闇を抱えた提督がブラック鎮守府に着任するお話 作:はやぶさ雷電
前回を見なかった方のために
主人公の名は
詳細は前回の最初に書いてあります。
「到着いたしました。」
「どうもありがとうございます。」
「いえ、仕事ですので。」
そう表情を変えずに運転手は言ってきた。そして、少し離れてから微かに聞こえた。
「
最後の希望?って言ったか?自分の事か?まさかな。
気にはなったが、今はこちらの方が大事だと思ったので、進むことにした。今さら言うのもなんだが、案外耳良いな。
そして大本営の中に入った。やはり今の時代、仕事は提督が一番人気なようで、沢山の人が関係者以外立ち入り禁止の張り紙が貼ってあるところに入っていく。
大本営自体に問題があってもわかるよう、基本的には一般解放もしているため余計に人が多く見え、それがプレッシャーとなって襲いかかってくる。
勿論自分も関係者以外立ち入り禁止エリアに入っていく。なんだか普段は入れないところに入るのはワクワクしてくる。そして少し進むと担当の方が案内してくれる。
「ようこそ、招待状はございますか?」
「はい、これです。」
「・・・はい、確かに。ではこちらの席で順番をお待ちください。」
「ありがとうございます。」
招待状の確認は防犯のためらしい。大本営が細かく調べて、来ても問題ないと判断された人にのみ送られてくる。そしてどうやらここで面接の順番待ちらしい。提督になるには3次審査まである。
1次審査は面接で、ここでまず人間性を見るらしい。パット見筋力が少なく見えるものは、筋力の測定に行くらしい。提督とは言えやはり軍だからだろうか。
2次審査は筆記テストのようなもので、知識について測るらしい。こちらに関しては提督としての知識がかなり問われるらしい。
3次審査は実技のようなもので、なんと1週間も受け続けるらしい。食事はあるらしいが満足できる量でもなく、食べ物の持ち込みは禁止。その状態で心が持つかどうか、適切な判断ができるかどうかを見るらしい。これに関しては捕虜になったときの想定などだろうか。
そんなことをボーッと考えていたら順番が来た。そして、面接官が待つ部屋に入った。
「名は?」
「黒鋼 光夢です!」
敬礼をしながら名前を名乗る。
「そこに座って。」
「はっ!失礼します!」
部屋の真ん中に置いてある椅子に座ると、正面に1人、そこから左右に2人ずつの計5人が座っている。向けて来る目が怖すぎて泣きそうになるも、真剣な表情で前を見続ける。
相手は名乗らないで質問をして来る。黒鋼はそれに答え続ける。あまりの緊張に何を話したか覚えてはいないが、最後に聞かれたことだけははっきりと覚えていた。
「貴様は
「は?・・・あ、いや、すみません。」
あまりに唐突な質問につい素が出てしまった。あぶねぇ。
「艦娘とはなんだ?兵器か?人間か?勿論私が言った中にあるならそれでもよい。」
今までで一番鋭い眼光で見てくる。
「えっと・・・」
「早く答えろ。」
さんざん面接をして疲れているのだろうか、左端の面接官がキレ始めていた。
「・・・艦娘は、兵器ではないです。彼女たちを実際に見たことはほぼありませんが、それだけは確実です。そして人間かと聞かれれば、人間だと答えます。あくまでそういう兵器を背負えるだけで、それは人間の特技や特徴と大差ないと思います。」
「ほう?」
すごく怒鳴ってきそうな顔で睨み付けてきた後、5人で何かを話した。
「・・・貴様の合否を発表する。」
「・・・貴様は不合「合格だ。」
突然左端の面接官の後ろにある扉から誰かが入ってきた。
「何をいっている。」
「彼は合格だ。それとも、私の言うことは聞けないのか?」
「・・・失礼しました。合格です。」
渋々、という感じで筆記テストの部屋の場所を教えられ、退出した。黒鋼はパット見筋力が無いので、筋力の測定に行くことになるかと思ったが、あの人が出てきて急遽退出させたようだった。
それにしても、あの人どこかで見たような・・・
そして、2次審査が始まる。
こちらは特に言うことはない。iPadのようなものに問題がかかれており、回答終了すると5秒後に点数と合否が表示され、黒鋼は100点満点中、95点、合格点70点だった。ここに関しては一生懸命吹雪に教えてもらった。
あの送った後、言ったのは私だからとちょくちょくここを抜け出しては教えに来てくれた。(第0話参照)
そしてここから地獄の3次審査である。
ところがここで聞いていたのと違う点が現れた。まず、ここも2次審査と同じiPadのようなものを使うと聞いていた。ところが、パソコンらしい。机に固定されていて動かすことができない。
そして始まる直前に昼食をとらされ、3次審査中は
そしてとある部屋に押し込まれ、自分用のパソコンを指定され、扉の前に憲兵がたたされた。ここに関してはある程度情報があったためか、みんなは何よりも食事が無いことに焦っているようだった。
パソコンにはゲームのようなものがあり、自分が知っている吹雪のようなキャラクターもいた。ルールはいたってシンプル。いかに早くボスにたどり着くか。たどり着かなければ一番戦果をあげ、最深部に近づいたものの勝ちだ。
黒鋼たちは進撃と撤退、出撃や補給、入渠など、簡単に言えばゲームの艦隊コレクションをやらされている感じだ。
ただ違うところと言えば、最初に同じ決まった戦力がみんなに振られていた。また、回りの人達と連携をとれるらしい。申請して、それを受け入れてくれれば2人で攻略できる。ただし、戦果は半減する。
最深部にたどり着くのはなかなか難しいらしい。戦果を重視して進むのも、ゴールを目指すのも点数としてはかなり近いらしい。どちらを重視するかが鍵だろうか。
とりあえず始まった。憲兵は半日ごとに入れ替わるようだった。勿論みんなは眠っている暇なんてなかった。ちょっとずつ進めていたが、回りはガンガン轟沈させながらゴリ押しを図っていた。勿論黒鋼は轟沈しないよう慎重に進んだ。
5日目になった。ここまでをまとめておこう。
1日目はみんな特になんもなかった。黒鋼は何度か連携を頼まれたが大抵断った。
2日目はちょっと眠そうな人達が増えていた。この日も連携はあまり組まなかった。
3日目はうとうとしていたら1人轟沈してしまった。つい叫んだら憲兵に怒られた。
4日目は連携を取るようにした。だが、一部は発狂して連れ出され、一部は死にかけて病院へ、一部は憲兵に命乞いをしていた。
そして5日目は2人を沈めてしまった。空腹と寝不足が相まってか、またやってしまったことに泣きながら唸っていたら、憲兵が
「貴様またか!1人や2人どうということはないだろ!」
「なんだと・・・?ふざけんなよ!そんなわけないだろうが!!」
掴み合いになりかけ、もう少しでつまみ出されるところだった。
6日目が来た。皆は轟沈しすぎたようで、戦力が不足し、一部は戦闘不能、大半は最初から全く戦力を減らしていない黒鋼に、土下座までして連携を申し込んできた。まあ、ほとんどは受けた。
7日目が来た。最終日、今日も土下座してくるが、今日はひとつも受けなかった。最後の時間を使って、最深部の攻略をした。
結果は最深部攻略成功、戦果は過去最高、どうやら快挙を成し遂げたらしい。その後合格した人は寝室につれていかれ、死んだように眠った。次の日に、色々話があるらしい。