闇を抱えた提督がブラック鎮守府に着任するお話   作:はやぶさ雷電

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前回のあらすじ

初期艦選んだよ!皆選んだ!


第4話 ようやく鎮守府へ

「心良。」

 

「どうした?」

 

「いや、頼みを聞いてくれてありがとう。」

 

「あー・・・それのことなんだが・・・」

 

5人連れていくという無茶振りを何とかしてくれた事について礼を言うと、ぎこちなく答えてきた。

 

「すまない、連れて良いと言う許可は得られたんだが、すべての戦力を連れていくために他の候補は失格という扱いになる。細かく話すと長くなるからやめておくが、そう言う問題があるため色々雑な扱いを受けることになりそうだ。」

 

「まあそのくらい大したことないぞ?」

 

少し余裕があるように答えた。だが心良が難しい顔をして続きを話した。

 

「それで特に問題なのが・・・、新しい鎮守府を新設するより元からある方へとの事でな、少々、いや、かなり手こずりそうな鎮守府へいくことになった。」

 

 

 

その鎮守府の名は終焉(しゅうえん)鎮守府。名前からして何か凄そうだが命名者いわく、というか命名した初代元帥によると

 

「この鎮守府は今までの鎮守府と違って防衛基地じゃあない。守るのではなく攻めるのだ。そして唯一の日本本土から少しだけ離れたところにある最前線基地だ。この鎮守府によって、この戦争に終焉(・・)を迎えたい。」

 

だから終焉鎮守府なのだそうだ。正直これを聞いたときは心に響いた。そして、初代元帥はここで引退を迎えた。誤解を生まないよう一応言っておく。今現在も初代元帥は元気に生きている。

 

引退した後、大本営は大切な前線基地ということもあり何度か提督を送り込むが、ちょうど艦娘を兵器として扱い始めた頃で上手くいかず、ほぼ完全に信頼等を失ってしまったらしい。

 

最初の方は信頼していたため、それぞれの提督に対応しようとしていたらしいが、ひたすらこんなのが続くものだからもう信頼していないらしい。

 

3日持てば良い方だとの噂まである。

 

 

 

「そんなところで俺は1日でももつだろうか・・・」

 

不安になってきてそんなことを言うと、静かに横で聞いていた皆が黒鋼を支えてくれた。

 

「あんたを信用して書類に記名したのよ?あんたがそんなんじゃ困っちゃうわよ。」

 

叢雲がそう言ってくれる。すごく信頼されていることに再び気付かされる。

 

「そうなのです!それに審査はトップなのですよね?問題ないのです!」

 

「え?何でそれ知ってるの?」

 

電が教えてもいないことを言って来て驚く。だが理由は漣が答えてくれた。

 

「それはご主人様が面接しているうちに戻ってきた心良さんに教えて貰ったからです!」

 

なるほど、それは納得した。だが同時にすごく目線を感じる。いや、言わせてるわけじゃないからね?

 

そんな事を心のなかで叫びつつ、心良ではない別の憲兵に船が用意できたと言われたので港に向かうことにした。

 

 

 

「こ、これが船か?」

 

「荷物はこちらに。では俺はこれで」

 

「ちょっまっ・・・」

 

そう言うと憲兵は早足で去ってしまった。

 

「・・・いったい、どうやって向かいましょうか?」

 

五月雨が全員の疑問を言ってくる。そもそもどんな船なのか、それを説明しよう。

 

一言で言うとまず船じゃない。ボートだ。エンジンもついていないゴムボートだ。

 

「あんたいったい何しでかしたのよ・・・」

 

叢雲があきれたように言うが、俺のせいではない。よね?

 

「俺は何もしてないぞ?だが、これからいくところには案外ちょうど良いかもしれない。」

 

皆驚いた顔をしていた。そんなことはないんじゃないかと。

 

「あちらは恐らく俺らを信用していない。とりあえずそう仮定する。そこにこんな酷い仕打ちをされたような感じの人が来たらどうだろう?少しは怪しまれないかもしれない。」

 

「さすがに怪しいかと・・・」

 

心良が言ってくる。

 

「・・・いや、そう考えないとちょっと悔しくない?」

 

「私たちがボートを引けばいいんですね!」

 

黒鋼のそんな話は放っておいて五月雨が言ってくる。

 

「・・・よろしく頼む。」

 

「俺もよろしく頼む。」

 

そう言って黒鋼と心良はボートに乗り込む。

 

「ではさっそ・・・あ!」

 

艤装展開の音がなったと同時に五月雨が躓いてボートに倒れ込む。

 

「うお!?」

 

「わ!?」

 

ボートが大きく傾き、転倒しそうになるも、何故か(・・・)倒れずに済む。

 

「・・・?あ、妖精さん!?」

 

そこには一生懸命ボートを押さえるたくさんの妖精さんがいた。

 

「なんでこんなに?どこから?」

 

吹雪が疑問をぶつけてきた。そして自分の荷物をみると、蓋の開いた何も入っていない段ボール箱があった。なるほど、こっそりと荷物に紛れ込んでいたのか。

 

「俺の家の妖精さんだ。どうやらこっそりと荷物に紛れ込んでいたらしい。」

 

何故黒鋼の家に妖精さんがいるのかというと、彼の母親が艦娘だったからだ。母親が亡くなっても妖精さんは居続けた。

 

 

 

とりあえず慌てる五月雨を何とか落ち着かせ、五月雨もボートに乗せることにした。ボートには小さな穴が開いてしまったが、妖精さんがある程度なんとかしてくれた。

 

あまり長くはもたないだろう。早く出発するために、そういえばいつ、どうやって持ってきたのかわからない黒鋼の荷物と心良の荷物をさっさとのせて出発した。

 

吹雪と叢雲が牽引、漣と電は警戒、五月雨は大人しくすることにした。

 

「そう言えば、心良?部下は連れてくるんじゃなかったのか?」

 

「あぁ、それが皆、いきなり終焉鎮守府にド素人が行くんじゃ話にならないって断られたよ。まあ、代わりの人を近いうちに用意するさ。」

 

そう言って苦笑いを浮かべた。そして時間も遅く、太陽が水平線に半分ほど沈んだ頃だった。

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