モンスターな俺は鎧武に変身する。 作:猫舌
《君は何を望む?》
……ここはどこだ?
見えてる範囲でも真っ暗だが。
…あたりを見渡そうと首を回そうとするが、なぜか動かない。
いや、そもそも首…というか体の感触がねぇぞ!
どーなってる!
《君は何になりたい?》
「あぁ?何になりたいって…答えるとなんかいいことでもあんのか」
《今なら君の望む姿…もしくは力を上げられるよ》
そして目の前(真っ暗で何も見えんが)からは胡散臭い声が聞こえる。
怪し過ぎるな。
誘拐か?にしては質問の意図がわからん。
「…なんでだ?俺は特にお前のメリットになるようなことはしていないが」
《君の記憶に興味深い物を見つけたからね。そのお礼だよ》
何言ってんだこいつ。
記憶を覗くなんてできるわけねぇだろ?
…だが、仮に断ったところで俺の状況が改善されるわけでもないか。
まぁ、多少話に付き合ってやれば解放されんだろ。
適当に話を合わせますかね。
「なら、仮面ライダー鎧武にしてくれよ」
《鎧武…君の記憶にあった奴だね。うん、いいよ。ちょっと調整するから待ってね》
「は?」
…マジで言ってんのかよこいつ。
調整つってたが…まさか俺の体を弄る気か!?
ってか、俺の体がピクリとも動かないのは…まさか既にいじられてるからか!
それに、鎧武ってオーバーロードとか言う人外に最終的になってたし、拡大解釈で人外化されたら困るぞ!……改造人間になるのはともかく、味覚がなくなるのは勘弁だ。
「ま、待った!オーバーロード化は勘弁してくれ」
《うん?あぁ、わかったよ。ヘルヘイムの果実だけしか食べられないなんて寂しいのかな?》
「うるせ」
《他に要望はあるかい?大方ステージの調整は終わったけど》
案外物わかりがいいのか?
それとも俺をただ揶揄っているだけなのか?
わからんが…設定を考えるのはちょっと楽しくなってきたな。
「ステージが整ったってことはヘルヘイムの森、もしくはヘルヘイムの果実が存在する場所に俺が行くわけか?」
《後者が正解だよ。実際は似せたものがあるってことになる》
「戦極ドライバーはどんな感じで存在してんだ?」
《君がダンジョンの壁に触れればそこから形成されるようにしたよ》
「ダンジョン…ははぁ、そう言う系な。ゲネシスドライバーも同じ仕様か?」
《そうだよ。壁に触れる時に念じれば、どちらかのドライバーかを選べる》
「エナジーロックシードやカチドキとかはどうなっている?あと、黄金の果実」
《それは追々追加する予定。今のところは、エナジーロックシードはないし、カチドキもまだ。黄金の果実は……ダンジョンの奥深くに眠っている感じだよ》
…あーストーリー解放すると同時に解除されるスキルツリーのようなもんか?
それか、新しい街に行くごとに武器のグレードが上がるような感じだろうな。
「仮に完成したとして、そいつらは外見で違いがわかったりするのか?」
《そうだね、その方がいいかな》
「りょーかい。もう聞くことは特にねーな」
《お、もういいのかな?》
「…あー最後に、俺の体ってどうなってる?」
《…人型にはしておいたよ》
は?なんか不穏な空気が漂ってんぞ!?
「おい、そりゃどう言う…」
《それじゃ、付き合ってくれてありがとうね!》
「説明しろよ!」
そいつは最後の最後で
俺を突き放し、俺の意識は絶たれた。
【side out】
地中の奥深く。
いくつもの道が錯綜する広大な地下迷宮。
その一角で壁面に亀裂が走り、新たな生命が誕生しようとする。
ビキリ、ビキリと音を立ててダンジョンの壁を破り、最初に現れたのは、青白い肌の腕だった。
すぐに同色の肩、首、頭部、次には一気に身体全体が出て地面に落ちる。
四肢を持ち、女性を彷彿とさせる滑らかな線を描く人型の体軀。肩や腰を始めとした部分的に生え渡るのは無数の鱗。
腹部には黒を基調としたベルトらしきものが巻かれ、場違いなものであると主張していた。
頭部から伸びる青銀の長髪を揺らし、倒れ伏した体勢から、ガバッ、と勢いよく起き上がる。
額に美しい紅石を埋め込んだ1匹のモンスターは、困惑に満ちた瞳で辺りを見渡し、次に自身の体を見下ろす。
細い喉が、大きく震えた。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
できれば続けたい。