コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

40 / 103
お気に入り1000に到達しました。皆様、本当にありがとうございます。


第十話 嘘つき達の宴③

 一連の騒動は、ジェレミア、ドロテア、モニカの3人が総督室に軟禁される形で決着となった。

 

 隣室では事務次官やスザク、ロイド等を伴ったユーフェミアがヴィクトルに対して抗議を続けているが、どちらも法的根拠よりも感情と都合を優先しているため話は平行線のままである。

 部屋の外では近衛騎士と純血派が睨み合うように並んで入口を見張る形になっていることもあり、事の次第では政庁内部が再び血に染まることにもなりかねない。

 そして、今、室内にいる少年を中心とした嚮団員達の存在がジェレミア等を無言にさせている。

 

 事のはじまりにおいて、団員の中心にいる少年がモニカの言を阻むようにギアスを使役し、動作を停止させた。

 それに気付いたジェレミアもまた、キャンセラーを発動してそれを解除するが、すでにモニカの懐に入り込んでいた彼によって、彼女は射殺される寸前であった。

 即座に侵入者に気付いたモニカが身体を翻し、ドロテアが彼を制圧したことで大事には至らなかったが、すぐに入り込んできた別の者。

 それも、肉体強化や精神攻撃を行うギアスユーザーであったのだが、キャンセラーとラウンズの武勇を持って撃退して何とか事なきを得ていた。

 

 だが、現れたヴィクトルはすでに純血派に通じていたらしく、近衛騎士達や穏健派を巻き込んで政庁内部で激しい肉弾戦が始まってしまい、最終的にはKMFまで持ち出す騒ぎに発展してしまった。

 運良くと言うべきか、ユーフェミアは特派のトレイラーへ赴いていたため、騒ぎに気付いたときにはスザクとともに、激突するジェレミア達と純血派に割って入り、騒動を収める形になっていた。

 正式就任も果たされていない一皇族であったが、皇帝の騎士たるラウンズも、ブリタニア至上主義者の純血派も彼女の命に背くことは出来ずに戦闘は停止。

 ヴィクトルと嚮団員達だけがごねる形になったが、彼等としても双方から砲を向けられては黙るしか無かった。

 そして、ヴィクトルはコーネリアに泣きつく形になったが、彼女が妹の行動を否定するはずも無く、そもそもヴィクトルのような騎士とも言えぬ得体の知れぬ男の言を受け入れるわけも無い。

 今までシャルルの権力を背景に威丈高に振る舞ってきた彼だったが、クロヴィスとは違い、軍事力という明確な後ろ盾があるコーネリアを御すことは不可能だと言うことに今更気付いたのだろう。

 

 切り札と思っていたギアスユーザー―ロロもジェレミアのキャンセラーで無力化された事が彼にとっては誤算であったに違いない。

 だからこそ、明日には到着予定のコーネリアを待たずに自分達をどう処分するか。それが今のヴィクトルの脳内を支配しているのだろう。

 ユーフェミアは盛んに正式な裁判を受けさせるべきとか、コーネリア総督の着任を待つべき等と、ある意味では処分に大義名分を与える言動をしながら彼を詰問している様子だが。

 

 

「それで小僧。貴様等はいったい何だ?」

 

 

 そんな沈黙に耐えられなくなったのか、ドロテアが鋭い視線でロロをにらみ付ける。

 一瞬、その眼光に眼を見開いたロロだったが、その後は無言で彼女の言には答えない。

 

 

 

「黙りか。ではジェレミア、答えろ」

 

「以前、話しただろう?」

 

「す・べ・て、話せ。私の部下をコイツらは殺しているんだ。私には知る権利がある」

 

 

 

 逃走と交戦の最中であったが、ロロの体感時間停止のギアスを受けて殺害されてしまった近衛騎士達が何人か出て居たのだ。

 

 特に、ドロテアとともに解放戦線を退け、死地から生還した喜びも一入という所にである。

 ドロテアとしてみれば、ギアスによって記憶を奪われ、覚え無き冤罪を背負わされ、部下まで奪われた形になる。

 武勇という点ではこの場においては一人図抜けている彼女からしてみれば、問答無用で命を奪いに行かない今の状況はかなり譲歩しているつもりであろう。

 

 

 

「罪人がそれを知る必要は無いよ? エルンスト卿。いや、もうエルンストですらなく、ただの反逆者の身内か」

 

「キングスレイ卿、言葉が過ぎますよっ!! 少し、黙っていなさいっ」

 

「今の君はただの皇族であって、僕に命令できる権限は無いんだけど……。まあいい、好きにすれば?」

 

「貴様。私達だけでなく、皇女殿下にまでっ!!」

 

「落ち着きなさい。こんな男に何を言っても無駄ですよ。……殿下、お騒がせいたしました」

 

 

 

 一触即発の空気になりかけた総督室にヴィクトルを先頭にユーフェミアと護衛を兼ねてか枢木スザクが入室してくる。

 とはいえ、ヴィクトルの態度は相変わらずで、普段は温厚なユーフェミアですら、はっきりと青筋を浮かばせながら声を荒げている。

 

 

「そうですわね。今、お姉様とも相談いたしましたが、お三方は一端租界より出ていただき、郊外にあるタチカワ基地への移送と言うことになりました。言い分はあると思いますが、何とぞ、お聞き入れください」

 

「イエス・ユア・ハイネス」

 

 

 三人としては、この場における皇族の命に背くつもりは無い。

 

 そもそも、純血派が排除に動いてきたのは、過去の虐殺行為に加えて、日本解放戦線及び黒の騎士団への内通疑惑も突き付けられていたためである。

 それで総督やナイトオブラウンズに手を出すことなど言語道断であったが、それも同じラウンズかつ“皇帝より密命”を受けているというヴィクトルがいれば大義名分を得ることになるという理屈である。

 今回の場合は、コーネリアが宰相のシュナイゼルやオデュッセウス。

 さらには、シャルルにまで抗議しているため、上層部も安易な決定をしていない。 

 普段であればヴィクトルのこう言った暴走で多くの粛清が肯定されてしまっている。

 シュナイゼルやオデュッセウスの後ろ盾の貴族達も、政敵の排除などにヴィクトルを利用してきたとはいえ、明確に抗議の声を上げるコーネリアまでは敵に回せない状況でもある。

 ブリタニア随一の精鋭を引き連れて各地のエリアを制圧している功績はコーネリアが飛び抜けており、皇帝への野心を今ひとつ計りきれない彼女を敵に回すことは得策では無いのだ。

 

 その辺りの暗闘を嫌うヴィクトルからしてみれば馬鹿馬鹿しくも思えたのだが、彼自身思い通りにならない皇族達は疎ましく思う一方、排除することも出来ずにもどかしい思いを抱えていた。

 今回のユーフェミアにしても、嚮団や純血派の武力を背景に押し切るつもりだったのだが、意外と頑固であり、正当性を重視する彼女の意思を押しきることは出来ず、最終的にはコーネリアを呼び出してしまったのである。

 とは言え、租界から出してしまえば料理のしようはあると言うのがヴィクトルの判断であり、ジェレミア等も租界を巻き込むぐらいであれば、外部の基地で決着を付けることの方が容易いという思いはあった。

 そして、ユーフェミアとスザク以外の全員が、租界から出れば再び戦闘が再開されると言うことを認識していたのである。

 

 

 

「それと、三名の移送は、ラウンズ直属の近衛騎士達と純血派を除いた兵員に担当させます。異論は許しません」

 

 

 

 しかし、そんな認識は思いがけない一言で覆される。

 

 ユーフェミア自身、双方の共通認識は理解していなくとも、純血派やヴィクトル一派の事を信用していなかったのだ。

 

 

 

「ユーフェミア皇女、そこまでの権限は君には無いと言ったはずだけど?」

 

「正式な任命状も持っていない貴方にもそんな権限は無いはずです。そして、ジェレミア総督代行及びナイトオブフォー、ナイトオブトゥエルブに内通の疑いがある以上、皇族である私がこの場における最高責任者ですっ!!」

 

「だから、僕もナイトオブラウンズなんだけど?」

 

 

 ユーフェミアの思いがけない言動に、明らかに慌て始めるヴィクトルの様子に、ドロテアはおろか、ジェレミアやモニカも嘲笑を浮かべてしまう。

 実際のところ、正式な任命も無くサーティーン等と言う呪われた席次を名乗り、皇帝権限を背景に横暴を為す男に心から従う者などはなく、皆が皆、「勅命」という背景によって彼にしたがっているだけである。

 

 だが、この場においては、ユーフェミアはそのような勅命などは受けて居らず、総督の裁可を持って正式に発効される副総督への任命状があるだけである。

 当然、皇帝命令を却下する総督など暗黙のままに存在しない以上、彼女が最高責任者となる事は揺るぎようがない。

 

 

 

「ナイトオブラウンズならば、このような極東の地で遊んでいないで、皇帝陛下の守護を務めなさいっ!! 正式任命はまだでも、私には皇帝陛下による副総督への任命状があります。異論は許しませんっ!!」

 

「っ!?」

 

 

 

 言外に文句があるなら皇帝に泣きついてこいと言われてしまったヴィクトルは、彼としては初めてと言える思い通りにならない事態に身体を震わせる。

 実際、シャルルの権力を背景に貴族をはじめとする多くの者達を跪かせてきた彼にとって、姪とはいえ、いまだ十六にもならない小娘に言い負かされると言う事実は経験したことがない衝撃であった。

 

 

 

「はーい、それじゃあ、近衛騎士のみんな~、上司をとっとと助けちゃってね~」

 

「ロイドっ!?」

 

「何ですか~? 副総督……ではなく、皇女殿下の命令ですよね~?」

 

 

 

 そして、押し黙ってしまったヴィクトルを横目に執務室の扉を開いたロイドはそう言って外に待機する近衛騎士達を呼び寄せる。

 ヴィクトルの反応を気の抜けた返事で受け流したロイドは駆け付けてきた近衛騎士達に守られるように後方へと下がる。

 状況を察したロロがギアスを発動させるも、ジェレミアは即座にそれを解除し、ロロもまた近衛騎士達に制圧される。

 

 ヴィクトルの手前、斬られることは無かったが、ジェレミアとしてはこの“弟”の存在には先ほどより頭を悩ませ続けていた。

 ルルーシュにとって、ロロはシャーリーと並ぶ楔であり、シャーリーのように無条件に味方となる存在でもない。

 ルルーシュがいくら家族としての愛情を向けても、それを受け入れる時間が今のロロにあるかと言えばそれは疑問であるのだ。実戦投入前ならば手も打てたかも知れなかったが、今となってはヴィクトルの命令に反抗する理由は無い以上、その存在は脅威でしか無い。

 

 

(いずれにしろ、我々の移送はルルーシュ様の知るところになるはず。だが、私は彼をどうすれば良いのだ……?)

 

 

 租界から出てしまえば、今となっては首都圏はルルーシュの庭であると言っても過言では無い。

 ヴィクトルが移送に承知したのも、確実に助けに来るであろう黒の騎士団を迎え撃ち、堂々と内通の証拠を得てから自分達を殺すつもりだったと言える。

 当然、そんな見え見えの謀略にやられるようなルルーシュでは無い。だが、ロロの存在がルルーシュの判断を狂わせる可能性は大いにあるのだ。

 

 

(いや、アーニャから話を知ればあの方ならばすぐにロロに辿り着く……。失態であった)

 

 

 そこまで考えて、アーニャを逃がした際にロロのことに言及しなかったことにジェレミアは気付く。

 ルルーシュがアーニャの報告からロロの事を導き出すのは容易であるし、彼の性格上、結果を優先してその事を排除しようとはするだろう。

 だが、いざ目の前に現れた際に、非情になるにはルルーシュは優しすぎると言うことがジェレミアには分かっていた。

 敵に対しては情け容赦の無い人間だが、事、身内に対しては甘すぎるほど甘くなるのがルルーシュという人間である。

 

 自分を裏切り、妨害し、死という手打ちとなるまで否定することが出来なかった枢木スザクや黒の騎士団幹部達のことを考えれば分かりやすかった。

 

 

 

(だが、今回はナナリー様が側に居られる。……ロロの運命はあの方次第か)

 

 

 

 そこまで考えて、ジェレミアはナナリーの存在を思い返す。

 今回ばかりは、彼女の存在がルルーシュをどう動かすのか。その一点に賭けるしか無いとジェレミアは思うだけであった。

 

 

 そんなことを考えつつ、ジェレミアは用意された車へと乗り込み、車上の人となる。

 遠ざかっていく政庁に目を向けると、自身がこの場に戻ることはもう二度と無いと言う事を彼は自覚していた。

 あるとすれば、それはブリタニア軍人としてでは無く、黒の騎士団の一員としてと言う事になるだろう。それでも、短い期間とは言え身に過ぎたる地位にあれたこの場には一種の名残惜しさがあった。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 誘われている。

 

 

 ジェレミア等の移送先に関して、ヴィレッタが穏健派からもたらされた情報を照らし合わせたルルーシュはそう思うしか無かった。

 ジェレミアの内通をV.V.等は掴んでいるのだろうが、おそらくはギアスユーザーを用いての内偵。明確な証拠など無きに等しい。

 とは言え、ホテルジャックの際にあっさりとゼロを引き入れて共闘し、それ以前にもゲットーの復興や各地のインフラ整備など、『イレブン寄り』という批判を受けていたのだ。

 そして、草壁の暴走による冤罪もあり、ジェレミアを助けに行けば「ゼロは虐殺者と繋がっている」と言う事実を喧伝するであろうし、助けに行かなければ、「力なき者を救う」と断言した黒の騎士団の矛盾を喧伝する。

 V.V.はともかく、シュナイゼル達ならばそう言った手管を用いてくることは予想が付く。

 ジェレミアはともかく、ドロテアとモニカは名誉を回復しても何ら問題が無い立場であるのだ。

 今、彼女等まで槍玉に上がっているのは、ナイトオブラウンズという地位を持つ人間を排除する機会を得たことに対する単純な反応に過ぎない。

 政争に明け暮れる貴族達にとって、「政敵になり得る」人物を排除する機会が得られたのだ。動く必要が無くとも動くのが貴族達の習性と言えた。

 

 

 

『行くのか?』

 

「当然のこと。ジェレミアは私にとっては腹心中の腹心。ドロテアにしても、モニカにしても、戦わずに排除するなり、引き込む機会があるならば利用するまでのこと」

 

『だが、皆は納得しているのかね?』

 

 

 G1ベース内での作戦会議であり、オブザーバーとして桐原等も中継によって呼び寄せている。彼等としてみれば、ルルーシュと共同で諜略を行ってきた以上、その成果を求めるのは当然と言える。

 だが、ここに来てラウンズを寝返らせるという事に玉城等日本人団員達は困惑している。

 

 

 

「納得って言われるとなんとも言えないけどよ。シャーリー達みたいな一般人じゃ無くてバリバリの軍人だろ?」

 

「加えて、侵略の際に先頭に立って攻め込んで来た二人。いきなり、仲間にすると言われるとな……」

 

 

 

 以前であれば声を荒げていたであろう玉城だったが、今ではシャーリー等生徒会を始め、学園の生徒とも交流しており、ブリタニア人への恨み辛みなどは大分薄れている。

 永田も同様だったが、彼としては家族を殺されている以上、簡単に割り切ることは難しいだろう。

 ドロテアとモニカが民間人を手に掛けるような真似は絶対に無いと言いきれる人間だからこそ、否定しきれないと言う思いもある。

 これが、過去のジェレミアのように、実際に手を下してしまっていた場合、当然だが受け入れることは出来なかったであろうが。

 

 

「私も同じ立場だけど、私がいるのも迷惑?」

 

「迷惑ってわけじゃ無い。何というか、その……」

 

「簡単に割り切れる話じゃ無いって事だな。扇達がいたらもっと揉めたかも知れない」

 

 

 

 そんな彼等の様子にアーニャが口を開く。

 実際、彼女がルルーシュ達とともに入室してきた際には玉城達は一瞬色めきだったが、ルルーシュとルーベンが彼女はジェレミアとともに昔から味方をしていた旨を告げ、なんとか場を収める。

 玉城自身はルルーシュ達のことは味方として割り切ると言っていたが、いざ戦っていた人間が目の前に現れると色めきだってしまう事は仕方が無いとも思っていた。

 ルーベンのように彼女の実家という背景を説明できる人間が居るからこその納得とも言え、実際にレジスタンスを駆逐して見せたドロテアのような存在には抵抗があるだろう。

 

 そもそも、彼女等を救い出したところで味方になるとも限らないのだが。

 

 

 

「私達が言うのも何だけど、『ブリタニアを倒すため』って割り切るしか無いんじゃないかしら? 私達だってKMFの開発には関わっていたわけだし、日本を蹂躙した側の立場よ?」

 

「ミレイやルーベン氏に関しては割り切れるさ。明確に味方だって分かっているからな」

 

「それなら大丈夫じゃない? キョウトのお歴々が受け入れられるかを心配しているって事は、彼女等が味方になる事への保障も有るって事でしょ?」

 

 

 

 そんなことで尚も思い悩む日本人達に対し、ミレイがそう口にすると、キョウトの老獪達は思わず苦笑する。

 ルルーシュもそうであるが、ブリタニアの学生は中々手強いと言う認識が冗談交じりで彼等の口から発せられた。

 

 

 

『うむ。少なくとも、モニカに関してはこちらに寝返らねば一族の運命は消える。ドロテアに関しても似たようなモノよ』

 

 

 

 不敵に笑い、そう告げた桐原の言に、皆が息を呑む。

 

 クルシェフスキー家は元々はユーロブリタニアに系譜を持ち、ユーロピアとも関わりが深い家柄。元々は主義者の首魁として動いていた過去があり、記憶改変を行われたとは言えその事実を抹消することなど不可能。

 

 ドロテアも同様に、血の紋章事件における粛清によって生き残った人間であり、ともにナイトオブラウンズという地位が無ければ即座に処刑されてもおかしくは無い立場なのだ。

 

 ビスマルクの妻となったリンダのように、強力な後ろ盾があるならば、退役し市井の人として生きれば問題は無いし、ジェレミアにしても辺境伯という強力な地位があれば、本人は「戦死」した事にすれば、領地などは妹の元へと転がり込む。

 

 辺境伯として、歴戦の軍人としてのジェレミアは貴族達としては手強い存在でも、いまだ十代の妹などは多少の領地召し上げぐらいで生かしておけば問題無く、何より女である事を考えれば利用する意味が出てくる。

 

 そう言った背景を加味して、V.V.が彼等を消そうとしているが、その意図が読めればこちらとてそれに乗ることは難しくないのだ。

 

 

 

「んじゃあ、アイツらが裏切るって事は無いんだなっ!?」

 

『んんっ。若造、口の利き方に気をつけい。だが、我々の元に来てしまえば、彼の者達に帰る場所は無い。自決してしまえばそれまでだが、そこまではどうしようもないからの』

 

 

 

 それを聞いていた玉城の言に、静かに色めき立つキョウトの老獪達だったが、わざわざ相手をする必要は無いためそれに答える。

 

 老獪達に一泡吹かせた玉城に対し、神楽耶が楽しそうに見ていた事にルルーシュ達も苦笑するが、実際の所、ドロテアやモニカが筋を通すことを選べばそれを止める術は彼等には無い。

 老獪達とアッシュフォード組の視線が突き刺さったルルーシュのギアスという手段はあったが、ルルーシュとしてはむやみに使いたくは無いと言うのが本音でもあった。

 

 

 

「いずれにしろ、ジェレミアはこれまで日本人のために尽力してきた仲間であり、ドロテアとモニカ、そして彼女達の部下達もまた、ブリタニアの横暴に翻弄される人間達である。俺としては彼所等を見捨てることは出来ないっ!! だからこそ、救出行動を皆に提案したい」

 

 

 

 そして、その視線を振り払うかのように立ち上がったルルーシュは、その場に集まった黒の騎士団員達とキョウトの老獪達を見つめ、はっきりとそう告げる。

 

 

「私としてはお兄様の決定に反論するつもりはございません。何より、仲間を、そしてブリタニアの被害者となった人達を助ける。黒の騎士団がこの事を明確にする意味はあると思います」

 

「ナナちゃんの言うとおり。困っている人達を助ける。これが分かりやすくみんなに伝えられるんじゃ無いかな?」

 

 

 ルルーシュの言に対し、ナナリーとシャーリーがはっきりと同意を告げ、アッシュフォード組をはじめとするブリタニア人団員達は一様に同意を告げる。

 そんな様子を見ていた日本人団員達も顔を見合わせながらゆっくりと立ち上がる。

 

 

 

「まあ、本音を言えば日本人を殺したアイツらを助けるって言うのは納得いかねえ面もある」

 

「それでも、今の彼等は俺達と同じブリタニアの横暴に苦しむ人間だ。過去を忘れることは出来ないが、目をつぶって手を差し伸べることに異論は無い」

 

 

 

 玉城と永田の言に、吉田等他の日本人団員達も次々に肯いていく。彼等のほとんどは、レジスタンスのリーダー格であり、玉城達とも同格として訓練に勤しむ立場。この後各団員の説得には彼等の力が必要となる。

 

 

「ありがとう。それでは、これより救出作戦に移る。決行は明朝0600。皆、準備に取りかかってくれ」

 

 

 その様子にルルーシュは瞑目しつつ、僅かに頭を下げると、ゼロとしての仮面を被る。ここから先は、ルルーシュとしての情を消し、作戦の成功を最優先とする合図である。

 

 新たな形となった騎士団において、彼が仮面を被ったとき、彼を含めた全員が“駒”となって作戦の成功に命を掛けることが約束されていたのだった。




 R2での裏切り組と戦死もしくは味方組とで扱いに差が出てしまって申し訳ありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。