初陣だ。派手にやってこい」

 

「言われずとも! ストレイド、出ます!」

 

 

そうして、俺の初陣が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「企業のネクストだと!?」

 

「くそっ、こんな時に!」

 

 

高速道路上に展開しているMTおよびノーマルで編成された守備部隊は動揺していた。現状の戦力でネクストに勝てる道理はなく、守護神たるホワイトグリントもいない。遠巻きに死を宣告されたようなものだ。

 

 

「殺す気は無いけど、死んだらごめん!」

 

 

俺はTYPE-HOGIRE(ストレイド)を縦横無尽に踊らせ守備部隊より放たれる弾丸を全弾回避しながら、スライディングの要領で手近なMT小隊の懐に入る。そのままの勢いで、右腕に装備されたレーザーブレードは正常に発振、MT小隊の足々を両断した。支えを失ったMT小隊は力なく地面に沈み、大きな衝撃音を立てる。

 

 

「…………マジ?」

 

 

そんな光景に驚いたのは他でもないイッシンだった。原作中こんな動きはしたことが無い、というか出来ない。むしろ、身体が勝手に反応した節さえある。…………これが神様のいっていた贈り物か? 

 

思考を巡らせ、その場に硬直しているとコックピットモニターに黄緑のノイズが煌めく。どうやら【プライマルアーマー】が攻撃に反応したようで、ノイズが走った方向を見るとノーマル部隊がライフルを乱射しながら猛進してくる。仲間の救助に来たようだが、挙動に余裕が無い。随分慌てていると見える。

 

俺は向かってくる弾丸をいなしながら、ノーマル部隊と相対する。なおも猛進してくるノーマル部隊の攻撃を躱し、相対距離10mとなった瞬間、クイックブースト(QB)を噴かす。至近距離でのQBは瞬間移動と同義であり、ノーマル部隊がストレイドを見失った瞬間、俺が見たのはノーマル部隊の背中である。そして彼等は状況を理解する前に乗機の胴と足が離れた事を理解した。

 

そして、作戦開始から120秒。

 

 

「守備部隊の()()()を確認、ミッション完了だ。……初陣で全機峰打ちとは、やるじゃないか」

 

 

セレンさんの褒め言葉に俺は頭を掻く。

まあ?流石に?何千回やったか分からないようなミッションだから?最初はビビったけど何だかんだ上手くいったし、褒めてくれるならやぶさかでもないよ?

イッシンは舞い上がる感情を抑え切れず、思わず得意になって答える。

 

 

「いやぁ、それほ――」

 

「とはいえ、調子に乗るなよ? 今回は敵が弱過ぎたんだ」 

 

「……はい」

 

「これから回収に向かう。ポイントG5-aで落ち合おう」

 

 

こうして、俺の初陣は白星スタートを飾った。

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
戦闘シーンは初めて書いたので、多少読みづらいかも。

感想・評価よろしくお願い致します。
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