コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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原作設定との乖離がいくつか見られるかも知れません。一応、自分なりの考察も含めた内容になりますが、明らかにおかしい点があるかも知れません。


第七話 Cの変化

 一つの運命が転機を迎えたそれは、転機を作り出した者の想像を遙かに超える変化を生み出していた。

 そして、それは神と人間の狭間とも言える空間にたたずむ男たちの目の前でも確実に起こっていた。

 

 

「こぉれわぁ…………」

 

 

 その場には見上げるばかりの長身と鍛え抜かれた肉体を持った二人の男。そして、痩身の少年、いや青年期に入ろうかと言える一人の男がたたずんでいた。

 そして、三人の視線の先。そこには、つい先日まで地の奥底から天空の彼方にまで伸びる人と人ならざる者の融合体とも言える物体。

 それが、らせん状に折り重なり、地の底から天空まで伸びる。

 

――それは、“集合無意識”と呼ばれる人の心と記憶が集まった存在であった。

 

 不気味に折り重なるそれは、三人の男達に様々な知識。そして、人の意識を教え、今日のこの日まで世界支配とその先にある野望を推し進める原動力となって居たモノ。

 

 しかし、同志の一人であったマリアンヌの死。

 その時から、集合無意識は変質し、彼等の呼びかけに死者が答えることも、生きる者達の意識を呼び起こすことも不可能になっていたのだ。

 そして、それとは異なる変化に身を置く男もまた。彼は元々はV.V.と呼ばれ、皇帝の影として生きてきた人物であるのだ。

 

 

「どうやら、僕の身体とも関係があるようだね」

 

 

 そう口を開いたV.V.、つい先日までは幼い少年の如き身体であったその男は、たった数日で青年とも呼べる年齢にまで肉体が成長していた。

 それは、彼が持つ人ならざる力の証が消え失せたことを意味していたのだが、他の二人の男に彼の口からそれが告げられることは無かった。

 言わずとも察するだけの知見も洞察力も持つ二人に、今更言っても無駄なことだというのがV.V.の考えである。

 とは言え、それが他の二人からの不信を買っている事に気付かないのは、彼の軽率さであろう。

 

 

「シャルル。いずれにしろ、状況を打開するためには他の遺跡も調べる必要がある。計画に変更は無いよ」

 

「そうですな……」

 

「そう落ち込む事は無いよ。まあ、こんな姿になった以上は多少表に出ても大丈夫だろう。シャルル、今回の事、ビスマルクだけじゃなく、僕も出させてもらうよ? 上手くやっておいてね」

 

「兄さんが? しかし……」

 

「マリアンヌが死んだ以上、手駒はいるよね? シャルルは優しいから、戦争のことは僕に任せておきなよ」

 

 

 端から見れば、親と子以上に年の離れた両者の会話。だが、シャルルがV.V.に逆らうことは無い。すでに、50年近い歳月を、このような関係のまま過ごしてきたのだ。

 もちろん、そう思っているのはV.V.の方だけであるのだが。今は、両者の間にある隔たりも表だってはいなかった。

 しかし、計画の遅延を余儀なくされた彼等。それは、巨大な暴力を行使できる子どもであった。

 一つのイレギュラーが、1人の少女の未来を救う。だが、それは異なる時空にあって、生まれなかった悲劇を生み出す要因になろうとしていた。

 

 

「陛下、よろしいのですか?」

 

 

 V.V.が“黄昏の間”より姿を消すと、シャルルの傍に跪く男、ビスマルク・ヴァルトシュタインはゆっくりと口を開く。

 V.V.の変質とマリアンヌの死。これが繋がっていないとは思っていなかった。

 彼からしてみれば、V.V.もまた仕えるべき主の一人。だが、一人の騎士としては、主君は目の前の男ただ一人であり、個人としても彼が仕えるべきもう一人はすでにこの世を去った女性であったのだ。

 

 

「捨ておけい。……兄さんは、嘘をついた。ただ、一度だけならば許そう。何より、表に立ってくれた方が牽制はしやすい」

 

「ですが、あの御方は」

 

「賢しく、残忍な手法を好まれる。兄さんは、正しく子どものままだ。ならば、好きにさせてやれい」

 

「はっ……」

 

「名目上は、ラウンズに加える」

 

 

 苦々しげな表情を浮かべつつも、自身の“兄”を憎むことも、否定することも出来ない弟。だが、彼は幼き日において時間が止まった兄と異なり、為政者として人の世の善も悪もすべてを見てきた。

 嘘が如何に罪深いことか、彼は身に染みて知っていると同時に、人の弱さ故の嘘がある事もまた知っているのだ。

 

 

「戦に関しては当初と変わらぬ。準備を急がせよ。ワシはしばらくここにいる」

 

「ははっ!!」

 

 

 そして、ビスマルクに背を向け、変質した集合意思へと視線を向けたシャルルは、もうビスマルクを見てはいなかった。

 会話は終わり。すでに、何年も執り行われてきた主従同士の合図でもあった。

 

 

「やれやれ。厄介なことになったな」

 

「むっ!?」

 

 

 そして、一人黄昏の間にたたずむシャルルの元に、ゆっくりと近づく影――C.C.は先ほどまでの主従同士の会話を物陰から聞いていた。

 元々はシャルルだけに用があったのだが、V.V.はどうにも苦手な人間であり、姿を消すまで待っていたのだ。ビスマルクも苦手ではあったが、こちらはいらない言葉を吐かないだけマシでもある。

 

 

「しかし、愛した女の葬式にも出ずにこんなところに引きこもりか? 良い身分だな。皇帝というモノは」

 

「……ふん」

 

 

 そんなC.C.の言にシャルルはすねるように顔を背ける。V.V.は感情を隠さずまるで子どものようなわがままを平然と通そうとするが、シャルルもまたこう言った子どもめいた一面は残している。

 このような場であれば、泣きわめいても良さそうなモノであるが。

 

 

「年端のいかぬ小僧に八つ当たりした上に引きこもりか。まあいい、約束が果たせそうも無い以上、私もお前等に付き合う義理は無いのでな」

 

「儂を一人にするつもりか?」

 

「王の力はお前を孤独にする。前に言ったはずだろ?」

 

 

 自分もまた去る。その事実にシャルルは不満を隠そうとせずC.C.を睨む。とは言え、彼女をどうにかするには手勢も何も無い状況である。

 それに対し、遺跡を通じたその先には彼女の下にある嚮団のギアスユーザー達が待機していることは理解できる。

 頼みのギアスも、コードを保持する彼女には通じないのである。腕力で制圧できないわけでも無いが、そうなればギアスユーザーは自分に牙をむくであろう。

 女の身であるが、そこいらの精鋭並の護身術は身につけているC.C.である。ユーザー達が駆け付けてくるだけの時間ぐらいは稼ぎ出すであろう。

 何より、孤独という事実がシャルルには重く突き付けられていたのだ。

 

 

「私がここを去った後の事は好きにすれば良い。ユーザー達の行き場は無いし、お前が好き勝手した以上は責任を取るべきだ」

 

「ギアスを与えた貴様の責任はどうなる?」

 

「さてな? 私はC.C.だからな」

 

 

 そう言うと、C.C.はゆっくりとシャルルに背を向ける。その気になれば、嚮団から姿を消すだけで良かった。シャルルにわざわざ暇を告げたのは彼女なりの義理でもあった。

 だが、同志が次々に去って行くという事実を前に、シャルルにそんな事情が通じることも無かったのである。

 

 

 一人、黄昏の間に佇むシャルル。

 

 自分はいつも一人なのだ。端から見れば、行ってきた所業、これから成すであろう所業の結果であるのだが、権力者というモノは得てして自身の行動の結果、起こり得た報いを受け入れがたいモノでもある。

 

 

「むっ……?」

 

 

 そんなシャルルの元に近づく一つの影。その姿に、シャルルは驚きとともに目を見開くしか無かった。

 

 

 

……世界は史実とは異なる小さな変化を起こしながらも、激動の時代を迎えようとしていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ネックはやはりV.V.か」

 

 C.C.の話を聞き終えたルルーシュは瞑目しつつそう口を開く。目的のためには手段を選ばない男である。それ故、自身の嘘を正当化し、結果として自身が信じた男に切り捨てられた。

 

 

「お前が言っていた思い当たることと言うのはV.V.の変化か。つまり、ヤツの身体からコードは消えていると言うことか?」

 

「それは無いと思う。あいつは何度も死にかけている」

 

「私もそう思います。あの気性ですから内外に敵は多く、何度も暗殺の危機に晒されておりますが」

 

「まるで不死身のようと言う事か」

 

「都合良く、その力だけが残ったのかも知れん。だが」

 

 

 ある程度の予測は3人にも共通している。V.V.の変化を間近で見た以上、C.C.とジェレミアには思い当たるところがあったし、状況を考えるにルルーシュもまた過去とは異なる変化を実感せざるを得ない。

 そして。

 

 

「俺が来たならば、ヤツの不死性も消えたかも知れない」

 

「確証はないがな。お前、シャルルからコードを奪ったというが、それはどういった経緯だ?」

 

 

 ルルーシュの言にC.C.もジェレミアも肯きつつもやんわりと疑念を呈する。

 そして、C.C.が口にしたのは、話の合間に話されるルルーシュ達の過去のこと。とりわけ、シャルルからコードを委譲された可能性に対する言及には興味があった。

 そして、ルルーシュは上着を脱ぎ、Yシャツの胸元を開く。だが、予想していたモノを目にすることは出来なかった。

 

 

「コードそのものが消滅した可能性もあるな」

 

「V.V.が保持したままという方が確率が高そうですが」

 

「……つまりは、ヤツが俺のことを嗅ぎつけ、やって来たところを返り討ちにするしか無いと言うことか」

 

「コードが消えるならば、それはそれで良いのだがな」

 

「C.C.」

 

「なんだ? 同情でもしたか?」

 

「それは分からない。だが、過去において、……お前が俺の知るC.C.では無いことは分かっているが、俺はお前との約束は果たせなかった。今回もまた、それを果たすということは約束できないだろう。だが、それでも俺は最善を尽くすつもりだ。……頼む。今回もまた、俺に力を貸してくれないだろうか?」

 

「陛下?」

 

 

 そこまで話すと、ルルーシュはゆっりとソファーを立つとその場にしゃがみ込む。それはまるで、臣下の礼を取るかのような仕草であり、彼なりにC.C.に対する礼儀のつもりなのであろうか?

 

 

「なんの真似だ?」

 

「俺なりの礼儀だ。他者に頭を下げるなど、スザクに対して土下座をした時だけだが、お前には、いや、仲間として助けてほしい者達には筋を通すべきだと思う」

 

 

 と、2人が感じていた疑問をルルーシュが口にする。ジェレミアからすれば、主君のこのような態度を見るのは初めてであったり、誇り高いルルーシュが他人に対して頭を下げるという行為には驚愕しかない。

 だからであろうか、彼自身もC.C.に対して膝を折る。主君が成すならば自分も。彼はそう言う男であった。

 とは言え、下げられた方もまた、そう言う事に慣れていない。と言うわけでも無いが、それは大分過去のことであり、いうなればバツの悪さも感じている。

 

 

「言っておくが、私は私であって、お前と時を過ごした女じゃ無い。用済みになったら、好きにさせてもらうぞ? それでも良いのか?」

 

「ああ。お前を縛れるとは、はじめから思っていない」

 

「分かっているならば良い。なぜなら私は」

 

「C.C.だからな。だろ?」

 

「ふん」

 

 

 目を背け、面白く無さそうにそう口を開いたC.C.は主導権を握られた悔しさからか、その場を辞すとルルーシュの部屋へと向かう。

 すでに慣れた事とは言え、さすがに咎め立てるべきであろうか。

 

 

「どこへ行くんだ?」

 

「もう遅いからな。寝る」

 

「部屋なら用意するぞ?」

 

「男は床で寝ろ」

 

 

 そして、何回と無く聞き慣れた言葉を言い放つと、C.C.はルルーシュの私室へと入っていく。

 やはり、どの世界でもC.C.はC.C.だと言うことを主君と忠臣は顔を見合わせながら肩をすくめるしかなかった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 いまだ、積もる話が残っているであろう主従を残し、C.C.は持ち主の寝床を奪う形でそこに寝転がる。

 たった一日。それが彼女にとっては数少ない想定外が起こり過ぎた一日でもあった。

 

 

(あのヘボ画家に捕まったのが運の尽きだったな。ルルーシュと出会えたから良しとすべきところだったのに。青臭い坊やかと思えば……)

 

 

 マリアンヌの言に踊らされ、数年間追い求めてきたコードの後継者候補。あの女の息子である以上、一筋縄ではいかないと思っていたのだが、思いの外図太いと言うべきか、過去とやらの経験値を得ていて、しかも自分の目的すらも熟知している様子。

 

――この囚われの生を終えること。

 

 即ち、死を迎えることが自分の望み。それが叶うように協力するというのは、端から見たらとんでもない話でもあるのだが、目的を知っているならば話は早い。と安堵することも難しいだろう。

 V.V.のコードが変質していて、過去においてはルルーシュがシャルルを介してそれを奪い取った可能性がある。

 そうであれば、自分がルルーシュに協力する筋合いも無い。最悪、シャルルに押し付けてしまうしかない。

 だが、V.V.に起きた変化と同時に、Cの世界にも変化が起きているのはあの時のシャルル達の様子から予想は付く。

 いずれにしろ、計画に大幅な遅延が発生したことは間違いないだろう。となれば、シャルルとてギアスを手放す余裕は無くなっているかも知れない。

 

 

「まったく」

 

 

 今日は色々と想定外の事ばかり起こる。長き時を生きてきて、どこか達観している面があると思っていたが、たかだか20年前後しか生きていない若造二人に振り回されているように思えたのだ。

 

 

「なんだC.C.? 寝たんじゃないのか?」

 

 

 乱暴に扉を開け、部屋から出るとまだ話し込んでいる二人が目を向けてくる。

 

 

「うるさい。黙ってしゃべっていろ」

 

「不可能なことを言うなっ!!」

 

 

 自分でも滅茶苦茶なことを言っていると言う自覚はある。だが、私はC.C.。誰の指図も受けないし、誰の支配も受けない。

 ルルーシュ達を無視して浴室へ向かい、シャワーを捻る。冷水であろうと構わず頭から浴びる。冷たさが身に染みるが、苛立った頭を冷やす効果も少しはあった。

 

 

(誰かのために生きた事など……、そう言えば、あいつは元気なんだろうか?)

 

 

 ふと、脳裏によぎった少年の姿。母性が目覚めたのか、孤独でありながら生きること、人の心に寄り添うことを願った少年。

 だが、それは彼の心の弱さでもあり、ギアスの暴走から達成人への道の過程で彼はギアスに敗れてしまった。

 出来る限りの手は尽くしてきたが、それは孤独から脱することを願った彼をさらなる孤独へと誘う結果になってしまった。ルルーシュでは無いが、それは自分の罪の一つだろうとC.C.は思った。

 それに、彼だけでは無い。自分がコードユーザーとして生きてきた長き時の中で、多くの人間にギアスを与え、その絶望を生み出してきている。

 だからこそ、私は魔女と呼ばれても否定はしないし、それを悔やむことも無い。彼等は力を望み、力に敗れた。

 だがどうしても、心の奥底に引っ掛かるモノは存在していた。

 

 

『C.C.? 聞こえてる~? ちょっと、いつまで無視しているのよ?』

 

 

 そんな時、脳裏にこだまする女の声。散々聞き慣れたこの女の声であったが、この奔放さにも慣れたモノだった。

 

 

「聞こえている。なんだ?」

 

『なんだじゃ無いわよ。ルルーシュと契約できたの??』

 

「…………お前」

 

 

 やや感傷的になっていたC.C.に対し、どこまでも自分主体なマリアンヌ。

 ジェレミアが直接言及したわけでは無いが、ルルーシュの反応を見れば、アーニャという少女に宿り、そこから追い出されたようだが、今はどこでどうやって生きているのか。

 

 

『なに? 出会えたって言って無かった?』

 

「おかげさまでな。仲良く蜂の巣になるところだったよ」

 

『はあ? 何があったのよ?』

 

「お前のところの別の馬鹿息子のせいでな。だが安心しろ。契約は出来た」

 

『馬鹿息子? ああ、クロヴィスの事? あんなの息子でも何でも無いわよ。別の女が産んだ子なんて興味ありません』

 

 

 自分の子どもにだって興味が無いクセに。とC.C.は言いかけて止めた。

 この手の嫌味が通じる女じゃ無い事はC.C.も分かっているし、言ったところで『興味はあるわよ? コードの器として』とか平気で言い放つだけだろう。

 

 

「仮にも皇妃だったんだから文句ぐらい受け止めろ」

 

『だってもう私、死んじゃいましたし~』

 

「死人なら話しかけてくるな」

 

『なによ~。今までもずっと話に付き合ってくれたじゃない』

 

 

 このような軽口は日常茶飯事であり、暇なときなら良いがこう言うときには面倒くささしかない。言いたい放題言い合えるのは楽ではあるのだが。

 

 

『そう言えば、ジェレミアだっけ? あの面倒くさいヤツには会ったの? エリア11に居るみたいだけど』

 

 

 ようやくシャワーが温まり、汚れを流し終え、身体を拭き始めたC.C.にそれまで他愛の無い話を続けていたマリアンヌが聞き慣れた名を出す。

 

 

「……誰だそれは?」

 

 

 一瞬、動揺しかけるが何とかごまかすことが出来た。下手に情報を与えすぎると、彼女が言うように面倒くさい状況になりかねないのだ。

 

 

『エリア11に領地を持っている辺境伯よ。若いのに軍に正式所属しないで顧問みたいな立場になっているけど、あいつのせいで私はひどい目に遭ったのよ』

 

「お前がか?」

 

『C.C.が知らないならV.V.かしら? 変なギアスのせいで危うく消えかけたのよ。仕返ししたいから、ルルーシュをけしかけて捕まえておいてよ』

 

「知るか。私はもう寝るんだ。もう声を掛けてくるなよ」

 

『言ったからね。それと、ルルーシュがダメなら、いい加減諦めなさいよ? 中華のあの子みたいになったって知らないから』

 

 

 子どもの喧嘩みたいなことを言い出すマリアンヌであったが、今に始まったことでは無い。自分が言うのもなんであるが、シャルルにしても、V.V.にしても、計画に賛同した者達はビスマルクを除けば等しく子どものような側面を持った人間達ばかりである。

 そう言う人間だからこそ、あのような無茶な計画を立てられるのかも知れなかったが、それが世界を巻き込む以上、ルルーシュ達からしたら放って置くわけにも行かないのだろう。

 

 

「まったく、何をやっているんだ私は……」

 

 

 そして、そんな面倒くさい親子喧嘩に本格的に巻き込まれてしまった。自分でルルーシュに近づいたのだから仕方が無いとは言え、それでも腹立たしくは思える。

 

 

「まったく、お前達のせいだぞ」

 

「だから、何がだ?」

 

 

 身体を拭き終え、勝手に借りたYシャツを羽織ったC.C.はマリアンヌに振り回された代償の矛先を息子と忠臣へと向ける。

 

 

「私を巻き込んだ責任はちゃんと取ってもらうからな」

 

「だから、望みをかなえるために努力すると言っただろ?」

 

「そうだ。それを忘れるなよ」

 

 

 そう言い放つと、C.C.はルルーシュの部屋へと戻り、ベッドに身を預ける。時間は深夜を回り、久々に外の世界へと解き放されたのだ。体力も落ちていて疲れはたまっている。

 先ほどのやり取りも、ルルーシュ達からしたらわけが分からない状況であろうが、C.C.自身もルルーシュ達のせいでわけが分からない状況に押し込まれているのである。

 いっそマリアンヌのことも言ってしまうか? そう思ったC.C.であったが、それもさっさと頭から振り払う。

 ルルーシュはおそらくマリアンヌの所業は聞き及んでいるだろうし、ジェレミアはジェレミアで虚像としてのマリアンヌを慕っていた様子。

 その虚像を崩すというのは面白くもあるが、悪趣味なことこの上ない。いずれにしろ、マリアンヌの幻影に振り回される日々は続くことになるのだろう。

 こみ上げてきた睡魔を自覚しながら、C.C.はそんなことを考えたいた。すでに、ルルーシュ達に対して無意識のうちに仲間意識が芽生えていたことを彼女自身が自覚することは無く。

 

 

――それ知っているのは、彼女の周囲を包む光と傍らに落ちた白き翼の持ち主だけであった。




誤字脱字指摘をしてくださった方々、どうもありがとうございます。チェックはしているつもりなのですが、申し訳ありません。

ジェレミアやC.C.の状況語りは後一話ほど書き、本格的に物語を動かしていこうと思っています。
一日数話の連投は今日までで、今後は平日は一話、土日は数話という形で連載できたらと思っております。

今後ともよろしくお願いします。
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