仮面ライダー剣 “ 繁栄を謳え、不死の生命よ” 作:411ayumi
プロローグ “I’m figter”
―――聖戦、バトルファイト、とある惑星のある大地、“53種の生命体”は、日々戦いに明け暮れていた。
ある大地のその場所にて、とある2体の“アンデッド”が雌雄を決するべく対決していた。戦いはかなり激しく、周りの大地は削れ、更には所々クレーターが出来上がるレベルだった。
一体は蝗を思わせるような顔に体。体には黒のレザーのような何かで補修されており、しなやかさすら感じさせる怪人。“ローカストアンデッド”。
そしてもう一体は、腰の黒いローブマントに腕の側面に付いたヒレ、そして頭部から両腕の肩以外ににかけてレザーで補修された体に、頭部の側面には6本の青いトマホークの刃が取り付けられたアンデッド、“ハンマーヘッドアンデッド”。
ローカストは“カテゴリー5”、ハンマーヘッドは“カテゴリー3”。お互いに“下級アンデッド”であり、特にハンマーヘッドは、“上級アンデッド”からも一目置かれる程の実力者だ。
『――ヌンっ! ハァッ!!』
ハンマーヘッドの手斧程の大きさのトマホークによる一撃一撃はローカストの防御を無理やり解き、確実にダメージを与えていく。
『ガッ!? グッ!?』
ローカストはただただその攻撃を受け流すことも出来ずに体を切りつけられてゆく。切りつけられてゆくたびに体から緑の血液が流れ、その痛みで声が出てくる。だが
『――クソがァ!』
“アンデッド語”でそう叫んだ後、ローカストの体は大量の蝗となり、空へと消えていった。
『……逃げた、か』
ハンマーヘッドはトマホークを握る力を緩めた。カテゴリー5の中でもかなりの強さを誇るローカスト、肉体を群体化させたり、得意のキック技は、どのアンデッドであろうと当たればかなりの威力で、馬鹿にはできない。
そんな奴を相手取っている自分に、何時もの様に、“自己嫌悪”に至る。
『……別に、戦いたい訳じゃないんだがな』
戦いは日に日に激化していくものだ。下級、上級問わず、自らの種の繁栄や、全能の力を求めて戦いを挑んでゆく。
それをこれまで幾度となくしてきている。この地球が生まれてから何度も、“統制者”の手によって、1万年周期という時間を掛けて、霊長の頂点を決める戦い、“バトルファイト”は繰り返されてきた。
そのバトルファイトでも特に外せない存在、其れは――
『グガアアアアアアアアアア!!』
森林に木霊する叫び声――どんなアンデッドとも一線を画した、緑色のカミキリムシの様なアンデッド、“ジョーカー”。
53体存在するアンデッドの中で最も、冷酷な殺し屋と言われ、イレギュラーとされ、忌み嫌われ、闘争本能に従いアンデッドを葬り去る者。
今このジョーカーは、この森に迷い込んだ哀れな“種”を滅そうと走っていた。
――体の大半はそこまで黒いレザーで補修されておらず、顔だけが補修されたアンデッド、“フロッグアンデッド”は森の中の木飛び回ったりして駆け回りながら、必死に逃げ回っていた
『ハァ……ハァ! い、嫌だ! まだ負ける訳には!』
『俺は……! 俺は……! 万能の力を……!』
だが――その願いは届かない。
ジョーカーはそのまま走りながらジャンプをしてフロッグの足を掴んだ。
『な……!?』
『ウオァァァァァァァァァ!!!』
そして、強引にフロッグを反対方向の木々に投げ飛ばして、圧倒的なダメージを与えた。普通の生物、“人間”くらいならば、軽く何回も死ぬような一撃だ。
『ぐ……ガァ……』
フロッグは、もはや虫の息であった。今の一撃だけでも体力の無いフロッグからすれば、正に悪魔の一撃そのものであった。だが、ジョーカーはそんなことは気にしない。
『グガアアアアアアアアアアア!!!』
右手に持った鎌、マンティスを握りしめてフロッグに近づく。その姿はまさに死神だ。フロッグ逃げ出そうにも逃げ出せない。再生が追いつかないほどのダメージを食らったからだ。
『あ……ァァァァ』
『――グオオオオオオオオオオ!!』
マンティスをフロッグの胸元に思い切り突き刺した。恐ろしいにまで、緑の血液が大量に飛び散っていく。そして、フロッグの体から爆発するかのような眩い光が発生して……
『ギャァァァァァァァ!!!』
“単なるカード”になってしまった。カテゴリー3、スートはダイヤだ。ジョーカーは、そのカードを見て
『――ウグオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
――歓喜の叫びを、上げるのであった。
――上級アンデッド、その中でも今回のバトルファイトにおいて、最も“優勝”に近い存在がそこにいた。
――肉体は堅牢な鎧の如く、肩からは攻撃的な左右非対称な棘が生えており、右手には棘が生えた盾が、左手からはレザーで補修された黒い腕から2本の刃が、そして腰からはローブマントが付いており、“スペードのマークがあり、その横にはJ”と書かれている。
顔は左右非対称に片方が黒く、片方が濁った薄い茶色、そして口元は“ヒビ割れたかの様な牙”が生えている。
その名は――“トリロバイトアンデッド”。
“カテゴリーJ”、最強の存在である。
『……さて、面白い戦いにしようか?』
『……』
相対するのは、同じく上級のアンデッド、“エレファントアンデッド”だ。体の殆どが黒いレザーで補修されており、激戦をこれまでずっと繰り広げてきた、正に歴戦の戦士と言った雰囲気だった。
『あのなぁ……俺はお前みてぇに“面倒臭ぇ”奴と戦いたくないんだよ』
『ほーう? 柄にも無いじゃないか? 面白くねえ奴だなぁ? あの“蛇”や“蘭”に前回みたいにそそのかされたのか?』
『……俺は勝てる奴としかしねぇんだよ。寄りにもよって“前回優勝者”と殺り合うなんて馬鹿げた事したくねえよ』
『ならなんで下級と殺り合わない?』
『馬鹿言え。今回も下級の奴らが暴れ回って“進化”が進んでやがる。まだ確実じゃあねえんだよ』
――下級アンデッド、彼らはカテゴリーAから10まで存在している。その中でも、カテゴリー2から10までには、とある特種なシステムが用意されている。
上級アンデッドに使役されたりする下級アンデッドには、統制者による一種の救済処置が存在している。それは、“戦いや殺戮を繰り返す度に、肉体や能力が進化していく能力”。
下級アンデッドが無闇矢鱈に他のアンデッドや生物に襲いかかるのは、知能の問題や繁栄と言う意識以外にも、本能的にそれが自分を進化させる。そのように植え付けられているからだ。
逆に上級はその習性を利用したりするものだ。現代のバトルファイトにおいては、“ピーコック”がそれだろう。
“バッファロー”や“スカラベ”、“トータス”や“ドラゴンフライ”などは、その進化の1つの形態である。あの時は、“ライオン”や“モール”、“ジェリーフィッシュ”なども、生き延びていれば、上級並の存在に至れたかもしれない。――
『その上、おめぇのカテゴリーが下がらねえしな』
『知るか、統制者に聞け』
2人は、話を続ける。どうやら互いに戦う意思は無い。正確には、トリロバイトが戦う意思が途中で消えた。トリロバイトは後ろを振り向いた。
『ハァ……戦わねえならもう別にいいか、俺は自分の見つけた洞窟に戻るわ。もうすぐ夜だ。夜の奴らは面倒臭いんでな』
『そうかい……俺もそうするか』
エレファントも同意し、2人はそれぞれ反対方向に歩き出した。だが、エレファントは1回足の動きを止めて、トリロバイトの方に顔だけを向けた。
『気を付けろよトリロバイト。フロッグがジョーカーに殺られた。俺の“仲間”が言ってたぜ』
それを聞いたトリロバイトも足を止め、エレファントの方へと顔を向けて、口を開けた。
『ホントか? いや、お前に仲間が?』
『まぁな……役には経つ野郎だし、いいかなと思っただけさ。利害の一致もあるしよ』
『……そうかよ』
――バトルファイト2日目。残り、“52体”
下級の下りはオリジナル設定です。会話は基本アンデッド語です。