コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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第二十四話 波涛①

 中華連邦と澤崎一派の動きが逐一報告されてくる中、ルルーシュ達は迅速な準備に追われていた。

 

 戦場は遠き九州の地。

 ブリタニアが動く前に部隊を潜ませていれば、中華連邦軍の侵攻を迎え撃ったとしても自作自演を疑われる可能性がある。

 となれば、こちらはブリタニア軍の動きを察知して行動を開始した。そう相手に思わせることが重要となる。

 コーネリア軍の動きを見て澤崎等が計画を変更する可能性も考えられるが、これはほとんど考慮に値しない。

 成功すればそれでよく、失敗した場合は実行部隊の曹将軍と澤崎を切り捨てればそれで良く、澤崎達からすれば計画の延期等は自身の破滅に繋がる。

 大宦官達のような我欲のみに生きる者達にとっては、駒の命など考慮にも値しない。

 

 

 

「俺もかつてはあのようだったのかも知れん」

 

 

 

 そんな大宦官達に対し、怒りを抱いた過去を思い返すと同時に、ギアスを使役して人の意思を無碍に奪い続けてきたルルーシュ。

 対象は絞ってきたつもりだが、アッシュフォード学園の生徒や教師などにも簡単なギアスを使ったことは何度もある。

 結果として、ジェレミアが救い出すまで精神病棟送りになっていた生徒も居たようであり、彼女等に対する責任は重大でもあった。

 

 

 

「ルルーシュ様。ギアスという人智を越えた力に魅入られるのは人間としては致し方なきこと。ヤツらのように自らの欲望によって自らを貶める者とは」

 

「お前の場合は権勢よりはプライドや効率を優先するからな。ある意味、大宦官より質が悪い」

 

 

 

 過去を思い返して自嘲するルルーシュを宥めるジェレミアと茶化すC.C.。

 

 正反対の反応だったが、これもいつものことなのでシャーリー達は特に気にせずルルーシュが口を開くのを待つ。

 待機中の騎士団や旧解放戦線軍への指示を出さねばならず、ルルーシュの方針が決まらないことには始まらないのだ。

 

 

 

「ジェレミア、ミレイ。九州の拠点にKMFを。人員選定と現地の指揮は吉田に任せろ」

 

「はっ」

 

「了解。やっぱり先に手を打っておくのね?」

 

「さすがにKMFでの移動では妨害を受けるからな」

 

 

 

 人員はキョウトが作り出した山岳道路を抜けて行けば九州とて容易に到着できる。鉄道などにも紛れ込ませることは難しくないだろう。

 逆にKMFはブリタニア軍の移動に紛れ込ませることが容易である。最悪、ギアスで車両ごと利用してやれば良い。

 

 フナバシやチョウフの戦いで負傷した吉田だったが、指揮官としての才能は今のところは扇グループ内で抜きん出ているため、細かい動きは彼に託せば良い。

 まだ、万全では無いためKMFには乗り込めないが、その分、指揮に専念してもらえば良い。

 

 

 

「現地との調整は井上に任せるか。俺達がいつでも動けるわけじゃ無いしな」

 

「そうね。事なかれ主義で軽い人だと思ったけど、冷静で話をまとめるのが上手いのよね」

 

「以前は彼女がまとめる前に扇が声の大きい意見にながされてしまっていたようでしたな」

 

 

 

 ノベヤマゲットーとの連携役を頼んでいたが、ツマゴイと比べ、意見の集約や物資の融通などがスムーズであり、レジスタンス達の隠れ蓑という部分も有効に機能していた。

 一種の屯田であったが、労働力が必要な農耕地に体力のある若者が集まったため、生産面でも効果が大きかった。

 今後機械化が進めば必要は無くなるが、そうなったときは別の産業のための人手が必要になる。

 その先例となった形だが、反骨心旺盛なレジスタンスと一本気で芯の強い農場経営者の間を取り持つのは簡単では無い。

 それだけに、井上がうまい具合に手綱を取ったことは今後に繋がるだろう。いずれにしろ、九州の事は不確定要素が大きいとは言え、こちらの動きはこちらで決めることが出来る。

 

 問題は、もう一つの混乱要素だった。

 

 

 

「ディートハルトめ……。余計なことを」

 

 

 

 ルルーシュは並べられた二枚の写真を睨みつつ、そう口を開く。

 

 一枚は自分の。昨年のアッシュフォード学園祭での自分であり、もう一枚はアリエス宮にて撮影された幼い頃の自分である。

 

 ゼロとしての仮面を被る傍ら、シャーリー達と行動することに違和感を持たさぬ為、同じ学生として騎士団に身を投じるルルーシュ・ランペルージという顔を作り出した。

 当然だが、騎士団員の情報は門外不出のモノ。咲世子にとりまとめさせている情報部においては、情報漏洩は徹底的に目を光らせている。

 C.C.やジェレミアが堂々とうろついているのは彼女達の力が大きい。

 

 そして、ホテルジャックを契機に騎士団に入団してきたディートハルト・リート。

 トウキョウ租界のテレビディレクターであったが、ジャーナリズムの塊のような男であり、混沌を演出することを夢見る一種の夢想家でもある。

 だが、その心根は冷酷無比とも言え、騎士団内部でも敵が多かった男である。

 

 今回、彼が上役である咲世子(過去とは立場が逆になった形だった)に提案してきたのは、万一の際の“ブリタニアの皇子を匿っている”と言う事実をブリタニアに対する謀略として用いる事。

 ほぼ真実に近いそれであったが、自力でそこに辿り着いてしまったことと、彼が情報を導き出せたことで、ユーフェミアの耳に噂として届いてしまったという。

 運良く政庁に残してあったジェレミア派の事務官がその事をジェレミアに伝えてきたためこちらも対処法を考える時間が出来たが、よりによって一番厄介な相手に情報が届いてしまったことが問題だった。

 

 さらに、以前ニーナに“特区”に関する話題を振られた際に答えた厳しい評価が逆に彼女等の関心を引いてしまい、学園祭にユーフェミアとコーネリアがお忍びでやってくるというとんでもない話にまで発展している事まで発覚していた。

 ニーナはユーフェミアに恩があるため、彼女が口にした事に関心を持っただけだったが、それを搦めてお互いに話題に上るとまではルルーシュも考えていなかったのだ。

 

 迂闊と言ってしまえば迂闊だったが、ニーナは玉城達との絡みで日本人に対する偏見は少しずつ改善されており、ユーフェミアの特区政策案というモノは一見耳障りが良い話のため、彼女が興味を持ってもおかしくなかったのだ。

 研究が平和のために役立つならそれに越したことは無いと言うのも当然である。

 

 

 

「本来だったら家族の再会を喜ぶべきなんだろうけどな……」

 

「大将同士の対面になっちゃうとね」

 

 

 

 騎士団の運営から学園行事まで担うのが今の生徒会である。ソフィー達のような騎士団員兼一般学生達は騎士団絡みの仕事だけだが、彼等には彼等で学園での役目がある。

 それがよりによって双方に関わりのある大問題が浮上してくるとはリヴァルもシャーリーも思っていなかった。

 

 

 

「仮に俺の反逆を知ったところで、勝手に都合の良いストーリーを考えて連れ戻そうとするだろう。姉上はそういう人だ」

 

「弟をたぶらかしたとして、我ら一同打ち首にしかねませんな」

 

「怖いこと言わないでくれよ……」

 

 

 

 コーネリア自身、ルルーシュがテロリストの首魁と知れば怒り狂うだろう。

 

 だが、同時に弟に対する愛情もある。元々、ユーフェミアの為にすべてをなげうとうとするぐらいに家族愛も強いのだ。

 怒りを別方向に還元してでもルルーシュを連れ戻そうとする可能性は高い。アッシュフォードがロイドに対して引き抜きを掛けたのも影響はあった。

 KMFがすべてのような印象もあるが、そこは貴族であり、優れた頭脳の持ち主。こう言った情報が出回れば思い当たる節には気付く。彼としては口には出さず、問題形式でユーフェミアに語ったのかも知れなかったが。

 

 

 

「ならいっそ会っちゃえば良いのよ。下手に隠そうとしたら騒ぎになるだけよ?」

 

「ミレイ、無茶を言うな。姉上は融通が効かない人間の代表だぞ?」

 

「別にルルーシュ殿下として会うわけじゃないわよ。ただのルルちゃんとして会えば良いの」

 

「だから……」

 

「と言うわけで、ヴィ兄妹限定の男女逆転祭りの開催を提案しちゃいまーす」

 

「は?」

 

 

 

 それまでの話を聞いていなかったのか? と言いたくなる物言いをはじめたミレイに対し、ルルーシュはさすがに呆れたように返答するも、彼女の口から出た提案はとんでもない代物だった。

 

 

 

「とりあえず、リヴァルとジェレミアの女装写真を撮って、シャーリーと私も男子モノの制服を着て写真を撮るの。で、当日はルルちゃんとナナちゃんだけその格好していれば、二人は男女逆転祭りの格好ですってごまかせないかしら?」

 

「たしかに、俺達だったらただのギャグだけど、ルルーシュの場合はそこらの女より美人だからなあ」

 

「うれしく無いぞそれは」

 

「ナナちゃんも目が見えるようになっているし、足には包帯でも巻いて怪我をしていることにすれば良いわ」

 

 

 

 目くらまし半分、自分の面白さ半分と言った感じで話を進めるミレイ。だが、彼女にしては珍しく欠けている部分がある。

 

 

 

「だが、ミレイ。お前達は分かっていても、他の生徒達はどうする? ジェレミアのことはごまかせても、どこから漏れるか分かったものでは無いぞ?」

 

 

 

 学園もデータベースも政庁からのアクセスの際にはヴィ兄妹に関するデータは消える仕様になっている。

 あくまでもデータだから隠せるのであり、人の口というものは最も隠し立てのしようが無い情報だった。

 学園という閉鎖された空間であれば、一人でもルルーシュの名を口にすれば、たちまちコーネリア達の耳に入ってしまうだろう。

 

 

 

「軽く言うのはマズいんだろうけど、その辺りはギアスでどうにか出来ない? ルルーシュ様達の事を忘れろって言っておけば」

 

「私がその後にキャンセルすれば良いのだろうが、それでは逆に二人のことを誰も知らない事になる。それはそれで違和感が生まれるのでは無いか?」

 

「掛けるとすれば、俺達の認識を変えさせることだが……。出来れば学園の生徒達にはギアスは使いたくないんだ」

 

 

 

 ルルーシュを女性として、ナナリーを男性として認識させるだけでも違うであろうが、そのような小細工がユーフェミアに通じるともルルーシュには思えなかった。

 なぜか、彼女には自分の事を読み切られているような、そんな気分にさせられる。それに、いざ対面してしまえば、彼女を敵として割り切れる自信もルルーシュには無かった。

 

 それに、過去の生徒達は自分のせいでシャルルに翻弄されているのだ。この世界にあって、生徒達の人生を振り回す訳にもいかなかった。

 

 実際、ルーベン等がヴィ兄妹に学生として過ごせるための箱庭として作り出した背景があったとは言え、元々の生徒達はあくまでも普通の学生である。

 それがブラックリベリオンで情勢が変わり、今度はルルーシュを捕らえる牢獄として、そしてC.C.をおびき寄せるための罠として送り込まれた生徒達の人生も同様に。

 それを為したのはあくまでもギアスであり、原因となったコードという存在があった。

 

 

 

「ルル。それって、自分の責任から逃げているだけじゃ無い?」

 

 

 

 そんなルルーシュに対し、シャーリーが真剣な表情で口を開く。

 

 思いがけない言動であり、ルルーシュも周りの者達も目を丸くする。シャーリーはルルーシュの気持ちというモノは基本的に尊重する。だからこそ、今回もルルーシュが背負うことに対しては擁護する側に回ると皆が思っていたのだ。

 

 

 

「逃げ……か?」

 

「うん。だって、ルルは私達も学園の生徒達も守りたいって言ったじゃない。ユーフェミア様達にバレるのがルルにとってマズいことならみんなにとってもマズいし、ルルがみんなを守りたいって言うなら、やれることをやるべきなんじゃ無い?」

 

 

 

 シャーリーとしては、ミレイの提案にルルーシュが怒ること無く冷静に分析したのを見て、手段としては有効なんだと思えた。

 

 実際、性別が違えば如何に顔が同じだったとしても全くの別人だと言い張る事が出来る。女性が男性に化けることは案外簡単だが、男性が女性に化けるというのは困難を極める。

 ルルーシュの場合、それが簡単だからこそ、有効だともなり得る。

 

 

 

「はは、一本取られたな坊や。シャーリーも良い事を言うが、それが女装の有無では締まるところも締まらないな」

 

「ま、まあ、女装するか否かの話だしね」

 

 

 

 そんな感じで重苦しくなってしまった部屋の空気はC.C.の軽口によって取り払われる。この辺りは彼女もさすがである。

 

 

 

「ギアスも関わってくる以上は冗談を言っている場合じゃ無いんだが……。C.C.、改めて聞くが、達成人になっているならば、ギアスが暴走する心配は無いんだな?」

 

「おそらくな。実際、お前は今も自由にそれを使えるだろ? だが、ジェレミアのギアスが暴走してしまっては困るだろうから、使いどころを弁えるべきだな」

 

「ジェレミア。キャンセラーの範囲はどのぐらいまで伸ばせるんだ?」

 

「そうですね。クラブハウスぐらいならば……」

 

 

 

 ルルーシュとしては、誰かの後押しがあれば使いやすくもある。

 

 特に、ギアスによって翻弄され続けたシャーリーの言ならば余計に。そして、ジェレミアもまた、シャーリーが苦しむ原因となったキャンセラー使役を思い返す。

 シャーリーへのギアス反応を察知した時、シャーリーはジェレミアの位置からは互いに目視することは困難な位置にあった。

 

 

 

「……仕方が無いな。こう言うときは小難しいことを考えるより、しょうも無いことの方が上手く行くことも多々ある。今回に限り、ミレイの悪事に荷担してやろう」

 

「ちょっとお、悪事って何よ?」

 

「悪事は悪事だ。せっかくだからリヴァルっ!! お前も付き合うんだぞっ!!」

 

「なんでだよっ!? ルルーシュは性別変わる事になるんだから、俺がやったらただの変態だろっ!!」

 

 

 

 決断すれば行動も早いルルーシュである。

 

 ミレイに僅かばかりの反抗をし、リヴァルに八つ当たりをするとそそくさと自分のパソコンを開き、政庁へとハッキングを執り行うべく準備を始める。

 いざというとき為の偽装戸籍をブリタニアのデータベースに侵入させてあるのだ。

 

 

 

「…………っ!?」

 

 

 

 そして、引き出してきた自分とナナリーの為の偽装データ。

 

 ルルーシュの所には、“リリーシャ・ランペルージ”と言う、自分に似ていると言うジェレミアの妹の名が載せられている。

 

 そして、ナナリー用の戸籍データ。そこには、“ロロ・ランペルージ”と言う名と、ナナリーの髪をベリーショートにしたような、可愛らしい顔立ちの少年の写真が掲載されていた。

 

 

 一瞬、瞑目したルルーシュ。

 

 

 “ロロ”はタチカワ事変の際、ヴィクトルをかばってジェレミアによって射殺されたと言う報告を受けている。

 ジェレミア自身、死亡を確認したわけでは無いが、ジェレミアの証言と他のKMFに残されていた映像から、彼の証言は肯定されていた。

 過去において存在した“弟”は邂逅すること無くルルーシュの前から消え去ってしまっていたのだった。

 

 

 

(アイツはたしかに危うかった。ジェレミアは俺の甘さとロロの危うさを元から危惧していたんだろう……)

 

 

 

 状況的に、V.V.を仕留める機会でもあったのだ。それを助け出したロロ諸共処分するというのは間違っていない。

 何より、ジェレミアは自身の独断をルルーシュに隠し立てすること無く報告し、謝罪した上で処断も覚悟していた。忠臣の誠意を無碍にすることもまたルルーシュには出来なかった。

 

 それを思い返すと、ルルーシュは再び画面を見開き、ハッキング作業へと戻る。その様子を気付かれぬように見ていたジェレミアもまた、敬愛する主君から視線を外したのである。

 

 

 この世界にあって、二人しか共有し得ない秘密を持っている主従には、過去以上の絆があったのだ。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 中華連邦軍動く。

 

 その報がトウキョウ政庁にもたらされると、コーネリアは獰猛な笑みを浮かべつつ諸将を招集し、準備通りに号令を下す。

 綿密に用意された侵略行動であったが、中華連邦本国への抗議は「一将軍の独断」ととりつく島も無いもの。

 

 なれば遠慮無く叩き潰してくれるとほくそ笑みながら彼女は出撃を決める。

 

 フロートユニットの試験運用も兼ねて当然特派も出撃していく。ルルーシュからリークされたエナジーウィングのデータをセシルは苦労して解析したが、今はまだ独立ユニットとしての運用が限界でもあったのだ。

 

 

 

「ユフィ。お前にはトウキョウの防衛を託す。長い留守になると思うが、お前も勉強と思って成し遂げて見せろ」

 

 

 

 そして、出撃に際し見送りに来たユーフェミアに一言添えたコーネリア。それまでの過保護のような待遇から、行政について携わる機会を豊富に持たせてあり、留守中の政治に関しては問題は無いだろう。

 

 コーネリアとしてはまだ行政特区なるものを諦めていないのは悩みの一つであったが、それに関しては姉として甘くなるつもりも無く、やれるモノならやって見ろという気持ちである。

 妹の知られざる頑固な一面を知ることが出来たとは言え、自身の心情と異なることまで妥協できるほど柔軟な性格はしていなかった。

 

 

 

「はいっ!! 文官の皆様も協力してくれるそうですので、微力を尽くします」

 

「……まあ良い、お前達。くれぐれも、ユフィをよろしく頼むぞ?」

 

 

 

 そんなコーネリアの期待をうれしく思うユーフェミアの言にコーネリアは、笑顔で文官達を恫喝すると、竣工されたばかりの航空艦へと乗り込む。

 

 笑顔の恫喝に凍り付く文官達だったが、ジェレミアからもユーフェミアの補佐を厳命されて居るため、表だった不正を執り行うことは無い。

 とは言え、彼等もブリタニア人である以上、ブリタニアのために政治を執り行う立場であり、ジェレミア時代のようなナンバーズに寄り添った政策を提言、実行するつもりは無い。

 

 これらへの対処もまた、ユーフェミアにとって立ちはだかる壁でもある。

 

 

 

「新造艦か。天候さえ味方してくれれば、これだけで絶対的な優位に立てたモノを……」

 

「季節外れの嵐にございますからな」

 

 

 

 エリュティアと名づけられたこの艦は海上では無く空中を駆る浮遊艦である。

 

 KMFとは異なり、ブリタニア本国で長年研究されてきたフロートシステムを採用しており、研究チームは特派のフロートシステムの完成度に舌を巻いていたモノの、さすがに長年の技術蓄積を覆すレベルでは無い。

 そんな新鋭艦の指揮所に座し、一路九州へと向かうコーネリアであったが、彼女の進む先には文字通り暗雲が立ちこめる空がある。

 季節は秋真っ只中であり、ちらほらと冬の様相を見せる。台風と呼ばれ、ブリタニア本国のサイクロンと同じく自然災害をもたらすそれであるが、晩秋になれば殆どやってこないとも聞いていた。

 

 

 

「ヤツらはこの事を天祐と喧伝しているそうですな」

 

「ふん、何が天祐か。ならば私が天災となってヤツらを海に沈めてくれるっ!!」

 

 

 

 航空戦力の展開は難しくなるも、海が荒れれば上陸も難しくなるは道理。中世日本がモンゴル軍を撃退したのも海の脅威がモンゴル軍に襲いかかった結果でもある。

 

 

 

 そんな気持ちのまま、コーネリアは持ち込んできた書類に目を落とす。指揮官であると同時に総督でもある身。戦闘の合間には政治家としての役割も求められる。

 そして、コーネリアが目を落とした書類には、ちょうどユーフェミアと同年代の少年の写真が載せられていた。

 

 

 

「…………ルルーシュ」

 

 

 

 静かに、写真の主に対してのコーネリアの呟きが何を意味するのか、傍らに座す騎士にも忠臣にも分からない。

 だからこそ、彼等は口を挟むことは無く、自身の職務へと身を投じるのであった。




大真面目に女装を語るの回終了。実際、あの違和感無い美貌は反則ですね。

濁しておりましたが、ロロはこの物語では退場しています。理由としましては、ルルーシュが愛情を注いだとしても、彼がナナリーとシャーリーを受け入れるのは難しいであろう事。
また、ジェレミアがはじめから仲間に居る以上、彼まで加わってしまうと陣営が強化されすぎてしまうこと。
加えて、敵として残してしまうと言うのはルルーシュとしては有り得ても、ジェレミアとしてはあり得ないであろう事。

等を考えてこう言う結末を迎えさせて頂きました。
原作キャラを不当に死なせた事に関しましては、大変申し訳ありません。

それでは。
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