コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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第六話 弔鐘の時④

 日本解放戦線来たる。の報を自室で受けたドロテアは、それまでの自問自答の日々から殻を破るように立ち上がると、対策を練っていた事務次官以下、現トウキョウ租界首脳部の元へと向かう。

 

 すでにアーニャをはじめとする上級軍人達も集合しており、ドロテアは遅れたことを詫び、末席に着く。

 とは言え、すぐに他の者達は彼女を最上席へと誘った。

 現状、最高責任者のジェレミア、同格のモニカは不在であり、アーニャは元々政戦両面にはそれほど関与しない。

 実際、彼女は戦力として存在しているだけだと公言しており、皆が皆そのつもりで軍編成を行っている。

 そこに加えて、軍内部の実力者は純血派のキューエルと穏健派のヴィレッタだったが、キューエルはジェレミア等に同行しており、ヴィレッタはすでに租界内部の治安維持の為に出撃している。

 

 彼女曰く、「エルンスト卿が居るんだから問題無いだろう」との事だったため、文官や上級軍人達は彼女の登場に安堵したのだ。

 

 

「それで数は?」

 

「確認されて居りますのは、KMFが50機ほどとのこと。戦車をはじめとする戦闘車両も多数確認され、規模としては一旅団ほどにもなるかと」

 

「……ほぼ全軍で打って出てきたと言うことか。河口湖の一件で自暴自棄にでもなったか?」

 

 

 その報告に、ドロテアは色めき立つどころか、首を傾げる。

 

 彼女にとって片瀬帯刀という指導者のことはモニカなどから聞き知っては居たが、モニカのように利用できる部分を見出すことは無く、むしろ取るに足らない男という認識が強い。

 藤堂鏡四郎は手強い男とも思っていたが、『厳島の奇跡』に関しては、真相を知ればブリタニアが負けるべくして負けただけだと思っている。

 戦場における武勇は決して油断できぬ男だったが、指導者としての手強さはゼロ――ルルーシュの方が遙かに上では無いかとたった1回の戦闘でもそう認識していた。

 

 

(ルルーシュ……か)

 

 

 先日対峙し、自身に土を付けた死したるはずの皇子。

 

 先日は自分が勝ちを譲った形になったが、今回のホテルジャックに関しては彼が唯一の勝者となったのだ。

 事前に事態を読み切り、騎士団を河口湖に埋伏させておかねばあそこまで短時間で事を起こすのは不可能だろう。それだけの手際を見せたことになる。

 

 

「ヤツらも、随分手際が良いが、これもゼロの手管か?」

 

「ゼロが?」

 

 

 そこまで考えて、ドロテアは解放戦線の奇襲も含めて、ゼロと解放戦線の共同作戦を思考する。

 だが、考えて見ればゼロに何一つメリットは無く、むしろ自分の拠点たる首都圏を荒らされる結果にしかならないとも思える。

 

 

「有り得ない。ゼロが策を立てているのであれば、とっくに租界に突入されてる」

 

 

 アーニャの言に、ドロテアもまた肯く。一つの可能性として考慮はしたが、ルルーシュのやり口であれば、すでに租界の機能は停止しているだろう。

 クロヴィスの暗殺と扇グループの救出に租界内部の全体停電まで用いたのだ。後方攪乱は前提として行うはずである。

 だが、今はヴィレッタが収めているように、租界内部に大きな混乱は見られない。

 加えて、一介のレジスタンスでは無く、旧軍の流れを汲んだ組織が民間人を巻き込んだテロを起こした時点で解放戦線の威名は地に落ち、同時に草壁の暴走でブリタニア側の首脳陣も嫌疑を掛けられている状況。

 結果として、先日のゲットー救出に続き、ブリタニア民間人をも救出対象である事を内外に示し、解放の象徴としての地位を固めつつあるゼロは先ほどの言ったように一人勝ちできているのだ。

 今更、解放戦線に首都を攻撃させたところで意味は無い。

 

 

「ならば、命脈の絶えたテロリストの最後のあがきと言うことか。よかろう、事務次官、総督代行等の帰還までどれくらいだ?」

 

「はっ。すでに河口湖から離脱しておりますので、3時間もあれば」

 

「十分だ。迎撃は、私と麾下の近衛部隊で行う。アーニャや租界守備達はヴィレッタ達と連携して、租界内部の慰撫と専守防衛に専念せよ」

 

 

 厳島においては綿密な準備と計画を持って反撃してきた藤堂等にしてはお粗末に感じたドロテアだったが、最後のあがきと断じてしまえば答えは簡単に見えてくる。

 であれば、ジェレミア等が戻ってくるまで租界を守っていれば良いだけのことだった。

 周辺のゲットーにまでは手は回らないが、同じ日本人に手を出すようでは、もはやヤツらは救いようが無くなるだけなのだ。

 

 

「しかし、いくらなんでも危険では?」

 

「危険だろうな。だが、私の戦力はあくまでも予備兵力。租界守備隊が健在であれば、どのみちヤツらは手を出せん」

 

 

 だが、ドロテア直属だけで迎撃すると聞いては他の者達は顔を見合わせるしか無い。

 租界以外にも、首都圏各地の基地戦力は迎撃態勢を整えており、即応にも応じられる状況なのだ。

 だが、それをしてしまえば現地のレジスタンスが動き出し、背後を取られる危険がある。

 KMFは浸透していないが、日本に残された火器戦力は侮れぬモノが有り、KMF抜きでは基地占領や破壊などには十分な成果を許す可能性がある。

 レジスタンスは規模が小さく、地下に潜れるが故に破壊工作こそが本領なのだ。

 ならば負けない戦いをすれば良いとドロテアは考えていたが、他の者達の考えは違っているらしい。

 

 

「ドロテア。あんな馬鹿げた話を気にしているの?」

 

「……気にしていないと言えば嘘になるな」

 

 

 アーニャの問い掛けに、ドロテアは一瞬瞑目するが、即座にそれに答える。

 

 他の文官、武官達も、戦力的に優位な状況で彼女が無茶をしているように見えていたのだろう。

 ドロテア自身は寝耳に水の話であったが、当人の口から関与を否定したところで意味があるとも思えなかった。

 

 実際、ドロテアはブリタニア軍の蛮行に関しては否定的であり、直接批判や鎮定することもあったのだから、自分のそれまでの行動を全て否定されたようなモノとも言える。

 だが、人に植え付けられてしまった疑心暗鬼は戦場においては最も危険な要素となる。

 常に命の危機にさらされる以上、扇動や計略の類いは平時よりも有効に左右し、疑心暗鬼はそれのエサとしては最適なのだ。

 

 

「貴公等も、虐殺者が後ろに居てはやりにくかろう? ならば、私としては君たちに背中を預けるしかない。私におかしな動きがあれば、背中から撃って解放戦線への贄にすれば良い。そうしておいて、租界に籠もればジェレミア総督代行等が戻ってくれば勝てる」

 

「お待ちください、エルンスト卿。我々は貴女を疑っているわけでは」

 

「無い。と断言できるのか??」

 

 

 ドロテア自身、入室した時点で周りの者達の自分を恐れる視線に居心地の悪さを感じている。

 

 個人の武勇を恐れられるのは気にならないが、冤罪を原因として恐れられるのは彼女としても不快なのだ。

 その中でも、軍人の一人が彼女を弁護するように口を開くも、ドロテアの返答に言葉に詰まる。実際の所、信じたいが、信じても良いのかが判断付かぬ状況と言えよう。

 

 

「私は信じているし、貴女を疑う気は無い。でも、改めて聞く。ドロテア、貴女はあの虐殺には関与していない?」

 

 

 そんな中、表情を変えること無くアーニャがドロテアに対し口を開く。

 

 先日の一件で、彼女もまたルルーシュに通じていることがドロテアには分かっていた。そして、彼女の心情も理解できることも。

 だからこそ、本来敵対する立場の彼女が自分を信じようという言葉を口にすることに、ドロテアはなんとも言えぬ気分になる。

 だが、はっきりと言えることはある。

 

 

「当然だな。私だったら、いや、ジェレミア総督代行も、モニカいや、クルシェフスキー卿もそのような暴虐に関与する理由は無い。我らは軍人である前に騎士であり、降伏してブリタニアに組み込まれた以上は守るべき民だ」

 

「それなら、貴女は後ろめたい思いをすることはない。信じる以上、貴女の判断を支持する。みんなもそれで良い?」

 

 

 実際に関与は無いし、自由を奪って虐殺するような事は誇りが許さない。

 だからこそ、後ろめたさは無く、先頃のモニカ同様、彼女もまた堂々と戦場に赴けば良いのだ。

 

 そして、アーニャの言に、その場に詰めた者達も一様に肯く。

 皆、俗物ではあれど、ジェレミアが政務を任せただけのことはあり、根は善人かつ公平な者達であるのだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 租界外苑部から見下ろす解放戦線の規模は想定していたよりも大きくなっているように思える。

 

 ナリタの地下基地は信州にあると言う事は分かっていたが、そこまでの道中には、サイタマ、ソウマハラ等の規模の大きいゲットーやレジスタンス集団がおり、道中で彼等を引き入れてふくれあがってきたのだろう。

 とは言え、急遽集められた烏合の衆が戦力になるはずも無く、その数自体は威嚇以上の効果は無い。

 

 となれば、狙うは解放戦線の中枢。

 

 片瀬帯刀は元より、藤堂鏡四郎とその配下の四聖剣。彼等のみが標的となるのだ。

 

 

「皆、色々と迷惑を掛けた。私はこの先どうなるか分からんが、今は目の前の敵を討ち果たすっ!! 我は常に、諸子の先頭にありっ!! 続けっ!!」

 

 

『『『『『『『『『『『 イエス、マイ・ロードっ!! 』』』』』』』』』』』

 

 

 外苑部に立った部下の近衛騎士達。

 本来の主君は皇帝たるシャルルであったが、彼等にとってはドロテアのラウンズ任官がラウンズの再編成途上期であったことから、彼女とともに近衛として皇帝に仕えてきた身であり、事実上の主君という形である。

 ともに戦場を掛け、ともに武勲を上げてきた。そんな人物に突き付けられた冤罪ぐらいで揺らぐような関係では無い。

 そして、今もなお先頭に立って敵へと躍りかかるドロテアの姿に、後ろに続く彼等もまた獅子となって解放戦線へと躍りかかっていったのだった。

 

 

 

 

 戦闘の開始は、ドロテアの駆るグロースターの一撃から始まった。

 

 租界を外面に展開し、砲撃命令を待っていた戦車部隊に突撃した彼女は、一降りでそれらを叩き潰すと、駆け付けたKMFをあっという間になぎ倒す。

 前線で指揮を取る卜部は、その光景にこちらの策にはまろうという状況にもかかわらず、舌打ちするしか無い。

 

 

「7000人近く居て、ドロテア一人が標的か。とても釣り合わないな」

 

 

 貴重な戦車をはじめに叩き潰された事もそうだが、歩兵の重火器まで動員して彼女一人を狙う。一見無茶だが、それだけの名声と影響力を持った相手である。

 だが、卜部としては彼女が先陣を切って打って出てきた事自体は予想外であった。当初、積極案として立案した立場であるが、理想は全軍を持って打って出てくる事であり、直属のみで死にに来ると言うのは正直なところ最も考えたくなかったのだ。

 

 

「中佐、どうやら彼女は思った以上に信用があるみたいですぜ?」

 

『らしいな。こちらとしても手が無かったとは言え、代償は高く付いたな』

 

 

 彼女の後に続く10機前後のKMFも同じカラーリングがされており、ラウンズ直属部隊である事は理解できる。

 だが、他の部隊は租界の守備に回っており、外苑を越えて内部を攻めようとしても返り討ちに遭うのが関の山。

 そして、ドロテアが直属のみで討って出てくる以上、租界内部では彼女と対立した勢力は今のところ無いと言うことの証明とも言える。

 彼女を信用していなければ、督戦の為の部隊が随伴し、あわよくば謀殺も狙うだろうし、全軍で討って出てくれば、それだけ内部にレジスタンスを侵入させたりする隙が生まれる。

 

 一部の卓越した精鋭が死を覚悟して暴れ回り、守るべき都市は防衛に徹する形は、時間稼ぎとしては古代から存在する戦法だった。

 

 

『千葉と朝比奈は上手くやっている。こうなれば、それを成果にするしかあるまい』

 

「そうですね。にしても、こうもやることなすこと裏目に出るとはね」

 

『是非も無い。卜部、行ったぞっ!!』

 

 

 仙波の声に、彼が苦虫をかみつぶした表情を浮かべている様子がなんとなく見てとれた卜部もまた苦笑するが、そうしているうちに眼前のナイト様は猛然と卜部の部隊へと迫ってきていた。

 

 

『指揮官と見たっ!! 参るっ!!』

 

「おうっ!!」

 

 

 とは言え、卜部としても今は勝つことのみを考える。

 最低限の戦果を得るための布石は打っている。だが、目の前の大将首を落とせればその戦果は破格のモノになるのだ。

 

 鋭いランスの突きを跳躍でかわした卜部は、そのまま宙返りをするように機体を操り、ドロテア機に対して、廻転刃刀を振るう。

 近接戦闘を主体とする彼等にとって、無頼改に装備されたこれは念願のものであり、積み上げた鍛錬の成果を発揮できる装備でもある。

 

 だが、やはり相手は相手。

 

 そこいらのブリタニア騎士であればあっさりとたたきのめせて一撃も、ドロテアはランスの柄で卜部の斬撃をいなし、その勢いを利用して卜部と連携して突っ込んだ無頼をなぎ倒す。

 卜部もまた、正面から斬り伏せては跳躍やランドスピナーを駆使してドロテアを翻弄しようとするも、元々近接戦闘に主眼を置いたグロースターである。

 無頼改と言うよりも卜部のトリッキーな動きにしっかり対応し、攻撃を受けるどころか、連携して攻撃を仕掛ける友軍を次々に鎮められていく。

 

 

「さすがだな……。ここまでのヤツは滅多に見られない」

 

『ふん、余裕だな。貴様もやるでは無いか』

 

「どっちがだ?」

 

 

 周囲ではドロテア直属が彼女と同じように数機を相手取り、何機かは撃破されている。だが、一機に対する犠牲ははるかに多い。

 数の優位を持って敵と対峙することは当然だったが、それでも、それを許さないだけの実力差がこの場には確実に存在している。

 実際、すでに全身が汗まみれの卜部に対し、オープンチャンネルのドロテアは息すら乱れていない。

 

 

『貴様もまた、私と同様に迷いが見えるな。味方のテロはそれほど衝撃だったか?』

 

「当たり前だろう。俺達が何のために戦ってきたのか分からなくなるぐらいにはな」

 

 

 

 そう言って、卜部は再びグロースターに躍りかかる。

 刀ばかりでなく、砲も用いて攻撃するが、やはりドロテアには致命傷は与えられない。すでに味方機はほぼ落とされ、他の隊も彼女の部下に掛かりきりである。

 いっそのこと、自分達を犠牲に戦車や火砲でトドメを刺すかという事も考えた卜部だったが、その先に待っているのは自分達の屍と健在なドロテア隊という光景があっさりとよぎる。

 

 念には念をと言う片瀬の言が今となっては足枷になってしまうが、それでも交戦が始まった以上は対処のしようが無い。

 

 

「藤堂さん、よろしく頼むぜ……」

 

 

 立案した以上、戦力に関しても自分が責任を持つべきだったという後悔はあったが、信頼する上司が後方に居る以上は、彼に全てを託す。

 軍人として、日本人として、卜部は今は目の前の難敵と全力で対峙する以外には無かった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 一頭の獅子に多数の猟犬が噛みつき、さらには臆病な子犬までもが噛みつこうとしている。

 ドロテアとその直属達への攻撃は正にそんな光景であろうか。

 

 数少ないKMFは破壊されたとしても、脱出し、すぐに装備を調えて攻撃へと向かう。

 卜部はなんとかドロテアと対峙を続けているが、彼以外はその部下達に押し切られつつある状況。そんな状況を歩兵達ですらランチャーなどの重火器を持って支援し、時を稼ごうとしているのだ。

 

 

『藤堂……まだか』

 

「仙波大尉を、そして朝比奈と千葉を信じてください。閣下」

 

 

 戦場は小高い丘となっているこの場からは1キロ以上離れている。だが、ドロテア等の圧はその本陣にすらも差し迫ってくる。

 KMFに乗って戦況を見つめる自分がそうなのだから、戦闘車両に居る片瀬はさらに重く感じるのだろう。

 

 それだけ、ラウンズという存在は無言の脅威を自分達に与えてくる。

 

 だが、結果として一の策として、草壁等の暴走はジェレミア総督代行をはじめとする主力をトウキョウから引き離した。

 策としては割に合わない結果を草壁等は残して囚われの身になってしまったが、それを生かすも殺すも残された者次第と言える。

 とは言え、こちらとしても結果が伴わねば無謀にもトウキョウ租界へと特攻をかけただけの玉砕に過ぎなくなる。

 こちらの堂々とした進軍の結果、各地の基地は策を警戒して動かなくなっているが、それでも時が過ぎれば状況は変わるだろう。

 いや、すでにこちらに向かっているはずのジェレミアのことである。こちらの策がそんな広範囲に施されているはずが無いことにも気づき、各地に増援を呼びかけているはずだった。

 だからこそ、ドロテアは討って出てきたのだろう。

 

 草壁の暴走が結果として彼女に対する計略となり、そのまま彼女がトウキョウ租界に残れば守備隊は疑心暗鬼に駆られる。

 ジェレミアも立場としては同様であったが、彼は地位が地位であるため強権が発動できる。

 彼はいざとなれば汚名を覚悟で醜聞を押さえ込むことが可能であるが、ドロテアやモニカは地位も権限もあっても、あくまでも“騎士”と言う誇りを振る舞いにすら制約が課せられる地位にあるのだ。

 そして、こちらの無謀とも言える行動の標的は、そのドロテアただ一人。その首には一国に相当する価値があり、重傷を負わせたという情報が駆け巡っただけで、エリア各地のレジスタンスは沸き立ち、黒の騎士団を反動勢力の象徴へと押し上げるだけの効果があったのだ。

 第二の策としてのそれは、結果的にはもっとも困難な結果であろう。卜部も藤堂が認める知勇の士であるが、彼を持っても複数でドロテアに当たる以外に手は無い状況だった。

 

 だが、それだけの人物であれば、嫌が応にも注目は集まる。

 

 ジェレミアが、モニカが、そして、ドロテアが。指揮官として騎士としてブリタニアに名だたると言っても、三重にまで重ねられた策に気付くことは困難を極める。

 その第三の策が、第二の策に比べれば小さなものであっても、一つの計略が突き刺さった彼等には大きな意味を持つのである。

 そんなことを考えていたその時、無線封鎖状態にあった別働隊より藤堂の元へと秘密反応が届く。

 

 

『藤堂さんっ!! こちらは成功しましたっ!! 早く、片瀬少将達をっ!!』

 

「うむっ!! 仙波っ、策は成った。これより、作戦は最終段階へと移行する』

 

『承知っ!!』

 

 

 上ずった声で藤堂の元に届けられた朝比奈の声に、藤堂は口元に笑みを浮かべて肯くと、卜部の粘闘を悔しげに見据えていた仙波に対し、次なる策を実行するよう伝えると、自身もまた部隊を率いて無頼改を走らせる。

 

 

 

 少数の軍人達による暴走に端を発した一つの戦い。一つの組織を崩壊に導こうとしていた戦いはようやく終結を見ようしている。

 そこに捧げられる戦士達の流血を求めて。




投稿時間が安定せず申し訳ありません。
あと、一話に対する文字数量や展開進度はどうでしょうか? 文字数の割に中々話が進まないようにも思えているのでこのぐらいで良いのかという思いもあります。

感想などはいくらでもありがたいので、キツい御指摘なども含めて遠慮無くいただけるとありがたいです。
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