side:ネツゾーン
カイザーン「揃っているわね……三人共」
フェイク「はっ!」
マーネル「カイザーン様……今までの非礼、なんとお詫びしたらよいか……っ!!」
カイザーン「マーネル、その事はもういいと言ったはずよ。私は寛大なの……それくらいじゃ怒らないわ。それに、あなた達を騙すようなこともしていたのだし……なら、今後の働きに期待するって事にしておくわ」
マーネル「あ、有難き幸せ!」
カイザーンは三幹部たちが集まる広い空間に現れると、マーネルがベガに対して言っていた非礼を詫びろうとする。しかし、カイザーンは怒る事なく……彼女の行いを許し、そして……話を始めていく。
カイザーン「あなた達も見ていた通り、現在……キュアシードの身体であった”トキオ カケル”はアカシック王国の使者たちにより保護された。そして、奴らの本拠地である”アカシック王国”へと運ばれ、治療を受けているはず……そこで、アカシック王国の襲撃を行おうと思うの。その担当は”フェイク”……あなたに任せるわ」
フェイク「御意!直ちにアカシック王国の捜索を……!」
カイザーン「大丈夫よ……アカシック王国の場所はもう分かっているわ。私がアルタイルとひとつになった事で……彼の居場所はもう分かっている。座標をあなたの中に送るわ……それと、あなた達三人にプレゼント……はあっ!!!」
フェイク「これは……キュアシードの使っていたっ!?」
インペイル「Aqライト……が、私たちに中にっ!?」
マーネル「力が……湧き上がってくるっ!カイザーン様が……私の中に溶けていく様だわぁ♡」
カイザーンはAqライトを三幹部たちに放ち……それを彼らの身体の中へと溶かしていく。力が」湧き上がる感覚を覚える三人は、驚きと興奮……そして恐怖を露にする。
カイザーン「これは私からの”祝福”よ……受け取りなさい。フェイク、座標は分かったわね……行きなさい!そして……キュアシードの復活を永遠に阻止するために、”トキオ カケル”の命を奪いなさい。ただし、存在を消してはダメよ……物理的に、奴らの目の前で……絶望を与える様にしなさい♪」
フェイク「御意!全ては……カイザーン様の仰せのままに!!」
フェイクは次元の裂け目を作り、その中へと消える……アカシック王国へと向かったのだろう。それを見届けたカイザーンは、残りの二人にも命令をする。
カイザーン「マーネル、私……甘いものが食べたいわ。ケーキでも焼いてくれるかしら♪」
マーネル「御意♡最高のケーキをご用意いたします♡」
カイザーン「インペイル、先の戦闘で手に入ったデータを元に、デリートの調整をお願い。キュアシード無き今……ストリングとか言うプリキュアが動くはず。単騎でもゲンサークを倒せるらしいし……盾突かれても厄介だわ」
インペイル「御意。直ちに取り掛かります」
カイザーン「よろしい……それじゃあ、行きなさい♪」
カイザーンの号令により、二人は広い空間を後にする。すると……カイザーンは一人で何かを話し始める。
カイザーン「”死”を迎えた時……あなたは何を想うかしら、私のアルタイル。でも、あなたは死なない……いいえ、”死ねない”し……きっと私の前に来るはず。でも……やっぱり変ね……”キュアストリング”なんて知らないし、コルちゃんが持ってきていなかった”男の子用のQaフォーン”……少しだけ違う……私がそうしたのもあるけど、何もしてない部分で変わるなんて……あり得るのかしら?これも……”因果”を超えたからなのかしら……ね」
誰もいない空間に響くカイザーンの声……その言葉の意味を知るのは、彼女だけ。そして……アカシック王国へと向かうフェイク……駆の命はどうなるのか?それは……”ある一人”を除いて、知る者はいない。
アカシック城 〈女王の間〉
side:コルーリ
アカシック女王「幸せの白鳩法の第12項……”アカシック王国民と婚姻を結ぶ”他国民”、異世界人”には特別措置として国籍を与えるものである”……一番簡単で、複雑な申請のいらない方法と言う事で、こちらの方法でカケル君の特別国籍登録を行います♪」
女王陛下によって告げられた……カケルとの結婚。駆の国籍登録のための措置だと言う事は分かっています……確かに、幸せの白鳩法の記載には、そう言った記載があります。しかし……その方法には欠点があります……主に”私”に……です。それを指摘するために、私は女王陛下に発言する。
コルーリ「あ、アカシック女王陛下っ!?あ、あの……それは出来ないはずです!第一項にある”アカシック王国民が婚姻する場合、満15歳となった成鳥である事”……私は、まだ”14歳”で……」
アカシック女王「あら~……忘れているのね。コルーリ、アカシック王国の今日が……”何日”か分かりますか?」
コルーリ「へっ?えっと……新アカシック暦10年……5月10日……あっ!」
ずっと忙しくて忘れていた……アカシック王国の今日の日付は……”5月10日”。今日は……私の15歳の”誕生日”なのだ。
アカシック女王「はい……今日はあなたの15歳の誕生日♪これで、婚姻は問題ありません♪」
駆「結婚云々はひとまず置いといて……あの、僕は13歳なんですけど……」
アカシック女王「大丈夫です♪第十三項には”特別措置による国籍を受ける”他国民”、”異世界人”は婚姻の際、年齢を問わない”……と、なっていますから♪」
駆「……マジですか?」
アカシック女王「マジです♪」
つまり……私とカケルの婚姻は……”有効”と言う事になる。私たちが婚姻の意思を表明すれば……婚姻は成立する……そしたら、私とカケルは……”夫婦”に……!
ペック「お、お言葉ですが、女王陛下っ!陛下の発言、提案は……コルーリの意思を尊重していないキー!!コルーリ本人の意思は……如何なさるおつもりですかっキーっ!!!」
アカシック女王「……それは問題ないと思いますよ♪ねえ、コルーリ♪」
コルーリ「ッ///!?……チュン///」
ペック「こ……コルーリ、お前まさかっ!?」
アカシック女王「……問題はないようですね♪」
アカシック女王陛下は……まるで私の心が分かっているように、私に顔を向ける。その行動に、私は事実を見透かされた感じがして、顔を赤らめて視線を逸らす。それを見たアカシック女王はベールで隠しているため顔が見えないが……微笑んでいるのが分かる。そんな時……一人の人物が手を挙げる。
駆「あの……発言よろしいでしょうか?」
その人物とは……カケルだった。
アカシック女王「はい、なんでしょうか?」
駆「僕は……コルーリと結婚する気はありません」
コルーリ「ッ!?」
ペック「な、なにぃ!?」
アカシック女王「それはどう言う事でしょうか?えっと……コルーリでは不満と言う事かしら?彼女は成鳥した最も若いアカシック王国軍の中ではプリカバリー計画の派遣隊に抜擢されたエリート中のエリート。この私、アカシック女王直属の警護を行っていた女性軍人と、私の側近であるクアライト博士の一人娘です……それでは足りませんか?」
そう……ですよね。……カケルは、私の事を恋愛対象に留めていない。そんな事は……分かっていた事なのに……。
駆「コルーリには……好きな人がいるんです」
アカシック女王・ペック「「……はぁ?」」
コルーリ「……へぇ?」
駆「コルーリのこころの花を見て……それが分かったんです。それなのに……ペックが言うように、コルーリの心を汲んだものではありません。だから、コルーリと結婚は出来ません……彼女にだって幸せになる権利があります!!」
アカシック女王「ふ~む……それは、本気で仰っているのですか?」
確かに……2010年の時代で、そういった話になっていましたが……カケルはタネが言った小さな冗談を信じたから、そう思っていたんですね。
アカシック女王「仕方ありませんね。では、コルーリ……アカシック女王の名において命じます。トキオ カケル君と結婚しなさい……これは何事にも優先すべき”命令”です」
駆「アカシック女王……あなたって人はっ!!人の話を聞いて下さい!!!」
アカシック女王「あなたこそ……コルーリの話を聞くべきです。他人を思うのは良いことですが、それが……本当にその人のためになっているか、事実を知らないで行なう善意は……時に"残酷"ですよ」
駆「はぁ?コルーリ、君からも言って……説得しないと……!」
アカシック女王「どうなのですか、コルーリ……あなたは、カケル君との結婚を拒否しますか?我慢しないで……あなたの本当の意思を伝えなさい」
私に向けられる……二人の視線。拒否すれば……書類を用意する特別国籍登録を行うだけです。そう……それだけなのに……。
コルーリ「……します」
駆「……え?」
コルーリ「私は……カケルと結婚します」
私は……彼との”特別な関係”を選んだ。彼の”安全”のため……そんな事を……全く考えていなかった。
駆「こ、コルーリッ!?本当にそれでいいの!?君の心は……それでいいの!?僕の事は放っておいて良いんだっ!!自分の事だけ考えて……僕を”一人”にしていいから……!」
コルーリ「カケル……あなたは勘違いをしていますよ」
駆「……勘違い?」
コルーリ「私は……確かに好きな人がいます。でも……それは……///」
駆「……コルーリ?」
言わなきゃ……伝わらない!言うんだ……言いなさい、コルーリ!!
コルーリ「私は……カケル、あなたが好きです///……愛しています///」
駆「……え?」
コルーリ「旅を一緒に過ごして……そう思うようになりました///私の……あなたと一緒になる意思は……私の”本心”です///私は……あなたと一緒にいたいです///!!」
駆「……分かった。コルーリが……そう言うなら」
アカシック女王「うふふっ♪……決まりですね♪では、これでお開きにしましょう♪式は”三日後”です……コルーリ、それまでにしっかり準備をしましょう♪♪カケル君とコルーリには、この城に専用の部屋を用意します……これからはそこで生活なさい。では……解散♪♪♪」
アカシック女王の弾んだ声により、この話は終了する。部屋の奥に消えていく女王、色々叫びながら暴れるペックと、それを握りしめ押さえているストリング……そして、私を見つめたまま動かなくなってしまったカケル。そんなカケルの肩に止まり、彼の耳元で何かを離すお父様……何を話しているのかは分からないけれど、話し終ると何処かへと飛んで行ってしまう。それを見計らってか、”青く”、”丸々”とした雌鳥がやってくる……あのような方、いたでしょうか?
マウティ「私はマウティ、二人をお部屋にご案内します♪さあ、こちらへどうぞ♪」
コルーリ「は、はい!カケル……行きましょう」
駆「・・・・・・」
コルーリ「カケル……?」
駆「……えっ?あ、ああ……そうだね」
クアライト博士の話を聞いてから、さらにぼんやりとしたカケルは、私の声でおどろき……返事をかえす。私たちは、マウティさんの案内に従って……城の一室へと案内される。
マウティ「こちらが……二人の”愛の巣”になります♪」
コルーリ「愛の……巣……チュン///」
マウティさんが扉を開けると……綺麗な部屋が広がっていた。広さはアカシック王国の平均的な一軒家よりも大きい……多分、カケルが人間だからなのだろう。新品の家具や衣類も人間用のもので……女性用の物まであると言う事は私のも”人間用”と言う事だ。日用品は全て”二人用”……当然、人間用だし……つまり、私が”人として一緒に生活する事が前提になっている部屋”……と言う事になる。
マウティ「アカシック女王陛下のご厚意です。”カケル君と愛し合うなら、人間の方が良いでしょう♪”との事だったので……このように用意いたしました♪」
コルーリ「チュンッ!?……///」
駆「……まあいいです。すみませんが疲れているので……そろそろ、休んでも良いですか?」
マウティ「はい、寝室は奥の部屋にあります♪コルーリ、明日の予定なのですが……結婚式で着用するドレスの準備をします。明日の朝にお迎えに上がりますので、このお部屋でお待ちください♪カケル君の予定ですが……クアライト博士が検査をしたいとの事なので、クアライト博士が直接お迎えに来るようです。私はこの辺で……では、良い夜を……うふふっ♪」
コルーリ「は、はい!ありがとうございました!!」
マウティさんは小さく笑うと、部屋の外へと出ていく。そして……私たちはこの部屋に”二人”だけになった。
駆「……コルーリ、どうしてあんなこと言ったの?あの場を誤魔化すためとはいえさ……自分を犠牲にした嘘なんて……!」
コルーリ「……私は、事実しか言っていません」
駆「コルーリ……ッ!」
コルーリ「私は……嘘をつきません!カイザーンみたいに……カケルを騙したりしません!!あの時言ったことが、私の真実ですっ!!!カケル……私を……信じてくれないんですか?」
駆「ッ!?……もう寝る」
カケルは、私の問い掛けから逃げるように寝室へと向かうが……扉を開けた途端に立ち止まる。どうして立ち止まるのかが気になり、カケルの後ろから部屋を覗くと……そこにあったのは”キングサイズのベッド”一台だった。しかし、それは……アカシック王国の”妖精たち”にとってはの話だ。カケルの様な”人間”にとっては……彼らにとって一般的な”シングルサイズ”程しかない。それが一台だけとなると……これに”二人で寝ろ”と言う事だろう。
駆「……一人分だけか。……僕はリビングのソファーで寝るから、コルーリがベッドを使って」
コルーリ「ダメです!カケルの体調だって、まだ万全じゃないんですよ!!しっかり身体を休めないとダメです!!」
駆「そういう訳にもいかないだろう。なおさんのお家の時みたいに子供たちと一緒に寝るのと話が違うんだから……やっぱり、僕はソファーで寝る」
コルーリ「ッ!?……待って!」
私は、寝室から出ていこうとするカケルの手を掴み……彼を引き留める。
コルーリ「……私は……良いですよ」
駆「はっ!?な、何言ってるの、コルーリ!?」
コルーリ「私たちは……”夫婦”になるんです!これ位……普通です!」
駆「まだ正式にした訳じゃない!僕らは……赤の他人で、男女で……そ、そう!僕が……コルーリに変な事してしまうかもしれないだろう!!そんな時、誰も止めないんだぞ!!!誰も……僕を止めたり、君を助けたりしないんだ!!!……分かるだろう?」
コルーリ「……カケルは、そんな事をしません。あなたは……私をそんなふうに見ていないのでしょう?その通りなら……カケルは私に何もしません。あなたは……そう言う大切な事を守る人だって、私は信じていますから。……それに、カケルが……もしそんな事をしたとしても……私は拒否しません///」
私が知る”彼の事”と”私の本心”を彼に答える。それを聞いたカケルは、顔を赤くしながら……”勝手にしなよ”とだけ答えて、ベッドに入った。私はその言葉に従うように……勝手にさせてもらう。カケルの入ったベッドに私も入り……彼の背中に、私の背中をくっつける。
駆「……お風呂、入らなくていいの?」
コルーリ「明日の朝……入れば大丈夫ですから」
駆「……僕、臭わない?」
コルーリ「大丈夫です……いつものカケルの匂いです。私も……臭いませんか?」
駆「……いつも通りの……良い匂いだよ」
ちょっとだけ変な会話……私達の最初の夜は……こうして終わる。明日から……私たちは、ここで暮らしていく……彼の傷付いた心……それを癒してあげられるだろうか?
5月11日 結婚式まで……あと3日
コルーリ「……ふぅ~……さっぱりしました」
アカシック王国に戻り、色々な出来事があった私の誕生日から一日が経った。シャワーを浴び終えて、髪を乾かし、着替えを終えて……キッチンへと向かう。すると、そこにはカケルがいる……もう起きたのだろうか?
コルーリ「カケル、おはようございます。もう起きて……良いんですか?」
駆「うん……身体はだいぶ楽になったよ。それで朝食を作ろうとしたんだけど……」
コルーリ「……? どうかしましたか?」
駆「アカーシャにあった物とも違うから、使い方がわからなくて……」
コルーリ「……うふふっ♪分かりました、それでは……一緒に作りましょう。材料も……アカーシャにあった物より多いですから!」
私たちは二人並んで、キッチンで朝食を作っていく。カケルにアカシック式のコンロやレンジなどの使い方やアカシック王国産の食材を説明したり、材料を切ってもらったり……この風景は、まるで”新婚の夫婦”の様だろう。そして、完成した朝食を二人で食べて……二人で食器を片付けて……戦いとは全く無縁の平和な日常を過ごす。今までの私たちがしてきた旅と違う……そんなに長くない旅だったのに、この日常が……あまりにも懐かしく感じてします。そんな時……”私達”の部屋のドアを叩く音がする。どうやら……昨日、マウティさんが言っていた予定の事だろう……早くドアを開けなければ!
コルーリ「はい、今開けます!……マウティさん、お迎えありがとうござい……あれ、お父様!?」
クアライト「おはよう、コルーリ。すまないが……私もいるクア」
マウティ「おはようございます、コルーリ♪博士と途中で会いましたので、一緒に来ていただきました~♪」
駆「クアライト博士……行きましょう。早く……検査したいですから」
クアライト「分かっているクア。では、コルーリ……私はもう行くクア。あ……マウティ、コルーリを頼むクア」
そう言い残すと、お父様とカケルは城内の研究室へと向かっていく。カケル……身体になんともないと良いですが……。
マウティ「コルーリ、昨日伝えていた通り、結婚式で着るドレスを選びます♪こちらへどうぞ~♪♪」
コルーリ「は、はい!お願いします、マウティさん」
マウティさんに案内されていく私。エレベーターを使って向かったのは、”城の最上階”……アカシック女王のプライベートルームがあると噂される階である……こんなところに入っていいのでしょうか?
アカシック城 最上階〈衣装室〉
マウティ「さあ、着きましたよ♪」
コルーリ「あ、あの……この階は女王陛下のプライベートな空間と聞くのですが……入ってよかったのですか?」
マウティ「ええ、人間として着るドレスはここにしかありません……それに♪」ボンッ!
コルーリ「えっ!?あ、あなた様は……っ!」
アカシック女王「この私……アカシック女王本人が許可しているのですから♪」
いきなりマウティさんが人型になったと思ったら……そこに立っていたのは”アカシック女王”本人だった。昨日は身に着けていたベールがないため、表情がよく見える。”青い髪”が腰まであり、”空色の瞳”……顔立ちから二十代のように伺えるが……確か、ラビリンスの侵略の際に、先代のアカシック女王様が崩御なさった事で即位したはず……つまりは”十年前”。確か、その時のご年齢は丁度”25歳”だったはず……なら、実年齢は”35歳”と言う事だが……とても”お父様”と同い年には見えない。いえ、そんな考察をしている場合じゃないです!
コルーリ「な、何故、アカシック女王陛下直々に……あのような変装までして……そもそも、いつから変装してたんですか?」
アカシック女王「昨日、部屋を案内すると言って、お二人の前に出た時からですよ♪王座の後ろに、隠し通路がありましてね~、それを使って下りてきたのです♪私、民の前では人間の姿で過ごしていますから……私の本来の姿を知るのは、”夫”と……いま見せた”あなた”の二人だけですかね♪」
コルーリ「最初からっ!?」
アカシック女王「は~い♪さあ、早速着替えましょう♪ドレスは、もう用意してあるのですよ~~~♪」
コルーリ「わあっ!?へ、陛下~~~~~っ!?」
私は陛下に手を掴まれ、衣装室の奥へと引っ張られていく……すると。
アカシック女王「コルーリ、これをご覧なさい」
コルーリ「えっ?……ふわぁ~っ!」
そこにあったのは……純白のウエディングドレス、私が2012年の夢で見たドレスと同じデザインだった。人型のトルソーが身に着けているので……”人間用”でしょうか?
コルーリ「女王陛下……こちらのドレスは?」
アカシック女王「コルーリ、あなたは……私に”娘”がいる事を知っていますか?」
コルーリ「は、はい……しかし、王女様については一切の情報公開はされていませんよね」
アカシック女王「ええ、あの子の素性がばれた場合、危険に巻き込まれる可能性がありますからね……私も、あの子を産んでから、直接会ったことはないの。だから……あの子がしっかりと成長したら、贈り物をしようと思っているのです。このドレスも……あの子が結婚する時のためのモノです」
コルーリ「なら……どうしてこのドレスを私に見せたのですか?」
女王陛下は小さく笑うと……私の目をしっかりと見て話し始める。
アカシック女王「コルーリ、あなたに……このドレスを着て欲しいの」
コルーリ「えっ!?で、できません!!王女様が着る予定の物を……私なんかが汚してはっ!!」
アカシック女王「大丈夫よ……これは、”あなたのお母さん”との約束だから……」
コルーリ「お母様との……?」
アカシック女王「マウティ・ブルー・タイムオウル……彼女は私が最も信頼する親友の一人でした。彼女との約束なのです……私たちがお互いに子供が出来たら、国一番のドレスを着せて……最高に幸せな結婚式にしてあげる……と。このドレスは……私たちの約束の証……私が知る最高の職人に、最高の装飾と、最高の素材を集めて作り上げた……この国に一着しかないもの。”あなた達のため”のドレスなのですよ」
お母様の事は……正直、よく知らない。私の卵を産んで……直ぐに亡くなってしまった事や、写真、情報……全てが残っていないからだ。名前だって……お墓に”刻まれていない”……今、女王陛下に聞くまで……知らなかったのだ。
アカシック女王「さあ、着て見せて頂戴……私に……」
コルーリ「は……はい!」
その後、お手伝いさんたちに手伝ってもらい、ドレスを身に着ける。胸元が少し緩いが……それ以外はピッタリだった。
アカシック女王「あらあら♪とっても似合っているわ♪採寸してあっていない所を直して、式までに間に合わせましょう!さあ、まだまだ選ぶわよ!!お色直しの後に着るドレスまで!!!」
コルーリ「が、頑張ります……チュン!」
それから……女王陛下直々のドレス選びを進めていく。似合うと思ったドレスを片っ端から来ていくと言った感じ……そんな時に、女王陛下からの不意な言葉が投げかけられる。
アカシック女王「そう言えば、コルーリ……昨日の夜はどうでした?カケル君は優しくしてくれましたか?」
コルーリ「チュチュン///!?な、何を仰っているのですか!?カケルは……そんなことしません!!」
アカシック女王「あら~……あれ位の男の子は、そう言ったことに興味津々とよく聞きますが……もしかして、大きい方が好きなのかしら……」じ~~~っ!
コルーリ「ッ///!?……あ、あの……お母様は……大きかったですか……”胸”///?」
アカシック女王「あら~♪うふふっ、大丈夫ですよ♪16歳を迎えたくらいから、マウティも私も大きくなりましたから♪コルーリもきっと大きくなりますよ♪でも、マウティは……クアライト博士を落とす為にとっっっっっても努力していました!80種類の豊胸体操を日夜欠かさなかったのです!!コルーリもやりなさい!!!MAB先生の書いた”ハートフル王国民のように鳩胸になれる豊胸体操80選”は、MAB先生が実際の経験をもとにして書いたものですから!!!ぜったい、ぜっっっっったいに効果がありますから!!!!!」
女王陛下の胸は……すごく”母性”を感じる大きさです。陛下のお話では、お母様もそうだったのですね!なんか自信着いたチュン!でも……急に豊胸体操の話になったら、女王陛下のテンションがおかしくなった。どうしてあんなに取り乱したようになっているのか……まるで、自分がしてい……。
アカシック女王「コルーリ、やりなさい!!!あなたは……マウティに似ているんですから!!!ちゃんとやりなさい!!!!!」
コルーリ「じょ、女王陛下っ!?い、痛いチュン!!胸揉んだら痛いチュン!!!」
女王陛下を何とか落ち着かせて、私たちは……休憩を挟む事となった。
アカシック女王「ご、ごめんなさいね~……マウティによく豊胸体操について聞いてたから……耳にこびり付いてるのよ~……あははっ」
コルーリ「痛かったチュン……」
アカシック女王「ほ、本当にごめんなさい!さ、さあ、休憩はこれ位にしましょう!次は、”勉強”をしないといけないですからね!!私のお部屋に行きましょう!!」
コルーリ「お勉強って……何をお勉強するのですか?」
アカシック女王「そ・れ・は~……”夫婦の営み”の仕方よ♪」
コルーリ「そ……それって///!?」
た、確かに……必要になる技能?……だと思いますけど、い……一応、そう言った教育は”訓練学校”でも習ってはいるが……どうして、女王陛下がご教授してくださる必要があるのだろうか?
アカシック女王「コルーリ、あなた……”人間との交尾”の仕方……分かりますか?」
コルーリ「えっ?……”人間”……と?」
アカシック女王「はい……私たちは、元々”妖精”です。身体の構造は彼らの世界にいる”鳥類”に近いと思います。あなたが教わったそう言った知識とは、根本が違うのです……そこで、私の出番という訳です」
コルーリ「どうして……女王陛下が適任なのですか?」
アカシック女王「それは……私が”人の姿”で交尾と出産をした事があるからですよ」
アカシック女王の言った一言……”人の姿で交尾と出産”とは……どういう事でしょうか?
アカシック女王「私達……アカシック王家は”人の姿”で交尾し、出産を行うのです。私達は、妖精の姿でいることが少ないですし、何より……その方法であれば、子を一度に”多く産まなくて”済みますから。人間は、遺伝子の神秘が起こす奇跡が無ければ、子は一度に一人……もしもの時に、王位継承権が争われるなどと言う事も……少なくできますからね」
コルーリ「そんな事が……」
アカシック女王「はい……しかし、あなたの場合は違います。あなたは相手が”人間”である以上……妖精の姿ではダメですし、それに……彼が元の世界に戻る時、あなたが付いて行くのなら……嫌でもそうしなくてはいけません」
コルーリ「アカシック王国を……離れる……。人として……生きる……」
そうだ……カケルが、このアカシック王国で生きていくなどと決まった訳では無い。彼には……彼の世界があるのだから、帰るのが自然だ。もしそうなった時、私は……彼に付いて行くだろう。そうなったら……私は元の姿を捨てて、人として生きていく……アカシック王国からも離れなくてはならない……考えてもいなかった事を、私は……考えさせられる。
コルーリ「あの……生まれてくる子は、どうなのですか?人の姿で産んだら……子供も……”人間”なのですか?」
私は……一つ浮かんだ疑問を陛下に問う。もし……カケルと私の間に”子”が出来たとしたら……その子は”妖精”と”人間”のハーフと言う事になる。どちらの姿で生まれてくるのか……分からない。だから、人の姿で出産をしたことがある女王陛下は……どうやって子が生まれてくるのかを知っているはず……だから、伺ってみた。
アカシック女王「生まれてくる姿は”人間”です。しかし、人として私の”母乳”……人の母が子に与える最初のご飯の事ですが、それを口に含んだ瞬間……子は”妖精”の姿になりました。おそらく、元が妖精であるから、そうなったのだと思います。でも、あなた達は違う……カケル君は”人間”です。もしかしたら、子は……人の姿のままかもしれません。はたまた……人と妖精の姿すら操り、それぞれの長所を受け継いだ”新たな種”になるかもしれない」
コルーリ「新たな……種。そうなったらその子は……”幸せ”……でしょうか?」
アカシック女王「そうなるように……私達がいるのです。アカシック王国は……全力を持ってあなた達をサポートします。そもそも、二人の間に……子が出来るのか?二人は……そう言う関係になるのか?……まだまだ、分からない事の方が沢山ありますよ。でも……もし子供が出来るなら、”男の子”が良いかもしれませんよ。私は……娘しか生んだことはありませんが、きっと……やんちゃで、言う事も聞かなくて、大変だけど……それが幸せと感じる……そんな家庭になるのかもしれませんね」
コルーリ「・・・・・・」
アカシック女王「……コルーリ」ギュッ!
私は……女王陛下に抱きしめられていた。温かくて、柔らかくて、良い匂いのするお身体に……私は包まれていた。
コルーリ「女王陛下……?」
アカシック女王「あなたはマウティの……私の生涯の親友の娘です。それは……私の娘も同然です。あなたと彼、そして彼の妹……あなた達の未来は、私のアカシックレコードを見通す力でも分からない。でも、未来を恐れないで……未来が見えないと言う事は、”どんな未来にだって出来る”と言う事なのだから。私は、どんな手を使っても……あなたが幸せになる未来にする……それが”あなたの母”としての、私の覚悟です」
コルーリ「……”お母様”」ギュッ!
アカシック女王「ッ!?……ええ、今だけでも……私があなたの”母”になりましょう」
女王陛下に抱きしめられ……少しだけ、”お母様”に抱きしめられたような気分になることが出来た。柔らかくて、あたたかい温もり……それを感じて、私の不安だった心が落ち着けていく。
アカシック女王「さあ、最高の結婚式のための準備は……まだまだありますよ!」
コルーリ「はい……!」
この後も、女王陛下のお部屋で勉強をしたり……まだまだ、準備は終わっていない。明日も女王陛下と準備にお勉強が予定された……この間に、お母様の事も……聞けると言いな。
5月12日 結婚式まで……あと2日
アカシック城 〈研究室〉
コルーリ「お父様、カケルはいらっしゃいますか?」
クアライト「ん? コルーリか……カケルなら今日の検査が終わったから、アカシック王国の城下町へ行ったクア」
コルーリ「……そうですか」
お勉強と準備が一区切りしたので、カケルとお昼を食べようと研究室まで呼びに来たのだが……どうやら入違ってしまったみたいです。
クアライト「……コルーリ、女王陛下と……しっかり話せているクア?」
コルーリ「えっ?……はい、とても良くして頂いています」
クアライト「そうか……それは良かった」
私の言葉を聞いたお父様は、安心したように笑う。お父様がいる今、私は聞きたい事を聞くことにした……お母様についてと……私の結婚の事について。
コルーリ「お父様、私が結婚する事……怒らないのですか?」
クアライト「……お前が嫌なら、私は全力を持って止める。しかし、父親としてお前の心は分かっているつもりクア……それに、”マウティ”の願いでもあるからね」
コルーリ「お母様の……名前ですよね?」
クアライト「……女王陛下から聞いたクア?」
コルーリ「はい……”生涯の親友”……と」
お父様は私の話を目を瞑って聞いていると、今度は私の目をしっかり見て……話を始める。
クアライト「二人は……訓練生時代からの友人クア。お前も聞いただろう……二人の約束をな」
コルーリ「……はい」
クアライト「私もマウティと約束をしてるんだ……”娘が生まれた時は、その子が最も好きだと思う相手と結婚させる”……とな。だから……私はお前を止めないし、彼を拒んだりしない」
コルーリ「お父様っ!……ありがとうございます!!」
クアライト「それに……な……」ボソッ
お父様の言葉が小さくなり、聞き取ることが出来ないが……表情は……すごく辛そうです。
コルーリ「……お父様?顔色が優れませんが……」
クアライト「ッ!?……すまない、疲れてしまったみたいだ。もう休ませてもらおう……コルーリ、カケルを探しに行きなさい。大事な用事があるのだろう?」
コルーリ「は……はい。お父様、しっかり……休んで下さいね。では……失礼します」
クアライト「ああ……分かったクア」
私は……そう言って研究室を後にする。お父様……何を言おうとしたのでしょうか?
5月13日 結婚式まで……あと1日
アカシック城 〈シュミレータールーム〉
コルーリ「こんなところに呼び出して、どう言うつもりですか……ペック」
ペック「……伝えたいことがあるから呼んだ。安心しろ……ここには誰もいない」
私は……ペックによってこのシュミレータールームへ呼び出された。しかも、彼も人間態になっているし……一体、どういうつもりなのでしょうか?
コルーリ「……で、どのような要件ですか?私……明日の準備があるんです」
ペック「……なあ、俺たちが訓練生だった時の事……覚えてるか?」
コルーリ「……ええ、覚えていますよ。よく……私のお友達のお尻を追いかけていたり、いやらしい本を持ち込んだり……」
ペック「そ、そっちじゃない///!な、なんでそんな事を覚えてるんだよっ!!」
コルーリ「……私、あなたのそう言う所が嫌いだったからです。それに……人の事を考えない所も……大嫌いです」
忘れもしない……ペックの記憶。それは……私にとって嫌な思い出の数々でした。
……5年前
ポプーン『コルちゃん、すごいポー!また百点ポー!!』
コルーリ『えへへっ!いっぱい勉強しましたチュン!』
ペック『よう、コルーリ!また百点だって~?さすが、大天才……”クアライト博士の娘”キー!!』
コルーリ『ッ!? お父様は関係ないチュン!!私が……頑張って取った百点チュン!!」
ペック「その頭の良さを”親譲り”って言わないで何て言うキー!」
”クアライト博士の娘”……それは、私が訓練生時代にさんざんペックに言われた言葉。天才の子供で……それと同じような結果を期待される事がどれだけ辛いかを全く考えなかった彼の言葉は……私にとって苦痛そのものだった。良い点数を取れば、”クアライト博士の娘だから”……少しでも点数が下がれば、”クアライト博士の娘なのに”……そう言われ続けた私は、お父様にコンプレックスを持ち……お父様ともちゃんと話せなくなってしまった。なにより……彼の言い続けた言葉が苦しかった。彼の……人の事を考えない発言が……大嫌いだった。
ペック「あ……あれはっ!」
コルーリ「話ってそれだけですか?あなたと話すことなんてありません……もう行きます」
ペック「ま、待ってくれ!!」
コルーリ「痛っ!?は、離してください!!」
ペック「コルーリ……あいつと結婚なんてやめろよ!あいつは……タイプKは危険なんだぞ!!」
何を勝手な事を……!何が危険だっ!!カケルの事を何も知らないで……彼だってあの力で苦しんだし、今だって苦しんでると言うのに……っ!!!
コルーリ「あなたには関係ないじゃないですか!カケルの事を何も知らないあなたが……彼を語らないで!!カケルは心も身体も傷付いたし……大切な家族であるタネまで攫われたんですよ!!あれだけの苦痛を受けて……そのうえ、怪物みたいに扱われて……!あなたがしっかりと状況も知らないのに、憶測だけで報告したからこうなったんですよ!!!」
ペック「クアライト博士の説明を全て聞いたうえでの判断だ!お前は見ていなかったのかよ!!あいつが空間を消し飛ばして”穴”を開けたのを!!その前だって”時代”を消し飛ばしたらしいじゃないか!!そして……アカシック城での発言もだ!”この国を消し飛ばす”って言ったんだぞ!!暴走もしていない状態で!自分の意志で!!危険な力と分かったうえでだ!!!タイプKは……”化物”なんだよ!!!!!」
コルーリ「違いますっ!!彼は人間です!!!悩んだり……苦しんだり、泣くことだってあります!!!それを乗り越えて、精いっぱい戦ってきたんです!!!!!」
ペック「普通の人間がどうやったらカイザーンの歴史改竄と同質の力を持てるんだ!ただの特異点にしては”異常”過ぎるんだよ……そもそも、カイザーンがどうしてあいつを狙ってるんだ?それに、カイザーンがあいつに流した異常な力……Aqライトを取り込んでも、その後の検査で殆ど異常がなかったんだぞ!あいつが力を完全にコントロール出来るようになったら……カイザーンと”同じ”になるんじゃないのか?」
コルーリ「ッ!! そんな事……そんな事ないチュンッ!!!」
彼の言葉を……私は全て否定する。ペックの言う事は間違っている!そうに決まってる!!カケルは特別だから……それを乗り越えてるんだ!!!
ペック「コルーリ、お前だって本当は気付いてるんだろ?あいつが”異常”だって……!」
コルーリ「彼は……特別なんです!異常なんかじゃありません!!」
ペック「そんなに……あいつがいいのかよ?」
コルーリ「……えっ?」
ペック「”お前と結婚できない”とか言ってたんだぞ。そんな奴が……お前を幸せに出来るのかよ!俺の方が……お前の事を想ってるのに……!」
急に……ペックは何を言っているのでしょう?私を……想う?
ペック「俺は……俺はな!お前の事が好きなんだ!!訓練生時代からずっと!!!」
コルーリ「ッ!?……何を急にっ!?だったら……私を執拗に狙った言葉は何だったんですか!?」
ペック「……恥ずかしかったんだよ///。それから……人気者だった女子を追っかけたり、ハートフル王国の本を読んでたのは……他の男子と話を合わせるためだ///!俺は……ずっとお前を見ていたんだ!!お前の隣に立ちたくて……頑張って努力してきたんだ!!お前に相応しい男になりたくて……お前より、クアライト博士よりすごくなるために!!!」
コルーリ「……私が……どれだけ苦しんだと思っているんですか?」
ペック「えっ?」
やっぱり彼は……人の事を考えていない!
コルーリ「……もう行きます」
ペック「ま、待って!?」
ガンッ!
ペック「いっつ!?……こ、コルーリ……?」
私はペックの頬に向かって、思いっきり右ストレートを叩き込み……地面に座り込む彼に、私の気持ちを伝える。
コルーリ「ペック、あなたの気持ちは分かりました……そのうえで答えます。私は……あなたが大嫌いです。今も、これからも……です」
ペック「……コルーリっ!」
コルーリ「私を……救ってくれたのは”カケル”です。だから……今度は私が彼を助けるんです!」
ペック「コルーリッ!!なんで…だよ……!!」
私は……ペックに背中を向けて、シュミレータールームを後にする。もうこれ以上……彼の事を見ていたくない。
アカシック城 〈駆・コルーリの部屋〉
コルーリ「ただいま戻りました……あれ?カケル、いないんですか?……寝室でしょうか?」
ペックと別れた後、私は帰宅したのですが……カケルがリビングにいない。もしかしたら、寝室にいるのかもしれないと思った私は、寝室のドアを開けると……ベッドに腰掛けたカケルがいた。頭を押さえ、うなだれるような仕草から……何か悩んでいるのかもしれません。
コルーリ「カケル……どうしたんですか?」
駆「……ちょっと、静かにして。一人に……させてくれないかな?」
コルーリ「カケル……何か悩んでいるのなら、相談してください。私……心配なんです……カケルの事が。私は……カケルの力になりたいんです!支えたいんです!だから……一人で悩まないで下さい」
私は、カケルに自分の本心を伝えていく。すると……。
グッ!
コルーリ「か、カケル……?」
カケルは、私の右手首を掴み……俯いていた顔をあげて、私の顔を見る。そんな彼の瞳は……光が無く、どこまでも真っ黒で……まるで”Aqライト”の様だった。そして……。
駆「……嘘を言わないでよ」
コルーリ「う、嘘なんて……!きゃあっ!!か、カケルっ!?や、やめて下さい!!」
私は……カケルにベッドへ押し倒される。カケルは、私の両腕を左手で抑え込み、空いた右手を使って……私の胸元から洋服のボタンを力尽くで外していく。
駆「怖いだろ!嫌だろ!もう……嘘なんて言えないだろ!!」
コルーリ「か、カケル……っ!」
カケルの言葉と行動は……今までの彼と全く違う。彼の荒い息が……聞こえる……興奮しているのか?……でも。
駆「ほらっ!言えよ!!怖いって!!!僕なんか……嫌いだって!!!」
どうして……そんなに”悲しそう”で、”苦しそう”な表情を……しているの?
コルーリ「……そうしたら、カケルは……”救われますか”?」
駆「……えっ?」
コルーリ「私に……そうする事で……カケルが救われるのでしたら……私は……いいですよ」
私は……彼に拒もうとしていた力を解く。このような形でも、カケルが救われるなら……私はいいと思ったから。だから私は……彼に抵抗することを止めた。これが……私の”本心”だから。
駆「ッ!?……違う!僕は……そんな事を……言って欲しいんじゃ……ない!」
バンッ!
コルーリ「カケルッ!待って!!……カケル、私は……あなたを救えないんですか?」
カケルは私を押さえていた手を離すと、何処かへと行ってしまう。彼を止めようとしたが……もう彼はいない。誰もいなくなった寝室で……いなくなった駆に問う私に……。
黒コートの男「救えるよ……コルーリ」
答えたのは……黒いフード付きのコートを着た男性。2013年に私の前に現れた……あの時の男でした。
コルーリ「あなたは……ソリティアにいた!?どうやってここに……この部屋にだってセキュリティが……」
黒コートの男「まあ、それは……君をあいつの所に連れて行った時の応用って感じだ。……服がボロボロだな……はあっ!」
コルーリ「服がっ!……今の……いいえ、あの時使ったのも……”Aqライト”ですよね。あなたは……何なんですか?どうして……私の前に現れるんですか?」
彼は……私の服に”黒い光”を放つと、一瞬で破損していたボタンを直してしまう。この男は……2013年の時に、私を駆の所まで移動させたりしていたり、今も服の修復も……”Aqライト”を使ったように見える。それも、”世界の矛盾”もなしに……カイザーンやカケルと……同じように使っている。どうして……私の前に現れるのか、彼は誰なのか……私は、自分の中に浮かんだ疑問を彼に問いかける。
黒コートの男「俺の目的は……前も言ったと思うがな。コルーリ、君を助ける事……って」
コルーリ「どうして私を……助けるんですか?」
黒コートの男「……それは」
コルーリ「ッ!?」
黒コートの男「……君を愛してるから」
彼はいきなり私の耳元に顔を寄せると、”愛しているから”とつぶやく。私はすぐに彼から距離を取るが……何だろう?彼の声……匂い……雰囲気……誰かに似ている。何……この気持ちは?
黒コートの男「まあ、今回は……”あの少年”を助けるために来たって感じだけどね。……手を出してくれるか?ああ、安心してくれ……別に怪しいものを渡すわけじゃない」
私は疑いながらも……彼に手を伸ばす。すると、彼は私の手の平に……少し重い、”機械”の様なものを置く。
黒コートの男「誕生日プレゼント……にはならないけど」
コルーリ「これ……Qaフォーン!?どうしてこれをっ!?」
彼が私に渡したのは……”男の子用のQaフォーン”。何故、これを彼が持っているのか?
黒コートの男「……明日、あいつにとって”運命の日”がやってくる」
コルーリ「運命の……日?」
黒コートの男「明日……ネツゾーンがアカシック王国を襲撃する。その時、あいつは……戦う事になるんだ。そのための力が必要だろう……だから、それを君に渡しておく。あいつがプリキュアになるために……きっと必要だからな」
コルーリ「襲撃って……そ、それは本当ですか!?それが本当なら……女王陛下に伝えないとっ!」
黒コートの男「アカシック女王は既に知っている……彼女はアカシックレコードを管理しているからな」
彼によって伝えられる……ネツゾーンのアカシック王国への襲撃。彼が言うには、女王陛下はその事を知っているらしい……既に何かしらの手を打っている事だろう。
黒コートの男「……ごめんな、コルーリ」
コルーリ「えっ?」
黒コートの男「あいつの代わりに謝っておく。あいつは……ショックで人を”信じる事”が出来なくなってるんだ。そのせいで……君の事も、プリキュアの事も……信じたいのに信じれない。君の事を疑いたくないから……話したくない。だから……遠ざけようとしたんだ。でも……あいつは”人と関わらない”ように、”触れない”ように生きてきた……最初から人と離れていた……だから人と関わるようになって、信じれるようになって……距離が近くなった人を、どう遠ざけていいか”分からない”んだ。だから……君をあんな方法で……遠ざけようとしたんだ……でも、君が本心からあいつを受け止めたから……あいつは”違う”って言ったんだ」
彼が考察した……先ほどのカケルの行為。やはり……カケルは心に大きなダメージを受けていた。しかし、何故……この男性はこんなに”カケルを理解しているのだろう”?考察にしては……あまりにも正確だ。まるで……”自分の事”のように話している。
黒コートの男「まあ……明日になれば、嫌でもあいつは君の所にやってくる。焦らないで……しっかり考えて、そいつを渡してくれ。それじゃあ、俺はもう行く……Qaフォーンの事、クアライト博士や女王には隠しておけよ。バレたら……あいつに渡すことも出来なくなるからな。……じゃあ、またね……コルーリ」
コルーリ「ま、待って!あの……あなたの名前は、何ですか?」
レクス「俺の名前は……”レクス”とでも名乗っておくよ。それじゃあ……」
コルーリ「……えっ?」
コツッ
レクス「・・・・・よ、コルーリ」
レクス……彼におでこを指で小突かれた途端、私は強烈な眠気に襲われる。そして……私はベッドへと倒れ、意識を……手放してしまった。また、彼が最後に言った言葉が……聞こえない。なんて……言ったの?
5月14日 結婚式当日
コンッ!コンッ!コンッ!
コルーリ「ん……ふわぁ~!……朝?カケル?……あれ?昨日、変な男の人が……あれ?名前……何でしたっけ?」
昨日、確かこの部屋で”黒いコートの男”がいたはず……なのに、名前が思い出せない。ちゃんといたはずなのだ……だって、私の手には……”男の子用のQaフォーン”がしっかりと握られていたのだから。
コンッ!コンッ!コンッ! コンッ!コンッ!コンッ!
コルーリ「この音……ノックでしょうか?は、はい!今出ます!!」
鳴り止まない”ノック音”に気付き、私は玄関のドアを開ける……すると。
ストリング「……ん、おはよう……あれ?駆……いない?」
コルーリ「ストリング?ど、どうしてこちらに?」
ストリング「今日……結婚式でしょ?迎えに……来た」
コルーリ「そ、そうでしたね。ま、待っててください!身支度を……」
warning! warning! warning!
コルーリ「ッ!?これは……緊急警報!?」
ストリング「ッ!!ペック、何かあったと?!」
ペック『ストリング、アカシック城の大広間にネツゾーンの奴が入ってきやがった!すぐに向かってくれ!!場所はこっちでナビする!!』
ストリング「分かった!」
コルーリ「ネツゾーンの……襲撃っ!やっぱり……あの人が言ってた通りに!」
Qaフォーンで連絡し合うストリングとペック。そして、そこから聞こえる話の内容……あの男性が言っていた通りに、ネツゾーンが襲撃してきた。カケルは……まさか、ネツゾーンの所へ行っていたりしないだろうか?
ストリング「コルーリ、私は敵の所に向かうけど……あなたはどぎゃんすっと?」
コルーリ「わ、私も行きます!カケルも……向かっているかもしれませんから!」
ストリング「分かった……しっかり付いてくるとよ!」
私とストリングは……ネツゾーンが現れたと言う”大広間”へと向かう。カケル……私が行くまで待っていてください!必ずQaフォーンを……渡してみせます!!
To Be Continued……
いかがだったでしょうか?と言うか……主人公、出番が少ない!いや、コルーリを中心に描いたんならそうなるのは当然ですけどね!ついでに”黒コートの男”こと”レクス”のお名前公開です!”劇場版第二弾”でのキーパーソンになる人物……なので、まだまだ、謎だらけですよ!名前の由来は……”王”って感じにしています。その実力と目的は、”劇場版第二弾”で明らかになるので、お待ち下さい。次回は、この三日間で”駆”がしていた事についてとをお送りします。検査で分かった駆の新たな事実!国民やストリングと話し、楽しさと共に……信じる事の苦悩に悩む駆!そして、フェイクの拳が……駆へと迫る!?乞うご期待ください!