2024年12月31日 奈阿須看護学校
女同級生1「種さん、また来年ね」
女同級生2「良いお年を~!」
種「良いお年を~!……ふ~!レポートの資料を探すのに手間取っちゃったよ」
ここは種が入学した看護学校——【奈阿須看護学校】。今年も残すところ後数時間と言う時に、種は提出するレポートの為の資料を取りにやって来ていた。高校とは違う環境、勉強も専門的な事や実習など、不安だった大学生活もようやく慣れ始めていた。
種「あっ!?いけない!そろそろ誕生日会の時間だった!早く準備しないと!」
キキィ―――ッ!
毎年恒例の誕生日会の時間が迫っている事を思い出した種が、校門から出ようとした瞬間、すぐ横で大きなブレーキ音が響く。
種「ッ!?……ああっ♡」
駆「遅かったから迎えに来たよ、種」
音の主であるバイクから下りてヘルメットを外して顔を見せて来たのは、駆だった。どうやら種の帰りが遅かったから迎えに来たらしい。
種「ありがとう♡……で、そっちの用事は終わったの?」
駆「……悲惨だったよ。特に……1名がね」
種「ヒープリちゃん達の受験勉強のお手伝い、そんなにひどかったの?」
駆「思い出すのも……はぁ~!……嫌になる」
駆はここに来る前、後輩プリキュアにあたる”ヒーリングっど♡プリキュア”の現役高校生3人”花寺 のどか”、”沢泉 ちゆ”、平光 ひなた”の受験勉強を手伝っていたらしい。しかし、その勉強は実に酷かったらしく、駆はそれを思い出しながらため息を吐いた。
——数時間前 AM10:00 旅館沢泉
駆『はい、ひなたちゃん。ここの漢文は?』
ひなた『ん~~~~~っ!……わっかんない』へなっ
——1時間後
駆『……平光さん、この数式は?』
ひなた『えっと~!えぇっと~~~……わかんない』へなへなっ
——さらに数時間
駆『……平光、ここは?』
ひなた『わっかんな~~~~~いっ!!!』へなへなへなっ
アパート〈ハイツYOTSUBA〉
駆「厳しい……戦いだった」
種が一人暮らししているアパートの窓から遠くを見つめる駆の表情を見た種は、よほど大変だったのだろうと言う事を嫌でも理解できたと言う。
種「よし!準備オッケ―!ふぅ~……それで?ひなたちゃんは大丈夫になったの?」
駆「なんとか過去問のテストを全教科60点台で終わらせられるようにはしたよ。もうしばらくあの子達に付きっきりかもだ」
種「……お兄ちゃん」
駆「なんだい、種?」
種「浮気したら……ダメだからね」ニコッ
種が向けた笑顔を見た駆は——震えた。笑顔だ。笑顔なのに——目の奥が笑ってなどいなかった。綺麗な黒目は【底なしの深淵】、そこに渦巻く感情は【嫉妬と独占欲】。いい加減なれた駆でも、久しぶりに震えるほど怖かったようだ。
駆「2年前にもそんな事を言ってたけど、僕は浮気なんてしないから。不可抗力で女性とのトラブルはあっても、絶対にわざとじゃないから」ブルブル
種「だから!それが余計に悪いんだって!わざとなら本気で怒れるのに、わざとじゃないから起こるに起これないんだよ!」
駆「い、いや……その度に僕、キックを喰らってるんだけど。……って、もうこんな時間だよ!?出発しないと!」
種「えっ!?ほ、ホントだ!お兄ちゃん、バイク!バイクッ!!!」
駆「分かってる!ヘルメット被って!」
ヘルメットを被り、バイクに跨る二人。アクセルを吹かして一気に加速したバイクは、駆が開いた次元の裂け目へと飛び込み、目的地へと向かう。
アカシック王国 アカシック城前
ザッサ―――――!!!!!
駆「間に合った!」
種「みんな、お待たせ……って、あれ?お料理も準備も何もないよ?」
コル―リ「あっ!カケル!タネ!大変ですっ!」
無事にアカシック王国へと到着した2人であったが、いつものパーティー会場には何の準備もされていなかった。それどころかいつも迎えてくれるプリキュア達もいない。その時、城の方か誰かがやって来る。それはヴァールハイト・プリキュアの仲間であるコルーリと、2024年に誕生した”わんだふるぷりきゅあ”のメンバーたちであった。
駆「コルーリ!」
種「いろはちゃん達も!どうして他のプリキュアの皆がいないの?」
コル―リ「た、大変なんです!”ブラックホール”を名乗る【あらゆる悪の使者の力を持った強大な敵】が復活したんです!」
いろは「ハイパーブラックホールって名乗ってて、いろんな敵を呼び出してるみたいなの」
こむぎ「そうなんだよ!それに”ムジナ”もいたんだよ!何でいたのかな~?」
謎の敵”ブラックホール”と、そいつによって呼び出された敵たち。その中にはわんだふるぷりきゅあに助けられたはずの”ムジナ”もいたと言う。それを聞いた駆と種は、動揺の表情をすぐさま真剣な表情へと変える。
駆「……コルーリ、プリキュアさん達は既に現場に向かってるからいないって解釈で良いかな?」
コル―リ「はい、この現象は2011年に起きた現象と似ています。いろんな世界や現象が一か所で混ざり合っていて。原因は……”プリズムフラワー”への干渉かと」
悟「プリズムフラワー?それって一体……」
種「簡単に言うとね、別の世界を行き来する時のトンネルを作ってくれてる物。それがないと、Aqライトやアカシックレコードに干渉するプリキュアカーシャなしだと別の世界に干渉できないの。いろはちゃん達に分かりやすく言うと、ニコガーデンと元の世界の行き来が出来なくなるって感じ」
まゆ「それって、私達の世界にいるニコアニマルたちを返してあげられなくなっちゃうって事ですか?」
ユキ「返そうにも道がない……当たり前よね」
駆「その解釈で間違いない。これに関してはニコ様でもどうにも出来ない……でしょ、ニコ様?」
ニコ「そうね。でも、あなたならどうにか出来るんでしょ?ニコよりも強力な力を持った”特異点”のあなたなら」
駆「言われなくてもそのつもりです。種、残念だけど今回の誕生日は……穏やかじゃすまないみたいだ」
種「仕方ないよ。でも、プリキュアさんや世界に危険が迫ってるなら……私達の出番でしょ♪」
目を合わせてお互いの覚悟を確認し合う二人。2人は頷き合うと、すぐさま行動に移す。
駆「コルーリ、アカーシャの準備を。わんだふるぷりきゅあの皆は、アカーシャに乗って出発できるようにしておいて」
コル―リ「分かりました!皆さん、こちらへ!」
コルーリに誘導されてその場を離れるわんだふるぷりきゅあを見送る2人。2人だけになったアカシック城の前で、駆は大きなため息をした。
駆「はぁ~~~~~っ!!!」
種「大変な事になっちゃったね。せっかくの誕生日なのにさ」
駆「いいさ。この騒動をさっさと終わらせて……誕生会兼祝勝会にして、盛大に祝ってもらおう」
種「そうだね!それじゃあ、私達も出発……する前に」
駆「ん?」
見つめ合う駆と種。視線を真っ直ぐに向け合い——種は言う。
種「ハッピーバースデー、駆」
駆「……ふっ。ハッピーバースデー、種」
自分たちの使命に向かう前の、自分達だけの——信じあうパートナーに向けた祝福。プリキュア達に貰っていた祝福とは違う”慎ましいもの”だが、その祝福は——お互いの覚悟に更なる力を灯すモノだった。
駆「さあ、行こう!」
種「うん!行こうっ!!」
——シュンッ!!!!!
エクシード「来年も……みんなと笑う為に!」
Happy birthday!駆・種
Happy New Year!
いかがだったでしょうか?仕事、仕事、仕事……やりたい事いっぱいなのに、やらなきゃいけない事も一杯一杯で、投稿がほとんどできなかった。申し訳ありません。ですが、ヴァールハイト・プリキュアをしっかりと完結させるために、遅くても書いていきます。どうか、今年もヴァールハイト・プリキュアをよろしくお願いします!