本年こそアーマードコアの新作が発売されることを願いまして新年の挨拶とさせて頂きます。今年こそ出せよフロム!!
イッシン達が進入したシェルターは、入口が吹きさらしだったとは思えないほど綺麗に保たれていた。本来なら砂漠のド真ん中に位置する関係上、砂嵐による天然のサンドブラストで細かい傷やら錆やらが施設の奥深くまで侵食していてもおかしくないのだが、そういった傾向があるのは入り口からほんの数十メートルのみ。まるで見えない障壁に阻まれていたかのように数十メートルの地点を境にして不自然な真新しさを保っている。
そんな何処となく不気味な施設の中を3機のネクストがメインブースターをオフにしてズシンズシンと闊歩していた。と言っても内1機はホバータンク型であるため常にシュゴーッと音を立てているのだが。
その集団は先頭から順にマグヌス・JOKER・バッカニアの順番で形勢されており、その全員が辺りを警戒しながら兵装を構えて移動していた。本来なら豪快にメインブースターを噴かして強襲的に突っ込んでも良かったのだが生憎ここは勝手の分からない未踏の地。ここにいる全員が転生者である故に、どこぞのB7のように設備や隔壁を蹂躙しながら進んでいって最後に自爆プログラムを作動されるのは勘弁願いたいのだ。
「しっかし良くこんな施設つくったよな。ネリスの話だと、つい最近までこの場所にはなにもなかったんだろ?」
《正確には二ヶ月前ね。どこの誰がどんな手品をつかったか分からないけど、カラードの情報網をすり抜けてこんな大規模施設を作り上げるなんて神業よ》
《確かにな。組織自体が形骸化しているとはいえ腐ってもカラードはリンクスの管理者。僕が戦ったリンクス戦争中よりも高度な地上監視技術を有しているはずだ》
《しかもカラード本部が実際に施設の存在を確認したのは一週間前。担当者は『調査衛星にダミーデータを送られていた』とかなんとか言って更迭されたらしいけど、もしそれが本当ならド級の厄ネタだわ》
「……キナ臭いとかそういうレベルじゃなくなってきたな、こりゃ」
イッシンは呟きながらJOKERの兵装を確認する。今回のミッションは屋内戦闘が主となることはネリスの事前説明で把握していた。であれば、最適解とは行かなくとも最善を尽くせる兵装をチョイスするのは難しいことではない。
右腕部兵装はローゼンタール製ライフル【MR-R100R】
左腕部兵装は同じくローゼンタール製レーザーブレード【EB-R500】
右背部兵装はアクアビット製プラズマキャノン【TRESOR】
左背部兵装はローゼンタール製チェインガン【CG-R500】
肩部にはテクノクラート製ロケット【FSS-53】
狭い閉所で最大限の効果を発揮できる近中距離用装備を整えていることを改めて確認したイッシンは自身に大丈夫だと言い聞かせるように深く息を吐き、先頭に立つマグヌスを見遣る。
ラインアーク事変終盤に乱入したマグヌスは裏切り者であるORCA旅団員オッツダルヴァ・ハリ・ダンの3名が敵AFへ直ぐに撤退してしまったため戦闘を見る機会が無かった。マグヌスの機体構成からしてJOKERと同じように近中距離での高速戦闘を主眼に置いた特化型機体だろう。いやむしろ搭乗リンクスであるセロの技量も相まってJOKERの更に上を行っているかも知れない。そう感じさせられてしまうほどのオーラをマグヌスは放っていた。
「セロ。一応聞きたいんだがアンタどんくらい強いんだ?」
《なんだ急に。ラインアークのように裏切られる前の敵情視察のつもりか》
「そんなんじゃねえよ。ただリンクス戦争を生き抜いた転生者ってのがどんなもんか知りたかっただけさ。それに、転生者の中で全盛期の【アナトリアの傭兵】とやり合ってるのはアンタだけだろ」
《私も知りたいわ。イッシンから聞いたけど、最初の転生者なんでしょ?》
イッシンの抽象的な問答に呼応してJOKERの後ろでバッカニアを駆るネリスも興味を惹かれたように便乗する。正直なところイッシンからすればネリスの実力も未知数なのでセロ・ネリス両名から話を聞けるのが一番だったのだが会話の流れ上、セロ一人に焦点を絞った方が情報が得やすいとイッシンは判断して会話を促す。
《強さといっても色々ある。いくら戦場で大戦果を挙げたとしてもネクスト同士だと相性次第では脆弱極まりないなんて日常茶飯事だ》
「なら単純に戦果だけ教えてくれよ。相性云々で言い訳されても面倒だしな」
《――僕が覚えている限りだとネクスト1機、大型機動兵器13機、ノーマル37機、航空機54機、その他2機だったはずだ》
「……そんだけ?」
《不服か? 倒したネクストはバガモール、テクノクラートのオリジナルさ。まぁ大したこと無いヤツだったが》
特に気にする素振りも見せずにセロはあっけらかんと言い放つ。こう言ってはなんだが、仮にも転生者として
「嘘も休み休み言えよ。アンタみたいな超大物がそんなショボい戦績なわけねぇだろ」
《ならカラードに保管されている公式記録を見てみるといい。僕が言った戦績と同じようなことしか書いてない》
《……はぁ~あ、最強と謳われたオーメルの天才に転生したヤツがこんななんて拍子抜けだわ。期待して損した》
ネリスのあからさまな溜息に思わずイッシンは固く苦笑してしまう。確かにリンクス戦争を生き残ったリンクスとは言っても、その全員が圧倒的戦果を残している訳ではない。例を挙げればGA所属アーキテクトのエンリケ・エルカーノやアルゼブラ所属アーキテクトのK・K、有澤重工十六代目社長の有澤隆文がそれに当たる。
彼等も元々は企業専属のリンクスであり、最上位リンクスほどとは行かないまでもそれなりの戦果を上げてリンクス戦争を生き残った傑物だが加齢や身体的ハンデ、後進に道を譲る等の様々な理由によって引退せざるを得ない状況になり現役職に就任しているのだ。
つまる話、残酷だが『他よりちょっと優秀なリンクス』止まりの人間が時の運によって生かされたに過ぎない。そして先程のセロの言い方では自分のその一員であると暗に示している。ある意味一番説得力のある人物からこう言われてはネリスも落胆するのは無理ないだろう。実際、イッシンも多少なりとも期待していただけに顔には出さないが気落ちしていた。雰囲気だけの雑魚には散々会って来たが、まさかここまでとは。
「まっ、しゃあないか……」
イッシンが独りごちって十数秒が経過した辺りで、一行は開けた場所には出た。横幅としては最終ステージのアルテリア・クラニアム程度だろうか。唯一クラニアムと違うところは建造物などで隆起しているところは一切無くひたすら真っ平らが続いている点と、場所の最奥に誂えられた仰々しい巨大な二つの扉である。今まで進んで来た通路と比べてあまりに異質過ぎるその光景に思わず3機は即座に散開。戦闘態勢を取って周囲を警戒した。
「なんだよここ……」
《分からないが、アーマードコアにおいて不意に開けた閑静な場所はフラグ成立に欠かせない立地だ》
《つまりボス戦って訳ね? それも初見殺し級の――》
『あら~~!!まさかまさかで辿り着いちゃったのねキミタチ!』
突然、場違い過ぎるテンションの高い声が場所一帯に響き渡る。男性とも女性ともつかない非常に中性的な声色の全く聞き覚えが無い声にネリスとセロは戸惑うがイッシンは違った。無駄にテンションの高い登場、中性的な声、どことなく面倒くさそうな雰囲気………間違いない。
「………神様?」
『そう~~!! 久々登場の神様でっす! イッシン君久しぶり~~!元気してたかい!?』
声の主がそこまで言うと3機のネクストの目の前に立体ホログラフィックが投影される。前回同様、赤いチュニックを身に纏ったヒトが背後から鳩やらクラッカーやらを出して楽しげに振る舞っていた。相変わらずだな。
『他の二人は初めましてかな? 僕はイッシン君の担当神にしてこの企画の発起人! 気軽に【
《……私あんな神様じゃなかったんだけど。もっと荘厳な凛々しい感じだったんだけど》
《僕も同じだ。威厳の権化みたいな感じだった……苦労してるんだな、お前》
「やめてなんか虚しくなる」
それとお前達の神様も大概だからな? 暇つぶしで六人も転生させる辺り荘厳も威厳も無いだろ。こちとら深夜のアイスが食いたいがために死んで転生させられてんだぞ。あっそれ俺の威厳が無いだけだわ。
セロとネリスへの脳内罵倒もそこそこに、突如登場した神様の登場理由が分からな過ぎて理解が追い着いて行かないイッシンだったが、脳内処理をフルスロットルで回転させて何とか質問をぶつけようとする。そして神経細胞が焼け焦げている感覚を錯覚しながらもイッシンが神様へ出した問いは至極当然の質問だった。
「それより、なんで貴方がここに居るんですか。こっち側の世界に干渉しないって話でしたよね」
『いやぁそうなんだけどね? 前にも話した通り【この世界の
「――マジ?」
『大マジさ。まぁこんなのを世界中に創ってるから、一つくらいあげてもいいかなっていうのが相場なんだけどね。流石に此処だけはタダであげる訳には行かない場所なんだよ』
そう言って神様は右腕を天井に向かって挙げると、掌から青白い光が迸り始める。すると呼応するように天井の一部が観音開きのように開き始めて中から2機の赤い機体が降り立った。
細胞レベルで刻み込まれた最強の象徴。その機体達の左肩に貼り付けられたデカールには丸い黒字に―――。
『だからね? 彼等を倒したら此処をあげる。倒せなかったら………そうだな。見込みナシってことで死んで貰うよ』
【ランク18】JOKER/キドウ・イッシン
&
【ランク19】バッカニア/フランソワ・ネリス
&
【ランク圏外】マグヌス/セロ
VS
ナインボール×2
いかがでしたでしょうか。
という訳でみんなのトラウマ、ナインボール登場です。これから風雲急を告げる展開を予定しているので楽しみにして頂ければ幸いです。
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