『勇敢なる中華連邦艦隊の諸君。勇敢なる諸君等の戦いに敬意を表す。海戦は終わった。無事なる帰投と諸君等の名誉が傷つかぬ事を祈る』
巨大な空母が黒煙を上げながら海中へと姿を消していく中、ルルーシュは生き残った艦艇に向け、海戦の終結を呼びかけ、沈み行く艦艇乗組員の救助に向かうよう促す。
福岡ではすでに戦闘は終わり、コーネリアによる中華連邦への糾弾と中華連邦からの曹将軍一派の独断専行という声明が世界中に発せられている。
指揮官の鄭倫提督等は艦と運命をともにしたようだったが、副司令官等は別の艦艇に居り、これ以上の戦闘は無益という判断をしたのであろう、ルルーシュの宣言の通り、先ほどまで続いていた対空砲火は形を潜め、ほどなく救護艇が各艦の下へと駆け寄っていく。
小型艦はすでに沈没しているモノが多かったが、大型艦二隻はいまだに黒煙と炎を上げながら海原を赤く照らしている。
シャーリーはその光景が、どこかこの世のモノとは思えないような、得体の知れない恐ろしさを感じていた。
そして、そのきっかけを作ったのはスザクとカレンの攻撃だったが、トドメを刺したのは闇夜へと消えていった4隻の駆逐艦だった。
「ルル、『ハナノニスイセン』って?」
ルルーシュの終戦宣言が終わるのを待ち、シャーリーは秘匿回線でルルーシュに対して問い掛ける。
スザクとカレンの攻撃が決定打になったとは言え、彼等はたった4隻で膠着していた海戦の趨勢を決めてしまったのだ。
『第二次太平洋戦争の亡霊達さ。かつては、世界最強と謳われた日本海軍最精鋭部隊だ』
シャーリーの問いに、仮面を取り、不敵に微笑みながら答えるルルーシュ。
公方院の隠し球とも言っていたから、秘匿されていた情報を彼が見つけ出したのだろう。実際、澤崎の暴走をキョウトが認めるわけがない以上、その手の内にある戦力を九州に送り込むことは不思議でも無い。
『日本海軍って……、日本侵攻の時に壊滅したんじゃ無いのか?』
『ああ、記録上はな』
『また、なんとも含みのある言い方ね……』
『公然の秘密だからな。おっと、スザクか』
秘匿回線と言っても、リヴァルやソフィーには当然届くため、彼等の反応も予想されたモノである。
実際、ルルーシュの口から日本軍の内情は知らされており、海上戦力などが生き残っているなどと思うはずも無い。
そんな事を考えていたシャーリーだったが、秘匿回線の中に枢木スザクが加わることをルルーシュから知らされてバイザーを下げる。
『ゼロ、中華連邦海軍の処分を勝手に決めるのは』
『何か問題でもあるかね? 中華連邦からすれば、彼等は存在しないことになっているはずだが?』
通信を許可された枢木スザクは、ゼロの他にシャーリー、カレン、リヴァル、ソフィーが映っていることに一瞬眉をひそめるも、先ほどのルルーシュの宣言を咎め立てる。
実際、それでこちらが攻撃に晒されなくなったんだから良いだろう。とでも言いたそうなリヴァルやカレンだったが、言葉には出さずスザクに視線を向けている。
『侵略者の処分は当事者が決めるのが筋だ。君たちはあくまでも友軍だろう?』
『違うな。我々は日本側に組みして戦っている。どちらかと言えば、君たちの下にある皇神楽耶の下だ。つまりは、私達もまた防衛戦争の当事者という立場。現場の停戦は指揮官である私に権限がある』
『神楽耶っ!? 君は神楽耶と手を結んでいるのか?』
『む? 仮にも日本人の君が、国家元首を呼び捨てにするのは感心しないな』
スザクの言い分からすれば、侵略を受けたのはブリタニア領エリア11のキュウシュウ地区である。
だからこそ、停戦も終戦も決めるのは総督であるコーネリアだと言う事であろう。
とは言え、ルルーシュとしてはコーネリアとは停戦しただけで、その指揮下に入ったわけでは無い。むしろ、枢木スザクとアヴァロンという強力な兵器の前に身を晒して危機を救った側とも言える。
こちらとしても、コーネリアとギルフォードの両名に背中を預けられている以上、手は出せない形だったが。
『そんな事より、君たちはっ』
『皇神楽耶か? 日本のために戦うのならば、彼女の下であるも同義と言うだけだ。そもそも私は日本ではなく、力無き者のために戦っているのだしな』
表向きには神楽耶は桐原産業に保護された名誉ブリタニア人である。
とは言え、かつての日本の支配者でもある一族の唯一の生き残りであり、その名声はいまだに大きい。
ブリタニアとしても、いまだに抵抗を続ける“イレブン”達をさらに焚きつける形になることは得策では無い以上、手を出さずにいるというのが実情だ。
『彼女はまだ幼い少女だ。君が利用する事は止めるべきだ』
『利用しているのはブリタニアでは無いのか? その幼い少女から国を奪い、権利を奪い、自由を奪っている。彼女が、名誉ブリタニア人として、虐げられる民を見守ることしかできない現状に追い込んでいる。枢木スザク、君には日本人の血は流れていても、心は残っていないようだな』
ルルーシュとしても、とりあえず誤魔化そうという思いはあったのだが、どうにもスザクと対面すると問答になってしまう。
彼に対して隠し事をしていると言う後ろめたさが残っていることと、どうして分かってくれないんだ? と言う気持ちがやはり残っているからだろう。
シャーリー達に話すことで味方が増えたという事実はあっても、今のスザクにだけは話しても無駄だという事は過去が物語っているからこそのジレンマと言えようか。
「ゼロ、そして枢木少佐。言い分は色々とあるでしょうが、戦闘が終わった以上は福岡に帰投するべきですよ。これ以上止まっていては艦隊に不信を抱かせます」
そんなルルーシュの心情を知るよしも無いシャーリー達は、ゼロがスザクを適当にいなして終わると思っていただけに、ヒートアップしそうな状況に顔を見合わせる。
そして、これ以上ここに止まっていることは得策では無いと判断したシャーリーが二人の間に入る。
戦闘中、後方にて指示を出していたため、スザクもシャーリーの言い分ぐらいは聞くだろうと思ったのだ。
『しかし、停戦はゼロが勝手に……』
「そんなに中華兵を殺したいんですか?」
『えっ!?』
「停戦を認めないと言う事は、この海域を離脱しない中華艦隊を攻撃するつもりと言う事ですよね? それは、中華兵を殺すことではありませんか?」
『そう言う事じゃ無い。ただ、停戦とかそういう協定を結ぶ権限はコーネリア総督にあるから』
「コーネリア総督は遠き福岡の地にいます。それに、今私たちの指揮官はゼロです。貴方は総督の命でゼロと共闘しているのでは無いのですか??」
だが、スザクは頑なに権限に拘り、シャーリーの言にも噛みついてくる。
軍人とはそういうモノかも知れなかったが、それに巻き込まれるこちらの身にもなって欲しい。
『シャーリー、切りが無いから向こうのお偉方に任せて放っておこうぜ?』
『ゼロも。こんなヤツをいつまでも相手にする必要は無いわよ』
『そうだな。シャーリー、アヴァロンに繋げ。こっちは勝手に帰るとな』
それはリヴァル達も同様だったようで、頑ななスザクは扱いが慣れている者達に任せるとあっさり決まる。
「分かりました。こちら前線部隊からアヴァロンへ、ロイド伯爵は居られますか?」
『いるよー? スザク君もそろそろ帰ってきて良いよ』
そして、シャーリーの通信に、問答を聞きながらもしらばっくれていたであろうロイドの声が全員に届く。
スザクの言い分にこちらがどう対応するのかを見ていたのであろうが、ロイドはこちらの期待にあっさりと応えてスザクに帰還を命ずる。
『ロイドさん、しかし』
『スザク君、不満があるのは分かるけど、エナジーフィラーは有限なんだよ~? 福岡まで泳ぐって言うなら止めないけど、ランスロットだけは回収するよ~?』
『……イエス、マイロード』
そして、なおも納得しないスザクに対し、さらりととんでもない事を言うと、スザクも渋々と言った様子で帰還に応じる。
ルルーシュがかつて話したように、どこか頑ななところがある人物だと言う事をシャーリー達もまた納得するしか無かった。
「呆れた、いちいちあんな事に突っかかってくるなんて」
「怒るな。アイツはアイツで面倒な事情を抱えているんだ」
斑鳩に戻ると、ラクシャータに無茶な戦闘についてみっちり説教を食らったカレンは、スザクに対して苛立ちをぶつける。
ルルーシュ自身は事情を知っているため責められる立場ではないが、それでもカレンの苛立ちも分かる。
ルルーシュ以外で事情を知るナナリーもそれまでであれば彼をかばうところだったが、今はそれをして良いのかと言う認識があった。
「でも、戦いには拘っている感じだったけど……」
「それも、色々とあるんだ。ま、今日は疲れただろうし、福岡に着くまでゆっくりしてくれ。慣れない戦いで身体はいつも以上に疲弊しているぞ?」
スザクの事情について知っている様子ではあるが、シャーリー達に話す事でも無い以上はルルーシュも誤魔化すしか無く、周りの者達もルルーシュがそういうときは何度聞いても話してくれないのは分かっているためそれ以上咎め立ては無い。
何より、ルルーシュが言うように身体の疲労も感じている。
ラクシャータが考案したパイロットスーツのおかげで今も高揚状態にあるのだが。
「ルルはどうするの?」
「ミレイと一緒にコイツの隠し場所を検討だ。ルーベンにも色々と聞いておかねばならんからな」
「あらあら、お説教かしら?」
「さあな。感謝はしているが」
そう言って不敵な笑みを浮かべ合うルルーシュとミレイになんとなく胸がちくりとしたシャーリーだったが、やり取り自体はいつものことであるため口には出さず、それならばと空いているナナリーの傍らの席へと視線を向ける。
普段、自分がそこに座っている席が空いていることで、シャーリーは本来の自分の役目を思い返す。
「それじゃあ、戦闘記録とかをまとめておくね。C.C.さん、ナナちゃん、手伝ってもらえる?」
「なに? 私もか??」
「ルルが忙しいみたいだし。C.C.さんじゃ無いと分からないこともあると思って……駄目ですか?」
「……仕方が無いな。言っておくが、私を働かせるなど高く付くぞ?」
「支払いはお兄様でしてくれますから大丈夫ですよ」
そんなシャーリーの提案にC.C.は思い掛けないことと目を丸くするが、シャーリーの悪意の無い問い掛けに仕方なしに折れる。
僅かな負け惜しみもナナリーの良い笑顔に気勢を削がれる。もっとも、支払いを押し付けられたルルーシュは苦笑するしか無いが。
「そもそも、お前は特別扱いだろうが。だが、シャーリー、今は休んで良いんだぞ?」
「他の乗組員は仕事をしているし、リヴァル達みたいにずっと戦って居たわけじゃないから大丈夫だよ」
そんなルルーシュの声に、シャーリーは応じることも無く席へと着く。
ナナリーとC.C.もまたそれに続き、記録されている戦闘結果の分析を開始する。戦闘が終わったとしても後方にはやることが多くあるし、シャーリーもまた、ルルーシュの支えになることを望む以上は、それに手を抜くつもりは無かった。
◇◆◇◆◇
キュウシュウ戦役の終結を告げる報道が流れる中、澤崎等の首謀者達はブリタニア側へ引き渡され、曹将軍をはじめとする捕虜達は中華連邦からの相応の対価と引き替えに中華へと戻ることになる。
九州は再びブリタニアの手に落ちる事になったが、過去のように現地レジスタンスが討伐される事もほぼ無く、中華に組した者達を除き、騎士団と合流してさらに地下へと潜っていった。
今は吉田と井上にレジスタンス達をまとめさせているが、二人は騎士団内の軍政の中心であるため、ゆくゆくは変わりの人材が必要となるだろう。
ルルーシュ自身、はじめはキョウトの支援の元に藤堂に任せようと考えていたのだが、どうにも片瀬の戦死以降精細を欠いており、今回のキュウシュウ戦役でも動きの鈍さが目立っている。
実際、彼等が到着した時にはルルーシュとコーネリアは一時的な停戦を結び、共同で中華連邦軍を追い出していたのだが、彼等はこちらに組するわけでも無く、傍観していただけであった。
『スマン、ルルーシュ……。だが、ブリタニア軍と手を結ぶというのはどういう……?』
「日本の国土を中華に渡さぬ為だ」
『そうか……。君の下には、ブリタニア人も多く居たな』
「それが何か? 私達は日本の解放とともに、ブリタニアの変革も目指す。すでに貴官には告げてあると思ったが?」
『母親が異なるとは言え、コーネリアは君の姉だ。情が移ったと言う事はないのか?』
「であれば、片瀬少将の救出のために正面から戦いを挑んだりはしないな」
『……なれば良い。この借りは必ず返す』
戦いを終え、トウキョウ租界への帰還途上でのルルーシュと藤堂のやり取りであったが、どこか思うところがあると言うのが見える様子に、ルルーシュは片瀬の死に対する藤堂の不信を感じ取ってもいた。
そもそも、片瀬が澤崎と通じていた以上、それを藤堂に話していないはずは無く、藤堂も止めなかった事を考えれば、彼自身もこれを好期と考えていた可能性もある。
元々、桐原等によって英雄としての偶像にされた藤堂だったが、キョウト自体との関係はそこまで良いとは言えない。
片瀬の死自体も、ルルーシュかキョウトの謀殺と考えられないほどの愚か者でも無いだろう。
片瀬達の行動が謀殺に値するモノであった事にも気付かぬまま、シュナイゼルの謀略にはまった過去はあったが。
いずれにしろ、藤堂達の関係は現状のまま、あくまでも日本解放の為の同士と言った位置付けだろう。
仮に藤堂が片瀬の謀殺を察し、ルルーシュと袂を分かつとなっても、キョウトとその勢力は騎士団に組するだけだ。
自力で戦えるのならば戦ってみれば良いと言うのがルルーシュの判断だった。
「そんな状況だからドロテア、君は一度部下達と共にキョウトへ戻ってくれないか?」
「はっ。どうにも、腰が重いようですね……。モニカの状態も気になりますし、お受けいたしましょう」
ルルーシュと藤堂のやり取りを見ていたドロテアは藤堂の煮え切らぬ態度に眉をひそめつつも、療養途上の同僚の事を思い出し、藤堂の尻を叩く事も含めてキョウト行きを承諾する。
自身への反発もあるだろうが、その辺りは覚悟の上でもあるし、名目上の立場も無視できなかった。
「まあ、急ぐ話でも無いからな。せっかくの機会だし、学園祭を楽しんでから向かってくれ」
「学園祭ですか? そのような賑やかな場は……」
「あまり好まないか?」
「そうですね。あまり縁は……」
ルルーシュからすれば、苦労を掛ける事への労りだったが、当のドロテアはあまりありがたくない様子である。
実際、武人気質の彼女は社交界などもあまり好まず、基本的に軍服で参加していた。
ラウンズになってからはその制服自体に価値があるため服装に気を使う必要は無かったが、それ以外の時には批判を受けたこともある。
「ドロテアは士官学校時代も催しは好みませんでしたからね」
「それはお前もだろう? モニカやノネットが社交的すぎるんだ」
ジェレミアは士官学校も含めてドロテア達とは同期である。ロイドやセシル、ラクシャータと言った技術屋も含めて逸材が揃った世代だったとルルーシュは聞いていた。
「まあ、近衛騎士達への慰労と思ってくれ。賑やかな場が好きな者も居るだろう?」
「はっ……。して、殿下。今後は如何なるおつもりですか?」
「うん?」
「先ほどの口ぶりから、今後はコーネリア殿下との決戦となるご様子。しかし、勢いに乗るとは言え、我らの戦力では、勝利したとしても日本を維持することは難しいと思われますが」
ドロテアとしては部下達の慰労に反対する理由は無いし、顔が割れている自分が表に立つわけにもいかないだろうという認識はある。
そもそも、それ以上に今後の事の方が重要でもある。
形の上では騎士団は連戦連勝。とは言え、コーネリア軍とは本気でやりあったと言うわけでもなく、仮にエリア11からブリタニアを駆逐したとしても、ブリタニア本国が逆襲に転じれば結果は同じである。
「俺としても一朝一夕で勝てるとは思っていないさ。何より、小さなブリタニアの反乱軍と日本だけでもな」
「先頃の中華連邦軍に対する配慮はその布石と言う事ですかな?」
「なるほど。コーネリア殿下ではなく、ゼロの名をもって停戦し、彼等も暴走に巻き込まれた被害者と喧伝する。……海軍兵からすれば恩義を感じるでしょうね」
ルルーシュ自身、過去の超合集国に近い形を持って日本の奪還に臨めるのが良いだろうし、中華連邦に対しても黎星刻以外の軍人の伝手が欲しい所ではある。
この辺りはモニカがなにかと動いている様子だったため、彼女の復帰が待たれるが、ジェレミアもドロテアもその辺りで察するところはある。
「あわよくば、ユーロブリタニアも……ですか?」
「騎士道との狭間で揺れているところはあるが、本国への反抗心もまた根強い。ただ、余計なことを企む輩が入り込んでいるという噂もある」
ドロテアは以前にモニカがユーロとEU双方に対する謀略を策定していたことを知っており、ルルーシュとジェレミアはほどなくシン・ヒュウガ・シャイングの暴走によってユーロが。
主戦派であるジィーン・スマイラスの政権掌握とその死による崩壊をきっかけとするEUの弱体化を知っている。
対ブリタニア本国との戦闘を考えれば、それらの弱体化は迷惑でしか無い以上、その辺りに対する対応も必要になる。
そして、それ以上に面倒な問題がルルーシュの側に差し迫っていることも、ルルーシュ自身が感じ取っているのだった。
◇◆◇◆◇
ルルーシュ達が今後の方策を練っているまさにその時。
ルルーシュが感じ取った問題の発信者達は、防衛線とその戦後処理を終え、久方ぶりの姉妹の団欒を楽しんでいる最中であった。
「ユフィも今回は中々勉強になっただろう? 腐っている面もあるが、実務家というモノの力は必要なときもある」
「はい。はじめこそ、迷惑がられておりましたが、少しずつですが学ばせて頂きました」
「それで良い。経験が何より必要になる。それで、例の学生はどうしている?」
優雅に紅茶を口に運びつつ、ユーフェミアの話を聞くことはコーネリアにとっては戦による高を沈めてくれる優雅なひとときである。
以前であれば、政治の場においても飾りの如くあれば良いと思っていたが、なぜか最近はユーフェミアに様々な事を学ばせたいという気持ちがわいてきている。
ユーフェミア自身もそれに応えて成果を上げてくるため、余計に気持ちは強くなっている。
また、以前ユフィの下に現れた女子学生のこともなぜか脳裏に現れていた。
「ロイド博士の帰還を心待ちにしておりましたが、彼女がまとめた実験結果はロイド博士も中々興味深いようでした」
「ほう? あの無礼者がKMF以外に感心を示すとはな。剣でも振るのでは無いか?」
「お姉様、そんな言い方は……。それと、以前お話ししていた彼女の学園のことですが」
「内密に問い合わせてみたそうだな。私の元にも連絡は届いている」
報告自体は外部の。それも一介のテレビディレクターよりもたらされた情報である。
真相に関しては、その後そのディレクターが姿を消してしまったため、今も不明だったが、ユーフェミアとコーネリアが目にした一枚の写真。
そこに写っていた一人の少年の姿に、二人は目を見開くしか無かったのだ。
「アレは間違いなくルルーシュだ。だが、アッシュフォード学園にそのような生徒の在籍データは無い」
「ですが、写真に関して数名に問い掛けてみたところ、おかしな反応をしていたようです」
「ああ。隠し立てしている様子でも無いが、知らないわけでも無いと言うそんな奇妙なモノだったそうだな」
「もう少し時間があれば戸籍を洗い出すことも出来るそうなのですが」
「私達の個人的な事だ。そんな事に官僚達を動かすわけにはいかん……」
「となると、偶然を装うしか無いでしょうか?」
「そうなるな。ユフィ、貴様のことだから当日は枢木スザクを伴うのであろう? ヤツにはくれぐれも余計なことをするなと釘を刺しておけ」
「では、お姉様?」
「ふ、あの狸の口を割らせるには奇襲に限るからな、精々、祭りを楽しむとしよう」
不敵に笑いつつ、紅茶を口にするコーネリア。
しかし、ユーフェミアとしては、その表情にどことなく喜色が浮かんでいることを察する。
アッシュフォードの意図は分からなかったが、8年前に失われたはずの兄弟の生存を喜ばぬはずは無く、コーネリアから見たユーフェミアは余計に分かりやすい。
端から見れば、兄姉の再会が目前に迫った形であったが、当人の意思は考慮されていないところが彼女達らしいと言えば否定できぬ事でもある。
いずれにしろ、別離からの再会の時は目前に迫りつつあったのだった。
更新が遅れてしまい大変申し訳ありません。
職業柄、夏場は早朝&休日勤務などがあり、小説を書く時間の確保が困難になるため、さらに更新が滞るかも知れませんので、ご了承頂けるとありがたく思います。