コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。

また、誤字脱字が多く、重ねてお詫び致します。
御指摘してくださる方々、本当にありがとうございます。


第九話 交錯する思い

 一瞬の油断が戦場にあっては全てを終わらせる。今回が正にそれだっただろう。

 

 ルルーシュは自分かカレンを狙うであろうとランスロットの攻撃に備えたが、スザクが選んだのはテロリストの再捕縛だった。

 考えれば、今のスザクは「正しいこと」に縛られている真っ最中であり、彼にしてみれば、罪人が逃亡することが最も自分を縛る規範に反する。

 

 

(なんてことだ、ジェレミアとアーニャに偽装追撃をさせておけば、ヤツの目は俺達に向いたのにっ!! シャーリーっ!!)

 

 

 機動性に関しては、ジェレミアのグロースターどころか、アーニャの試作ヴィンセント以上のランスロットである。

 あっという間に距離を詰め、MVSを持って射撃を続けるシャーリーのサザーランドへと迫る。

 後方から砲撃をブレイズルミナスでいなし、それを振り下ろすランスロット。

 

 だが、コックピットごと寸断されようかというシャーリーのサザーランドは、それまで硬直から脱すると、振り下ろされたMVSを手にしていたコイルガンで受け止め、その勢いを利用して斬撃を躱し、流れるように持ち替えたランスであっさりとMVSをはじき飛ばす。

 

 そして、バランスを崩したランスロットを再びランスを振るってこちらへと突き飛ばしたのだ。

 

 

「な、なんだっ!?」

 

「C.C.」

 

「分かってるっ!!」

 

 

 ルルーシュと同様にC.C.もシャーリーの思いがけない機動に目を丸くするが、こちらへと突き飛ばされたランスロットを跳躍させて躱し、すぐに体勢を立て直す。

 

 

「シャーリーっ!! リヴァルっ!?」

 

『お、俺は大丈夫』

 

「シャーリーっ!! シャーリーはっ!?」

 

 

 ランスロットに向き直りつつ、リヴァルとシャーリーに通信を開くが、返答があったのはリヴァルだけであり、シャーリーは何も答えない。

 だが、機体自体はそのまま後退させており、シャーリーの身に何かあったわけでは無さそうだった。

 そうしているウチに、体勢を整えたランスロットが残されたMVSを手に突っ込んでくる。

 だが、カレンが間に入ってそれを受け止め、ルルーシュは躊躇うこと無く砲撃を加える。

 後方ではジェレミアとアーニャが上手くスザクの射線を邪魔するように砲撃してきて、こちらへの的を絞らせないようにしている。

 だが、それらを加味した上でかつ、カレンの伎倆を持ってしても、機体性能差を覆すのは難しい。

 

 

『殿下っ!! 味方の撤収は完了致しました。お早くっ!!』

 

 

 そんな時、ルルーシュの元にミレイからの通信が届く。すでに扇達をはじめ、シャーリーとリヴァルや玉城達も撤収を完了したようだった。

 とは言え、ランスロットの登場とシャーリーが危機にさらされた事が彼女から余裕を奪い去ったのか、臣下モードの声になっている。

 扇達に聞かれたら面倒なことになりそうだが、それも覚悟の上ではある。玉城達にも、協力を取り付ける際に約束したことがあるのだ。

 

 

「よし、カレン。これ以上の戦闘は無駄だ。向こうの二機が煙幕を張ったらそのまま撤退しろっ!!」

 

『了解っ!! 簡単じゃ無いけどね』

 

「今の機体ではそいつは倒せん。だが、なんとしても生き残れっ!!」

 

『了解っ!! あんたも援護しなさいよっ!!』

 

 

 カレンの試作機は機動性はランスロットにやや劣る程度だが、武器の威力には格段の差がある。それでも互角に渡り合えている現状が彼女の才能を示してはいるが、それでも長期戦になればガタが来る。

 ルルーシュは、その間の援護をC.C.に任せ、カレンに対して撤退コースを、ジェレミアとアーニャに対しては、作戦が次の段階に移ることを秘匿回線にて通達する。

 ほどなく、ジェレミアが撃った砲弾がルルーシュ達から大きくそれ、倉庫の壁を撃ち抜く。

 

 

『しまったっ!? 下がれ、准尉っ!!』

 

 

 わざとらしくオープン回線でそう叫んだジェレミアの声に、スザクのランスロットは本能的に反応し、カレンとの交戦域から後方へと飛び退く。

 その隙に、カレンもまた崩壊した倉庫が起こした砂埃の中に飛び込み、迅速に離脱していく。

 ルルーシュは事前にジェレミアや彼の同志達と謀り、死角となる脱出ルートを作成している。元来た突入口はミレイと咲世子に破壊するよう伝えてあるため、追撃の危険を徹底的に排除している。

 そして、ルルーシュとC.C.は足早に復座サザーランドから出ると、スザクの再突入を前に片側の倉庫へと身を隠した。

 

 

『済まなかった准尉。無事かねっ!?』

 

『大丈夫です。ジェレミア卿もアールストレイム卿も?』

 

『問題無い。それより、逃がしちゃった……』

 

『しまったっ!?』

 

 

 状況が状況であったのか、オープン回線のままの白々しいやり取りが二人の耳に届く。スザクは二人の知己を得ているようだが、過去においては罪を着せた側とそれを受け入れた側のやり取りである。

 状況が違えばこのようなやり取りも有り得たのかも知れないと思うと、ルルーシュは運命の因果を感じずにはられなかった。

 

 

「さて、行くとするか」

 

「まったく、なんで私がこんな格好を……」

 

「文句を言うな。また捕まって実験体になりたいのか?」

 

「だったら、私まで政庁に付き合わせるな」

 

「仕方が無いだろ。俺一人だったら兵隊にも勝てん」

 

「偉そうに言うことじゃないな」

 

 

 そうしているウチに、兵士の服装に着替え終えたルルーシュとC.C.は倉庫から政庁内部へと続く通路へと向かう。

 C.C.を護衛扱いしているのはあくまでも口だけであり、万が一V.V.改め、ヴィクトルと彼の率いるギアスユーザーと遭遇した際の保険である。

 奴のコードがどうなっているのかは分からないが、ジェレミアの支援を大っぴらに受けるわけには行かない以上、どうやっても彼女だけが頼みとなるのだ。

 

 

「ヤツ以外にはギアスを使えば良いだろうに」

 

「そう言うな。これは便利な力だが、一度しか使えないんだ。それに、無駄に兵を死なせるのもな」

 

 

 そんなやり取りをしつつ、入口に近づくと、ルルーシュは小型PCを取り出し、ハッキングを開始する。扉の開閉もそうであるが、監視カメラの映像も全て偽装してしまう必要がある。

 

 自分達の姿を記録されるのは正に命取りだ。

 

 

「一度は皇帝になったから情が沸いたか? 野心の割には甘いな」

 

「今は達成人になったが、それでもギアスの暴走で取り返しの付かない過ちを起こした。そうなると、どうにも慎重になるんでな」

 

「達成人になってから暴走を引き起こした人間など、私は知らんぞ?」

 

「そもそも、そうなった人間がほとんどいないだろ?」

 

 

 実際、C.C.はギアスを与えた人間が達成人になる見込みが無かったからシャルル達の計画に乗り、計画の成就を待ってコードから解放されることを願っていたのだ。

 となれば、達成人自体がほとんど存在しないのである。C.C.の知識は必要かつ重要だが、それが全てとはならない。

 

 

「まあいい、さすがにクロヴィスの元へ辿り着いたら使わざるを得ないだろうしな」

 

 

 ハッキングを終え、扉を開いたルルーシュは、口元に笑みを浮かべながらそう言うと、ゆっくりを政庁内部へと足を踏み入れた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

『停電は住宅街を中心に起こっており、暴動にまでは至っておりませんが、混乱している住民が多く出て居ます。幸い、街灯や信号機などの非常用電力は稼働しており、事故などには繋がっておりません』

 

「分かった。君たちは引き続き、混乱の収拾に当たりたまえ」

 

 

 政庁の執務室において、現地の指揮を執っているヴィレッタ・ヌゥからの報告に、バトレーは額の汗を拭いつつそう告げる。

 政庁に押しかけた住民達はいまだに声を上げているが、さすがに武力で排除するわけにも行かず、純血派を中心に説得に当たっている状況。さすがに、その他の一般住民までパニックに陥っては収拾が付かなくなる。

 

 

「キューエルからの報告は?」

 

「正門前に押しかけた民衆は追い払ったそうですが、その際に怪我人を出してしまったらしく、抗議の声を上げている者達が多いようです」

 

「ふーん、またずいぶんと生意気な事をしてくれるね」

 

 

 純血派の指導者であるキューエル・ソレイシイは、普段は真面目で清廉な騎士であったが、皇族への忠誠からかこのような事態にあっては少々対応がキツくなる。

 クロヴィスもバトレーもそれを承知で鎮撫に当たらせたのだから仕方が無かったのだが、ある意味この場にあっては最も厄介な人物は仕方が無いとは取れなかったらしい。

 

 

「クロヴィス~。君って前から思っていたけど色々と甘いよ? イレブンに対してはルルーシュとナナリーの敵だからって余計なことをするけど、住民に対しては自由にさせすぎだよ。政庁に押しかけるなんて即座に射殺して然るべきだよ?」

 

「キングスレイ卿、それはいくら何でも乱暴が過ぎます。私はイレブンは憎いですが、ブリタニアの民を害することだけはしたくないんですよ」

 

「だから、それが甘いって言ってるんだけど?」

 

「キングスレイ卿は、他のラウンズの方々とは違うようですな」

 

「そりゃそうだよ。僕はKMFの腕前だけで成り上がったわけじゃ無いからね」

 

 

 そのやり取りに、顔をしかめながら嫌味を込めて口を開いたバトレーに対し、ヴィクトルは平然とやり返す。

 皇族の忠臣という意識の強いバトレーからしたら、ビスマルクのような優しさと規範意識の均衡が取れていたり、モニカのように「騎士として民や弱者を守る」という高い志を行動原理にしている彼等こそをラウンズと見ており、キューエルを盾にして驕り高ぶった行動を見せる純血派や民の事を鑑みないヴィクトルは侮蔑の対象となる。

 もっとも、ビスマルクやモニカからしてみたら、迫害を原因としてイレブンの反抗を生んでいるクロヴィスとバトレーの統治もまた、褒められたモノでは無かったのだが。

 

 

「キングスレイ卿、武力による鎮圧だけは私は承認致しませんぞ。仮に反逆として陛下に訴えられても、その進言だけは許可致しませんっ!!」

 

「あっそ。だったら、好きにすれば? 馬鹿馬鹿しいし、僕は休ませてもらうよ。テロリストにもまんまと逃げられて、良く偉そうに物が言えたもんだ」

 

 

 そんな調子のヴィクトルに対し、クロヴィスははっきりと怒気を露わにして抗弁するが、それはヴィクトルには何の感慨も与えなかったようである。

 元々、自分の失態を原因とした結果である以上、ヴィクトルの中傷にも反論できないのだが、それでもクロヴィスは皇族であり、総督である。

 

 ナイトオブラウンズであっても、命令されるいわれは無い。

 

 

「キングスレイ卿っ!! 無礼が過ぎまするぞっ!!」

 

 

 そして、当然のように怒りを露わにするバトレーと親衛隊達であったが、すぐにヴィクトルの背後から彼を守るように二人の男が進み出てくる。

 着任してすぐにバトレーをはじめとする親衛隊は彼等に叩き伏せられており、それがヴィクトルの増長にも繋がっているのだが、シンジュク事変にて親衛隊はほぼ壊滅してしまい、人数が減った今の状況では彼等に分は全くない。

 

 もっとも、その時はジェレミアとアーニャが駆け付けてきて、護衛を叩きのめしたのだが、生憎と二人はテロリストを追って出撃中である。

 

 

「…………殿下、もはや潮時ではございませんか?」

 

 

 そして、ヴィクトルが去ったのを見計らい、バトレーは深くため息を吐くとクロヴィスに対してそう口を開く。

 バトレー自身、クロヴィスの統治がもはやエリア11では通用しなくなってしまったことを実感していたのである。

 

 

「バトレー……。しかしね、私は」

 

「殿下のご兄弟を思うお気持ちはよく分かりまする。私とて、ルルーシュ様とナナリー様を害したイレブンどもには怒りも覚えますが、それでも、今の彼等は我が帝国の臣民なのです」

 

「…………私も、ヴィクトルのような男と変わらなくなっていると言うことかな?」

 

 

 肩を落としながら、バトレーの言にそう答えたクロヴィスは、ゆっくりと背後に飾ってある一枚の絵へと視線を向ける。

 

 幼き頃、仲良く過ごした兄妹とその美しい母親を描いた絵。

 政治家としての力量はともかくとして、芸術家としての力量は帝国でも大きく評価されているし、自身の才能にも自負はある。

 だが、幼い兄妹が敵国へと送られ、やがて起きた戦争に際して何も出来なかったという思いがあったからこそ、終戦後にこのエリアの統治を願い出た。

 彼等への哀悼を理由に、エリアに住む民には明確な格差を付け、厳しい統治を続けてきたのだが、それが間違っていたことに気付くには遅すぎたのである。

 

 

「ルルーシュ、ナナリー……。私は間違っていたのかな?」

 

「その通りですよ。兄上」

 

「えっ!?」

 

 

 そんなことを考えつつ、失われた兄妹に対して静かに語りかけたクロヴィスの言。それに答えたのは、バトレーでも親衛隊でも無い、若々しく凜とした声であった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 扇グループの奪還を果たしてシャーリー達は、ルルーシュ達よりも一足先にシンジュクゲットーにある彼等のアジトへと戻ってきていた。

 囚人服を脱ぎ捨て、解放されたことに喜びの声を上げる彼等を横目に、シャーリー、リヴァル、ミレイ。そして、咲世子は、いまだに戻ってこないルルーシュ達の到着を無言のまま待ち続けていた。

 

 

「ルル……」

 

 

 静かにそう呟いたシャーリーの声は震え、今にも泣き出しそうなほど。

 リヴァルもミレイもシャーリーと同様に何も言えずにただ戻ってくることだけを待っている。

 三人とも、カレン、玉城、井上以外には素顔を見せていないため、顔を隠すための仮面を付けているのでそれぞれがどのような表情をしているかは分からない。

 だが、お互い初めて戦場から戻った安堵は、ルルーシュ達が戻るまでは成されないのだ。

 

 

「君たち、改めてお礼を言いたい。助けてくれて、ありがとう」

 

 

 そんな三人の前に、カレンとともにリーダーである扇要が進み出て頭を下げる。

 捕らえられてからの一週間、ブリタニア軍の捕虜の扱いは噂に違わないモノであった様子で、顔のあちこちに痣が出来ている。

 

 そんな扇に対し、三人は無言で頭を下げる。

 その反応に扇は困惑するが、カレンがやや不機嫌そうになりながらフォローする。

 

 

「この人達のリーダーから、余計なことはしゃべるなと言われているそうですよ」

 

「どうしてだ?」

 

「色々あるんですよ。扇さん、リーダー達が戻ってくるまではそっとしておいてあげましょう?」

 

 

 カレン自身、シャーリー達の態度には不満もある。

 

 こちらは助けてもらったお礼がしたくて話しかけてるのに、会釈はしても話しすらしないのは無礼だと思っていた。

 

 だが、仮面の下の素顔はブリタニアの学生。

 玉城のような短絡さはなくとも、ブリタニア人に対する偏見は少なからず持っている人間ばかりである。

 実際、口を滑らせそうな玉城は井上がキツく見張っており、シャーリー達の身の安全のためにもルルーシュ達の到着までは正体は明かせなかった。

 もっとも、人の良いシャーリーやリヴァルは普段だったら、普通に会話をしてしまうところだったのだが、ルルーシュの身を按じる今の状況だからこそ、無言を貫くしか無かった。

 

 

 そんな時、闇の中を見つめていたミレイと咲世子がゆっくりと膝をつく。

 

 何事かと目を見開いた扇やカレンに対し、彼等が跪く方向へと視線を向けたシャーリーは、一目散に駆け寄っていく。

 そして、闇から抜け出すように、黒を基調とした装束と仮面を身につけた一人の男。その傍らには、同じく黒い衣服に身を包んだ独特の緑髪の少女と、なにやら大きな荷物を抱えた男が姿を現す。

 シャーリーは思わず男の名を叫びそうになりながらも掛けより、男に勢いよく抱きつく。

 筋力の無さから仮面の男――ルルーシュがかなり大げさによろけたのはご愛敬だが、それでも、再会を果たした両者の様子を茶化す者は居なかった。

 初めての戦いを終え、再会を喜び合う気持ちは誰もが理解できるのだ。

 

 

「君が、この方達のリーダーなのかっ!?」

 

 

 そんな様子を横目に、声を掛けてきた扇に対し、ルルーシュは静かに「そうだ」と応じる。

 無粋な行動にシャーリーが少し不機嫌になったことは仮面越しにも分かったが、それを無視してルルーシュは前に進み出る。

 そして、ゆっくりと仮面に手を掛けると、そこからはまだ幼さを残した少年の顔が現れる。

 

 

「ブリタニア人?」

 

「そうだ。私の名は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。かつてこの地に送り込まれ、死んだことにされた第11皇子だ」

 

「ちょ、ちょっと、ルルっ!?」

 

「言っちゃうのかっ!?」

 

 

 はっきりと自分の名を告げたルルーシュに対し、シャーリーとリヴァルが驚きの声を上げる。

 

 当然と言えば当然であり、救出された扇グループからも困惑の声が上がり始める。

 何しろ、これまで自分達を迫害してきたブリタニア人。それも、それを命じてきた皇族の名である。この場で撃ち殺されたりしても仕方が無い状況でもある。

 だが、そんな人間がなぜ自分達を助けたのか?と言う疑問も沸き始める。直情的なカレンや玉城が大人しく彼に従っていた事も扇達を冷静にしていた。

 

 

「そうだぜ。コイツはブリタニアの皇子様なんだとよっ!! だからよ、コイツを助けて、ブリタニアを倒せば俺達だって貴族様だぞっ!! な、そう言う事だよな?」

 

「そこまでは言っていないが、まあ、その通りだ。俺、いや私はブリタニアが憎い。正確には、ブリタニア皇帝とその周りを取り巻く皇族、貴族がな。だからというわけで無いが、君たちの力を借りたい」

 

 

 皆が困惑する中、玉城が笑顔かつ大声でそう言い放つが、やはり皆疑問がわいたままである。実際、ルルーシュは貴族にするなど、欠片も口にしてはいないが、それでもまともな生活の保証ぐらいはするつもりだった。

 玉城など、放って置いても自力で生きていくタイプでもあるが。

 

 

「ルルーシュと言ったかな? それを証明することは出来るのか? 見たところ君はまだ子どもだ。俺達を助けてくれたことには感謝するが、正直、子どもの革命ごっこに仲間の命を預けるわけには俺もいかないんだ」

 

 

 そして、扇はともに救出された南や吉田と顔を合わせ、改めてそう口を開く。玉城が何か言っているが、単純な彼のようには考えられないというのが本音でもある。

 実際、吉田は好意的に見ているが、南はどこかルルーシュの事が信用できずにいた。

 

 

「証明。と言うわけでは無いが、相応の手土産は用意してきた。ジェレミア」

 

「はっ!?」

 

 

 そして、傍らに立っていたジェレミアは、肩に担いだ袋を丁寧に降ろし、紐解きに掛かる。ただ、日本国内では、荒廃したこの地の領土を求めた彼の存在はそこそこ有名であり、メンバー達が口々に彼を糾弾するような言葉を口にする。

 

 

「ジェレミアって、日本に領土を持っている貴族だろっ!?」

 

「穏健派だって聞いたけど、実際にはどうなんだ?」

 

「どうせ、猫を被っているだけだろ? 貴族なんて、何されるか分かったもんじゃないぜ?」

 

 

 実際のところ、エリアに領土を得た貴族の大半は、総督以上に過酷な統治を領民に敷いており、虐殺や搾取などは当たり前というのがエリアに生きる大半の認識である。

 ジェレミア自身はそんな統治は欠片もしていないのだが、彼自身はそれを宣伝するつもりも無かったので、言われるがままに任せていた。

 

 今は自身の噂よりも、扇達を信用させる手土産こそが重要となるのだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

 そして、開かれた袋からは、気絶した一人の青年が顔を出す。

 それは、エリア11総督、クロヴィス・ラ・ブリタニアその人であった。

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