ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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今回は駆sideのプロローグを投稿します!プロローグと第1話を読んでからの方がお楽しみ頂けると思います。駆と種の事件について、少しだけ触れています。また旭と駆の考え方の違いなど楽しんでいただけたらと思います。
では、お楽しみください!


プロローグside駆:僕(私)は、過去(未来)を想う

2012年4月1日 ■■:■■

 

『はあ…はあ…はあ…‼』

 

暗闇の中で、男の荒い息遣いが聞こえる。耳を澄ませると、その息遣いと合わせてピチャッ、ピチャッと言う水音が冷たく狭い空間に響く。目を凝らして、音が響くところを見る。するとそこには、大人の男性が、僕の妹に”種”に覆いかぶさっていた。

 

種『いだっ…痛い!!!助けて!!!…ッ!ヤダ!!!お”兄ち”ゃん”!!!!』

 

駆(種が…!種が男に襲われている!助けなきゃ!!!)

 

僕は”縛られて”動かないはずの手が動くようになったことに気付く。僕を固定していたロープが切れていたのだ。僕は周りに道具はないかと部屋を見回すと、床に”黒く”、”重い”、”鉄の塊”が落ちていた。

 

駆(たすけなきゃ!助けなきゃ!種を!僕の妹を!!絶対に!!!)

 

鉄の塊をゆっくりと男の頭の高さまで上げ…

 

駆『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

男『…えっ?』

 

僕は……”引き金”を……引いた………。

 

 

2019年4月30日 AM5:55 平成終了まで…あと18時間05分

 

駆「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

最低な記憶を…悪夢を見ていた僕は、アラームが鳴る前にベッドから飛び起きた。

 

?(お兄ちゃん!!!大丈夫!!!)

 

僕の頭の中で、”今は亡き彼女”の大声が響く。

 

駆「はぁ…はぁ…はぁ…うん…大丈夫だよ…”種”」

 

7年前のあの事件で命をなくした双子の妹、”種の人格”が僕の中に宿っている。俗にゆう”二重人格”というものだ。しかし、通常の二重人格とは違う。それは、僕の中にいる種の人格には”種が生きていた6年間の記憶”が存在している事である。僕から生まれたのならば、僕が知らないことを知っていることは、あり得ないはずなのだから。

 

種(タネが着替えとか済ませるから、お兄ちゃんはもう少し寝てていいよ?)

 

種は”僕の身体を動かすことが出来る”。僕が気絶している時に、代わりに身体を動かして移動したり、僕の許可があれば、僕の意識があっても身体を動かせる。それだけでなく、僕の精神が動揺していたりすると、身体の操作を奪ったりもできる。これを”主導権”と僕たちは呼んでいる。今回の場合は、”僕が再び睡眠を取っている間、種が身体の主導権を使い、着替えなどの準備をする”という意味である。

 

駆「大丈夫だよ。それに…僕がやりたいんだ」

 

種(…うん!じゃあね~今日はスクランブルエッグがいいな!)

 

駆「うん…最高のを作るからね…」

 

朝食のリクエストに返答をして、僕は学校に行く準備を始める。今日…僕が…僕たちが…”避けられない運命”に巻き込まれることを、この時は知らなかった。

 

 

AM6:30 平成終了まで…あと17時間30分

 

『以上、東京クローバータワー展望スペースでのピアニスト”北条 響”氏の演奏でした。続いてのニュースは、海外で活躍するトップモデルの”天ノ川きらら”さんが、日本で開かれる…』

 

テレビを付けると、今日のニュースが流れだす。それをBGMの代わりにしながら、僕はエプロンを身に着け朝食の準備をする。両親がいる事の少ない僕にとって、料理はほぼ毎日する日課となっている。スクランブルエッグと、そのほかに付け合わせの食材を用意し調理を進めていく。

 

種(明日から”令和”なんだね~。楽しみだな~)

 

駆「…そうかな?僕はそうでもないけど…」

 

種(え~!どうして~!?未来になったらいろんなこと出来るんだよ!なんでなんで!?)

 

僕は、出来上がったスクランブルエッグとベーコン、サラダをお皿に盛りつけながら、種の新年号の話題に返答を返す。焼きあがったトーストと出来上がった料理をテーブルに置いて椅子に座り、種のどうしてという疑問に、僕は答える。

 

駆「どんどん…昔の事が遠くなって、忘れられてしまうような気がするから。…楽しかったことも…種が救ってくれたことも…僕が…”奪ってしまった命”のことも…」

 

種(お兄ちゃん…)

 

駆「昔の方がよかった。お父さんも…お母さんも…種も…”あの人”だって!全部…僕のせいで…」

 

種(お兄ちゃん!)

 

駆「ッ!?…ごめん…ご飯冷めちゃうね…じゃあ、変わるよ…召し上がれ…」

 

種に主導権を渡し、僕は種と入れ替わるように心の中に入る。

 

種「…うん!いただきます!…おいしい~!」

 

駆(そっか…よかった…)

 

種が笑顔で食べてくれるのを感じて、僕は安心する。僕は、最高の料理を種に…食べてもらいたい。明日も…これからも…いつか消えてしまうその日まで…。

 

 

AM7:50 平成終了まで…あと16時間10分

多田織市立 満星学園 2年A組 教室

 

和澄「あっ!駆君、おはよ~」

 

駆「…うん、おはよう水部さん」

 

彼女は、種が僕の身体を使ってつくった友達の”水部和美”さん。僕としては、あまり関わりたくないのだが、彼女は人との距離を考えることのできる人なので、しつこく干渉してこないからまだマシだ。

 

和澄「席替え出てるよ!ほら!」

 

彼女が指さす方向を見ると、黒板に席替え表が書かれている。このクラスは縦6列、一列に対し5席で机が並べられている。僕の名前は、窓際から2列目の最後尾に書かれていた。席を確認した僕は、指定されている席に向かい教材を机にしまい、カバンに入れておいた本【海賊ハリケーン】を取り出し読み始める。

 

和澄「ほらほら~、挨拶してきなよ~」

 

?「えっ!?で…でも…」

 

水部さんと誰かの会話が聞こえる。しかし僕は読書を続ける。…そんな時だった。

 

?「ウェッ!?お、押さないで、キャア!?」

 

僕の机の前に、”麻琴 旭”さんが勢いよく現れたのだ。

 

種(旭ちゃんだ!お兄ちゃん!)

 

駆「…大丈夫?」

 

旭「!?う、うん…大丈夫。お…おはよう…時生君」

 

彼女は”麻琴 旭”さん。新学期から転校してきた女の子で、種が無理やり僕の手を握らせた子。種が僕と偽って話すようになった、”種の友達”だ。

 

駆「…うん、おはよう麻琴さん」

 

挨拶をしたのだが、麻琴さんはぼんやりとしている。どうかしたのだろうか。

 

駆「…麻琴さん?どうしたの、ぼんやりしているみたいだけど…」

 

旭「あ、ごめんなさい、読書の邪魔しちゃったね。私、直ぐに退くから!」

 

彼女は僕に謝罪をすると、急いで僕の隣の席に座る。多分、そこが彼女の席なのだろう。僕はそう思い、また本に視線をもどすと、種が声を掛けてくる。

 

種(お兄ちゃん…旭ちゃんに冷たいよ~。ねえ!私が話してもいい?)

 

駆(…いいよ、話して…)

 

種(やった!)

 

種に頭の中で許可を出し、主導権を渡そうとした瞬間に、うざったいヤツ…”猿分詩文”がいきなりやってくる。

 

詩文「よお!駆!見ろ視ろ観ろ!こいつを~!見ろ!!!」

 

種(お兄ちゃん!プリキュア!プリキュアの記事が載ってるよ!詩文君に話し振って!振って!)

 

種がハマっているもの”プリキュア”。不思議な力を持つ少女達らしく、怪物と戦っているらしい。まるで戦隊ヒーローのようだと、初めて聞いた時には驚いた記憶がある。彼女たちのような存在がいるなら、”ライダー”や”スーパー戦隊”も存在するかもしれない。おっと、話がそれてしまうところだった・・・。

 

駆「うるさいよ、詩文。…で、僕は何を見ればいいの?」

 

種に頼まれた通りに話を振ると、予想通りプリキュアの話が出てきた。面倒だな…。

 

 

AM8:59:50 平成終了まで…あと15時間10秒

 

夢原先生「では、ホームルームは以上です。1時間目は国語だから、みんな国語の用意をするよ~に。けって~い!」

 

夢原先生の聞きなれた口癖を聞き、教科書を出そうとしたとき異変が起きる。

 

ガッチャ…

 

駆「うっ!?」

 

種(何!?…これ!?頭が…いたい!?)

 

頭が割れるような痛みが走る。それは僕だけでなく、種にまで及んでいる。

 

駆(だめだ…)

 

種(意識が…持たないよ…)

 

僕たちは、机に倒れこみ意識を手放した。

 

 

AM9:00 平成終了まで…あと■■時間

 

駆「う、うん…!?な、なんだ…これ?」

 

目を覚ますと、そこには全てが”静止している世界”が広がっている。人も、物も、時間も全て止まっているのだ。僕を除いて…。

 

駆「タイムジャッカーの時間停止…ではないよね…」

 

種(お兄ちゃん!大丈夫!?)

 

下らない発言をしていると、種も意識が戻ったのか血相を変えたように聞いてくる。驚いた僕は、机に乗っていた本を落としてしまう。

 

駆「なんだ…この本?…”海賊ハリケーンじゃない”?」

 

種(お兄ちゃん!詩文君の雑誌見て!”プリキュアの記事がなくなってる”!)

 

僕が持ってきていたはずの本【海賊ハリケーン】は知らない作家の本に代わっていた。また、詩文が持ってきていた雑誌からはプリキュアの記事はなくなっていた。なんでこんなことが起こっているんだ?

 

種(お兄ちゃん!校庭で何か光ってるよ!)

 

駆「なんだ…宇宙船?あそこにいるのは…鳥かな?それに…人もいる」

 

種(あれ!旭ちゃんだよ!お兄ちゃん!種たちも行こう!)

 

駆「…分かった。…ここにいたって”みんなを助ける”のも…助かるのも無理そうだからね」

 

校庭に碧色に輝く宇宙船、麻琴さんに、見知らぬ鳥がいる。”あそこに行けば何か変わるかもしれない”そう決心すると、僕は校庭へ向かって走る。校庭へ向かう途中に爆発音が聞こえる。何かが、この異様な空間で起こっている。それも非現実的なものに他ならない。

 

?「はっはっはっはっは!こいつはお笑いだぜ!プリキュアになれねーなんてな~」

 

旭「……ッ!」

 

?「そんなら、そのアイテムも…いらねーよなーーー!!」バシッ!

 

旭「キャア!」

 

昇降口から校庭に出ると変なやつが大声を出し、麻琴さんの手にある物を弾き飛ばす。飛んできたものは僕たちの前まで転がってきた。

 

駆「なにこれ?スマートフォン?」

 

種(お兄ちゃん!旭ちゃんが!?)

 

種の声に従い麻琴さんを見ると、変なやつに宙に吊り上げられた麻琴さんがいた。

 

?「アサヒ!」

 

変なやつ「こいつがいなくなれば、もう我らネツゾーンと”あのお方”の邪魔をするものはいねえ!!!」

 

?「やめるチュン!アサヒを…アサヒを離すチュン!!!」

 

さっき見た鳥は、麻琴さんを心配し声を上げる。

 

駆(嫌な予感がする…どうすれば!?)

 

種「…ダメ……」

 

駆(は!?…種!どうして入れ替わって!?)

 

僕が動揺したために、身体の主導権を種に奪われてしまう。そんなことも束の間、麻琴さんの身体を”どす黒い闇”が飲み込み…麻琴さんは……消されてしまった。

 

?「アサヒーーーーーーーー!!!!!」

 

青い鳥の叫び声が響く。それだけではない。種は、消されてしまった”自分の友達”を想う様に…彼女の名を叫ぶ。

 

種「旭ちゃん!!!」

 

 

駆プロローグ:Side out……

 




いかがでしたでしょうか?
次回はHUGっと!プリキュアの時代です。ネツゾーン三幹部の残り2人やコルーリ(美少女態)が登場する予定です。
乞うご期待ください!
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