ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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ごきげんよう、32期です。今回はベガ……白鳥オリヒメの話をお送りします。旭の話の最後、駆に話していた思い出についての内容が分かったりします。それから……駆達に迫る”運命の時”まで……あと少し……では、お楽しみください!

9月23日、24日は、キュアアムールこと”ルールー・アムール”ちゃん、キュアショコラこと”剣城 あきら”さんの誕生日でした!遅れてしまったけど、誕生日おめでとう!ルールーはハグプリでも大好きなキャラです!序盤のクールもプリキュア覚醒後の大食いキャラも最高です!あきらさんは……かっこよすぎです!普通に男な私でも惚れるほどカッコいいです!非の打ちどころのないイケメンですわ~……でも、時折見せる可愛い表情が癖になるんですよね~。本当に素敵なキャラ達です!!!


プロローグsideベガ:禍つオリヒメ、彦星を想う……

ベガ「……アサヒ、遂に私のアルタイルと合流したんだ」

 

 こうなる事は予想通り……計画は既に練ってある。後はどう転ぶのかを待つだけ……抜かりはない。

 

カイザーン『キュアザートが合流したな……ベガ』

 

ベガ「ええ……そろそろ仕上げに入らないと……ね」

 

カイザーン『そうだ……ベガ、マーネル帰還後に”フェイク”と”インペイル”を招集せよ。2010年に……三幹部、及び……ベガ、お前たち全員で向かえ』

 

ベガ「運命の時……ですね」

 

カイザーン『ああ……”トキオ カケル”の中にある”不純物”を取り除くために……最善を尽くすのだ」

 

 そう……やっとここまで来た!この時をどれだけ待った事か!!!

 

カイザーン『ベガ……忘れるな。全ては……”私”のために……だ』

 

ベガ「分かってるわ……そのために、私にも仕上げをしないとね」

 

カイザーン『そうだ……直ぐに取り掛かれ。終了次第、次の段階へ移行するのだ』

 

ベガ「ふふっ!もちろんよ、カイザーン……それじゃあ、準備をしてくる」

 

 私はそう言うと開けた空間から奥に進み、”寝室”に向かっていく。その中には一台ベッドがあり、私は最後の仕上げのため……ベッドへ身体を預ける。

 

ベガ(さあ……楽しい夢の時間よ)

 

 そして私は、ゆっくりと夢の中へと落ちていった。

 

 

2019年4月1日 天文学同好会部室

 

駆『はっ?いらないよ……知りもしないヤツのサインなんか……』

 

 ふふっ……今でも思い出すわ。あなたが私に言った言葉。私を”特別”ではなく、”普通”に扱ってくれた……私とあなたの出会いの言葉……素敵……でも、もう少し先を見ましょうか……そうね、だったら……彼が”わたくし”の事を知った時なんてどうかしら?

 

 

2019年5月12日 多田織市立 満星学園 2年A組 下校時間

 

オリヒメ『授業……終わり~!アサヒ、カケルの所に行こう!』

 

旭『あっ……オリヒメちゃん、時生君は今日お休みだよ……確か”病院に行く”って言ってたから』

 

オリヒメ『え~!?そっか……じゃあ、一緒に帰ろう!駅前に”ミススタードーナツ”が出来たんだって!私、ドーナツって食べたことないんだ!』

 

旭『えっ?お仕事の関係で頂いたり……しないの?』

 

オリヒメ『しないよ……と言うか、私の事務所がそう言うのNGにしてるんだ……”毒”が入ってるかもしれないって……』

 

 そう……”私”の生活でも多くの制約と束縛が付いてくる……自由になるために”私”になったのに……それでもダメ。私を特別扱いして、みんなが私を取り囲んで……本当にうんざりしたんだ……。

 

旭『毒って……あれ?校門前に……車?スゴイ高そうな車……誰かのお迎えかな?』

 

オリヒメ『えっ?……嘘!?』

 

旭『えっ!?お、オリヒメちゃん!?ま、待ってよ~!!』

 

 私は校門に向かって駆けだした。だって……その車に”見覚えしか”なかったからだ。

 

オリヒメ『これはどういう事!来るなって言ったでしょ!!』

 

執事風の男『はい……しかし、これは”旦那様”の命……お乗りください』

 

オリヒメ『嫌よ!私……”お見合い”なんてしたくない!』

 

執事風の男『……致し方ありませんな……失礼します、”織姫”様』

 

オリヒメ『嫌っ!!離して!!』

 

 そうだ……”わたくし”に選択する権利はいつだってない。全部……全部……誰かが勝手に決めて、嫌になる事ばかり……だから、”わたくし”は……”私”になったと言うのに……!

 

旭『お、オリヒメちゃん!あ、あの……やめて下さい!』

 

執事風の男『失礼……これは”白鳥院家《はくちょういんけ》”の問題ですので……部外者は口出ししないで頂きたい』

 

旭『はくちょういん……?何それ?』

 

執事風の男『お嬢さんは知らなくて良い事です……車を出せ!』

 

オリヒメ『アサヒ!助けて……アサヒ!!!』バンッ!

 

アサヒと私の前を車のドアが遮り、もう声は届かない……そして私は、忌まわしき”わたくし”の家……白鳥院の屋敷へと向かっていく……そんな時……。

 

駆『ん?……あの車に乗ってたの……あの”うるさいヤツ”……それにリムジンに着いてたエンブレム……確か、”白鳥院”の……嫌な予感がするな……行ってみようか……』

 

そう……私のアルタイルは、私を助けるために動いてくれたのよね……。

 

 

多田織市郊外 白鳥院家の屋敷

 

オリヒメ『うっ!……お父様、話が違います!わたくしがアイドルをしている間は……見合いはさせないと言ったではないですか!』

 

鷲尾『いい加減にせんか!お前のアイドルとしての活動は、儂がお前に”利用価値”を見出だすまでと言ったはずだ!……今回の”見合い”相手は政界でも相当の有力者……そこに嫁ぐ事で我ら”白鳥院家”にその血脈を迎える……ようやくお前に価値が出たと言うもの!お前は儂の言う通りにしていればよいのだ!!』

 

 私の最低の父親”白鳥院 鷲尾《はくちょういん わしお》”……白鳥院家は古くから政界に関わる旧家で、父も、祖父も……政界に席を置く”議員”なのだ。そして……女である私は、これから”父と年も変わらない”政治家と見合いをさせられる……一度でも顔を合わせれば既に決定と同義……俗にいう”政略結婚”というものだ。

 

オリヒメ『しかし……!』

 

翼『”織姫”……我儘を言うものではありません。これは、白鳥院家の発展のために必要な事……理解しなさい』

 

オリヒメ『お母様……!』

 

 これが……わたくしの本当の姿。”白鳥院 織姫”……両親に抗うことも出来ず、自身で選択することも許されない”籠の鳥”……それが……”わたくし”。唯一、わたくしに許された事は……私の憧れだった”アイドルになる事”……わたくしに”価値”がないと言う事、もし正体がばれても……それは白鳥院家の話題へとつながるという事で……許可された。でも……もうすぐそれも終わる……本当にわたくしの人生は……自由のない……最低最悪だった……でも……。

 

執事『だ、旦那様!?た、大変です!!』

 

鷲尾『どうした……騒々しい』

 

執事『ちゅ、中学生程の少年が……屋敷に入って……ガッ!!』

 

駆『……うるさいな。ん……良かった、やっと見つけたよ』

 

オリヒメ『カケル……!』

 

 そんな最悪を終わらせに来てくれたのが……アルタイル、あなただった。でも……あれは何だったのかしら?よくファミリーレストランの外にある”旗”を二本持ってうちの警備員たちを倒してきたって言っていたけど……あれで戦えるものなのかしら?

 

鷲尾『な、なんだお前は!?』

 

駆『ん?……ああ、そこの”うるさいヤツ”……いや、今は静かだな……まあいい、そいつを助けに来たってだけ……取り合えず、そいつを返してくれますか?一応、アイドルの誘拐って事で……警察にも連絡しましたけど……』

 

鷲尾『何ぃ!?だ、だが、警察上層部は儂の味方だ!それに……織姫は儂の”娘”だ!誘拐ではない!!』

 

駆『娘?……そうか……なら、何でいきなり車に乗せて連れ帰らせたりしたんですか?丁度その場にいた僕の知り合いが、”いきなり連れていかれた”って言ってたんですけど?』

 

オリヒメ『ッ!!カケル、助けて!私……お見合いなんてしたくない!!アサヒと……カケルと一緒にいたい!!!』

 

 それを聞いたカケルに、全ての事を話した。白鳥院家の事……お見合いの事、わたくしの事……全部を……。

 

駆『そういう事……まだそんな古臭いことしてるんだな、白鳥院家は……くだらない!』

 

鷲尾『小僧!お前……自分が何をしたか分からんのか!!お前のせいで見合いが……(僕が相手じゃダメですか?)……何ぃ!?』

 

駆『僕が……織姫さんの”婚約者になる”……って言うんじゃダメですか?』

 

鷲尾『何を馬鹿な!?お前のようなただの一般人に(時生です)……ときお?……時生!?ま、まさか……!?』

 

駆『僕は”時生 駆”……与党議員”時生 歩夢”の息子です……ネームバリュー的には……十分じゃないですかね?』

 

 カケルは、現役議員の息子……お父様の求める条件にしても十分……だろう。

 

鷲尾『しかし……お前が本当に”時生議員”の息子と言う可能性は……何をしている?』

 

駆『少し電話を……もしもし、お父さん……ああ、とんでもない案件なんだ。お父さんにもメリットはある……分かった……どうぞ、白鳥院さん……』

 

鷲尾『あ、ああ……もしもし……ッ!?と、時生議員!?は、はい……そ、それについてですが……』

 

 そして、私のお見合いは中止……カケルとの関係は、”許嫁”という事になった。これは、時生議員としても白鳥院家との繋がりが欲しいと言う事で父と合意したらしい。そして……カケルとの許嫁が決まったため今後一切の見合いは受けないと言う事となった。

 

オリヒメ『あの……駆…さん、いいんですか……わたくしの許嫁なんて……それでは、あなたが……』

 

駆『……別に好きな人なんていないし……全部従う必要もないでしょ。お父さんも僕も……お互いを利用し合っただけだし……あんたも別に父親に従う必要はない……大人になったら、いくらでも自由にすればいいだろ?それまで利用するだけ利用しなよ……僕の事も……あんたが誰かを好きになったら、僕を捨てたって良いからさ』

 

オリヒメ『で、でも……』

 

駆『その代わり……白鳥院のやつらが怪しまない程度には”恋人”っぽくしないとかもね……それは我慢しよう。あと……その敬語止めてくれる?いつものうるさい感じの方が……お前らしいと思うよ』

 

オリヒメ『は、はい……じゃなかった、う……うん。じゃあさ……カケルはどうして”私”を助けてくれたの?』

 

 私の言葉に少し悩むと、カケルは私に顔を向けて答え始める。

 

駆『お前が助けてって言ったから……それと……』

 

オリヒメ『……それと?』

 

 次の言葉を話そうとする彼は、少し気恥ずかしそうにして頭を掻きながら答えた。

 

駆『……”友達”を助けるのは……普通だろ?……麻琴のやつが言ってた……』

 

オリヒメ『……ふふっ!何それ!……それじゃあ、よろしくね……私の”彦星様”!』

 

駆『……彦星様ね……ガラじゃないな……”アルタイル”とかにしてよ、そっちの方が響きが好きなんだ』

 

 これが……”わたくし”が救われた日。あなたと言う”星”に救われた……かけがえのない思い出。うふふっ……次は……思い出の”花畑”にしましょうか……。

 

 

2019年6月14日 多田織市立 満星学園 2年A組

 

オリヒメ『ねえ、みんなで遠出しない?私、日曜日オフなんだ……せっかくだし、みんなでお出かけしよ~!』

 

旭『えっと……ごめんね、オリヒメちゃん!私……日曜は家族でお出かけなんだ……ごめんなさい!』

 

オリヒメ『そっか……仕方ないね。それじゃあ、私たち”二人”でお出かけするね!』

 

駆『……僕は強制なんだ』

 

オリヒメ『当たり前でしょ!どうせカケルは暇なんだから!』

 

 5月の終わり、カケルはアサヒの説得により教室に来るようになった。それにより私たちが揃う時間も増え、どんどん仲良くなっていったのだ……それでもカケルは、私の事を”白鳥”と名字でしか呼ばないけれど……。けれど私たちの”特別な関係”は続いており、今のところ怪しまれたりもしていない……一つの気がかりとして”アサヒにも内緒”にしている事……カケルは”麻琴は嘘が上手くないから変に話してもバレるだけ”との事で話さない事となったのだ。

 

駆『はぁ……で、行先は決まってるの?』

 

オリヒメ「えっ?決まってないよ。これから決めるの!カケルはどこに行きたい?』

 

駆『プラン無しなんだ……そうだな、図書館とか……プラネタリウムとかが良いな……白鳥は行きたいところないの?』

 

オリヒメ『私は……静かな”花畑”とかが良いな……』

 

駆『花畑か……だったら、良い所知ってるけど……』

 

 私の行きたいところ”花畑”に対し、カケルは良い所を知っていると言う……以外だった……カケルはそんなところ詳しくないと思ったから……。

 

駆『行ったことはないけど……良い所だって聞いたことがあるんだ。少し遠いけど……行ってみてもいいんじゃないかな?』

 

オリヒメ『へぇ~……いいね!それじゃあ、そこに行こう!集合は……駅前に6時でいい?』

 

駆『うん……でも昼食を食べるところがないらしいから、お弁当を作らないとな……』

 

オリヒメ『それなら私、作ってくるよ?』

 

駆『作れるの?以外だな……まあ、僕も作ってくるから……そんなに作ってこなくていいよ……荷物もかさばるからね』

 

 そして、私たちは明後日の日曜日に向けての準備を開始した……楽しみで仕方なかったな……作っていくお弁当の中身を考えて、着ていく服を決めて……それだけじゃない、アクセサリーに下着まで……全部厳選した。

 

 

2019年6月16日 多田織駅前

 

駆『……ん?えっと……白鳥……だよね?』

 

オリヒメ『うん!みんなにバレない様に変装してるの!』

 

駆『大変だな……まあいいか。それじゃあ、出発するよ……6番ホームの始発に乗っていく……離れないでね』

 

オリヒメ『……うん///』

 

 彼とのお出かけ……これは……もはや”デート”と言うものだろう。私だって、ドラマの仕事でそういう役をしたことはある……しかし、それが良く知る……それも好きかもしれない男の子ならどうだろう?とても想像できないくらい……緊張するのだ。

 

 

花畑駅 ホーム

 

オリヒメ『ここが……目的の場所?』

 

駆『そう……”花畑”って言う場所。昔、妹が行ったことがあって……綺麗だったんだってさ……ここから少し歩くけど我慢してよ』

 

オリヒメ『うん……それにしても、人少なくない?』

 

駆『今はシーズンじゃないからな……でも、大型連休の時は結構人が来るんだってさ』

 

 駅のホームから出て、森の中に出来た道を抜けていく……その先には……。

 

オリヒメ『……ッ!!うわぁ~!!!きれ~い!!!』

 

 一面を埋め尽くす花畑……赤、青、黄色、ピンク、紫、オレンジ、白、色とりどりの花々、今までに経験したことのない光景に私は感動を覚えた。

 

駆『これが……”種”の見た景色か……』

 

オリヒメ『……カケル?』

 

駆『ッ!?……いや、何でもない。もう少し奥に進むと湖もあるらしい……後で行ってみようか?』

 

オリヒメ『うん!でもその前に……このお花達をしっかりと堪能しないとね!』

 

駆『そうだね……それじゃあ行こうか、白鳥』

 

 私たちは美しい花々を堪能した後、カケルの言っていた湖へと向かった。さらに奥にある森を抜けて、鳥のさえずりを聞きながら……そして私たちの前に、美しい湖が姿を現す。水は透き通って美しく、小魚たちが泳ぎ、白鳥がその水面で羽休めをしている……幻想的で、今でも忘れられない私と彼の”思い出の場所”……。

 

駆『綺麗な所だな……人もいないみたいだし、この辺で昼食にしようか……それともう変装は良いだろ?はずしたら?』

 

オリヒメ『うん!……ぷは~……やっと楽になった。それじゃあ、お弁当にしよう!カケル、シート引いてくれる?』

 

駆『ああ、分かった』

 

 湖の畔にレジャーシートを敷き、その上に腰掛けお弁当を並べていく。私が用意したのは”二段のお弁当”で、一段目にはおむすびを”さけ”、”おかか”、”梅”の三種類、二段目には”卵焼き”、”唐揚げ”、”ウインナー”、”プチトマト”など……少しだけ男の子の好みに合わせた献立にしてみた。

 

駆『これ……手作り?本当に作れたんだ……それじゃあ、僕のも出すよ。あんまり量は作ってないけどね……』

 

オリヒメ『これ……野菜炒めと……ご飯だけ?そう言えば……学校に持ってくるお弁当の中身、毎回これだよね……もしかして……』

 

駆『そう……これしか作れない』

 

オリヒメ『そうだったんだ……それじゃあ、いただきます……あむっ……ッ!?まっず!!えっ!?何これ!?味がないじゃない!!芯も残ってるし……よくこんなの食べてるわね!!』

 

 あの時は本当に驚いた……だって味はないし、野菜にちゃんと火が通っていなくて芯も残っている状態だし……正直”不味い”としか言いようがなかった。

 

駆『……栄養を取るだけなら味なんていらないし、取り合えず口に入ればいいから気にしたことない。他の栄養は”サプリメント”で補うし……』

 

オリヒメ『そんなのダメ!そんなの食事じゃないわ!しっかりと美味しいものを食べて、お腹いっぱいにする!!分かった、もし私に時間がある時は私がお弁当を作る!!なんなら、家まで行って作ってあげる!!』

 

駆『……白鳥、自分のスキャンダルとか気にしなよ』

 

オリヒメ『いいから!ほら、これ食べて!!絶対美味しいから!!!』

 

駆『うるさいな……あむっ……美味しい…のかな?』

 

 私と彼の昼食……楽しかったな。それから、私が彼のご飯を作るようになった……お弁当だって私が作った……それで彼が他の男子に絡まれるのをみて笑ったりもしたっけな……懐かしい。

 

駆『お腹いっぱい……もう食べられない……』

 

オリヒメ『お粗末様でした……眠くなっちゃったの?』

 

駆『うん……お腹いっぱいにしたのいつ以来か分からないけど……こんなに幸せなんだな……』

 

オリヒメ『良かった……膝、貸そうか?』

 

駆『……じゃあ、貸して』

 

 私の膝を枕にして静かに寝息を立てるカケル。女の子みたいに可愛い顔で眠る彼を見て……私は微笑む。

 

オリヒメ『……誰もいないし、良いよね?……チュッ///』

 

 彼の頬に口付けをして顔を赤くする私。いつかこの思いを伝えたいと思い始めた……私と彼は今や”許嫁”……恋人っぽい事をしても何の問題はない……でも、考えるだけで顔が赤くなってしまうし、胸が苦しくなってしまう……あの日から彼に感じているこの気持ちは……間違いない……”恋”なのだと気付いたんだ。さて次は……私と彼だけの天体観測にしよう……。

 

”私……カケルが好きなの!”

 

”そ、そうなんだ……うん、私……応援する!オリヒメちゃんが駆君と……お付き合いできるように!……えっ……私?わ、私は……時生君の事、好きとかじゃないよ……”

 

 思い出す……あの忌々しい約束……アサヒ、あの時の言葉を絶対に忘れない。この日の前日、私はあなたを信用して話したんだ。……最悪、私と彼の思い出の途中で思い出すとか……本当に嫌になる。

 

 

2019年7月7日 多田織市郊外の旅館 ”白羽館”

 

執事『それでは失礼いたします、織姫様……それから時生様』

 

オリヒメ『もういいです……下がりなさい。それから、以降この部屋に人を入れないようにする事……良いですね?』

 

執事『かしこまりました……では……』

 

駆『……いきなり呼ばれたと思ったら……白鳥、ここはどこなんだ?”旅館”……みたいだけど……』

 

オリヒメ『……ここは、白鳥院家所有の旅館……”白羽館《しらはねかん》”。今日はここで、わたくしの誕生日会が催されるんです……それで、許嫁である”駆さん”に参加してもらいたくて……』

 

 これは完全に私の独断で、私の我儘なのだが……私の説明を聞いてくれたカケルは頭を掻きながら答えた。

 

駆『……仕方ないな、まあ僕がやった事でもあるし……参加するよ。……一応聞くけど、ドレスコードとかないよね?』

 

オリヒメ『ッ!!……はい!ドレスなら旅館にある物がありますから、それを使ってください!』

 

駆『オッケー……あと、いつもの口調でお願い……って、白鳥院家のパーティーだから”そっち”じゃないとダメか……まあいいや、何時からやるの……その誕生日会は?』

 

オリヒメ『あと……一時間程です。わたくしはここで支度があるので……駆さんは隣の部屋にあるスーツを着て下さい』

 

駆『分かった……取り合えず準備するよ』

 

 そうして私たちはパーティーのための準備を始めた。

 

50分後……

 

オリヒメ『これでいいかしら……ね?』

 

コンッ!コンッ!コンッ!

 

オリヒメ『……どうぞ』

 

駆『……そろそろ時間だけど……おぉ……』

 

 私が着たのは、夏をイメージした水色の着物……柄には”朝顔”を選択した。私はこう言った席で着物を着ることが多いため、四季に合わせて着物をセレクトする……今回はその中でも、私の”お気に入り”……彼に見て欲しかったものだ。

 

オリヒメ『いかがですか……駆さん?似合っていますか?』

 

駆『……へぇ……まあ……似合ってるんじゃない///』

 

オリヒメ『ッ!?……ふふっ!ありがとうございます……では行きましょうか、駆さん』

 

駆『……ああ、行こう』

 

 私はカケルの手を取り、会場へと向かう。

 

 

白羽館 白鳥の間 

 

駆『はぁ……やっぱり、ああ言う堅苦しいパーティーは嫌いだ……』

 

オリヒメ『お疲れ様、カケル』

 

 カケルと私はパーティー参加者への挨拶で多くのテーブルを休まずに回った。その間も、彼は私の”許嫁”と言う役をこなし続けていたのだ。疲れて当然……そして、やっとパーティーが終わった時には空はすでに暗く、夜空を星々が照らしている……都市から離れたこの白羽館は”星”が良く輝く……私たちはそんな星を、旅館の縁側に腰掛けながら見ていた。

 

オリヒメ『綺麗……見てカケル、あれ……”天の川”!』

 

駆『えっ?……うわぁ、すごい……こんなに光って見えるのは……初めてだ!』

 

オリヒメ『うふふっ!カケル、なんだか小さな子供みたい……見て、あの大きな二つの星が”織姫”と”彦星”よね』

 

駆『正確には、織姫が”ベガ”で彦星が”アルタイル”だよ……こと座の恒星のベガ、わし座の恒星のアルタイル……それと、はくちょう座の恒星のデネブを合わせて”夏の大三角形”……そう言えば、僕たちにピッタリかもしれないな』

 

オリヒメ『”夏の大三角形”が……どうして?』

 

 私の小さな疑問にカケルは答え始める。

 

駆『二人の苗字……”麻琴”は”こと座”、”白鳥”は”はくちょう座”で……オリヒメは名字の星座違いだけど”ベガ”……そして僕は、白鳥が言ってただろ”彦星”って……だから”アルタイル”……こう考えると僕らは、”夏の大三角形”みたいだなって……』

 

オリヒメ『その考えは……素敵ね。それにカケルは、私の”アルタイル”って……認めてくれてるんだ』

 

駆『……まあ、”許嫁”だし……それくらいはな……』

 

オリヒメ『……じゃあ、そう言うの無しに……あなたの”ベガ”になってもいいの///?』

 

駆『……こんなこと言うのもなんだけど、僕の事を本気で”好きなフリ”しなくていいよ……疲れるだけだろ……それに……僕には……』

 

 カケルの言葉を聞いて……私は胸が苦しくなった。

 

オリヒメ『……”好きなフリ”じゃ……ないのに……』ボソッ

 

駆『ん?……なんか言った?』

 

オリヒメ『ッ!?……ううん、何でもない……ねえ、私の事を名前で呼んで……くれないの?』

 

駆『えっ?……そうだな、確かに普段から名前で呼んでる方が怪しまれないかもな……じゃあ、”オリヒメ”……これで良いか?』

 

オリヒメ『うん!すごくいい感じ!!』

 

 そうだ……好きなフリなんかじゃない。私は……本気で彼が好きなんだ……それは今だって変わらない。ただ、邪魔なやつらが多いから……そいつらを”消して”からゆっくり……あなたを愛してあげる。あと二つの記憶を思い出そう……次は”ライブ”の時にしようかしらね。

 

 

2019年7月31日 多田織”YOTSUBA”シティホール 《白鳥 オリヒメ》の控室

 

スタッフ『オリヒメさん、スタンバイお願いします!』

 

オリヒメ『はい……今行きます』

 

 今日は……今までに経験したことのない規模のライブ。新曲”Stars:Triangle”……私が作詞を初めて担当した曲……カケルとアサヒ、そして私……三人のための曲を二人に聴いてほしい!だから……二人をこのライブに招待したんだ。

 

オリヒメ『さあ……最高のライブの始まりよ!!!』

 

 

ライブステージ

 

オリヒメ『みんな~!!おっまたせ~~~!!!私がキタよ~~~~~!!!!!』

 

オリヒメちゃ~~~ん!!! かわいい!!! ベガたん、結婚してくれ~~~!!!

 

オリヒメ『ありがと~~~!!!それじゃあ一曲目……”めぐり愛・ミルキーウェイ”!!!

 

観客『『『おおおおおおおおおおお!!!!!』』』

 

 二人共……聴いてるかな?最高の曲……いくよ!!!

 

 

オリヒメ『次が……最後の曲です』

 

ええ~~~~~!? もっと聴きた~~~い!!! 嫌だ~~~~~!!!終わって欲しくない~~~!!!

 

オリヒメ『ありがとう……この曲は私の大切な人達に当てた曲です。私に……いっぱい!いっぱいの気持ちをくれたみんなに聴いてほしい!だから……』

 

 私の大切な人が待つ客席を私は見つめる……そこにいるのは、”アサヒだけ”……。

 

オリヒメ『ッ!?……ッ!!みんな!!!いくよーーーーーーーーー!!!!!』

 

観客『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』』』

 

 どうして……あなたはいないの?

 

 

オリヒメ『はぁ……はぁ……ん!みんな~~~!!!ありがと~~~~~!!!!!』

 

観客『『『おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』』』

 

 結局、彼は来なかった……どうして……!

 

サギ―ド『浮かない顔だな……キュアベーガ!』

 

オリヒメ『サギ―ド!?』

 

 突如として現れたサギ―ドは、戦闘用の空間を作り出すと人々が一斉に消え始める……そしてサギ―ドの攻撃も私に向かっている……ダメだ!間に合わない!!助けて……カケル!!!

 

駆『オリヒメえええええええええええ!!!!!』

 

オリヒメ『きゃあっ!?か……カケル!どこ行ってたの……いなかったから……私、来てくれないんじゃないかってぇ……』

 

駆『会場に入る前にサギ―ドがいるのを見つけてさ……ずっと探してた……でも、お前の歌…聴こえてたよ……最高だった。今度は……僕の前でも歌ってくれる?』

 

オリヒメ『……うん!』

 

旭『オリヒメちゃん!駆君!大丈夫!?』

 

 旭もやってきて私たちはサギ―ドを見据える……そして私たちの戦いが始まる。

ベーガ『輝け、夜空に!!!』

 

ザート『流れて……朝日に向かって!!!』

 

アカシック・プリキュア『『プリキュア・ヴィーナスシュペーア!!!』

 

ベーガ『ザート、思いっきり撃っちゃって!!!』

 

ザート『いっけええええええええええ!!!!!』

 

 私たちの合体浄化技……”プリキュア・ヴィーナスシュペーア”。ベーガである私をザートの弾丸……いいえ、”明星の槍”として撃ち出す大技。ザートから撃ち出された私は”槍”となってガンサークを貫き浄化する……止められるものはない!

 

ガンサーク『ケッサ~~~~~ク///』

 

サギ―ド『何度も何度も……くそがっ!!』

 

 サギ―ドは次元の裂け目を開き、その中に消える……終わったんだ。

 

オリヒメ『カケルっ!!』

 

駆『ッ!?お、おい!?オリヒメ……!?』

 

旭『あっ!?お、オリヒメちゃん!?……あ、あれ……!』

 

オリヒメ・駆『『あれ?』』

 

 サギ―ドが消えた事で、私達だけしかいなかった”空間”がなくなった……つまり……。

 

誰、あの二人? 男の子、ベガたんに抱き着かれてない? うらやまし……けしからん!!!

 

駆『おい……おい!おい!!おい!!!』

 

旭『ど、どうしよう!?』

 

 今までいなかった”観客たち”が戻ってくることなのだ。

 

オリヒメ『うふふっ!みんな~~~聞いて!!私……この人と付き合ってま~す!!!』

 

駆『はあっ!?ち、違います!!クラスメイトです!!!クラスメイトなんです~~~~~!!!!!』

 

 ふふっ!……あの時の彼、本当に面白かったな。あれの後、私のSNSが大変なことになったけど……ドームの管理者さんって人が何とかしてくれたら、すぐに収まったけど……何でだったのかしら?

 

 

2019年8月1日 満星学園

 

オリヒメ『遅くなっちゃった!二人、待ってるよね……急がないと!!』

 

 ああ、もうこの記憶か……嫌だな……本当に……。

 

オリヒメ『初めての”天体観測同好会”の活動!三人で星を見る……急げ急げ~!』

 

 思い出したくない……忘れたいのに……!

 

オリヒメ『夏の大三角形……カケルが言ってた、私たちみたいって……三人で一緒に見たかったんだ……私たちの”友情”の星になったりして!うふふっ!!』

 

 忘れたくても……忘れられない……!!

 

オリヒメ『ごめん!!遅くなっちゃって……え?』

 

駆『オリヒメっ!?』

 

旭『えっ!?お、オリヒメちゃん!こ、これは……!?』

 

 最低最悪の……記憶だ!!!

 

オリヒメ(なんで?なんで……カケルはアサヒを押し倒してるの?なんで!?カケルは……私の許嫁なのに!?アサヒだって……何でそんなに嬉しそうだったの!?私がカケルの事好きだって知ってたのに!?応援してくれるって……カケルの事、何とも思ってないって言ったのに!!)

 

 階段を登り切り、屋上の扉を開いて待っているであろう二人に声を掛けた。私を迎えてくれる二人が待っていると思っていた……でも、そこにあった光景は……カケルがアサヒを押し倒している光景。カケルは興奮した”獣”のような表情、アサヒは喜びを感じようとする”いやらしい女”の顔……信じがたい状況に私の頭が事態を飲み込めなくなり……私はその場から逃げ出した。

 

旭『ま、待って!オリヒメちゃん!!』

 

 アサヒの言葉を無視し登って来た階段を逆に下っていく私……でも、途中で涙と感情が抑えられなくなり、階段の踊り場で足を止めてしまう。

 

旭『……オリヒメちゃん』

 

 話しかけるな!

 

オリヒメ『・・・・・・嘘つき』ボソッ

 

 嘘つき!!

 

旭『えっ?』

 

 私から……カケルを捕ろうとして!!!

 

オリヒメ『アサヒの嘘つき!私の事……応援してくれるって言ったのに!!私がカケルの事好きなの……知ってたのに!!!……酷いよぉ……そうやって私の事を騙してたんだ!!!私の事騙して……笑ってたんでしょ!?』

 

 私は心から湧き上がる感情の全てをアサヒにぶつける……憎い!憎い!!憎い!!!憎い!!!!!

 

旭『わ……私は……!』

 

オリヒメ『アサヒは……カケルの事、何とも思ってないくせに……私からカケルを捕ろうとしたんだ!身体まで使って……誘惑して!……いやらしい女!!恥を知りなさい!!!』

 

 そうだ!カケルは……アサヒに、このいやらしい女に誘惑されてあんなことしたんだ!いやらしい!いやらしい!!いやらしい!!!

 

旭『違う!私だって……駆君が好きなんだよ!!それに、駆君は私を……私を選んでくれたんだから!!!』

 

オリヒメ『……えっ?』

 

 ……は?何を言ってるの?カケルの事が好き?カケルは……アサヒを選んだ?そんな訳ない……だって、彼は私を救ってくれた……いつだって……”私のため”に……!!

 

駆『はぁ……はぁ……お、オリヒメ……』

 

オリヒメ『カケル……カケルは私じゃなくて、アサヒを選ぶの?”あの日”……一緒に見た天の川は?一緒に行った花畑は?……”わたくし”を助けてくれたのも……全部、嘘だったの?……答えて、”アルタイル”……わたくしの……”彦星様”……!』

 

 お願い……嘘だって言って!私が好きなんだって……アサヒに誘惑されたんだって……お願い!言ってよ!!私が……私が好きだって!!!

 

駆『・・・・・・ッ!』

 

 カケルは……私の言葉に目を逸らした。嘘……嘘!嘘!!嘘!!!嫌!!!嫌!!!!嫌ああああああああああ!!!!!

 

オリヒメ『嘘つき……二人共、私を騙してたんだ……酷いよぉ……くっ!!!』

 

 嫌い!嫌い!!嫌い!!!嫌い!!!!……全部……全部”アサヒ”せいだ!!!お前なんか……お前なんか!!!!!

 

 

ベガ「大っ嫌いだ!!!!」

 

 私は、あの最低の記憶を思い出し終え目を覚ます。

 

カイザーン『”記憶の構築”が出来たようだな……もう良いな、ベガ?』

 

ベガ「はぁ……はぁ……ええ!最高に……イカレそうよ!カイザーン!!!」

 

カイザーン『そうか……だが、これで”トキオ カケル”を出し抜くための秘策は整ったのだ……後は……!』

 

ベガ「ええ、2010年の運命の時を……待つだけね!」

 

 ああ……楽しみ!待っていて、アサヒ!カケル……ううん、私のアルタイル!!

 

ベガ・カイザーン「『私は、あなたを手に入れる!!!』」

 

 

プロローグ:ベガ Side out……




いかがだったでしょうか?旭、オリヒメ……この二人は夏の大三角形をモチーフにして考えたんですよ。……と言っても、本当は旭はプロローグ用の捨てキャラ、ベガなんて、ハグプリ編の途中で考えたキャラで最初の設定にはなかったんですけどね……でも、今はこうしてよかったかなって思ってるので……もう少しだけこの二人には頑張ってもらいますよ。次回から、スイートプリキュア編!4人になったヴァールハイト・プリキュア達!そこで出会ったのは音楽を愛するあの四人!そして……鳥?乞うご期待ください!
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