STRONEST   作:螢司教

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このごろ物忘れがひどい…


出会い

ハァ………………ハァ…………

喘ぎ声が、何もないスラムに響き渡る。

賑やかだった町も遠くになり、耳を澄まさなければ聞こえないほど騒々しさは小さくなっていた。

「フゥ……ここまで来れば、大丈夫だな。へへっ。」

しかし今日は大収穫だなぁ!でかいフランスパンも、チーズも手にいれた!ニンジン、タマネギ、アボカド…野菜も多くゲットした!

シーカは満足そうな足取りで、目立たない廃墟に向かった。

 

 

 

「ただいまぁーっ」

誰もいない空間に、帰還を告げる挨拶がこだまする。

すると、闇の中から足音が聞こえてきた。

一人ではなく、大勢のもののようだ。

まもなく足音は大きくなってきた。そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりーっ!」

 

すぐにシーカは子供たちに囲まれた。

遅れてその子らの親たちや老人が蝋燭を持ってシーカを出迎えた。

「おかえり、シーカちゃん」 「けがしてないかい?」

「お疲れ様ぁ」

労いの声、心配の声、出迎える声がシーカを包み込んだ。

「おかえり、シーカや」

「あっ、じいちゃん!」

最後に、男性の老人がシーカを出迎えた。

子供たちをかき分け、その老人のもとに近づく。

「じいちゃん…体力おちてんだからわざわざ出迎えなくても…」

「何を言っとる!ワシらを救ってくれてる英雄を、ぞんざいな扱い出来るか!」

「な、何言ってんだよ」

たいしたことしてないのになぁ。

老人の言葉に続いて、皆も誉め称えてくる。

「そうよ、私達の子供の面倒も見てくれるじゃない。」

「家事も手伝ってくれるじゃないか。ほぼ毎日奔走してるのに…」

「うん!そーだよ、シーカお姉ちゃん!前もボクたちを虐めてきた野良犬を追い払って助けてくれたじゃん!」

も、もうやめてくれぇ、恥ずかしすぎて死んでしまう。

「わ、分かったからとりあえずごはん作ろうぜ!」

何とか称賛の声を遮り、ごはんを作ることになった。

 

 

 

皆食事を終え、それぞれ自由時間になった。

子供たちは、外が暗いので室内ではしゃぎまわったり、絵本を読んだりしていた。

大人や老人は家事をしたり、ただ駄弁ったりするのを楽しんでいた。

この騒がしさに呆れながらも、シーカはこの笑顔が絶えない毎日が好きだった。

(このままこんな日が続けばいいのに)

シーカがそんなことを考えた矢先、

「すまない。尋ねたいことがあるのだが…」

男性が入口から顔を覗かせた。

急であったこと、相手が男性であること、夜であることから、シーカを含む墟内にいる全員が警戒した。

男性(よくみると青年)の目には困惑の感情が映った。

「おやおや、誰か訪ねて来たのかい?」

皆がピリピリするなか、いつも通り落ち着いた口調で男性老人が奥から歩いてきた。

 

「あぁ、二つ用件があるのだが」

「ふむ、構わんよ。さぁ中に入りなさい。」

老人は青年を中にいれ、近くの椅子に青年を座らせる。

「さて何用かな?」

こんな怪しい余所者を中にいれて大丈夫かと、シーカは内心心配していた。

だが同時に、老人の人を見る目も信頼していたために、何とも言えないわだかまりがシーカを苛む。

「助かる。一つは今宵泊まる場所が無いから、ここに泊めてくれないか?」

「ふむ、そのことなら構わん。」

老人は青年の願いに即答する。そして返事を聞くと青年はすぐに次の話題に移った。

「感謝する。二つ目は情報を提供してほしい」

「ほほう、どんなことを知りたいと?残念じゃがここの土地の価格は知らんぞい」

「すまないが、俺は地上げ屋ではない」

いつものようにおちゃらけてる老人と冗談に答える青年を見て、徐々に全員の表情が和らいできた。

だが次の青年の言葉が、先ほど以上に場の空気を凍りつかせた。

 

「足が異常なほど早い盗賊がここにいるのは本当か?」

 

驚きながらも皆は一気に青年に目を向け、シーカを守るようにシーカの周りに集まった。

だが、老人はまったく動じない。

あまりに驚いて腰でも抜けているのかと心配していると、老人は口を開いた。

「皆、大丈夫。彼はただ伝えなければならぬことがあるだけじゃから」

その言葉に続いて青年がうなずく。

皆の顔が困惑の表情を見せる。

確かに得体の知れない者が安全だと言われてもすぐには飲み込めないだろう。

だがシーカは老人の言葉を信じ、皆をかき分けて青年と老人の前に立つ。

「お前が例の盗賊か?名前は?」

老人の方を見ると、大丈夫だと言わんばかりに優しく頷いている。

「私はシーカ・ベンダバール あんたが言う件の盗賊だ。 あんたの名前は?」

つい防衛本能で強気な態度で出てしまう。

「すまない、事情で今は話せない。」

盗賊であることを知りながら名前を言わない青年に消えていた不信感がまた集まってくる。

しかし

 

「だが俺は、お前と同じ存在だ。」

 

この言葉がシーカを驚愕させた。

 

 

 




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