・逆行モノ
・ルルシャリ
・独自設定
・原作生存キャラ死亡&死亡キャラ生存あり
・アキト、オズなどの外伝的な話は舞台装置以外はキャラも含めて基本的にスルーしております。
プロローグ 魔神よ眠れ
胸を貫く焼け付くような痛みと親友の堪えるような声が耳に届く。
先ほどまで周囲を支配していた喧噪は消え失せ、静寂がすべてを支配するなか、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは引き抜かれた剣の勢いそのままに台座から滑り落ちる。
ほどなく、その場に居たナナリー・ヴィ・ブリタニアの朧気になった姿がルルーシュの目に映る。
――果たして自分は笑みを浮かべられているだろうか?
そんな考えがルルーシュの頭をよぎると、何かを察したのか、ナナリーが手を震わせながらルルーシュの手を取る。
刹那、手の震えが止まり、再び強く握りしめられる。彼女はすべてを悟ったのであろう。ぼやける視線の先から何かを必死に訴えかけているような、そんな姿を見てとれる。
『お兄様、愛しています』
そんな中、もはや二度と聞くことは無いと思っていた言葉。
それを最後の最後で聞くことが出来た。それだけで、この罪に塗れた人生を終える後悔は無い。
そう思いながら、静かに遠のいていくルルーシュの意識の中で、はじめに浮かび上がったのは、ギアスによって翻弄されながらも、自身を愛し、そして去って行った少女――シャーリー・フェネットの笑顔。
そして、ギアスを得たその時から今日のこの日まで続く反逆の日々を溯るような走馬灯。
最後に浮かび上がったのは、ただ一人の親友と定めた男と命に代えても守ろうと誓った少女と笑い合った日々の記憶。
(あの日から、俺はずっとさまよっていたのかもしれない。全く変わらない世界に飽き飽きして。でも、「嘘」って絶望であきらめる事もできなくて。ああ、名前も、経歴も、手に入れた力も、全部、俺にとっての「ほんとう」を見つける道だったのかもしれない)
ただ一人の親友と定めた男も、命に代えても守ろうと誓った少女も、すべてを失いながら忠誠を誓ってくれた男も、皆、一度は自分を憎み、そしてすべてを賭けて戦ってきた。
彼等ですら、自分にとっての「ほんとう」では無かったのかも知れない。もちろん、彼等は自分自身が守ると誓った存在であり、お互いに掛け替えないものに変わりは無い。
さかのぼった走馬灯は、今度は時系列となって脳裏に蘇る。3人で遊んだ楽しき日々、引き裂かれた日常、反逆のはじまり、ゼロレクイエム……そして。
そう、すべては「ほんとう」を見つける道。
そして、今このたどり着いた道の果てにあって、脳裏に浮かぶそれ。自身の罪を知ってもなお、自分とともに道を歩もうとしてくれた少女の姿。
「俺は、世界を、壊し、世界を作る……」
この結末を選んだのは、自身の手で失ってしまった彼女の許へと行くためだったのかも知れない。
そう思ってしまえば、いささか自分勝手な話である。
親友と妹に世界を背負わせ、本来それを導く責任から逃げ、共犯者という関係から、自分を愛してくれた女性との約束も果たせずに逝く。
そう思うと、今自分の胸元に伏せって慟哭する妹にどんな顔をしてやれば良いのだろう?
(ルルの思う通りにすれば良いんだよ?)
今際の際にあってもなお、妹の気持ちを優先しようとした自身に苦笑するのもつかの間、耳に届いたのは、もはや聞くことの出来ないはずの声。
いつの間にか、朧気になっていた視界は冴え渡り、慟哭するナナリーの姿も、撤退していくジェレミア達の姿も、人質を解放しているコーネリア達の姿もはっきりと目に映る。
だが、皆が自身の様子に気付くことは無い。
そんな中で、自分の目の前にあって、笑みを浮かべながら手を取る少女の姿。
「 」
かつて、見知ったその姿に思わず彼女の名を口にする。しかし、すでに自分は声を発することすら叶わぬほどに死へと向かっていた。
そして、もう二度と見ることは出来ないと思っていたその笑顔を最後に、自身の意識は白き翼が舞い上がる光の中に溶け込むかのように消えていった。