ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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スイートプリキュア編、今回が最終回となります。現れたノイズゲンサーク、その力に立ち向かうシードとザート……彼らはスイートプリキュアの歴史を救うことが出来るのか!?では、お楽しみください!

今回のシードの強化ですが、メロディを”M”にするとミラクルと被るため、以降はメロディを”Me”、ミラクルを”Mi”と表記します!よろしくお願いします!


第三十三話:奇跡のハーモニー!静寂に響く新たな音色!

加音町 広場

 

side:キュアシード

 

駆・種・旭『『『プリキュアプリケーション!』』』

 

駆・種『『アップデート!!』』

 

駆・種・旭『『『インストール!!!』』』

 

A・シード「「輝く種から花開け!未来を照らす星の種!キュア アストラル・シード!」」

 

ザート「未来へ芽吹く、奇跡の苗!キュアザート!」

 

ザート「偽りの闇に消えた光を!」

 

A・シード「「正しき歴史へ紡ぐ使者!」」

 

ヴァールハイト・プリキュア「「「ヴァールハイト・プリキュア!!!」」」

 

 私たちの変身が完了すると、ノイズゲンサークは静かにこちらを見据えていた。

 

ノイズG『……終わったか?その輝き、希望……やはり私の望む”静寂の世界”には不要だ』

 

ザート「それを決めるのは、あなたじゃないよ!」

 

駆『ノイズ……君の望む静寂がどんなものか知らないけど……僕はそれを望まない!』

 

A・シード「音楽が大好きないっぱいの人がいる!それだけじゃない……おじいちゃんとおばあちゃんの思い出がいっぱいのこの町を……守っちゃうんだから!!!」

 

ノイズG『……出来るかな、プリキュア?』

 

 私達の前に立つスイートプリキュアさんの最大の敵と同じ名前を持つ”ノイズ”……そんな強大な存在との戦いが始まる。絶対に……止めるんだ!!!

 

ザート「いって!!!」

 

駆『”コメット”を最大展開、8個を射出!2個を形状変化、”ソードコメット”へ!』

 

 ノイズゲンサークに対して、ザートは砲撃を、お兄ちゃんの制御で小型エネルギー弾を8個を撃ち出す。その攻撃に対して、ノイズガンサークは避けようとすることも、防御することもなく立っていた。

 

ノイズG『……うるさいな……はあっ!』

 

響「ッ!?二人の攻撃が……!?」

 

奏「かき消されちゃった!?」

 

アコ「あれが……おじいちゃんが封印したノイズと同じ力……!」

 

エレン「あんなに強い力……一体どうするのよ!?」

 

 ノイズGの羽ばたき一つで、強力なAqライトの砲撃と小型とはいえスーパーQaライトのエネルギー弾をかき消すなんて……やっぱりすごく強い……でも!

 

A・シード「私は……逃げない!!」

 

駆『種、ソードコメットは近接と射出が出来る状態だ!制御を譲渡するから存分に使って!!』

 

A・シード「うん!」

 

ザート「私も援護するよ!」

 

ノイズG『……吠えるな、プリキュア』

 

 剣の形にした”ソードコメット”。お兄ちゃんによると普段のように撃ち出すことも、手に持って武器にも出来る……形を変えることも出来るから、うまく使わないと!

 

ザート「砲台を5台展開!発射!!行って、シード!!!」

 

A・シード「おっけー!おりゃーーーーー!!プリキュア・シードスラッシュ!!!」

 

ノイズG『てあっ!はあっ!ふふふ……なかなかの力だな……しかし、私には及ばない!』

 

 ザートの砲撃五連射を飛ぶことで避けたノイズに私はソードコメットで切りかかるが、ノイズGは両翼で私の斬撃を受け止める。でも……こんなんじゃ終わらない!

 

A・シード「お兄ちゃん、お願い!」

 

駆『ソードコメットを制御、射出!」

 

ノイズ『何っ!?くっ!!……なっ!?』

 

A・シード「おりゃーーーーー!!!!!」

 

ドーーーーーーーンッッッ!!!!!

 

 お兄ちゃんにコメットの制御を戻し、握っていたソードコメットを離して近距離で撃ち出してもらう。これで出来た隙を使って、私は渾身のパンチを加速のためのアクセルと共に打ち込む。手応えあり……確実に入った!

 

響「やった!!」

 

エレン「一撃が入ったわ!」

 

駆『まだだ!ザート、近距離で砲撃を……出来るだけたくさんお願いします!!!』

 

ザート「うん!はぁぁぁぁぁあああああ!……プリキュア!!!」

 

 これで終わりには出来ない!まだ何かあるかもしれない!お兄ちゃんの判断でザートに追加の攻撃を指示する。

 

駆『シード、回避っ!』

 

A・シード「うん!ザート、お願い!!!」

 

ザート「ええっ!アーク・レイ・ザート……ハンドレット!!!」

 

 ザートの後方に展開され、空を埋め尽くさんと言う程のAqライトの砲台……その数”100個”。そこから一斉に極太のビームが放出される……ノイズGとザートの距離は2メートル程、この至近距離での一斉掃射……絶対にダメージが入ったはず!

 

・・・・・・もう終わりか?

 

A・シード「えっ?」

 

ノイズG『何度も言わせるな……もう終わりかと聞いたんだ」

 

駆『……嘘だろ、どれだけ頑丈なんだ!』

 

 嘘……旭ちゃんの攻撃はAqライトの強力な砲撃で、あのバッドエンドシードだって倒した……それを100発も撃ち込んだのに……なんで!?

 

ノイズG『ふむ……どうやらこの攻撃は人間の”負の感情”で出来ているようだな。試しに少し取り込んでみたが……これは良い!私の身体によく馴染む!!』

 

ザート「私のAqライトを……取り込んだ!?」

 

ノイズG『ふっふっふ……面白い力だな。だが……この力から吸収できたのは、”負の感情だけ”……どうやら感情の部分しか吸収できなかったみたいだ。しかし、これはこれで良い!!!でぇええええええ!!!!!』

 

ザート「はっ!?キャアアアアッ!!!」

 

 ノイズGは攻撃を喰らってダメージを受けるどころか、逆に吸収して力にしたと言うのだ。しかも攻撃を放った後で油断しているところにノイズGがパンチを放ち、ザートは地上に落とされる。

 

A・シード「ザートッ!くっ……このっ!!!」

 

ノイズG『うるさいんだよ!キェエエエエエ!!!』

 

駆『スプレッドを展開、コメットを最大出力へ!シード、アストライク・ヴァールハイトじゃ間に合わない!ストライクシードで応戦、ヤツの後方に展開したコメット9個で挟み込む!気張ってよ、シード!!!』

 

A・シード「よっしゃ~!プリキュア・スーパーストライクシーーーーードッ!!!!!」

 

ノイズG『そんなもので……私が消せるかあああああああ!!!』

 

 私たちのスーパーストライクシードとコメット最大出力の挟み撃ちに対し、ノイズGは身体を包むようにどす黒いオーラを出現させる。勿論、出力なら負けてない……でも、なぜか攻撃が全く入っていかない……後、もう少しなのに!

 

ノイズG『いい加減に……消えろおおおおおおおお!!!!!』

 

A・シード「ぐっ!ぐうぅぅぅぅ!!キャアアアアアアアッ!!!」

 

スイートプリキュア「「「「シードッ!!!」」」」

 

コルーリ「ザート!シードッ!!」

 

ハミィ「二人共!負けないでニャ~!!」

 

 ノイズGが怒声を上げた瞬間、奴を包んでいたオーラが凄まじい勢いで弾け飛ぶ。その勢いは凄まじく、最大出力のコメット全部と、バリアであるスプレッドを消滅させ、私達も地上へと吹き飛ばされてしまう。

 

駆『くっ!!コメットを1個、後方へ展開……地面との接触まで……3…2…1…”コメットバルーン”作動!!』

 

ボヨ~~~~~ン!

 

A・シード「ふぇっ!?痛く……ない?これって……クッション?」

 

駆『緊急防御用に1個取っておいたけど……正解だったね。でも、こっちの手が悉く潰されていく……これがプリキュア達と戦う敵の親玉……その力に最も近い形ってだけはある』

 

A・シード「お兄ちゃん、あいつを倒す方法は……ある?」

 

駆『……正直に言えば、2つくらいある』

 

A・シード「えっ!?本当!?ど、どんな方法!?」

 

 お兄ちゃんはQaウォッチのスピーカーから、あのノイズGを倒す方法を話し始める。

 

駆『一つ目、アストライク・ヴァールハイトの最大展開による浄化。現状の僕らの持っている最大浄化技だし、多分だけど中途半端な威力じゃ効かない可能性があるから、浄化できる可能性があるのは……もうこれだけ』

 

A・シード「……二つ目は?」

 

駆『……僕がAqライトを纏って戦う』

 

A・シード「ッ!?それって……ドキドキ!プリキュアの時代の時みたいに戦うって事!?そ、そんなのダメ!絶対ダメ!!お兄ちゃんが……今のお兄ちゃんじゃなくなっちゃうかもしれないんだよ!?」

 

駆『……分かってる。でも、フェイクを退けるほどの力、時代を一瞬だけど消滅させる能力……あの状態なら、確実にノイズゲンサークとも渡り合える……いいや、凌駕できる』

 

 お兄ちゃんの言う通り、あの状態ならどうにか出来るかもしれない……けど、お兄ちゃんは”あの時”とは違う。バッドエンドシードの打ち込んだ”バッドエナジー”もある……あれのせいお兄ちゃんがどうなるか分からないし、コントロールできないかもしれない!旭ちゃんが止めるとしても、力が大きすぎたら止められない……その選択は絶対にしちゃダメ!

 

ノイズG『……話し合いは終わりか?』

 

A・シード「……お兄ちゃん、二つ目は絶対に却下だからね。タネ……それだけは譲らないから!」

 

駆『分かった……全力でぶちかませ、シード!』

 

A・シード「はぁ~~~……うん!」

 

ザート「私も……いくよ。Aqライトを使わないで……戦えばいいんでしょ?」

 

 私とお兄ちゃん、ザートは空から降りてくるノイズゲンサークを見つめる。

 

ザート「……駆君、もしかしたら私の力が……使えるかも」

 

駆『……どういう事?』

 

ザート「Aqライトの事、話したよね。Aqライトは元々Qaライトなの……Aqフォーンは私の持つQaライトを反転してAqライトに変えてる……ならその逆もできるはず。私のAqフォーンをシードのQaウォッチにスキャンすることで、私とシードを繋げて……Aqライトを再反転したQaライトをシードに送ることが出来れば……少しでも力になれるはず……」

 

駆『……”賭け”……だね』

 

ザート「うん、成功するかは……分からない。でも、成功すれば私が普段使っているAqライトをQaライトにして使うことが出来る……Aqライトを吸収するノイズゲンサークにこれ以上のパワーアップをさせることはない」

 

 お兄ちゃんとザートの会話……つまり、ザートのAqライトだと吸収されちゃうから、Qaライトにして私に送ろうって事……だよね?でも、それが出来るか分からない……どうすれば良いの?

 

ノイズG『……何もないなら、私から行くぞっ!!!』

 

A・シード『ッ!?向かってきたよ!……どうするの!?』

 

 刻一刻と迫ってくるノイズG……もう、アストライク・ヴァールハイトの準備は出来ない。

 

ザート「駆君!」

 

 どうしたらいいの?私は目の前にある絶望を回避する事を考えるので精いっぱいだけど……そんな時でも、お兄ちゃんは……。

 

駆『……ザート、お願い!!!』

 

 ”自分が危険な道”を……進もうとするんだ。

 

 

side:キュアザート

 

ノイズG『消えろおおおおおおっ!!!!!』

 

ザート「シード!駆君!……お願い、繋がって!!!」

 

 私の手に握られたAqフォーン……それをシードの左手にある”Qaウォッチ”へとスキャンする。

 

Aqフォーン”EX”……リンケージ!〈プリキュアーク!〉

 

タイプK:アクティブ、〈スーパーQaライト:コンバート〉

 

チェンジ……〈Aqライト〉

 

ガッ!!!

 

ノイズG『なっ!?』

 

 ノイズGのパンチを受け止めるA・シード。すると、QaウォッチからゆっくりとAqライトが溢れだし、A・シードの左腕の衣装、リボンを黒く染め上げる。

 

響「あれって……ザートが出してたやつ?」

 

奏「そうみたいだけど……何だろう、すごく……怖い」

 

エレン「ええ……でも、さっきみたいに吸収されてしまうんじゃないの?」

 

アコ「……いいえ、よく見なさい。ノイズの掴まれた右手……逆に”取り込まれている”みたい」

 

コルーリ「シード……カケル!お願い……何ともないで下さい!」

 

 アコちゃんの言う通り、ノイズGの掴まれた右腕は……その拳を掴むA・シードのAqライト、それを纏う左腕に少しずつ黒い粒子として取り込まれているように見える。そして……それを間近で見ている私は、口を開いて驚いていた。

 

ザート「シード……?」

 

ノイズG『私を……取り込むだと!?な、なんだ!?……何なんだ、貴様ぁっ!!!』

 

A・シード「……ここからは、”僕”の番だっ!!!だりゃあああああっ!!!!!」

 

ノイズG『なにっ!?ごはぁっ!!!』

 

 掴んでいたノイズGの拳を離し、握り込んだ左手でノイズGの顔面を思い切り殴り掛かるA・シード。その威力は今までの比ではない……一度も効かなかった通常攻撃だけで、あのノイズGを後方へと吹き飛ばしたのだ。驚くのはそれだけではない……A・シードは自身の事を”僕”と言った。つまり……今、主導権を持っているのは……。

 

ザート「駆君……なの?」

 

A・シード「うん……何でか分からないけど、こうなったみたい」

 

種『お兄ちゃん!主導権……入れ替わらないんじゃなかったの!?それよりも左手は大丈夫!?Aqライトがそんなに出てるんだよ!?』

 

A・シード「うん……まあ、今回はイレギュラーだからね。それにしても、Aqライトで左腕がこうなるとは……でも、暴走もトラウマのフラッシュバックもない……なんかいける気がする!」

 

種『そんなこと言ってる場合じゃないよ、お兄ちゃんっ!!』

 

 今の状態を確認して、気合を入れ始めるシード。あんな状態で……大丈夫なのだろうか?

 

ノイズG『私を取り込むだけでなく、吹き飛ばすだとぉ…!ふざけるなぁぁぁぁぁあっ!!!!!』

 

 強い怒りと共に再び突撃してくるノイズG。しかし、さっきと同じわけではない……私たちの目の前まで着たノイズGは胸をまるで大口のように開き……逆に私たちを取り込もうとする。私の砲撃はもう間に合わない……A・シードのコメット、またはカウンターなら……!

 

バンッ!

 

ザート「えっ!?……シード!?」

 

ノイズG『私を取り込む前に……私がお前を取り込んでやる!!!!!』

 

A・シード「……ちょっと考えがあってね。ザート、少しだけお願いね」

 

バクッ!!!

 

ザート「シード!……駆君っ!!!」

 

響「嘘……嘘でしょ!?」

 

奏「そ、そんな……っ!」

 

コルーリ「シード!……カケル!タネ!……そんなぁ……!」

 

 私を突き飛ばしたシードは、ノイズGの攻撃によって……取り込まれてしまった。

 

ノイズG『……くっ!ふっふっふ……あーはっはっは!!なんだ!何ともあっけない!!私に傷をつけるほどの力……これで私はさらなる進化を遂げることが出来る!!!完全にこの世界から音を消し去すことは容易となる!!!!!』

 

ザート「……返しなさい」

 

ノイズG「なんだ……まだいたのか?」

 

ザート「シードを……駆君を……返しなさい!!!!!」

 

状況は絶望的……でも、最後にシードは言っていた!”少しだけお願い”って……きっと何か考えがあるんだ!それを気付かせないようにしないと……そのために、目の前のこの戦い……!

 

ザート「絶対に……負けられない!!!」

 

 

ノイズゲンサークの中

 

side:キュアシード

 

A・シード「……ここが、ノイズの……ゲンサークの中か」

 

種『暗くて、怖い場所……何にもないね』

 

A・シード「……そうだね」

 

 左腕のAqライトでバリアを作り、ノイズに吸収されることなくヤツの中に入る。そしてノイズGの中は、まるで……”無”だ。何も存在しない……これがヤツの望む”静寂の世界”だって言うのか?

 

種『ん?……お兄ちゃん、あれ見て!』

 

A・シード「種、どうしたの?……あれは、”伝説の楽譜”!歴史から切り離されたものは、ゲンサークもガンサークみたいに中に残ってるんだ!」

 

 種の声に従い空間を見ると、そこには”伝説の楽譜”が一冊……空間に浮いていた。もしかしたらこれを取り出せれば……!そう思い、僕はそこへ向かって飛んでいく。

 

種『そう言えば……お兄ちゃん、何でノイズゲンサークの中に入ろうと思ったの?伝説の楽譜があるって思ってたわけじゃないんでしょ?』

 

A・シード「それは……さっき、ノイズゲンサークに触れた時さ、あいつの”感情”みたいなものが流れ込んできたんだ」

 

種『……”感情”?』

 

A・シード「うん……あいつの中にある”感情”が触れている手から僕の中に流れてきて……それでさ、気になったんだ……それをどうにか出来れば、ノイズゲンサークを止められないかって……」

 

種『お兄ちゃんにしては、随分と感情論な考えだね……でも、私は好きだよ!」

 

 そう……あの時、僕の中にノイズGの感情がは流れて来たんだ。しかも……その感情が僕もよく知っている感情だったから……それは……。

 

治らないの……?

 

A・シード「……声?」

 

種『女の子の声?……ううん!もっといっぱい……空間全体から聞こえてくる!』

 

”私、どうして病気なの?原因も分からないし……治らない……。私……どれだけ頑張ればいいの?”

 

”のどかが……なんであの子がこんなに苦しまなくちゃいけないの!”

 

”変われるなら……僕が変わってあげたいのに!何も……出来ないなんて!”

 

種『親子……なのかな?すごく……悲しそう……』

 

そうだ、僕が感じたヤツの中にあった感情……それは、”悲しみ”だ。

 

何でレギュラーになれないんだ!あんなに……練習したのに!

何で私を捨てるの!?嫌!嫌ぁ!! 

あいつさえいなければ……俺は!!

また今日もいじめられた……生きていたくない!

人を襲って金を奪わないと……生きていけない!何で、こんな酷い事しないといけないんだよ!!! 

今日も俺は引き金を引かないといけないのか?また……俺の子と同じくらいの子の命を……奪えってのか!!  

また……戦場で仲間がいなくなった!もうすぐ、新しい命が生まれるって言ってたのに……何で……!!!

 

A・シード「・・・・・・」

 

種『っ!?ダメ!お兄ちゃん、私……聞いていられないよ!』

 

 この空間……ノイズの中に響いてくる”悲しみの声”は、この加音町だけではない……日本……世界……その全ての”悲しみ”だ。種の言う通り、とても普通の人間なら聞いていられない……耳を塞いでしまいたくなるほどの感情の暴流そのものだ。こんなものを聞き続けるくらいなら……。

 

A・シード「……何もない、”静寂の世界”を望む……か」

 

 そうだ……これほどの”悲しみ”だ。こんなものを聞き続けるくらいなら”消してしまおう”と思うかもしれない……でも、仮にそうしたとして……完全に全てが消えた”静寂の世界”なんて作れるわけがない。なぜなら、”自分がいる”からだ……声を発し、動き、生きるための鼓動を刻み続ける……他ならぬ”自分”が存在する。それでも……”静寂”を望むのだとしたら……どうする?

 

A・シード「……”自分”を……”消す”」

 

種『お兄ちゃん……?』

 

 そうか……ノイズは”僕”と同じなんだ。悲しみから生まれて、ずっとこの悲しみの声を……世界にとっての”ノイズ”を聞き続けた……こんなに苦しいなら消えてしまいたいと思うだろう。僕も……この世界に、”僕”と言う存在に”絶望”していた……だから、消して欲しいと強く願った。

 

A・シード「ノイズは……苦しかったんだな」

 

種『お兄ちゃん……どうしたの?』

 

 僕は絶望していた……いいや、きっと今も絶望している。でも、僕は一人じゃない……種が、コルーリが、旭さんが……プリキュアさん達が、僕の手を握ってくれた。だから少しでも変わってこれた……なら!

 

A・シード「僕は……ノイズを救いたい!」

 

 僕は……伝説の楽譜を開き、中を確認する。今度は、僕が誰かのために手を伸ばす番だ!

 

種『真っ白だね……音符ないのかな?』

 

A・シード「何処かにあるのかもしれないけど……探してる暇はないな」

 

種『じゃあ……どうするの?』

 

A・シード「種、あの時に聴いた”不幸のメロディ”……覚えてる?」

 

種『えっ?……うん、覚えてるよ……思い出したくないくらい……』

 

A・シード「そう……あの暗いメロディ。あれって元々、伝説の楽譜に記されていた”幸福のメロディ”を”反転”させたもの……つまり、あのメロディを上手く引っ繰り返せれば……」

 

種『幸福のメロディになる!』

 

 不幸のメロディを反転させれば、幸せのメロディになる……なら、どうやって反転させる?不幸のメロディは、どちらかと言うと”短調”気味な気がした……なら!

 

A・シード「……”長調”気味に歌ってみたら、幸福のメロディになるかも……試すしかないか!」

 

種『お兄ちゃん、一緒に!』

 

A・シード「うん……せ~の……すぅ~」

 

Ah~Ah~AhAhAhAh~Ah~~~♪Ah~Ah~~AhAhAhAh~~~Ah~~~~~♪

 

ピカーーーーーン!!!

 

 すると、真っ暗な空間の中に光が灯る。この空間内に溢れていた”悲しみの声”が少しずつ……優しい光と共に小さくなっていく。そして……僕の手にある”伝説の楽譜”の白紙のページに”新しい希望”が記される。

 

種『あっ!お兄ちゃん、楽譜になんか出て来たよ!』

 

A・シード「これって……”ハート型のト音記号”?」

 

 楽譜に新しく記された”ハート型のト音記号”……それはゆっくりと楽譜から出てくると、僕の手の平の上で輝きだす。

 

A・シード「あったかい……人の心にある優しさ……”悲しみ”を乗り越え、幸福をもたらす光か」

 

種『……綺麗、お兄ちゃんの手と同じだ……あったかくて、優しい特別な光だよ!』

 

ゴオオオオオオオオオオッ!!!!!

 

 ノイズの中が大きく揺れ始める。この暗い空間に大きな裂け目が出来上がり、その先に光が射す。

 

A・シード「気付かれたのか?……でも、今度はさっきみたいにはいかない!」

 

種『うん!この力でノイズを”倒そう”、お兄ちゃん!』

 

A・シード「ううん……ノイズは倒さない」

 

種『えっ?』

 

A・シード「ノイズを……”助ける”んだ!」

 

 僕は精一杯の力を込めて……光へと飛び込んだ。

 

 

加音町 広場

 

ノイズG『中々にしぶといな……だが、ここまでだ!』

 

ザート「くっ!!」

 

ピカ――――――ン!!!

 

響「な、何!?あの光!?」

 

奏「ノイズの中で……何が起きてるの?」

 

ハミィ「・・・・・・ニャプ?」

 

エレン「ハミィ?どうしたの?」

 

ハミィ「歌ニャ……歌が聞こえるニャ!」

 

Ah~Ah~AhAhAhAh~Ah~~~♪Ah~Ah~~AhAhAhAh~~~Ah~~~~~♪

 

ノイズG『ぐあっ!!がああああああ!!!なんだっ!?この……耳障りなメロディは!?』

 

アコ「このメロディは……!」

 

コルーリ「なんでしょう……心の奥から、温かいものが込み上げてくる。それに、この声は……カケル!」

 

エレン「これ……幸福のメロディ!なんで駆が?」

 

ノイズG『く、くそぉ!あの……プリキュアかっ!!取り込まれずに残っていたのか!?私の中から……出ていけぇぇぇぇぇ!!!!!』

 

……スタッ!

 

A・シード「……時間稼ぎをありがとう、ザート!予定と変わっちゃったけど……無事に戻って来たよ!」

 

スイートプリキュア・コルーリ「「「「「シード(ニャ)!」」」」」

 

ザート「っ!!……おかえり、シード!その手にあるのって……もしかして!」

 

種『うん!伝説の楽譜がね、新しいのを生み出したんだよ!』

 

アコ「あれって……”ハートのト音記号”!」

 

 ノイズGの中から戻って来た僕をスイートプリキュアさんたちとコルーリ、ザートが迎えてくれる。そして、僕の手にある”ハートのト音記号”……それに反応するように、スイートプリキュアさん達の持つ”ヒーリングチェスト”から声が聞こえてくる。

 

今……伝説の楽譜に新しき始まりが刻まれました。

 

A・シード「この声は……?」

 

ハミィ「”クレッシェンドトーン”ニャ!クレッシェンドトーンがシードに話しかけてるのニャ!」

 

 この女性の声が……あの浄化技の時に出て来た金色のフェアリートーン”クレッシェンドトーン”の声なのか?その声を聞いたノイズGも怒りと共に声を上げる。

 

ノイズG『クレッシェンドトーンッ!!忘れるものか……この私を封印した忌々しいお前を!!!』

 

クレッシェンドトーン「ノイズ……変わりませんね。シード、あなたの心の光が始まりを示す”ハートのト音記号”となりました。私に……その光を掲げなさい」

 

 そう言うと、スイートプリキュアさん達の持つヒーリングチェストが開く。僕はそれに向かって、手の上にある”ハートのト音記号”を掲げる……すると、ヒーリングチェストの”ピンク”と”青”の鍵盤が光りだし、そこから出て来た二つの光が一つになると……色を持たない”無色”の宝石が現れる。

 

シドー!!

 

A・シード「これって……フェアリートーン?」

 

シードリー「僕は”シードリー”シド!キュアシード、僕は君たちと一緒に戦うために生まれたシド!」

 

種『うわ~!うん、お願いね”シードリー”!』

 

シードリー「まかせてシド!さあ、”僕”と”ハートのト音記号”を君の”Qaフォーン”に入れてシド!」

 

A・シード「うん……おいで、シードリー!」

 

 僕はQaフォーンを取り出し、シードリーに向ける。すると、僕の左手に浮いていた”ハートのト音記号”は吸い込まれるように入っていき、シードリーは飛び込むように入っていった。

 

スイートプリキュア ダウンロード率…25パーセント…50パーセント…75パーセント…90パーセント…

100パーセント…ダウンロード完了。インストール準備完了。

 

A・シード「準備は整った……」

 

ノイズG『また……耳障りな音が増えた!いい加減に消えろぉ!!!!』

 

A・シード「ノイズ……そうだよね。あんなものを聞き続けたんだ……嫌にだってなるよね、消してしまいたくなるよね……」

 

ノイズG『なんだ……?何を言っている!!』

 

A・シード「気にしないでいいよ、こっちの話だから……。でも、これだけは言わせてもらう……僕たちは、ノイズ……君を”助ける”!!!!!」

 

 力強く声を上げた僕は右手に持つQaフォーンを起動して、新しく追加されたスイートプリキュアさんのプリキュアプリをタップする。

 

A・シード・種『『プリキュアプリケーション!インストール!!!』』〈スイート♪〉

 

 スイートプリキュアさんのプリキュアプリをタップすると……A・シードから元の姿に戻り、僕らは”二人”になる。どうやら魔法つかいプリキュアと同じように二人になるタイプのプリキュアプリの様だ。そんなことを考えながら、僕はQaフォーンに表示されたモジューレにシードリーをドラッグしようとすると……。

 

シドー!

 

種「あっ!シードリー、自分からセットされた!」

 

駆「ふふっ!ご苦労様、シードリー……それじゃあ合わせるよ、種!」

 

種「えへへっ!おっけー、お兄ちゃん!」

 

駆・種『『レッツプレイ!プリキュア・モジュレーション!』』

 

 僕たちは1台のQaフォーンを僕が左手、種が右手に持ってト音記号を描き……Qaフォーンの底面を握っていない反対の手で触れる。すると、画面に表示されたモジューレの下部のボタンが押し込まれる。それによりシードリーはモジューレの中へと入り込み、ハートのト音記号が輝きを放ち……僕らを包んでいく。ピンクと白……二色のリボンが僕たちに巻き付き衣装となり……。

 

ド!レ! ミ!ファ! ソ!ラ! シ!ド!

 

ドレミの音に合わせて”胸元のリボン”、”腰のリボン”、”頭の装飾”、種には首元のリボン、”両腕にアームガード”、仕上げに”イヤリング”を身に着けて……僕らの変身が完了する。

 

「「小さな種から花開け!」」

 

Me・シード(種)「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ・シード!」

 

シード・R(駆)「爪弾くはたおやかな調べ!キュアシード・リズム!」

 

 種はメロディを意識した衣装で、僕のは……何だこれ?レースにフリルはあるけど……どっちかと言う”とおとぎ話に出てくる王子”が身に着けているような衣装だな……なんかなかったのかな、シード・マジカルみたいにウィザードっぽくとかさ……ん?よく見たら僕の右足、鎖でぐるぐる巻きにされてるんだけど……これってキバの”ヘルズゲート”か?あっ!僕の腰の所に……なんだこれ?ミラクルベルティエの半分とファンタスティックベルティエの半分がくっついたみたいなのが”二本”装備されて……ああ!”音撃棒”を収納してるみたいに見えるのか!なんと言うカオス……シリーズが喧嘩してるな、これ……でもこの力なら、いける気がする!!!

 

Me・シード「世界の音を消すなんて絶対に許せない!!!」

 

シード・R「世界を静寂にする……そんなことしなくていい!ノイズ、僕は君を絶対に助ける!!!」

 

ノイズG『勝手に喋るんじゃない!それ以上……耳障りな音を立てるなあああああああ!!!!!』

 

 怒りに任せて僕たちに突進してくるノイズG。僕はすぐさまノイズの軌道線上に立つと、よく分からないベルティエの一本を種に渡す……待っていて、僕たちが助けるから!!!

 

シード・R「シード、”音撃道”の打……覚えてる?」

 

Me・シード「あんまり……でもお兄ちゃんとリンクで繋がってるから、こっそり教えて♪」

 

シード・R「仕方ないな……!おいで、シードリー!」

 

シド―!

 

シードリーを呼ぶと、なんと四体となり僕らの持つベルティエにセットされる。セットされたシードリーは”ピンク”、”白”、”橙”、”黄色”と無色の身体に輝きを灯す。

 

ノイズG『でやあああああああああっ!!!!!』

 

シード・R「音撃打・一気火勢の型!」

 

Me・シード「せ~の!!!」

 

シード・R/Me・シード「「だりゃあああああ(たりゃーーーーー)っ!!!」」

 

ドーーーーーーン!!!!!

 

ノイズG『ぐはっ!!!』

 

シード・R「ひとつ!」

 

Me・シード「ふたつ!!」

 

シード・R/Me・シード「「みっつ!!!」」

 

ノイズG『ぐわあああああああっ!!!』

 

 音撃打・一気火勢の型……左右に持った音撃棒を”同時”に振り下ろし、それを連続で行って清めの音を流し込む技。僕たちはそれぞれノイズから見て左右に立ち、ノイズGに攻撃が当てられる距離を僕が図り、タイミングの良い所で僕と種でベルティエを同時にノイズの腹部に叩き込んだ……合計で三回、打ち込むたびにベルティエにセットされたシードリーも輝きを増していき、三回目にはノイズGを吹き飛ばしていた。

 

響「クロスロッドでノイズを叩いて吹き飛ばした!?」

 

奏「すごい使い方するわね……」

 

エレン「二人の息がぴったり!それに……ノイズを吹き飛ばすほどの”あの力”って!」

 

アコ「”ハーモニーパワー”……二人の心が繋がっている事でノイズすら超えると言うの!?」

 

ノイズG『ハーモニーパワーだと!?下らない!!そんなもの、消し去ってしまえばああああああ!!!』

 

 空中で態勢を整えたノイズGは、両腕の翼を大きく振って僕らに羽を飛ばしてくる。凄まじい速度で飛んでくる羽は間違いなく当たれば致命傷だ……しかし、そんな中で種は声を上げる。

 

Me・シード「お兄ちゃん、飛び跳ねて!!!」

 

シード・R「っ!!オッケー!!!」

 

 僕はその場で2メートルほどのジャンプをすると、シードは右腕を大きく振りかぶり……。

 

Me・シード「お兄ちゃん、ノイズまで……飛んでけーーーーーーっ!!!!!」

 

 僕の足底に思いっきりパンチを撃ちこむ……そして、僕はそのパンチを足を曲げることで威力を緩和し、勢いを利用してノイズへと飛んでいく。飛んでくる羽をベルティエで落としながら、確実に僕の距離はノイズへと近づき……僕はノイズへとたどり着いた。

 

ノイズG『くっ!このっ!!!』

 

シード・R「ふっ!ノイズ……お前の悲しみ、僕も感じたよ!」

 

ノイズ『だから……なんだ!!!』

 

シード・R「お前と僕は……似ている!だからお前が全てを静寂にした時、最後にどうしようとするのかも……僕には分かった!それは……僕も望んでいた事だから!!」

 

ノイズG『っ!?そうか!なら分かっただろう……だからこそ私が生まれるのだ!お前たちがいる限り、私は消えることはない!!!』

 

シード・R「でも、人はそれも乗り越えるんだ!それに……お前が消える必要はないっ!!!」

 

バキー―――――ン!!!

 

 ノイズの手による攻撃をベルティエで抑え、僕はノイズに語り掛ける……彼の中にあった悲しみ、破滅願望、それが僕に似ているという事も……しかし、それでもノイズは止まらない。そんな彼を止めるために、僕は右足で抑えていた手を蹴り上げる。すると、キバの”ヘルズゲート”に似た銀のプレート、それを縛る鎖が消し飛び、本当の姿を現す……その姿は!

 

ノイズG『黒い……”翼”?』

 

コルーリ「何ですか、あれは?あの……黒い翼、あれではまるで……”ノイズ”のようじゃないですか!」

 

ザート「あれが……駆君の意志なんだね」

 

Me・シード「……お兄ちゃん、やっぱり……優しいね」

 

シード・R「これが、僕が君を救うための……決意だ!目を覚ませ、ウェイクアップ!!!」

 

 振り上げられた右足、広げられた黒い翼……これこそ”キバ”のキックの態勢!そして、僕はその足をノイズGに向かって……!

 

シード・R「僕は……絶対に君を助けるんだああああああっ!!!!!」

 

ノイズG『っ!?ぐっ!!ぐわあああああああああああああああああっ!!!!!』

 

ドッガ――――――――――ン!!!!!

 

全身全霊を込めて……振り下ろした。両腕を使ってガードをするノイズだが、防ぐことは出来ず……僕と共に地面へと落下していく。そして、地面に到達して出来上がったクレーター……その中心には”僕”と、”ノイズG”……それから、”ハート型のト音記号”のマークが表面にしっかりと刻まれていた。

 

ノイズG『わ、私が……このような無様な姿に……!キュアシード……貴様ああああああ!!!』

 

シード・R「っ!? もうやめろ!……て、言っても聞かないんだろうね」

 

 地面に倒れ伏すノイズは僕に蹴りを仕掛けたため、僕は種のいるところまでジャンプして回避する。ノイズの悲しみは、どうやら僕では救うことが出来ないようだ。

 

シード・R「……僕はプリキュアさん達に救われたんだ!君を救うために、まずはスイートプリキュアさんを救う……それが、きっと君を救うことにもつながるはずだから!!シード、いくよ!!!」

 

Me・シード「仕方ないな~、お兄ちゃんは。分かった、私も協力する!一緒に助けよう、プリキュアさんも、ノイズもね!!」

 

シード・R「ああ!」

 

シード・R/Me・シード『『プリキュアプリ!インストール!!!』』〈スイート♪〉

 

 ……でも、きっと救ってくれる!スイートプリキュアさん達が!……だから、彼女たちに希望をつなぐために僕は最後の攻撃の準備を始める。僕たちはお互いの手をしっかりと握り、ゆっくりとノイズへと向ける。

 

ノイズG『もうどうなっても構わん!!!この一撃で消えろ、プリキュアああああああああああ!!!!!』

 

シード・R/Me・シード「「プリキュア・パッショナートハーモニー!」」

 

 ノイズGの黒いオーラの極太ビームと僕らの浄化技が激突する。拮抗した状態が10秒ほど続くと、徐々に僕らが押されてくる。

 

響「シード!!」

 

奏「そんな……負けないで、シード!」

 

……ラ~ラ~~~……ララ~……。

 

エレン「待って!……何か聞こえない?」

 

アコ「これって……歌?」

 

ラ~ラ~~~ララ~~~ララ~~~ララ!ラ~~~ララ~~~ララ!ラララララ~~~ラララララ~~~!ラ~ラ~~~ララ~~~ラ~ラ~~~ラ!

 

コルーリ「これって……!」

 

ザート「……”星の歌”!これ、二人から聴こえてくるの?」

 

 種が作った”星の歌”……それがこの空間中に響きだす。僕らは決して歌っていない、口だって動かしていない……しかし、この歌は確かに皆に聴こえていた。

 

ノイズG『なんだ!?何なんだこの歌は!?……ッ!?な、何故だ!?お、押されていく!!』

 

ハミィ「すごいニャ……!すっごいニャ~!!シードの心の音楽が……いっぱい溢れてるニャ~~~!!!』

 

シード・R「これが僕らの心……そのハーモニー!」

 

Me・シード「受け止めてみなさい!!」

 

シード・R/Me・シード「「スターソング!!!」」

 

 僕たちの心の歌が……音楽が溢れだし、僕らのハーモニーはノイズの吐き出す”悲しみ”を……。

 

ノイズG『ぐわああああああああああっ!!!!!』

 

 ”浄化”した。

 

マーネル「うっ!……な、なによこれ!?どうなってんのよ!?あたし……またやられたの!?嘘だ……嘘だ!嘘だ!!嘘だ!!!の、ノイズまで使ったのよ!?それで……こんな!?」

 

ベガ「静かにしなさい……マーネル」

 

シード・R「……ベガ」

 

ザート「オリヒメちゃん!」

 

ベガ「……ん?あら、久しぶりね、私のアルタイル♪それから……私の”元”親友、アサヒも……」

 

気絶していたマーネルが目覚め、目の前のノイズGが浄化されたと言う状況に取り乱していると……ベガ、いいや、オリヒメがその場に現れる。そして僕に笑顔で挨拶し終わると、まるで仇を見るような冷たい目でザートを睨む。

 

マーネル「ベガっ!?こ、これは……!!」

 

ベガ「そのことは良いわ。カイザーン様の命令よ、デリート連れて一度戻りなさい……安心して、お仕置きなんてないから♪私はアルタイルとお話があるから、先に帰ってて♪」

 

マーネル「ぎょ、御意」

 

 ベガの命令に従い、マーネルは日傘で次元の穴を開いてその中に消える。それを見たベガは、再びこっちを向くと、笑顔で僕に話しかけてくる。

 

ベガ「さすがは私のアルタイルだわ!こんなに強くなってくれて、私はとっても嬉しいの♪それで……あなたを”最後の戦い”に招待しようと思って……来ちゃった♪」

 

シード・R「最後の……戦い?」

 

ベガ「そう……2010年で私たちは、あなたと最後の勝負をすることに決めたの!私と三幹部、そしてあなたと"不純物”、それから”最低の女”……4対3の対決よ!ハンデとしてカイザーン様は出て来ないし、私たちも直接は戦わない……その代わり、”ゲンサークは人数分”用意するわね♪」

 

シード・R「っ!?ゲンサークが……4体も!?」

 

ザート「1体でも苦戦するゲンサークを……そんな!?」

 

 驚愕の情報を僕らに告げながら、ベガは僕の目の前まで来ると足を止める。

 

ベガ「アルタイル、あなたが勝ったらプリキュア達は救われる。勿論、私が勝ったら……」

 

シード・R「ッ///!?」

 

ベガ「……あなたは”私の物”よ」チュッ!

 

 ベガはそう呟くと僕に身体を密着させて、右頬に口付けをする。それを振り払おうとすると、彼女はバックステップでそれを避けて、自分の唇に右手の人差し指を当てる。

 

ベガ「うふふっ♪唇はあなたを手に入れた時のためにとっておいてあげる♪」

 

ザート「オリヒメちゃん……」

 

ベガ「……お相子でしょ、アサヒ?あなただってカケルを誘惑したんだから……ずるいなんて言わないでよね」

 

ザート「違う!あ、あれは……」

 

ベガ「ふっ!まあ、私が彼を手に入れるから……それまで精々仲良くしてなさいよ、”売女”。それじゃあ、アルタイル……またね♪」

 

 ベガはそう言い残すと、次元の裂け目の中に消えていく。今までの彼女と違う……何か強い”怒り”や”興奮”……それのせいなのか、彼女の行動がおかしい。……いや、それよりもベガの言っていた”最後の戦い”……それが事実なら、勝利しなくてはいけない!そのために……最善の準備をしなくては!

 

駆く~ん! 種ちゃ~ん! 旭ちゃ~ん!

 

駆「あっ!皆さん!」

 

 状況が落ち着いたため、スイートプリキュアさん達が僕らの元へやってくる。4人の手には”キュアモジューレ”が握らている……よかった、無事に歴史は修正されたんだ!

 

響「駆君!種ちゃん!それに旭ちゃんもありがとう!!」

 

奏「3人のおかげで私達は救われた!本当にありがとう!!」

 

エレン「3人がいたから、私達と音楽が救われた!最高よ!一曲歌いたいくらい!!」

 

アコ「・・・・・・」

 

旭「アコちゃん……どうしたの?」

 

 3人の笑顔とは裏腹に、アコちゃんは暗い表情をする……どうして?

 

アコ「駆……ピーちゃんが……!」

 

種「あっ!そうか……ノイズゲンサークはピーちゃんも入ってたんだ」

 

コルーリ「アコさん、大丈夫です……きっと……」

 

アコ「でも!だったらなんで……!」

 

駆「あっ……アコちゃん、どうやら戻って来たみたいだよ……ほら!」

 

 僕は空を見上げると、ある物を見つけた。小さくて丸い”それ”は……。

 

ピ~~~~~!

 

 ゆっくりと僕らの所へ舞い降りてきた。

 

アコ「ピーちゃんっ!!!」

 

ピーちゃん「ピ~~~!ピ~~~~!」

 

響「アコ、よかったね!」

 

奏「ピーちゃんが無事で!」

 

エレン「本当ね!……あれ?伝説の楽譜は……どこに行ったの!?」

 

 そうだ……伝説の楽譜はノイズゲンサークの中に取り込まれていたはずだ。一体、何処に……!?

 

ファルセット「あーーーーっはっはっは!!!返してもらったぞ、伝説の楽譜!!!!!」

 

響「あんた達、トリオ・ザ・マイナーっ!!」

 

バリトン「何故、伝説の楽譜が盗まれたのかはよく覚えていないが……」

 

バスドラ「本当にな……まあ、帰って来たからいいだろう!」

 

ファルセット「うるさいぞ、おまえ達!では、我らは失礼するよ……プリキュアの諸君!」

 

 トリオ・ザ・マイナーと言う三人組……どうやらマイナーランドの幹部たちのようだがその三人の一人”ファルセットとか言うらしい奴が伝説の楽譜を持って行ってしまう。……多分だけど、伝説の楽譜は”ヤツ”が渡したのだろう……楽譜の一番近くにいた”ヤツ”が……。

 

ハミィ「伝説の楽譜が持ってかれちゃったニャ~!!」

 

駆「……いや、これで良いんだ」

 

響「どうして、駆君?」

 

奏「……そうか!それが駆君達の知ってる”歴史”なら!」

 

エレン「それが変わってしまったら、歴史も変わる……って、訳ね」

 

 そうだ……伝説の楽譜はマイナーランド側が持っていなくてはならない。それがこの先の歴史に起こる出来事と密接につながっているからだ……もしもそれを変えてしまったら”タイムパラドックス”が起こる危険がある……それをするという事は、”ネツゾーン”の行いと変わらない……未来から来た”ゲイツ”達を否定する発言で申し訳ないけどね。

 

駆「そう言う事です……取り合えず、調べの館へ向かいましょう。ここだと落ち着きませんし……」

 

コルーリ「そうですね、一度戻りましょう!」

 

アコ「分かった……お爺ちゃんに連絡する」

 

駆「お願いするよ……そうだ、Qaフォーンの連絡機能はどんな時代の電話にも対応するから、これを使って!……それと、ピーちゃんを少し貸してくれないかな?怪我があったらいけないから確認したいんだ」

 

アコ「えっ?……いいわ。はい、駆」

 

 僕はアコちゃんからピーちゃんを受け取り、掌に乗せる。……どうやらアコちゃんは、Qaフォーンで音吉さんに連絡し始めたみたいだ……この間に話しておかないとな。

 

種『お兄ちゃん、どうしてピーちゃんを……』

 

駆「ピーちゃん、君は”ノイズ”だね?」

 

ノイズ『……ピー』

 

旭「っ!?駆君、その子をっ!!!」

 

駆「待って、旭さん……大丈夫、何もしないよ。それに、僕も何かをする必要はない」

 

 僕はピーちゃん……いや、ノイズを警戒する旭さんを止める。

 

種『何言ってるの、お兄ちゃん!こいつは……危険なんだよ!』

 

駆「うん、そうだね」

 

コルーリ「だったら……!」

 

駆「ノイズはこの時代に”必要”なんだ……”スイートプリキュア”のために、そして”ノイズ”のためにも……ね。ノイズ、僕は君の正体を彼女たちにバラさないし、君を消すことはしない……好きにやりなよ!それが……”君自身を救う”事に繋がるから」

 

ノイズ『ピー――ッ!』

 

 なんとなくだけど”分かる”んだ。きっとノイズは”スイートプリキュア”に救われる……そして、心から笑えるって……絶対にそうなるってさ!

 

アコ「おじいちゃんに連絡取れたわ。皆、行きましょう」

 

駆「うん……はい、アコちゃん。ピーちゃん、怪我は無いみたいだよ」

 

アコ「ありがとう!良かったね、ピーちゃん!」

 

ピーちゃん『ピー―――♪』

 

 こうして、僕たちヴァールハイト・プリキュアとノイズゲンサークとの戦いは終わった。そして、僕らは調の館へと向かい始めた。美しき”組曲”達と、世界の悲しみである”ノイズ”と共に……。

 

 

調べの館 館内

 

響「はい、サイン!皆で書いたよ!!」

 

種『わぁ~!ありがとう!!』

 

音吉「駆君、これを持っていきなさい」

 

駆「新しい本ですね……”よく分かる楽器調律”ですか」

 

音吉「君が進武君のように”調律師”なろうと志した時にきっと役に立つだろう……まあ、持っていきなさい」

 

 種にはスイートプリキュアさんのサイン、僕には音吉さんから”調律”の教本を受け取る。耳には……自信がないんだけど、まあ役に立つかもしれないな。

 

クレッシェンドトーン『駆……あなたにお話があります』

 

駆「クレッシェンドトーン?どうしたんですか?」

 

クレッシェンドトーン『駆、あなたの中にある力……それは決して”悪”ではありません』

 

駆「えっ?」

 

クレッシェンドトーン『その力も、あなたを表す”心の音”です……今はまだ、その響かせ方が分からないだけ。その正しい響かせ方をあなたなら……きっと見つけられます。頑張りなさい、プリキュアと心を重ねる……大きな”心の器”を持つ少年、駆……」

 

 クレッシェンドトーンが僕に言った言葉……Aqライトが悪ではない。そして正しい使い方がある……まだその意味は分からない。けど、きっと見つける……いや、見つけたいな。

 

コルーリ「カケル、タネ、アサヒ、出発の用意が整いました!」

 

旭「わかった、コルちゃん!あの……ありがとうございます、音吉さん。アカーシャを敷地の中に置かせていただいて」

 

音吉「いいさ……もう行くのだね、駆君」

 

駆「はい……音吉さん、おじいちゃん達の写真と、教本……ありがとうございます!大切にします!」

 

種『サイン大事にするね!今度はゆっくり響ちゃんのピアノとか、エレンちゃんのギターとか聴きに来るからね!』

 

 この時代から出発する準備をコルーリが告げ、調べの館の広い外の敷地に移動させたプリキュアカーシャに乗り込む。

 

駆「皆さん、本当にありがとうございました!」

 

種『きっと……きっとまた来るからね!』

 

旭「うん、またね……みんな!」

 

 僕らの最後の挨拶……それにスイートプリキュアさん達が答える。

 

響「今度来たら最高の演奏をする!まかせて!ここで逃げたら女が廃る!絶対に来てよ、約束ね!!」

 

奏「はい、私の焼いたカップケーキ!船の中で食べて!!それから……これ、私の考えたレシピ!よかったら……作ってみて」

 

エレン「良かったら歌で送ってあげたいけど……ごめんなさい。でも、あなた達の事を信じてるわ!三人共、心のビートを止めないで!!きっとあなた達なら救えるから!!!」

 

アコ「……駆、あの時の事……ごめんなさい!駆は信用できる人よ……あなたの心は、きっと他のプリキュア達も救ってくれる……私も信じるわ」

 

 スイートプリキュアさん達の言葉がとても嬉しかった。そして……最後にこれだけはやらないとね!

 

駆「あの……最後に握手してもらえませんか?」

 

響「うん、いいよ!」

 

 響さん、奏さん、エレンさん、アコちゃん、ハミィ、音吉さん……皆との握手を完了し、別れの時間がやってくる。プリキュアカーシャのハッチが閉じ、僕らは座席に着く。すると船が空中に浮き始め、凄まじい速度で飛び上がっていき……”碧色の流れ星”となって空を駆け抜ける。

 

 

side:スイートプリキュア

 

 駆君達が乗った船が浮き始める。そして、”碧色の光”を全体に放ちながら空を駆け上がる……それは流れ星のように綺麗で私たちはその光が見えなくなるまで、空を見つめていた。

 

響「行っちゃったね……駆君達……」

 

奏「そうね……響、駆君達……大丈夫だと思う?」

 

響「あったりまえじゃない!きっと、他のプリキュアを助けてくれるよ!」

 

エレン「そうよ……そうだわ!皆、駆達の無事を祈って演奏しない?」

 

ハミィ「セイレーン、ナイスアイディアニャ!皆で演奏、楽しみニャ~!」

 

 エレンの考え……すごく良い!よ~し!そうと決まれば……!

 

響「奏!」

 

奏「そうね、響!」

 

エレン「私はギターを用意するわ!」

 

アコ「……仕方ないわね、私は座ってゆっくり聴くわ」

 

ハミィ「そう来なくっちゃニャ!早速準備ニャ!!」

 

 館の中に入り、私と奏はピアノに、ハミィはピアノの上に、エレンはギターを、アコと音吉さんは席に座って……あっ!ピーちゃんは骨組みの所にいるみたい……よ~し!

 

響「始めるよ!」

 

「「「オッケー(ニャ)!」」」

 

3……2……1……スタート!

 

ラ~ラ~~~ララ~~~ララ~~~ララ♪ラ~~~ララ~~~ララ♪ラララララ~~~ラララララ~~~♪ラ~ラ~~~ララ~~~ラ~ラ~~~ラ♪

 

 あの時、駆君達とノイズの戦いの時に聴こえた”星の歌”……私たちは心に響いたあの時の歌を”自分の心”に従って奏でていく。その音は……少し歪だけど、それでも”音”の中に輝くものがある……それが良い感じなのかな!

 

ハミィ「ニャ~……ニャ?あ~~~~っ!皆、ちょっとストップニャ!!」

 

響「ん?どうしたの、ハミィ?今いい所なのに……」

 

ハミィ「音符にゃ!いっぱい音符が集まってるのニャ!!」

 

スイートプリキュア「「「「えっ!?」」」」

 

 ハミィ曰く、あのノイズゲンサークを生み出す時に奪われてシードに浄化された音符たちが、私たちが演奏した”星の歌”に引っ張られるように集まっているらしい。

 

響・奏「「……って、早く捕まえなきゃじゃないっ!!!」」

 

エレン「虫取り網を持ってきたわ!」

 

アコ「さっさと捕まえるわよ!」(黒ミューズのブーツ装備)

 

響・奏「「……うふふっ!よ~し、いくよ(わよ)!!!」」

 

スイートプリキュア「「「「おーーーーーーーーっ!!!!!」」」」

 

 駆君、種ちゃん、旭ちゃん、コルーリ……皆が守ってくれたこの時代を私達が守ってみせる!そして……世界に音楽を、心のメロディを、幸福のメロディを……世界に響かせてみせるから!4人も絶対頑張って!駆達の生きる未来に……きっと素晴らしい音楽を繋げていくね!

 

 

To Be Continued……




いかがだったでしょうか?4連勤が終わってやっと書き終わりました!遅れてしまって申し訳ありません!でも、なんか部署の移動とかもあるので、今後少し更新遅れるかもしれません……でも絶対に更新しますのでご安心ください!次回は、2010年にやって来た駆達!そこで出会ったのは、花屋の女の子で「あ~いたいた!ねえ、ここ私たちの楽屋~?」おいおい、まだ早いから!来て欲しいのは次回から!!……すいません、どうやら”プリキュア界の特異点”が迷い込んだみたいで……と、いう訳で乞うご期待ください!
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