ヴァールハイト・プリキュア   作:32期

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ごきげんよう、32期です。今回は、キラキラ☆プリキュアアラモードのラスボスであるエリシオとの戦闘となります。HUGっと!プリキュアの時と同様で、原作であるプリアラのサブタイトルの使用と、その回に沿ったセリフ、出来事が起きますが、ヴァールハイト・プリキュアの設定による違いがあります。良かったら、プリアラの48話と見比べても楽しめると思います。では、お楽しみください!


第六十四話:さいごの戦い!世界まるごとレッツ・ラ・まぜまぜ!

プリキュアカーシャ 操縦室

 

side:コルーリ

 

コルーリ「機体制御の安定を確認、オートパイロットに移行。……はぁ〜、これで一安心ですね」

 

 HUGっと!プリキュアの時代の崩壊を修正し、私達は今、次なるプリキュアである"キラキラ☆プリキュアアラモード"の元に向かっている。

 

種「ねえ、コルーリ。オートパイロットだと、どれ位でプリアラさん達の時代に着くの?」

 

コルーリ「2人の休息時間も確保する計算で、20時間は確保しています。今のうちに、少し仮眠でも【最短時間は?】……チュン?」

 

駆「最短到着時間は……どれくらい?」

 

 後どれ位で到着するかを問われた私は、2人が休める様に自分なりに考えていた到着時間と、仮眠の提案を告げようすると——それを遮る様に、カケルが私に"最短到着時間"を問う。

 

コルーリ「え……えっと……最短経路での到着時間なら、4時間くらいですけど」

 

駆「分かった。……コルーリ、アカーシャを"最短到着時間"で向かわせて欲しい」

 

コルーリ「チチュン!?……はっ!う、ううん!か、カケル、ど、どうしてその様な事を?」

 

 アカーシャを元々の20時間から、最短の4時間で向かわせてと言う要望に驚きの声が漏れる私。しかし、カケルにも考えが有るだろうと分かっている私は、自分を落ち着かせる為に一度だけ咳払いをし、駆に事の真意を問う。

 

駆「……勘、なんだけど、あまり時間を掛けてはいけない気がするんだ」

 

コルーリ「いつものやつ……と言う訳ですか。しかし、2人の負担を考えれば……」

 

種「ううん、それ程でもないよ。エクシードのおかげで負担は殆どないし。寧ろ、ちょっと余力を持て余してるくらいだよ。だったら、プリキュアさん達を早めに助けたいなって言うのが、タネとお兄ちゃんの考えなの」

 

 確かに、ジョージ・クライとの戦いでも、キュアエクシードの力は凄まじかった。変身を解いた後も、2人が息をあげている様子もなかった。クライアス社の社長であっても、カイザーンを圧倒するエクシードにとっては力を余らせてしまうのだろう。しかし——。

 

コルーリ「カケル、私はあなたの寿命の件について、"移動中は休養に専念する様に"と言ったはずです。それでも……あなたは急ぎたいと?」

 

駆「……うん」

 

コルーリ「……タネもですか?」

 

種「モチのロン!」

 

 譲らないと言う意思がこもった2人の視線は、真っ直ぐに私に向けられる。これは——私が折れるしかない様だ。

 

コルーリ「チュ〜ン……分かりました。これより、プリキュアカーシャは各時代を最短経路にて航行します。カケル、タネのどちらかに少しでも異常が出たら……直ちに最長時間航行に変更し、休息に移行してもらいます。良いですね?」

 

種「おっけー!流石、コルーリ!分かってる〜!!」

 

駆「僕もその考えに同意するよ。それじゃあ……」

 

私の出した妥協案に同意する2人。私達3人の意見がまとまったのを確認したカケルは、席から立ち上がる。

 

コルーリ「……?何処に行くのですか?」

 

駆「ちょっと"厨房"に行ってくる」

 

種「作成時間ギリギリだからね。コルーリ、着いたら呼びに来て」

 

コルーリ「作るって……何を作るつもりですか?」

 

駆・種「「ドーナツ」」

 

 ふたりは——この状況でドーナツを作ると言い出した。

 

コルーリ「な、何故、このタイミングで?」

 

駆「……プリアラさんのアイテムが、【ドーナツを作ってペコ】……て、言ってる気がするから」

 

種「よし!お兄ちゃん、レッツ・ラ・クッキング!」

 

——シュン!

 

 なんともこれまた信じ難い理由でドーナツを作ろうとする2人。私はそう言って厨房に向かう2人を——無言で見送るしか出来なかった。

 

 

——2018年1月7日 苺坂町

 

side:駆

 

コルーリ「カケル、到着しましたよ。しました……けど……」

 

種「なんか……町中が灰色で、無機質な感じになってるね」

 

駆「キラキラルを全く感じない。それどころか……"心"を感じられない。まるで全てが"空っぽ"みたいだ。これが、プリアラさん達が戦っていた奴の仕業なのか?」

 

 到着した——2018年の苺坂町。その有様は、クライアス社の時間停止の様な"暗さ"は無いが、種が言った様に——あまりにも"無機質"で、色褪せた世界に見える。今のこの時代には——"心"がない。喜びも、楽しさも、怒りも、悲しみも——何もない。"空っぽの世界"——僕は、そんな感想を今の世界に感じていた。

 

種「……ん?あっ!お兄ちゃん!コルーリ!あそこ見て!!」

 

駆「えっ?建物に人影が……この気配!間違いない!いちかさん達だ!2人共、急ごう!」

 

コルーリ「は、はい!」

 

種「りょうか〜い!」

 

 種が指差したのは、坂の上にある白い大きな建物。煙突から煙が上がっているのを見るに——工場か焼却施設なのだろう。そこには5人分の人影に、空中に浮く小さな影が3つ見えた。気配を探る為に意識を集中すると、感じ取った気配は——いちかさん達《キラキラ☆プリキュアアラモード》のものだったのだ。それを感じた僕は、直ぐに種とコルーリにそれを伝え、坂の上にある建物へと駆け上がった。

 

 

——苺坂町 焼却施設

 

駆「はぁ……はぁ……着いた。あっ!いちかさん!皆さんっ!」

 

種「大丈夫ッ!?……て、なんでみんなして同じ格好してるの?最近の流行……ではないよね。趣味悪すぎだし」

 

コルーリ「キラリンさん!ペコリンさん!長老様!」

 

プリアラ「「「「「「……」」」」」」

 

コルーリ「皆さん、反応が希薄です。これではまるで……」

 

……心がなくなったのですよ。

 

——キランッ!!!

 

 施設に到着して、直ぐにプリアラさん達に語り掛ける僕達。しかし、彼女達からの反応は返ってこない。その光景を見たコルーリが感じた事を言葉にしようとした瞬間、その言葉を代弁する様にして響く声が——空から降り注ぐ閃光と共に、僕達の前に降りてくる。ウェーブがかった白髪、黒いコートに白のマフラーをし、生気をあまり感じさせない白い肌をした男。分かる——こいつがこの事態の元凶だ。

 

駆「この事態は……お前の仕業だな。この世界を包む気配は、お前から出ている」

 

種「あんた誰?!プリキュアさん達に何をしたの!?」

 

エリシオ「私の名は"エリシオ"。其方の彼が言う通り、この世界は私によって生まれ変わった。しかし……プリキュア?聞いたこともありませんね。そこにいる人達を言っているのなら、ただの人間としか……」

 

駆「……生まれ変わった?」

 

エリシオ「ええ。この世界は……"大好きのない世界"に生まれ変わったのです。喜びの感情により人は争い、虐あう。それならば、"大好き"などと言う感情を生む出す"心"など不要です」

 

 僕が感じていた——"空っぽの世界"と言う感覚は、あながち間違いではなかったらしい。エリシオと名乗る男は、この時代から"心"を消してしまったのだ。

 

駆「……確かに、人は感情によって争い、同じ人間であっても、僅かな違いで軽蔑したり、戦争したりする……愚かな生き物だ。感情が無ければ、嫉妬や戦争と言った災厄は起きないだろう」

 

エリシオ「ほお……貴方は、私の世界を理解できるのですね」

 

駆「だけど……それは極端な方法にすぎない。"心"の僅かな一面を見ているにすぎない。幸福や喜びは……心と心を繋ぎ、救う一面だってある」

 

エリシオ「……その幸福ですら、人を傷つけると言うのに」ボソッ

 

 エリシオは聞こえるか分からない位の声量で呟く。【幸福ですら、人を傷つける】——その言葉に、奴がこんな事をした理由がある。そんな気がする。

 

駆「……一応、聞くよ。エリシオ、もうこんな事はやめて、みんなに"心"を返す気はないかな?」

 

エリシオ「愚問ですね。私に"心"はありません。貴方の言う事に従う理由も……その気もありません」

 

 明確な拒絶を示すエリシオ。ジョージ・クライの様に少しは話せるかと思ったが、無意味だった様だ。

 

駆「……そうか。なら、僕達は君の世界を受け入れる事は出来ない」

 

エリシオ「困った人達です。大人しくこの世界を受け入れてくれれば良かったのに。……覚悟は出来ているのでしょうね?」

 

種「それはこっちの台詞だよ!」

 

駆「エリシオ、僕は……こんな寂しい世界を作った貴方に伝えたい。スイーツに込められる温かな想いが、空っぽの心を救ってくれる様に……だから!僕達といちかさん達の大好きを込めたキラキラル!全部、貴方にぶつけます!!!」

 

”S”TRING・コネクター:〈CHAIN〉

 

Qaフォーン”001”……リンケージ!

 

Qaフォーン”002”……エンゲージ!〈プリキュアップデート!〉

 

種『プリキュアプリケーション!』

 

駆『アップデート!!』

 

スーパーQaライト:アクティベーション……〈Ready?〉

 

駆・種『『インストーーーーールッ!!!』』〈エクシード〉

 

種『輝く種から花開け!』

 

駆『重なる思いで未来を駆ける!』

 

エクシード「超越せよ、無限の未来!キュアエクシード!……できあがり!」

 

 覚悟を決めた駆と種は、真っ直ぐにエリシオを見つめながら、ケースからQaフォーンSを取り出し、すかさず変身を始める。きっちり決まった変身に、プリアラさんの変身セリフのお約束もしっかり入れる。何故なら、この場のエクシードは——。

 

エクシード「キラキラ☆プリキュアアラモード!」

 

 ——《キラキラ☆プリキュアアラモード》なのだから。

 

エリシオ「それこそ、本当に無意味ですよ」

 

エクシード「……どうして?」

 

エリシオ「私はノワールの抜け殻です。最初から好きや嫌いを感じる"心"などありません」

 

コルーリ「そ、そんな!?心が!?」

 

エリシオ「そう……だからこそ私は全ての生き物を平等に管理できる。さあ、彼と同じように、貴方達もカードに収めてあげましょう」

 

 エリシオが取り出した1枚のカード。エリシオとは対照的な黒い姿をした瓜二つの男が描かれたカードから、黒いオーラが放たれる。それで自身を包み込むと、それを纏ったエリシオが姿を表す。

 

エリシオ「ノワールの力をもって、あなた方を封じましょう!」

 

コルーリ「っ!?おかしいです!歴史ではエリシオが使ったのは、ノワールとルミエル……100年前のプリキュアの力も使っていた筈です!」

 

エクシード「カイザーンの忘却が影響してるんだろうね。コルーリ、エリシオはエクシードが抑えてるから、作戦通りにお願いね!」

 

コルーリ「言っていた通りになるとは……分かりました!任せて下さい!」

 

エクシード「OK!それじゃあ、行くよっ!!!」

 

 エクシードがエリシオへと向かい、2人の戦闘が始まる。その光景を確認したコルーリは、自分の役割を果たす為に、キラキラ☆プリキュアアラモードの元へと走り出す。

 

 

side:コルーリ

 

コルーリ「はぁ……はぁ……」

 

プリアラ「「「「「「……」」」」」」

 

 キラキラ☆プリキュアアラモードの皆さんの前に辿り着く私。先程から反応は希薄ではあるが、彼女達の視線は——エクシードとエリシオの戦いへと向けられている。

 

コルーリ「皆さん、分かりますか?エクシードが……"プリキュア"が戦っているんです!」

 

いちか「……"プリキュア"?」

 

コルーリ「ッ!?……はい、そうです!プリキュアです!」

 

 私には、今回の戦いである"役割"が与えられていた。

 

 

——2018年到着 数分前

 

コルーリ『私が……キラキラ☆プリキュアアラモードに干渉するんですか?』

 

駆『うん、コルーリにお願いしたいんだ』

 

 カケルが私に与えた役割とは——キラキラ☆プリキュアアラモード達に干渉する事だった。

 

駆『アイテムに光を戻すには、彼女達に干渉して、いちかさん達からキラキラルを分けてもらうのが正攻法だと考えてる。前回はトゥモロー……はぐみちゃんがそれを担ってくれた。固定化したアイテムに光を戻すには、彼女達に干渉しないと行けない』

 

コルーリ『……ですが、私よりエクスかシードの方が良いのでは?』

 

種『それも考えたんだけどね〜』

 

コルーリ『何か問題が?』

 

駆『……彼女達に干渉するのは、"妖精"の方が良い。ドーナツの件と同じで、アイテムがそう言ってる気がするから』

 

 2人は曖昧な表現で私に理由を言う。"アイテムが言っている"——本来なら疑いたい所だが、2人が言うなら無碍には出来ない。2人の勘は良く当たる——それは、この旅の中で散々体験してきたのだから。

 

コルーリ『……分かりました、その役目は私がやりましょう。それで、私は何をすれば良いのですか?』

 

駆『このドーナツをプリアラの皆さんに食べさせて欲しい。コルーリが一番良いと思ったタイミングで』

 

種『キラキラルを目一杯込めた特別版!一応、デコレーションとかも出来る様に、チョコペンとかもバスケットに入れてあるから!』

 

駆『それから……これも』

 

コルーリ『"ユニコーンショートケーキ"……カケル達のアイテム』

 

 カケルは私の前に手を出すと、そこには2人がキラキラ☆プリキュアアラモードの時代で手に入れたアイテム——"ユニコーンショートケーキ"が乗っていた。

 

駆『コルーリ、頼むよ』

 

種『任せたよ、コルーリ!』

 

コルーリ『……はい!お任せチュン!』

 

 

——現在

 

ひまり「"プリキュア"……なんでしょう、この感覚?」

 

あおい「知らない言葉なのに、胸の奥がモヤモヤする」

 

ゆかり「これは一体……何なの?」

 

あきら「この胸を締め付ける……この感覚は何なんだ?」

 

コルーリ「それは……これを食べれば分かります。キラキラルが沢山こもっているスイーツを食べれば……きっと!」

 

 カケルが作ったストロベリーチョコがコーティングされたドーナツが詰まったバスケットを、皆さんの前に出す。ですが、プリアラの皆さんは、少し恐れている様で——手を付けてくれない。しかし——。

 

コルーリ「ッ!?ペコリンさん……!」

 

ペコリン「キラキラペコ……これを食べたら、何かを思い出せる気がするペコ」

 

コルーリ「はい、きっと思い出せます!だから……!」

 

ペコリン「……あ〜〜〜……むっ!」

 

 ペコリンさんは、ドーナツのキラキラルに惹かれる様にバスケットの前へやってくると、私にすすめられたドーナツを取り、大きく頬張る。

 

ペコリン「ッ!?!?美味しいペコ〜〜〜!!!」

 

 すると、ペコリンさんの耳が輝きだし、今まで虚ろだった瞳に光が宿る。カケル達のキラキラルが、ペコリンさんの心を動かしたのだ。

 

コルーリ「ペコリンさん、心が戻ったんですね!」

 

ペコリン「ペコ?あなた……誰ペコ?あっ!?」

 

コルーリ「ペコリンさん!?」

 

ペコリン「いちかっ!?ひまりっ!?あおいっ!?ゆかりっ!?あきらっ!?キラリンっ!?長老っ!?どうしちゃったペコ!?……ペコ?ペコリン、長老とキラリンの事は分かるけど、何でこの子達を知ってるペコ?」

 

 本来なら知っている筈のいちかさん達を見ても、何故知っているのかを思い出す事が出来ないペコリンさん。プリキュアである彼女達を"忘却"する様にしたカイザーンのせいだ。しかし、完全に忘れた訳ではない。ペコリンさんの心は、確かにいちかさん達の名前を呼んだのだから。

 

コルーリ「ペコリンさん、詳しく話している時間は……ないのですが、いま大変な事が起きているんです!今、プリキュアが必死に戦っているんです!この世界を救う為に、いちかさん達のキラキラルを取り戻す必要があるんです!だから、このドーナツを皆さんに食べて頂くのを手伝って頂けませんか?!」

 

ペコリン「ペコッ!?よ、よく分からないけど、大変なのは分かったペコ!ペコ……でも……」

 

 私の説得に納得はしてくれたと思われるペコリンさんだが、何故か悩む様な仕草をとる。

 

コルーリ「ど、どうしましたか?」

 

ペコリン「ペコ……このドーナツ、とっても美味しいペコ。だけど、何か足りない気がするペコ」

 

コルーリ「何か足りない……でしたら、ここにある物でなんとか出来ますか?」

 

 私はバスケットの端にまとめておいたデコレーション用のチョコペンを取り出し、ペコリンさんに見せる。すると、ペコリンさんの目と耳が輝きだし、興奮しながら私からチョコペンを取る。

 

ペコリン「これペコ!これを使うペコ!」

 

コルーリ「デコレーションをする……と?」

 

ペコリン「そうペコ!ペコ!他にもいっぱいあるペコ!全部出してペコ!」

 

コルーリ「は、はい!」

 

ペコリン「いくぺこ!"レッツ・ラ・クッキング"ペコ!!!」

 

 バスケットに入れていたデコレーション用の材料を全て使い、ペコリンさんはドーナツをデコレーションしていく。これが"キラキラ☆プリキュアアラモード"の皆さんを救うカギになってくれると良いけれど——。

 

 

side:エクシード

 

エリシオ「妖精のキラキラルが戻るとは……それに、あのスイーツに宿った大量のキラキラル。あれは貴方の作った物ですか?」

 

エクシード「だったら、何?」

 

エリシオ「やはり、貴方を野放しには出来ません!」

 

エクシード「そうです……かっと!」

 

——ドンッ!

 

 エクシードを再び危険視するエリシオ。それにより、今までよりも更に強力な攻撃が放たれるが、エクシードはそれを片手で受け止める。

 

エクシード「……思ったんだけどさ、どうして"ノワール"って言う元々の貴方は、キラキラルを闇に染めようとしてたの?」

 

エリシオ「何故、その様な事を聞くのです?」

 

エクシード「この力に触れてると感じるんだ。ノワールの痛み、悲しみ、寂しさ……そこには罪の意識があるし、寂しさから愛を求めている様にも感じる。そして、求めた愛に……拒絶された絶望感。それが"ノワール"を生み出した……違う?」

 

 エクシードは、受け止めた武器から"ノワール"——エリシオ本来の姿である人物の意識を感じ取っていた。そこから感じた彼の感情を言葉にしてエリシオに問うエクシード。それを聞いたエリシオは、表情は変えなかったが、僅かに攻撃の力を抜いていく。

 

エリシオ「……分かりません」

 

エクシード「思い出せないんでしょう?誰に拒絶されたのか」

 

エリシオ「ええ、しかし……この世界に争いはある。ならば、"大好き"など無い方が良い。私に管理される”争いの無い世界”……それの何がいけないのです?」

 

エクシード「……"争い"は辛いよ。本当なら、貴方と戦うのだって……したくない。だけど、エクシードは、みんなに"大好き"を取り戻したいんだ」

 

エリシオ「何故、そこまでして取り戻そうとするのです?争いを生む……火種となるのに」

 

 互いに争いを望まないエクシードとエリシオ。しかし、2人が求める答えは——交わらない。

 

ペコリン「出来たペコー!名付けて、【ペコリンドーナツ】ペコ!」

 

コルーリ「皆さん、早くこちらを召し上がって下さい!」

 

エリシオ「ッ!?キラキラルがあんなにもっ!くっ!させませんっ!!!」

 

エクシード「こっちだって、させませんっ!!!」

 

——ドンッ!!!

 

 デコレーションが完了し、完成したドーナツ。それから発されるキラキラルを目にしたエリシオは、すぐさまそれを消し去ろうと攻撃を仕掛けようとする——が、それはエクシードによって止められ、ドーナツはプリキュア達の口へと運ばれる。

 

いちか「ドーナツ……さっきよりキラキラしてる。綺麗……はむっ。……心の中にキラキラが溢れてくる。今まで、穴が空いたみたいになっていたのに……これは、何?」

 

エクシード「それが……"大好き"です」

 

プリアラ「「「「「「"大好き"」」」」」」

 

 "大好き"を取り戻そうとするエクシードは、エリシオと——プリキュア達へと伝える。

 

エクシード「エリシオ、この世界は理想だなんて思えない!だって、大好きが無かったら……分かち合うみんなと出会えない!それぞれ違う"大好き"があるからこそ、未来に向かって歩いていけるの!」

 

いちか「っ!」

 

エクシード「大好きなスイーツを学ぶ事!」

 

ひまり「っ!」

 

エクシード「自分の思う大好きを歌い続ける事!」

 

あおい「っ!」

 

エクシード「大好きな……大切な人の笑顔を見る事!」

 

あきら「っ!」

 

エクシード「大好きを感じて、自分のときめきをもっと輝かせる事!」

 

ゆかり「っ!」

 

エクシード「大好きなスイーツの可能性を信じて、パティシエの高みを目指す事!」

 

キラリン「キラッ!」

 

エクシード「大好きな美味しいものを……みんなと分け合う事!」

 

ペコリン「ペコッ!」

 

エクシード「自分だけの"大好き"がなくなったら……それはもう"自分"じゃないんだよっ!!!」

 

——キラーーーーーンッ!!!!!

 

 エクシードの言葉に反応する様に、コルーリの手元にある"ユニコーンショートケーキ"が輝き出す。すると、それに共鳴する様に——キラキラ☆プリキュアアラモードの"7人"からも、大量のキラキラルが溢れ出し、その光の中に——彼女たちを象徴する"アニマルスイーツ”が現れる。

 

いちか「思い出したよ、私の……"大好き"!」

 

ひまり「この光……何なんでしょうか?」

 

あおい「分かんない……けど、悪い気はしないね」

 

ゆかり「そこの貴女、この光を……あの子が必要としているの?」

 

コルーリ「は、はい!皆さんのキラキラルを、エクシードに貸していただきたいんです!」

 

あきら「あの子は、私達や他の人達の為に戦ってくれているんだろう?だったら、私は協力するよ」

 

シエル「キラッ!……ええっ!私達のキラキラル、貴女達に預けるわ!」

 

ペコリン「ペコッ!みんなのキラキラルを、その子の光に合わせるペコッ!」

 

——キラ――――ンッ!!!

 

 7人の光が、コルーリの手の中で輝く"ユニコーンショートケーキ"へと集まっていく。すると、色を無くしていた"ユニコーンショートケーキ"は、七色の輝きと共に——色を取り戻す。

 

コルーリ「光が……!エクシード!受け取って下さいっ!!!」

 

——シュンッ!

 

エクシード「コルーリ、待ってたよ!」ニコッ!

 

——パシッ!

 

 色を取り戻した"ユニコーンショートケーキ"をエクシードへと投げるコルーリ。すると、それを待っていたと言わんばかりに笑顔でそれをキャッチすると、すかさずQaフォーンSへとしまう。

 

エクシード『プリキュアプリが戻った!早速いくよ!プリキュアプリケーション!アップデート!!インストーーールッ!!!』〈キラキラ☆アラモード〉

 

エクシード『キュアラモード・デコレーション!』

 

 QaフォーンSから溢れ出すキラキラルの光が、エクシードを包む。その光は6つに分かれ——"伝説のパティシエ"が現れる。

 

Xs・ホイップ「超越せよ、無限の未来!キュアエクシード・ホイップ!できあがり!」

 

Xs・カスタード「キュアエクシード・カスタード!できあがり!」

 

Xs・ジェラート「キュアエクシード・ジェラート!できあがり!」

 

Xs・マカロン「キュアエクシード・マカロン!できあがり!」

 

Xs・ショコラ「キュアエクシード・ショコラ!できあがり!」

 

Xs・パルフェ「キュアエクシード・パルフェ!できあがり!」

 

「「「「「「キラキラ☆プリキュアアラモード!!!」」」」」」

 

 キラキラ☆プリキュアアラモード——6人の姿と名を纏い、エクシードは最後の詰めへと取り掛かる。

 

Xs・ホイップ「スパークロックブレス!プリキュアプリード!!!」〈キラキラ☆アラモード〉

 

〈アップデート〉:キラキラルクリーマー……プリブート!

 

 エクシードはキラキラルクリーマーを出すと、一緒に出現した"スイーツキャッスル"をセットする。すると、エクシードの姿が、キラキラ☆プリキュアアラモードの最高の形態——"アラモードスタイル"へと変わり、ホイップからパルフェのクリスタルアニマル、そして——シードとエクスのクリスタルアニマルである"ユニコーン"が現れ、エリシオへと向かっていく。

 

エリシオ「プリキュアの力が増大している!?この力、ここで食い止めねば!ならば、これで終わらせましょうっ!!!」

 

 エリシオは武器を構え、そこからエネルギーを出し始める。それは姿を変えていき、出来上がったのは——真っ黒で巨大なケーキ。それは重力に従う様に、上空からエクシード達へと落ちてくる。

 

Xs・ホイップ:AS「みんなの"大好き"を、もう消させない!」

 

エクシード's:AS「『『『『『『プリキュア・ファンタスティックアニマーレスペシャルッ!!!』』』』』』

 

 エクシード達のキラキラルクリーマーから放出されるキラキラルが集まり、エリシオの放ったケーキよりも大きい——大量のキラキラルで出来たケーキへと変わり、エリシオのケーキとぶつかる。ぶつかり合うケーキから散らばる無数のキラキラル——それは、無機質な世界に輝きをデコレーションする様に広がっていく。

 

 

みく「……綺麗なキラキラ」

 

岬 あやね「"何か"が湧き上がってくる様な……」

 

日向 まりこ「失ってはいけない"何か"が……」

 

宇佐美 さとみ「とても大切な"何か"を」

 

 "何か"を失った町の人々の元に降り注ぐキラキラル。みんなが光に手を伸ばし、その光は——忘れていた"何か"を、みんなに思い出させる。

 

みく「なんで忘れてたの?……私の大好きなお姉ちゃん!」

 

岬 あやね「……ロック!なぜ忘れていたんだ!」

 

日向 まりこ「そう……私は踊る事が大好き!」

 

宇佐美 さとみ「私は……世界中の人の笑顔が見たい!大好きな家族の……誇れる母親でありたい!」

 

 キラキラルは広がり続け、多くの人達が自分の中にあった——"大好き"を思い出していく。

 

ピカリオ「みんなを笑顔にする……彼女達は誰なんだ?」

 

 人々のために戦う、名前も分からぬ少女達。みんなが疑問を浮かべる——その時。

 

 

コルーリ「プリキュアーーーーーッ!!!!!」

 

 忘れられたその名が——苺坂町全体に響く。

 

——プリキュア!

 

——プリキュア!!

 

——プリキュアッ!!!

 

——プリキュアッ!!!!!

 

 響いたその名を——人々が繰り返し声にする。それはキラキラルの光と同じ様に、人々に広がり——大きくなっていく。

 

エリシオ「元に戻っただと!?ぐっ!!」

 

Xs・ホイップ:AS「町のみんながっ!……ふふっ!エリシオ、これが“大好き"の力だよっ!!!」

 

いちか「いけーーーっ!!!プリキュアーーーーーッ!!!!!」

 

エクシード's:AS「「「「「「はぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」」」

 

エリシオ「うおっ!?!?」

 

 プリキュアのケーキが、エリシオのケーキを打ち砕く。そして、勢いを増したケーキはエリシオを捉え——宇宙まで上がっていく。

 

——シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!キラーーーーーンッ!!!!!!

 

エリシオ「うわぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 ケーキから伸びた7匹のクリスタルアニマルの光がエリシオを包み、大きな輝きを放ちながら爆ぜる。その光は小さなキラキラルとなり——世界へと広がっていく。終わった——訳ではない。エリシオの気配はまだ残っているからだ。

 

コルーリ「エクシード!エリシオは倒せたんですか?!」

 

Xs・ホイップ:AS「ううん、まだ気配が残ってるみたい。ちょっと行ってくるね、コルーリ」

 

いちか「あ、あの、行くって何処に?」

 

Xs・ホイップ:AS「ん?ちょっと"宇宙"までね!」

 

 エクシードは、再びクリスタルアニマルを出現させて飛び乗ると、そのまま宇宙へと飛んでいく。いつの間にか背中に地球が見える所まで上がっていくと、そこには宇宙空間に浮かぶエリシオがいた。

 

エリシオ「う……うぅ、ぐはっ!?この程度では、まだ……管理が生温いと言うのですね」

 

Xs・ホイップ:AS「……エリシオ」

 

エリシオ「“大好き"があるから……人々は……くぅ!」

 

 エリシオから感じる"苦しみ"の感情。どうやらまだ、戦いは終わらない様だ。

 

エリシオ「こんな戦いを繰り返す!!!ならば!!!完全な”無”の中で眠りましょうっ!!!!!」

 

——キランッ!!!

 

エリシオ「私の中でーーーーーっ!!!!!」

 

 赤く輝く瞳をエクシード達に向けるエリシオ。すると、エリシオの胴体が開き、その中が露わにされる。そこにあるのは、禍々しい色の——謎の空間。それは——恐ろしいほどの力で、エクシード達を飲み込もうとする。

 

Xs・ホイップ:AS「エクシード達を飲み込むつもり!?」

 

エリシオ「ご安心ください!!!全てが眠れば、真の静寂がっ!!!!!」

 

 エリシオによって飲み込まれるエクシード達。そして、エリシオの中にある禍々しいものは——その規模を増していき、エクシード達の後方にあった”地球”をも——飲み込んでしまった。

 

エリシオ「全てが……終わった……」

 

 ”無”の中へ全てを飲み込み——まるで安堵する様に目を瞑るエリシオ。彼は、ゆっくりと無重力空間に身を預ける。

 

エリシオ「全てを……”無”に……。全ての生き物の心は……私の中に……。あとは……」

 

 心を持つ全てを飲み込み、これで争いを起こす者はない。だが、それでは完璧ではない。自分の”無”の中に——心を持つ”生命”が残っているからだ。争いを完全に消す方法を——エリシオは導き出していた。

 

エリシオ「私の身体が……朽ち果てるのを待つのみ」

 

 自身の中にいる全て諸共——”無”に還る事。それが、エリシオが導き出した答えだった。

 

 

——エリシオの中 

 

Xs・ホイップ「……ここは、エリシオの中?」

 

コルーリ「エクシード!ここは一体どこですか!?」

 

Xs・ホイップ「コルーリ!ここはどうやら……エリシオの中みたいなの。それにしても、まさか地球を丸ごと飲み込むなんてね」

 

コルーリ「そうですね。早くここから脱出を……?エ、エクシード!あれを見て下さい!」

 

Xs・ホイップ「あれは……いちかちゃん達だ!苺坂の人達も!」

 

 エリシオの中でコルーリと合流したエクシード。アラモードスタイルは解け、元のプリアラ達の衣装に戻ってしまっている。そして、空間にいるのはエクシードとコルーリだけではなかった。いちか達”プリアラ”の他に、苺坂に住む人々も——まるで眠る様に空間の中に存在していた。すると、その中の人が、まるで細かな粒子になる様に——消える。1人、また1人と——”無”の中に溶けるように消え始める。

 

コルーリ「ッ!?エクシード!このままだと私達も!」

 

Xs・ホイップ「大丈夫!この位どうってことないよ!コルーリ、危なくないようにエクシードの傍に居て」

 

コルーリ「は、はい。でも……この変な膜が」

 

Xs・ホイップ「あっ、そうだね。そい!」

 

——バンッ!

 

Xs・ホイップ「これでOK!さあ、肩にでも乗っててよ!」

 

コルーリ「は、はい!チュンッ!」ボンッ!

 

 自分達を包んでいた赤い膜を人差し指一本で弾き割り、自由の身になった二人は、この状況をどうすべきかを考え始める。

 

コルーリ「皆さん、消えてしまったのでしょうか?なんとか、皆さんも戻さないとチュン」

 

Xs・ホイップ「みんな、完全に消えた訳じゃないみたい。”キラキラル”になってまだ残ってるみたいだよ。だったら……」

 

コルーリ「エクシード、何か考えがあるチュン?」

 

Xs・ホイップ「ここにあるみんなの”キラキラル”を使って、伝説のパティシエ”プリキュア”らしく……スイーツを作るなんてどうかな?」

 

うん!その案に私は賛成!

 

 打開策を提示したエクシードに、コルーリ以外の”誰か”が賛成を訴える。空間の中を見回すと、そこには”キラキラル”の姿になった——いちかの姿があった。

 

Xs・ホイップ「いちかちゃん!?」

 

いちか『お願い!私達にも協力させて!』

 

ひまり『私も、力になりたいです!』

 

あおい『あたしも協力するぜ!』

 

ゆかり『みんなのために』

 

あきら『こんな所で、”無”になるなんて御免だからね!』

 

シエル『そうよ!みんなでやりましょう!』

 

 プリアラの皆の声に、他のキラキラルとなった人たちも集まって来る。

 

Xs・ホイップ「いちかちゃん……!みんな……!」

 

いちか『大丈夫……”プリキュア”なら、きっと出来るよ!』

 

Xs・ホイップ「……うん!力を貸して!」

 

エクシード's「「「「「「みんなのキラキラルをっ!!!」」」」」」」

 

 いちかの最後の一押しを受け、5本のキャンディロッドとレインボーリボンを出現させ、空間の中にある全てのキラキラルを一つに集めて”巨大なケーキ”を完成させる——が。

 

——バシュ―――――ン!!!

 

コルーリ「そんな!?もう少しでしたのに……」

 

無駄な事はやめなさい

 

Xs・ホイップ「あれは……エリシオ!?」

 

 ケーキは突然崩れ去り、再び小さなキラキラルに戻ってしまう。そんなエクシード達の行動を——無駄だと止めようとする声が語り掛ける。それは、空間の奥——そこに他の人達と同じように身体を丸めて、赤色の膜の中に籠っている”エリシオ”だった。

 

エリシオ「私の中では、人の心など無力です。宇宙に漂う私の身体が朽ちた時、全てが終わります。心の無い私に”キラキラル”は残りません。共に”無”に還りましょう」

 

 自身諸共——無に消える事を決めているエリシオ。彼はそれをエクシード達に伝えると、目を瞑り——消えようとする。それを見たエクシードは——ゆっくりと、エリシオへ手を伸ばす。

 

Xs・ホイップ「そんなの……だめだよ!」

 

 エクシードの伸ばした手が、消え去ろうとしたエリシオに触れた瞬間——僅かに光が灯る。その光は、空間の奥深くへと向かって輝き、あるビジョンをみせる。その中に見えたのは——小さなケーキ。そして、そのケーキを求めるノワールと思わしき邪悪な影と——ノイズが掛かり、姿も、声も聞こえない”プリキュア”と思わしき人影。二人は争い、そして全てが終わった時——ノワールによって、自身の身体を新たな存在”エリシオ”として生み出す瞬間のビジョン。小さな少女の前で愛を否定し、自身に従うように告げる瞬間のビジョン。リオくん——ピカリオのキラリンに対してのコンプレックスを刺激し嫌悪させようとする瞬間のビジョン。そして、数多くの憎しみの感情に埋め尽くされるビジョン。全てのビジョンが終わると、エクシード達の前には1枚の全身鏡があり、その中に——エリシオはいた。

 

エリシオ「人間の心は弱い。”大好き”も簡単に”大嫌い”に裏返る。そして互いに傷付け……争う。互いの気持ちが強ければ強い程、光と闇の争いは終わらないだろう。それでは……あまりにも……」

 

——ポロッ

 

エリシオ「哀れな……!」

 

——バリバリッ!バリーーーン!!!

 

 ここまで見てきたビジョンを振り返り、エリシオは語る。人の心の弱さ、争いの空しさ——そして、その哀れさを。それを語り、目の前の全身鏡は砕けてしまった。しかし、エクシードは見た。心を持たないエリシオの瞳に浮かんだ——1粒の涙を。

 

Xs・ホイップ「……ふふっ、あるじゃん。貴方にもあるよ……”心”」

 

 伸ばした手の中に握りしめた小さな光を——ゆっくりと開いて、見つめるエクシード。その中には、僅かだが確かに——”キラキラル”が輝いていた。

 

エリシオ「これが……私の心?抜け殻の私に?」

 

Xs・ホイップ「温かいキラキラル……きっとあなたが忘れてしまった”彼女”のなんだろうね。それをノワールが闇に変えて、貴方に注いだんだ」

 

エリシオ「くっ……私は心がないからこそ、平等な管理者になれると言うのに」

 

Xs・ホイップ「ノワールと”彼女”……2人の思いの”キラキラル”から生まれたのが、あなたの”心”なんだよ。……ねえ、エリシオ。気持ちのぶつかり合いを避けるのは……難しいって、エクシードも思うよ。”大好き”は……みんな違うから。”大好き”は一杯あるから。一つの大好きがぶつかっても、別の”大好き”で繋がることが出来る。その1つが……スイーツ。たくさん戦っちゃったのかもしれないけど、人を想う気持ちがあるなら、エクシード達はきっと、心を繋げることが出来るよ。でも、どうせ繋がるならさ……貴方も、みんなも、笑顔でいられる世界の方が良いと思わない?」ニコッ!

 

 エクシードは、いちかの事を考えながら——彼女が言いそうな言葉を、自分の思いも込めてエリシオへ伝える。そんな時、エクシードは——キラっとひらめいた!

 

Xs・ホイップ「そうだ!エリシオのキラキラルも、みんなのキラキラルにまぜまぜしちゃおう!」

 

エリシオ「私など……混ざるものですか?全ては遅かったのです。世界はもう戻りません!」

 

Xs・ホイップ「そんなの、やってみなくちゃ分からないじゃん!キラキラルは、きっとみんなの気持ちを繋いでくれるはずだよ!」

 

エリシオ「……ならば、試してみなさい」

 

 漸くエクシードの説得に折れたエリシオ。彼のキラキラルが、エクシードのキャンディロッドに集まり——。

 

エクシード's「「「「「「レッツ・ラ・まぜまぜ!」」」」」

 

 全ての人々と、エリシオのキラキラルを一つに合わせ始める。すると、キラキラルの光はエリシオの身体から溢れ出し、宇宙空間へと——エクシード達と共に解放されていく。

 

Xs・マカロン、Xs・ショコラ「「キラキラキラルン、キラキラル!」」

 

Xs・カスタード、Xs・ジェラート「「キラキラキラルン、キラキラル!」」

 

Xs・パルフェ「キラキラキラルン、キラキラル!」

 

Xs・ホイップ「キラキラキラルン、キラキラル!」

 

エクシード's「「「「「「キラキラキラルン、キラキラル!」」」」」」

 

 ”大好き”で出来た大量のキラキラルを——エクシードはまぜていく。小さなキラキラルは集まり、大きく、また大きく——大きな球状になっていく。でも、これだとなんか——物足りない気がする。

 

Xs・ホイップ「キラっとひらめいた!よ~し!最後の仕上げだよ!」

 

 エクシード達は、大きな球状になったキラキラルに仕上げの”デコレーション”を施していく。そして——。

 

Xs・ホイップ「出来たーーーっ!!!アニマルプラネットスイーツ!できあがり!」

 

 沢山のアニマルスイーツで彩られた地球くらい大きなスイーツ——”アニマルプラネットスイーツ”。完成したスイーツはその姿を変えて、綺麗な青い——みんなの地球に戻っていく。こうして、ヴァールハイト・プリキュアの——キラキラ☆プリキュアアラモードの時代を救う戦いが、ひと段落したのだった。直った地球を見るエクシードは、プリアラの姿を解くと、地球に向かってゆっくりと下りていく。その時、自分の横にエリシオが現れる。

 

エクシード「エリシオ!?」

 

エリシオ「今起こしたのは、一時の奇跡にすぎません。本当にバラバラの生き物が繋がる世界を創れると言うのなら……見てみたいものです」

  

 真剣な表情をするエリシオ。しかし、そこに敵意はない。【バラバラの生き物が繋がる世界】、その世界を見てみたいと言う彼の表情は——。

 

エリシオ「それは、とてもおいしそうな未来ですから」

 

 ——穏やかに未来を信じる、優しい笑顔の様に見えた。

 

エクシード「うん!お任せあれ!」

 

 エクシードの言葉を聞いたエリシオは、握っていたノワールが描かれたカードを手放し、光に返していく。そして、エリシオは——どこか遠くへ消えていった。

 

 

——苺坂町 広場

 

side:駆

 

駆「ふぅ~……お疲れ、種。コルーリもお疲れ様」

 

種「ふふん!楽勝だったね、お兄ちゃん!コルーリも大活躍だったね!」

 

コルーリ「2人共、お疲れ様チュン!私は、肝が冷えて大変でしたよ」

 

いちか「あっ!いた!プリキュアの……あれ?1人だったのに2人いる?あ、あれ?た、戦ってたのどっち!?そっち!?こっち!?」

 

 完全に変身を解き、苺坂町に戻って来た僕達。一息ついていると、そんな僕らを探していたのだろうか——いちかさんと他のプリアラの皆さんが僕達の元にやって来る。

 

ひまり「う、宇佐美さん、落ち着いて下さい」

 

いちか「そ、そうだね、有栖川さん!ひっ!ひっ!ふ~~~!」

 

あおい「いや、それは妊婦さんのするヤツだろ」

 

あきら「いちかちゃん、そこは深呼吸だよ」

 

ゆかり「うふふっ♪」

 

 ラマーズ呼吸法からやっと深呼吸に戻り、ようやく落ち着きを取り戻したいちかさん。彼女は僕の目を真っ直ぐに見つめる様に向き直る。

 

いちか「あの……ありがとう!私達の”大好き”を取り戻してくれて!私の家族と……友達と……誕生日も!本当に、本当にありがとう!」

 

駆「……いいえ、大したことないですよ。僕が皆さんから貰ったものに比べたら、これ位は当然ですから」

 

いちか「そんな事ないよ!駆君も!種ちゃんも!また、私達を助けてくれた!……あれ?私、なんで2人の事を知ってるの?あれ?あれれ?」

 

 カイザーンの”忘却”で思い出せないであろう——【プリキュアの記憶】。それは僕達が修正した歴史も例外ではない。プリキュアであった事を忘れている彼女達に、プリキュアであった期間に出会った僕らを思い出すことは出来ない。しかし、奇跡なのだろうか?いちかさんは、このような状況で——僕らを思い出そうとしている。

 

駆「……いちかさん」

 

いちか「……は、はい!」

 

——トンッ

 

いちか「ひうっ///」

 

駆「……今は思い出さなくていいです。全てが終わった時に、思い出してください。お祝いに……皆さんが作った最高のスイーツをお願いします。約束ですよ?」

 

いちか「……うん、分かった///」

 

 僕はいちかさんに近付き、いちかさんのおでこに、自分のおでこを当てる。そして、彼女の思い出そうとする記憶にAqライトで鍵をかける。”全てが終わった時に思い出す”——そう言う条件を付けた鍵を。無理に思い出せば、記憶の齟齬によって精神に大きな負担を生み出しかねない。そう思っての処置だ。ゆっくりといちかさんのおでこから離れると、他の皆さん方へと視線を向ける。

 

駆「ひまりさん、スイーツを学ぶ事は好きですか?」

 

ひまり「えっ!?は、はい!大好きです!」

 

駆「あおいさん、歌を歌う事は好きですか?」

 

あおい「ああっ!大好きだ!」

 

駆「あきらさん、家族の事は好きですか?」

 

あきら「もちろん、大好きさっ!」

 

駆「ゆかりさん、ときめきを感じる事は好きですか?」

 

ゆかり「ええ、大好きよ」

 

駆「いちかさん……スイーツは好きですか?」

 

いちか「うん!大好き!」

 

駆「そうですか。……良かった」ニコッ 

 

 自分が取り戻した物を、ちゃんと確認する。みんなの元に帰って来た——みんなの”大好き”。ちゃんと返しきれた。ここにいない妖精のシエルさんやペコリン、長老——プリキュアであることを忘れてしまった事で、繋がりが切れてしまっているものもあるのだ。それでも、今自分たちが返せるものを確認できて良かった。

 

駆「それじゃあ、僕らはもう行きます。まだ……取り戻さないといけない物が沢山あるので」

 

——シュンッ!!!!!

 

 僕はAqライトの力を使い、アカーシャを目の前に出現させる。それを見たいちかさん達は驚いていたが、僕の考えを察したコルーリは、すぐにアカーシャの発進準備を始める。アカーシャから響き始めるエンジンを聞き、準備が整った事を確信する僕に、コルーリから合図がきた。

 

コルーリ「2人共、準備完了チュン!」

 

駆「分かった!それでは皆さん、また……未来で会いましょう」

 

種「……」じ~!

 

いちか「な、なに?そんなに見られると困りますぞ~」

 

種「お兄ちゃん、いちかちゃんさ……」

 

駆「……ああ、そう言えばそうだったね」

 

 最後の挨拶を済ませたと思っていると、種がいちかさんを見て”ある事”を思い出す。そう言えば、戦っていたからすっかり忘れていた。

 

駆・種「「いちかさん(ちゃん)」」

 

いちか「は、はい!」

 

駆・種「「お誕生日、おめでとう!」」

 

 2018年1月7日——いちかさんの14歳の誕生日の祝いの言葉を送り、僕らはアカーシャへと乗り込む。そして、アカーシャは”碧色の流れ星”となり——次の時代へと飛び立った。

 

 

side:いちか

 

いちか「……行っちゃった」

 

 ”プリキュア”と名乗っていた男の子と女の子、そして鳥になったり人になったりする変な分からない”妖精さん?”は、男の子がいきなり出した大きな宇宙船みたいなものに乗って、どこかに行ってしまった。私の誕生日を祝福する言葉を残して——と言うか、今日が私の誕生日なんて言っていなかったのに。あれ?言ったかも?

 

ひまり「あの人たちは、いったい何だったんでしょうか?」

 

あおい「う~ん……分からない。でも、あいつらのおかげであたし達が助かったって事だよね」

 

ゆかり「そうね。それに……ちょっと面白そうだったわね♪」

 

あきら「そうだ!いちかちゃんの誕生日会、まだ途中だったね。早く戻ろう。こうして、何事もなくなった訳だしね」

 

いちか「あっ!そうだった!早く家に戻らないと!……あれ?」

 

????「……ペコ」

 

 さっきの大きな出来事のせいで忘れていたが、私はまだ誕生日会の途中だったのだ。あきらさんが思い出してくれた事で、すぐに会場である家に帰ろうとした時——広場にある木の後ろに、私を見つめる小さな影をみつける。その正体は、あのプリキュアが現れた時にプリキュアが持ってきたドーナツをデコレーションしていた——ピンク色の妖精。その子は、そこから私達を見つめていた。特徴的な大きい耳が、どこか悲しそうに点滅している。それを見た私は——どうしてだろう?その子の事を、放っておくことが出来なかった。

 

ひまり「宇佐美さん?」

 

あおい「どうかしたの?」

 

いちか「……ん。ねえ!そこにいる妖精さん!」

 

????「ペコッ!?」

 

いちか「スイーツは……好き?」

 

 プリキュアの男の子が私にしたように、ピンク色の妖精に私は問いかける。私が——その子の”大好き”が知りたいから。

 

????「ペコ~!ペコ!ペコリン、スイーツ大好きペコッ!」

 

いちか「……ッ!私も!スイーツがだ~~~~い好き!」

 

????「ペコ~~~!一緒ペコ!」

 

いちか「私、宇佐美いちか!」

 

ペコリン「ペコリンは、”ペコリン”ペコ!」

 

 同じ”大好き”が重なって、私と妖精のペコリンは——出会ったばかりなのに、友達になった。でも、なんでだろう?私は——ずっと前からペコリンと”友達”だったみたいに感じる。

 

いちか「そうだ!ペコリンも私の誕生日会に来ない?ケーキもあるよ~!」

 

ペコリン「ケーキペコ!?ペコリンも一緒に行きたいペコ!」

 

ペコリ~~~~~ンッ!!!!!

 

 そんな時、遠くからペコリンを呼ぶ声がする。すると、空からまた違う妖精がやってきたのだ。

 

ペコリン「あっ!長老!キラリン!ピカリオ!」

 

長老「ペコリン、どこ行ってたジャバ!?心配したジャバよ!それに……さっきここから空に昇って行った光は、もしかして”プリキュア”とか言う奴らのだったジャバ?」

 

キラリン「キラ!キラキラルを自在に操り、みんなを助けてたキラ!」

 

ピカリオ「あんな事、相当のパティシエにしか出来ないピカ!」

 

長老「ジャバ~。もしかしたら”プリキュア”とは【伝説のパティシエ】……だったのかもしれないジャバね」

 

 なんか難しい事を話し始める妖精たち。私には——ちんぷんかんぷんですぞ。

 

ペコリン「長老!キラリン!ピカリオ!これからペコリン、いちかのお誕生日会に行くペコ!」

 

いちか「キラっとひらめいた!良かったらみんなも来ない?大勢の方が楽しいし!」

 

長老「ジャバ~!本当ジャバ!?」

 

キラリン「キラリン達も言って良いキラ!?」

 

ピカリオ「……本当に行っていいピカ?」

 

いちか「もっちろん!私に任せなさい!」

 

 私は、ペコリンと他の妖精の皆を抱えると、広場にいた他の皆にも話しかける。

 

いちか「ねえ、有栖川さんと立神さんも誕生日会に来ない?ゆかりさんとあきらさんも!」

 

ひまり「えっ!?い、良いんでしょうか?」

 

あおい「いいじゃん!せっかく誘ってくれたんだし!それに、あの”プリキュア”ってヤツを一緒に見た仲だしさ!」

 

ゆかり「ふ~ん……面白いわね」

 

あきら「そうだね。せっかくだから、私も参加させてもらおうかな」

 

 何だろう?さっきまでなかった大切なものが——戻ってくるような感じがする。この感覚を感じていると——胸の中に”キラキラ”が溢れてくる。なんだか——。

 

いちか「よ~し!そうと決まれば!早速出発~!」

 

ペコリン「出発ペコ~!」

 

いちか「うん!ホイップ・ステップ……!」

 

——シュンッ!

 

いちか「ジャーーーーーンプ!!!!!」

 

 私の心も、未来も——大好きなスイーツみたいに、キラキラの”大好き”って想いで、たくさん詰まっていくみたい!

 

 

To Be Continued……




如何だったでしょうか?原作アニメを見ながらセリフを書きだしたり、人間関係が或程度リセットされる事で呼び方が変わるなどのつじつま合わせが大変ですが、ちゃんとできましたかね?次回は、魔法つかいプリキュアが待つ2017年へ!ナシマホウ界とマホウ界が交わろうとする混沌を、駆達は討ち破ることは出来るのか!?乞うご期待ください!
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