多重クロスオーバーな世界の転生者   作:菅野アスカ

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2話 婆娑羅&夜廻女子会 in ポアロ

安室サイド

 

「…っていうことがあったんだ」

「バサラ町のことは聞いたことがあるけど、山頂の神社のことは知らなかったな。地元の人間だっていうのは、間違いないんじゃない?」

「そうかもしれないけど、ただそれだけにしてはずいぶんきつい警告だったなって」

「神道の考え方に沿うなら、間違いでもないと思うよ。ほら、触らぬ神に祟りなしっていうだろう?悪いものを祀っている神社っていうのは、鎮めるための神社なんだ。うかつに近寄ると、ご利益どころか害になることもある。その子が神道を厚く信仰していたなら、本気で心配して忠告したんじゃないかな」

「安室さん、詳しいね」

「初詣のルールとか調べてたら、同じサイトに『参拝してはいけない神社特集』っていうのが載ってたんだ」

「ふーん」

 

それだけ言って、パイを食べ進めるコナン君。

 

バサラ町で毎年行方不明事件が起きるというのは、僕も以前聞いたことがある。公安に入ったばかりの頃、休憩時間に自分たちの地元の話になって、バサラ町出身の同僚に聞かされたのだったか。ずいぶん物騒な町だなと言ったら、行方不明を殺人に置き換えれば米花町になると反論された。否定できないのが悔しかった。

その後なんとなく気になって調べてみたら、バサラ町の隣町のほうが件数が多かった。さらにその隣町に至っては、町に面している山が自殺の名所。もはや呪われているんじゃないだろうかと思った。なるほど、あの町で起きる行方不明事件が神隠しとか言われるわけだ。

 

カランと、ドアベルの音が鳴った。顔を上げると、4人の人物が入ってくるのが見えた。

 

「いらっしゃいませ」

「4人よ」

 

そう言った、先頭の女性に、見覚えがあった。

つややかな黒髪を綺麗にまとめてかんざしを挿し、白いTシャツの上から黒地にオレンジの蝶の模様の上着を羽織り、赤いロングスカートをはいたその女性。目が切れ長でつり目であるため、気の強そうな印象を受ける。ずいぶんとカジュアルな格好をしてはいるが、この女性は間違いなく、自分が思い浮かべている人物だ。あそこまで強烈な印象を持つ人物を、見間違えるわけがない。

織田財閥会長夫人、織田帰蝶。

何故、ここに…?

 

そんな動揺はおくびにも出さず、4人を席に案内する。1人は夫人と同じくらいの年で、残りの2人は、おそらく未成年と思われる少女だった。

 

もう1人の女性は、焦げ茶の髪を肩にかかる程度のところで切りそろえ、赤いリボンでハーフアップにしている。切れ長の目は、髪と同じ焦げ茶色。すらりと背が高く、白から黒へのグラデーションのタートルネックワンピースの上から黒いパーカーを着ている。その色合いのせいか、なんとなく、タンチョウヅルを連想させられた。

 

少女の1人は、18歳ほどの少女。黒い巻き毛を紫色のリボンでまとめている。夫人と同じ黒髪黒目であるものの、こちらはたれ目であるためか、柔和な印象だ。薄ピンクのタートルネックにベージュのロングスカートという取り合わせも、その印象を強めている。ベルモットのような派手な美人ではなく、野に咲く花のような人、という言葉がよく似合う美人。そのためか、ひどく影が薄い。赤い眼鏡と、金色のリングのペンダントが目立っている。

 

もう1人は、どう見ても小学生。3年生くらいだろうか。三つ編みにした髪は枯草色で、黒い目をしている。大きな青いリボンを頭につけており、スカートもそれに合わせたらしき青。白いブラウスを着ている。背負ったウサギのナップザックの耳の部分に、赤いリボンが巻いてあってかわいらしい。事故か何かに巻き込まれたのか、左手がないのが見ていて痛々しかった。

 

案内を終えてカウンターの内側に戻ると、コナン君が小声で話しかけてきた。

 

「安室さん、さっき言ったのあの人だよ」

「え?」

「あの、ピンク色のタートルネックの人。リボンの女の子も」

「本当かい?でも、君の話通りなら」

 

コナン君が出会った巻き毛の少女は、顔の左側に、包帯を巻いていた。つまり、顔の左側は、怪我かあざでもあるはずなのだが。

 

「メイクか何かで隠したとか?」

「あ、そっか」

 

なるほど、とつぶやいたのち、コナン君はこう続けた。

 

「ねえ、一緒にいるあのかんざしの人って…」

「僕の記憶が正しければ、織田財閥の会長夫人だね」

「なんで、そんな人と一緒に…?」

 

うーん、と考え込むコナン君。

あそこの会長は、確かにバサラ町の出身ではある。だが、ただの一般人の少女と知り合いだとは考えにくい。

いったい、どういう関係だ…?

 

 

××××

 

 

あやめサイド

 

何故私はポアロにいるんだ(絶望)。

どうも皆さんこんにちは、転生者ことあやめです。

濃姫様とそのご友人の女子会に誘われて、休日だからとハルもつれてきた(昼間といえども、さすがに家でチャコと一緒にお留守番、という気にはなれなかった。チャコは神社住まいの知人に頼んで留守の間だけ面倒を見てもらうことに)ら、会場がまさかのポアロ(安室さん&コナン君アリ)だった件について。

 

「…お姉ちゃん、あの子って」

「前にうちに来た子だね、この辺の子だったから見ない顔だったわけだ」

 

濃姫様は友人様の右隣に座り、私はハルの左隣に座る。

え?ご友人って誰だって?

 

ご友人は保子様とおっしゃる。旧姓広橋。はい、歴史好きの皆様の中で、心当たりのある人挙手。

そう…乱世の梟雄・松永久秀様の後妻、広橋保子様にございます。あ、今は松永姓ね。

この方は転生者ではないが、うん、その、ね?あのチャッカマンおじさんの奥方様で、それなりに夫婦仲よかったわけだから…中身はお察し。夫同士が仲いいためか、濃姫様と保子様もそれなりに仲がいい。

 

注文を終えて、まず話し出したのは、保子様。

 

「それにしても、君本当に化粧が上手だね」

 

まさか自分に向けられるとは思わなかった。

 

「ええ、まあ」

「そうね、自慢の侍女よ」

 

ふふ、と笑う濃姫様の顔は、わずかに悲しげだ。この顔のこと、そんなに気にしてくださらなくても…。

 

「ああ、鷺山殿、そんな顔をしないでおくれ。君は笑っているほうが綺麗だ」

「あなたねえ、人妻を口説くのはどうかと思うわよ」

 

やや呆れ気味な顔をして、濃姫様が言った。

保子様は、こんな感じで、中性的な口調で話す。きりっとしたクールな顔立ちや、170㎝強の身長もあって、宝塚の男役のお姉様のような雰囲気。これが、松永様の前に行くと、若干雰囲気と表情と言動が柔らかくなるのだから不思議なものだ。

 

「私としては、口説いているつもりはないんだけどね」

「自然体で口説いてしまうのが問題なのよ」

 

あと、キザったらしいセリフ言って違和感のないその見た目も問題です。

 

「まあ、確かに、久々に会えたのに辛気臭い顔じゃあいけないわね」

「そうですね」

 

濃姫様の地位が地位だから、なかなか都合がつかないのである。いっそ自分も財閥に勤めてしまおうかとも思ったのだが、濃姫様に「光秀に見つかっておもちゃ扱いされるのがオチだからやめておきなさい」と何度も忠告され、心が折れた。嫌いでは、ないんです。苦手なんです。申し訳のうございます明智様。

 

「お姉さん、バサラ町の人じゃなかったの?」

 

おっと、コナン君が来たぞ~?頼むから余計なこと言わないでくれよマジで。濃姫様はともかく、保子様は地雷の位置と総数を把握しきれてないんだから。

 

「知り合いかい?」

「いえ、ちょっと前にいろいろあってちょっと話しただけです」

 

さすがに「自分の家が幽霊屋敷呼ばわりされてたんです」とは恥ずかしくて言えなかった。

 

「坊や、いきなり他人に話しかけるものではなくてよ」

「だってー、気になっちゃったんだもん!前に会ったとき、眼鏡かけてなかったし、顔半分に包帯巻いてたし」

 

おいやめろ。奥で安室さんが聞き耳立ててるのが見える。注視されると目を隠す蛇の力使えないんだぞ。行き先がポアロだって聞いたからずっと発動してたってのに。

 

「たまたまこっちに来ただけで、バサラ町の住人だよ。この眼鏡は単なるおしゃれ」

 

希望に合致する伊達眼鏡を探すのは、なかなか大変だった。

今回の格好、実はコスプレ。と言っても、この世界には存在しないキャラクターだけれど。

この、管理人がうまく声帯を再現できなかったことによる副産物の、無駄な浅川ボイス。これに合わせて、ボカロのルカさんのモジュール(衣装)の1つ、「ゆるふわコーデ」を再現して着てきたのである。これ普通に普段使いできる。昔懐かしの足踏みミシン(これしか母屋になかった、今思うと離れに電動ミシンがあったんだからあれ使えばよかった)でこれを作り上げた私を誰か褒めろ。技術のあるオタクを甘く見てはいけない。

 

「それで、包帯はね」

 

牽制も込めて、ほんの少しだけ見せることにした。

左袖をまくり上げ、左腕に巻いた包帯をほどいていく。

包帯を巻いている=デリケートな事情がある、ってことくらい、ちゃんと覚えておこうね。

 

 

××××

 

 

コナンサイド

 

オレは、自分の軽率な発言を、大いに後悔した。

包帯がほどけて出てきた腕。…おそらく、昔、大きな怪我か病気でもしたのだろう。皮膚が引きつれて、酷いことになっていた。

 

「今日はごまかしてきたけど、これと同じのが顔にもあるって思って」

 

彼女はそう言って笑うと、包帯を巻きなおし、ちょうど運ばれてきたアイスティーに手を付けた。




松永(広橋)保子
歳は聞いてはいけない。
戦国爆弾魔の2番目の嫁。お互いバツイチ。
クール系美女。よそ様に愛想がよくて旦那にはそっけない…と思われがちだが、実のところ、旦那にメロメロである。切り替えがうまい。
属性は風で、武器はでかい筆。肩書は「仙渓素娥」、書き文字は「臨場」。
なお、今生の松永様は爆処の班長である。

野の花にたとえられたオリ主
しかしその実態はコンクリぶち破って花を咲かせるド根性タンポポ(生命力的な意味で)。
能力使用中は、それぞれの蛇が様々なものに変化して体のどこかにくっついている。今回はリボン。

オリ主の上司な濃姫様
ちょっと見ないうちに私の侍女の化粧の腕が上がってる気がする。

深夜廻少女
今回は空気。

藪をつついてマムシの侍女を出した小さい探偵
やらかした…。

一部始終を目撃した店員
何してるんだコナン君。
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