ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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ごきげんよう、32期です。今回から”ヴァールハイト・プリキュア編”をお送りします。長き旅を越え、プリキュアと過ごし、自分を変えてきた駆。彼が辿り着いたのは”2019年”!そこで待つネツゾーンの首領”カイザーン”との戦いがメインになってきます。では、お楽しみください。

私事ですが、わたくし32期、8/14に誕生日を迎えました! 8/7、8/16はキュアブルーム・ブライトの”日向咲”ちゃん、キュアアースの”風鈴アスミ”ちゃんの誕生日でした。咲ちゃんは笑顔が眩しい女の子で、前回の誕生日の時はまだ登場すらしてなかったんですよね。今回はちゃんと書いた後なのでちょっと安心。Splash☆Starは実は視聴したことが無かったので、ちゃんとアマプラで視聴してたのですが……結構面白かったです。薫、満のキャラが好きですね~!本当は本編で登場させようとしたんですけど……ちょっと話がさらに変になると思ってやめたんです。いつか、花鳥風月砲の時にでも出してあげましょう。アスミンは……ビジュアルに釣り合わない知識ゼロが面白かったですね!路上に寝たのと、箸の時の顔は……今でも昨日のように思い出せます。個人的には変身時に髪を下ろすのが……めっちゃ好き!おっと……話が逸れましたね。では、咲ちゃん、お誕生日おめでとう!アスミン、一歳の誕生日おめでとう!絶対にヒープリ編で出すからそれまで待ってね~!!!


ヴァールハイト・プリキュア編
第五十八話:運命の日へ!突入、ネツゾーン城!


2019年4月30日PM19:21 プリキュアカーシャ 操縦室

 

side:コルーリ

 

コルーリ「こちら”特殊緊急時派遣隊”コルーリ、指定座標に到着しましたチュン」

 

クアライト『確認した、その場で作戦開始まで待機せよ。では……これより、作戦会議を始めるクア。ペック、発見したネツゾーンのアジトについてもう一度報告したまえ』

 

ペック『はいッキー。発見したアジトがあるのは"2019年の多田織市"に存在している巨大な"城"です。ただ、オリジナルの2019年が別に存在する事からも分かる様に"パラレルワールド"である可能性が高いキー』

 

 私達はネツゾーンとの最終決戦ための会議をお父様、ペックを交えて行っている。2019年……全てが始まった場所"多田織市"。今、私とカケルがいるのはその”パラレルワールド”……この”パラレルワールド〈2019〉”にネツゾーンのアジトは隠されていたのだ。

 

クアライト『パラレルワールド……ふむ、その時代に生きる人間達の様子や街の状況はどうクア?』

 

ペック『街に……いや、その世界に生体反応がほとんどなくて……恐らく人、動物などの生命体はいないと思われますキー。辛うじて植物がある位……だが、住宅やビルなど明らかな人工物はありますから……不気味だキー』

 

コルーリ「アジトが城と言う事ですが……どれ程の規模チュン?」

 

ペック「潜入時にマッピングした城内の見取り図キー。部屋は多いが殆どがもぬけの殻だった。恐らく機能してるのは最上階の部分だけだ。そこら辺が一番セキュリティが頑丈でな……誤って引っかかった時は肝を冷やしたが、フェイク以外の三幹部もいなかったのが幸いしたキー。なんとか脱出する事が出来た」

 

 ペックが表示した城の見取り図に目を通すと……その規模はかなり大きい。全長200mの5層建て、一番広い一階のフロアは……カケル達の世界にある”東京ドーム”と言う建物と同様の広さがある。そんな信じられない程の大きい城が……。

 

ペック『以上が、ネツゾーンのアジト……空中に浮かぶ城"ネツゾーン城”のデータですキー』

 

 多田織市の上空に”浮いた状態”で……存在しているのだ。

 

クアライト『ふむ……再度の潜入、それがキュアエクスとなれば、カイザーンであっても警備の強化はあり得るクア。しかし、カイザーンの目的がキュアエクス……カケルである事も考えれば……』

 

ペック『警備をせず自分の元へと抵抗なく通す……と?』

 

クアライト『コルーリ、航行中の報告にあった2005年の戦闘後に現れたインペイルが残した言葉……それはカイザーンがカケルに向けたメッセージと言うのは本当クア?』

 

コルーリ「はいチュン。”アルタイル、あなたに捧げる全ての用意が出来た。5月1日……玉座の前で待つ”……と」

 

ペック「何の因果か……明日が”5月1日”キー。つまり、明日来ることが分かってるって事だろ。それも待ってると来たもんだ……クアライト博士、奇襲をかけるために今日の内に”潜入”を仕掛けるのはいかがですキー?」

 

 ペックの出した提案はカイザーンの待つ明日”5月1日”ではなく、今日の内に潜入して奇襲をかけると言うものだ。ペックの情報で殆ど警備がない事は分かっているし、意表を突くのは間違っていない……しかし、カケルはフェイクとの戦闘からまだ回復しきっていない。2005年から出発して約14時間……一日も休めていない状態のカケルを戦闘に出すわけにはいかないし、精神的なダメージだって癒しきれていないはずだ。

 

クアライト『……コルーリ、君の意見はどうかね?』

 

コルーリ「……カケルのダメージは、肉体的にも精神的にも癒えていません。潜入すれば”三幹部”との戦闘だけでなく、”カイザーン”との戦闘は避けられません。そのうえ警備の配置も想定されますから……最大限の回復、準備は……必須と考えまチュン」

 

ペック『それを見越しての奇襲だキー!エクスは少なくとも14時間の休息は取っているから、あと数時間でも休息を取れば戦闘は出来るはずキー!それに奇襲なら警備の配置も最小限だし、多少の不利もカバーできる!』

 

コルーリ「それはそうですが……相手はあの”カイザーン”チュン!カケルがAqライトの完全制御、全てのプリキュアのエネルギー、二種類のスーパーQaライトを持っている状態だとしても……カイザーンは未知数チュン。あいつはここまで本気と言う物を一切見せていないチュン。フェイクは負傷して戦闘に出て来ないかもしれないチュンが、強化されたマーネルとインペイルの存在もある……不確定要素が多い現段階では、やはり最善を取るべきチュン!」

 

クアライト『……そこまでだ、二人共。分かった……では、二人の意見を聞いた私が今回の作戦を決定するクア。コルーリ、今回の作戦決定をするのは私だ……だから、何かあった時に恨むのは……私だけにしなさい』

 

コルーリ「ッ!?……はいチュン」

 

 言い争いになりそうな私とペックを止めるお父様。そして、私達の話を聞いていたお父様が言った言葉は……作戦の決定は自分がすると言う物だった。これは”作戦責任の全てを自分が持つ”と言う意味であり、もしその際に何かが起きた時、”全責任を負う”という事なのだ。お父様がカケルの命を預かる……だから、自分の決定でカケルを危険に晒すことの責任を持ち、ペックの作戦を採用しても、私の作戦を採用しても……”悪いのは自分だから、自分自身を、ペックを恨むな”と言う意図を込めて……私に言っているのだ。真剣な表情で伝えられるその言葉を聞いた私は……お父様の覚悟を感じたので、それに応えるように頷いた。

 

クアライト『では、作戦を発表する。コルーリ、キュアエクスの両名は明日”5月1日AM12:00”より、プリキュアカーシャ”モデル1”で上空にあるネツゾーン城へ向かうクア。到着後、キュアエクスは城内へ潜入、コルーリ……お前はネツゾーン城から離脱し、上空でアカーシャを停止しそこで待機、アカーシャからキュアエクスをモニタリングしサポートをするクア』

 

コルーリ「ま、待って下さい!それではカケルが……!」

 

クアライト『発言は……後にするクア。今回の作戦指示は……私が”直接”2019年に赴いて行う。ペック、一度アカシック王国に帰投してくれたまえ。私が合流したら再度2019年へ出発、その後は私の指示に従って行動してほしい』

 

ペック『りょ、了解しました!すぐに発進しますキーっ!!』ブチッ!

 

クアライト『そうしてくれたまえ。以上が今回の作戦の内容だ……コルーリ、作戦に対しての意見はあるかね?』

 

 真剣な表情で私に語り掛けるお父様が、私に意見があるかを問う。そんなの……決まってるチュン!

 

コルーリ「お父様、ネツゾーン城にカケル一人を侵入させるのは危険です!私も……カケルと一緒に潜入しますチュン。元の姿なら邪魔になりませんし、マッピングによるサポートもハッキングも出来ます!ちゃんと実践訓練も受けています!必要なら武装だって……!」

 

クアライト『コルーリ、お前は……もう自分の立場が分かっているクアね。お前はアカシック王国の王女……マウティの娘クア。お前は私達アカシック王国の希望……危険に晒すことなどできない』

 

コルーリ「だからって……カケルは危険に晒しても良いと言うんですかっ!?」

 

クアライト「キュアエクスは、もはや私達が想像する以上に成長し、その力をコントロールするまでに至っている。コルーリ、正直に言うクア……お前は今の彼にとって、戦闘では”足手まとい”にしかならないクア」

 

コルーリ「ッ!?……それは……そうですけど……!でも……!でも……!!」

 

 分かっている……自分が今のカケルにとって”役立たず”の”足手まとい”だという事は。しかし、それに納得して良い訳がない!私は……もう廻さんと進武さんを置いて逃げた役立たずなんかじゃない。カケルと共に時間を越えて成長してきた!だから……きっと……!

 

クアライト『コルーリ、万物を改竄する事の出来るカイザーンと、それに匹敵する能力を得たキュアエクスの戦闘は……間違いなく周囲へ影響を及ぼす。2019年の世界だけではない……時間、空間に干渉してパラレルワールド全土に被害が出るだろう。その様な戦闘の近くとなれば……影響は計り知れない」

 

コルーリ「それでも……!」

 

クアライト『コルーリッ!!!』

 

コルーリ「ッ!?」

 

クアライト『お願いだ……!マウティも……私も……!お前を失いたくなどないんだ!マウティがお前を守る為にしてきた全てを……マウティがお前と会いたくても我慢し、泣きながらも女王としての務めを果たしてきた事を……無駄にさせないでくれクア……!』

 

コルーリ「お父……様……」

 

 作戦や任務に対して他人にも、自分にも厳しいお父様が……泣いていた。お父様が作戦に私情を挟むなんて……今まで見た事がなかった為、私がお父様とお母様にどれだけ愛されているのかを……改めて感じた。

 

クアライト『……報告は以上クア。コルーリ、作戦内容をカケルに通達したら、作戦開始まで……しっかりと休むように……では……』ブチッ!

 

コルーリ「カケル……私は……」

 

チュンチュンチュンチュンチュンッ!

 

 ペック、お父様とも通信が切れ……静かになった操縦室。するとそこに、再び通信が入ってくる。しかもこの音は……アカシック王国の専用特殊回線だ。お父様やその他の最高職、王族だけが使える回線……お父様の回線番号と違うし……一体、誰が……。

 

ピッ!

 

コルーリ「こちら、プリキュアカーシャ"モデル1"……特殊災害時派遣隊……」

 

コルーリ……聞こえる?

 

コルーリ「ッ!?お、お母様!?」

 

アカシック女王『良かった……ちゃんと通信は上手くいっているようですね。これから最後の作戦なのに……ごめんなさいね』

 

 私に専用特殊回線を使って通信してきた人物は……まさかのお母様だった。先程のお父様との事もあって少しだけ気まずいが……一体、何の用だろうか?

 

コルーリ「お母様、あの……一体なんの御用ですか?わざわざ専用特殊回線まで使用して連絡なんて……」

 

アカシック女王『明日、作戦が決行されるとクアライトから伺っています。その事で……色々とね』

 

コルーリ「色々……ですか?」

 

 お母様が私に言いたい事とは……何でしょうか?

 

 

2019年4月30日PM20:00 プリキュアカーシャ 駆と種の部屋

 

side:駆

 

駆「プリキュアプリケーション!インストール!!!」〈ふたりはMax Heart〉

 

error!

 

駆「やっぱりだめだ……”Max Heart”と”Splash☆Star”のプリキュアプリは起動しない……どうしてだろう?」

 

 現在、2005年を出発して約14時間……コルーリはクアライト博士、ペックを交えて作戦会議中だ。作戦決行の時間が分からないからこうやって待機しているのだが……ただ待っているだけでは退屈だ。なので、まだ使っていなかった”Max Heart”と”Splash☆Star”のプリキュアプリを試してみようと思ったのだが……残念ながら起動しない。僕は一度この原因を考えるためベッドに腰を下ろす。

 

ブラック『う~ん……なんかゴメンね。せっかく私達の力を貸すって……お別れの時に言ったのに……』

 

ホワイト『何か……今の駆君に足りないものがあるのかしら?』

 

駆「足りないもの……か」

 

ルミナス『ブラックとホワイトはふたりで変身するプリキュア……ブルームとイーグレットも同じですから、もしかしたら……もう一人のプリキュアが必要なんじゃないでしょうか』

 

駆「つまりシードが……”種”が必要と言う事ですね。ありがとうございます、ひかりさん」

 

 おっと、そう言えば……こうやってブラックとホワイト、そしてルミナスも僕の中にいる。ブラックが言っている話の内容は……僕たちが2005年を出発する前に遡る。

 

 

2006年1月1日AM 0:55 プリキュアカーシャ着陸地点

 

ほのか『もう……行っちゃうのね』

 

なぎさ『寂しくなっちゃうな~……せっかく仲良くなれたのに』

 

駆『妹を……種を助けに行かないといけないんです。そして……プリキュアの皆さんを、世界を、全てを守る為に……!』

 

ひかり『……あ、あの!駆さん、これ……受け取ってください!』

 

駆『これ……”安全祈願”のお守り?』

 

 2005年の出発前、三人が向かった神社で合流して、その後にアカーシャの着陸地点で別れの挨拶をした。その時にひかりさんが渡してくれたのは……安全祈願のお守りだった。

 

なぎさ『駆君、これからが一番大変なんでしょ!だから、安全祈願!』

 

ほのか『私達で選んだものなの。気にってくれたかしら?』

 

駆『はい、ありがとうございます!大切にしますね!あっ!そうだ!すいません、三人にお願いがあるんですけど……これ!色紙にサインをお願いします!』

 

なぎさ『えっ!?さ、サイン!?な、何書けばいいんだろう……ああ~~~っ!!!もうわっかんな~~~い!!!!!』

 

メップル『なぎさ、いいからさっさと書くメポ~!』

 

 三人にちゃんとサインも書いてもらった……種が始めたサイン集めもこれで終わり。書いてもらった色紙は全て部屋に飾ってあるのだが……結構、壁いっぱいにはなったかな。

 

なぎさ『こ、これで良いかな?』

 

駆『はい、バッチリです!それと最後に……握手をお願いしてもいいですか?』

 

ほのか『ええ、勿論よ!』

 

ミップル『ミップルもやるミポ~!』

 

ポルン『ポルンもやるポポ~!』

 

ルルン『ルルンもやるルル~!』

 

ひかり『うふふっ!ええ、みんなでやりましょう』

 

 なぎささん、ほのかさん、ひかりさん、メップルとミップルにポルンとルルン……皆と握手を交わし、心を重ねてもらった。これも……最後になると思うと少しだけ……寂しいな。

 

コルーリ『カケル、準備が出来ました』

 

駆『分かったよ!それじゃあ……そろそろ行きます』

 

なぎさ『駆君、頑張ってよ!それに……何かあったら私達も先輩として力を貸すから、遠慮なく使って!使ってくれないなんて……!』

 

駆『ありえな~い……ですね!』

 

なぎさ『そう言う事!』

 

 なぎささんと笑い合ってハイタッチを交わす。

 

ほのか『駆君が世界を救ってくれるって信じてるわ。そして……あなたは一人じゃない。私達プリキュアは皆であなたを支える……その中にきっと駆君のお婆様もいてくれるはずだわ』

 

駆『……はい、おばあちゃんと……それからおじいちゃんも……一緒に行くつもりです』

 

 ほのかさんの言葉に、僕は身に着けているマフラーとコートを撫でながら答える。

 

ひかり『駆さん、どうか……あなたの未来に光があります様に……。そして……』

 

駆『ええ、必ず……光も、闇も……寄り添える様な未来にしてみせます』

 

 ひかりさんの願い……それを最後に受けて、僕はアカーシャへ乗り込む。

 

駆『皆さん、ありがとうございました!今度は……未来で会いましょう!』

 

コルーリ『プリキュアの皆さん、本当に……お世話になりました!』

 

なぎさ『またね、二人共!』

 

ほのか『今度は妹さんも一緒にね!』

 

ひかり『また……TAKO CAFEで待ってますから!』

 

 ハッチが閉まり、アカーシャはQaライトの放出しゆっくりと浮き上がる。そして、アカーシャは空へと駆けあがり、深夜の空に”碧色の流れ星”が流れ……流れ星は空の彼方へと消えていった。 

 

 

プリキュアカーシャ 駆と種の部屋

 

駆「……とりあえず、”Max Heart”と”Splash☆Star”のプリキュアプリは……一先ず保留で。コルーリが作戦内容を伝えに来るまで……僕もカイザーンやフェイク達への対策を色々しないとですから」

 

マリン『あっ!駆、質問なんだけどさ~……正直、カイザーンとかに勝てる可能性ってどんぐらいあんの?フェイクは楽勝だったし……もしかしてカイザーンも楽勝な感じ~?』

 

 えりかさんの言葉……つまり、カイザーンや三幹部に勝てる確率を聞いてる訳だな。強化されたフェイクとの戦闘、Aqライトを完全に制御している今だからこそわかるカイザーンとの戦力差を……僕は正直に答えた。

 

駆「……三幹部が単体でくれば”8割”、二人がかりで”7割”、三人全員で”6割”、そこにデリートで強化された奴を加えれば……攻撃能力、戦闘方法の変化が分からないマーネル、インペイルを考慮しても”5割”ってところです」

 

マリン『へえ~!結構いけるじゃん!』

 

ムーンライト『ちなみに……カイザーンに勝てる確率は?』

 

駆「・・・・・・”1割”です」

 

プリキュアAS『『『『『ッ!?』』』』』

 

マリン『い、1割って……どうしてそうなんのよ~!?』

 

 えりかさんの驚きようは最もだ。しかし、それが現段階の僕が感じる……カイザーンとの絶対的な”差”によるものなのだ。

 

駆「カイザーンと僕の決定的な差は……”Aqライトの制御の差”によるものが大きいです」

 

ブロッサム『制御の差……ですか?』

 

駆「カイザーンがAqライトを100%制御出来ているのに対し、僕は……99%が限界なんです。最後の”1%”……これがカイザーンと僕の決定的な差です」

 

サンシャイン『たった……1%が?』

 

駆「Aqライトは”自分の意志の強さ”によって世界を書き換える力……それは使用者の変えたいと言う”強い感情”が重要です。特に怒り、悲しみ、恐怖、絶望と言った”負の感情”が……。カイザーンはその感情によって100%の力を発揮することが出来る……でも、僕の場合は最後の1%に”おばあちゃんのマフラー”を使っているので、”他人の意志”が混じる状態になるんです。自力による完全制御と、他人の力を借りた完全制御では……使用者の感情が大きく関わるAqライトでは……致命的な差なんですよ」

 

 これが……僕がAqライトを制御、理解したことで分かったカイザーンと僕との差。わずか”1%”……その差が絶望的なまでに大きいヤツとの壁だ……でも!

 

駆「でも……僕にはプリキュアの皆さんがいる!皆さんの思いが……僕にはあります!皆さんの力と僕の力で……絶望的な差も、運命も……変えてみせます!」

 

エール『うん、その意気だよ!よ~し!私も応援しちゃうぞ~!フレ!フレ!駆君!』

 

駆「ありがとうございます……はなさん。さあ、コルーリが来るまで僕たちも作戦会議です!皆さんも手伝ってくださいね!」

 

プリキュアAS『『『『『おーーーーーっ!!!!!』』』』』

 

シャアッ!

 

 プリキュアさん達と気持ちを一つにして、僕たちも作戦会議を始めようとしたその時……部屋の入口の自動ドアが開く。それに気付いて入り口を見ると、そこにはコルーリが立っていた。

 

駆「コルーリ、作戦……決まったの?」

 

コルーリ「は、はい……作戦決行は明日”5月1日AM12:00”、作戦指揮官は”クアライト博士”が担当します。作戦内容についてですが、私とカケルの二名はアカーシャで上空にあるネツゾーンのアジト……識別名”ネツゾーン城”へ侵攻。到着成功後、カケルはキュアエクスに変身し城内へ侵入、救出対象:”タネの魂の救出”、最終目標:ネツゾーン首領”カイザーンの浄化・拘束、または……撃破”を実行。私は……カケルの侵入後にアカーシャでネツゾーン城を離脱し、上空で待機……オペレーターとしてサポートを行います」

 

駆「そうか、コルーリは一緒に来ないんだね……良かった」

 

コルーリ「ッ!?……はい」

 

 僕は作戦の内容を聞いて……一安心した。だって、コルーリがアカーシャの内部で待機していると言う事は、”僕とカイザーンの戦いに巻き込む心配がない”と言う事だからだ。僕と種が戻る場所……それはこのプリキュアカーシャに他ならないし、コルーリが入れてくれるココアも……コルーリがいないと飲めなくなってしまう。

 

駆「作戦は分かった、僕も作戦を考え終わり次第すぐに休むよ。コルーリも明日に備えて早く休んでね。さて、僕らも作戦を……ん?まだ……何か用?」

 

コルーリ「・・・・・・」

 

 コルーリに休むように伝え、僕は作戦を考えようとコルーリに背中を向けるが……コルーリが出て行った気配がない。振り向くと……やはりコルーリは同じ場所にいる。何かまだ用事があるのかと尋ねると……コルーリは俯いたまま口を閉ざしていた。

 

駆「コルーリ?」

 

コルーリ「・・・・・・カケル、あの……お、お願いがあるんです」

 

 ようやく口を開いたコルーリ。彼女は僕が座るベッドに近寄り、僕の正面に立つと……思いもよらない事を提案してきた。

 

コルーリ「カケル、私と……こ、交尾を……しませんか///?」

 

駆「・・・・・・は?」

 

 交尾って……有性生物が種族繁栄のためにやる……あの交尾?あまりにも思ってもみなかった内容だったせいで少し思考が麻痺しているのでうまく考えられないが……それよりも……。

 

エール(えっ!?何っ!?アンジュ!エトワール!何で二人で私の目と耳を塞ぐの~!?)

 

アンジュ(エールは聞いちゃダメ///!)

 

エトワール(エールにはまだ早いから///!!!)

 

マシェリ(アムール、なんで私の目と耳を塞ぐのです!コルーリが何を言ったのか何も聞こえなかったのです!)

 

アムール(予測の結果、コルーリの今後の会話がマシェリの年齢に不適応と判断。視覚及び聴覚遮断モードに移行します)

 

ホイップ(こ……交尾ぃ……///)ボソッ

 

カスタード(ジェラート!?うわ~!?真っ暗で何も見えないし、聞こえないです~!?)

 

ジェラート(いいからっ///!今は何も見んな!それから聞くな~!!)

 

ショコラ(ダメだ!ホイップの耳の良さが仇にっ!……って、マカロン!!私の手を退けてホイップが聞こえるようにしないで!)

 

マカロン(あら、どうせ将来的に知る事なんだし……それに面白いからいいじゃない。うふふっ!)

 

パルフェ(キラ~///)手で顔を覆っている感じ

 

ミラクル(フェリーチェは聞いちゃダメ~///!!!)

 

マジカル(教育的によろしくないわ///!!!)

 

フェリーチェ(何故ですか!?私も聞きたいです!!)

 

フローラ(マーメイド、これじゃあ二人のお話が分かりませんよ~!)

 

マーメイド(フローラはまだ知らなくて良い事よ……///。トゥインクル、そっちは?)

 

トゥインクル(こっちもオッケーだよ、マーメイド)

 

スカーレット(トゥインクル、何故わたくしもですの!?)

 

ラブリー(ねえ、どうしてみんなで私の顔を覆うの~?)

 

プリンセス(ラブリーはぜっっったいに聞かなくていい事だから!聞かなくていいの!!)

 

ハニー(そうね~……流石にこれは……)

 

フォーチュン(……私達も聞かない方が良いと思うけどね///)

 

ハート(ダイヤモンド、これじゃあ二人の会話が~……)

 

ダイヤモンド(ダメッ!!!ハートがこの話を聞く必要はないんだからっ!!!!!)

 

ロゼッタ(ソード、エースのお二人も……はい、お耳を押さえて目を瞑ってください)ニコッ

 

ソード(これで良いのね!)

 

エース(どうして急にこのような事を……まあいいですわ)

 

ハッピー(えっ!?ナニナニ!?!?急に真っ暗に~!?!?しかも何も聞こえないよ~~~!?!?!?)

 

ピース(は、離してよ、二人共~!!!わ、私も聞きたいのに~~~!!!)

 

サニー(なんて話をいきなりぶち込むねん///!!!マーチ!ビューティ!絶対に!絶対にピースの事を離したらあかんで!!!)

 

マーチ(分かってるよ!だ、だけど……!)

 

ビューティ(な、なんて力なのでしょう……二人掛りでやっとです!)

 

ミューズ(……みんなして私を子ども扱いして)

 

メロディ(いや~……あはは)”ミューズの右耳を押さえる”

 

リズム(こういうのは……やっぱり小学生には早いわよね!)”ミューズの両眼を覆う”

 

ビート(私達、妖精としては別に変じゃないけど……やっぱり早いわね。音吉さんの本にもそう書いてあったし!)”ミューズの左耳を押さえる”

 

マリン(なんであたしを一番に押さえるんだよ~!!!)

 

ブロッサム(こういうのは///……聞いてはいけないですぅ///)”マリンの耳と目を覆う”

 

サンシャイン(あはは……ありがとう、ムーンライト)”ブロッサムの耳と目を覆う”

 

ムーンライト(……仕方ないわね)”サンシャインの耳と目を覆う”

 

ピーチ(なんで私だけ~!)

 

ベリー(それは……ピーチだしねぇ)”右耳”

 

パイン(ピーチだもんね)”両目”

 

パッション(ピーチだもの……仕方ないわ)”左耳”

 

ドリーム(痛い痛い!ルージュ、強く押さえ過ぎだよ~!!!)

 

レモネード(あ~あ……ちょっとだけでも聞きたかったな~)

 

ルージュ(アンタらには早いからいいの!……って、あたしも人の事を言えないけど///)

 

ミント(決戦前の最後の夜……戦場に向かう少年と彼を想う少女……と、言ったところかしら)

 

アクア(ミント、言葉にしなくていいから……レモネードの耳を押さえて///。ローズは大丈夫?)

 

ローズ(へ、平気よ///!これくらいっ///!!!)

 

ブルーム(目を瞑るなり……イーグレット、ちゃんと耳塞いでくれた!?)

 

イーグレット(大丈夫、ちゃんと塞いでるわ)

 

ルミナス(あ、あの……自分で耳と目は閉じますから……)

 

ブラック(ルミナスには早いから///!絶対に早いから見せられな〜い///!!!)"両目"

 

ホワイト(ブラックも目を瞑っておいた方が良いわよ)"両耳"

 

 いや、落ち着きましょうよ……皆さん。と言うか、一部のプリキュアさんは聞こうとするなよ……仕方ないな。

 

駆(プリキュアの皆さん……一旦、皆さんとリンクを切りますね)

 

プリキュアAS(((((えっ!?)))))

 

ブチッ!

 

 僕はプリキュアさん達と繋がる"リンク"を切り、これ以降のコルーリとの会話を聞かれない様にする。僕もプリキュアさん達とのリンクの使い方に慣れた為、こうやってリンクを一時的に切る事も出来るようになった。それに……コルーリの表情は真剣だ。彼女の話に邪魔を入れて欲しくない……そう思ったからだ。

 

コルーリ「カケル、聞いていますか?」

 

駆「ごめん……ちょっと驚いちゃって。でも、どうして……急にそんな事を?」

 

 正直、コルーリの口から……その……そう言う意味の言葉が出てくるとは思わなかった。でも、流石の僕だって……別に理由が分かっていない訳ではない。ただ、コルーリの思う事をしっかりと聞いておきたかったのだ。

 

コルーリ「明日、カケルは……ネツゾーンと戦います。恐らく……カイザーンとも」

 

駆「そうだね、間違いないと思う」

 

コルーリ「そうなったら……最悪の事態だって考えられます。カケルが……カイザーンに……!」

 

駆「うん……カイザーンは僕に執着しているけど、最悪……僕の存在ごと消されるかもしれないね」

 

コルーリ「私達アカシック王国の民は、特異点と同じように世界の修正を回避することが出来るんです。アカシック王国にある鉱物……”Qaクリスタル”。アカシック城にも使われ、アカシック王国でのみ採掘されるこの鉱石は、強力な磁場を放っており……その磁場を浴び続けた私達はQaライトを他の生命体よりも多く保有するようになったからです。だから、私が……カケルと子供を作れれば……カケルの存在が消えても、存在の消滅による改竄を回避できるから、私の中に出来た”新しい存在”の誕生には影響しません。つまり、カケルの生きた証を……残すことが出来ます」

 

 僕が負ければ僕の存在は消される……そうなるかもしれないと気にしたコルーリは、僕の生きた証を残そうとしている。つまり、僕の遺伝子を残した”子供”を……残したいと言う事だろう。しかし、僕にはコルーリが”一人で”こんなことを考えて、僕に言っているとは思えない。何か……彼女にこうさせる理由を作った人物がいるはずだ……例えば。

 

駆「それ……アカシック女王に言われたの?」

 

コルーリ「ッ!?……はい」

 

 やはりだ……アカシック女王が何を言ったか知らないが、コルーリが一人でここまで考えて僕にこんな事を言うなんて……きっとしない。コルーリなら……僕と一緒にアジトに行って、一緒に戦うと言うはずだ。だから、僕はコルーリが待機になって安心したんじゃないか。

 

コルーリ「でも、これは……私が決めたんです。お母様の話を聞いて……お父様の話も聞いて……自分で出来ることを考えて……決めたんです」

 

駆「……コルーリは、全部を聞いて……なんて考えたの?」

 

コルーリ「お父様から言われたのは……私がアカシック王国の希望で、私が戦場に行っても……カケルの足手まといになる事。私はお父様に、お母様に守られていた……大切にされていた。でも、カケルと最後まで……一緒に戦い抜いて、あなたの側で……見届けたい。だけど……私は弱いんです。プリキュアみたいに戦えない……エクスの傍に居ても守る事も出来ない。カケルはどんどんすごくなるのに……私は全然、変われない。そんな時に……お母様から連絡が来たんです。その報告は……アカシック王国の妖精と人間の”受精が可能”と言う研究結果でした」

 

駆「それって……子供が残せるって事?」

 

コルーリ「はい。アカシックの妖精でも、人間の状態であれば……人と交配し受精することが可能と。私の”無精卵”と……アカシック王国襲撃の際に採取した血液より手に入れたカケルの”遺伝子データ”で実験したところ、私が人間態であれば……人間同士の受精とほぼ同じ確率で受精が可能と言う結果が出たそうです。私は……カケルと一緒に戦いに行くことも出来ません。戦場では何の役にも立てません……でも、あなたの生きた証を残すことは出来ます!私の身体でも……それが出来ます!カケルと一緒に戦えない私には……もうこれしかないんです!!!」

 

 コルーリの言葉から伝わる彼女なりの考え、そしてその考えをしようと決心するまでにどれだけ悩んだのかを……彼女の瞳から流れ落ちる”涙”が物語っている。一緒に戦ってきたからこそ、近くで見て来たからこそ……自分の役割を必死で考えたのだろう。

 

コルーリ「お願いです……もう……私は……これしかないんです……!」

 

 ベッドに座る僕に……コルーリが膝を折り、目線を合わせて僕に抱き着く。

 

コルーリ「カケル……お願い///」

 

 僕の目の前に差し出された……彼女の唇。涙を流しながらも閉じられた瞳、赤く染められた彼女の頬、彼女の涙と同じように輝く突き出された唇……その全てが綺麗で、目を奪われた。

 

駆「・・・・・・コルーリ」

 

 僕はコルーリの両肩に手を置き……そして……。

 

 

2019年5月1日AM11:55 プリキュアカーシャ 甲板

 

駆「作戦開始まで……あと五分か」

 

 作戦決行まであと五分……僕は自分の持ち場であるプリキュアカーシャの外……船で言えば機体の甲板に当たる場所に座っている。決戦の時が迫ってきている筈なのに……不思議と落ち着けている。しっかり懐中時計のネジも回しておいたし、おばあちゃんのマフラーも、おじいちゃんのコートも着ている。お守りもお母さんのとMaxHeartの皆さんから貰ったのを持った……戦略も一通り考えたし準備も万端……なのだが……。

 

プリキュアAS『『『『『ジャンケン、ポン!あいこでしょ!あいこでしょ!』』』』』

 

 さっきからこんな感じでプリキュアさん達がジャンケンしている……どう言う状況だろう?おっ?決着ついたみたい。

 

トゥインクル『ポンッ!あ~~~!負けた~~~!!』

 

マリン『よっしゃ~!そんじゃあ……トゥインクル、早速だけど駆に聞いて!』

 

トゥインクル『くぬ~!分かったわよ……け、ケルケル、ちょっといい///?』

 

駆「えっ……ええ、時間もそんなにないので手短で良ければ」

 

トゥインクル『えっと……///その~……///』

 

 どうしたのだろう?話したい事があると言ってきたきららさんが全然要件を言ってこない。こんなことをいってしまうのもなんだが、きららさんはしっかりと自分の要件を言ってくるタイプだし口ごもるの珍しい。そんなに聞きにくい事なのだろうか?

 

マリン『ん~~~~~っ!!!もうっ!!!じれったいな~~~!!!駆、コルーリとはどうだったの?!どんな感じだった?!』

 

トゥインクル『ほんと……この人プリキュアなの?』

 

 ああ、昨日の事を聞きたい訳か……しかし。

 

駆「ご想像にお任せします」

 

マリン『なんだよ~!!その返しは~~~!!!』

 

ピピピピピピッ!ピピピピピピッ!

 

 マリンの質問に適当に返すと、Qaフォーンの発信音が鳴り響く。僕はすかさずQaフォーンを取り出し着信を受ける。

 

駆「はい……こちら、キュアエクス」

 

ペック『OK、聞こえるキー。これより、作戦前の最終確認を行うキー。クアライト博士、お願いしますキー』

 

クアライト『オホンッ!では、今回の作戦についての最終確認をするクア。キュアエクス、君はネツゾーン城へ到着後、変身し城内へ侵入、救出対象:”キュアシードの魂の救出”、最終目標:ネツゾーン首領”カイザーンの浄化・拘束、または撃破”を実行』

 

駆「はい」

 

クアライト『コルーリはキュアエクスの侵入後、プリキュアカーシャ”モデル1”でネツゾーン城を離脱し、上空で待機、オペレーターとしてキュアエクスをサポート』

 

コルーリ『……了解チュン』

 

クアライト『私とペックはプリキュアカーシャ”モデル2”にて先行する”モデル1”をネツゾーン城上陸まで援護する。二人は迎撃せず上陸する事だけに専念してくれたまえ。特にキュアエクス……君は必要な限り消耗を避ける様に。可能ならば……潜入後も戦闘は極力控えたまえ」

 

 クアライト博士から告げられる作戦の最終確認……最後の確認を終え、作戦決行までの時間は……あと一分となる。

 

ペック『クアライト博士、作戦決行まで一分を切りましたキー!』

 

クアライト『うむ、これより作戦中は通信回線”CHUN:0.55”を開いたままとする。各員、発進準備を始めよ!ペック、”モデル2”の全砲門を開け!標準レーダー起動、モデル1になんとしても被害を出させるな!』

 

コルーリ・ペック『『了解チュン(キー)!』』

 

 二機のアカーシャが動き出し、ゆっくりと浮き始める……そして、その時はやって来た。

 

ペック『作戦決行時間キー!』

 

クアライト『作戦開始クア!!プリキュアカーシャ”モデル1”!”モデル2”!……発進!!』

 

 クアライト博士の指示で発進を始める二機のアカーシャ。甲板にいる僕も上空に飛び上がる事で発生する風とGを感じながら……ネツゾーン城へアカーシャと共に向かう。

 

ペック『ネツゾーン城からの迎撃なし!まだ気づいていない模様キー!』

 

クアライト『モデル2、武装形態を危険域と予測するレッドゾーンまで維持せよ。モデル1はそのままの速度で先行クア』

 

コルーリ・ペック『『了解チュン(キー)!』』

 

 アカーシャは確実にネツゾーン城へと近付いている……しかし、奴らからの迎撃はいまだにない。

 

ペック『ネツゾーン城まで……残り800……700……600……予想されるレッドゾーンへ突入!』

 

クアライト『武装形態を維持!レーダーにて索敵を始めろ!なんだ……どうなっている?何故、迎撃してこない?』

 

駆「……何もする必要がないって事か」

 

ペック『残り400……300……200……100……モデル1、上陸を確認!』

 

クアライト『最後まで……何もしなかったクア』

 

 僕とコルーリが乗るアカーシャは……何の迎撃もされる事なく上陸に成功する。カイザーンの考えはなんとなく分かっている……あいつは別にクアライト博士たちがいてもどうでもよいのだ。だって、自分が何かしようと思えばどうにでもなるのだから。それよりも……僕がここへ来る方が重要で、連れてくるならば何もする必要がない……って事なんだろう。

 

駆『作戦通りに行きます!プリキュアプリケーション!インストール!!!』〈タップ〉

 

エクス「重なる思いで、駆けろ未来!キュアエクス!」

 

 僕は作戦通りにキュアエクスに変身し、アカーシャの甲板から下りてアカシック城の地に足を着ける。すると、Qaフォーンからコルーリの声が響く。

 

コルーリ『エクス……気をつけてチュン』

 

エクス「うん……必ず戻ってくる。種を取り戻して……全てを救ってね。じゃあ……行ってくるよ!」

 

 僕はコルーリと言葉を交わし終え……ネツゾーンの城へと侵入する。それに合わせてアカーシャが城から離れていく……もう、簡単に戻ることは出来ない。いや、何もしないで戻る気はない!絶対に……カイザーンを倒し、種を……!

 

エクス「取り戻すっ!!!」

 

 

2019年5月1日AM12:08 ネツゾーン城〈1階層〉

 

エクス「……気配が殆どない。気配があるのは……上の階だけか。コルーリ、聞こえる?上に行くまでの最短ルートをお願い」

 

コルーリ『了解チュン、最短ルートは……そのまま正面の通路を前進してください。そしたら……チュン!?エクス、正面から何か来ます!』

 

エクス「ッ!!……ッ!?ふぇ、フェイク!?」

 

フェイク「よう……キュアエクス。なんだ……俺がもう治ってて驚いたか?まあいい……安心しな、俺はカイザーン様に頼まれてお前を案内しに来たんだよ」

 

エクス「僕を……案内だと?」

 

 ネツゾーン城に潜入した僕は周囲に敵の気配がない事を気にしつつ、コルーリにナビを頼む。すると、コルーリが敵の反応を見つけたと言う声に合わせ、僕も急に出現した気配を感じて正面にある通路を見る。なんと……そこにいたのは2005年に撃退したはずのフェイクで、やつはまるで怪我でもなかったように立っていた。そしてフェイクは僕をカイザーンに頼まれて案内しに来たと言うのだから、なおさらだ。

 

フェイク「カイザーン様はお前とすぐにでもお会いしたいってんでよ。お前も目的はカイザーン様なんだろ?だったら……俺について来た方がお前の為じゃねえか?」

 

コルーリ『エクス、怪しいチュン!フェイクが回復していると言う事は、カイザーンは三幹部と一緒にエクスを攻撃するために……!』

 

エクス「……いや、フェイクは嘘を言ってない。それに……カイザーンは恐らくそんな事はしない」

 

コルーリ『何を根拠に言ってるチュン!?』

 

エクス「僕の……”勘”」

 

 なんとなく分かる……カイザーンは集団で僕を襲おうとはしない。奴なら……僕と一対一でやり合おうとするはず。それにフェイクに敵意がない……こいつほど感情が分かりやすい奴にここまで敵意がない方が逆に安心と言う物だ。

 

エクス「分かった……僕をカイザーンの所まで案内しろ」

 

コルーリ『エクスッ!!』

 

フェイク「へっ!そう来なくっちゃ!!ついてきな……特別な道をカイザーン様があてがってくれてるぜ!」

 

 フェイクに付いて行くと、一室ごとに繋がるドアがある長い通路に着く。

 

フェイク「このドアだ……さあ、開けてみな」

 

エクス「・・・・・・っ!」

 

 僕の開けたドアの先……そこにあったのは広い空間と、天井に延びて行く階段。階段の左右の脇にいるのはマーネルとインペイル、そして……その階段の上にある玉座に奴は座っていた。

 

 

2019年5月1日AM12:12 ネツゾーン城〈最上階層:玉座の間〉

 

エクス「カイザーンッ!!!!!」

 

カイザーン「ようこそ、そして……会いたかったわ、私のアルタイル♪ここへたどり着いたこと……とてもうれしく思うわ♪」パチパチッ!

 

 いつもと変わらない笑顔で僕を”アルタイル”と呼ぶカイザーン。彼女は僕を前にしても玉座から立つことはなく……なんなら拍手をする程の余裕があるようだ。

 

カイザーン「二人でお話でもしたいところだけど……そうね、まずは……フェイク、マーネル、インペイル……前に出なさい」

 

フェイク「はい、カイザーン様!さあ、キュアエクス!!案内の仕事は終わりだぜ~!!!ここからは……よ~~~!!!!!」

 

マーネル「はしゃぐんじゃねえよ、フェイクちゃ~ん!エクスに手も足も出なかったくせに~!こいつをやるのは……あたしよ!!!!!」

 

インペイル「お前もはしゃいでいるだろうが……だが、それもいいだろう!!!この血が湧きたつ感覚……私も楽しみたいのでなあっ!!!!!」

 

コルーリ『三人が相手……やはり、カイザーンの罠チュン!』

 

エクス「三人相手か……前座には丁度いい!」

 

 カイザーンの指示で僕の前に出てくるフェイク、マーネル、インペイルの三人。三幹部全員との戦い……正直、強め口調で言っているけど……少しだけ怖い。だが、僕には全てのプリキュアさんがいる!!

 

エクス「来い……ネツゾーン!!!!!」

 

フェイク・マーネル・インペイル「「「でえええええええええええっ!!!!!」」」

 

カイザーン「……あなた達、邪魔だから消えてなさい♪」

 

フェイク・マーネル・インペイル「「「……えっ?」」」

 

ズシャンッ!!!!!

 

 僕に向かってきた三幹部にカイザーンが向けた言葉。”消えていなさい”と言う言葉を聞いた三幹部は……カイザーンの方へ振り向くと、次の瞬間……三幹部の左右からAqライトが現れ、三人を押し潰し……さっきまでそこにいたはずの三人を……消してしまった。

 

カイザーン「ふぅ~♪これで……やっと二人っきりね、私のアルタイル♪さあ、お話ししましょう……そうだわ!あなたに捧げる物の話とかしましょうか!」

 

エクス「ちょ……ちょっと待って!フェイク達は……?」

 

カイザーン「ああ……Aqライトにしまっただけ。別に消してない……そんな事より、私とあなたのこれからの話をしましょう♡あ、さっきからこの会話……コルちゃんにも聞かれてるんだっけ……えいっ!」

 

ブチッ!!!!!

 

エクス「ッ!?コルーリッ!?通信が……!」

 

 ころころ変わるカイザーンの表情に……僕は少しペースを乱されそうになる。そのうえ、コルーリやクアライト博士たちとの通信まで切られてしまう。しかし、ここまで来たのなら……その程度で心を乱すわけにはいかない。それに……この部屋に感じる気配はカイザーンの他にもある。その中の一つが……僕の知ってる種の感覚だ。この部屋に……種はいる!種を助けるために、前へ進め……僕!

 

エクス「はぁ~……ふぅ。カイザーン、聞きたい事がある。改めて聞くけど……何で僕にここまで執着する?」

 

カイザーン「そんなの決まってるわ♪アルタイル、あなたが”私のもの”だから……私はあなたの全てを愛してるの♡あなたの為に捧げる物をいっぱい用意したわ♪」

 

エクス「……僕は可能なら……カイザーン、君も助けたいと思っている。どうすれば……君を救える?」

 

カイザーン「まあ///まあっ///!嬉しいわ、アルタイル……私を助けてくれるの///?だったら……とっても簡単よ♡」

 

 全てを救う……その対象には勿論、カイザーンも入っている。出来るなら、戦い合いなんてしたくない……綺麗事かもしれないけど、だって……綺麗事が一番良いに決まっている。残酷な現実があるのが当たり前……だからこそ、それを現実にしたい。僕はそう言う思いで……カイザーンに語り掛ける。すると、カイザーンの口から出て来た言葉は……思いもよらない物だった。

 

カイザーン「あなたが……ネツゾーンの”王”になって♡そして……ずっと、私と一緒に居てくれればいい♡」

 

エクス「僕が……ネツゾーンの王に?」

 

カイザーン「そう!あなたが王で、私が王妃になるの!そのための用意もしたわ!アルタイル、あなたに捧げる物があるって言ったでしょ?それはね……この”2019年にある全て”よ!この2019年はね、私がAqライトを”一割くらい”使って作ったの!!この世界にあるのはすべて私が考えた創造物よ!!それからこの城も、この玉座も……そして、”私”も♡すべてあなたの物!!!この世界、人間がいないでしょう?それはね~……私とアルタイルがこれから増やしていくから///♡私とあなたが……この世界の始まりの男と始まりの女になるの♪」

 

エクス「・・・・・・イカレてる」

 

 正直、思っていた以上にカイザーンはイカレている。こいつの僕に対しての執着は僕が考えていた以上だ……今まで僕に見せていた部分ですら氷山の一角みたいだ。

 

カイザーン「うふふっ♡ねえ、こんなところで立ち話なんてなんでしょう……この奥にね、寝室もあるの。続きは……ベットでしましょう♡」

 

エクス「……悪いけど、このままでいい。それに分かった……君は……悪いけど僕でも”救えない存在”みたいだ」

 

カイザーン「あら、残念……でも、それは間違いだわ。私を救えるのは……”あなただけ”よ、アルタイル」

 

エクス「戦う前に最終警告だ!カイザーン、おとなしく……これ以上の歴史に対しての捏造行為を止めろ!そして……種を返せ!!!」

 

カイザーン「あら、気配は感じているはずだけど……さっきから”ここ”にいるって」

 

 カイザーンは自分のワンピースの胸元を緩め……そこを指さす。僕は集中してその胸元に意識を向けると……種の気配が”カイザーンの中”にあった。

 

エクス「なんで……種の気配がお前の中にあるんだ!?」

 

カイザーン「あ~……あなたがレイジング・エクスに覚醒した後ね、グチグチうるさくてさ~……私の中にしまっちゃった♪」

 

エクス「……お前」ギリッ!

 

 僕の心に静かな怒りが込み上げてくる。そして僕は……こいつを”消すことで救う”方法を取る事を決める。

 

カイザーン「さあ、この5月1日こそ……あなたの”オーマの日”!さあ、ネツゾーンの王!私に相応しい存在……【RX《レクス》】になるのよ!!!私のアルタイルッ!!!!!」

 

エクス「カイザーン、お前を消して……救ってやる。待ってて、種……今助けるからね!!!お願いします、プリキュアさん……僕に力を!!!!!」

 

 時間と言う”天の川”を越えて……ついに向かい合う二人。今、長き旅の果てに……僕《アルタイル》とカイザーン《ベガ》はぶつかり合う。

 

 

To Be Continued……




いかがだったでしょうか?カイザーン様、まさかの仲間を消すと言う……ちょっと変な事してみました。でも、恋する乙女なら邪魔者がいない方が良いって思うはず……多分!では、次回、カイザーンと戦い始めるエクス。しかし、カイザーンの力は全てでエクスを凌駕する。考えるエクスは起死回生の策に出る!そして、その先いたのは……!乞うご期待ください!

ちなみに、私の誕プレは……抽選で当たったDXリバイスドライバーです!ふっふっふっ!これでリバイスへの移行も完璧です!
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