闇を抱えた提督がブラック鎮守府に着任するお話   作:はやぶさ雷電

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前回のあらすじ

時雨と出会った。


第14話 無駄な争い

時雨と会ったあの日以降、夜に来る艦娘は一旦いなくなった。更に教えに来てくれていた軽空母も、今は忙しく来れないらしい。そのためいつも通りの練習を1人でこなした。

 

朝潮によると最近、近海に少なくない数の敵艦隊が毎日現れるらしい。そしてその戦力は日に日に増している。毎日撃滅してはいるが、そろそろ抑えきれない程。

 

近海の警備、及び同海域に侵入してきた敵艦隊の撃滅のみを行ってきたため、敵は戦力の強化を簡単に行えた。そして大規模侵攻作戦を控えていると推測しているとのこと。

 

そして今日はタイミングが悪いが、大本営の人間が来る。朝潮にもこの事は話しておいたため、弓道場には最低限の艦娘しか来ないはずだ。正直、ここがチャンスだとは思っている。まだこちらが勝利したときの対等な条件を約束していない。

 

「提督殿、大本営の方がお見えになられております。」

 

ノックの音が鳴り、すぐに心良の声が聞こえてくる。

 

「すぐに行く。」

 

そう言って軍服を整え、軍帽をかぶって部屋を出る。

 

 

 

 

 

「やっと来たか。」

 

弓道場に入ってすぐ、そんなことを言われる。

 

「航空母艦、赤城です。貴方がここの提督ですか?」

 

大本営の人間が次を話そうとしたところに、遮って入ってきた。

 

「ああ、そうだ。」

 

「こんなことをしていて、ずいぶんとお暇なのね。」

 

「ちょっと加賀さん!」

 

赤城が小さい声で加賀に向かって叫ぶ。だが加賀は何もなかったかのようにこちらを真っ直ぐ見続ける。

 

「全く暇じゃないけどな。」

 

そう答えると大本営の人間が我慢できなくなったのか、間に割ってきた。

 

「うるさい!お前らは準備しておけ!」

 

それを聞いて赤城と加賀は下がっていった。

 

「対等な条件をまだ決めていなかったので、話させてもらいます。」

 

「どうせお前は負けるだろ、そんなのいるか?」

 

「勝負とはそういうものでしょう。」

 

イラつかせに来たのか知らないが、そんなものは無視する。

 

「あんたのところに何人いるかは知らないが、ここの鎮守府所属の艦娘全員を返してもらう。」

 

「ま、いいだろう。どうせ勝つんだからな。」

 

そう言って大笑いをして下がっていった。

 

 

 

 

 

相手は赤城らしい。弓を持ち、隣に出てきた。

 

「皆さん、無事ですか?」

 

赤城がこっそりと聞いてくる。俺が誰なのか気付いているのだろうか。

 

「自分の目で確かめた方が確実だろう。」

 

そう言うと赤城の返答が来る前に、始めるよう言われる。

 

この試合は3本連投で決めるらしい。ルールは大本営の人間が決めた。何もわからない奴が決めるのはどうかと思うが。

 

先攻は赤城だ。矢を放つ姿はとても美しく、うっかり見とれていた。それと同時に懐かしさも感じていた。赤城が放った3本の矢は綺麗に的の中心に集まった。

 

何か感想を話すこともできずに、大本営の人間に急かされる。

 

弓を構え、狙いを定め矢を引く。皆に教えられたことをもう一度頭に浮かべる。赤城の放つ矢よりも不格好な飛び方だったが、1本目は的の中心に刺さり、2本目は1本目を、3本目は2本目の矢を裂いて刺さった。

 

「これは、お見事・・・。」

 

赤城も刺さった矢を見つめ続ける。

 

「んなばかな!」

 

大本営の人間も予想外だったようで、勢いよく立ち上がり的を凝視する。

 

「か、加賀!お前が「私にもこれは無理です。」

 

きっぱりと断り、加賀は何処かへ行ってしまった。

 

「こ、これは何か裏があるはずだ!」

 

「見苦しいぞ、いい加減諦めろ。」

 

さすがに我慢できなくなってそんなことを言う。

 

「約束通り、そちらの終焉鎮守府所属艦娘全員の帰投を要求する。」

 

提督としての偉さで言えばこちらはかなり下になる。だが、鎮守府自体はこちらの方がかなり上なのだ。何とも不思議な感じだが。

 

「っ~!!」

 

散々こちらを睨み付けた後、何も言わず出ていった。

 

「ひさしぶりだな、赤城。」

 

「そうですね。」

 

「あの提督に任せるのは心配しかないからな、悪いけど迎えに行ってきてくれないか?」

 

「いいですよ。」

 

思っていたよりも、かなりすんなり受け入れてくれた。

 

「私もいきます。」

 

何処に行っていたのか、いつのまにか戻っていた加賀が赤城の隣に並ぶ。

 

「構わない、文句とかもないしな、護衛は?」

 

「あっちにいくときはあの提督の護衛がいますし、帰りは皆連れて帰りますからね。大丈夫です。」

 

そう言うと2人はおいていかれる前にと出ていった。

 

 

 

 

 

執務室で椅子に座り、天井を見つめる。以外とあっけない終わり方だったと思ってしまう。はたしてこの努力は今後何に使えるのか。そんなことを考えていると、誰かが走ってくる音が聞こえた。

 

「司令官!緊急事態です!」

 

ドアが壊れていないのが不思議なくらいの爆音と共に、扉が開き朝潮が入ってきた。

 

「え?ど、どうした?」

 

急な言葉に頭が追い付かない。だが、朝潮はそのまま報告を進める。

 

「先程、近海の警備任務遂行中の艦隊より入電がありました。複数の敵大型艦と接敵、大損害を被ったとのことです。」

 

「大損害!?どれくらいの被害だ?」

 

「送られた情報によると、小破2、中破3、大破1とのことです。」

 

「大破!?」

 

俺の知識では中破までは艤装がダメージを肩代わりするため、大きな怪我をすることは無いと習った。だが大破になると艤装がカバーしきれず、命に関わってくることもあると習った。

 

「詳細はわからないか?」

 

「これだけしか送られていません、詳細は本人に聞かないと・・・。」

 

簡単な情報しか送る余裕がなかったと考えると、追撃を喰らっている可能性がある。万が一敵を引き連れたままなんとか逃げている状況なら、ここに来れても全滅するだけだ。

 

「追撃で得意なのは航空機だ、戦闘機の護衛を送ってあげられるか?」

 

「休憩中の軽空母に発艦を要請します。」

 

「それと水上艦も追って来ているかもしれない。水雷戦隊を編成して救援に向かわせよう。」

 

ここには低速の戦艦しかいない。助けるためとは言え時間をかければ助かる確率は下がる。

 

「誰を旗艦にしましょう?」

 

そういえば朝潮に任せきりで考えていなかった。

 

「すまんがまだここの艦娘のことはよく知らない。編成は朝潮に任せるよ。」

 

「了解しました!」

 

そう言って朝潮は敬礼をして出ていった。

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