コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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第八話 嘘つき達の宴①

 撤退した日本解放戦線は奪還した政治犯ともども各地に潜伏してしまっていた。

 ゲットーの復興を名目としたインフラ整備が裏目に出た形になったが、ジェレミアとしては狙い通りと言うべきであろうか。

 ルルーシュにとって因縁の地となったナリタ連山には藤堂一派が逃げ込んでいたが、彼等もまもなくキョウトに合流するべくその地を後にしている。

 残存施設はレジスタンスや難民となった日本人が逃げ込むぐらいだろう。

 逃亡した片瀬等は租界近郊に潜伏していると言うが、キョウトが位置を把握次第対処するという密約は出来ている。

 

 

『代行閣下、ヤツらを取り逃がしたこと、誠に申し訳ありませんでした』

 

「構わん。イレブンどもが必死に妨害してきたのだ。それも詮無き事。部隊をまとめて帰投せよ」

 

『はっ』

 

 

 追撃の指揮を任せていたキューエルの憮然とした顔が画面に映る。

 はっきりと反発するわけでは無いが、ジェレミアの民間人を巻き込むことはキツく禁じており、結果として藤堂達を取り逃がす事になったのだから当然であろうか。

 キューエルからしたら、主要国道の整備など、逃走を助けるような措置を取っていたジェレミアへの不満は隠す気にならないだろう。

 

 

「それにしても、激動の日々でしたね」

 

「うむ……。貴公等のおかげで何とか乗り切ることが出来た。改めて礼を言う」

 

「知らぬ所で、誇りを失ったがな」

 

 

 コンベンションセンターホテルジャックに端を発した一連の騒動。

 

 元を正せば解放戦線が休暇中のビスマルク達を襲撃したことから続いていたことだったが、解放戦線は完全に分裂したとは言え、こちらの被害も決して小さくは無い。

 『疑心暗鬼』と言う大きな傷をしっかりを負わされてしまったのだから当然と言えば当然だろう。

 ノベヤマゲットーで黒の騎士団に壊滅させられた部隊は純血派の一派であり、それを見殺しにする形になったあげく、総督代行とラウンズが二名直々に出撃して無様に敗北して帰ってきたのだ。

 そして、ホテルジャックにしても、総督府単独では無く、黒の騎士団と合同で鎮圧するという屈辱。それも、無実の汚名を背負わされるオマケ付きである。

 

 ドロテアで無くとも愚痴りたくもなる。

 

 

「しかし、あの状況で良く犠牲者が出なかったものだ」

 

「してやられただけだ。部下達が助かってくれて良かったが……。ただ、チョウフや各収容所の被害がひどいそうじゃないか?」

 

 

 ゲットー周辺での戦いでは、ドロテアが藤堂等の策によって窮地に陥るも、彼女は無事であり、部下達が数名重傷と言う結果である。

 

 当初租界周辺に展開していた歩兵や戦車部隊は、ドロテア達とKMF部隊が戦闘を開始すると、少しずつチョウフをはじめとする収容所へと向かっていたのである。

 KMFを犠牲にしてでも、ドロテア一人と政治犯の解放を狙ってきた。

 結果、解放戦線はナリタという拠点を失い、野に下ることになったが、これは元々ゼロから要求されていた事であり、状況的には痛み分けと言えるだろう。

 

 

「草壁の告発に触発されたのか、報復として行われたそうだ。降伏勧告も無しの投降では、相手に受け入れる義務は無いがな」

 

 

 チョウフや各収容所の守備隊はほとんど壊滅し、生き残った者達も全て処断されてしまっている。

 基地や施設に勤める民間人にまで被害は及んでおり、解放戦線側の若い指揮官からすれば7年前の報復という事であろうか。

 ジェレミアとすれば、事に及んだ人物はかつて“ゼロ”の嚮団虐殺を批判していた立場であった事を知っているため少し腹立たしかったが、それ以上に解放戦線に対する怒りはブリタニア民間人の方が大きい。

 草壁の告発は一方的にジェレミア等を非難することであったが、モニカもドロテアも行動で範を示し、さらには告発した解放戦線も同じ事をやっているではないかと言う空気がブリタニア側には根強いのだ。

 

 元々、ルルーシュが藤堂等解放戦線出身者の受け入れに逡巡していたのは、彼等の内なる暴走を懸念していたのだろう。

 藤堂自身も身内に甘いところがあり、この辺りは扇達と馬が合ったと言えるのだろうが。ルルーシュとしても自分に対して必要以上に反発してきたメンバーのことをいつまでも受け入れる事は出来なかったとも言えるが。

 

 

「日本軍の質も落ちましたね。かつては雄敵と呼んでもおかしくありませんでしたが」

 

 

 公方院をはじめとする上級軍人との交流があったモニカからすれば、今の解放戦線の体たらくは物足りなくも思えるのだろう。

 公方院等が彼女を恐れるのは、表面上はそう取り繕いながら、陸軍上層部を徹底的に一掃したことにあったのだが、それでも残虐なやり口は彼女の思うところでは無かったのだから、人の気持ちというモノは難しい。

 

 

「彼等が聞いたらさらに怒りを覚えそうな言い草だな」

 

「やってもいないことで怒られても知りませんとしか言えませんね」

 

 

 陸海の軍人達の“処刑”はあくまでも上層部の判断かつ暴走であり、公職追放も含めて軍の解体を立案したモニカとしてみれば良い迷惑でしか無い。

 

 “弔鐘の森”に関しては知りもしなかったが、東京湾での日本海軍艦艇のなぶり殺しなどは見ているこちらとしても不快でしかなく、さらに海軍の上級軍人達が閉じ込められていた事実を後で聞いたときには怒りもしたものである。

 『過去』を知るジェレミアとしても、弔鐘の森は初耳であったが、当時の彼はなぶり殺しにされる軍艦・軍人達の姿を見て溜飲を下げていた覚えがあったため、その事を余計に恥じてもいた。

 

 

「ジェレミア、貴様も同罪と言うのがイレブンの判断だぞ? 加えて、本国のブタどももな」

 

「ヴァルトシュタイン卿も私たちを信じているとのことですが、暗躍する者達を抑えられるかは疑問だそうです。何より、皇族達の動向が掴めないと」

 

 

 ビスマルクからしてみれば、同僚のドロテアやモニカがそのような虐殺の主犯だとすれば、彼女等を騎士に選んだ皇帝の権威を揺るがす事にも成るため彼女等を疑う理由は無い。

 加えて、皇族、特に日本侵攻の指揮を執ったオデュッセウス、シュナイゼル、ギネヴィアからしてみれば、下手に騒ぎ立てれば自分達にも咎が及ぶ事であるため沈黙するしか無いだろう。

 彼女等を貶めようと暗躍する貴族達としても、そうすることで皇族に恩を売れるため彼等を攻撃する意図は無いし、そもそも三人は堕ちた貴族達如きに屈するような無能でも凡骨でも無い。

 シュナイゼルは知ってのとおり、現宰相として辣腕を振るう逸材であるが、オデュッセウスにしてもギネヴィアにしても、それぞれ得意分野で優れた政治手腕を見せ、何より「シュナイゼル相手に皇位争いが出来る」ぐらいには力も能力もあるのである。

 むしろ、人の良い凡人や権威主義の女狐と良いように言われていながらも人を集める二人は味方によってはシュナイゼルより組しがたい面もある。

 

 ルルーシュが登極する際にさっさとギアスで支配してしまったのはこう言った側面もあるのだ。

 

 

 オデュッセウス辺りは、胸の内を話せば理解してくれ「そう」であるから余計に。

 そのため、いまも三人はそのような無害な表情をしながら、ドロテアやモニカは元より、ジェレミアも失脚する状況になるように動いているだろう。

 そして、いざそういう状況になったら、きれい事を言って凡俗を装うのである。

 

 

「……それでジェレミア、いつまでモニカに黙っておくつもりだ?」

 

「何がだ?」

 

「“ゼロ”ですね? ドロテア」

 

 

 そんなことを考えていたジェレミアに対し、ドロテアが鋭い視線を彼に向ける。

 思わぬ攻撃にジェレミアはとぼけるしか無かったが、ブリタニア切っての策士にそのようなごまかしは通じなかったらしい。

 ドロテア自身、自身の記憶や死したる皇子と皇女の事実を知り、当惑していたと言う事情がある。

 モニカからしてみれば、彼女がそうなった理由を探らないわけにもいかず、当然辿り着くのは彼女が“そうなる”前に戦った相手。

 加えて、彼女の手の者達からの報告によれば、とある事件後に日本を出国してオーストラリアに亡命した一人の男の存在もある。

 “ゼロ”が彼の者を助命する理由は無く、あるとすれば個人的な事情。それも、“情”と言うものが背景にあると考えられた。

 

 

「ゼロがどうかしたのか?」

 

「嘘が上手くなりましたね。いえ、昔から忠義を口にするとき以外は冷静でしたか」

 

「私にとっては、忠義こそが生きる意味だからな」

 

「それで、貴方がその忠義を向ける相手は誰なのですか? 皇帝陛下とは思えませぬが?」

 

 

 そう言って笑みを浮かべて問い掛けてくるモニカに対し、ジェレミアは言葉少なく答えるしかない。

 

 ドロテアもまた助け船を出す気は無く、そっぽを向いたままである。

 

 彼女としてはジェレミアの言葉の意図に気付いているのだ。自分が自分を信じられぬきっかけになった言葉を意図的に発していることに。

 

 

「無論、私の忠義はただお一人に捧げられている。かつて、それを果たすことなく、無念の日々を生きた以上、それだけは譲れぬ」

 

「ふふ、ナイトオブラウンズを前にして、皇帝陛下への忠義よりも重んじる相手がいらっしゃると? 草壁の告発にも意味はあったのでありませんか?」

 

 

 モニカ自身、自分の言は一般論に過ぎないことは理解している。

 

 例えば、総督としてこちらへと赴任してくるコーネリアの騎士、ギルバート・G・P・ギルフォード等はブリタニアを代表する武人であり、ジェレミアと同様にナイトオブラウンズに伍する実力者であるが、その忠義は皇帝では無くコーネリアに向いていると言うのは誰もが知ること。

 さらに、ユーロ・ブリタニアを代表する騎士であるミケーレ・マンフレディやアンドレア・ファルネーゼ等の忠誠もまた、事実上の君主であるヴィランス大公に向けられている。

 彼等は騎士である以上、己が命を掛けることに値する人間に対し忠誠を誓うことで自身の在り方を決するのである。

 そもそも、皇帝への忠義を至上の価値とするならば、騎士制度そのものが矛盾するのだ。

 

 

「告発に則って私を排除するというかね?」

 

「どうなのでしょうか。貴方が忠誠を誓う御方を知ってからでも遅くは無さそうですが」

 

「私が主君を売るとでも思うのかね? 君が同じ立場になったとして、それを成せるかね?」

 

「愚問ですね。私の忠誠は常に皇帝陛下の元にあります。だからこそ、あのような主命を負ってでもそれがブリタニアの為に……っ!?」

 

 

 

 お互い旧知の戦友であるからこそ、隠し立てが無駄なことは分かっている。

 だからこそ、ジェレミアはあからさまなごまかしをし、モニカはそれを丁寧に問い詰めていたのである。

 腹の探り合いであったが、それでも彼女の脳裏に刻みつけられたそれを思い起こさせた時点でジェレミアに軍配が上がったと言えようか。

 

 しかし。

 

 

「いかがした? ブリタニアの為になるのならば、如何なる汚名も負うというのであろう? 皇帝陛下の恩為に」

 

「…………なるほど、貴方は知っていたのですね」

 

「おい、顔色がひどいぞ?? 一端落ち着いたらどうだ?」

 

 

 ドロテアが見せたような記憶と意識の混濁を見せると思われたモニカだったが、明らかに不調を見せつつも不敵にジェレミアを見つめてくる。

 その事に、ジェレミア以上にドロテアが困惑し、場を収めようとモニカに寄り添うが、モニカは顔を青ざめさせながらも、ドロテアの手を包むようにして払い、ジェレミアに視線を戻す。

 

 

「貴公、もしや……」

 

 

 その様子にドロテアが驚きとともに声を漏らすと、ジェレミアも何も言えず、目を見開くしか無かった。

 

 

「私の中に、別の記憶、別の人生がある事……。貴方方はそれを知っていると言う事ですね?」

 

「それは、しかし……」

 

「……私の忠義はシャルル・ジ・ブリタニア個人では無く、ブリタニア皇帝、そして神聖ブリタニア帝国そのものに向けられている。それだけですよ」

 

 

 苦しげな表情のままそう告げたモニカに、ジェレミアもドロテアも二の句を告げなかった。

 

 ジェレミアが調べ上げた情報に寄れば、主義者の首魁として生きて来た彼女の両親をはじめとする一族は全て記憶を操作され、元々忠誠を誓ったヴィランス大公を裏切り、民を重んじる彼等の心情を嘲笑うかのように侵略に荷担している。

 

 だが、それを彼女は受け入れ、祖国のために尽くしてきたというのだろうか?

 

 彼女のこれまでの振る舞いを考えれば、それを受け入れる事など出来はしないと言うのがジェレミアの考えであり、ドロテアとしては、彼女自身は偽りの記憶と偽りの忠義によって操られた憤りが強い。

 

 

「ドロテア。あれだけ忠義者として有名だった貴方の眼に映る怒り。それは相応の仕打ちがあったのでしょう。ですが、私には、家族も守るべき民もあるのですよ……」

 

「だが、その家族はっ!!」

 

「ドロテア。貴公の家族、一族、そして故郷は灰になった。これは事実だ。だが、モニカは異なる」

 

 

 モニカとしては、一時の気落ちを見るにドロテアが経験したであろう衝撃を察するところがあり、彼女が背信するならばそれだけの理由があると言うのは理解できた。

 

 実際、今、ジェレミアが語るようにドロテアの親族と故郷は『血の紋章事件』によって焼き尽くされ、皆殺しにされている。

 さらに言うなら、ドロテアの両親に関しては全くの無実であり、所謂「三族滅族」に該当したのである。

 ドロテアがここまで生きながらえて来たのは、真にドロテアの才能をマリアンヌが惜しんだからであり、シャルル自身は何の感慨も無く、故にドロテアにもシャルルに忠誠を誓い続ける理由は“騎士である”と言う一点のみでしか無い。

 “騎士である”からこそ、ドロテアはブリタニアの為に解放戦線と戦ったのである。

 

 だが、モニカの場合は家族は健在であり、思想を取り替えられた上で今もなお領土を持ち、ユーロブリタニアの反発や恨みを買いながらも双方を取り持つべく尽力している。

 当人達が意図していない裏切りと思想信条の植え付け。これらの背景があり、モニカの優れた頭脳はその矛盾をあっさりと見抜いてしまったが、ギアスという抗い難い力による記憶の植え付けは彼女の行動を縛り続ける。

 だからこそ、彼女はギアスの通り、ブリタニアに忠誠を誓うことで自身の行動に自由を与えてきたのだ。

 

 

「貴様には、まだ帰れるところがあると言う事か」

 

「ドロテア……」

 

「責めているわけでは無い。それで、どうするつもりだ? 私やジェレミアを斬るか? 言っておくが、私は裏切りの発覚で自裁するほど物わかりは良くないぞ?」

 

 

 そんな背景を知り、ドロテア自身はモニカになんとも言い難い感情を抱く。自分のように、エルンスト家を守るべきなのか分からなくなってしまった者と異なり、モニカにとってのクルシェフスキー家は変わらぬ実家であり、帰るところ。

 それに対する羨望は当然あるが、幼き頃に刻みつけられた恨みを消すこともドロテアには出来ず、結果としてゼロ――ルルーシュとジェレミアの意図に乗る形になってしまっている。

 

 だからこそ、仮にモニカが自分達を捕らえるか、討ち果たそうとしても全力で返り討ちにする覚悟はしていた。

 

 

 

「まさか。そうするつもりであれば、とうの昔に貴方たちは獄に繋がれておりますよ」

 

 

 だが、青ざめた顔のまま、モニカは先ほどとか異なる柔らかな笑みを浮かべて二人にそう告げる。

 それに、思わず身震いした両者であったが、モニカが何の用意も無く、二人に武力行使を選ばせるような行動を取るはずも無いのだと今更ながらに思う。

 同時に、モニカ自身も忠義の在り方に迷いがあるのではないかと言う気持ちを察するところでもあった。

 

 

 

「だからこそ、お教えください。いえ、答えてくださいジェレミア卿。貴方が忠誠を誓うお相手、それはル」

 

 

 

 そして、表情を引き締めてモニカがジェレミアに対して、彼女の頭脳を持って辿り着いた彼の主君の名。それを告げようとしたまさにその時。

 

 

 

 ……無言のまま時が停止していた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 静寂に包まれた王宮の一画。

 そこに佇む二人の男。

 見た目だけなら親子ほどの年の差を感じさせる両者であったが、時事としては息子に見える男の方が年長者であり、本来親に見える男を越える権力者などが存在しないはずのこの国において、彼を動かすことが出来る唯一とも言える人間である。

 

 

「自慢の騎士達が面倒なことになったねシャルル」

 

「そうですな」

 

 

 突然の状況を楽しむかのように笑みを浮かべるV.V.に対し、シャルルは口数少なく答える。

 彼としては一向に進まぬ思考エレベーターの解決とV.V.の嘘に苛立つ事が多くなっており、それを隠すことに苦労が多くなっている。

 嘘を嫌うにもかかわらず、兄は平気で嘘を付き弟を欺こうとし、弟は自分の感情に嘘を付いて兄を責め立てない。

 

 こう言った矛盾した関係が二人の元には常に存在していたのだが、それを否定したところで他者からしてみたら「人間なんてそんなモノ」と言われて終わりであるのだが。

 

 

 

「滑稽だよね。二人にどれだけ助けられたかなんて忘れて、『ブリタニアの恥』だの、『皇帝陛下の騎士に相応しくない』だの」

 

「私といたしましては、あのような俗物達の声も無視は出来ませぬ」

 

 

 そして、当面の騒ぎなどV.V.にとっては笑い話であり、その滑稽さを鼻で笑っているが、シャルルの立場としては騎士を守るべき所であっても、国家を形だけでも支える貴族達を無視することは出来なかった。

 もちろん、強権を発して押し切ることは可能だったが、今では権限を委任しているシュナイゼルやオデュッセウスがわざわざそんな面倒ごとを受け入れるとは思っていなかった。

 シャルル自身、アーカーシャの剣に掛かりきりで彼等に国政を委ねている以上は、勝手をする気にもならなかった。

 

 

 

「ふーん。それじゃあどうするの? 二人を生け贄にして、イレブンに詫びる?」

 

「ご冗談を。あのような軟弱者どもに」

 

 

 

 V.V.の試すような物言いに、初めてシャルルが感情的に返答する。

 

 計画のために侵略を行い、弱肉強食を掲げて差別を煽ってきたシャルルだったが、それは計画のため以前に、シャルルの本質にもある。

 彼は異常とも言えるほどの家族愛を持つが、同時にそれは他人に対する冷淡さにも繋がる。

 弱肉強食を掲げ、時としてブリタニア人にも牙をむく彼の獰猛さは、当然外国に対しては情け容赦ないモノになり、同時に彼の中で侮蔑や差別にも繋がるのだ。

 そして、同時にそれに同調して彼等を非難するブリタニア人にも苛立ちが募っていた。

 敗戦国の軍人を殺したからなんだというのだ? 彼等の恨みなどCの世界で好きなだけ聞いてやる。むしろ、将来の敵を叩き潰した賞賛に値する行為では無いか。

 

 そんな感情がシャルルの奥底には渦巻いてもいた。

 

 

 

「ふーん。それじゃあさシャルル、社会的に死んでもらえば良いんじゃ無い?」

 

「…………嚮団で引き取ると言うことですかな?」

 

「そ。アレだけの実力者だし、モニカなんかどんな脳みそしているのか興味があるんだよね」

 

 

 

 あっさりとそう言い放つV.V.の言に、シャルルは感心するような表情を見せつつ、内心では侮蔑していた。

 弟である自分の約束をあっさりと裏切った根底には、他者を自分の玩具としか思っていない残酷な面があるからだと言うことをシャルルは察している。

 実際、V.V.自身は子どものまま大人になり、そしてシャルルと同様に老境に差し掛かっているだけの年月を生きている。

 

 人間、年齢を重ねるごとにエゴも大きくなると言うが、彼はまさにそれであった。

 

 

 

「面白いギアスも出てきたしね。ふふふ、ラウンズが3人、いや候補も入れれば4人か。彼等相手にどれだけ通用するか。楽しみだよ」

 

 

 

 そして、シャルルの肯定も待たず満足げに肯くV.V.に、シャルルは半ば呆れつつもそれに肯いた。

 

 

 どちらにせよ、彼としては興味に値しないことであるのだった。




更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

また、主人公達が全然出て来ないことも重ねてお詫び申し上げます。モニカやドロテアにも視点を当てようとすると、ルルーシュよりジェレミアを動かした方が書きやすいという面があります。


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