ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

11 / 79
キラキラ☆プリキュアアラモード編、今回はキラパティでのスイーツ作りです!新アプリや、駆と種の母である果実も登場します。どうぞ、お楽しみください!


第八話:お仕事スイッチオン!駆と種のクッキング

キラキラパティスリー店内

 

side:駆

 

いちか「それでは!今日も一日頑張るぞ~!」

 

駆「皆さん、よろしくお願いします」

 

マーネルがいつ来るかわからないため、僕たちヴァールハイト・プリキュアはプリアラの皆さんが働くキラパティのお手伝いをすることになった。

 

ひまり「ですけど、制服はどうしましょう?」

 

あおい「そういえば、駆の分ないよな」

 

シエル「ピカリオのがあるじゃない!サイズ的にも丁度いいと思うわ!」

 

シエルさんの提案通りに、リオさんの制服を借りようと思ったときコルーリがストップをかける。

 

コルーリ「待ってください!それならいい考えがあります!」

 

駆「いい考え?」

 

種「それって何!すっごい気になる!!」

 

僕から主導権を奪った種がコルーリに聞くと、コルーリは僕のズボンについているQaフォーンのケースを指さす。

 

コルーリ「Qaフォーンには、戦闘用以外にもアプリがあるんです!”プリキュアイテム”アプリを開いてください」

 

種「”プリキュアイテム”…これだ!」〈タップ〉

 

プリキュアイテム…start!

 

種「うわっ!?なんかディスプレイ出てきた!?」

 

駆(”メロディソード”、”ミライパッド”…これってHUGっと!プリキュアさん達が使ってたアイテムだよ!)

 

Qaフォーンから映し出されるディスプレイには、僕たちが助けたプリキュアさんのアイテムが写っていた。一つずつコマ分けされており、カテゴリーの項目に〈HUGっと!〉と書かれている。

 

コルーリ「その中のミライパッドをタップしてください!」

 

種「おっけ~!ポチっと!」〈”ミライパッド”…プリブート!〉

 

いちか「うおぉぉぉ!すごい!」

 

あきら「何もない所から出てくるなんて…驚きだね」

 

Qaフォーンからミライパッドが出てきたことにみんなが驚く中、ゆかりさんだけは冷静にコルーリに質問する。

 

ゆかり「…で?それをどうするの?」

 

コルーリ「カケル、Qaフォーンからミライクリスタル”クリア”を出して、ミライパッドにセットしてください。そうすれば”お仕事スイッチ”が入ります」

 

駆「…分かった。ミライクリスタル”クリア”!」

 

Qaフォーンからミライクリスタル”クリア”を取り出し、ミライパットの上部にセットする。

 

駆「ミライパッド、オープン!」

 

駆「お仕事スイッチ、オン!」

 

ミライパッドの画面から光が放たれ扉が開くと、僕の服はキラパティの制服に変わる。

 

いちか「すっごい!ホントどうなってるの!?」

 

ひまり「どういう仕組み何でしょうか?」

 

駆「取り合えず…準備完了ですね」

 

いちか「あ、そうだった!よ~し!それじゃあ、レッツ・ラ・クッキング!!!」

 

「「「「「お~!」」」」」

 

駆「お、お~」

 

ゆかり「うふふ」

 

こうして僕たちとプリアラさんのクッキングが始まった。

 

 

side:キラキラ☆プリキュアアラモード

 

駆「ひまりちゃん、オーブンの温度を少し下げてくれるかな?今日の湿度だと少し生地が膨らみにくいから」

 

ひまり「分かりました!」

 

駆は手際よく下ごしらえや準備を済ませていく。とてもスイーツ作りの素人には見えない。

 

あおい「駆!あんたすごいスイーツ作り慣れてない?」

 

ひまり「そうですね。天候による生地の状態も分かっていますし、メレンゲや生クリームの泡立ても本物のパティシエみたいです!」

 

駆「えっと…僕たちのお母さんがパティシエなんです」

 

駆のお母さんがパティシエだという事実に私たちは驚く。

 

いちか「すご~い!じゃあ、お母さんに作り方とか教わったんだ!」

 

駆「…はい。”一回”だけ…」

 

ゆかり「一回?」

 

駆「はい。僕がお母さんにケーキ作りを教わったのは…たった”一回”だけです」

 

駆がスイーツを作れるのは、たくさんお母さんに教わったからだと思っていた私たちは駆の”一回”と言う言葉に違和感を感じていると、駆が言葉を発した。

 

駆「…さあ!準備、早く済ませましょう。お客さん来ちゃいますし…」

 

あきら「そ、そうだね!準備しようか」

 

ひまり「そうですね!駆さん!私も頑張りますのでどんどん言ってください!」

 

駆「ありがとう…ひまりちゃん。”小学生”なのにえらいね」

 

ひまり「私は”中学生”です~!!」

 

ひまりの発言に驚いた駆は、ひまりに土下座して謝った。

 

 

side:いちか

 

いちか「どうして…”一回”なのかな…」

 

あきら「いちかちゃん?」

 

私は、駆君の言った言葉が気になっていた。”一回”…お母さんから習った回数だと思うけど、何で一回しか習わなかったのかな…。

 

ゆかり「…気になるなら、本人に聞いてみたらいいんじゃないかしら?」

 

シエル「そうよ!いちかに気のある駆の事だもの!きっと答えてくれるわ!」

 

いちか「…そうだね。私、聞いてみる!あとシエル!駆君はそんなこと思ってないから!」

 

私はそう言うと、ケーキのトッピングをしている駆君の元へ向かう。

 

いちか「駆君、今大丈夫?」

 

駆「いちかさん。はい、丁度デコレーションも終わりました」

 

そこにあったのは私が初めて作ったアニマルスイーツ”うさぎショートケーキ”。昨日プレゼントしたケーキではあるのだが、私よりうまく作っている。なんか自信なくすな~。

 

いちか「本当に上手だね!」

 

駆「一回見たものは、忘れないようにしてるんです」

 

いちか「へ~!じゃあ、お母さんから教わったケーキ作りも?」

 

駆「そうですね。”最初で最後”になるはずでしたから」

 

いちか「”最初で最後”?」

 

考える私に、駆君は答えを話す。

 

駆「僕、元々病気があって入院してたんです。小学校の入学式に参加するために退院して…そのお祝いのために僕と種…お母さんとでショートケーキを作ったんです」

 

いちか「…そうだったんだ。だからスイーツ作りが好きになったの?」

 

駆「…好きなった理由はわからないんです。それに…スイーツ作りが好きという訳じゃないんですよ」

 

いちか「えっ?」

 

駆「…少しだけ昔話をしますね」

 

 

2013年 時生家

 

side:駆

 

駆『お母さん…お仕事ばっかりやってるんだ!このままじゃ…倒れちゃうかも…」

 

種(だったらお母さんのためにケーキを作ろう!タネたちでお母さんを喜ばせるの!タネがデザインするから、お兄ちゃんはケーキをお願い!)

 

駆『分かった!お母さんが帰ってくるのは…再来週の日曜日!それまでに準備しよう!種、早速デザインをお願い!準備ができたら材料を買って、必要なことを調べなきゃ!』

 

種(うん!お母さん、きっと喜ぶよね!)

 

僕たちは、仕事を頑張っているお母さんのためにケーキを作ることを計画したんです。入学祝いで僕たちが作ったケーキを褒めてくれたから…。また作ってあげれば喜んでくれるという種の考えでした。

 

種『デザインできた~!!』

 

駆『苺は大きい方が甘いから…これだ!』

 

駆『生クリームの泡立て方は…。それとトッピングにデコレーションと…」

 

僕たちの考えたケーキを絶対良いものにするために、良い食材の見分け方やケーキ作りの教本を調べたりして準備を進めていきました。

 

 

サプライズ当日…

 

駆・種『『出来た!』』

 

僕たちは、最高のケーキを完成させたんです。お母さんを元気にしたくて…笑顔にしたくて…。そんな時に玄関のドアの開く音が聞こえたんです。

 

果実『・・・』

 

駆『お母さん!お帰りなさい!』

 

果実『…このケーキ…駆が作ったの?」

 

駆『!そ、そうだよ!僕が作ったんだ!デザインを考えて、作り方とか調べて作ったんだよ!』

 

お母さんがすごく驚いた顔をしていました。だから僕たちはうれしくて心の中で種とも喜んだんです。

 

駆『お母さん!食べてみてよ!』

 

果実『・・・!?』

 

駆『お母さん…どう?美味しい?』

 

種(美味しいって言ってくれるよ!お兄ちゃんとタネのケーキだよ!)

 

お母さんは用意されたフォークでホールのケーキから一口取る。それを食べた途端に驚きの表情をしたので、僕たちは美味しいって…言ってくれると思ったんです。

 

果実『…当てつけのつもり?』

 

駆『え…?』

 

お母さんから出た一言は予想外の一言でした。その一言を皮切りにお母さんは罵声をぶつけてきました。

 

果実『当てつけのつもりなんでしょ!私より美味しいスイーツを作って!オリジナルのケーキを作って!お前は人の真似してるだけだって!!お前は誰にも評価されないって!!お前には才能がないって!!!そう思っているんでしょ!!!!!』

 

駆『お、お母さん…』

 

種(お母さん…)

 

果実『あんたのせいよ!あんたたちのせいよ!!駆、あんたに私以上の才能があるってケーキを教えてると時に分かってたわよ!!でもね!あんたは生き残ったのよ!あんたが■ぬと思ってたのに!なんで種が■なきゃなんないのよ!!あんたたちのせいで私はめちゃくちゃなのよ!!!こんなことになるなら!!!』

 

駆・種『『お母さん…!』』

 

果実『あんた達なんて!!!生まなきゃよかったのよ!!!!!』

 

バリーーーーーン!!!

 

お母さんはテーブルのケーキを床に落としました。そしてすぐに家から出て行ってしまったんです。僕たちは床に散らばったケーキを眺める事しかできませんでした…。

 

種(う…うっ…ひっぐ……!)

 

駆『種…泣いちゃ…だめだよ…」

 

僕は自分の身体を抱きしめる様にして、種を…泣かせないようにしたんです。でも…。

 

種(あぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

 

駆『泣かないで…種。僕の…せいだから…僕がいけないんだから…』

 

僕はお父さんにもお母さんにも…迷惑をかけてる自覚がありました。だからどんなことを言われてもよかったんです。だから…泣かないように我慢できました。でも…種は違います。優しい種の心は…お母さんの言葉に耐えられなかったんです。

 

 

キラキラパティスリー キッチン

 

いちか「そうだったんだ…」

 

駆「だから…僕はそれ以来、人に一から作ったスイーツは振舞ったことはありませんし、種も…お母さんの事は嫌ったままなんです」

 

僕たちの過去を聞いたいちかさんは、すごく悩んだ顔をしていると、僕の方を向く。

 

いちか「…私がスイーツ作りを好きになったのはね、お母さんのおかげなの。お母さんの作ってくれたケーキがキラキラしてたから…。駆君もきっと…そんなキラキラを見たから…スイーツ作りをするようになったんじゃないかな?」

 

駆「キラキラ…」

 

僕がスイーツ作りをするようになったきっかけなんて…。

 

種(お兄ちゃん…。少し変わって)

 

駆(えっ…うん。分かった)

 

主導権を種に渡し、僕らは入れ替わる。

 

種「いちかちゃん、暗い話は終わりね!ケーキ作ろう!私、ケーキにクリーム塗りたいな!」

 

いちか「え!?種ちゃんになったの!?え、えっと!?わ、分かったよ!!」

 

種は入れ替わると話を遮り、ケーキにクリームを塗りたいと言う。それに動揺するいちかさんはホールケーキ用のスポンジを用意すると種はクリームを豪快に塗っていき…表現できない物を作り上げていく。

 

種「・・・」

 

駆(種…大事なことをしてるときに…ふざけるのは…)

 

種(お兄ちゃん…もう…あの女の話をしないで。お兄ちゃんだって…あの時泣いてたんだよ!あいつは…あいつは!サイテーな女なんだよ!!あいつの心は…このケーキみたいに”醜い”んだよ!!!)

 

駆(種…)

 

種は心の中で、怒りを叫びながらケーキにクリームをかけていく。ケーキに怒りをぶつける様に…。その結果、ケーキは”醜いもの”になってしまう。

 

いちか「うわ!?どうしたの種ちゃん!これ!?」

 

種「いちかちゃん、ごめん!私、お兄ちゃんみたいに上手くできなくって…失敗しちゃった。本当にごめん!こんなひどいの…」

 

いちか「大丈夫!私に任せて!」

 

種「い、いちかちゃん?」

 

そう言うといちかさんは、何かを考え始める。

 

いちか「キラっとひらめいた!」

 

種「な、何を!?」

 

いちかさんはケーキにデコレーションを始めていく。するとそこにな、先ほどまで”醜い”ケーキが”綺麗”なユニコーンをあしらった可愛いケーキになっていた。

 

種「すごい…!」

 

いちか「ひどくったって失敗じゃないんだよ!こうやってデコレーションすれば素敵なスイーツになるの!!」

 

種「…ッ」

 

綺麗になったケーキを見た種は、自分の怒りが作った醜いケーキを思い出し考える。あのケーキは自分の心なんじゃないかと。だとしたら、あいつと変わらないのではないかと…種は心の中で苦しい顔をしていた。

 

カラン、カランッ

 

そんな時にキラパティのドアが開き、ベルが鳴る。開店の時間になっていたのだ。

 

種「あ!?いちかちゃん!お客さんきちゃったよ!!」

 

いちか「え!?あ、いらっしゃいませ!」

 

二人は慌てて、フロアまで行きお客さんをお出迎えした。

 

 

開店から数時間後…

 

カラン、カランッ

 

駆「いらっしゃいませ!キラパティへようこそ!」

 

ベガ「あら…よく似合ってるわよ。”また会ったわね”、

私のアルタイル」

 

多くのお客さんがいる店内にベルの音が響く。ドアの方へ挨拶をすると、そこにいたのは前に僕を励ましてくれた少女”ベガ”であった。

 

駆「ベガ!?なんでここに!?」

 

ベガ「そうね…あなたに会いたかったから…かしら」

 

駆「!?」

 

そう言うとベガは、身体を僕へと寄せてくる。驚いた僕はとっさに後ろに下がる。

 

ベガ「あら?つれないわね…」

 

駆「…なんで君がここに?”また”会ったと言ったけど君に会ったのは2018年…”未来”の話だよ」

 

彼女と会ったのは2018年のはず!こんなことは”時間を越えなければあり得ない”!まさか…!?

 

駆「君はネツゾーンなの?そうじゃないなら…どうやって時を超えたんだ!」

 

ベガ「そうね…”愛の力”…かしら」

 

駆「ふざけないで、まじめに話してくれ!」

 

ベガ「ホントの事よ。…それよりこのお店、随分空いてるのね」

 

駆「そんな訳…!?」

 

ベガの言葉でハッとする。店内には僕とベガしかいなかったのだ。いちかさん達すらいない。

 

駆「種!種!!リンクが繋がらない!?」

 

ベガ「ああ…邪魔だから外しておいたの。ここは私の作った特殊空間で、あなたの精神だけを招待したから」

 

いつの間にそんな精神攻撃を!?まさか…店内に入った時点でもう僕は攻撃に掛かっていたのか!?

 

ベガ「大丈夫よ。あなたに何かしようなんて考えてないわ。あなたに伝えたいことがあってきたの」

 

駆「伝えたいこと?」

 

ベガ「マーネルがここへ向かってきてるの…それを伝えたくって…」

 

駆「なんで…そのためにこんな大掛かりなことを?」

 

ベガ「あなたなら…私がこの時代にいる事でネツゾーンであるかもしれないと言う可能性に気付き、それで他のプリキュア達も警戒して不安になってしまう。その危険を考えたからよ」

 

確かに僕はベガの考えの通りに、彼女の存在に違和感を持った。プリアラさん達の事を考えてこの方法を取ったというなら…彼女は”プリキュアの事を想って”やったということになる。

 

駆「そうだったんだ。…ベガは、優しいんだね」

 

ベガ「……べ、別にいいわよ///」

 

駆「ありがとう!あとは僕たちに任せて!」

 

ベガ「ええ。…期待してるわ。私のアルタイル」

 

次の瞬間、気付くと店内にお客さんが戻っており、いちかさん達も戻っていた。その時だった。

 

マーネル「あら~?お出迎えは無しかしら~?」

 

駆「ッ!?」

 

そこにはベガの言った通りマーネルがおり、キラパティの入り口から中へ日傘を差して入ってくる。

 

マーネル『キラキラルよ、闇に染まれ!ノワール・コーティング!!!」

 

キラキラルが抜かれ、お客さんたちが倒れだしていく。黒く染まったキラキラルはマーネルの日傘に集まり、鈍い光を放っている。

 

マーネル「今回はあたしが直接お前たちの相手をしてやる!かかってきなさいよ、プリキュアども!!!」

 

駆「やるしかない!!!」

 

僕はケースからQaフォーンを取り出しマーネルに向ける。

 

駆(ここで…終わらせなくちゃ!!!)

 

 

To Be Continued……




いかがだったでしょうか?キラキラ☆プリキュアアラモード編は次回で最終回にする予定です。駆はスイーツ作りのきっかけを見つけて、プリアラの歴史を救えるのか!?乞うご期待ください!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。