コードギアス ~生まれ変わっても君と~   作:葵柊真

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第17話 決断の刻

 ドロテア達とグランストンナイツ達が膠着状態になったことはリヴァルの目からも分かっていた。

 

 戦力差は単純に倍以上にも関わらず互角の勝負を演じているドロテアと近衛騎士達はさすがはラウンズと言うべき存在だと思う。

 特にドロテアはグランストンナイツ4機を相手取ってなお優勢のまま相手を翻弄しているのだからもはや何も言えない。

 

 

「吉田さん、俺達は支援に徹する形で良いんですよね?」

 

『ああ。下手に前に出てドロテア達の邪魔になってもしょうが無い。全員、誤射だけはするなよ? 近衛騎士達がわざわざ目立つ塗装にしてくれているんだからな』

 

 

 第二陣として外壁内部に待機していた吉田に対して戦線を上げるよう依頼してきたのはドロテアの副官であるポラードである。

 ドロテアはコーネリアや他のブリタニア指揮官級の例に漏れず前線に立つ事を好むため、副官である彼が司令塔として全体を見据えることが多い。

 騎士団内部ではルルーシュをトップとする組織であるが、それでも戦場全体を完璧に把握し尽くす事は不可能。

 いや、不可能ではない天才でもあるのだが、それでも一瞬が勝負を決めるのが最前線である。

 

 だからこそ、現場レベルの判断に関してはルルーシュも介入することは無い。

 

 今回もポラードの依頼を吉田が了としたためゼロ―モニカ・刑部の首脳達へは報告のみで第二陣を動かしている。

 これはバリバリの軍人や経験豊富なレジスタンスが多いKMF部隊だからこそであり、まだまだ寄せ集めの域を出ていない火砲、戦車、歩兵などの各部隊の指揮官達をモニカや刑部は預からねばならないという事情もある。

 

『それでも俺にとっては楽なモノだ』

 

 と言ってのけたルルーシュにはさすがに呆れたリヴァルだったが、ルルーシュとしてみれば扇がモニカに、南が刑部に変わった状況を考えればそれも当然であろうだろう。

 扇はやはり調整役が適任であるし、南も両国の事実上の最高指揮官経験者と比べられるのは酷なモノ。

 そんな事情を知らないリヴァルは当面は現場の駒として役割を全うするだけだった。

 

 

『ポラード卿、遅れて済まない』

 

『感謝する。早速だが、6隊に分けられるか?』

 

『ああ、問題無いぞっ!!』

 

 

 そして、ランドスピナーを駆って外壁より外に出たリヴァルの耳届く爆発音。

 火砲などの撃ち合いに加え、廃墟を利用した歩兵同士の攻防も方々で起こっている。そして、その合間を縫ってKMF同士が激しい市街戦を展開している状況だった。

 ブリタニアは基本三機連携にて攻撃を掛けてくる。コーネリア直属が出てくればより鮮明に格闘戦が発生するだろう。

 技量で勝る近衛騎士が単騎連携で動いている事はすでにブリタニア側も把握している以上、その連携を崩す事こそが肝となる。

 

 

『交戦状況は各自で把握してくれ、砲撃対象などは可能な限りこちらで支持する。把握不可能な場所に関してはゼロ機を中継して指示をだす』

 

 

 吉田の指示が各機へと飛ぶと、皆ファクトスフィアで素早く戦場情報を拾い、指示通り4機編成にて近衛騎士達の交戦域へと展開していく。

 

「ポラードさん、突出している機体は何があったんですか?」

 

 そんななか、リヴァルは中央部へと突出した機体を見つける。他の近衛騎士達はドロテアを頂点に弧を描くように展開しているのだが、その機体だけは例外だった。

 

『“シュタットフェルト”を引っ張り出すためにエリンが突っかかりにいったんだが、ダールトンが予想以上に出てきてしまっていてね。現在交戦中だ』

 

 第42大隊は魚鱗の最後尾にあり、グランストンナイツ達をかき分けて前線に出てくることは難しかったため、釣り出しに行ったようである。

 グランストンナイツをドロテアが引き受けている今がちょうど良い機会だったのだが、ダールトンの目が届くとなっては中々こちらの都合の良いようにはいかないだろう。

 

「となると、やっぱり予定通り……」

『全力で殺しに掛かってくるだろうな。相応の覚悟が必要だぞ?』

 

 埋伏は看破されてしまっていても第42大隊が本気でこちらを攻撃してくれば相手を混乱させることは可能である。

 少なくとも、第42大隊は『日本人を殺している』のは事実であり、それを迫害することは埋伏の毒であったとしても名誉ブリタニア人に与える影響は大きい。

 現状でも人間扱いされる事がやっとな状況もある中で、結局は命を掛けても報われないと言う現実が突き付けられることになるからである。

 現に最前線の歩兵部隊は鉄砲玉の如く無謀な突撃が繰り返されている事は揺るぎない事実でもあるのだ。

 

「名誉のことは大して気にしていないよなそういや……」

『……言ってくれるな。みんな分かってはいても受け入れがたいのさ』

 

 そんな事を考え、ぼそりと呟いたリヴァルの声が届いたのか、吉田が声を落としながら応じてくれる。

 第42大隊がレジスタンスを攻撃して来たことは事実であるし、事情を知らない騎士団員達はそれに憤っている事もまた事実。

 しかし、戦場では名誉ブリタニア人達が無謀な戦闘の駒にされ、待遇も最悪である事もまた事実。

 だが、騎士団の日本人達もコーネリア等ブリタニア側の上層部も末端に位置する名誉達の状況はそこまで受け止めていなかった。

 

 

『だからこそ、カレンの存在が鍵になる』

 

 

 当初、リヴァルはなんてことをさせるんだとルルーシュにくってかかったが、名誉ブリタニア人の置かれた状況を告げられては拳を下ろさざるを得ない。

 結果として同胞を裏切ってブリタニアに組みした名誉も、ブリタニアの血を引くハーフも、組織に入ることが出来ないと言う点では共通する。

 カレンや永田のように覚悟を持って一方に組みすることを決めるというのは良くも悪くも中立的な立場に居る者達にとっては簡単では無い。

 名誉ブリタニア人からしてみれば、奴隷的な立場に身を落としても家族を守るために耐えるしか無い状況。そこから、鞍替えしてしまえばそれまで耐えてきた日々が無意味になってしまうから。

 とは言え、戦うしか道の無かった日本人や支配を当然と思うブリタニア人からは裏切り者と言う認識を持って接せられる。

 さすがに皇神楽耶のような立場の者達は理解しているのだが、実際に血を流しあっている者達が受け入れるのは難しい。

 

 

『謀略というのは一つの仕掛けを見破ることも困難になるように張り巡らせる。それが二重となればどうだ? それを見破る、もしくは打ち破る。それが出来る者が古今東西では名将と呼ばれるわけだ』

 

 

 受け入れざるを得なくなってしまったリヴァル達にそう告げたルルーシュ。その二重の仕掛けの詳細まではリヴァルもさすがに聞いては居ない。

 ただ、今回の謀略のために動員しているのはカレンや永田達だけでは無い事が彼なりの覚悟の表れだったのかも知れない。

 

 

「……まあ、そんなわけだから、俺としてもルルーシュの駒として全力を尽くすしか無いってわけだな」

 

 

 そして、リヴァルの目に映ったのは、交戦するドロテアとグランストンナイツの脇から進み出てくる黒きKMFの姿。

 紅蓮と良く似た外見は鮮やかさが目立つ紅蓮のそれとは異なり、ある意味黒の騎士団を象徴するかのような禍々しき姿。

 “黒”がゼロの象徴であるならば、それに取って代われば良い。とでも言うかのようなその外見は一瞬ではあったが、リヴァルをはじめとする騎士団のKMF達の動きを停止させる。

 

 

「っ!?」

 

 

 刹那、黒いKMF―ブラック・ウィドウが大型キャノン型ライフルを構えた事に気付いたリヴァルは、即座に傍らに立つKMFへと自分の機体をぶつける。

 

 

『っ!? うわ、わっ!?!?』

 

「脱出しろっ!! 急げっ!!」

 

 

 リヴァルが機体をぶつけたことでよろけた僚機は肩口を撃ち抜かれた倒れ伏しかけるも、操縦席は無事であったため即座に脱出していく。

 正確に操縦席を撃ち抜こうとしたのか、はたまた自分の判断を信じてくれたのかは分からない。

 

 ただ、分かっていることは……。

 

 

「カレンと殴り合うのは俺って事ね……」

 

 

 味方を救って安心したのも束の間、向かってくるブラック・ウィドウの姿に、リヴァルは操縦桿を強く握りしめつつそう呟くと、全身が粟立つ事を自覚しつつ近接用の剣を手にして機体を走らせた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 戦いは膠着していた。

 

 開戦から力押しに攻めたコーネリア軍であったが、ドロテア隊が鉄壁の如く立ちふさがり、KMFでの力押しでの決定打は見込めない状況である。

 ならばと、歩兵部隊を潜入させて外壁の一部を破壊したものの、待っていたのはリニアカノンによる歓迎であった。

 コーネリアの着任を前に起こったコンベンションセンターホテルジャックの際に日本解放戦線が使用した兵器だったが、その運用部隊はそれ以前に黒の騎士団に投降しており、ようやく出番が回ってきた形であった。

 

 

「ゼロめ、よもや突入路まで読んでいたとははな」

 

「誘われた。と言う方が正しいかも知れませぬ。名誉達の中にスパイが紛れていたのやも」

 

 

 リニアカノン―雷光の機動力は極めて惰弱で有り、今回も廃墟に紛れてKMFや火砲の突入を待ち構えていたである。

 射線や電源の確保を考えればダールトンの言は当を得ているだろう。

 

 

「名誉どもの身辺は洗っているか?」

「はっ。ですが、尻尾を出すとは思えませぬ。今回も多くの戦死者を出しての結果でございます」

「KMF部隊への抜擢でガス抜きをしたところにそれか……。忌々しいことを」

「本国の状況もいまだ判明せず、加えてまもなく大寒波が来襲するとの情報も。我々はともかく、一般兵達は……」

 

 

 ギルフォードの言に対してもコーネリアは歯ぎしりをしながら頷かざるを得ない。

 シュナイゼルはユーロピア遠征軍を掌握して反抗にでるつもりのようであったが、本国に居たユーフェミアは元より、領国に居るオデュッセウスやギネヴィアの動きも不明なままだ。

 コーネリアとしては、即座に本国へと帰還しユーフェミアの救出や反逆者どもを討伐したいところであったのだが、現状では黒の騎士団相手ですら攻めあぐねている状況であった。

 

「寒波か。冬季装備は行き届いているか?」

「はっ。あくまでも、一般兵達にはですが……」

「ここでも名誉か」

 

 

 ブリタニア人の火砲や歩兵部隊に関しては冬季行軍用の装備も有り、寒波で士気は下がっても寒さに凍えることは可能な限りは避けられる。

 だが、本国からの補給の目処が立たぬ以上はエリア11の備蓄を考える必要がある。コーネリアとしては戦力の確保を優先したいところでもあったが、誇り高い軍人達が名誉ブリタニア人に同じ待遇を受け入れるとも思えなかった。

 この辺りはコーネリアは政治家よりも将軍で有り軍人で有り武人である。名誉と言えど戦力となるならば無駄遣いや不遇は嫌うところであったが、軍の体質自体を根本から変える事にまで考えは至らない。

 ダールトンやギルフォードも同様で有り、名誉ブリタニア人部隊を迫害することは無いが、わざわざ平等に扱うことも無いし、そもそも末端の歩兵の扱いまで口を挟む事は無い。

 だが、今回は第42大隊という形で名誉ブリタニア人で編成された部隊を編成どころか主力として運用している背景がある。

 ある意味で、平等なる扱いの象徴として祭り上げてしまったわけである。カレン・シュタットフェルトの埋伏の毒という視点に囚われてしまっていたことを今になって気付いていたのだが、あくまでも軍人である彼等に取っては手遅れな状況でもあった。

 戦力的な優位は変わらずとも、彼等は自然と追い込まれていたのである。だからこそ、コーネリアは戦場において、将軍として、武人としての解決策を求めることになる。

 

 

「大寒波…………っ!? ギルフォード、その寒波どの程度と推測される?」

「はっ、予報に寄れば、数年来の異常気象とのことで、猛吹雪と豪雪が予想されるとのことです」

「姫様? 如何いたしました?」

「ふ、ダールトン。藤堂鏡志郎等の動きは掴めているか?」

「は。少々、お待ちください…………。ふむ、サイタマゲットー周辺の小ゲットーを拠点に補給路の分断やゲリラ戦を仕掛けてきております。北や東が攻めあぐねているのはヤツの策動にあります」

 

 その報告にコーネリアは不敵に笑いつつ頷く。

 藤堂一派とゼロの不和はコーネリア側も知るところである。シュタットフェルトは弱点は先にさらけ出しておいた方が傷が少なくなると、この事に関しては真実としてコーネリア等に暴露してある。

 そして、藤堂の名声を慕ってか、周辺の日本人達が拠点となるゲットーへと集まりつつ有り、見逃せない規模のレジスタンスとなりつつある。

 だが、これは逆に藤堂の足を縛る結果ともなる。

 

 

「ギルフォード、一部隊を編成し、抵抗するイレブンどもを藤堂の元へと走らせろ。ダールトン、次なる戦、名誉どもを先陣に立たせよ」

 

 

 そして、考えをまとめたコーネリアは即座に腹心達に命令を下す。

 最初は珍しく目を丸くしていた両者であったが、その後に告げられたコーネリアの言によって得心し、同席していた参謀達も顔を見合わせて頷くと各々役目を果たすべく散会していく。

 その光景を見つめると、コーネリアはゆっくりと座席に腰を下ろす。

 

 

「ゼロよ。小賢しい策を弄してくれた……。だが、貴様の仕掛けた毒など、私にとっては致命傷にはならぬ。忌々しい小娘も、奇跡等と言う軟弱者も、貴様と共にユフィへの手向けとしてくれるっ」

 

 

 そう呟いたコーネリアの目には、上空にてエリュティアと睨み合うゼロの搭乗する蜃気楼の姿が映っていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 戦闘は5日目の朝を迎えようとしていた。

 夜半よりちらつきはじめた雪は強さを増し、ファクトスフィアやレーダー抜きでは視界の確保にも苦労する状況になっている。

 加えて、寒さによって歩兵の行動が制限されるため、必然と戦闘の要はKMF同士による決着が求められる。

 

『やるしか無いって事ね』

 

 それまでの不快さを隠さなかったカレンの表情にようやく明るさが戻ってきたことは永田にとっては僥倖ではあったが、それでもこの5日間は互いにじれすぎたとも言える。

 日本人を殺すという業から逃れるべく、騎士団側との戦いに万が一があってはならない一方、コーネリア達に気取られてて処断の理由を与えてしまうことも避けなければならなかったのだ。

 初日の時点でカレンが決断してくれていたら。と言う思いも少しは永田の胸のうちにもあったのだ。

 そして、漸くと言うべきか、カレンの我慢勝ちと言うべきか、コーネリア側から第42大隊に対して先陣としての突入を命じられた。

 立場としては、正面からドロテア隊と殴り合う最悪とも言える状況なのだが、永田達からすればどうどうとルルーシュの謀略を実行する機会を得た形になる。

 当然だが、背後にはグランストンナイツやダールトン直属部隊が控え、ともすれば味方から背中を撃たれる状況にあることに変わりは無い。

 ルルーシュからは万事抜かりは無い事は告げられていたが、その詳細に関しては漏洩を気にしてか話されないままだった。

 

「カレン、連戦に加えて、雪や寒波のせいか機器に不具合が出つつある。くれぐれも慎重にだぞ?」

 

 周囲の雪の状況に視線をやりつつ、カレンに対してそう告げた永田に対し、カレンもまた頷く。

 紅月とシュタットフェルト。

 双方の血を引く彼女は事あるごとに“日本人だ”と自身の立ち位置を口にし続けていた。

 ナオトや扇との関係を考えれば当然だったかも知れないが、当人が望まなくてもその身に流れる血は変えられない。と同じように自身に流れる血を嫌悪するルルーシュは告げていた。

 賛成できることでも無かったが、ルルーシュとシュタットフェルトをはじめとする者達が必要な事として決定してしまえばそれに従うしか無い。

 昔の自分や扇達なら声を大にして反対していただろうし、真相が判明すれば事情を知らずカレン達を嫌悪する日本人の反発は必至だとも思う。

 救いとすれば、名は知られていても、顔写真が出回っていない為、最悪名を隠して戦い続ける事は出来る。

 実際、シュタットフェルトの名を忌避するカレンにとってはそちらの方が良いのかも知れなかった。

 ただ、名誉ブリタニア人の立場にまで言及されれば永田としても反対しきれなくもなる。

 現に歩兵部隊などの扱いは過酷そのものとも言える。先日、外壁を破壊するために内部へと突入してきたのは名誉ブリタニア人で編成された歩兵部隊ばかりであったのだ。

 この寒波にあっても、防寒具は粗末なモノばかりが支給されていることも永田の目には映っている。

 だが、名誉となった以上、騎士団側に走ったところで日本人からは裏切り者という視線がどうしても向けられる。

 ドロテアやリヴァルのようにともに戦場を掛け、互いを守り守り合っているブリタニア人への心証の方が騎士団内部ではマシとも言えるような状況だ。

 だからこそ、シュタットフェルトとしても紅月としても戦ったカレンの存在が必要になって来る。

 埋伏の毒という当初の意味合いは、名誉ブリタニア人の象徴としての意味合いの方が強くなりつつあるのだ。

 

「とは言え、敵対した俺達が象徴になれるのか??」

 

 そんな疑問も永田の脳裏には掠めつつもある。

 ルルーシュは現実主義者であると当人は思っているようだが、端から見ると年齢相応の夢想家的な側面も持ち合わせている。

 人の心はそんなに単純じゃ無いように思える永田としてはカレンがその手を汚してブリタニアに痛撃を与え、名誉ブリタニア人の居場所を作り出すという結果を残したとして、果たしてそれをすべて受け入れるかと言えば、疑問でもあった。

 

『永田さん、今は余計なことを考えている場合じゃ無いわ。私達は、やるべき事やるだけよ』

 

 そんな思考の渦に沈みつつあった永田を叱咤する形でカレンは声を上げると、オープン回線にて周囲を鼓舞し、そのままブラック・ウィドウを前進させる。

 それに続くように永田や他の名誉達も機体を前進させる。眼前にはドロテア率いる一団が連日と同じように堅陣を組んでこちらを睨んでいる。

 ふと、永田が視線を上部モニターへと向けると、ルルーシュとともに交戦中のジェレミアがゆっくりと降下を開始している様子が見てとれる。

 なんのつもりだ? と思った永田であったが、ジェレミアが裏切る可能性などは万に一つも有り得ないと疑問を打ち消す。

 そして、互いに砲が届く距離に差し掛からんとする中、永田をはじめとする名誉達は一斉に息を呑む。

 埋伏の毒である以上、その役目を果たすのは今である。……そう思ったその時。

 

 

 紅い光が皆の目に映りこんだ。

 

 

「なっ!?」

 

『え? な、なんでだ??』

 

『ちょ、ちょっと、なんで紅蓮がっ!? 誰が乗ってんのよっ!!』

 

 

 永田とカレンは愚か、第42大隊すべてを一瞬にして混乱の渦中へと押し込んだ紅い死神。

 

 それが、カレンが駆るブラック・ウィドウへと躍りかかり、そのままブラック・ウィドの左腕を掴む。

 

 

『勝手に人の名前を名乗ってんじゃ無いわよっ!! 弾けろ、ブリタニアっ!!』

 

「な、カレンっ!?」

 

 

 そして、映り込んできた画面は、カレン―それまで永田が会話していたカレンでは無く、本物の紅月カレンの姿。

 そして、ブラック・ウィドウに対して、輻射波動を浴びせんとその特徴ある右腕に被ガリが灯りはじめる。

 

 

『っ!? ――私は、死ねないっ!!』

 

 

 そして、ブラック・ウィドウもまた、決意を込めた声と共に掴まれた左腕をランスで断ち切ると、一瞬のうちに輻射波動による爆発の影響下から脱する。

 

 

 刹那。

 

 

『忠義は今ああああああっ!!』

 

 

 上空より一気に降下してきたジェレミアの声が永田の耳へと届くと、それまで永田の脳裏に刻まれていた認識が一瞬にして覆されていく。

 

 

『っ……。慣れたと思ったけど、おかしな感じだなあ……』

 

『へっ!? な、なに? なんなのこれっ!?!?』

 

 

 そして、危機を脱したブラック・ウィドウからは二種類の声。それも、それまでの永田が認識していたカレンの声であった。




ラストの下りは伝わったでしょうか?
作者としては頭の中にある光景を文章にするので分かっているわけですが、それがしっかり伝わっていなければ意味が無いのですが。。。

一応、次回が回答編という形になります。ルルーシュ得意のペテンが発揮できればと思いますのでお待ち頂ければと思っています。
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