※今回の最後の方に”あるキャラ”が出てくるのですが、彼は”劇場版”の最終話に登場した人物なので、分からない方はそちらをチェックするとイメージは出来ると思います。彼の本格登場が”劇場版第2弾”なので……詳しい説明もできませんが読んでみてください。
ぶたのしっぽ亭
side:駆
健太郎「お待たせしました、オムライスです!」
駆「すごい……大きいですね」
僕たちの前に出てきたのは、”一皿”のオムライス。団体用のテーブルに座る僕たちの人数は”7人”……なのになぜ”一皿”なのかと言うと……オムライス一皿が”大きすぎる”のだ。僕の見立てでは、5~6人分と言ったところだと思うのだが……卵でよく包めたと思う。まあ、それはそれとして……とっても美味しそうだけど。
種(お兄ちゃん……まだ?まだ?)
駆「種、我慢して。……マナさん、そのケチャップは何ですか?」
マナ「これ?最後の仕上げに使うんだよ!ケチャップで~こうして~完成!」
マナさんはケチャップを使い、慣れた手つきで模様を描いていく。そして、オムライスの黄色いキャンバスの上に”大きなハート”が出来上がる。……マナさんらしい”めっちゃイケてる”デザインである。
マナ「さあ!”ぶたのしっぽ亭特製オムライス”!召し上がれ!」
六花・ありす・真琴・亜久里「「「「いただきます(わ)!」」」」
駆・種・コルーリ「「「いただきます(ま~す!)」」」
僕は大皿のオムライスを自分の皿に移し、スプーンで一口とる。……今回は、僕だけの味覚じゃ足りないだろう。……久しぶりにするか!僕と種の”味覚のリンク”!
駆「行くよ、種。僕たちの味覚を共有する」
種(おっけ~!せ~の……)
はむっ!……ッ!?
駆「美味しい!シンプルなチキンライスでありながらこの旨味!……やっぱりベーコンを使っているのがポイントですね!そして、具材のサイズと調理!それぞれを味わえるサイズにカットし、ケチャップで炒めている!ご飯に直接加えないことで、水分でベチャベチャになるのを防いでいる。まさに洋食の基本を押さえた……”洋食のバイブル”!」
種「そして、チキンライスを包んでる卵……流行のとろとろ卵でなく、しっかりと焼いた薄焼きだからこそ、黄身の風味でチキンライスよりも主張しないようにしてる!それでいて見た目もいい!とろとろ卵の高級感ではない、固焼きだからこそ出る……この黄色!ケチャップの赤と合わさって食欲をそそる……まさに”洋食の太陽”!」
駆・種「「とっても素晴らしいです!」」
健太郎「そ、そうかい?少し大げさな気がするけど……喜んでもらえてよかった!駆君には今日助けてもらったからね。遠慮しないでたくさん食べてね」
駆・種「「はい(は~い)!」」
僕たちは大盛りのオムライスを食べていると、相田家の皆さんが僕について質問してくる。
健太郎「駆君、そういえば料理すっごく上手かったらしいじゃないか!よく料理するのかい?」
駆「はい。僕の家は両親とも家にいる事がほとんどないので、自分で作っているんです」
健太郎「へ~!もしかして、将来は”料理人”になりたかったりするのかい?それなら僕としても、素晴らしい料理人が増えてくれて嬉しいけどな~!」
駆「”料理人”……もし料理人になったら、ここで雇ってもらえたり……できますか?」
健太郎「ウチでかい?そうだね……うん、君みたいな優秀な料理人なら大歓迎だよ」
もしも……僕がここで働くことが出来るなら、”マナさん”の傍で……彼女と一緒にいれる。……何考えてるんだろう?こんな……自分勝手な考えをするなんて……これも”恋”のせいなのかな?
宗吉「お前よりこの坊主の方が何倍もマシじゃ!お前の料理よりも、儂の料理に近しい考えを持っておる!優秀な料理人にしてやるわい!」
健太郎「はっはっは!また、お義父さんたら何を言うかと思えば。彼の才能は素晴らしいと僕も思いますし、一つに縛られない柔軟な感覚を持っている。”洋食”だけじゃない多くの料理を知っていく事も大事です。この子は僕が立派な料理人にして、ウチの厨房を任せられるまでにしますよ」
あゆみ「……パパ、それじゃあ”マナのお婿さん”に来てもらうって意味にも聞こえるけど?」
健太郎「ええっ!?」
六花「絶対にないです!!マナのお婿さんなんて……絶対にないですから!!!時生君!貴方にマナは渡さないわよ!!!」
……なんで六花さんが止めるんだろう?そこは普通、お父さんである健太郎さんが言うところじゃないの?
マナ「でも、駆君と一緒にお店するの結構楽しかったけどな~!」
健太郎「ま、マナ!?か、駆君!僕は、まだ君を認めていないからね!マナはまだ嫁には出さないよ!!」
駆「お、落ち着いて下さい、”おとうさん”!」
種(あっ……)
健太郎「君に、まだ”お義父さん”と言われる筋合いはない!!!」
僕の凡ミスにより、健太郎さんは泣いてしまうし、六花さんは……いや、コルーリも睨んでくるし、他のみんなは笑ってるし……ふふっ!大人数の食事って……やっぱり楽しいな。……でも、マナさんが、僕の”お嫁さん”か……。
マナ『駆、お帰り!』
……ッ!?変な事考えるな!
コルーリ「……カケル、鼻の下が伸びてます」
駆「ッ!?伸びてない!」
種『伸びてるよ~!びよ~んて!』
宗吉「ん?今誰が喋ったんじゃ?」
駆「ッ!?種!……き、気のせいですよ!」
種は、Qaウォッチのコミュニケーション機能使っていきなり声を発した。幸い僕のごまかしで事なきを得たが……こういう事やめて欲しいんだよな~。リンクが切れたとき用の手段をこういうお遊びに使わないで欲しい。
マナ「あっ!もうお皿空っぽだね!駆君、取ってあげるね!」
六花「マナ、大丈夫よ。私が取ってあげるから!……ね!時生君……」
駆「は……はい」(こわっ!)
そんなこんなで楽しい食事は過ぎていった。……そのかわり、六花さんの視線が吹雪のように冷たく、食事が終わった今でも……向けられている。……助けて欲しい。
相田家 マナの部屋
お風呂もいただいて、マナさんの部屋に集まった僕たち。全員がパジャマに着替えて、お菓子やトランプなどのパーティーに欠かせないものが用意されている。そんな中、亜久里ちゃんは真剣な表情で僕たちの前にやってくる。
亜久里「駆、少しよろしいですか?」
駆「何だい、亜久里ちゃん?」
種『改まってどうしたの?あっ!お兄ちゃんに添い寝して欲しいとかそう言うのはだめだよ!』
亜久里「違います!……オホンッ、二人はプリキュアなのですよね?でしたら、二人にも”プリキュア5つの誓い”を伝えたいと思います」
駆・種「「プリキュア五つの誓い?」」
亜久里ちゃんの言う”プリキュア五つの誓い”と言うもの……一体何なんだろうか?
マナ「はい!それならあたしたちで言うよ!”1つ、プリキュアたるものいつも前を向いて歩き続けること”!」
真琴「”1つ、愛は与えるもの”!」
ありす「”1つ、愛することは守り合うこと”」
六花「”1つ、プリキュアたるもの自分を信じ決して後悔しない”!」
亜久里「”1つ、プリキュアたるもの一流のレディたるべし”!」
マナ「”1つ、みんなで力を合わせれば不可能はない”!」
……ん?
駆「……6つあるよね?」
種『6つだよね。コルーリ、何個あった?』
コルーリ「……6つですね」
亜久里「さ、最後のはマナが作ったので……」
駆「しかも、プリキュアは”一流のレディ限定”……意外と狭いくくりだし、ついでに言うと僕……”男”だし」
ドキドキ!プリキュアさん達による”プリキュア5つ(6つ?)の誓い”を聞いたけど……既に僕、1つ当てはまらないですけど。ついでに言えば種は”一流のレディ”ではない。
種『お兄ちゃん、今失礼な事考えなかった?』
駆「考えてないよ。あと、大事なコミュニケーションツールで遊ばない」
種『だって、こっちの方が話しやすいでしょ!”画面の外の人”も言ってるよ!』
駆「……”第四の壁”に干渉するんじゃないよ。……ともかく、亜久里ちゃんは僕たちにこの”誓い”を教えてくれたんだよね……ありがとう」
亜久里「いいえ、本番はここからですわ!」
そう言うと亜久里ちゃんは、用意されていたトランプなどの遊び道具を僕たちの目の前に出す。
亜久里「今から、わたくしたち”ドキドキ!プリキュア”の5名と対決していただきます!名付けて……”プリキュア5番勝負”ですわ!」
駆・種・コルーリ「「「プリキュア5番勝負!?」」」
ありす「まあ!とっても楽しそうですわ!」
六花「またスゴイこと言いだしちゃったわね……この子」
亜久里「わたくし達5人に勝つことで、少しでもわたくしたちと同じステージにたどり着いていただきますわ!勝負の内容は、対戦する相手であるわたくしたちが決めます!さあ、この勝負……受ける覚悟がありますか?」
プリキュア5番勝負……面白い!そう言うの……嫌いじゃない!
駆「分かりました、その勝負受けましょう!一つ確認ですけど……”全力”でやっていいんですよね?」
亜久里「勿論ですわ。そうでなくては……意味がありません」
駆「分かりました。……いざ、勝負!!!」
そして、僕とドキドキ!プリキュアさんの勝負の幕が開く!
第一戦:ババ抜き対決 VS”円 亜久里”
現在、僕の手札は一枚。亜久里ちゃんは二枚……どちらかが”JOKER”と言う状況。どちらのカードを引くかによって……勝者が決まる!
亜久里「さあ……どちらを引きますか?まさか……ここで諦めるという事はありませんわよね?」
駆「諦める気はないですよ、さっき言ってたじゃないですか。”プリキュアたるものいつも前を向いて歩き続けること”……勝利のカードは引いても、勝負から退いたりはしない!」
亜久里「良い覚悟ですわ!さあ……引きなさい!」
……”見えた”!
駆「そこだ!」
僕は、亜久里ちゃんの持つカードの一枚を弾く。そのカードは……。
駆「残りのカードはいらないよ。だって僕が”切り札〈JOKER〉”だからね」
僕の”ハート”のエースと揃う……ダイヤの”エース”だった。
アイちゃん「あ~い!」
マナ「勝者、駆君!おめでとう!!!」
亜久里「ど、どうして分かったのですか?わたくしが持っていたエースの位置が……?」
駆「……亜久里ちゃんの”目”が大きくて助かったよ。よ~く絵札が”見えた”からね」
シャルル「目に移った絵柄で、ババを見抜いたシャル!?」
こういうのは”イカサマ”ではあるんだけど……僕なりの全力である。
亜久里「お見事ですわ。最後まで諦めず、突破口を見つける観察眼……あなたは立派です」
駆「ありがとう、亜久里ちゃん」
種『さあ、次の勝負は!』
第二戦:百人一首 VS”菱川 六花”
駆「……勝った!」
六花「何でよ!?」
ラケル「どうして六花より早く取れるケル!?」
駆「……札の位置を見た瞬間に覚えて、上の句は全部覚えてるから大丈夫。取られそうな時は六花さんが弾こうとするのに合わせて僕が手を出すだけ……僕、こう見えてカウンター主体で戦うからね。筋肉の動きでどう動くのか分かるんだ」
六花「インチキもいいとこじゃない!も~!ありす、お願い!」
第三戦:紅茶淹れ対決 VS”四葉 ありす”
ランス「僕が審査したでランス~!」
種『ランス、結果発表……お願いします!』
ランス「……駆でランス~!」
駆「……ふ~!やっと一息付けた」
ありす「やはり、ランスちゃんに合わせて”お砂糖を多く”していらしたんですね」
やっぱり気付いてたか。それに……ありすさん、”わざと”やらなかったな。
駆「……ありがとうございます、ありすさん」
ありす「うふふっ、何のことでしょうね?何かお思いなら……そうですね、わたくしは駆君のスイーツを頂きたいですわ!」
駆「喜んで作らせていただきます……」
第四戦:モデル対決 VS”剣崎 真琴”
真琴「どうかしら?」
マナ「わ~!まこぴー、その服可愛い!すっごいキュンキュンしちゃう!」
コルーリ「次は……駆です。どうぞ!」
駆「レディースを着るとは思わなかったよ」
六花「か、かわいい!?」
僕はモデル対決のために、プリカードを使って”ドレス”に着替えた。ご丁寧にウィッグまで付いていたので、現在黒髪ロングヘアーである。
種『ふっふっふ!お兄ちゃんはこう見えても美形なんだよ。線が細いし、女の子みたいな顔してるからね!アイドルのまこぴーにだって負けないんだから!』
駆「……種、嬉しくないから」
コルーリ「……なんか、自身を無くしまチュン」
……公平を期すため、審査員はダビィを除いた妖精たち5名。その結果は……。
真琴:2票(シャルル、ランス)
駆:2票(ラケル、アイちゃん)
真琴「あれ?一人足りないわ」
駆「コルーリ!早くどっちかに票入れて!」
コルーリ「私よりかわいい……はっ!?す、すいません!えっと!?……駆にいれます!」
と、言う訳で……身内票ではあるが、現役アイドルに勝ってしまった。……どうなのこれ?いいの?
第五戦:歌声対決 VS”相田 マナ”
六花「時生君の勝ち!時生君の勝ちよ!!!」
駆「えっ?いや、まだマナさんも僕も歌ってないんですが……」
真琴「ダメよ!マナに歌わせちゃ!」
マナ「みんなひどいよ~!あたしちゃんと練習したんだよ!」
何故か皆さん、マナさんが歌おうとするのを止めようとする。僕としては……マナさんの歌声を聞いてみたいけどな。きっと……素敵な声なんだろうな。
駆「えっと……僕は聞きたいです、マナさんの歌……///」
マナ「本当!それじゃあ……す~!」
マナさんは歌うためにゆっくりと空気を吸う。何故か、部屋の角で六花さん達や妖精まで耳をふさいでいるように見えるが……きっと気のせいだろう。コルーリも聞こうとしてるし……きっと素敵な……。
マナ「ぜがいはまるでめりご~ら~!あいでまわるよ!」
コルーリ「チュチュ~~~~~ン!?!?!?!?!?」
種『ギニャアアアアアアアア!?!?!?!?!?』
駆「……素敵だ」
なんて素敵な歌声なんだ!まさに女神の歌声!やっぱり……マナさんは素敵だ!
マナ「ふ~!駆君、どうだった?上手に歌えてたかな?」
駆「とっても素敵でした。まるで”ミューズ”……音楽の女神の様でしたよ」
マナ「えっ///!や、やだな~///!褒め過ぎだよ~///!」
六花「ど、どうなってんの?なんで時生君、何の問題もなく立ってるの!?コルーリは倒れてるのに……彼、本当に何者?」
審査員による強制終了が掛かり、今回は僕の勝ちとなった。僕じゃマナさんの様な歌声は出来ないのに。きっと、勝負が続いていたら僕は負けていただろう……運がよかったという事にしておこうかな。
相田家 リビング
僕は”プリキュア5番勝負”を終え、もう遅いという事で就寝することとなった。一応、”何かの間違い”が起こらない様に、僕の寝床はリビングに布団を引かせてもらったものである。
駆「種……ダメだ、完全に気絶してる。なんで気絶してたんだろう……コルーリと種。別に気絶する要素なんてなかったのにな……」
マナさんの女神の歌声が終わってすぐに気絶しているのが見つかったコルーリ。ついでに種も……リンクが繋がっているから良いものの、シードにはなれるが、これでは”アストラル・シード”になれない。……もし襲われたら……。
ガタンッ
僕は物音がした方向を見ると、そこにはマナさんがいた。
駆「マナさん、どうしたんですか?」
マナ「えへへ、ちょっと眠れなくって……そうだ、駆君もホットミルク飲む?」
駆「それなら手伝いますよ」
マナ「ありがとう、駆君」
僕は小鍋で牛乳を温め、マナさんが用意してくれたカップに注ぐ。そして、ここに隠し味……”はちみつ”を入れる。種はこのホットミルクが好きで、よくお母さんに作ってもらっていたらしい。……僕は飲んだことないけどね。
駆「どうぞ」
マナ「ありがとう……うん、とっても美味しい」
駆「良かったです。……うん、まあまあかな」
僕たちはホットミルクを飲みながら、リビングテーブルに並んだ椅子に腰掛ける。ゆっくりと時間が過ぎる中、マナさんが意外なことを聞いてくる。
マナ「駆君、ありすのお屋敷で話してた……お父さん、”時生議員”のこと……どういう意味なの?」
駆「……どういう意味とは?」
マナ「駆君の事を”なかったこと”にしたって……どういう意味なのかなって。聞きそびれちゃってたから」
あまり聞かれたくない内容だった。僕が行った”行為”……命を奪った事……そのことにダイレクトに繋がる話だから。マナさんに……軽蔑されるのではないだろうか?……”怖い”……この人に見放されてしまうと思うと……怖くてたまらない!
マナ「あたし、駆君の事……もっと知りたい。もっと……駆君と向き合いたいの」
信じて……いいのかな?
駆「……僕は」
マナさんなら……。
駆「人の命を……奪ってしまったことが……あるんです」
僕を……受け入れてくれる気がする。
2011年 時生家
僕は、誘拐犯であった人物の一人を……亡き者にしてしまいました。僕はその親族のによる”一人だけの葬式”を目撃した後、僕がやったことの重大性と……罪の重さに耐えられなくなっていました。種とのリンクも切れ、一人ぼっちの僕は……僕がやった事を警察が記者に発表し、全国に知れ渡っていると思っていました。しかし、……僕が彼を手に掛けたことは……”何も書かれていなかった”んです。
マナ「どうして……?」
駆「お父さんが……僕が警察に話していた情報を”警察上層部”と結託して”隠蔽”したんです」
マナ「隠蔽!?」
僕は……その事実を知らなかった。なんで僕は、これほどの事をしてしまったのに普通に生きているんだと……幼いながらに思いましたよ。僕はそれに耐えられなかった……だから、お父さんに聞いたんです。”どうして僕が話したことが書いてないんだ”……”どうして僕は普通に生きてるんだ”って……。そしたら……。
歩夢『駆、お前は私を……私の夢を邪魔したいのか?そんなことが世に出れば……私のクリーンな印象に傷がつく』
駆『でも、僕は……ひどいことをしたんだよ!悪いことをしたら、ちゃんと謝らないといけないってお父さん言ってたでしょ!』
歩夢『そんな子供の喧嘩と一緒にするな!私は、国と言う大きなものを背負っているんだ!それが、お前一人でダメになるんだぞ!!分かっているのか!!!』
駆『……ッ!?……それじゃあ、僕がいなくなればいいの?そうすれば……お父さんは困らないの?』
お父さんなら……優しいお父さんなら、きっと僕を……大切な家族を見てくれると思ったんです。選挙も近かったし、忙しいのは知っていたけど……少しでも……僕を見て欲しかった。僕の言葉を……否定して欲しかった。
歩夢『……そうだな』
駆『ッ!?……お父さん!』
歩夢『お前の存在ほど…なければいいと思った事はない!消せるものなら消してしまいたい!!!』
駆「ッ!!!」
歩夢『……私はこの後に公務がある。……私の邪魔をせず静かにしていろ。お前の事をもみ消すのも……簡単ではなかったんだからな」
そう言い残すと、お父さんは家から出ていきました。それ以来、お父さんはホテルでの宿泊が殆どで……家には帰ってきません。……あの時の僕は、奪った罪と……今も汚れ続けるこの手と一緒に……生きていこう決めたんです。……誰にも触れず、誰にも関わらず……それが、お父さんのためにも……誰かのためにもなるからって……僕に言い聞かせて。
マナ「……そうだったんだ」
駆「はい……でも、少しずつ変わって来たんです。まだ……手を握るのは怖いですけど」
マナ「・・・・・・」
マナさんは黙って僕の手を見つめる。……もしかして、軽蔑されてしまったんじゃ「そうだ!」……えっ?
マナ「駆君、握手しよう!今、あたしと!」
そう言うと対面であった席を移動し、僕の隣の椅子に座ると僕に握手しようと言い出す。
駆「ッ!?……いや、無理ですよ」
マナ「大丈夫だよ!駆君の手は汚れてなんかない!……もし不安なら”おまじない”してあげる。手の平に”ハート”を描いてお願いするの。大丈夫……ね?」
マナさんはそう言うと、僕の右手の平に”ハート”を描く。そして、彼女は僕の前に右手を差し出す。
駆(怖い……けど、僕は……!)
ゆっくりと彼女の手に……”真っ赤に汚れた手”を伸ばす……そして。
駆(……マナさんの手を、しっかりと掴みたい!)
ギュッ!
二人の手と手は……しっかりと握られた。
駆「……出来た」
マナ「ね、大丈夫だったでしょ?……ふふっ、駆君の手……温かいんだね。私は好きだな……この手」
駆「ッ!?……好きです」
マナ「えっ?」
駆「僕……マナさんの事が好きです」
やっと分かったばかりだし、言えるか分からなかった言葉……それは、あまりにも自然に僕の口から出てきた。
マナ「……うん!あたしも駆君の事、好きだよ!」
駆「……言っておきますけど、”LIKE”ではなく”LOVE”の方ですよ?」
マナ「えっ?……え~~~~~///!!!な、何で///!?い、いつから///!?」
駆「えっと……今思い出すと、”初めてぶたのしっぽ亭で接客された時から”……でしょうか」
マナ「り、理由は///!?あたし、普通に接客してただけだよ///!?」
僕は再びあの時の事を思い出し、分からなかったことがなくなった今……一目惚れの理由を全て話していく。
駆「えっと……先ずは”笑顔”が素敵だったことでしょうか。次は”瞳”……真っ直ぐに向く綺麗な瞳だなと思いました。それから、”声”も可愛らしいし……髪型とかも……あとそれから……」
マナ「スト~~プ///!そ、それ以上はダメ///!恥ずかしくて……キュンキュンが追い付かないから///」
駆「……で、答えはどうなんですか?」
マナ「へっ?」
駆「……”OK”……何ですか?」
僕はマナさんに……告白の返事を聞こうとする。しかし、真っ赤になったマナさんは何も答えない。そんな中、周りをキョロキョロしていると……何か浮かんだとばかりに笑顔になる。
マナ「あ、あ~、もうこんな時間!もう寝ないと!そ、それじゃあ、駆君!おやすみなさい!!ってぃ!!!」
駆「ッ!?ま、待って下さい!」ガシッ!
マナ「キャッ!?」
駆「ッ!?マナさん!うわっ!?」
ドンッ!
逃げようとするマナさんの腕をとっさに掴んでしまったため、マナさんが体勢を崩してしまう。結局、僕自身もマナさんを助けようとしたのだが、マナさんに引っ張られて一緒に床に倒れてしまった……僕がマナさんを”押し倒す”形で……。
マナ「……あっ///」
駆「……マナさん」
僕は……もう我慢できなかった。僕は考えることを放棄し、ゆっくりとマナさんへと顔を近づけていく……そんな時。
六花「今の音は何!?……なっ!?あ、あんた、マナに何してるの!?」
マナ「えっ!?り、六花!ち、ちがうの///!あたしが転びそうだったのを助けてもらったんだけど……駆君ごと倒れちゃって!な、何にもないから!」
駆「そ、そうなんです!一緒にいたのは、ホットミルクを御馳走してもらってて……な、何もないです……はい」
六花「……ふ~ん、そう……まあいいわ。マナ、もう遅いから寝るわよ……あなたもね、時生君」
マナ・駆「「は~い」」
六花さんのストップ(邪魔)により僕は間違いを起こさずに済んだ……しかし。
マナ『……あっ///』
駆「……可愛かったな、マナさん」
僕はあの時のマナさんの顔を思い出していた。赤らめた頬、荒い呼吸、甘い匂い……やめよう、寝れなくなる。そう思った僕は、いい意味で思考を停止し……。
駆「明日、返事を聞こう……おやすみ」
僕は夢の中へと落ちていった。”プリキュアを救う使命”も忘れて……ただ、新しい”心の支え”を胸に……。
side:コルーリ
コルーリ「・・・・・・」
駆『僕……マナさんの事が好きです』
コルーリ「カケルは……マナさんが好き。そうか……カケルも恋してるんですね。あれだけ辛い思いをしてきたんですから……とっても良い事です!とっても……あれ?雨……でしょうか?なんでお部屋の中で?」
私は、一階にお水を貰いに行こうとリビングへ行っていた。そこで盗み聞きしてしまった……カケルの父について……カケルのマナさんに対しての思いを。……素敵な事です!良い事です!カケルに”心の支え”が出来たんです!……おかしいな、なんで雨が降るんですか?今はお部屋の中……雨なんて降る訳がないのに……。
コルーリ「……あれ?私……”泣いてるの”?」
寝具を濡らすのは……雨ではない。それは自分の心が苦しむことで、自分の目から流れてくる……大粒の”涙”だった。
コルーリ「……ッ!……ッ!!……ッ!!!」
妖精の少女は……枕に顔を埋めて泣いた。その声は……”彼”が思う人の部屋に集まった彼女たちには届かず、愛する”彼”にも届かない。少女は……冷たく濡れた寝具を……さらに涙で濡らしていく。彼女の涙を知るのは……暗い夜の”闇”だけだった。……”彼”の中に渦巻く、”絶望”のように……明日来る希望を……塗り替えるための……”闇”だった。
side:黒コートの男
黒コートの男「……コルーリ、大丈夫だ。お前の涙は……”俺”が隠すよ」
一人の少女を思いながら、男は呟く。そして男は、自分がよく知る少年へと……聞こえることのない忠告をする。
黒コートの男「大きすぎる一つの支えが折れたなら……どんな強いものでも壊れていく。お前は……使命を忘れ、自分の一番近くにいてくれる大切なものを泣かし……”絶望”するんだよ……”俺”みたいに……さ」
男は暗い闇の中へと消える。分かっている結末に向かう……少年の運命を笑いながら。夜が明けたら……朝が来る……少年が”絶望”する……決められた朝が……。
To Be Continued……
いかがだったでしょうか?せっかく楽しい回にしようとしたのですが……私って悲劇しか書けないみたいで、結局くらいムードにしてしまった。まあ、これくらいジャブですよね?次回は、再び現れるフェイク!彼の手の中にはあの忌まわしき兵器”デリート”が!?心の支えを無くした駆は……。乞うご期待下さい!