ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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ごきげんよう、32期です!今回から”ふたりはプリキュアMaxHeart編”をお送りします。遂にこの旅も最後のプリキュアにしてプリキュアの”原点”へとたどり着きました。ここまで長かったけど……うん、嬉しいです!私はこのMaxHeartをリアルタイムで視聴していた世代ですが、やはりあの肉弾戦の激しさには当時からライダー好きだった自分にも刺さる良いものでした!今回の話では過去の話ではった伏線を回収したいと思うので第三十話、三十一話を読み直すとより楽しめると思います。では、お楽しみください!

5月28日はキュアロゼッタの”四葉ありす”ちゃんの誕生日でした。恐らくプリキュアの中でもトップのお嬢様で怒らせたくない人物ですね。ドキプリを視聴していた時は、友達の為に真剣に怒れるすごく良い子だなと思った記憶があります。クシャポイされる前に言っておきます……ありすちゃん、お誕生日おめでとう。


ふたりはプリキュア Max Heart編
第五十四話:キングorクイーン!まさかの敵はプリキュア!?


プリキュアカーシャ 操縦室

 

side:コルーリ

 

クアライト『……報告、ご苦労クア。カケルは……どうしているクア?』

 

コルーリ「部屋に籠っていまチュン。"心の整理をしたい"……と」

 

 私はお父様へ2006年で起こった事の最終報告する。カイザーンがエクスに行った強化……”レイジング・エクス”、その力でカケルが行った”存在抹消”……その責任をカケルは、splash☆Starのふたりに許されていても感じているようで、航行開始からずっと自室に閉じこもっているのだ。

 

クアライト『仕方がないクア……カイザーンに操られていたとは言え、自分がした事に責任を感じているのだろう。しかし、カケルとカイザーンにリンクがあったとは……盲点だったクア!そのうえ、カケルのAqライトは強化され、Qaウォッチをアップデートしてキュアエクスをあのような姿に……"レイジング・エクス"だったクアね?」

 

コルーリ「”絶望の王”……カイザーンはそう言っていました」

 

クアライト『スーパーQaライトによる”Aqライトの強制支配”、Aqライトによる”事象・存在の書き換え”……もはやプリキュアを越えた”何か”クア。今までに観測されていたAqライトによるカケルへの人体的変化……それをスーパーQaライトでプリキュアの姿として維持しているのやもしれん。だが、やはり制御から離れたAqライトを人体に纏っているに等しいあの姿は、カケルの人体に影響を及ぼしている。見たまえ……』ピッ!

 

 お父様がモニターに出したデータは、カケルの生体情報だった。遺伝子、各臓器の状態、各種バイタル……それらが細かく記載されている。その他にもCTなどレントゲン写真も表示されている。

 

コルーリ「これって……!このような数値……あり得るんですチュン?」

 

クアライト『人に備わっている自然治癒能力など……たかが知れている。しかし、血液内に存在する免疫機能、各種臓器機能、脳内物質の分泌量……明らかに人間の想定値を超えている。本来ならこのような状況であれば人間は耐えられない……が、全くの問題が無いようにカケルは生きていたクア。これにより3か月の昏睡状態でも身体に障害が発生しなかったのだろう。意識覚醒後からは、これらの数値は正常に戻っているが……Aqライトの使用を間違えれば、カケルは……人間ではなくなるクア』

 

 カケルの肉体に起こっていた変化……2008年での”わずか三日での骨折完治”や”三か月間の昏睡状態からの覚醒後も障害が残らなかった事”……Aqライトは確実にカケルの肉体に影響を与えるものになっている。その事実だけが、確実に形となって残り始めている……私の中に渦巻く”カケルが人でなくなるかも”と言う恐怖が、私を不安にさせる。

 

クアライト『Aqライトの濃度も……既に手が付けられない。カケルが昏睡している期間に完成した”Aqコンバーター”も……意味がなかったようクアし……』

 

 ”Aqコンバーター”……お父様が”AqライトをQaライトに再転換する事”を目的に開発したAqストッパーに変わる拡張パーツで、2006年での滞在期間で完成を待っていた代物だ。マーネルDとの戦闘後にカケルが昏睡状態になった後に送られ、Qaウォッチに装着したのだが……装着した瞬間に粉々に壊れてしまった。それからの3か月の期間で約15回に及ぶ改善作業と装着を試みたのだが、全て最初の一回目と同様の結果となった。

 

コルーリ「Aqライトが既にQaライトに変換できない状態になってしまっていると言う事チュン?」

 

クアライト『それもあるが、カイザーンがQaウィッチに施した”アップデート”も要因の一つクア。レイジング・エクスへの強化の他に、Qaウォッチの内部データ量の増大、処理能力向上、Aqライトへの完全対応、Aqライト専用拡張パーツのみ装着可能など……カケルが書き換えた時点でも相当だったが、もはや完全に外見以外が考えた装備ではない。しかし、カイザーンは何を考えているクア?アストラル・シードと言ったカケルの考えた機能は残しているし、むしろ……これまでの酷使で機能限界であったQaウォッチをアップグレードした。これではカケルを助けるだけの筈クア』

 

コルーリ「……”歴史の最終章”」

 

クアライト『ん?……何のことだね?』

 

コルーリ「レイジング・エクスを紹介する際に、カイザーンが言ってた言葉チュン。どう言う意味かは分からないっチュが、カイザーンにとってレイジング・エクスの誕生が自分の考える”歴史の最終章”……つまり、目的の達成が近いと言う事ではないでしょうか?」

 

 カイザーンの言っていた言葉……それが私の考える通りなら、カイザーンはエクスをレイジング・エクスにする事に意味があると考えているのだろうか?でも、だったらプリキュアの歴史を改竄した意味は?世界征服と言うネツゾーンの目的は本当の目的ではないのでしょうか?

 

クアライト『いまだ明かされぬ真の目的……か。しかし、プリカバリー計画も2005年の最後のプリキュアを固定化できれば終了クア。カケルの問題は……私も全力で対応するクア。だから……』

 

ピリリリリリッ!ピリリリリリッ!

 

 お父様の言葉を遮るように響く音……これはプリキュアカーシャ”モデル2”からの通信!?私は驚きながら通信チャンネルを”モデル2”に合わせ、ディスプレイを展開する。すると、そこに写ったのは……私があまり好きではない同期”ペック”の姿だった。

 

ペック『こちら、プリキュアアカーシャ”モデル2”。アカシック王国”ネツゾーン調査隊”のペック!”特殊緊急時派遣隊”コルーリ、”特殊緊急対策本部長”クアライト博士の通信を捕捉したため、通信を……おっ!繋がったキー!コルーリ、クアライト博士、お久しぶりキー!』

 

コルーリ「ペック、どうしたチュン?何かあったチュン?」

 

ペック『おお、ネツゾーンの調査に進展があったから通信したんだ。ネツゾーンのアジトの場所なんだが……どうやら、どこかの時代に偽装して隠してるみたいなんだ。取り合えずしらみつぶしで探してたんだけどな……航行中にある反応を拾ったキー。その反応なんだが……なんとお前らが遭遇していた”デリート”ってヤツのデータと一致してな、そいつの反応が消えた近くにある”時代”、その時代から分岐する”並行世界”がもしかしたらアジトの場所なんじゃないかと睨んでる。数もそんなに多くないから……見つかるのは時間の問題キー』

 

 私はアカシック王国襲撃の後、私の事を身を挺して守ってくれたペックを……少しだけ見直すことにした。だから、こうして話していても別に”大嫌い”ではない……が、”普通に嫌い”なのは変わらないけれど、昔よりは普通に話せるようになった。そんな事を考えていると、ペックはネツゾーンについての情報を話し始める。どうやら調査に進展があったため通信してきたみたいだ。

 

コルーリ「そうですか……!すごいチュン、ペック!ですが……気を付けて下さい。キュアストリング……”環さん”がいるから大丈夫だとは思いますが……」

 

ペック『いや、ストリングは……”もういない”キー』

 

コルーリ「チチュンッ!?」

 

 ペックの成果を聞いて喜ぶが、それと同時にネツゾーンのアジトを発見しても危険は伴う可能性があるから……私は彼を心配した。しかし、ペックにはキュアストリングである”環さん”が付いている。彼女は実力もある”アカシックのプリキュア”だから、一緒に居れば大丈夫だと考えていたが……ペックの口から出た言葉は”ストリングがもういない”と言うものだから、私は驚きを隠せず変な声が漏れてしまう。

 

コルーリ「”もういない”って……まさかネツゾーンに!?」

 

ペック『いや……そうじゃなくて、戻ったんだキー……”元の時代”に』

 

コルーリ「元の時代に?で、ですが、まだネツゾーンとの戦闘は継続していますし……この状況での戦力低下は危険ではないでチュン?最終決戦の事も考えれば、ストリングの協力も必要になる可能性がありますし……」

 

ペック『俺もそれは考えたっキー。しかし、ストリングの帰還については”アカシック女王陛下”のご指示なんだキー』

 

コルーリ「お母様……アカシック女王陛下が……?」

 

 ペックの話によると、ストリングがいないと言うのは彼女の住んでいた元の時代に帰還されたからというのが理由であり、その指示を出したのがお母様……アカシック女王陛下の命令だと言うのだ。プリカバリー計画も残すところ最後の一組、ネツゾーンによるプリキュアの歴史改竄は確実に修正されている。しかし、それに伴ったネツゾーンとの最終決戦が想定されるし、それにキュアエクス……カケルの状態もいつ異常が出るか分からない現状……ストリングがいない事による戦力低下は危険のはず。何故、お母様はこのような決定を下したのだろう?

 

ペック『そうキー。アカシック女王陛下によれば、ストリングのこれ以上の戦闘参加は”彼女の歴史を狂わせる”らしい。アカシックレコードに記されたストリングの歴史は……どうやらここまでらしいキー。でも、Qaフォーンはストリングに持たせたままになってる。必要になれば招集をかけることも考えてるんじゃないかキー?』

 

コルーリ「そうですか、それでしたら……仕方がないチュンね」

 

 アカシックレコードに記された歴史を歪める行為は絶対に許されるものではない。アカシックレコードを管理するアカシック女王であるお母様は、それを誰よりも理解し実行しなくてはならない……だからこその決定なのだろう。

 

コルーリ「分かりました。ペック……その……気を付けてチュン」

 

ペック『ッ!!ま、任せるキー!俺はそんなにヘマなんかしないキー!!朗報を待ってろキー!!!通信終了、それじゃあキー!!!』

 

 ペックとの通信が終了し、再び私とお父様の二人だけになる。

 

クアライト『相変わらずコルーリの事が絡むと騒々しいクアね』

 

コルーリ「まあ……仕方ないチュン。お父様、お母様の決定……知っていましたか?」

 

クアライト『うむ、既に報告は受けていたクア。ペックの話していた内容で間違いはない……ただ、一つ情報を加えるなら、マウティがストリングを帰還させたのは”カケル”にも関係があるらしいクア」

 

コルーリ「カケルにも関係って……どう言う意味チュン?」

 

クアライト『すまない……詳しくはマウティも話してくれなかったクア。しかし、ストリングが元の時代に戻る事が……恐らくだが、”カケルの誕生”に関係しているのではないだろうか。ストリングはカケルの祖父と交友関係があったと聞いたクア。ストリングがカケルの祖父と祖母の出会いに何かしらの影響を与える……それによりカケルの誕生に関係するため、”彼女の喪失”でカケルの存在が消滅しないために帰還させた……そう考えることも出来るクア。あくまでも予想だがね』

 

コルーリ「なるほど……存在の確定に影響を与える人物であると言う考えですね。小さな影響でも、それが大きな結果を引き起こす……”小鳥の羽ばたき効果”ですね」

 

 ”小鳥の羽ばたき効果”……僅かな変化が加わる事で、変化が加わらない場合と違った大きな結果に練ってしまうと言う様を、”小鳥が羽をバタつかせると言う小さな行為が、どこかの国で嵐になるのか?”と言う考えを唱えた学者によって提唱された現象の事だ。カケル達の世界では確か……”バタフライ効果”と言うんでしたね。

 

クアライト『所詮は予想クア。その答えを知るのはマウティだけクア。おっと、忘れる所だったクア!2005年はコルーリ、お前が一度”特異点”と接触している時間が存在する。絶対に出会わないようにするクアよ!分かっているクアね?』

 

 〈同じ時代に”同一個体”が存在する場合、接触した時点から存在が不安定になり……どちらかの存在が消えるまでその状態が続き、場合によっては”消滅”を引き起こす〉……これは世界によって決定されたルールであり、絶対に回避する事の出来ない法則の様なものである。このルールは、あの”ネツゾーン”たちですら例外ではなく、奴らが改竄時と改竄後で別々に襲撃してくるのは、このルールによるところが大きいだろう。お父様が言ったのは、2005年で特異点に接触した”過去の私”が存在するから、消滅の危険があるため接触しないようにと言う意味である。

 

コルーリ「承知しています。では、お父様……失礼します。カケルの件……よろしくお願いします」

 

クアライト『分かった。カケルの観察は任せたクアよ』

 

コルーリ「了解しました」

 

 お父様との通信を切り、操縦席に深く寄り掛かる。カケルに起きている事態、もうすぐ終了を迎えるプリカバリー計画、避ける事の出来ないネツゾーンとの最終決戦……”喜び”と”不安”の気持ちで心がいっぱいになったからか……すごく疲れてしまった。シャワーを浴びてゆっくりしたいけど……その前にカケルの様子を見てからにしよう。そう思って私は操縦室を後にした。

 

 

プリキュアカーシャ 駆と種の部屋

 

side:駆

 

駆「・・・・・・」

 

駆君、まだ悩んでるの?

 

私達は……あの時言った通り、駆君の事を信じてるわ。

 

駆「咲さん、舞さん……それは分かってるんです。でも……!」

 

 僕が”心の整理を付けたい”と言って部屋に籠もってから、それなりの時間が経った。そんな時、僕の中に新しく加わったブルームとイーグレットが僕に話しかけてくる。2006……いや、あの時は2007年か。旅立つ時に言ってくれた言葉をもう一度、僕に言ってくれる。だけど……その言葉だけでは、僕は……僕自身を許せない。

 

駆「僕のやった事は、やってはいけない事なんです。一人の命を奪った時は、心も身体も押しつぶされるかと思ったのに……70億近い人間の命を奪ったら、その感覚が分からなくなるんです。心が……命を奪うと言う行為に鈍感になっていく。命の価値を、命の重さを……分かっているはずの自分が、そう感じていることが……許せないんです。そして何より……全て"守る"って決めたのに、全てを"奪う"なんて……!僕って本当に……度し難い」

 

 アカシック王国で決めた……”全てを守る”という覚悟。しかし、その覚悟とは裏腹に……僕がやったのは”全てを奪う”行為で、そのうえ消した命を元に戻し……人の命を、生と死を弄んだ。僕が心の中で決めた覚悟が……ボロボロになって崩れていくみたいだ。

 

ハッピー『……ねえ、駆君』

 

駆「ん?何ですか……みゆきさん?」

 

 僕が悩んでいる中、Qaウォッチのスピーカーを通してハッピーが僕に話しかけてきた。彼女も僕を励まそうとしているのだろうか?そう思っていたが……。

 

ハッピー『”度し難い”って……何?』

 

駆「ガハッ!?」

 

 そういう訳では……なかったみたいだ。

 

サニー『ちょい!ちょい!!ハッピーッ!!!このシリアスな場面でアホなこと聞くか~!?』

 

ハッピー『だって気になったんだもん!それじゃあ、サニーは知ってるの?』

 

サニー『えっ?それは……あれや!……えっと……ぴ、ピース!いっちょ頼むわ!』

 

ピース『えっ!?私っ!?えっと~……マーチ、お願い!』

 

マーチ『あたしは知らないな……ビューティは知ってる?』

 

ビューティ『”度し難い”と言う言葉の意味は、”救済することが出来ない”、”救いようがない”と言う意味があり……簡単な表現ですと、”どうしようもない”と言う意味です』

 

 ハッピーから始まったスマイルプリキュアさんによる”コント”は、ビューティによる説明で何とか終わったが……何だろう……。

 

駆「・・・・・・ふっ」

 

 この少しだけ可笑しい状況に、僕は小さく笑う。ちょっとだけ……心が軽くなった気がする。

 

ハッピー『あっ!駆君、笑った~!えへへっ!やっぱり笑わないと”ウルトラハッピー”が逃げちゃうもんね!』

 

駆「……そうかもですね。よし、後ろ向きな話は一旦終わりにします。答えは……ちゃんと考えて出してみせますよ。それじゃあ……先ずは気分転換に、髪でも切りましょうかね。3か月分だし……結構な長さを切らないとな」

 

エール『あっ!だったら任せて!私、自分の髪はけっこう切ってるんだ~!』

 

アンジュ『エール、確か前髪は切るの失敗したって……』

 

エール『あ、あれはちょっとズレたのを整えようとしただけで……今度は大丈夫だよ~!』

 

 気分転換に気を失っている間に伸びた髪を切ろうと考えると、エールが僕の髪を切ってあげると言い出す。口ぶりでは、自分の髪を切っているらしく経験はあるらしいが、どうやら実際には失敗してるらしい。そう言えば……初めて会った時の髪型は前髪がすごくパッツンになっていたし……あれは失敗したせいだったのか。まあ、最初から頼む気はないし……丁重に断ろう。

 

駆「ありがとうございます、はなさん。でも、大丈夫ですよ。僕、髪は普段から自分で切ってますから」

 

マリン『え~!切っちゃうの~!?セミロングくらいになってるしさ~、そのままでもいいんじゃない?美少女感3割増しになるしさ~!』

 

トゥインクル『そうだよね~。髪の毛サラサラだし、そっちの方が良いんじゃない?ケルケルは女の子顔だし、せっかく綺麗な黒髪なんだから勿体ないよ』

 

プリンセス『ダメ~!駆はカッコイイ男の子として、いつも通りくらいの方がいいの!』

 

ドリーム『あっ!私もいつも位の方がいいな~!』

 

いつも通りが良いに決まってるよ~!

 

このままも捨てがたいです。

 

 なんか……僕の髪の長さで、プリキュアさん達が意見分かれし始めてしまった。何とか落ち着かせる方法を考えようと思ったらドアが開き、そこからコルーリが入って来た。

 

コルーリ「カケル、少し……あら?どうしたんですか?」

 

駆「コルーリ、今ちょっと僕の髪を切るか切らないかで……プリキュアさん達が言い争いしてるところ」

 

コルーリ「髪……ですか?」

 

駆「うん、心の整理は少しだけお休みしてね。気分転換に伸びた髪を切ろうと思ったら……こんな事になっちゃって……あはは」

 

コルーリ「そうなんですか。……でしたら、私が切りましょうか?」

 

 そんなこんなで、僕が髪を切ると言う意思をプリキュアさん(髪を切らない派)に伝えると何とか納得してくれたため、コルーリの提案通り彼女に切ってもらう事にした。

 

コルーリ「それでは……わぁ、カケル……やっぱり髪の毛がサラサラですね。なんか……勿体なくなってしまいます」

 

駆「コルーリ、髪はどうせ伸びるんだから……さあ、さっさと切ってよ」

 

コルーリ「分かりました……では!」

 

チョキチョキ!……チョキチョキ!……

 

 心地よい一定のリズムを刻んで鋏を動かすコルーリ。コルーリの散髪は中々の腕前で、瞬く間にいつも通りの髪型に切りそろえられていく……普段からやっていたのかな?

 

駆「コルーリ、結構上手だね」

 

コルーリ「羽の手入れは日課ですし、切り揃えの作業はよくしますから……それに友達にも”コルーリちゃんは器用で安心だから”って、よく頼まれてしていました」

 

駆「そうなんだ……そう言えば、コルーリも髪が伸びたよね。良かったら僕に切らせてくれないかな?切ってもらったお礼もしたいし」

 

コルーリ「本当ですか?でしたら……お願いします。はい、終わりましたよ」

 

 渡された手鏡で切ってもらった髪を確認すると、いつも通りの髪型になっていた。前髪も目に掛からないし……やはりこれぐらいの長さが良いな。さて、今度は僕の番だ。

 

駆「さあ、今度は僕の番だね。コルーリ、座って」

 

コルーリ「はい……あ、少し待って下さい。髪を下ろしますね」

 

 コルーリを椅子に座らせ、早速切り始めようとするが、コルーリはツインテールのままである事に気付き髪を下ろし始める。そう言えば、コルーリが髪を下ろしてるの……初めて見たな。結構な時間一緒に居たけど……まとめている事が多くて見た記憶がない。おっと……もう下ろし終ってるんだ。僕は下ろされた綺麗な青色の髪に手を伸ばして触れる。

 

コルーリ「ふぁ~///……チュン///」

 

駆「変な声を出さないでよ……でも、結構伸びたね。一緒に旅をしている間、切ったりしてなかったよね?」

 

コルーリ「それは……普段は妖精の姿で羽のケアをしていますし、その影響で髪は伸びません」

 

駆「それじゃあ、今回は何で?」

 

コルーリ「カケルが気を失っている3か月間……”妖精に戻っていません”でしたから。この姿の方が……カケルのお世話がし易かったですし、カケルが気を失っている緊急時に羽のケアなんて……自分のことをしてる暇はありません」

 

駆「ッ!!」

 

 3か月間も……コルーリは自分の本来の姿に戻らず、自分よりも僕を優先してくれていたと言うのか?

 

駆「・・・・・・」

 

コルーリ「チュンッ///か、カケル……あまり髪を撫でないで下さい///羽と一緒で敏感なんです///」

 

 コルーリは僕に何かを言っているが、僕はそれを無視して彼女の髪に触れた。この伸びた髪は……僕のために頑張ってくれた時間の象徴だ。伸びた分の髪を切り落としてしまう事が……彼女の頑張りを、彼女の時間を否定することに思えてしまった。

 

駆「コルーリ、この髪……すごく綺麗だよね。良かったら……伸ばしたままでもいいんじゃないかな?」

 

コルーリ「ふえ?そ、それは構いませんが……いいんですか、切らなくて?」

 

駆「このままが良い!僕……コルーリの長い髪が良いんだ!」

 

コルーリ「チチュン///!?そ、そうですか……///じゃあ……このままで///わ、私、シャワーを浴びて休みますね!もうすぐ2005年に到着しますから……カケルも早めに休んで下さい!で、では……失礼します!」

 

 顔を真っ赤にしたコルーリは逃げ出すように部屋から出て行ってしまった。髪を切りたくない理由に……彼女が僕に向けてくれる好意を利用してしまった。やはり僕は……度し難い程の愚か者だ。

 

バッドエンドシード(もう一人の僕……少しいいかな?)

 

 そんな中、僕の頭の中にバッドエンドシードの声が響く。真剣そうな口調からして……重要な話だろう。悪いね、コルーリ……どうやら休むのはもう少し後になりそうだ。

 

 

side:ネツゾーン

 

カイザーン「ムカつく!ムカつく!!あの女……!!!はあ……はあ……ふぅ~♪はい、クールダウンおっわり~♪あいつはどうせはいなくなるし~♪アルタイルも会おうとなんてしないからいいよね~♪おっと……そろそろ、戻ってくるかな~……うふふっ♪」

 

マーネルD『はあっ!はあっ!か、カイザーン様!!!何なんだよ、あいつは!?キュアエクスは……一体何なんだよ~!?』

 

カイザーン「あら~?どうしたの、デリート?そんなに怖がって~♪キュアエクス……”私のアルタイル”の事が知りたいなんて。でも残念……そんなの前に話してあげた通りよ」

 

マーネルD『嘘だっ!!あんなことをする奴なんて聞いてない!!!世界を躊躇なく吹っ飛ばしやがったんだ!!!お、俺の事も書き換えて……何度も……何度も痛めつけてきやがったんだ!!!!!』

 

 いぶに打たれた事の怒りを剥き出しにして怒るカイザーン。その怒り方はこの広い空間全体に付いた”無数の抉られた様な傷”が表している……が、ようやく落ち着いたらしく、カイザーンはいつも通りの笑顔に戻り、楽しそうな口調で誰もいない空間で独り言を話し始める。すると、カイザーンは何かが来るのを感じて空間の一点を見る。するとそこから次元の裂け目が開き、”マーネルデリーター”の姿をして逃げてきたデリートが、カイザーンに疑問をぶつける。自分を消し去ろうとした……絶対的な”絶望”と”怒り”の権化となった”キュアエクス”の存在についてを。しかし、それは以前話した通りと伝えるカイザーンに納得しないデリートを見たカイザーンは、右手の人差し指を親指で押さえると……それをデリートに向ける。

 

カイザーン「う・る・さ・い・ゾ♪」

シュンッ!!!!!

 

マーネルD『グゥゥウウウッ!!!ベッ!!!!!』

 

 カイザーンは親指で押さえた人差し指を弾くと、その衝撃がデリートへと凄まじい速度で飛んでいき、それを喰らったデリートは飲み込んでいたマーネルを吐き出し、元の姿に戻ってしまった。

 

マーネル「ケホッ!ケホッ!で、デリート!あんた何を考えて……て、なんであたし……戻って来てるのよ?」

 

デリート『ゲプッ……あれ?そんなに怖くなくなったぞ』

 

カイザーン「デリート、あなたが感じていた感情は"マーネルの影響"だったのよ。あのオバさんに対して湧いた"怒り"でわからなかったの?マーネルは特に感情的になりやすいから、デリートが取り込んでも感情を制御出来なかったのよ。今度は気を付けなさい♪」

 

マーネル「カイザーン様っ!デリートのせいで……あたしっ!!」

 

失敗は失敗だろ……マーネル。相変わらずゴチャゴチャうるせえんだよ……お前。

 

 広い空間の奥から響く足音と声……それを聞いたマーネルは怒りの表情を、カイザーンとデリートはふたりして口角を上げて微笑む。

 

マーネル「”フェイク”ッ!……って、あんた……どうしたの?その姿は……?」

 

 声の正体は、カイザーンより新たな力を受け取り、眠りから目を覚ましたネツゾーン三幹部の一人……”フェイク”だった。しかし、その姿はカイザーンの与えたAqライトの影響なのか……以前より姿が変わっている。白かった彼の肌に”黒い炎”の様な模様が刻まれており、そして……眉間に出来た”赤い点”が第三の目のようでもあり、それが不気味に輝いている。

 

フェイク「カイザーン様の更なる祝福さ……俺は生まれ変わったんだよ。お前もどうだ?インペイルも丁度……祝福を受けてるところだぜ」

 

マーネル「えっ?……ッ!?ま、まさか……あの頭上にある黒いのが……インペイルなの?」

 

フェイク「ああ、キュアエクスのやられたんだとよ……で、どうする?お前もカイザーン様の更なる祝福……受けてみないか?」

 

 フェイクが指さす頭上に浮かぶ”黒い球体”……それはキュアエクスに敗れたインペイルが、祝福を受けている最中の姿だとフェイクが告げる。そして、それを説明したフェイクはマーネルも祝福を受けるかを問う。その異常な光景に恐怖を感じるマーネルだったが、それを見たカイザーンは笑顔でマーネルに話しかける。

 

カイザーン「マーネル、あなたの力が私には必要なの♪だから、私の祝福を受けて……もっと私のために頑張ってほしい♪……ダメかしら?」

 

マーネル「ッ!!か、カイザーン様のためでしたら……あたし、いくらでも祝福を受けます!あたしの力がカイザーン様の力になるなら!!」

 

カイザーン「うふふっ♪そうよね……そう言うと思ってた♪それじゃあ……」

 

マーネル「あ、ああ///Aqライトが中に……あたしの中に///と、溶ける……あたしが溶けていくぅ///」

 

カイザーン「生まれ変わりなさい……マーネル♪」

 

 カイザーンはAqライトをマーネルに放出すると、マーネルを包むようにAqライトが広がり……インペイルのように”黒い球体”に変わる。

 

フェイク「良い祝福をな、マーネル。では、カイザーン様、俺はキュアエクス……いや、”トキオ カケル”の元に行ってよいのですね?」

 

カイザーン「ええ♪デリート、あなたが望んでいた通り、フェイクと一緒にいってもらうわ♪今度は大丈夫かしら?」

 

デリート『ああ!よろしく頼むぜ、フェイク!』

 

フェイク「へぇ~……デリート、随分と流暢に話せるようになったじゃねえか!そんじゃあ……一緒にいこうぜ~!キュアエクスを、トキオ カケルを消し飛ばしによ~~~!!!あーーーはっはっはっ!!!!!」

 

デリート『キヒャヒャヒャヒャッ!!!!!』

 

 フェイクとデリートは不気味な笑い声を響かせ、ふたりは2005年へと向かうべく”次元の裂け目”を開き、その中へと消えていく。それを見守ったカイザーンは静寂となった空間で……。

 

バンッ!……バンッ!!……バンッ!!!

 

 静寂を壊そうと暴れる……”少女”と話し始める。

 

カイザーン「あらあら……御乱心ね、"不純物"ちゃん♪障壁を叩いても割れないわよ〜♪そんなに私がアルタイルにした事が気に入らないの?」

 

 カイザーンが玉座の横に隠しておいた"光の玉"……球状の障壁を中から叩き、暴れていたのは……"種"だった。歯を食いしばり、目を見開き、一心不乱に握った拳を振り下ろして、障壁を叩き続ける……さながらその姿は"鬼神"と表現して差し支えないだろう。

 

種〈カイザーン!!!駆に……駆に命を奪わせたなっ!!!!!"私だけの王子様"の手を"どうでもいい命"で汚させたっ!!!!!絶対に許さないっ!!!!!今すぐお前の息の根を止めてやるっ!!!!!〉

 

カイザーン「まあっ!こわ〜い♪でも、怒る理由が……"自分を"助ける為に汚してくれた手が、"多くの命"を奪い、汚されて"上書きされた"のが嫌なんて……相変わらず歪んでるわね~♪まあ、私も人の事を言えないけどね♪」

 

種〈黙れっ!!!お前と一緒にするなっ!!!!!〉

 

カイザーン「アハハッ♪安心しなさい、アルタイルのあの姿はまだ”不完全”。アルタイルはこれからもっと奪い、失わないといけないの……そして、全てを越えた彼は私に相応しい”王”になる。私と結ばれる……始まりの男、私の”彦星”にね。あなたはそのための”犠牲”……彼の”心の器”を砕く最後のピース。あなたの存在価値なんてその程度……不純物にしては結構な待遇なんだから♪あなたはその瞬間まで見届けなさい……彼が”王”……【RX《レクス》】になる瞬間をねっ♪……ん?誰か入って来たわね……よっ!」

 

 種と話すカイザーンは、”自分の世界”に誰かが入ってくるのを感じてAqライトで小さな鏡を空中に生成する。そこに写り込んだのは……キツツキの妖精”ペック”の姿だった。

 

カイザーン「アカシック王国の使者がついにここを突き止めたか……うん、”予定通り”♪でも、変だな……こうやって予定通りになる時もあるのに、私が知っている”未来”と違う事が起きる……”コルちゃんの手元から無くなっていた男性用Qaフォーン”、”キュアストリングの存在”、”QaフォーンSの誕生”、”古城いぶの接触”……これほどの誤差が何の干渉もなく起こるものなの?やっぱり……"因果"を越えた影響?」

 

種〈んっ!!!んんんっ!!!!!〉

 

バンッ!バンバンバンッ!!!

 

カイザーン「もう……うるさいな~♪そんなにうるさいと……しまっちゃうわよ~~~♪」

 

種〈ッ!?た……たすけて……たすけて、駆ッ!!!〉

 

 光の球に手を伸ばすカイザーン。そして、静寂を壊す響きは消え……広い空間は完全な静寂となる。そして、静かになった空間の中で玉座に座ったカイザーンは、何をするわけでもなく……小さな妖精を眺める。来たるべき”王が誕生する瞬間”の為に……。

 

 

2005年12月25日 小泉学園 移動たこ焼き屋台〈TAKO CAFE〉

 

side:ふたりはプリキュアMax Heart

 

金髪の少女「ふぅ……これで良し」

 

バンダナの女性「お疲れ様、”ひかり”!ちょっと休憩にしよっか!」

 

ひかり「はい、アカネさん!」

 

茶髪の少女・黒髪の少女「「こんにちは~!」」

 

ひかり「”なぎさ”さん!ほのかさん!いらっしゃいませ!」

 

 午後の営業に使う材料の準備を終えた金髪の少女”ひかり”は、やってきた同じ学校の先輩である”なぎさ”と”ほのか”に対して挨拶をし彼女たちに近付く。この三人こそ”最初のプリキュア”であり、光と闇の戦いを終わらせ、全てのプリキュアの”歴史の原点”とされる……”ふたりはプリキュアMax Heart”の二人と、光の園のクイーンの分裂した”生命”である”シャイニールミナス”を合わせた三人である。

 

アカネ「あっ!いらっしゃい、ふたり共!部活の引継ぎはちゃんと終わった?」

 

なぎさ「はい!……って、その事は冬休みに入る前に話したじゃないですか、アカネさん!」

 

アカネ「あれ~?そうだったっけ?あ、たこ焼き食べるでしょ。ちょっと待ってね~!」

 

ひかり「あ、私が持ってきます!」

 

 バンダナを巻いた〈TAKO CAFE〉の店主”藤田 アカネ”は慣れた手つきでたこ焼きをパックに詰めると、それをお盆に乗せて、ひかりが二人の元へと運ぼうとする。もう少しで二人が座ったテーブルへ運べる……そう思っていたひかりの頭上……空に”碧色の流れ星”が流れる。

 

ゴォォォォォオオオオオオッ!!!!!

 

ひかり「ッ!?」

 

カシャ―――ンッ!!!

 

なぎさ「ひかりっ!?」

 

ほのか「ひかりさん、大丈夫!?……あら?ポルン、ルルン、どうしたの?」

 

ポルン「感じたポポ!邪悪な気配を感じたポポ!」

 

ルルン「ルルンも感じたルル!」

 

 ひかりは何かを感じたのか……持っていたお盆を離し、その場でしゃがみ込んでしまう。それを見て心配したなぎさとほのかの二人はひかりに近付くと、茂みの影から隠れていたらしい妖精の”ポルン”と”ルルン”が出てくる。そしてポルン達の口からひかりが感じたものが何なのかが伝えられる……それは”邪悪な気配”だと言うのだ。

 

メップル「なぎさっ!邪悪な気配メポ!それも……とてつもなく大きいメポッ!!」

 

ミップル「この気配……知ってるミポ!間違いないミポッ!!」

 

なぎさ「ッ!?それって……!」

 

ほのか「そんな……まさかっ!?」

 

なぎさ・ほのか・メップル・ミップル「「「「ジャアクキング(メポ)(ミポ)ッ!!!」」」」

 

ひかり「……そんな」ボソッ

 

 ジャアクキングと同じ邪悪な気配を感じると言う妖精たちとその言葉を聞いて驚く二人……しかし、ひかりだけは違和感を感じていた。自分が感じた”闇の気配”は……突然現れたのだが、それと同時に自分がこれまでに感じていた”気配”は変わらず存在している。つまり……闇の気配が”二つ”存在している。その違和感をひかりは感じているのだ。

 

なぎさ「こうしちゃいられない!行こう、ほのか!ひかり!」

 

ほのか「ええ!……ひかりさん、大丈夫?」

 

ひかり「えっ?は、はい……大丈夫です!」

 

なぎさ「よし!ふたり共、いくよ!」

 

ほのか・ひかり「「ええ(はい)!」」

 

 メップル達の指示で邪悪な気配の元へと向かう三人。その中で……ひかりだけは違和感を感じ続けながら走り出した。

 

アカネ「お待たせ!サービスのドリンク……って、もういないの?あれ?たこ焼き落としてるじゃない!それにひかりもいないし……どうしたんだろ?」

 

すいませ~ん!クレープくださ~い!

 

アカネ「は~い!ただいま~!まあいいか。午後はそんなにお客さん来ないし……よ~し!私一人で頑張るぞ!」

 

 ちなみに、ひかりのいなくなった午後の〈TAKO CAFE〉は、アカネさんの頑張りで……無事に営業を終えることが出来たそうだ。

 

 

side:ドツクゾーン

 

洋館の少年「ッ!?」

 

執事ザケンナーA『どうしましたザケンナー!?』

 

執事ザケンナーB『何かありましたかザケンナ~!?』

 

サーキュラス「何事だ?」

 

 どこかにある洋館の中から空を見ていた金髪の少年。彼は空を流れた”碧色の流れ星”も見るなり、急に震えだし頭を抱えて蹲ってしまう。それを見た執事型のザケンナー二人は心配そうに近寄ると、その騒ぎを聞きつけたドツクゾーンの四人の”闇のファイター”の一人”サーキュラス”がやってくる。

 

執事ザケンナーA『何でか分かりませんが、急に怖がりだしましたザケンナー!』

 

サーキュラス「なんだと?……原因が全く分からんのか?」

 

執事ザケンナーB『分かりませんザケンナ~』

 

恐らく……大きな”光の力”を感じ取ったのだ。

 

サーキュラス「バルデス、それは本当なのか?まさか……クイーンが復活を!?」

 

バルデス「いや……それにしては早すぎる。そして何より……」

 

サーキュラス「バルデス?」

 

 騒ぎを聞きつけたもう一人の”闇のファイター”のバルデスは、少年の怖がり様を見て”大きな光の力”を感じたのだろうと推察する。それを”クイーンの復活”と予想するサーキュラスだが、バルデスはそれを否定する。何故なら、それがあり得ない事は”バルデス本人”が一番わかっているからで、何よりも現状の違和感を感じているのも彼であったからだ。シャイニールミナスがクイーンとして覚醒するには早すぎる、そして少年と自分が感じている”光の気配”が……”二つ”存在しているからだ。

 

バルデス「サーキュラス、恐らくだが”光の気配を持つ者”はプリキュアと接触するだろう。その存在は”このお方”の覚醒を妨げている……直ちに始末しろ」

 

サーキュラス「……分かった。何より……プリキュアは私の得物だ。奴らと会うと言うのならまとめて始末するだけだ」

 

 突如現れた光の気配が大きすぎて、少年の覚醒を妨げている……それを感じるバルデスはサーキュラスにその存在の始末を指示する。プリキュアと接触する可能性もある事を付け加えるとサーキュラスは洋館の外へと向かって行った。

 

バルデス「まさか……”生命”、”こころ”、”12の意志”に分裂したクイーン。”こころ”は生命であるシャイニールミナスの中にいるはずだが……姿をあらわしたと言うのか?」

 

 クイーンと同じ気配を持つ存在……その存在は何なのかを考えるバルデスだが、その答えは出ない。

 

バルデス「だが、最後は……闇が光を飲み込む。しかし、クイーンと同質の存在など……あり得るのか?確認せねば……ならんな」

 

 そう言うと、自身も光の気配を感じる場所へと向かうために、バルデスも洋館から姿を消した。

 

 

2005年12月25日 小泉学園

 

side:駆

 

コルーリ「到着です。ここが2005年……全てのプリキュアの歴史の原点”Max Heart”の三人がいる時代です。……カケル、どうかしましたか?」

 

駆「・・・・・・」

 

気になる事があるんだ……カイザーンの事で。

 

 僕たちは最後の目的地である2005年、プリキュアさん達の歴史の原点である”ふたりはプリキュア Max Heart”のいる”小泉学園”と言う町まで辿り着いた。それを説明しようと話しているコルーリ……しかし、僕はその話にを聞かずに考えこんでいる。その理由は、この2005年に来る前にバッドエンドシードから話された”カイザーン”についての話が原因である。

 

 

プリキュアカーシャ 駆と種の部屋 〈2005年への航行中〉

 

バッドエンドシード(カイザーンの事なんだけど……奴はリンクを使って君に干渉した。だけど、奴が使ったリンクは……少し違っていたんだ)

 

駆「違うって……何が?」

 

バッドエンドシード(カイザーンが使っていたリンク……それは”種と君が使っていたリンク”だ。簡単に説明すると、僕たちやプリキュアが君と繋げているリンクと種が君と繋げていたリンクは……チャンネルが違うんだと思う)

 

駆「チャンネルが違う?」

 

バッドエンドシード(うん。僕やプリキュアの皆が君と結んでいるリンクを”A”、種と君が結んでいたリンクを”B”とする。僕らは君と話す時に種の声も君を通して聞くことが出来る……それは以前プリキュア達の声が聞こえるようになった時に分かっていると思う。”A”は例えるなら”チャットルーム”の様な自由な意思疎通ができる。でも、種の場合は”ダイレクトメール”の様なもので他人の邪魔が入らない。だから、”B”を使用している種は”プリキュア達の声が聞こえない”……君を通していてもだ。多分だけど、種と君が結んでいたリンクは”強いつながり”によって形成されているから他の声を聞けない。もしくは種が君以外の声を無意識に拒否していた可能性もあるけど……おそらくは前者だ。そして、さっきも言ったけどカイザーンが君と使ったリンクは”A”ではなく……”B”なんだ。カイザーンと君には……種と同じくらい”強いつながり”がある。でないと、”B”のリンクは使えないはずなんだ)

 

 

駆(僕とカイザーンに……種と同じくらいの”強いつながり”がある?)

 

コルーリ「カケル、大丈夫ですか?顔が……怖いですよ」

 

駆(僕と種は……血縁であることや、長い時間で形成した関係、その他にも”心臓の移植”と言う物理的な”強いつながり”がある。でも……カイザーンとの繋がりってなんだ?)

 

コルーリ「カケル、聞いていますか?……カケルッ!」

 

駆(アストライスタ―の時に確かに一体になったけど……あれだけで僕と種のように繋がりが出来るのか?Aqライトで無理やり?いや、仮にそうだとしても……種に化けていたあの時、僕は違和感に気付かなかった。Aqライトの認識改竄を使えば可能だけど……でも、思い出せば思い出すほど……あの時、僕の前にいたのは”種”だった。それすらも認識が改竄されたからなのか?でも……やっぱり……)

 

コルーリ「カケルッ!!!」

 

 思考のループに落ちそうになっていた僕に、コルーリは大声で僕の名前を呼ぶ。

 

コルーリ「カケル……お願いですから、何か悩みがあるならちゃんと教えてください。無理をしているなら……一人で悩もうとしないで下さい。心配なんです……あなたを失うのも、あなたが……っ!」

 

 ”あなたが”……の後の言葉を口を押えて物理的に閉ざしたコルーリ。”あなたが”……の後の言葉は予想できる。あなたが……”人間でなくなる”と、言ってしまう所だったのだろう。前回の戦いで見せたエクスの姿、僕の行い……それで僕が傷つき、心と身体に大きなダメージを負っているから……彼女は自分の言葉を止め、僕を気遣ったのだ。

 

駆「コルーリは……優しいよね」

 

コルーリ「……えっ?」

 

 そう……彼女は優しい。この旅で何度も……その優しさに救われてきた。いつだって僕らを信じ、僕らを支えてくれる……僕らの”大切な仲間”。

 

駆「よし、コルーリ……相談があるんだ。移動しながら話すけど……いいかな?」

 

コルーリ「ッ!……はいっ!!」

 

 僕は改めてコルーリの事を信じ、今自分が考えている事について相談しながら目的の”Max Heart”と言うプリキュアさん達の捜索を開始した。

 

 

小泉学園 公園広場

 

コルーリ「カケルとカイザーンの繋がり……ですか。考えてみれば、カイザーンはどうしてあそこまでカケルに執着するんでしょうか?何か大きな理由でもない限り……あそこまで執着しないですよね」

 

駆「うん、最初に接触して来た時は”ベガ”って名乗っていたけど、”2018年”の時点から接触して来ていた……その時点で僕に干渉しているのを考えると……早い段階から僕の事を狙っていたように思える」

 

コルーリ「”2012年4月1日”の時から”カケルは私のもの”と言っていましたし……それ以前にどこかで目を付けていたのでしょうか?」

 

 現在、僕らは公園らしき場所の広場で、僕が疑問に思っているカイザーンとの繋がりについてコルーリに話している。この公園にいるのは、コルーリがここである事が起こるため待機したいと言う事でここで話すことにしたのだが……それはまだ分からない。しかし、コルーリも僕の考えている事を一緒に考えてくれるから、僕が気付けなかった事なども気付けるため、とても頼りになる。

 

駆「あの事件の前……だとしても、あの事件の前って僕は病院で入院してるし、同じ小児科の友達は……僕よりも前に退院するか……”いなくなる”かだったし……あれ?だとしたら……変だな」

 

コルーリ「変……とは?」

 

駆「昏睡状態だった時にね……”夢”をみたんだ。女の子と病院の屋上で星を……天の川を見る夢を。でも、入院してる間に友達になった子に……”女の子”はいないんだ。覚えてる限りでは……だけど」

 

コルーリ「”あり得ない夢”……カイザーンの幻覚でしょうか?」

 

駆「ううん……あの夢をみた時、”懐かしかった”。僕はあの光景を知ってるはずなんだ……覚えてるはずなんだ……僕はあの夢を覚えていた」

 

 そうだ、僕はあの場面を知っている……なのに思い出せない。あの少女を知ってる……絶対に知っている筈なのに……!どうしても……思い出せない!

 

コルーリ「カイザーンはその記憶をカケルから奪ったと言う事でしょうか?いえ……出来事は覚えているから、その”少女”の部分だけを奪ったと言う方が正しいですね」

 

駆「うん、多分そうだと思う。よく思い出すとだけど……僕はこの旅の間もそれを忘れてない。最近思い出したこともあるはずなんだ……この旅の途中でも思い出したはず……あれ?」

 

バタッ!

 

駆「ッ!?だ、大丈夫ですか!?」

 

 コルーリによって導き出された”少女の記憶だけ奪われた”と言う結論……僕はそれに同意しながら、もう一度記憶を思い出して考える。その時、着物を着た年配の女性が躓いてしまったのか倒れてしまう。僕は心配になり、すぐに思考を止めて女性の元に近付いた。

 

年配の女性「ええ、大丈夫ですよ。少し躓いてしまっただけですから……あら?あなた……”時生”さんの所の”進武”くんによく似てるわね」

 

駆「えっ?”進武”って……」

 

黒髪の少女「おばあちゃまっ!」

 

 年配の女性は僕の顔を見ると、信じれない事に……彼女は”おじいちゃん”の名前を口にした。僕はその事について聞こうとしたら……黒髪の少女が友人らしき二名を連れて走り寄って来た。年配の女性を”おばあちゃま”と言っているようだし……おそらく、お孫さんなのだろう。

 

年配の女性「あら、ほのか……お友達も一緒なのね。大丈夫よ、この子が私を心配して駆け寄ってくれたの」

 

ほのか「そう……なの?」

 

 女性のお孫さん、ほのかさんと言うみたいだが……何だろう?彼女は僕に対して”疑い”と……”敵意”を向けてくる。それだけじゃない、後ろの同年代の少女も僕に対して”敵意”を向けている……それに気配の数が変だ。彼女達の気配に紛れて”妖精”の気配が……”4つ”……いや違う。金髪をおさげにした少女の気配は”人間じゃない”から……”5つ”かな?ああ、そうか……僕が敵意を向けられてるのは”邪悪な存在”として認識されているからか。

 

駆「……あの、お孫さんですよね。お婆様の様子では大丈夫そうですが……歩くのが困難な様なら骨折の可能性がありますので、すぐに病院へ。それと……あなた達は”僕”を探していたんですよね?話があるなら……こちらの女性を送り届けてからにしてほしいんですけど」

 

ほのか「おばあちゃま、大丈夫なの?」

 

年配の女性「ええ、この通り……ちゃんと立てますよ。歩くのも大丈夫そうだわ。あなたも、ありがとうね」

 

駆「はい、あの……すいません。お孫さん……ほのかさんとお話がありますので、彼女を少しお借りしてもよろしいでしょうか?」

 

年配の女性「あら~、そうなの?分かりました……ほのか、私はもう帰るわね」

 

 年配の女性はゆっくりと歩きながら公園を後にする。あの足取りなら骨折はないだろう。そして、後ろで控えていた少女二名もお孫さんに並ぶように寄ってきて、漸く僕に向けた敵意を解放する様に声を発する。

 

茶髪の少女「復活して早々……ほのかのおばあちゃんを狙うなんて!許さないからね、”ジャアクキング”ッ!」

 

駆「ジャアク……キング?コルーリ、ジャアクキングって知ってる?」

 

コルーリ「ジャアクキングはドツクゾーン……この時代でプリキュア達と争っていた組織のボスです!あ、あの誤解なんです!カケルは”ジャアクキング”ではありません!」

 

ほのか「ジャアクキングじゃ……ないの?確かに……普通におばあちゃまを助けようとしていたけど……」

 

茶髪の少女「そんなの私達を騙そうとしてるに決まってるって!」

 

 冷静に分析するほのかさん、感情的にこちらを威嚇してくる茶髪の少女……何だろう、かみ合っていないようでかみ合っている……自分の思っている事をぶつけ合えているんだ。信頼し合っている証拠だろう。

 

駆「やっぱり……僕の気配をその”ジャアクキング”と同じに感じたのか……ん?」

 

金髪の少女「・・・・・・」

 

 先ほどから黙っている金髪の少女。彼女に目を向けると……その真っ直ぐに向けられた”目”に目線が持っていかれる……そして、目と目が合った瞬間……。

 

ゴォォォォォオオオオオッ!!!!!

 

駆「ッ!?」

 

コルーリ「な、なんでっ!?」

 

 僕の身体からAqライトが噴き出し始める。まるで……何かに呼応するようにAqライトが放出し、周囲へと広がりながら触れた人々を気絶させ、空を真っ黒に染め上げて……まるで”2012年”の時のバッドエンド空間の様な事態を引き起こしている。

 

ほのか「ッ!?なぎさっ!!!」

 

なぎさ「な、何よこれ~!?ひかり、大丈夫!?」

 

ひかり「邪悪な気配とは違う……あなたは何?」

 

黄色の妖精「なぎさっ!」

 

ピンクの妖精「ほのかっ!」

 

薄緑色の妖精「ひかり、変身ポポ!」

 

ひかり「え、ええ……!」

 

 この事態に動揺する彼女達。そして、先ほどから感じていた妖精の気配の主と思われる”アイテムに化けた妖精”2匹が二人の少女を呼ぶ。それを聞いた”なぎさ”と呼ばれた少女と、”ほのか”と呼ばれた少女はアイテムになっている妖精を取り出す。

 

なぎさ・ほのか『『デュアル・オーロラ・ウェイブ!』』

 

ひかり『ルミナス・シャイニング・ストリーム!』

 

 ふたりは”ハート型のカード”の様なものをアイテムにセットして、カードと手をスキャンすることで虹色の光に、もう一人の少女はコンパクト型アイテムに手をかざすように触れると眩い光に包まれていく。そして、光の中から現れたのは……”黒”と”白”のプリキュアと、プリキュアとは違う”光の使者”と呼ぶべき存在が現れる。

 

ブラック「光の使者!キュアブラック!」

 

ホワイト「光の使者!キュアホワイト!」

 

Max Heart「「ふたりはプリキュア!」」

 

ホワイト「闇の力のしもべ達よ!」

 

ブラック「とっととお家に、帰りなさい!」

 

ルミナス「輝く命!シャイニールミナス!」

 

ルミナス「光の心と光の意志、総てをひとつにするために!」

 

 目の前にいるプリキュアさん達は、凄まじい光の力を持っている。分かる……特に”シャイニールミナス”と名乗った彼女は、例えるなら”光そのもの”だ。しかし、まさか最後の最後でトラブルによってプリキュアさんが”敵”になるとは……だとしても、何とか誤解を解くしかない。変身せず、力も使わずに……説得するんだ!そう覚悟した瞬間、もう一つの気配が僕らの元へとやってくる。

 

長髪の男「貴様が”光の気配”を放つ者か……分かるぞ。お前の放つ光の気配は実に大きい……間違いないな、”クイーン”ッ!!!」

 

ブラック・ホワイト「「サーキュラスッ!!」」

 

駆「僕が……クイーン?」

 

 サーキュラスと呼ばれた男が僕を指さし”クイーン”と叫ぶ。正直この状況はもはや理解できない。プリキュアさん達は僕を邪悪な気配を放つ”ジャアクキング”と、謎の男からは光の気配を放つ”クイーン”と……訳が分からない!

 

サーキュラス『貴様の気配は”あのお方”の覚醒を妨げる……ここでプリキュア共々消えるがいい!ザケンナーッ!!!』

 

ザケンナー『ザケンナーーーッ!!!』

 

ブラック「あの子……クイーンって言われたよね?ジャアクキングじゃないの?」

 

ホワイト「ドツクゾーンに狙われてるし……何かあるのかもしれないわ!まずはザケンナーを倒しましょう!」

 

ブラック「了解!いくよ、ホワイト!ルミナス!でやあああああっ!!!」

 

 公園にあった噴水を変身させた”ザケンナー”と言う怪物と戦闘を始めるプリキュアさん達。戦闘スタイルは肉弾戦、ブラックは拳による連打を、ホワイトは足技や相手の力を利用する合気道の様な方法で……ルミナスは後方で待機してるが、正直前衛のふたりで戦闘は終わってしまうだろう。ザケンナーが弱り、とどめを刺そうとしたプリキュアさん達だが……。

 

ザケンナー『ザ、ザケンナー!」

 

コルーリ「ッ!?きゃあっ!!くっ……か、カケル……!」

 

駆「コルーリッ!!!」

 

ザケンナーが水の触手を伸ばし、コルーリを縛り上げる。

 

駆「ぐっ!!!コルーリを……離せええええええっ!!!!!」

 

ルミナス「ッ!?いけないっ!!心の光を消してはダメッ!!!」

 

駆「あああああああああああああっ!!!!!」

 

ザケンナー『ザケンナーーーーーッ!!!!!』

 

サーキュラス「なんだ!?この力は……”光”ではない!”闇”でも……くっ!ここは一度引くっ!」

 

 心の中に溢れる怒りに身を任せて、僕はAqライトを右手に集めて光線上にしてザケンナーへと放つ。コルーリを掴む触手を除くそれ以外を飲み込んだAqライトの光線は……ザケンナーを消し去り、僕自身が作ったAqライトの空間に穴を開け……空間自体も消し去ってしまう。それに合わせてなのか、プリキュアさん達の変身は解除され、気絶している人たちも目覚め始める……どうやら命に別状はないみたいだ。

 

なぎさ「嘘っ!?変身がっ!?」

 

ほのか「彼の攻撃で……無理やり解除されたの?」

 

ひかり「ザケンナーを一撃で……それに、彼の闇の気配が消えた」

 

なぎさ「サーキュラスもいない!くそ〜!逃げられた!……って、そんな場合じゃない!あの男の子を……!」

 

 何か話していたプリキュアさん達がこちらに寄ってくる……僕のAqライトで変身が解けたから危なくはないけど、ちゃんと誤解を解かないと。

 

駆「すいません……今度こそちゃんと……話……を……あ……れ?」

 

 プリキュアさん達の方へ振り向くと、僕の身体から一気に力が抜けていく。世界がスローになり、視界が傾いていく……ああ、僕、倒れていってるんだ。

 

バタンッ!

 

カケ…!……ルッ!!しっか…し……ださ…!

 

ちょっ…!あ…た…丈夫!?

 

な…さ、一先ず……チに寝か…まし……!

 

私、ハン…チを濡…して……す!

 

 コルーリとプリキュアさん達たちが僕に駆け寄って来てくれる。何て言ってるのかよく聞こえなくなってきたし……意識も遠のいていく。急激な疲労に耐えられなくなった僕は……ゆっくりと前を閉じて、意識を手放した。

 

 

■■■■■、おほしさまのうたをつくったよ!ラ~ラ~~~ララ~~~ララ~~~ララ!

 

そっか……じゃあ、ぼくが歌詞をつけるよ。そうだな……こんなのはどうかな?わたしたちは星……。

 

わあ~!ステキステキ!このうたは、わたしと■■■■■の”ほしのうた”だね! 

 

 

 病院の屋上で満天の”天の川”を眺める小さい頃の僕と……幼い少女。あの時の夢の続きだろうか?少女が僕に歌を聞かせてくれる。そして、僕はその歌に即興の歌詞を考えて……歌を完成させている。しかし……変だ。僕はこの光景を”知らない”。あの時の夢の続きの筈なのに……知らない。それにあの歌は……種が作った”星の歌”だ。あの歌に歌詞なんてない……それに種が作ったのだって2012年のはずだし……。

 

……ガチッ!

 

駆(幼少期)『おねがい……たすけて……』

 

 楽しく過ごす二人の”時間”が……音を立てて止まる。だが、小さい頃の僕が星に向けていた視線を……”僕”に向ける。その表情は悲しそうで、まるで助けを求めている様だ。そして、小さい頃の僕は……”僕”に向かって”助けて”と呟く。その言葉を聞いた僕は、眩しい光に包まれ……意識が現実へと引き戻される。

 

 

駆「うわっ!?はあっ……はあっ……!」

 

コルーリ「カケルッ!良かった……目が覚めて」

 

駆「ここって……公園?僕、気を失っていたの?」

 

なぎさ「そうだよ!いきなり変な黒いの出すし、出したと思ったら自分で消しちゃうし……もう、ありえな~い!」

 

ほのか「あなた、ドツクゾーンの仲間じゃないのよね?それに……私達の事を見ても驚いてなかったし……あなたは一体……?」

 

 目を覚ました僕はベンチで寝ていたらしく、それをコルーリとプリキュアさん達で見守ってくれていたらしい。そして、意識を取り戻した僕にプリキュアさん達が質問をしてくる。僕が誰なのか、何故プリキュアである自分たちを見ても驚かなかったのかを……僕はまだ頭がぼんやりしているため、コルーリに僕らの説明を頼む……”ネツゾーン”がプリキュアの歴史が改竄された事、それによりプリキュアが消えた事、その原因であるネツゾーンと僕たちが戦っていることを。

 

コルーリ「そして、私がプリキュアの皆さんを助けるためにアカシック王国から派遣された妖精のコルーリです。そしてこちらが……2019年の未来から私に協力し、ここまでプリキュアの皆さんを助けてきた”アカシックのプリキュア”である……」

 

駆「時生 駆……です」

 

なぎさ「つまり……どう言う事?」

 

ほのか「ふたりは……未来から来た……つまり”未来人”!?すごいわ!僅か14年で時間旅行の技術が確立するなんて!」

 

 なぎささんの方は僕たちの説明に疑問を浮かべているが、ほのかさんの方は……少し勘違いしているみたいだが話は理解しているようだ。そして三人目のひかりさんは……ただ真っ直ぐに僕の事を見ている。すると、ひかりさんが僕に向かって質問をしてくる。

 

ひかり「あの……あなたの中にある”力”はなんですか?私には”闇”のようにも感じますが……”光”でもある様に感じます。それも……とても大きい。普通の人が持ってはいけない程……強力な力。それはあなた本来の物……です。全てを生み出すことも、総てを飲み込むこともできる……その力は何なんですか?」

 

駆「これはAqライト……世界を書き換える力です。人の生きた時間を、築き続けた時間を、生きている存在を……命を冒涜する……絶望が生み出す力」

 

ひかり「絶望が生み出す力……でも……」

 

 ひかりさんの質問に……僕は正直かつ簡潔に説明する。Aqライト……絶望によってどこまでも大きくなる力。世界を書き換え……命の価値をどこまでも軽くし、生きる事も、死ぬ事も……思いのままにして、人生を冒涜する代物……それがAqライトだ。しかし、それを聞いたひかりさんは、どこか腑に落ちないような表情をする。まるで、Aqライトが……”それだけのものではない”かの様に感じているみたいだ。

 

なぎさ「ん~~~!ああ!この空気もうムリ~~~!!もっと楽しい雰囲気で話そうよ!あっ!そうだ!自己紹介しよう!私、”美墨 なぎさ”!私立ベローネ学院の中等部三年生!ほら、ほのかとひかりも!」

 

ほのか「はいはい♪私は”雪城 ほのか”と言います。なぎさと同じ三年生よ。改めて、おばあちゃまを助けてくれてありがとうございます。お礼が遅くなっちゃってごめんなさい」

 

ひかり「私は”九条 ひかり”と言います。なぎささん達の後輩で一年生です」

 

僕の重い雰囲気を感じたのか、なぎささんが急に大きめの声で話を始める。楽しい雰囲気にしようとしているらしく、自己紹介を始めてくれた。それに巻き込むように他のふたりも自己紹介をしていく……なるほど、この人がなぎささんがこのメンバーを支えている……リーダーの様なものなのかもしれない。多分、そんな役目とかは決めてはいないのだろうけど……でも、彼女の雰囲気は確かに心が明るくなる……そんな魅力の持ち主だと思う。

 

駆「えっと……僕は二年生なので、なぎささんとほのかさんは”先輩”で、ひかりさんは”後輩”ですかね?」

 

なぎさ「へ~!駆君って二年生なんだ!どこの学校?」

 

って、何を楽しげに話してるメポ~~~ッ!!!

 

 僕らが楽しそうに話しているのを感じたのだろう……なぎささんの持っていたケースから先ほどの黄色い妖精が顔を出した。

 

なぎさ「こらっ!勝手に顔を出さないでよ~!あ、駆君にも紹介するね!このうるさいのは”メップル”って言うの!」

 

メップル「なぎさには言われたくないメポ~~~!」

 

ほのか「も~、相変わらずなんだから♪駆君、こっちは私のパートナーの”ミップル”よ」

 

ミップル「ミップルミポ!よろしくミポ~!」

 

ひかり「”ポルン”、”ルルン”、ふたりもご挨拶して」

 

ポルン「ポルンポポ!駆も”プリキュラ”ポポ?」

 

ルルン「ルルンルル!」

 

 仲の良さが分かるような喧嘩をするなぎささんとメップル、信頼し合っているほのかさんとミップル、まるで子供でも見ている様に接するひかりさんと、まだ幼いせいかプリキュアを”プリキュラ”と言い間違えているポルンとポルンの妹のようなルルン……今まで見てきたプリキュアさん達と同様に妖精たちと仲が良いのは間違いない。そう言えば……気になる事があったのだ。僕はそう思い”ひかりさんに”質問をする。

 

駆「ひかりさん、少し聞きたいんですけど……ひかりさんは”人間ではない”ですよね?」

 

ひかり「ッ!?」

 

なぎさ「えっ?」

 

ほのか「駆君……分かるの?」

 

ポルン「・・・・・・ひかり~?」

 

ひかり「大丈夫よ、ポルン。あの……それは……」

 

♪~~~!♪~~~~~!♪~~~~~~~!

 

 僕の質問を聞き、驚きの表情をするMax Heartの皆さん。ひかりさんを心配する様に声を掛けるポルンに優しく大丈夫と伝えると、ひかりさんはどこか辛そうな表情で僕に何かを言おうとする……しかし、それを遮るようにどこからチャイムの様な音楽が流れだす。それを聞いたコルーリは急にそわそわとし始める。

 

コルーリ「このチャイム……いけない!もうこんな時間!?み、皆さん!一先ず、近くの林へ隠れて下さい!」

 

駆「ど、どうしたの、コルーリ!?」

 

コルーリ「理由は隠れてから話します!カケルも早く隠れて下さい!皆さんも早く!私は”この時”、皆さんを見ていません!だから、隠れていないと”時間的矛盾”が発生してしまいます!!!」

 

駆「わ、分かった!皆さんもお早く!一先ずコルーリの言う通りにしましょう!」

 

Max Heart「「「わ、分かった(わ)(りました)!」」」

 

 僕たちは焦り出すコルーリの意見に従い、公園のベンチの後ろに広がる林に入り、姿を隠せそうなこんもりとした低木の裏にしゃがんで身を隠す。コルーリが言った言葉……”この時、皆さんを見ていない”、”時間的矛盾が発生する”……これらの発言から分かる事は……おそらく……。

 

駆「コルーリ、もしかして……もうすぐここに、”過去のコルーリ”が来るの?」

 

 そう……”過去の自分が現れる”事だ。この時と言う事は自分が”一度”体験しているから言えるし、時間的矛盾とは自分の体験した事と差異が出来る……”タイムパラドックス”の事だ。つまり、”もうすぐ過去の自分が来るから、矛盾が出来ないように姿を隠してあの時の状況にしてくれ”……って、言うのがコルーリの求めていたオーダーだったわけだ。

 

コルーリ「はい……もうすぐこの公園に、この時代にいた”特異点”が来るんです。カケルと接触する前の……私が一番最初に接触した特異点の男性と女性の二名」

 

なぎさ「何言ってるのか……さっぱり分かんない」

 

ほのか「つまり、過去が変わってしまわないように辻褄を合わせたのね」

 

駆「それで……これから何が起きるの?」

 

「私は……これから二人に妖精の姿で接触します。このチャイムが鳴った後、私はこの公園を通る二人を見つけて……来た!あの二人です!」

 

駆「あの二人……えっ?」

 

 コルーリが指さす二人の人物……その姿を見て僕は驚いた。二人の年齢は四十代程だが……僕はその顔に見覚えがあったからだ。女性の方は黒いとても綺麗な髪を腰まで伸ばしており、男性の方は茶髪の短めの髪に……少しだけ更けているが、”僕と同じ顔”をしていたからだ。これらの情報に当てはまる人物を僕は知っている……僕は確認する様に、大切にしまっていた一枚の”写真”を取り出す。

 

あ、あの……すみませんチュン!

 

ん?……なあ、”廻”……今、何か聞こえなかったかい?

 

そうね……あら?”進武”、もしかしたら……この子じゃないかしら?ほら、そこにいる青い綺麗な羽の小鳥ちゃん。

 

駆「時生の……おじいちゃんと……おばあちゃん……!」

 

僕ら目の前に現れた”特異点”は……僕の手にある写真より二十年以上の時間を生き、この年に亡くなってしまう……時生のおじいちゃんとおばあちゃんの姿だった。

 

 

To Be Continued……




いかがだったでしょうか?結構早い段階で二人は特異点にしようと考えていたんですけど……伏線としては、コルーリが写真を居た時に”見覚えがある”と言った事、音吉さんが進武の実家は”小泉学園町”にあるって言った事です。小泉学園はMaxHeartの舞台になっている町ですから、勘のいい人は気付いていたかもしれないですね。
次回は、過去のコルーリ、駆の祖父母の前に現れるネツゾーン三幹部!?その三人を消したのは……なんと”デリート”!?その三人を消した後、現れたのはパワーアップしたフェイク!立ち向かうエクスとMaxHeartの三人……エクスはAqライトに溺れることなく戦い、フェイクを退けることは出来るのか!?乞うご期待ください!
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