すみまっせんでしたぁぁぁぁあああああああ!!!!!
遅くなった上に短いというね、もう救いようがないね。
謎の建物に驚いて超特急で家に帰ると、丁度アリスちゃんが来ていた。大ちゃんはキッチンで朝ごはんを作ってるみたい。良妻っすね。
エプロン姿の大ちゃんの後ろ姿に見蕩れていると、アリスちゃんが咳払いをしたので我に返った。そうだ、アリスちゃん何しに来たのん?
アリスちゃんは今日突然不穏な魔力を感じ、嫌な予感がしたから心配でこちらへ様子を見に来たのだとか。
明確に心配とは言わず、「ちょっと、馬鹿弟子の顔が見たくなっただけよ……」と頬を赤らめながら言うものだから、何かもう、私の脳内マックスハート。ツンデレデレツンデレデレツーン!かーわーいーいーなー!!!(キャラ崩壊)
溢れ出る煩悩を頭の片隅にマッハで叩きつけて今朝見た謎の紅い悪趣味建物の事を話すと、後で少し様子を見に行ってみる事になった。
え?私も一緒?いーやーだー!え?何があっても貴方達のことを絶対に守るって?頼れるお姉さんすぎませんかアリスちゃん?!カッコよすぎるよ惚れちゃうよそんなの。
勿論頼らせていただきますとも!ししょーは強いんだからな!!後は全部お任せしようかな!!!(丸投げ)
そんな話をしていると、大ちゃんが朝食を持ってきてくれたので三人で共に食べる事にする。言い忘れていたが、ルーミアは別に住処がある様なのでそこからこちらへいつも合流している。でも朝扉開けると何故か居るのよね。いつから居るのん?
ちなみに朝食の材料は、村の人の手助けとかしていたらご好意で貰うことが出来たものだ。人の心が暖かすぎて泣けてきた。これからも大事にしていきたい繋がりである。ありがたやー。
「難しい話はあとにして、いただきます!」
「「いただきます」」
あー……温かい味噌汁を一口飲んだら、難しい話とか色々な事がどうでも良くなってきた。アリスちゃんや、あの建物はもうああいうオブジェって事にして忘れない?え?ダメ?さいですか……
◇
さて、そんなこんなで私達は今、湖に来ておりまする。
湖の周りはすっかり霧が晴れて、建物の全貌がよく見える。あれはなんだ、館というか、城というか、改めて見るとホントに大きい。そしてここまで近づいて気づいたのだが、周りが微妙に揺らめいて見えるのがまた不気味さを引き立たせていた。
誰が住んでるんだろ、やっぱり貴族的な人達かな。幻想郷に来たんだから人ってことは無いんだろうけど。建物ごとワープしてきたし凄い魔法使いだったりして。
「あれね……ホントに紅いのね」
「チルノちゃん、私あんな凄い建物初めて見たよ……」
「改めて見ると凄い……アリスちゃん達は何か感じる?」
「微弱だけど強い力を感じるわ。後は薄い結界が張ってあるわね」
「私は何も感じないかな」
微妙に揺らめいて見えるのは結界が原因なのか。どうやらあの結界は一定以上近づくとその先からは館に近付けない様になっていて、試しに湖を突っ切って飛んでみたのだが、館との距離は変わらなかった。
それでも、遠目に眺めていてもしょうがないので近くまで行ってみる事にした。アリスちゃんが簡単に結界に切れ目を入れて三人で入る。
この時点でこの結界を張った人には気づかれているだろうから、念の為アリスちゃんは魔法陣から上海人形を呼んで、フル装備で浮かばせた。
機銃にナタのような刃物をぶら下げた上海ちゃんは、笑顔で私達にシャンハーイと挨拶してくれたのだが、ごめん、怖いわ……サッと行ってサッと帰ってくるつもりで三人ともいる筈なのだけれど。ドンパチしてくつもりじゃないよね?あ、グラサンかけた。アリスちゃんもかけた。マフィアかあんたら。
近づくにつれてその舘が如何に立派なものかが分かる。……紅いのが気に入らないけど。目がチカチカするわ。
正面の門まで来ると、そこに一人の妖怪が居た。門に寄りかかり腕を組んで目を閉じているその姿は、一見、居眠りをしているようだが、その雰囲気に隙はない……こいつ、出来るっ……!!
とか一人で頭の中でやってたけど、あれ寝てるな……鼻ちょうちんとか初めて見た。しっかり寝てる。大丈夫かアレ。
寝てはいるが妖力とはまた違う強い力を持っていることは分かったので、私達は彼女が起きないうちにそそくさと退散することにした。
「あの門番は妖怪だけど、妖力よりも『気』というものを纏っていたわね。確か東洋の武術の概念だったかしら」
「武術の達人ってやつなのかな」
そんなのが門番なのね……主は勿論あれより強いのだろう。結界の中に入って感じたのだが、強い力を二つ感じたからあれのどちらかだろう。地下にある方が禍々しかったしそっちかな。あの時館に目を向けたら何か寒気というか、言葉に表せないような何かを感じた。どんだけ強いんだよ。まぁ、ゆかりんが何とかしてくれるでしょ!!!してくれるよね?!
その後はアリスちゃんは自宅に帰り、森の自宅にいたルーミアに今日のことを話して後はいつもの様に過ごしたのだが、その日はずっと、頭からあの時感じた嫌な予感が離れなかった。
◇
「紫様、外の世界で西洋妖怪の動きが活発化しているようです」
「そう……藍、最近の幻想郷の妖怪達の事をどう思うかしら?」
主にそう聞かれ、九尾の式は率直な感想を述べる。
「覇気がないというか、腑抜けている、ような気がします」
「私は、いい機会だと思うの」
「いい機会とは……?」
「湖の畔に吸血鬼が拠点を置いたでしょう、あれはきっと幻想郷に喧嘩を売るつもりね。間もなく宣戦布告でもすることでしょう」
そこまで言って、紫は持っていた扇子をピシャリと閉じ、横にスっと振った。するとそこに何かが開いた。空間の中は複数の目玉がぎょろぎょろと蠢いており、中は暗いのか明るいのか分からない。
そんな不気味な空間──スキマから複数の紙を取り出した。
「この手紙を至急届けて欲しいの」
「御意」
その紙を受け取ると、九尾の式は瞬く間にその場から消えた。
紫はフッと短く息を吐き、虚空を見つめた。胡散臭く、姑息で、聡明な賢者の瞳には、きっとこれからの顛末が写っているのだろう。
「盛大なご挨拶をしてくれるんですもの。ここの管理者として、それ相応のお返しをしなくては、ね?」
そう独り言を呟いた彼女の口は、三日月に嗤っていた。
◇
広いフロアは明るい外に比べて薄暗い。外壁と同様に紅いその部屋に、うっすらと三人の姿が浮かぶ。
「お嬢様、あの者達は放置して宜しかったのですか?」
「いいわ。あの程度なら何ら脅威にはなりえない」
「妖精二匹に魔法使いが一人だったわね、結界に切込みを入れる手際は見事なものね……あの魔法使いには少し警戒しておきましょうか」
「美鈴には手出し無用と伝えたけれど、よく寝れるわねあの子……」
「後でナイフでめった刺しにしておきますね」
「程々にね……」
一人は銀髪のメイド服、もう一人は紫色とピンク色のプリーツドレスのような服を着ていた。
そしてもう一人、ドレスを身にまとったその背中には黒い蝙蝠のような羽、そして薄暗い中で光る紅い瞳。幼女のような背丈だが、二人より高い場所で椅子に座るその姿からは館の主たる風格があった。
「レミリア様、配下の妖怪は予定通り集まって来ております」
「パチェ、日差しは遮れる?」
「広範囲に雲を出す準備は出来ているわよ」
「じゃあ、そろそろ始めましょうか」
その一言で彼女たちはそれぞれ動き出した。全ては一つの目的のために。この場にいない、それでも大切な家族の為に。
誰も居なくなった部屋で一人、館の主は何か覚悟を決めたような顔で一人呟いた。
「この幻想郷で、運命を変えてみせる……!」
ここからが腕の見せ所さん?!という事で、頑張ります……