ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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ごきげんよう、32期です。今回から”アカシック王国編”をお送りいたします。このアカシック王国編では、駆に……”プリキュア”になってもらいたいと思います。駆の精神ダメージがとんでもないことになっているので、普段の彼が言わなそうな事や、今までに築いて来た駆の心が”ゼロ”になったような描写が多いかもしれません。駆のメンタルが弱い……のもあると思いますけど、信頼した人の裏切り、一番近くにいた家族が抱いていた心を知る事……それがどれだけの精神的ダメージになるかなんてわかりませんからね。そして、アカシック王国を統治する”アカシック女王が本格的に登場です。どんな女王様なのか……まあ、これから分かりますから、お待ちください。では、お楽しみください!


アカシック王国編
第三十八話:任務終了!?アカシック王国への帰還!


駆の深層意識

 

side:駆

 

駆(……ここは?)

 

……久しぶりだね、”もう一人の僕”。

 

駆(っ!?お前は……バッドエンドシード!?)

 

バッドエンドシード(キヒヒッ!また会ったね……もう一人の僕。どう……プリキュアの力、嘘つきの妹を奪われたり、信じたくない真実を突きつけられたり……ねえ、どんな気持ちだい?)

 

 ここは、僕の深層意識だろう。この空間に聞き慣れた僕の声がする……しかし、声の出処は僕ではない。僕と同じ声をしている人物、スマイルプリキュアの時代で倒され、僕の身体にバッドエナジーを打ち込んだ敵……”バッドエンドシード”……黒い道化服をきた彼が、何故か僕の深層意識の中にいた。

 

駆(なんで……お前がいるんだ!?)

 

バッドエンドシード(ああ……君に撃ち込んだ”バッドエナジー”に僕の意識を忍ばせておいたんだ。って、言ってもバッドエナジーを打ち込む所までがカイザーンの命令だけどね。僕を消し去ったザートの技……あれを受けた時、僕の意識にカイザーンから直接命令が来てさ……”アルタイルにバッドエナジーを打ち込め”って……面白そうだから、その話に乗ってみた訳!でも、ただ従うのが嫌で意識を忍ばせてみたけど失敗だな……カイザーンがとんでもない濃度のAqライトを流してきたせいで、僕の意識が溶けかけてる)

 

駆(そうか……それじゃあ、カイザーンが言ってた”旭さんが偽物”って言うのは……事実か)

 

バッドエンドシード(そう言う事……ついでに種の事も……ね。僕も言ってたでしょ……”種も嘘をついてる”って……そもそも僕は”君”なんだから、本当は種がそう思ってたことも……”知ってたんでしょ”?)

 

駆(……信じたくなかったけどね。種の言動……行動……リンクから伝わる黒い感情……色々、考えられることはあったよ……でも、信じたくなかった……!)

 

 種は……僕に対して異様なほどの”愛情”を示すことがあった。それ以外にも、種は……デリートに記憶を奪われたマナさんの心配をしなかったし、ジョーカーに向けた”怒り”は僕の知りえない程のモノだったから。

 

バッドエンドシード(相変わらず勘がよすぎるな……ねえ、それを分かってて妹を信じてたんでしょ?)

 

駆(うん……だって、信じるに決まってるだろ!)

 

バッドエンドシード(結局、結果はあれだけどね。……いい加減に気付きなよ……お父さんとお母さんに否定されて、一番近くにいた妹にも騙されてた……人の”心”なんて分かる物じゃない)

 

 そうだ……人の心なんて分かる物ではない。そもそも、心だけは見たり、聞いたりできない。でも……プリキュアさん達が教えてくれた……それでも信じる事の意味を……心を重ねる大切さを!

 

バッドエンドシード(でも……君は人の記憶や心を読み取れるようになった。それのおかげで、ノイズもダークプリキュア達も救おうと思った……でも、それって心を読めなかったら”助けようとなんて思わなかった”って事だろ?)

 

駆(それは……!)

 

バッドエンドシード(心を読めても……結局、騙されたまま。しかも、君は心を読む事の便利さを知ってしまった)

 

駆(どう言う事……?)

 

バッドエンドシード(心が読めると相手を理解しやすくなってしまう……でも、それは”異常”なんだよ。さっきも言ったけど”心なんて分かる物じゃない”……一度でも分かる事の簡単さを知ってしまったら、今後心が読めない事に恐怖するよ……カイザーンは、君に与えた能力は回収したみたいだし……もう、君は他人の心を読み取れない……また、心を疑う恐怖に震える……騙される事に恐怖する!!)

 

 バッドエンドシードが一歩、また一歩と僕に詰め寄ってくる。僕は……まるで恐怖で足がすくんだように動くことが出来ない。……また、騙されるのか?カイザーンにも、種にも……もしかして、プリキュアさん達にもっ!?怖い……怖い!怖い!!怖い!!!皆……僕を信じると言ってくれた!でも……本当にそんな事を思ってるのか?建前だけじゃないのか?……”嘘”なんじゃないのかっ!?

 

バッドエンドシード(キヒヒッ!心に恐怖が見えるよ……もう一人の僕♪そこでだ……君に、その恐怖を消す方法を教えてあげるよ)

 

 バッドエンドシードは僕の目の前に来ると、僕の前に赤い絵の具でピエロの顔が描かれた”黒い仮面”と”黒い羽”一枚を出す。

 

駆(これは……?)

 

バッドエンドシード(この仮面は僕が君に撃ち込んだバッドエナジーで作ったもの。こっちの羽は、君が取り込んだノイズの残滓……これを君が使うんだ)

 

駆(僕が……?)

 

バッドエンドシード(これは全て”絶望”と”悲しみ”だ……そして君が今抱いている”恐怖”……そしてカイザーンが流し込んだ”Aqライト”……このすべてを使って……!)

 

駆(ッ!?や……や、めろ……やめて……!)

 

 バッドエンドシードが僕の顔に仮面をかぶせようと手を伸ばす……ダメだ、身体が動かない!?

 

バッドエンドシード(僕の意識はカイザーンに消される。でも……それじゃあ面白くないだろう?最後なんだし……一矢報いたいじゃないか!だから……!!)

 

駆(やめろおおおおおおおおおっ!!!!!)

 

バッドエンドシード(全部……消しちゃうんだよ!全部消せば、心なんて関係ない!!全部滅ぼす……”滅亡”させるんだ!!!お前の”睡蓮”の花言葉みたいになあっ!!!!!)

 

駆(あああああああああああっ!!!!!)

 

バッドエンドシード(はっはっはっ!!!消える!僕が消える!!君のAqライトに溶けていく!!!そうだ!!!僕を消すみたいに……全部、消すんだよ~!!!!!あっはっはっはっはっは!!!!!)

 

 仮面をかぶせられた僕の身体から、Aqライトが湧き水のように溢れてくる。その暴流がバットエンドシードを飲み込め……僕の深層意識を飲み込み……心を……黒く……染めて……怖い……助け……て……!

 

私を助けたお前が……その闇に飲まれてどうするのだ?

 

駆(君は……ダークプリキュア?)

 

ダークプリキュア(あれを見ろ)

 

駆(あれは……光?)

 

 心の中に向かってくる”まばゆい光”。それが……僕の心を照らそうとしている。

 

ダークプリキュア(あれは……お前を想うプリキュアの光だ。あれを……受け止めてみろ)

 

駆(出来ないよ……怖い!信じられない!)

 

ダークプリキュア(恐れるな……私もいる)

 

 ダークプリキュアは僕の後ろから両手を握ると、ゆっくりと……僕の正面を光へと向ける。そして、光が僕にぶつかった瞬間……。

 

ブロッサム:SS(駆君っ!!!)

 

駆(つぼみ……さん?)

 

ダークプリキュア(分かるだろう?お前を想うキュアブロッサムの心が……さあ、プリキュアの所へ行け)

 

駆(……ありがとう、ダークプリキュア。ありがとう……つぼみさん……)

 

 光は……つぼみさんの心だった。その光を受けた僕は、Aqライトで満たされた深層意識から引き上げられるように……僕は……現実へと戻っていった。そして……笑顔で僕を見るダークプリキュアは、Aqライトの海に……溶けていった。

 

 

プリキュアカーシャ”モデル2” 医務室

 

駆「あ……こ……こは……アカーシャの医務室?」

 

綺麗な黒髪の少女「……起きた?」

 

駆「ッ!?……君は……誰?」

 

綺麗な黒髪の少女「ん……待ってて」

 

 見慣れたアカーシャの医務室で目覚めた僕。僕のベッドに腰を掛けた知らない少女は、名乗ることなく医務室から出ていく。しかし、数分後……彼女は戻って来た……良く知った顔と、見知らぬ顔の……”鳥”たちを連れて……。

 

駆「クアライト博士っ!?なんで……アカーシャにっ!?アカシック王国にいたんじゃ……」

 

クアライト「久しぶりクアね……カケル。君は……自分の今の状況を理解しているクア?」

 

駆「僕の……状況?……ッ!?カイザーンはっ!?種はっ!?ハートキャッチプリキュアの時代はどうなったんですかっ!?」

 

キツツキ?「落ち着けキー、タイプK。2010年の固定化は済んですし、ネツゾーンは退いていった……タイプT……お前の”妹”を連れ去ってな」

 

駆「ッ!!……行かなくちゃ!……ッ!?身体が……重い……!」

 

 僕は寝ていたベッドから起き上がり、医務室を出ようとするが……身体に力が入らない。

 

キツツキ?「無理すんなキー!お前……Aqライトとか言う力で暴走してたんだぞ。それに……この医務室は、お前の”治療”と”監視”を行うための部屋なんだ!出られても困るキー!!」

 

駆「暴走?……なるほど、それで”監視”ですか。あの……クアライト博士、コルーリは……それから、そこの彼女達は……何者ですか?」

 

 クアライト博士に、コルーリが無事なのか……そして、さっきからいる見ず知らずの少女とキツツキの事を聞いてみる。

 

クアライト「コルーリはアカーシャ”モデル1”……お前たちが今まで乗って来たアカーシャで後方を航行中クア」

 

ペック「おっと!自己紹介は俺がしますよ、クアライト博士。俺はペック、プリカバリー計画を進行していたお前たちとは別に、ネツゾーンの調査任務をしていたもんさ!で、こっちは”キュアストリング”!俺が任務遂行のために発見した”特異点”で、俺のパートナー!」

 

ストリング「……よろしく。でも……ペック、この姿……普通の姿……なんだけど?」

 

駆「ペックに……キュアストリング……ん?待って下さい……ここって、僕たちの乗ってたアカーシャじゃないんですか?」

 

ペック「ああ、このアカーシャは”モデル2”……俺たちが乗ってる機体キー。任務の一時報告のためクアライト博士に通信しようとしたんだが、通信不良が続いてたからな……アカシック王国に帰還したら、急にクアライト博士が”2010年に向かえ”って言うから……博士を乗せてすぐに向かったんだ。あんた達の状況は、向かってる途中で博士から聞いたから……ちょっとは分かるキー」

 

 なるほど……医務室が同じ構造だったのは、同じタイプの船だったからか。……ん?待てよ……さっき、クアライト博士は”航行中”って言っていた……つまり、アカーシャはどこかへ向かっているって事だ……一体何処へ?

 

駆「あの、この船はどこへ向かってるんですか?」

 

クアライト「目的地は、”アカシック王国”……私たちの故郷クア」

 

 アカシック王国……コルーリの故郷、Qaフォーンを作った国……か。

 

駆「あの……お願いがあるんですけど……」

 

クアライト「何クア?」

 

駆「少し……一人にしてくれませんか?」

 

ペック「おいおい、そういう訳には……」

 

スッ……。

 

ストリング「ん……分かった」

 

ペック「お、おい!ストリング!身体を掴むな……キケ~~~~ッ!?」

 

ストリング「……じゃあ、外にいる」

 

クアライト「……カケル、アカシック王国への到着にはもう少しかかる。それまで……ゆっくり休むクア」

 

駆「ありがとう……ございます」

 

 ペックを掴んだストリングとクアライト博士が医務室から出ていく。ようやく……一人になれた。

 

駆「……種、聞こえる?」

 

 何も……聞こえない。

 

駆「……種……やっぱり……いないのか?」

 

 いない……僕の中に”種”はいない。

 

駆「……くっ!……ぐうぅっ!!!」

 

 心に……ぽっかり穴が開いたみたいだ。例え僕を騙していたとしても……種は僕の……大切な妹だった!それを守れずに……奪われて……悔しいし、悲しい……はずなのに……!!

 

駆「どうして……涙が出ないんだ?」

 

 大切な妹を奪われたから……”悔しい”。でも……”悲しみ”が全く沸いてこない……大切な妹なのに……”信じることが出来ない”。

 

エール(……駆君?)

 

ブロッサム(駆君……種ちゃんを助けましょう。だから……!)

 

駆「……静かに……してください」

 

ブロッサム(え……?)

 

駆「お願いですから……一人にしてください……今は……誰の声も……聞きたくない……!」

 

 僕の中にいるプリキュア……エールと新しく加わったのか……ブロッサムもいるみたいだ。どうやら、このプリキュア達に関してはカイザーンに関係ないみたいだが……それでも、彼女たちを信用できない。僕は彼女達を黙らせて……結局、アカシック王国へ着くまで……僕はベッドの上で、一人蹲っていた。

 

 

プリキュアカーシャ”モデル1” 操縦室

 

side:コルーリ

 

コルーリ「……カケル、大丈夫でしょうか?」

 

 これまでの旅と違う……一人だけの操縦室。この操縦室にカケルとタネがいて……アサヒもいて……皆でココアを飲んで……これからも一緒に戦っていくと思っていたのに……!

 

……こちら、アカシック王国管制室……応答されたし!こちら、アカシック王国管制室……応答されたし!

 

コルーリ「っ!?こ、こちら、プリキュアカーシャ”モデル1”!操縦者、コルーリ・ブルー・タイムオウル!クアライト博士の命令により帰投したチュン!」

 

……確認した。2番ポートへ誘導するので、指示に従って下さいべプ。

 

コルーリ「了解チュン」

 

 私はプリキュアカーシャを管制室の指示に従って、アカーシャを2番ポートへ入港させる。漸く到着した……カケルは、クアライト博士が検査と監視をすると言っていたが……何ともないと良いのだけれど……。

 

 

アカシック王国 異世界航行用港〈アカシック・ポートステーション〉

 

side:駆

 

クアライト「ようこそ、カケル……ここが、”アカシック王国”クア」

 

駆「……すごい、殆ど僕らの世界と……ううん、それ以上に科学が発達しているのか?でも……ビルがそんなに大きくない……そうか!元々、妖精たちはそんなに大きくないから、建物も相対的に小さくなるんだな」

 

 僕はアカシック王国に到着し、街を見ると……すごい光景が広がっていた。街は高層ビルや一軒家と言った作りで、周囲には高性能な機械や僕らの世界にはない高度な文明があるみたいだ。

 

アカシック軍兵士「動くな!」

 

駆「ッ!?……銃を向けるなんて、随分な歓迎ですね……!」

 

ペック「彼らはアカシック王国軍の兵士たちだ。あんたの暴走の件はアカシック王国に報告してるし、到着以降も拘束が必要だからな……悪く思わないでくれっキー」

 

駆「分かった……別に何かしようなんて思わないけど、その措置には従うよ」

 

コルーリ「カケルーーーーーーーー!!!」

 

駆「コルーリ!うわっ!?……いてて……コルーリ、顔に突っ込むのはやめてよ」

 

 アカーシャから下りた僕は、アカシック王国軍兵士たち数名に半円に囲まれ、小さな機関銃の様なものを向けられる。ペック曰く、僕の暴走について報告されているからと言うものだが……別に逆らおうなんて思わないため、普通に従おうと思ったが……そんな時、空から聞き慣れた声が聞こえたと思い振り向くと、コルーリが飛んできて……僕の顔に突っ込んで来た。

 

コルーリ「カケル、身体は大丈夫チュン!?怪我はないチュン!?」

 

駆「まだ、身体が重いくらい……悪いんだけど、肩を貸してくれる?」

 

コルーリ「っ!!了解チュン!!」ボンッ

 

駆「ありがとう……コルーリ」

 

コルーリ「いえ……これはどう言う事ですか?彼は、”アカシックのプリキュア”としてプリキュア達を救ってきた私たちの同士です!!この対応は……一体、誰の指示ですか?」

 

 心配してくれるコル―リに頼んで、肩を貸してもらうと……コルーリがアカシック軍兵士たちにものすごい剣幕で声を上げる。

 

ペック「それは俺の指示だ。タイプKの暴走については俺たちの生命の危険もある……拘束が必要と判断したキー。俺の判断に……間違いがあるか、コルーリ?」

 

コルーリ「……カケル、少しだけ……一人で立てますか?」

 

駆「う、うん……大丈夫だけど……」

 

コルーリ「そうですか……少し待っていてください」

 

駆「わ、分かった……」

 

 僕を一人で立たせると、コルーリはストリングの肩に乗っているペックの所へと向かって……。

 

ペック「どうした、コルーリ?もしかして……俺の事を見直したっキー?」

 

コルーリ「ペック……あなたって人はっ!!!」

 

ストリング「……ん」ヒョイッ

 

ペック「キケ~~~~~ッ!?!?!?!?」

 

コルーリ「私……あなたのそう言う”人の事を考えない所”が……訓練生時代から大嫌いでしたが……ここまでなんて……本気で見損ないました!!!あなたは……カケルの痛みも知らないで……!!!」

 

 コルーリはペックに向かって思いっきりビンタをした。とんでもない速度のビンタはペックを確実に取られていたが、ストリングは顔を動かして軽く避けていた。コルーリは……僕のために怒ってくれた……本当に僕を心配してくれたのか?……ダメだ、信じる事が……出来ない。

 

クアライト「そこまでだ!コルーリ、落ち着きなさい……君たち、銃を下ろしたまえ。直ぐにアカシック女王の元へ向かわねばならん」

 

コルーリ「……申し訳ありません、クアライト博士。……ふんっ!」

 

ペック「こ、コルーリ……!俺、ワザとやったんじゃないっキー!しっかりと判断をしたんだっキー!!」

 

駆「クアライト博士、アカシック女王がいるのって……あの城ですか?」

 

クアライト「ああ……あの城こそ、”アカシック城”……このアカシック王国を統治する”アカシック女王”陛下がいらっしゃる城クア」

 

 さっきから気になっていた……周囲の建築物とは似ても似つかない西洋風の”クリスタル”の様な鉱石で出来た城……あそこに、アカシック女王……この国を統治している”人物”……いいや、”鳥”がいるって訳か……。

 

クアライト「これ以上、アカシック女王を待たせるわけにはいかん……直ぐに向かうクア!カケルはここから徒歩になるクアが……大丈夫クア?」

 

駆「僕には”魔法の箒”があるので……大丈夫です。ただ、バランスをとっていられるか……」

 

コルーリ「で、でしたら……私が!」

 

ストリング「……私が一緒に……乗る。監視の任務……あるし……」

 

クアライト「分かった、カケルにはストリングが付いてくれクア。では、出発する……行くクア!」

 

 クアライト博士の号令で、僕らはアカシック城へ向かって飛んでいく。……僕の箒に一緒に乗るストリングが僕の身体を支えてくれたおかげで、何とか落ちることなく城に到着することが出来た。

 

 

アカシック王国 アカシック城〈女王の間〉

 

駆「……誰も……いない?」

 

 アカシック城の中へ入り、クアライト博士に案内されて”女王の間”にやって来た……しかし、この広い室内にそれらしい人物は存在しない。

 

お待たせしました~!

 

駆「女の……”人”?」

 

クアライト「アカシック女王陛下のご到着である!頭を垂れよ!!」

 

ペック「キー!」

 

コルーリ「チュンッ!」

 

ストリング「……ん」

 

 女王の間にある部屋の上部へと昇る階段……その上にある玉座に座ったのは青いドレスと豪華な装飾を身に纏い、白いベールを髪まで覆う形で見に着けているため表情が見えない。しかし……それよりも重要なのは……その女王が”人間”の姿をしていると言う事だ。

 

クアライト「オホンッ!……アカシック女王陛下、プリカバリー計画”特殊緊急時派遣隊”コルーリ、”ネツゾーン調査隊”ペック、及び”アカシックのプリキュア”……キュアシード、キュアストリングの計四名を招集しましたクア」

 

アカシック女王「ご苦労様です。そして、初めまして……”トキオ カケル”君。クアライト博士から話は聞いていますよ」

 

駆「僕の事を……ご存じなのですか?」

 

コルーリ「カケル、女王陛下の前ですよ!頭を垂れないと……!」

 

アカシック女王「いいですよ~♪皆さん、面を上げて下さい♪」

 

 アカシック女王の指示に従い、他の皆も顔を上げる。……こんなことを言うのはなんだけど、とても女王と言うような雰囲気ではない。

 

アカシック女王「良く集まってくれました、コルーリ、ペック……そして、私たちが生み出した”アカシックのプリキュア”達。あなた達に集まってもらったのは他でもありません……カイザーンが本格的に動き出した事、そして……アカシックのプリキュア最大の戦力”キュアシード”の再起不能……これに伴い、今回のプリカバリー計画の任務に就くあなた達への”任務変更”を指示するためです」

 

コルーリ「任務変更……ですか?」

 

アカシック王国「はい……まずはペック、キュアストリングのペアですが、ネツゾーン調査任務を終了し、コルーリ、キュアシードの後任として”特殊緊急時派遣隊”に任命します。そして……コルーリ、キュアシードのペアですが、あなた達は特殊緊急時派遣隊の任務を終了……コルーリはネツゾーンの最優先目標である”トキオ カケル”君の保護を命じます。カケル君……あなたにはプリカバリー計画の終了まで、このアカシック王国にいてもらいます」

 

コルーリ「つまり……私たちの任務は終了……と言う事ですか?」

 

アカシック女王「はい……クアライト博士の報告によれば、カイザーンはカケル君を標的にしているとの事……現状、彼に戦闘能力はありませんし、狙われる可能性があります。彼の安全の確保、カイザーンの計画妨害のためです」

 

駆「……僕は……戦えないって事ですか?」

 

 僕の戦いは……ここで終わり?ここで終わったら……種はどうなる?ぼんやりだけど覚えてる……カイザーンのやつが僕に言った事……”全てのプリキュアの時代を超えた場所”にいるって!あいつを消すためには……ここで終わっちゃいけないんだ!!

 

駆「……ふざけるな」

 

アカシック女王「……はい?」

 

駆「ふざけるなっ!僕は……最後まで戦わなくちゃいけないんだっ!!カイザーンを消すために!!!」

 

コルーリ「か、カケルッ!?女王陛下に失礼ですよっ!?」

 

駆「お前は黙ってろっ!!!僕は……カイザーンを消さなくちゃいけないんだ!種を助けないといけないんだ!!僕を……僕をプリキュアにしろっ!!!そうしないなら……この国をAqライトを使って、跡形もなく消してやる!!!!!」

 

 僕の中にあるのは……カイザーンに対しての”怒り”だけだった。あいつを消し去らないといけない……それだけが僕の心を支配していた。”種を助ける”……その言葉はもはや、ただ……力を求める”言い訳”にしかしていなかった。僕のその姿を見るみんなの表情は、驚きに満ちていたが……ただ一人、”アカシック女王”だけは……。

 

アカシック女王「ふふっ……うふふっ♪」

 

 それがおかしいとでも言うように……笑っていた。

 

駆「何がおかしいっ!?」

 

アカシック女王「良いですよ♪クアライト博士、彼に”アレ”をお願いします」

 

クアライト「女王陛下っ!?今のカケルの精神状態で渡すのはっ!?」

 

アカシック女王「大丈夫です……渡してください」

 

クアライト「……承知しました」

 

 クアライト博士は僕に近付いてくると、指……いや、翼を鳴らすと、床の板がズレ始めて柱の様なものが出てくる。その上に置いてあるのは……水色の”Qaフォーン”だった。

 

駆「Qaフォーンっ!?……でも、見たことのないタイプだな?」

 

コルーリ「男の子用のQaフォーン!?どうしてこれが……無くしてしまったはず……」

 

クアライト「コルーリの寝室を清掃したものが発見した……机の上に置いたままになっていたらしい」

 

駆「そうか……カイザーンの分身が持ってたAqフォーンの出自は偽りの記憶だった。それなら、こうやって男性用Qaフォーンがあるのはおかしくない……でも……じゃあ、あの”Aqフォーン”は……何なんだ?」

 

 カイザーンの持つ”Aqフォーン”……あれは、どこからどう見ても”Qaフォーン”と同じ形だった。カイザーンが作った記憶にあったようにQaフォーンを増やし、それがAqフォーンになったと言う出自……それが間違いだとしたら、カイザーンの持つAqフォーンは……どう説明するんだ?コルーリが言ってた通りなら、Qaフォーンは3台しかない……未知の4台目だと言うのか?

 

駆「いや……そんな事はどうでもいい!早く、これを使って……!」

 

 僕はQaフォーンの掴み取り、起動させる……大丈夫だ、Qaフォーンは起動した!後は……!

 

駆「プリキュアプリケーション!インストール!!!」

 

error!

 

駆「ッ!?ふざけるなよ!!おい!!!」

 

error!

 

駆「動けよ……!動け!!!」

 

error!

 

 何度やっても……Qaフォーンでプリキュアになることが出来ない!

 

アカシック女王「分かりましたか?……あなたに、戦う力はもうないのです」

 

駆「……だったらっ!!!」

 

ペック「ッ!!……ストリング!!!」

 

ストリング「んっ!!」

 

駆「がっ!!う……腕に”糸”?いや……ワイヤーか!」

 

 僕の両腕はワイヤーの様なもので拘束される。拘束したのは……いつの間にかプリキュアに変身していたストリングだった。

 

ペック「お前、Qaウォッチを使おうとしたな!そいつにスキャンしてAqライトの力で変身しようとしただろ!!お前のその力が危険だってわかってんだろう!!」

 

駆「それでも……戦わないといけないんだ!!」

 

ペック「この”分からず屋”がっ!!ストリング、こいつを気絶させるキー!!!」

 

ストリング「……ごめんね、んっ!!!」

 

駆「がっ!!がああああっ!!!僕の邪魔を……するならっ!!!」

 

 僕は身体から漏れ出したAqライトでストリングの糸を侵食していく。

 

ストリング「っ!?」

 

駆「お前も……消すっ!!!!!」

 

コルーリ「もうやめて下さいっ!!!!!」

 

駆「ッ!?コルーリ、離して!!」

 

コルーリ「ダメです!!カケル、そんな事してはいけません!!!お願いです……やめて下さい……っ!」

 

 僕の身体を押さえようとするコルーリ。彼女の目元に光る涙が……僕の心に小さな痛みを走らせる。

 

アカシック女王「分かりませんか?コルーリが貴方を心配する”心”が……あなたの事をどれだけ思っているのか……」

 

駆「……ッ!!……ごめん……コルーリ」

 

コルーリ「……カケルッ!!」

 

駆「……このQaフォーンはお返しします。もう僕は……戦えないんですよね?」

 

アカシック女王「……はい。では、そちらのQaフォーン”002”とあなたの持つQaフォーン”001”、Qaウォッチの返還をお願いします。その前に……あなたがこれまでに手に入れてきた歴代プリキュア達の時代を固定化した証である”プリキュアの変身アイテム”をストリングに譲渡してください」

 

 ストリングは僕を縛っていた糸を解く。そして、アカシック女王の指示に従い、ストリングに近付き……元々持っているQaフォーンを取り出し、ストリングに向ける。すると、Qaフォーンから今までに手に入れてきたプリキュアの変身アイテムが出てくる。

 

駆「ミライクリスタル”クリア”を……」

 

エール(駆君……!)

 

アンジュ(本当に……それでいいの?)

 

エトワール(このミライクリスタルは、あんたの心が生み出したんだよ?)

 

マシェリ(大事な……あなたの心がもたらした”アスパワワ”なのです!)

 

アムール(それを……あなたが手放していいのですか!?)

 

駆「……譲渡します」

 

 僕は譲渡する意思を示すと、ミライクリスタルはストリングのQaフォーンへと入っていき、それを……繰り返していく。

 

駆「ユニコーンショートケーキを……」

 

ホイップ(駆君、これは……種ちゃんが作ったケーキだよ!?)

 

カスタード(私達との……大切な思い出です!)

 

ジェラート(種を助けたくないのかよ!?そのために……あたしたちは必要ないってのか!?)

 

マカロン(……それが、駆……あなたの選択?)

 

ショコラ(苦しいのは分かる!でも……それは違うよ!)

 

パルフェ(私はプリキュアになることを諦めなかったわ!駆、変身できなかったからって……どうして諦めるのよ!!)

 

駆「……譲渡します」

 

 僕が……プリキュアさん達から……。

 

駆「リンクルストーン・クォーツを……」

 

ミラクル(……駆君)

 

マジカル(それは……私たちが駆に託した”希望”……なのよ?)

 

フェリーチェ(……ですが、あなたがそう考えるのなら……仕方ない……ですね)

 

駆「……譲渡します」

 

 受け取って来た……”心”たち……。

 

駆「クリスタルドレスアップキーを……」

 

フローラ(駆君、手放しちゃダメ!これは……種ちゃんの夢を叶えた……大事なカギでしょ!)

 

マーメイド(そして……あなたが見つけた”夢”)

 

トゥインクル「夢を手放したら……また、あの時の”夢が呪い”だと思ってたあんたに戻るんだよ!?)

 

スカーレット(あなたが重ねてきた心を……駆、手放してはいけません!)

 

駆「ッ!!……譲渡……します」

 

 僕の頭の中で……プリキュアさん達の声が響く。

 

駆「プリカードを……」

 

ラブリー(このカードは、種ちゃんの”愛”……なんだよ?)

 

プリンセス(駆……何で一人になろうとするの?私たちは……友達でしょ!少しは頼りなさいよ!!)

 

ハニー(心が……空っぽになっちゃったのね。駆君……そうすることが、本当の心を……お腹いっぱいにしてくれるの?)

 

フォーチュン(どんなに形が違っても……種さんの”愛”は本物よ。彼女の心から……目を背けないで!)

 

駆「……譲渡します」

 

 しかし、こうやって譲渡していく度に……。

 

駆「Qaラビーズを……」

 

ハート(駆君、それが……あなたの心なの?本当にそれでいいの?駆君の心……泣いてるよ!心をキュンキュンを……手放さないで!!!)

 

ダイヤモンド(……無理をしなくてもいいわ。でも……また大切な物を失うのよ!)

 

ロゼッタ(あなたが種さんと育んだ愛は……取り戻さなくてもよいものなのですか?)

 

ソード(大切なものを取り戻したいんじゃないの!?あなたは……それでいいの!?)

 

エース(あなたは私達が認めたプリキュアの筈なのに、忘れてしまったのですか……”プリキュア五つの誓い”を。今のあなたは、”前を向く事”も”愛を与える事”も”自分を信じる事”も出来ていませんわ!)

 

駆「……譲渡します!」

 

 僕の中にあるプリキュアさん達とのリンクが……切れていく。

 

駆「Qaデコルを……」

 

ハッピー(駆君、あの時の笑顔……忘れちゃったの?こんなの……全然ウルトラハッピーじゃないよ!)

 

サニー(裏切られて、大切なもんが奪われて……悔しくないんか?!)

 

ピース(諦めちゃダメだよ!正義のヒーローだって……最後まで諦めないよ!駆君、諦めたりしないで!!)

 

マーチ(種ちゃんは大事な”家族”なんでしょ?家族を守る……種ちゃんの”お兄ちゃん”である駆君が……こんなところで立ち止まらないで!!)

 

ビューティ(その歩みを止めてしまったら……あなたの未来に待つ”道”はどうするのですか?)

 

駆「……譲渡します」

 

 どんどん……僕とプリキュアさん達との繋がりが……無くなっていく。

 

駆「”ハートのト音記号”及び、フェアリートーン”シードリー”を……」

 

メロディ(駆君、種ちゃんとの歌……すごく素敵だった!二人は……一緒じゃないといけないと思う!!)

 

リズム(二人の心はちゃんと繋がってた!種ちゃんの心が駆君を騙していたとしても……それをどうしてやったのかは、ちゃんと聞いてないじゃない!)

 

ビート(離れ離れになって……辛くないの?一緒に笑い合いたいと思わないの?)

 

ミューズ(家族と離れ離れになる気持ち……私にもわかる。駆……取り戻す事はきっと出来る。だから……!」

 

駆「譲渡……します」

 

 ようやく……あと一組……だ。

 

駆「プリキュアの種を……」

 

マリン(駆……あんた、どうして諦めてんのよ!心が怖いとかウジウジしてないでさ、信じてみなさいよ!怖いなら、どうして怖いかも言ってよ!!言ってくれなきゃ分かんないでしょうがっ!!!)

 

サンシャイン(あなたが手放したプリキュア達は……皆、駆君の事を”信じていた”のよ。どうして……信じてあげられないの……!)

 

ムーンライト(……そこで立ち止まるのなら、止めたりはしないわ。でも……きっと後悔するわよ。大切なものを失うと言う事は……とても一人で耐えられることではないのだから……)

 

ブロッサム(駆君……種ちゃんはきっとあなたを待っています。そして、駆君の心に触れて分かりました……未来のプリキュア達は皆……駆君を信じている。時代がどれだけ離れていても、駆君が拒絶したとしても……きっと信じています!駆君……あなたが信じれば……私たちはいつでも……あなたの力になります!それだけは……忘れないで下さい」

 

駆「くっ!……譲渡……し、します!」

 

 これで……僕とプリキュアさん達を繋ぐリンクは全て切れ、僕は……本当に一人になった。最後につぼみさんが言った言葉……なにが”僕を信じている”……だ。そんなの……信じられる訳ないじゃないか!!プリキュア達よりも近い存在であった種にすら騙されていたのに……プリキュア達を信じれる訳……ないっ!!

 

ストリング「……これで……全部……だね」

 

駆「あ……あの……」

 

ストリング「ん?……何?」

 

駆「……プリキュアさん達を……種を……お願いしますっ!!」

 

 プリキュアさん達は……世界の希望だ。だから……僕みたいな彼女たちを信じられなくて、戦う事の出来ない”役立たず”の元にいるより……戦えるストリングの元にいた方が良い。そう思った僕は……プリキュア達の歴史と心と……種の事を……ストリングにお願いし、深々とお辞儀する。

 

ストリング「んっ……任せて」

 

駆「ッ!!……ありがとうございます!!!」

 

アカシック女王「後は……あなたの持つQaフォーンとQaウォッチだけです」

 

駆「はい……クアライト博士、お願いします」

 

クアライト「……確かに預かったクア」

 

 僕は手に持ったQaフォーンと、左手首に着けていたQaウォッチを……クアライト博士に渡す。これで……僕は戦う力も……いいや、もう”Aqライト”しか……残っていない。

 

アカシック女王「これで、返還作業は終了です。ペック、キュアストリング……プリカバリー計画の再開は一週間後です。それまで、譲渡された”プリキュアプリ”の能力を確認し、戦闘に不備がないようにしなさい」

 

ペック「畏まりましたっキー!」

 

ストリング「……ん」コクッ

 

アカシック女王「カケル君、あなたの保護とアカシック王国での生活のために、”特別国籍登録”が必要なのですが……一番簡単な登録方法で良いかしら?」

 

駆「……お任せします」

 

 アカシック女王が聞いた”特別国籍登録”と言うもの……何故だろう?僕が”任せる”と言った瞬間……アカシック女王は……”笑った”ように感じた。

 

アカシック女王「カケル君の許可も出ました!では、”アカシック王国憲法”-第24条-〈幸せの白鳩法〉に従って、特別国籍登録を行います♪」

 

ペック「ッ!?い、異議を申し立てるっキー!!」

 

アカシック女王「却下します♪」

 

ペック「ケキ―!?で、ですが!!幸せの白鳩法での特別国籍登録は確か……!!」

 

アカシック女王「は~い♪そうですよ~……憲法のテストだけ主席だったペック♪」

 

 なんだ……その”幸せの白鳩法”なるモノは、僕の一番簡単な特別国籍登録だと言っていたが……何故、ペックが異議を申し立てるのだ?そんなにまずいものなのか?

 

アカシック女王「カケル君、あなたにはコルーリと……結婚してもらいます♪」

 

駆「……は?」

 

コルーリ「チュ……チュ~~~~~~~~~ンッ!?!?!?」

 

 アカシック女王から提示されたのは……コルーリとの結婚だった。

 

 

To Be Continued……




いかがだったでしょうか?すいません、途中の描写が似たようなものになってしまいましたが、プリキュア達とのしばしの別れなので……全員に出てもらいました。次回は、コルーリをメインにした話にしたいと思います。アカシック女王より、結婚を命令されたコルーリに待っていたのは……アカシック女王との”ドレス選び”!?コルーリをベッドに押し倒す駆!?そして……ネツゾーンが!?乞うご期待ください!
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