コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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第三十三話 学園祭②

「まったく、ひどい目に遭ったぜ」

 

「色々と頑張ったみたいじゃない」

 

「頑張ったというか、C.C.の暴走に巻き込まれただけですって」

 

 

 

 トマト塗れになってしまったため、着替えを済ませたリヴァルはそうぼやきながら生徒会室へと戻ったリヴァルを、一仕事を終えてほくほく顔のミレイが出迎える。

 

 ルルーシュに保護されている間にピザにはまったというC.C.は準備を手伝うわけでもなくリヴァルに催促を続けたのだが、さすがに温厚なリヴァルも頭に来て彼女を強引に手伝わせたまでは良い。

 

 実際、料理の腕はたしかなC.C.は文句を言いつつも下準備は問題無くこなしてしまった。そして、本番はまだかと作業中のリヴァル達の下へと向かった時、足を滑らせて仲良く加工用トマトの箱へと落っこちてしまったのだ。

 過去においては所在がバレるとマズいからとルルーシュに突き落とされたC.C.だったが、今回はバレたところでみんなで守るだけだと比較的自由に過ごしていたことが災いした格好だった。

 

 

 

「まったく、ひどい目に遭った……。ところで、ルルーシュはどうしている?」

 

「学園内を走り回っているわよ~。ギアスの事も心配みたいだしね」

 

「ルルーシュとナナリーに対する認識を変えただけだ。キャンセル後は自分の勘違いに驚くだけだろう」

 

「それでもよ。シャーリーに言われたように、責任は背負うつもりなんでしょ」

 

 

 

 リヴァルと同じ事を口にしつつ生徒会室へとやって来たC.C.は、ルルーシュの女装でもいじり倒してやろうと思っていたのだが、当の本人はミレイ達の魔の手から逃れるように会場内を走り回っている。

 開会に先立って、リ家姉妹対策で学園関係者にギアスを掛けたのだが、その影響を気にしているのは端から見ても分かりやすいぐらいだった。

 C.C.からしてみれば、ギアスの呪いを考えればルルーシュは周囲に恵まれており、今回のそれも慎重を期しての事なのだからそこまでの心配はしていなかったのだが。

 

 

 

「みんなが学園祭の記憶を失うことを懸念しているみたいだしな。……会長、なんだかんだで、ルルーシュはここが大切みたいですね」

 

「そうね……。まあ、私自身はあの方を籠の鳥の如く閉じ込めておく事しか出来なかったんだけど」

 

「そんな鳥籠に収まるような器でも無かったと言うことか。私から見たらまだまだ坊やだがな」

 

 

 

 ミレイも祖父であるルーベンもジェレミアやアールストレイム家の者達共にルルーシュとナナリーを守る為に今日まで尽くしてきた事は間違いない。

 だが、それは結果としては狭い鳥籠にルルーシュ達と閉じ込めてきた事に変わりは無い。

 

 事実、鳥籠を飛び出したルルーシュは短期間でブリタニアに対抗する組織を作り出し、日々勢力を拡大している。

 大国ブリタニアからすれば、吹けば吹き飛ぶぐらいの勢力には変わりないものの、日々大きくなり続けるその存在に気付いたときにはすでに手の施しようは無くなっているのではないかともミレイ達には思える。

 

 とは言え、自身を閉じ込めていた鳥籠をルルーシュが自分の帰る場所として大切にしていることは共に戦っている者達には嫌でも伝わってくる。

 ミレイとリヴァルにはそれが喜ばしいし、C.C.には若干の甘さを感じると共に、戻る場所があるうらやましさも同時に胸の内に存在していた。

 

 

 

「その割には、ルルーシュの事をやたらと気にしていないか??」

 

「うるさいぞ。それより、リヴァル。ルルーシュが居ない以上、ジャンボピザはお前に掛かっているんだからな。騎士団の準エースの名に恥じぬ戦果を期待するぞ」

 

「何でここで騎士団の話題が出るんだよ……。まあいい。良いところをお見せするとしましょう……ん??」

 

 

 

 昨年はルルーシュがガニメデを操ってピザを完成させたが、今年はジェレミアの指導も相まってKMFの才能を開花させたリヴァルがそれを担う。

 実のところ、ルルーシュ以上に上手くそれをやれる自信はあったし、その自信を別の意味で与えてくれた人物に感謝もしていた。

 

 

 そんな時……。

 

 

 

「ちょっとすいません、電話です…………もしもし?」

 

『ああ、リヴァルか。久しいな、調子はどうだ?』

 

「エリア内は色々あるけど、俺は特に変わりないよ。そっちは色々と大変みたいだね」

 

 

 

  計ったかのようなタイミングで電話を掛けてきたのは、その才能を受け継がせてくれた人物その人であった。

 

 騎士団への参加は当然隠していたが、それでも学園生活に関する話は以前に比べてする事が多くなっていた。

 ホテルジャック後に帰国してからは、モニカやドロテアの騒ぎもあって、ビスマルクも忙しくなっていたため、ビスマルクからの電話は少なくなっていたが、母リンダからある程度の事情は聞き知っていた。

 

 当然、それは騎士団にとっては有益な情報にもなったのだが。

 

 

 

『今日は学園祭だそうだな?』

 

「そうだよ。前に言ったろ? マリアンヌ様の愛機で巨大ピザ作りをするって」

 

『うむ。それもある程度落ち着いたので、休暇をもらえてな。コーネリア殿下にバレると色々とうるさいので、お前からアッシュフォード氏に取りはからってくれんか?』

 

「は? ルーベン学長に??」

 

『うむ。アッシュフォードなら宿泊先の確保ぐらいは容易かろう? せっかくだし、お前がガニメデを動かすところも見てみたくてな』

 

「ちょっと待ってくれ。もしかして、もう日本に来ているのっ!?」

 

 

 

 ちょうど休憩時間だったこともあり、リヴァルの口調も軽いモノだったが、ビスマルクの言を聞いていると、だんだんと雲行きが怪しくなってきたことを感じるリヴァル。

 

 

 

『うむ。プライベートとは言え、空港の監視がザルで助かったぞ』

 

「マジかよっ!? まあ、学長には言ってみるけど……」

 

『ついでの機会だし、挨拶もさせてもらおうと思っているから、その事も伝えておいてくれ』

 

「いや、もっと早く言えよ」

 

 

 

 親子とは言え、今となっては敵対陣営に属する関係である。

 

 当然、ビスマルクとリンダにその事はバレていないが、さすがと言うべきか、隠し立てが難しくなるタイミングで軽やかに奇襲を掛けて来たとも言える。

 とは言え、以前に比べて父が自分のことを気に掛けてくれるようになったのは喜ばしくもあるのだが……。

 

 

 

「参ったな……。会長、ちょっと面倒なことが」

 

「リヴァルも? こっちもなのよ~」

 

「はい?」

 

 

 

 ビスマルクからの電話を終え、生徒会室に戻ったリヴァルは事の次第を話すべくC.C.と話していたミレイへと声を掛けるも、彼女もまた珍しく困惑気味な表情を浮かべている。

 

 

 

「元婚約者が遊びに来るんだそうだ。まあ、天然皇女と脳筋騎士も一緒だ。その後見人がセットというのもおかしくは無いな」

 

「それじゃあ、ユーフェミア皇女も学長に会うんですか?」

 

「そうみたいなのよ……。伯爵は結婚になんて興味ないみたいだけど、皇女殿下が婚約破棄に対して思うところがあるみたいで」

 

「ますますマズいな」

 

「なんだ? お前の方もか?」

 

「ああ……。と言うより、一番マズいのはC.C.さんだと思うぞ?」

 

「なに?」

 

 

 

 どうやら、思わぬところから奇襲を受けたのはリヴァルだけでは無いらしく、ミレイもまたマイペース軍団の襲撃を受ける羽目になったようである。

 

 加えて、ビスマルクの登場は旧知の仲であるC.C.にとっても面倒くさい事態なる事は明白であった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 その男女が校内を歩くと、当然のように男女を問わずに視線を集める。

 

 それは、兄妹であった時と変わらぬ光景であったが、今日は“姉弟”として過ごすことが二人の使命でもあった。

 

 

 

「…………どうしてこうなった」

 

「お兄様はそういう星の下に生まれたのかも知れませんね……」

 

 

 

 学園祭の事実上の主催者として走り回ってきたルルーシュ改めリリーシャ(ジェレミアの妹より名前借り)は、水泳部カフェの一角にて受けた報告に頭を抱えている。

 その傍らにて、ナナリー改め、“ロロ”もまた、足に付けたギブス擬きを外しながら遠い目をしている。

 

 当初はユーフェミア対策としての女装男装だったのだが、やはりと言うべきかそこにコーネリアまで加わり、さらにはロイド、そして何よりもビスマルクまで加わる状況になってしまっていた。

 

 ユーフェミア等の登場を受けて、カフェに加わっていたモニカ、ドロテア、ヴィレッタとエリンは身支度を調えて各所に身を隠したが、コーネリアに加えてビスマルクともなれば、彼女等が隠れたとしてもその武人だけが持つ気配を感じ取らないとも限らず、行動が余計に誓約される事にもなる。

 

 

 

「ルル、吉田さん達からもちょっと不穏な雰囲気があるみたいな情報が来ているよ?」

 

「……ブリタニアの扇動部隊か。ダールトン辺りが仕込んだか?」

 

「どうする? 藤堂さん達に任せる?」

 

「そのための彼等だしな。……藤堂もそうだが、卜部辺りに朝比奈達をちゃんと止めるよう伝えておいてくれ」

 

「そうだね……」

 

 

 

 今回の祭りに関しては、ルーベンを通じてコーネリアにも秘密裏に情報を渡してある。

 

 一種のガス抜きの意味合いも持たせていたが、キョウトとの関係を疑うダールトンが何らかの手を打ってくると言う予想はしていた。

 彼からすれば、こちらの温情で祭りを楽しんでいるイレブンが勝手に騒動を起こせば鎮圧する理由にもなると言う判断であろう。

 名誉になっていない日本人の中にもブリタニアに飼われることで恩恵を受ける人間はいくらでもいる。

 そんな連中に祭りをぶち壊される事など許せるわけも無いし、藤堂達としても、受け入れられることではない。

 むしろ、藤堂達がそれを察知して攻撃してくる事などもダールトン達からすれば予測済みであろうから、騎士団の介入を察知されなければ問題は無い。

 

 

 

『殿下、ユーフェミア皇女は枢木スザク他、護衛四名とともに校内へ。コーネリア総督は騎士ギルフォード等とともに校庭に。どうやら、ガニメデに興味をしているようですが……』

 

「リヴァルはビスマルク夫妻の案内だし、ミレイもか……。一か八か、俺が行くしか無いか?」

 

「お兄様??」

 

「自分から姿を見せるの?」

 

「疑われるよりはマシだろう。ルルーシュって誰ですか?と言う態度で行けば姉上も馬鹿馬鹿しくなるだろうし」

 

 

 

 モニカからの報告に思案するルルーシュだったが、とりあえず、校舎内のユーフェミア達はシャーリーやソフィーに任せて、まだ御しやすいコーネリアから対処するべきだと判断していた。

 ユーフェミアは行動が読めないところがあるが、コーネリアは良くも悪くも分かりやすい人間であるし、武人特有の嗅覚も、その手の鉄臭さとは無縁のルルーシュには通じない。

 

 本来だったら、実際に搭乗するリヴァルに対応させるべきだったが、あいにくとリヴァルはミレイとともにビスマルク夫妻を伴ってルーベンの下へと足を運んでいる。

 

 はじめはユーフェミアはルルーシュだけじゃなく、ルーベンにもロイドとミレイの婚約の事で一言言うつもりだったようだが、それはミレイ達が懸念する前にロイドが軽くあしらってしまったようでもある。

 皇族に対する不敬などモノともしないロイドだからこそとも言えるが、今回はかつての理解者にルルーシュは感謝するしか無かったが、今となってはビスマルクとユーフェミアをまとめてルーベンに押し付けてしまった方が後が楽だったようにも思えてならなかったのだが。

 

 

 

「贅沢は言っていられないな。ナナリーは上手く隠れて居てくれ」

 

「さすがに女子水泳部に男子がいたらマズいですよ」

 

「お客さんになって居れば良いんじゃ無い? ナナちゃんよく似合ってて大人気だし」

 

「それは、喜んで良いのでしょうか??」

 

 

 

 ナナリーは今回の男装に備えて、あのきれいな長い髪を短く切りそろえていた。

 ルルーシュ自身は反対したのだが、ナナリーは化けるならばそれなりにしないとと言う本人の意思を優先する形を取っている。

 当人は、ベリーショートも悪くは無いし、いざとなればエクステを付けたりしてみたいと思っていたらしく、伸ばしていた髪を切ることに抵抗はない様子だった。

 元々、目が見えなかったことで髪型などはルルーシュや咲世子任せだったため、自分の変化を見ることが出来るのは彼女にとっては楽しくもあったのだ。

 ルルーシュ自身は、どうしても記憶の中にある“彼”の姿が浮かんできてしまうため複雑だったのだが、すでにジェレミアから、その死亡を報告されていたため、何とかその姿を振り払ってもいたが……。

 

 

 

「ルルの方がよっぽどバレそうだけど……本当に大丈夫?」

 

「大丈夫だ、策はある。実力行使に及ばれそうになったら、ジェレミアやドロテアに助けてもらうしな。ナナリーをよろしく頼む」

 

 

 

 実際のところ、女性のように線の細いルルーシュだから成り立っている女装だったが、それでも体つきなどをよく知る者が見たらバレる可能性もある。

 ルルーシュ自身は煙幕をはじめとしてアクシデントを装った逃亡工作を随所に仕掛けてあったが、コーネリアとギルフォードがその気になったら逃げ切れる自信は正直無い。

 

 とは言え、正体がバレてしまえば、ジェレミアやドロテアが身を隠す必要も無くなるため、二人や近衛騎士達に対処してもらう方が効率的だった。

 

 

 

「大丈夫かなあ?」

 

「お兄様は良くも悪くもしぶといですから大丈夫ですよ」

 

「そうだね。それじゃあ、ナナちゃん、いや、ロロ君もイベントを楽しんでね~」

 

「えっ!? は、はいっ!?」

 

 

 

 はじめこそ、ルルーシュの心配をしていたシャーリーだったが、その様子にクスリと笑ったナナリーをロロとして水泳部カフェへと連れて行く。

 

 

 

「あ、ロロ君来たわねっ!!」

 

「きゃあ、かわいい。こっち来てこっちっ」

 

 

 

 途端に歓声を上げる水泳部員や女子生徒達と一部男子生徒達。

 ルルーシュがかつてそうだったように、男装したナナリーもまた、学園の女子と一部男子の視線を集めるアイドル的存在であったのだ。

 

 

 

(お兄様はこのような戦場を……っ!! 私も、ここを生き残って見せますっ!!)

 

 

 

 と、そんな状況にちょっとズレた決意を抱いたナナリー。

 彼女がやって来たユーフェミアとスザクに声を掛けられたのはそれからまもなくであったのだが、大勢の女子生徒に囲まれる“ロロ”としてのナナリーにユーフェミアは人違いだと思ってその場を後にするのだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 中央の舞台ではナイトメアが器用にピザ生地を回していた。

 

 

 

「上手いモノだ。ビスマルクも良い息子を持ったな」

 

「ありがたき御言葉。ですが、軍には興味を持っておりません」

 

「そうか。しかし、あの動きを見るに、中々のモノだぞ?」

 

「ジェレミアの手ほどきと聞いております。自分自身や身近な者の身ぐらいは守れるようにと」

 

 

 

 学園内部に用意された応接室である。

 

 ガニメデを観覧していたコーネリアはその後リリーシャを名乗るルルーシュそっくりの女子生徒に会い、ニーナの口から語られた生徒が彼女だと見抜いたが、あいにくとその正体にはたどり着けぬままユーフェミアを探しにそこを離れた。

 だが、校舎内に入ったところで目に入ったのは、ユーフェミアではなく、別の意味で見知った男の姿だったのだ。

 

 

 

「ルーベンも水くさいぞ。ビスマルクの息子を預かっているならばなぜ私に言わん?」

 

「申し訳ありませぬ。ヴァルトシュタイン卿もリヴァル君本人も公にされることを望んでおりませんでしたが故に……」

 

 

 

 このやり取りは二度目であったが、ルーベンの返答は変わらない。

 

 最初の時は、コーネリアに軍への口添えも含めて誘われたリヴァルが断固拒否をして、ビスマルクが慌てるという滅多に見られない状況になったりもしたのだ。

 コーネリアとしては、自分に真っ向から楯突く若者の姿と慌てたビスマルクという珍しい構図に満足したため、特にリヴァルが咎め立てられたりすることは無い。

 

 

 

「ジェレミアめ……。総督としての才だけでなく、教導の才まで有していたか。……惜しいことをしたモノだ」

 

 

 

 コーネリア自身は、ドロテア、モニカも含めてその生存を知っていたが、ビスマルクは知らぬ事である。

 彼女の言には、死したるという表向きの事実に対するモノとつまらぬ謀略によって敵陣に走らせたと言う事実に対するモノの両面がこもってもいる。

 

 

 

「軍を退役し、ルルーシュ様とナナリー様の眠るこの地で生きることを誇りとしておりました」

 

 

 

 無言のままのビスマルクに対し、ルーベンが台本通りの台詞を口にする。

 

 ルルーシュ達に対する真相とジェレミアに対する真相をそれぞれ知るビスマルクとコーネリアはその白々しい演技に苦笑するだけであったが、片方の事実をまるで感づかせなかった事に関してはルーベンの狸ぶりも中々のモノと言えた。

 

 

 

「しかし、ガニメデをこう言った形で日の目を見るとはな」

 

「ロイドが興味を示していただけのことはある。KMFを戦い以外の事に用いるとはな」

 

 

 

 元々、ルーベンはマリアンヌの後援としてKMFの開発に取り組んできていた。その中で、新世代機として、またマリアンヌの人間離れした機動に耐えうる関節部分の強化やさらなる進化を見越した拡張性の高さなどをふんだんに盛り込んでいる。

 戦いに特化した今のKMFとは一線を画す存在でもあったのだ。

 

 

 

「私の夢の形見でもありますからな」

 

 

 

 しみじみとそう語るルーベンに対し、コーネリアもビスマルクも特に言及することは無い。

 

 立場は違えど、一人の女性に魅入られ、その存在のために全力を掛けた者達であるのだ。

 ルーベンが形見と告げたように、ビスマルクにもコーネリアにもその存在は傷として心の奥底に残っている。

 

 

「……邪魔をしたな。ルーベン、マリアンヌ様の、そしてルルーシュとナナリーに対するお前の気持ちは理解した。今後もよろしく頼む」

 

「はっ……」

 

 

 

 いずれにしろ、当初の目的を果たすことは出来なかったコーネリアである。

 

 ガニメデを通じて、尊敬する人物の生きていた姿を思い起こすことが出来たのは喜ばしかったが、お忍びの外出をいつまでも続けるわけにもいかぬ以上、長居は無用であった。

 

 

 

「ビスマルクもすぐに発つのか?」

 

「はっ、今日は家族で過ごし、明日には」

 

「そうか……。公に出来ぬ立場である以上、共に過ごせる時間を大切にすることだな」

 

 

 

 帝国最強の男もまた、家庭に戻れば一人の父親である。

 立場上、家族の存在を明かせぬ立場ではあるが、それは皇帝への忠誠を第一に掲げる彼には似合いの立場であろうとコーネリアは思う。

 

 父シャルルの思想や行動には共鳴できぬ面もあったが、ビスマルクにはビスマルクなりに忠義を尽くす理由があるのだろうとは思う。ゆくゆくは敵対する未来もあるかも知れなかったが、今はその時でも無い。

 何より、自身が妹を大切に思うように、彼にも国以外に守るモノがあるという事実はコーネリアにとっては共感せざるを得なかった。

 

 

 

「ユフィ、待たせたな。戻るとしよう」

 

「はい……。お姉様、私のわがままにお付き合い頂きありがとうございました」

 

「なに、私も有意義な時間であった。……ルルーシュ達の事は残念だったがな」

 

「そうですね……。ニーナにも勘違いを謝られましたし」

 

「女性だと聞かなかったのは我々だ。さて、戻るとしよう。枢木、分かっているな?」

 

 

 

 目的を達することは出来なったとは言え、ユーフェミアもまた祭りというモノを楽しめたと言う。

 それでだけでも、自由な時間を満喫した価値はあるだろうとコーネリアは思っていた。

 

 

 

 しかし……。

 

 

 

「それで、ユフィは学園に残ったというのか?」

 

「はっ。なんでも、やり残したことがあると……」

 

「どうせ特区の事であろう……。あの生徒も言い過ぎを謝ってきたが……。まったく、あの子の奔放さは誰譲りなのだ??」

 

 

 

 政庁へと到着したコーネリアを待っていたのは、ユーフェミアとスザクの乗った車が車列に居なかったという事実であった。

 どうやら、自身の特区案を全否定したあのリリーシャという女子生徒に話を聞きたくなったらしく、コーネリアを見送ったまま学園へと戻ったのだという。

 

 護衛達もまた、ユーフェミアの命令に刃向かうことも出来ず、政庁に到着するまでコーネリアやギルフォードに伝えることは出来なかったのだった。

 

 

 

 

 アッシュフォード学園を揺るがす嵐はまだまだ続くことになるのであった……。




毎度のことですが、投稿間隔が空いてしまい申し訳ありません。夏の間は早朝勤務もあって時間の確保が難しいです。


ラウンズ組は若干オリキャラ風になっていますが、原作キャラの口調等に違和感等々はあるでしょうか?
立ち位置が異なれば行動や口調も変わるかも知れませんが、今のところは原作通りのキャラで行こうと思っているところですが、おかしな点や指摘する部分などがありましたら是非とも御指摘ください。


それでは。次回は早めに投稿できるよう、頑張ります。
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