第2話です。なんとか書けました。
今のところ、毎週金曜日に投稿にしようかと思っています。
毎週投稿できるか怪しいですが。
それでは本編へどうぞ。
青春とは、嘘であり悪である。
青春を謳歌せしもの達は、常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境の全てを肯定的に捉える。
彼らは、青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念もねじ曲げてみせる。
失敗なんてものは『思い出』として書き変えられ、罪を犯せば『若気の至り』などと宣う。
彼らの前では、真の正義など意味をなさない。
彼らは過ちを過ちとしては決して認識せず、自らの行いこそが正しいものだと思い込んでいる。
そんなものは、当然淘汰され糾弾されるべきだ。
しかし、彼らはそれを認めないだろう。
すべては彼らのご都合主義でしかない。
結論を言おう。
リア充爆発しろ。
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午前の授業も終わり、束縛から解放された生徒たちがあちらこちらを行き交う昼休み。
俺は昼食を丁度済ませた所を放送で呼び出され、通称ピンこと荒井先生のデスクの前で突っ立っていた。
「じゃあ、荒井先生来るまでここで待っててね」
「…うっす」
いやなんで呼び出しといていねぇんだよ。
…もう帰ってもいいかしら?あの先生苦手なんだよ。
ノリとかテンションとか、その他諸々俺とのフィーリングが合わなさすぎる。
それにしても、職員室ってのは不思議だ。悪いことしてないのにしてるような感覚に陥る。まぁ悪いことしたから呼び出されたんだろうなぁ。
だが何をしたんだろうか…皆目見当がつかん。
基本的にぼっちは、決して目立たないように行動するということを信条としているので、他の生徒からは勿論のこと、先生から目をつけられるようなことをするはずがなければ、理由もないのだ。いや、ほんとだよ?
特にすることもなく、呼び出された理由をダラダラと考えていると、職員室の扉がガラガラっと開けられた。そしてそこには、俺を呼び出した張本人がいた。
俺の姿を確認すると、なんとも偉そうな態度でずんずんとデスクまで歩いてきた。
「おー比企谷。来てたか!!」
「いや来てたかじゃないですよ。何してたんすか」
「いやー飯食っててな。ガハハハハ!!!」
「ははは…」
いや先食えよ。もしくは時間ずらせよ。
自由すぎんだろ。
一通り笑い終えて満足したのか、顔を気持ちキリッとさせ本題に入る。
「んでだ、お前を読んだ理由だけどな」
そして引き出しをゴソゴソと漁り始め、俺の目の前に一枚の紙を突きつけてきた。
「なんだこれ!!舐めてんのかお前!!」
「いや、別に舐めてないですよ」
「意味わかんねぇことばっか書きやがって!!」
「いやどこからどう見てもただの作文じゃないですか」
「どこがだ!!」
ふむ…理由はこれか。
俺はこの間書き終えたばかりの作文に今一度目を通す。
やはり語彙力や表現力がまだまだであることを痛感させられる。
つまりあれか。先生はもっと己の感性を磨き、より良い文章を書けるように精進しろと言いたいんだな。
うーん、先生の気持ちはありがたいが別に小説家になりたい訳じゃないんだがなぁ…
「先生、俺は別に文豪なストレイドッグスを目指してるわけじゃないんですが…」
「何わけわかんねぇ事言ってんだ?」
おっと、どうやら俺が思っていたのとは理由が違うらしい。
おっかしいなぁ…俺の推理は間違っていたのか?
「比企谷、お前この作文のテーマちゃんと聞いてたのかぁ?」
そう言って、怪訝な顔をする。
ちゃんとテーマ通りに書いたはずなんだがなぁ。
だがここで隙を見せると後々響いてくるからな。よし、ここは自然に…
「も、勿論聞いてましゅたよ?」
ダメだ。普通に噛んだ。
「…聞いてねぇだろ?」
「いやあれです。俺が聞いてないんじゃなくて先生が言ってないんですよ」
なんだその無理やりすぎる理由。そんなわけねぇだろ。
我ながらテンパりすぎてよくわからないことを言ってしまった。
「んー…まぁ善のやつが作文の説明したらしいし、俺それ聞いてねぇしそうかもしれねぇなぁ…」
「そ、そうですよ。つまり俺が悪いんじゃない。先生が悪い」
堂々と先生のせいにするのは自分でもどうかと思う。
しかし、このまま誤魔化せる。そう思ったのも束の間だった。
「ってそんなわけねぇだろ!!他のやつは全員同じテーマなのになんでお前だけなんか違うんだよ!!」
デスヨネー。わかってました。
「ひ、ひやっ、俺はしゃんと学校生活を振り返りましたよ?」
「この作文のどこが振り返ってんだよ!!犯行声明文じゃねぇか!!」
顔を近づけて大声を出すもんだから耳がキーンとした。
「せ、先生…声が大きいっす」
「誰のせいだ!!」
先生は、生命の限りを尽くして声を張り上げる。
大丈夫かな?死んだりしないよね?
「はぁ…この作文読む限りどうやらお前はリア充とやらを憎んでるみたいが、友達とかいんのか?」
叫びすぎてさすがに疲れたのか、俺にそんな質問を投げかける。
「平等を重んじるのが俺のモットーなので、特に親しい人間は作らないことにしてるんです」
「つまりいねぇと」
「いないですね。今は」
ふはははは。どうだ!倒置法を用いることで、今後できる可能性があるということを示唆してやったぞ。
だからなんだよ。
「まぁなんだ。強く生きろよ」
「ちょっと、なんでちょっと目をうるうるさせてるんですか?俺は寂しくともなんともないですから」
いやほんと。ちっとも寂しくないから。むしろ快適だから。
「でもよー、友達とまではいかなくても、多少は上手くやっとかねぇと色々大変だぞ?」
「いや別に独りで上手くやりますし…」
「できてねぇだろ」
ズバッとくるなぁこの人。
てか一応先生なんだから無闇にそういうこと言うのやめてね?
俺じゃなかったら不登校になってるぞまったく。
「あっ、そうだ!」
何か思いついたように手をぽんと叩く。
マジでやる人初めて見た。
「翔太はどうだ?」
「翔太…?誰ですそれ」
「翔太だよ!風早翔太。つかクラスメイトなんだから名前ぐらい覚えろよ」
「あぁ…風早ですか」
誰かと思えば風早かよ。
「そうそう…あいつとなら仲良く出来そうだろ?」
「まぁたまに喋るくらいですけど…」
すると先生は微笑を浮かべた。
「なんだ。友達いるじゃねぇか」
…は?何言ってんだこいつ。
「あれを友達とは言わないでしょう」
「そうか?友達だろ」
「いや違いますよ」
なんでこの人といいリア充といい、友達に対するハードルがこんなに低いんだよ。
まるでアスファルトに咲く花のように余裕でまたいでいきやがる。
俺からすれば、まず会話段階で軽く断崖絶壁をクライミングしなければならない。
そして、友達を作るとなるとエベレストの頂まで登りきらなければならないのだ。
しかし、そこまでの労力を払ってまで欲しいとは思わない。やっぱり俺に友達は必要ないな。
「お前さぁ、なんでそんな友達に対して認識が厳しいんだ?」
「別に厳しくないっすよ。普通です」
せいぜい海外旅行の際の入国審査程度だろ。
もはや俺自身が国なまであるからな。
国民はいないんですけどね。
なにそれ寂しい。アメリカもびっくりの独立国である。まぁ俺の場合独立じゃなくて孤立なんですけどね。
HAHAHA!なかなか面白いシャレじゃないかジョージ。いやジョージ誰だよ。
「普通に厳しいだろ」
「あれです。奴らが見境なさすぎるんです。なんであんなにポンポン他人を受け入れるのか…」
「はぁ…お前めんどくせぇやつだなぁ。目も腐ってるしよ…」
「ちょっと、目は関係ないでしょう?」
だからなんでこの人こんなズカズカくるの?なんなの?そんなに俺のこと嫌いなの?泣くよ?
俺は少し恨みを込めた視線を送る。
「……」
しかし、さすがの荒井先生もとうとう黙り込んでしまった。
どうした?笑えよベジータ。
思わず完全体になったセルのようなセリフを言いそうになり、ギリギリでかみ殺す。
そして、荒井先生はしばらく考えてこんだ仕草を見せると、
「お前さぁ」
そう言って立ち上がる。
「ひゃ、ひゃい!」
殴られる!!そう思った。
しかし、拳ではなく掌を俺の頭にポンと乗せ、俺の脇を通り過ぎながら、
「肩の力抜けよ。もっと気楽に楽しめ。学生なんてあっという間だぞ」
「ぜ、善処します」
思ったよりまともなことを言われたのでそんな返事しかできなかった。
「あっ、それと!!」
そのまま立ち去るのかと思いきや、立ち止まって振り返り俺をビシッと指さし、
「作文、書き直せ!!いいな!!」
「ぜ、善処します…」
「んじゃ、あばよ〜」
そう言って手をフリフリさせながら、職員室を出ていった。
なんか嵐みたいな先生だったな…
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「失礼します」
先生からのお小言も終わり、教室へ戻ろうと職員室の扉を閉め終わったところだった。
誰もいない閑散とした廊下に、チャイムが鳴り響く。
「遅刻じゃねぇか…」
誰に向けられた訳でもない呟きは、チャイムの音にかき消されていった。
俺やっぱあの人苦手。
いかがでしたでしょうか?
また来週会えたらお会いしましょう。