ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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HUGっと!プリキュア編、駆と種に起きた事件が明らかになります。あと新キャラだします。


第四話:暗闇に星(Vega)が射し、輝く花(Yell)は未来を示す

side:フェイク

 

フェイク「…過去の”記録”が変わった…そうか!キュアシード!過去の俺を退けたのか!!」

 

俺たちネツゾーンは、曖昧で、忘れ去られる”記憶”と言うものを持たないが、”記録”として俺たちは過去を覚えている。今、HUGっと!プリキュアを倒した際の記録が書き換わった。

 

(あいつだ!キュアシードがやったに違いない!!!)

 

フェイク「待ってろよ……キュアシード…”三回目”だもんな!いい加減むかつくからよ~!」

 

フェイクは怒りと興奮を胸に”キュアシード”がいる2018年へと向かう。

 

 

side:HUGっと!プリキュア

 

ほまれ「何なのあいつ!」

 

ハリー「ちょっとは落ち着けや」

 

ほまれ「でも!はぐたんを泣かせたんだよ!」

 

駆がはぐたんを泣かせたことに強い怒りを示すほまれ。ハリーは落ち着くように促すが、怒りは一向に収まらない。

 

さあや「でも…なんか変じゃなかった?」

 

えみる「?…何が変なんですか?」

 

さあや「駆君ね…はぐたんが手に触れそうになる時に”触っちゃダメだ”って言ったの」

 

はな「”触っちゃダメ”?」

 

さあやは、駆の言葉”触っちゃダメだ”と言う部分に違和感があると言う。その言葉は何を意味するのかを私たちは考える。

 

ほまれ「”触るな”って事じゃないの?私が止めようとした時はそう言ってたし」

 

さあや「でも、それならはぐたんにも、ほまれと同じように”触るな”で済むと思うの」

 

ルールー「言葉をそのまま考えれば”触ってはいけない”と注意しているように思えますが…」

 

ほまれ「何でただ手に触るだけであんなに強く注意されなきゃなんないの?ありえないでしょ」

 

駆の”触ってはいけない”という言葉は、触れることを注意するためではないかとルールーは考える。しかし、ほまれは手に触れるだけであれほど強く注意する必要はないと言う。

 

コルーリ「もしかしたら…あの事かもしれないチュン」

 

はな「あの事?」

 

コルーリ「カケルの意識がないとき、タネが駆の身体を使って私に話してくれたことがあるチュン…」

 

はな「教えて!どんなことなの?」

 

コルーリ「………とても…つらい”事件”の話チュン…カケルが人と触れることを止めてしまった…理由チュン」

 

コルーリは種ちゃんから聞いた話を私たちにしてくれた。それは…とても耐えられない内容だった。そんな過去を背負ったまま…駆君は…今まで過ごして来たなんて…。

 

はな「ッ!!!」

 

さあや「はな!?」

 

えみる「どこに行くつもりですか!?」

 

はなは、急いでビューティーハリーの扉を開けて、外へと走っていく。彼の…駆の傍にいくために…。

 

 

side:駆

 

駆「…………」

 

僕は知りもしない道を歩いている。ビューティーハリーでの僕の行いを思い出し後悔する。

 

駆(いつもそうだ…やっぱり僕は…誰とも触れちゃいけない…関わっちゃいけないんだ)

 

プリキュアの力…それを間接的にも手に入れたから…変われると思っていたのが間違いだった。

 

駆(自分は…変わることできない!一生…罪は消えない…)

 

駆(未来なんて…僕には…ない…!)

 

駆(タネ…種…聞こえる…?)

 

種の肯定の言葉はない。否定の言葉もない。何度語り掛けても、種の声は聞こえない。

 

駆(種との”リンク”が切れてるのか…)

 

僕と種は精神内で会話ができ、僕たちはそれを”リンク”と呼んでいる。以前も今回のようにリンクが切れたことがある。僕が心を強く閉ざしたり、精神的に強いストレスを受けた時、僕の心が強制的に種との意思疎通を切る場合がある。長ければ一か月はリンクは繋がらない。

 

駆(どこに行けばいいんだろう?)

 

行く当てもなくさまよっていると、空から雨が降ってくる。僕は雨の中を走り雨宿りできる場所を探す。すると、緑に囲まれた公園に東屋があったのでそこで雨宿りすることにした。

 

駆「…雨でも…僕の罪は流せないか…ハハ…」

 

ずぶ濡れの僕は両手を確認する。しかし、そこにあるのは”赤く汚れた両手”だった。

 

種『お兄ちゃん!!だめええええええ!!!!!』

 

バーーーーーン!!!!!

 

駆「うっ!?」

 

過去の記憶がフラッシュバックする。種が…僕をかばった記憶…命を落とした瞬間の記憶。強い吐き気を堪える様に口を押える。

 

?「苦しんでいるのね…あなた…」

 

駆「えっ?」

 

そこにいたのは、僕と同じくらいの少女だった。黒いストレートの髪が腰まであり、黒いワンピースの上に白いコートを身に着けている。初対面のはずなのに、僕は彼女を知っている気がした。

 

駆「…き、君は?」

 

?「私?そうね…”正義の味方”…だった人…かな。あなたも好きでしょ?正義の味方?」

 

駆「…どうだろうね」

 

少女は自分の事を”正義の味方”だったと言う。意味の分からない内容に僕は適当に返す。

 

?「それなら…”ベガ”って呼んで。夏の大三角形の星の一つ。私の一番好きな星の名前」

 

駆「ベガ…か。僕の妹も…その星が大好きなんだ…。きっと…気が合うよ」

 

ベガ「どうかしらね。でも、今のあなた…少し笑えているわよ」

 

駆「え?」

 

確かにさっきに比べたら気分も悪くないし、星の話が出てきて楽しくも感じた。自分が笑えるなんて…思わなかった…。

 

ベガ「もう大丈夫みたいね!なら…私はもう行くわ」

 

駆「ね、ねえ!えっと…あ、ありがとう」

 

ベガ「ふふっ…どういたしまして!さようなら、私の”アルタイル”」

 

ベガはそう言い残すと、雨の中へと消えて行ってしまった。不思議な雰囲気の少女だったが、いい人なのだと思う。きっと種と会っていたら友達になれたのではないだろうか。

 

駆(しかし…なぜ僕がアルタイルなのだろうか…)

 

アルタイルは、わし座で最も明るい恒星で夏の大三角形の星の一つで知られ、天の川の彦星としても知られている。僕が”彦星”だとすれば…ベガは”織姫”ということになるのだろうか。

 

はな「駆君!!」

 

駆「はな…さん?」

 

はなさんが息を切らして走ってくる。出来れば…会いたくはなかった。さっきの事を責められてしまうとおもうから。しかし、それは違った。

 

はな「ごめんなさい!!!」

 

駆「え?…なんで…謝るんですか?謝るのは…僕の方ですよ?」

 

はなさんは僕に謝ってきたのだ。雰囲気を悪くしたのも、はぐたんを泣かせてしまったのも、僕の責任なのに…なんであなたが謝るんだ?

 

はな「駆君は…はぐたんを注意するため…ううん、はぐたんを”汚さないため”にあんなことを言ったんでしょ」

 

駆「!?…どうして…それを…?」

 

はな「コルーリから聞いたの。種ちゃんがコルーリに教えてたんだ…事件の事…」

 

種が教えていた?いつ?…まさか僕がプリキュアカーシャで気絶していた時か?その時に話したとすれば、僕が覚えていないのにも説明がつく。

 

はな「教えて!私、駆君の事ちゃんと知りたいの!!」

 

駆「…他人に話すのは…初めてです。…分かりました…お話しします」

 

はなの熱意に押され、僕は話し始める。

 

駆「僕は…人の命を奪ってしまったことがあるんです…」

 

 

2012年 4月1日

 

僕たちは、一度誘拐されたことがあるんです。その時、種が男に襲われたんです。僕は…その時落ちていた男の銃を…男に向けて引き金を引きました。種を…妹を襲っていた男を…僕は…。

 

駆『はあ…はあ…はあ…タネ……種!」

 

床一面に真っ赤な水たまりができたみたいになっていました。僕はその中を…四つん這いになりながら進んで種のところまで行ったんです。

 

種『お兄…ちゃん…お兄ちゃん!…お”兄ち”ゃん”!!!』

 

駆『大丈夫…だよ。僕が…種を…守るから…ね…うっ!?』

 

その時、胸に強い痛みが走ったんです。もともと心臓が弱かった僕は、入学式だけでも参加させようと言う家族の意向で、一時退院していた状態でした。今考えると…あれは余命わずかの僕を想ってのもの…だったのかもしれません。

 

誘拐犯『おい!どうした!今のは何の音だ!?』

 

種『っ!?』

 

誘拐犯『こいつは…!?お前がやったのか!!!このガキ!!!!!』

 

誘拐犯の一人が僕に向けて銃を向けたんです。そして…

 

種『お兄ちゃん!!だめええええええ!!!!!』

 

バーーーーーン!!!

 

駆『た・・・・ね・・・・」

 

一発の破裂音、周囲に飛び散る赤い水滴、倒れていく種の姿。僕の記憶はそこで終わっています。警察から聞いた話では、銃声が二発聞こえた時点で突入して誘拐犯一名を逮捕し、意識のなかった僕、種ともう一人も病院へ運ばれました。

 

駆『ここ……は…?』

 

看護師『あ!?せ、先生!駆君が!』

 

僕が目覚めたのは、よく知った病院の病室でした。ぼんやりする意識と胸の痛み…聞きなれた先生と看護師さんの声…そして避けようのない現実が僕を待っていました。

 

警察『駆君、落ち着いて聞いてほしい。妹の種ちゃんは…なくなったんだ』

 

駆『・・・・・』

 

警察『駆君、あの場所で何があったか…話してほしい。銃になぜ君の指紋が…』

 

認めたくなかった現実を突きつけられました。その後の警察の質問は何を聞かれて、何を話したのか…全く覚えていません。そのあと僕は、退院することになったんです。心臓の病気が完治したから。心臓のドナーが見つかったんです。それは…”種の心臓”でした。

 

 

はな「種ちゃんの心臓!?」

 

駆「はい。事件の際の発作で、僕の心臓はもう持ちませんでした。そこで急遽、種の心臓の移植が計画されたんです。マッチングも問題なし。移植に支障は出ないと判断されたそうです」

 

 

それ以来です。僕に…種の人格が宿ったのは。

 

?(おにいちゃん…おにいちゃん・・・)

 

駆『タネ?種なの!?どこ!?どこにいるの!?』

 

種(お兄ちゃん…無事でよかった…)

 

この種は僕が精神を病んで生み出した人格ではないかと疑った僕は、様々な文献を読み漁りました。しかし、不可解な部分もありました。僕が生み出した人格なのに、種しか知りえない6年分の記憶があったことです。

 

 

はな「何で種ちゃんしか知らない記憶があったの?」

 

駆「…ある文献にこう言った事例がありました。”臓器移植をした患者に、臓器提供者の人格が宿る”と」

 

はな「それって…」

 

駆「臓器移植した患者が、臓器提供者の過去を言い当てたり、行ったことのない場所の地理が分かったり…つまり、過去の記憶を持った人格が宿るということです。たぶん…僕はこの特殊な事例なのだと思います。…話を戻しましょうか」

 

 

僕は種の人格宿ったことを隠し、日常を送ることにしました。苦しい事がたくさんあるけど変われると思っていたんです…あの時が来るまでは。

 

駆『…あれは?』

 

種(お葬式かな…)

 

誰かのお葬式。それだけなら何ともなかったと思います。でも一人だけ”遺影を持った女の人だけの”お葬式…その遺影に写っていた顔は…”僕が引き金を引いた男”の顔だったんです。

 

駆『あ・・・』

 

種(!?…いや…!?)

 

女の人は悲しんでいたんです。涙をハンカチでずっと拭いながら声を上げて泣いていたんです…ずっと…ずっと……。

 

駆『ア…あ……あぁ…』

 

僕は…奪ってしまったんです。あの女の人から…大切な家族を…種を襲った人だとしても…僕はその命を奪って…絶望させてしまったんです。

 

『なんで私の息子を■したの…?』

 

駆『え…!?』

 

泣いているはずの女の人の声が耳元で響きました。そして言葉を続けるんです。

 

女の人『あなたの手を見なさい…』

 

駆『ア…アア…アアア!?」

 

女の人『あなた手は…こんなにも穢れている…!』

 

両手を見ると、そこには”赤く汚れ切った手”がありました。引き金を引いた後、四つん這いで這いずった時についた”赤い水たまり”…手にこびりついて離れない生暖かさと、滑りが一瞬にして目の前に現れたんです。

 

駆『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

2018年 はぐくみ市 のびのび町

公園

 

駆『これが…僕の過去です…。あれ以来ずっと…僕の手は汚れたままなんです!だから…だから!僕は人と関わらないようにしたんだ!触れないようにしたんだ!誰も汚したくないから!!誰にもこんなもの触れさせたくないから!!!こんな思いをするのは僕だけで十分だから!!!!!」

 

はな「駆君…」

 

駆『僕は…これから一生…人と触れ合わない…。人を汚してしまうくらいなら…僕が一人でいるだけでみんなを汚さずに済むなら…僕だけが苦しめばいいんだ!!!!!」

 

はな「っ!!!」

 

僕は自分の考えを感情のままにはなさんにぶつける。そんな僕をはなさんは優しく”抱きしめる”。

 

駆「は・・・はなさん?」

 

はな「そんなこと…言っちゃだめだよ。駆君も幸せにならなくちゃ…絶対だめだよ」

 

僕を抱きしめるはなさんから離れ、僕は言葉をぶつける。

 

駆「できないよ…出来る訳ないよ!!!」

 

はな「できるよ!!!だって駆君の未来は無限大なんだよ!」

 

駆「無限大…?僕の…未来が…?」

 

僕の未来にそんなものある訳がない。なのに…なんで……はなさんは僕の事を信じられるんだ?まだ会って少しの僕を…どうしてそんなに信じられるんだ。

 

はな「一人ぼっちだとね…心がすごく冷たくなるの。それで人を傷つけてしまった子を私は知ってる。”ミデン”って言ってね…ずっと一人ぼっちだったけど、今は違うの!たくさんの思い出を作って未来を信じてる。だから、駆君だってきっと変われる!信じて駆君…自分の事!なんでもできる!なんでもなれる!フレフレ!駆君!」

 

駆「はなさん…」

 

はなさんのエールが僕の心へと響いてくる。痛かった僕の心の中が、少しだけあったかくなるのを感じる

 

駆「…まだ…全部は信じられないけど、いつか…この手で……誰かの手を握れるかな?」

 

はな「うん!きっと出来るよ!だから…ね!」

 

はなさんが右手を差し出してくる。振っていた雨が止み、雲の間からさす光が降り注ぎその手は輝いている。

僕は真っ赤に汚れた手をゆっくりと、輝きへと進め…握ろうとする。その時だった。

 

コルーリ「カケル~!大変チュン!大変チュン!!」

 

駆「コルーリ!どうしたの?」

 

コルーリ「フェイクが現れたチュン!HUGっと!プリキュアの4人は今戦ってるチュン!」

 

はな「みんなが!?駆君!行こう!」

 

駆「うん!」

 

フェイクが現れたと聞いた僕たちは、みんなの場所へ向かう。この時代のために…未来のために…。

 

 

To Be Continued……

 




いかがだったでしょうか。次回でHUGっと!プリキュア編最終話になると思います。駆がはなから受けたエールは、どのように駆を導くのか?乞うご期待ください!ベガは今後の物語にもちょくちょく出てくると思いますので、お楽しみに!
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