時は皇歴2018年12月23日。サイタマゲットーでの戦いから一週間が経過していた。
勝利か敗北か、その結果に関しては徹底した報道統制が敷かれているため市井には伝わっていない。
そもそも、ブリタニア本国との音信不通からすでに半月近くが経過している状況にあって、勝利を疑っていなかったトウキョウをはじめとする各租界の住民達の間には確実に困惑が広がりつつあった。
敗北したという事実が流布されれば即座に恐慌に支配されかねない状況であり、合衆国日本と黒の騎士団が勝利の勢いそのままに攻め寄せてくればトウキョウ租界は内側から崩壊しかねない状況でもある。
現に、沿岸の基地は海上からの攻撃によって砲台をはじめとする防御設備が破壊され、生き残っていた日本海軍の攻撃からトウキョウ租界を守る術は大きく失われていた。
かつて、沿岸基地に設置された砲台群。
新兵器の実証実験も兼ねた攻撃によって日本海軍の艦艇はほとんどが海中に没し、沈没を免れた艦艇達は解体されて各租界開発の資材となっている。
それらの敵討ちとばかりに、一隻の超大型戦艦と航空部隊は砲台群をはじめとする攻撃設備を徹底的に破壊して回っていたのだ。
そして、それらを討ち果たした艦隊は、再び海上へと姿を消し、サイタマにある合衆国日本及び黒の騎士団とともに、北と南からトウキョウ租界を睨む形になっている。
テレビから漏れてくるニュースでも依然として本国の様子は分からないまま、国内においても黒の騎士団との決戦の結末は語られず、あくまでも戦いは終わったことを強調するに留まっている。
実際、傷付いた様子も見せず堂々と凱旋してきたコーネリア総督達の姿にブリタニア人達が安堵していたことも事実。
数が減っているのは単純に黒の騎士団の残党達を討伐しているからだとも。
たしかに、勝利したはずの黒の騎士団も合衆国日本もその勝利を声高に喧伝することが無い。
沿岸部を攻撃した日本海軍もトウキョウへ攻め上るわけでも、基地群を攻撃するわけでも無く撤退したため、住民からしてみれば反撃に遭って逃げ出したように映したニュース映像を信用する。
さらに、全国各地で蜂起し、決戦に合流することの無かったレジスタンス達は今も地方軍と交戦し、膠着状況が続いている。
実際には押されていることが実情だったが、レジスタンス達も騎士団の明確な勝利が喧伝されていない以上勢いに乗り切れない面もある様子だった。
一人、生徒会室にて研究論文をまとめていたニーナは普段であれば気にすることも無いニュースの内容をそのようにまとめていた。
キャスター達は極めて平静に振る舞っているが、内容がまとまっておらず困惑していることはあからさまであったのだ。
ルルーシュやミレイ達を卒業まで続いていくかと思っていた日常。
それは、彼等の“決起”によってあからさまに変わってしまった。
人間関係だけでも、それまで近づくことすら恐怖であった日本人との関係……かつては、イレブンと蔑んでいたのが嘘のように、そう呼べるようになったのは玉城をはじめとする黒の騎士団の人間と関わる機会を持ったからであろうか。
それでも、彼女自身は“沈黙”以上の協力はしなかった。自分はミレイやシャーリーの様には割り切れないし、何より“戦争”等と言うモノは自分とは遙かに遠い世界で起こっていること。
現実に、今身近に迫っているというのに危機感が沸かないのは、彼女自身がその当事者達を知っているからであろうか。
ルルーシュ達は元より、ユーフェミアと知己を得たことでコーネリアを接する機会もニーナはある。
人付き合いが苦手である分、危険な人間かどうかを察する能力は人一倍培っている彼女である(その分、異なる世界にあっては、自身が優位に立てる人間に対して不遜な態度をとってしまったこともあるが)。
コーネリアも根は武人であり、軍人であるが、皇族としての誇りは誰よりも高い。住民を犠牲にするような戦いを選択するとなれば、それはユーフェミアが害された時ぐらいのモノで、住民を人質に取られれば潔く自身の首を差し出すぐらいはする。
だからこそ、というべきか。
「はあ…………」
進めていた研究。
偶然、ユーフェミアが目にし、彼女の騎士である枢木スザクとその後見人であるロイド・アスプルントとセシル・クルーミーの目に止まったことでより深く研究を進めることが出来たのであるが、彼等がブリタニア本国へと帰還した後でも情報の交換は続いていた。
そして、彼女はある意味ではこの日本の地で唯一とも言うべき情報を有していたのであるが、それを“どちら”に伝えるべきか、考えあぐねていたのである。
「ニーナ、居る?」
「なに?」
そんな時、生徒会室の扉を叩いて聞き覚えのある女性の声が届く。
素っ気なく答えたニーナの視線の先には、クラスメイトであり、自身の護衛役であるというミーヤ・ヒルルックがひょっこりと顔を出している。
異なる世界においてもルーベンの臣下である両親を持ち、ソフィ同様に生徒会メンバーの護衛役としてルームメイトを務めていたのだが、シャルルのギアスで記憶改変されてしまっていた。
ニーナが学園を去ってからは部活動が一緒であるシャーリーの護衛を務めていた。
そんな異なる世界のことは知らず、また正体を最近になってから知ったニーナからしたら、他のクラスメイト以上に自分に絡む苦手な人物でもあったが、真相を知って以降はしっかりと距離を保ってくれるありがたい存在になりつつもある。
「御館様からの伝言でね。動きがありそうだから万が一に備えておいて欲しいって」
「……っ。ミレイちゃん達もとうとう……」
彼女がこうして一人でいる自分のところに来るときはルルーシュ達に絡むことだと相場は決まっている。
そして、彼等が勝った時点で平穏が続くことも無い事を賢い彼女が気付かぬわけも無い。
「友達を悲しませるような事にはならない。殿下からはそう伝えて欲しいそうよ」
「そうなってほしいものね。分かったわ。バックアップを取るから、ちょっと待っていて」
そして、協力を拒んでいる以上、迷惑を掛けるわけにもいかなかった。
不測の事態に対する備え。といって、何種類もの備えを準備しているルルーシュである。バックアップさえしておけば、データを破壊しても研究が外に漏れることは無い。
「すぐに避難しろってわけ……っ!? 伏せてっ!!」
「えっ!?」
机に向かおうとしたニーナに、ミーヤのグラマラスな身体が飛びついて来てほどなく、ニーナの意識は暗がりの中に落ちていくことになった。
◇◆◇◆◇
サイタマゲットーに籠もっていた黒の騎士団と会場に消えていた日本海軍が動き始めたのは23日夜半のことであった。
迎撃態勢を整えていたコーネリア軍にとって、綻びが見え始めるタイミングを狙ってきたとも言える時。
兵士達はそうであっても、上層部は情報流出による恐慌を最も恐れる為、水面下での暗闘は幾度も繰り返されてきていた。
さすがのコーネリアにすらも戦化粧を用いて疲労を隠さねばならぬほどに、消耗を強いられている状況。
だが、全軍の士気を堕としきること無く、むしろ意気軒昂と租界外縁部に布陣する彼女等の姿を見てブリタニア側の意気は上がるばかりである。
「我々に時を与えたこと。……どう考える?」
布陣を終え、瓦礫が残る旧東京都を眼下に見据え、闇夜の先より迫り来る黒の騎士団、ゼロの姿を思い浮かべるコーネリアには、先頃までの疲労の色は消え失せている。
根っからの武人である彼女にとって、謀略への対処に比べれば疲労下の出撃は特効薬であるのだ。
そんな背景が有り、たしかに精神的な消耗は強いられたが、迎撃態勢を構築するのは十分すぎる時間でもある。
こちらが体制を整えることをゼロが見逃した以上、何らかの意図は存在するはずであった。
『今回ばかりは……。ですが、我々に時間を与えたこと。それをゼロが後悔する事だけは間違いないでしょう』
コーネリアの問いに瞑目しつつ答えたダールトンであったが、最後は不敵な笑みをコーネリアへと向けてくる。
敗戦から一気呵成に攻め立てられれば、市民の恐慌も含めてどう言う状況になったかは分からない。
だが、それが出来なったとなれば、黒の騎士団はこちらの予測以上の損害を抱えているとも考えられる。
市民の暴発を煽り続けてきたことと、必要以上に時間を掛けてきたことを鑑みればそれ以上の結論は出なかった。
とはいえ、こちらとしても時間を掛けすぎていた。
本国ではペンドラゴンをはじめとする北ブリタニア大陸はほぼ制圧され、シュナイゼルが脱出したフロリダとゴッドバルト、アールストレイム及びエルンスト、クルシェフスキーの所領・旧領が合わさるオクラホマが抵抗を続けている。
そこはまさにユーフェミアが統治を任された地であったのだが、抵抗の指揮を取っているのはゴッドバルト、アールストレイムの当主だという話であった。
依然として、シュナイゼル以外の皇族達の安否は分かっていない状況にある。
シュナイゼルがコーネリアにすらも手の内を曝さないのはいつものことであったが、反逆者達がシャルル政権の崩壊を告げないのは、コーネリアをはじめとする海外領土の混乱を長引かせ、あわよくば暴発を狙っているのであろう。
敵が自滅してくれる状況を作ると言うのは戦争の基本である。そう言う意味では、ヴィクトルの日本での暴走が世界中を巻き込んだとも言えるだろう。
「あの不届き者が諸悪根源では無いか……。父上も自業自得でしかない」
『姫様?』
ユーフェミアを案じるあまり、かつてのヴィクトルの慇懃無礼な態度とシャルルの無関心を思い起こして思わず愚痴がこぼれたコーネリア。
ギルフォードの訝しげな視線を受けつつも、ここに至るまでの根本はブリタニアの自滅とも言える以上、苛立ちも顔を覗かせる。
最も、その最たるモノは自身の敗北である事に最終的には辿り着いてしまい、自嘲する結果にもなるのだが。
「騎士団の位置は?」
『現在、トダゲットー方面より荒川を渡河。そのまま南下を続けております』
「航空戦力は?」
『確認できておりません』
「うむ。引き続き、監視を続けよ」
思考の渦に嵌まりかけたコーネリアはパネルに映し出された影像に目を向けつつ、報告を受け取る。
現状、最大の脅威となるのは鹵獲された航空戦艦エリュティアである。
決戦に際し、指揮を任せていたバトレー以下の乗組員は全員捕縛されたようであり、空の戦いにあってはこちらが圧倒的に不利である。
夜間戦闘も可能であるのが利点であったが、今はサイタマゲットーを動かぬままであった。
最も、その気になればサイタマゲットーからトウキョウ租界へ攻め込んでくることなど容易い。
航空戦力の持つ翼はKMFや戦闘車両のそれをはるかに凌駕する。頼みはトウキョウ租界外縁を含めて、蜘蛛の糸の如く張り巡らされた防空網であったが、そこに飛び込んでくるような愚か者では無いだろう。
房総半島沖に姿を現した航空部隊による反復攻撃を待てば良いだけの話である。
日本海軍もサイタマゲットーでの戦いから沿岸基地の攻撃で数は減らしているはずであったが、かつての太平洋を覇者達の亡霊である。雌伏の8年を考えれば、全滅を前提とした攻撃を仕掛けてくる可能性は十分ある。
『進路を鑑みるに、シンジュクゲットーを拠点としてこちらに攻撃を仕掛けてくるのでは無いでしょうか?』
『であろうな。ヤツ等にとってはすべてのはじまりの地だ』
『シンジュクに巣くっていたテロリストどもが今や一国の軍として我々に戦いを挑んでくる。僅か半年の間にこのようなことが起こるとは……』
コーネリア同様にデータを目にしたギルフォードの言に、ダールトンが短く応じる。
ギルフォードの言の通り、クロヴィスの暴走によって引き起こされたシンジュク事変とその死。
そこから現れた“ゼロ”。得体の知れぬ仮面の男はブリタニアの混乱と不敗をついて、瞬く間にエリア11を解放しようとしている。
中華連邦の侵攻やテロリストの平定を進めている間に、ゼロはエリア11全土に勢力を張り巡らせたことになる。
いや、ユーロブリタニアの反逆も含めれば、今世界で起こっている動乱すべてがヤツの手の平で動かされていることなのでは無いだろうか?
そこまで考えて、背中に何か冷たいモノを感じたコーネリア。
それは、戦場では経験したことの無い。そして、それが何かと言う事を指摘されれば、彼女は自身の誇りと矜持に掛けてそれを否定して見せるであろう。
「アッシュフォードの動きは?」
『幾人か拘束をいたしましたが……』
それを振り払うかのようにダールトンに問い掛けるも、言いよどむ答えが返ってくるだけである。
租界内部の住民の慰撫を命じ、監視下に置かれている状況にあっても、騎士団による拠点構築は着々と進んでいということだ。
「眼前の武勇ばかりが戦では無いと言う事か……。ふふ、ブリタニアの魔女……か」
戦場で勇名を馳せてきたコーネリアであったが、それは超大国ブリタニアという土台があってのこと。オデュッセウスやギネヴィアが国家の土台を整え、それをシュナイゼルという天才が思うように裁き、勝利の筋道を付けて居た。
戦術が戦略を、戦略が政治を、政治が経済を。それぞれ上回る事は不可能とも言えるのは軍事の根幹でもある。
コーネリアとゼロの差は、戦術以上の面で如実に表れていたと言う事であろうか。
そもそも、彼女の着任前に総督代行を務めていたのは、今もゼロの傍らにあるジェレミア・ゴットバルトであるのだ。
彼が残していった官僚達は閑職に追いやられ、汚職とは無縁であっても、武断に傾きがちな腹心の官僚達がコーネリアを支えている状況。
政戦の場においてどちらが優位に立つのか。答えは明らかであった。
そして、そんなコーネリアの自嘲めいた笑みに、ギルフォードもダールトンも瞑目するしか無かった。
そして、宵の闇に白みが差し始める。
想定通り、トウキョウ租界を横目に南下を続けていた黒の騎士団は、シンジュクゲットー周辺に布陣を開始し、朝日に照られされるように北の空からは黒を基調とした大型のKMFと護衛の二機のKMF。そして、大型の航空戦艦が姿を見せ始める。
「私が手を出さぬ事もお見通しか。海上はどうなっている?」
『房総半島沖の艦隊に動きはありません。ですが、航空機の出撃体制はすでに完了しているモノと思われます』
「ふむ……。最初は減らず口を私に聞かせるつもりか?」
艦隊に動きは無く、騎士団自体に動きも無い。
ともすれば、ゆっくりとトウキョウ租界とシンジュクゲットーを結ぶ中間点付近へと向かう3機と1隻の動き次第となるだろうか。
コーネリアはゼロの大仰な物言いと動作を思い返し、思わずほくそ笑む。一件滑稽な物言いと動作ばかりで有り、こちらからすれば小賢しいとしか思えぬこと。
だが、その言動に偽りの無い結果を出してきている。
今となれば、トウキョウ租界の住民達に対してこちらの非を打ち鳴らし、戦いよる犠牲にも大義名分を得ようとしてくるであろう。
黒の騎士団と合衆国日本にとって、戦場での勝利ははじまりにすぎない。
そして、トウキョウ租界の住民はブリタニアにとっては貴重な人質と成り得る。
本国の腰抜けどもにとっては取るに足らぬ人質であったとしても、世界中で暮らすブリタニア人にとっては、その末路が明日は我が身となる。
復讐に身を任せてしまえば、待っているのは終わりなき応酬である事は理解しているはずであった。
もっとも、コーネリア自身はユーフェミアより指摘されるまで気付かぬ事であったのだが。
『コーネリア総督。お久しぶりですね』
そして、こちらの通信管制をあっさりと破り、コーネリアの眼前へと姿を現すゼロ。
その漆黒の仮面の奥底は相変わらず計り知れぬモノであり、ある種の滑稽さがこちらに対する挑発めいた印象を与えている。
「臆病風に吹かれたかと思ったぞ、ゼロ。サイタマゲットーの水は貴様に合っていたようだな」
『ふ、その通りですね総督。国家というモノは素晴らしい。組織を一から立ち上げるモノと同様に、明日を夢見、未来を思い描く。それをリアルに体感できる』
「そのまま、サイタマゲットーに逼塞して居れば良いものを。貴様が作り上げた紛い物など、私がこの手で打ち砕いてやろう」
『そうはいきませぬ。何より、合衆国日本は私が作り上げたモノではありません。私はあくまでも部品の一部にすぎません』
「戯れ言を……。小娘達を誑かし、自身の王国を作ることが貴様の目的であろう?」
普段と言うべきか、対峙した際にゼロとコーネリアがやり合うのは常であったが、決戦での勝敗が決したからか、互いのやり取りは舌戦と言うよりは口喧嘩という印象が強い。
どちらも言い負かすというよりは、相手のことを言いたい放題言っているという構図になっている。
『自身のための国。そうですね……かつてはそうも思いました。国とまでは言わなくとも、自身の命ずるままに動く軍が欲しいと。ですが、今は違います。もはや、合衆国日本は私個人のモノでは無い。皇神楽耶様、カレン・シュタットフェルト・紅月、そしてキョウト六家や騎士団の幹部達。当然、私が身元を預かっているドロテア・エルンスト、モニカ・クルシェフスキーとその部下達。すべての者達をともに作る国家です』
そして、ゼロの言とともに、彼の周囲には言及された者達の表情が映し出されていく。
神楽耶と桐原はエリュティアの艦橋から、公方院、刑部、宗像。そして扇、井上はそれぞれの任地から、カレン以下の者達は愛機の操縦席から。
そして、今この戦場にある者達は全員がゼロとコーネリアの会話に耳を傾けている。
唯一、ブリタニアにあって騎士団と合衆国日本の幹部達の顔を見ることが出来ているのはコーネリアのみであったが、彼女にとってはラウンズと六家、そしてカレンは顔見知りで有り、旧扇グループの幹部達は初めて目にする顔であった。
(このイレブン達がゼロとともに決起した者達か……。だが)
扇等の表情を睨み、その表情を目に焼き付ける。日本側にあって、六家に次ぐ立場にある事は容易に想像が付く。
ゼロを中心に、左右にブリタニア人と日本人が別れ、ゼロとともに中心にあるのはカレン・シュタットフェルトである。
双方の血を引く存在として、融和の象徴である事を印象づけようと言う事であろうか。
だが、いくつか引っ掛かりを覚える。
日本側の武。公方院、刑部の下で実戦部隊を預かるであろう立場にあるはずの男の姿が無く、ブリタニア側。即ち、カレンを挟んで神楽耶と対になる位置が空白となっているのである。
男―藤堂の姿が無い事にコーネリアは付けいる隙を見出しかけるも、そのブリタニア側の象徴たる地位が空白となっている事に彼女の意識はどうしても引き寄せられた。
『ふ、コーネリア総督。貴女も気になるようですね』
『当然よね。あんただって一国のお姫様。国民をまとめる立場にある人間が気にならないわけが無いわ』
『ご安心くださいませ。私どもは指導者不在を理由にブリタニア人を数字で呼ぶことなどございませんわ』
コーネリアの視線に気付いたのか、ゼロ、カレン、神楽耶が次々に口を開く。
ゼロはともかく、カレンと神楽耶は相変わらずコーネリアに対して挑発的である。特に、神楽耶の言葉の毒は分かりやすい嫌味である。
「ふん、ナンバーズ如きに膝を折った者達など、ブリタニアにはいらぬっ!! 欲しければくれてやる」
本心からドロテアやモニカを切り捨てるつもりではない。だが、皮肉られたまま終わることが出来ないのもコーネリアの分かりやすい性分である。
案の定、ドロテアやモニカは苦笑している。彼女等もそうするしか無い。
『勇ましいことで。ですが、ご心配なく。我々もまた、盟友としてブリタニア側の指導者を得ております』
「盟友だと? 何…………を」
そんなコーネリアの心情を知ってか知らずか、ゼロは思わせぶりな事を口にすると、コンソールに手を向ける。
そして、口を開き掛けたコーネリアは思わず自身の言葉を断つ。
彼女だけでは無い。ブリタニア側、ダールトンやギルフォードは元より、その麾下にあるすべての騎士達が、同様に目を見開く。
皇神楽耶と並び立つ立場。盟主としてブリタニアを代表する者として、姿を見せた彼女は、疲労を残しつつも笑みを浮かべ、コーネリアに対して口を開いた。
『お久しぶりです。お姉様』
「…………ユフィ」
コーネリアに出来たのは、彼女の愛称を口から絞り出す事だけであった。
投稿間隔が空いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
ようやく仕事の繁忙期が落ち着き、身体の方も余裕が出てきたので何とか続きを書いて行けたらと思っています。
後書きでの補足等々も次回から順次続けていこうと思いますので、感想等々での指摘等も是非ともよろしくお願いします。