コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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投稿間隔が空いてしまい、申し訳ありませんでした。


第十一話 嘘つき達の宴④

 メインエンジンに火が灯ると機体そのものが生きているような錯覚をカレンは覚えた。

 これまで自分が搭乗していた試作機のそれとは明らかに異なるそれ。不思議と、自分を待っていたかのようなそんな気がしている。

 

 

 

「ルルーシュ、あんたじゃなくて私がこの新型に乗って本当に良いの?」

 

「もちろんだ。生憎と、俺はKMFの腕はそこまでじゃないからな。今の復座でちょうど良い」

 

 

 

 キョウトより送られてきた待望の新型KMFであり、日本の設計とインドの技術者の協力によって生み出された事実上の新兵器。

 今まで乗っていた試作機がブリタニア製のKMFとそこまでの差が無かったことと比べ、こちらはコックピットの仕様からして異なっているのだ。

 今はゼロの扮装ではなく、騎士団の制服を着て整備担当として振る舞うルルーシュが得意げに口を開いているが、彼がキョウトから引き出した支援の結果がこう言った形になっているのだから特に文句は無い。

 

 

 

「それで良いなら、ありがたくもらっておくけど……。そう言えば機体名はなんて言うの?」

 

「紅蓮だ。今までの試作機が壱式だと言うから、それは紅蓮弐式が正式名称になるな。まあ、今までカレンが使っていた機体は緊急時にシャーリーに乗ってもらうから、それを紅蓮と呼べば良い」

 

「結局、乗せるの? 危ない目に遭わせたくないみたいだったのに」

 

 

 

 『紅蓮』

 

 鮮やかな赤を基調とした炎のような機体の名としてはピッタリのそれであったが、カレンとしてはシャーリーの名前が出たところでなぜか引っ掛かりを覚えていた。

 理由は分からなかったが、彼女が自分が今まで乗っていた機体に乗るというのが気に入らないであろうか?

 と、自分の事ながらカレンにはその感情がよく分からなかった。

 

 

 

「G1ベースの護衛は必要だからな。撤退する際に随伴がいれば安全性は増える。それに、ナナリーとシャーリーが一緒のままでは俺もそちらに気を取られてしまうからな」

 

「ああ、はいはい。愛しの妹と恋人を優先しちゃうわけね」

 

「だから、お互い守り合えるように配慮しているんだ。あと、シャーリーは別に恋人というわけじゃ無いぞ?」

 

「ふーん、普段から二人でイチャついているけど、我らが指導者ゼロは女たらしと」

 

 

 

 言いたいことはなんとなく分かるが、それをごく当たり前のように語るルルーシュの言い分にカレンは目を細めて視線を向ける。

 

 

 

「人聞き悪いことを言うな。シャーリーやミレイには色々を教えておく必要があるからだし、お前とだって打ち合わせで二人になる場面があるだろ」

 

「ふーん。まあ、良いけど。それじゃあ、私は作戦開始まで仮眠を取るから」

 

 

 

 顔をしかめカレンの言に答えたルルーシュに、カレンはひらひらを手を振りながらその場を後にする。

 紅蓮の乗り心地を試すわけにも行かない以上、少しでも休んでおく必要はある。

 

 幸い、KMFのパイロットにはトレーラーの一室が与えられており、休息もしっかり取ることが出来る。特権と言ってしまえばそれまでだが、彼が言うように結果でそれに答えるのが自分達の役目だった。

 

 

 

「あら? シャーリー何をやっているの?」

 

「あ、カレン? 整備ご苦労様。ジェレミアさんの機体をね。すぐに使うことになりそうだし」

 

 

 

 紅蓮と同じトレーラーに乗せられる予定のサザーランドローヤル。

 

 搭乗者は今、立川基地で囚われの身になっているが、当然、主の留守中でも整備班が即座に対応できるよう整備に取り掛かっている。

 その中で、コックピット付近に見慣れた栗色の髪が動いていることに気付く。

 他の整備兵が間接部などを整備している所だったが、パイロットとして何回か戦闘に出ているシャーリーも自分と同じようにコックピット周りの整備ぐらいは可能なのだろう。

 

 

 

「随分きれいにしているのね。って言うか、中身がまさに『オレンジ』ね」

 

「本当にね。領地で果樹園をやっているって聞いたけど」

 

 

 

 ローヤルのコックピットは普通の武骨な作りとは一線を画し、座席以外にもオレンジ色の部品がいくつも使われている。

 

 彼が率いていた穏健派も肩部分などにオレンジ色の塗装をしていたと聞くが、そのこだわりはどこから来るのか。

 純血派が赤い塗装を好んだように、それに対抗してとも思ったが。

 

 

 

「なんだっけ、『オレンジは我が忠義の証っ!!』とか言っていたらしいけどね。でも、それ以外はきれいにしていてスゴいよね」

 

 

 

 総督代行に就任してからは中々機体に触れる機会は無い様子だったが、空いた時間でアッシュフォードに赴き、機体に寄り添っていたとも聞く。

 本人の性格はともかく、ブリタニアを代表するエースパイロットである事は間違いが無いのだから、その振る舞いなどは参考にするべきだろう。

 

 

 

「そう言えば、シャーリー。ルルーシュから聞いた?」

 

「何を?」

 

「私が乗っていた機体を次はシャーリーが乗るって話」

 

「うん。カレンの後だからちゃんとやらないとだね……」

 

 

 

 どうやらすでに話は聞いていたようだが、先ほどまでと打って変わって表情が曇っていく。

 

 

 

「KMFから降ろされたことが不満?」

 

「え? いや、そう言うわけじゃ無いよ」

 

「ふーん。ルルーシュも言っていたけど、KMFで戦うばかりがみんなの為ってわけでも無いんじゃない?」

 

「そうだね。かいちょ……ミレイさんみたいな役割もあるしね」

 

 

 

 ミレイは最初の救出作戦からKMFではなく後方要員として動いている。

 

 ルルーシュの代わりとしてギアスを掛けられた貴族から資金を引き出したり、純粋な協力者との折衝に当たる場面もある。

 ルルーシュ曰く、「人たらし」と言うモノらしいが、簡単に真似できることでは無い。

 

 

 

「ルルーシュからは色々と戦闘指揮のイロハを教わっているみたいじゃない。出来ることはあるわよ」

 

「でも、ルルみたいには出来ないから」

 

「そりゃ無理でしょ。あんなのを真似出来なくても仕方が無いし、その事を気にしたって仕方が無いんじゃない?」

 

 

 

 カレンとしては気に障る面もいくつかあったが、作戦指揮やキョウトとの外交など、彼の優れた面を上げれば切りが無い。

 そして、戦闘指揮の一面だけを見ても彼の真似が普通の人間に出来るはずも無い。

 

 

 

「好きな男の役に立ちたいのは分かるけど、肩肘張っても良い事は無いわよ?」

 

「えっ!? い、いやそんなことは」

 

「無い。ってそんなわけ無いでしょ。私にもそれとなく絡んでくるぐらいなのに」

 

 

 

 分かりやすい反応にカレンは苦笑するが、シャーリーの場合、ルルーシュの役に立ちたいという思いが強すぎるように思える。

 同じような立場のリヴァルやミレイが自分の役割を果たすことに努めているのに対し、シャーリーはどこか気負いすぎているのが見ていて分かりやすかった。

 

 

 

「そもそも、あの白兜とドロテアを叩き潰しただけでも十分すぎると思うわよ?」

 

「あれは夢中だったから」

 

「それでも戦果は戦果でしょ。第一、ラウンズに勝った人間なんてこの世に何人いる?ってレベルよ?」

 

 

 

 実際の所、シャーリーがドロテアに勝ったというのは語弊があるとは思うが、彼女の機体を戦闘不能にした事は事実であるし、それをきっかけとしてドロテアがブリタニア自体に追い込まれる結果を呼び込んだとも言える。

 それらを考えれば、シャーリーを後方に下げてでもルルーシュが彼女を守ろうとするのは納得もいく。

 

 切り札は最後まで取っておくモノだし、それが無茶をしがちならば余計に。

 

 カレン自身、無茶をしすぎて扇等に窘められる場面が多かった分、他者の自分に似た行動には敏感になるのだ。

 今となってはその扇も側には居らず、玉城は元より、吉田や永田もそこまでカレンを気に掛けてくれるわけでは無いから、カレン自身も自分で自分を律しなければと言う思いがある。

 シャーリーの気負いを察することが出来たのはそう言った側面があったからこそとも。

 

 

 

「ま、そういうわけだから無理はしない事よ。そもそも、ナナリーちゃんに何かあったらルルーシュが何するか分からないし。そういう意味でもシャーリーの役割はちゃんとあるんだからさ」

 

 

 

 そう言うと、カレンはさっさとシャーリーの元を去り、トレーラー内の一室へ戻るとパイロットスーツそのままにベッドに寝転ぶ。

 なぜ、クラスメイトと言うだけでそこまで親しくも無かった彼女を気に掛けるのか?

 ふと、そんな考えがよぎったが、それを無理矢理頭から追いやってカレンは目を閉ざす。

 早朝からの戦闘。疲れは出来るだけ取っておくべきであるし、そういう行動はレジスタンス活動を始めてから自然と身についている。

 

 

 

「あんなヤツのどこが良いんだろ?」

 

 

 

 しかし、シャーリーと同時に浮かぶのがルルーシュの顔。

 それまで、どこかいけ好かないクラスメイトでしか無かったが、その正体と自分に対して語りかけた一幕。

 それ以降、自然と彼の手駒のようになって戦ってきたが、カレンはどうしても信用できないと言うべきか、心を開けないようなそんな気持ちがあった。

 だからこそ、ルルーシュに対して無償の愛?とも言うべきモノを向けているシャーリーや心酔とも言っても良い様子のミレイや咲世子の事がどうにも理解できずにいる。

 

 理由を聞けば理解できるのかも知れなかったが、平時の学園でもシャーリーはいつものと変わらず、ミレイは生徒会長、咲世子はメイドという仮面を被ってしまい、騎士団に来ればそう言った話はシャットアウトしてしまう。

 もっとも、カレンもまた、彼女等に心を開くわけでも無く、あくまでも協力関係にしかない。と言うスタンスなのだから当然とも言えるのだが。

 

 戦いを前になぜそのような考えがよぎるのか? 今のカレンには分からないままであった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 タチカワ基地はトウキョウ租界から約20kmほど西方にあり、租界防衛のための航空戦力の最大の拠点が置かれている。

 また、そこに隣接する小高い丘に広がる森は、かつて東京最大の国立公園として人々の憩いの場であった昭和記念公園があり、ブリタニアに占領された後も、ブリタニア人専用の公園として保持されていた。

 

 元々、文化人気質のクロヴィスが総督であったが故か、当時のまま整備が行き届いており、結果としてタチカワ基地に対する死角がこの場所には存在していた。

 もちろん、基地としては西方からの攻撃に備える意味で、公園内の警備は厳重であり、夜には兵士が巡回してもいたが、闇夜の中で力を発揮する者達にとっては、守備兵などはただの的でしか無かった。

 

 

 

「鴉よりキングへ。盤上の駒の排除を完了。二次行動へ移ります」

 

『キングより鴉。よくやった咲世子。万全を期し、次の行動へ移ってくれ』

 

 

 

 音も無く、警備兵を排除した咲世子と手の者達は、ルルーシュの指令を元に再び闇に紛れるように基地内部へと侵入していく。

 手の者達が黒装束の中、咲世子は一人派手目な服装のまま、しかし、誰にも気取られること無く基地内部へと入り込んだ彼女は、幾重にも張り巡らされたダクトを音も無く進んでいく。

 方々に散った手のモノから、ルルーシュの元に基地内部の様子が余すこと無く伝えられ、あっさりとハッキングに成功する。

 そして、ジェレミアが軟禁されている一室へと辿り着いた咲世子は、いざというときの申し合わせの通り、排気口の真下に座す彼に対し、一粒の液体を垂らす。

 

 すでに監視カメラのハッキングに成功し、彼の独房内は彼が無言で中央に座す様子だけが映し出されている。咲世子は事を手元の機器で確認すると、今度は色を変えて液を垂らす。

 腕に落ちたそれが、赤からオレンジに変わったジェレミアは、見張りとして室内にいるギアスユーザーが目を離した一瞬の間にその意識を奪い取る。

 

 

 

「むぐっ!?」

 

 

 

 対象を眠らせるギアスを持っていたギアスユーザーだったが、眠った振りをしたままキャンセラーを発動させたジェレミアに対しての油断が命取りになる。

 V.V.から言い含められていたキャンセラーに対し、自分のギアスを過信した男の失態が全てを決定付けたと言える。

 

 監視カメラに加え、内と外の二重の見張り、加えて五分ごとの定期連絡、三十分ごとの点呼と基地内部の徹底したセキリュティ。

 だが、赤外線サーチ等は咲世子等にあっさりと見抜かれ、監視カメラのセキリュティはルルーシュのハッキングで無力化される。

 加えて、ジェレミアは定期的に寝ぼけた振りをして倒れる仕草をしており、その映像を見たルルーシュは適度にそれに切り替わる設定へと変えていた。

 そして、定時連絡は、ジェレミアの元に降り立った咲世子の声帯術で躱し、ルルーシュから送られてきたコードで電子手錠も解除し、意識を奪われたギアスユーザーもさっさと処分しておく。

 

 ルルーシュから、ギアスユーザーに対しては特に容赦するなとの命令を咲世子は受けており、ジェレミアの判断を挟ませぬようにしていたのだ。

 それには、ルルーシュとジェレミアの記憶の中にある少年のことで、お互い情に走らぬようにという配慮でもあった。

 

 

 

(すまないな。咲世子君、迷惑を掛ける)

 

(いえ、お互い様ですよ。ドロテア様とモニカ様はどちらに?)

 

(ドロテアは地下水路。モニカは司令室でV.V.……ヴィクトルが直々に見張っている)

 

(承知しました……)

 

 

 

 無言のまま小型のアクリル板を取り出すと、そこに刻まれたアルファベットを用いて会話を交わす両者。

 端から見たら面倒なやり取りに見えるが、訓練された両者にとっては視線を用いて交わすやり取りは造作も無く、通常の会話と変わらぬ速度で意思の疎通が可能となる。

 そして、このやり取りはそのままルルーシュの元に伝わるようになっており、潜入道具としてはこの上ない装備でもあるのだ。

 

 

 

『モニカは現状では手が出せない。咲世子、手の者達にはいつでも司令室に突入できるよう待機させた上で、先にドロテアを救出しろ。地下だからこちらからも増援を送る』

 

 

 

 ハッキングにより手に入れた基地内部の様子。だが、そこまで手に入っても陽動としての行動も簡単には取れない。

 

 V.V.の性格を考えれば、少しでも動きがあれば容赦なく二人を殺すだろう。冤罪を仕掛けて堂々と処刑したいところであったが、コーネリアがそんなことを許すはずも無く、となれば騒ぎに乗じて謀殺するのが手っ取り早い。

 そのための偽装部隊はすでに騎士団が秘密裏に処理していたが、時間が来ればV.V.の我慢はあまり続かないだろう。

 

 元々、好き勝手動いてはシャルルに尻ぬぐいをさせてきた男であるし、逆に動いてくれなければこちらも対処のしようは無い。

 

 ただ、そうなったときに対象が離れていては救出条件が格段に困難になる。

 

 

 

『よし、次の点呼の際に、担当の近衛騎士に接触しろ。純血派の騎士が内部を見た際に騒ぎになるからその時が勝負になる』

 

 

 

 視覚確認はギアスユーザー立ち会いの下、純血派の騎士と近衛騎士が交互に行う。

 ジェレミアに対する声掛けと、ボディチェックだったが、その際に映像を戻し、ギアスユーザーには咲世子に化けさせ、音声は前回のモノを流せば良い。

 おそらくではあるが、近衛騎士はドロテアとモニカの逮捕には憤りを感じているだろうし、それを救出する事への協力を求めるのは難しくないであろうという判断だった。

 本来だったらギアスを掛けておくべきだったかも知れないが、ラウンズ相手のギアス使用が困難であるのと同様に、近衛騎士相手も危険な目は摘むべきだとルルーシュは思っていた。

 そして、接触から三十分が勝負の分かれ目になる。それまでにドロテアを救い出し、モニカを救い出せる状況を用意せねばならなかった。

 そうしているうちに時間は流れ、ジェレミアは先ほどと同様に電子手錠を手にして寝た振りをし、咲世子はギアスユーザーの死体を隠すとあっさりと彼に化ける。

 

 

 

『騎士ハンディ・ポラードだ。入るぞ』

 

「どうぞ」

 

 

 

 ポラードと名乗った長身の騎士が不満気な表情のまま入室してくると、ジェレミアに声を掛け、彼が目を覚ました振りをしている間にボディチェックを始める。

 

 

 

「ポラード卿、声を上げずに聞いてくれ」

 

「っ!?」

 

「聴音装置は切ってある。これから、我らはエルンスト卿を救出に向かう。次の点呼に呼応し、嚮団員を討ち果たしたまえ」

 

「何を言っているんです。事を起こせばお二人が」

 

「すでに救出の準備は成されている。君たちを巻き込むことは申し訳無く思うが、エルンスト卿を死なせて良いのか?」

 

「良いわけありません。ですが……」

 

「君の忠義は理解しているつもりだ。だからこそ、事を間違えるな。ヴィクトルのような男に従うことが、あのような男の跳梁を許していることが忠義に適うと思うか?」

 

「っ!? …………承知した。あのような愚か者どもに、我らは後れを取りません」

 

 

 

 近衛騎士達は元々は皇帝の親衛隊であり、ラウンズを通り越して皇帝個人に忠誠を誓う組織である。

 だが、ラウンズの元に配属された騎士達の多くは、ラウンズが見出した腹心とも言える人間達であり、その忠誠は皇帝よりもラウンズ本人へと向く。

 このため、ラウンズの地位そのものが爵位に近い性格を持ち、ナイトオブワンともなればエリアの統治権を得るまでになる。

 

 そして、ドロテアやモニカに着せられた汚名を庇うことも無く、むしろ彼女等を糾弾する動きすらあった現状に近衛騎士達の不満は大きく燻り続けていた。

 なにせ、解放戦線のトウキョウ襲撃をほぼ独力で防いだドロテアの出迎えすら、腫れ物を触るかのようなモノであり、当人は仕方が無しと受け止めていても、騎士達からすれば不満でしかなかった。

 そして、ジェレミアが直接というわけではないが、実行を命じた人間の中にV.V.――ヴィクトルが居たことを彼等にリークしてあったため、潜在的な不満は余計に目立ち始めていたのだ。

 加えて、嚮団員や純血派の排除も、事が起きてヴィクトルがモニカ達に手を出そうとすれば余計に大義名分は立つ。

 コーネリアは彼等の処断など断じて許すつもりは無く、さらにユーフェミアが決めたタチカワ移送にも勝手に同行しているとなったらさらに怒りに火が付く。

 

 ドロテアやモニカは騎士団が連れ去る予定だったが、彼等がそれに付き従おうと、ブリタニアに残ろうと、強力な戦力の加入もしくは排除。

 または、不穏分子を内部に送り込める形になり、どちらに転んでも騎士団側にマイナス要因は無い。

 

 

 

「総督代行閣下。失礼をいたしました」

 

「うむ」

 

 

 

 そして、ボディチェックを終えたポラードは敬礼をしてその場を後にする。

 扉が閉まる直前の彼の視線は、成功を祈ると言う思いを簡単に感じる取ることが出来るほど。

 それだけ、ヴィクトル達への不満が彼等の中には燻っていたのだ。

 

 

 

(個人の忠義を悪用すると言うのは心苦しいモノですね)

 

(うむ……。だが、彼とて主を助けることを選択したのだ。それなりの覚悟はしてもらわねば成らん)

 

(そうですね……。ドロテア様の立場をルルーシュ様に置き換えれば、私とて、ブリタニアに組してでも……と思います)

 

 

 

 そんなポラードの様子に、忠義というモノが行動の基軸になっているジェレミアと咲世子は心苦しく思いつつも、主君のためと言う大義の下にそれを受け入れる。

 

 

 実際、逡巡している時間も無い以上、二人は即座に行動を起こす。

 そして、監視カメラ等がルルーシュの手によって切り替えられた次の瞬間には、二人の姿は独房内から消えていた。




体調不良でしばらく書けませんでした。投稿が空いてしまって本当に申し訳ありません。

体調が戻るまではゆっくりペースになるかも知れませんが、本当に申し訳ありません。
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