ヤンデレのヒロインに死ぬほど愛されて眠れない13日の金曜日の悪夢 作:なのは3931
誤字などは14日の土曜日以降に修正致します。
20世紀後期、アメリカのニュージャージー州、クリスタルレイクでキャンプをしていた子供達の中でその事件が起きた。
キャンプに来ていた子供の一人が湖に溺れて行方不明になった。
警察や捜索隊が付近をくまなく探したが子どももその遺体も発見できずやむなく捜査は打ち切られた。
子供の名は【ジェイソン・ボーヒーズ(11)】という
性別の間違いに気付いたのは彼女に第二次性徴が起きた直後であり、それまでは女々しい少年だと周囲からはからかわれていた。
第二次性徴に入った彼女の体は目まぐるしく女性らしくなっていき、十代に入ったばかりでありながら大人の女性並のプロポーションを持ち、元々中性的だった顔は美少女と言って差し支えない容姿に変わっていった。
この変化は彼女にいい結果を生まなかった…彼女はまだ思考が幼い男子からは嘲笑の対象であり、一部の大人びた男子からは性的な魅力を持った対象で、男子より思考が大人びた同じ女子からは元男性への嫌悪と彼女の美貌に対しての嫉妬の対象で、その差別と偏見は一部の女子を結託して虐めコミュニティの団結を図る女性特有の現象の恰好のターゲットとなってしまった。
故に彼女は男性らしくなく、女性らしい自身の姿にコンプレックスを抱える事になる。
彼女が完全に孤立していたかというとそうではなく、彼女が
その友人は子供にしては同世代の子どもからしたら異常な程の大人びた思考を持ち、その容姿は一流のスターの様に整った顔立ちだった。
彼はそんなジェイソンの境遇に理解を示し彼女を変わらず
だが周囲の人間、特に女子グループはその状況を良しとしなかった。
彼女達は少年がジェイソンばかりに目を向ける事に憤慨し、彼に窘められ面白くなかった男子や彼に女子の人気を奪われ嫉妬した男子、そしてジェイソンに対し性的な欲望を持った男子たちを焚き付けて、キャンプの日に事件が起きた。
女子達は少年を呼び出し集団でアプローチを試みた。
中には少年に対して性的な誘惑をしてくる女子も何人か居た。
そして女子達が少年をジェイソンから引き離した隙に、男子達は彼と湖で待ち合わせをしていたジェイソンを襲撃、彼女を集団で強姦しようとしたのだ…
必死で抵抗を試みた彼女は暴れた際そのまま湖へ転落し、女子の異様な雰囲気に違和感を感じジェイソンの元へ駆け付けた少年の目の前で深く冷たい湖の底へと沈んでいった…
この悲しい事件が発生した原因は性分化疾患への周りの理解の薄さや子供達のまだ未熟な残酷さ以外にも存在した。
当時このクリスタルレイクのキャンプで子供達の管理責任者であったキャンプカウンセラー達はあろうことか子供達の監視を怠り、カウンセラーの寝室で猿の様に盛りあっていたのであった。
故に事態の防止及びジェイソンの救助が遅れ、彼女は帰らぬ人となった。
この事をジェイソンの親族は叫喚し責め、キャンプ場の運営は一時的に停止した。
この事件の後子供達は然るべく処罰を受けたが年齢故にすぐに解放。残された少年は転校し別の地に移った。
ジェイソンの家族はこの事が原因で離婚、彼女の母親は精神を病み、カウンセラーやキャンプに来た子供達に怨みを撒き散らしながらその生涯を終えた…
一時的に凍結していたキャンプ場はその後波風が収まった頃に再開した。
だがこの【ジェイソン・ボーヒーズの悲劇】はこのクリスタルレイクにおける残虐な事件の数々の始まりに過ぎなかった…
このキャンプ場で幾度となく事件、事故が多発し度重なる殺人事件や行方不明事件、放火などの被害を経て遂にはキャンプ場が全面閉鎖となりクリスタルレイクは【血のキャンプ場】として近隣住民から忌み嫌われるようになった。
~ 7 years later ~
とある陸軍学校の一室、その中で初老の恰幅の良い男性が書類に目を通していると一人の青年が無造作にドアを開けて入ってきた。
「校長!これはどういう事ですか!?」
「部屋に入る時はノック位したまえ…どういう事とは具体的に何の事を指しているのかね?ストロード君?」
会話から察するにこの学校の校長であろう男がストロードと呼ばれる青年に語りかける。
「演習訓練の場所の事です!何故クリスタルレイクへ!?あの場所が立ち入り禁止な事は知っているでしょう!?」
「まぁ落ち着きたまえ、そこに座りなさい…」
興奮した様子の青年を必死に宥めて校長は口を開いた。
「確かに立ち入り禁止になっているが今回特別に許可してもらった」
「許可の問題じゃありません!あの場所は危険なんだ!!不用意に入っていい場所じゃない!!」
「…君の話は聞いている、気持ちは分かるがもう決まった事だ。あの地の雰囲気は生徒に緊張感を与えるのに最適だろう」
「…雰囲気じゃなく実際に危険なんだ…!必ず取返しのつかない事になる!!あそこには彼女が…ジェイソンがいるんだ…」
「ストロード君、ジェイソンは居ない。もう死んだんだ。彼女の母親ももう居ない。あそこはただの寂れたキャンプ場だ…君も過去に囚われるのはやめて今を見たまえ…」
そう言って手で合図をされ彼は部屋を追い出された。彼はあの場所がどれ程危険なのか分かっていない。
そうで無くても立ち入るべき場所じゃない。
「…過去は永遠についてくるんだ。そして今を進む人間の足元になお絡みつき続けるんだ…。」
あの場所は呪われている。ジェイソンの怨念があの地に今も住み続けているんだ。
~ A few weeks later ~
彼は演習でやむなくクリスタルレイクの近くまで来ていた。
ちょっと前まではチームで行動していたがふとした間に他のメンバーとはぐれてしまったのだ。
「こちらストロード!聞こえますか?ああ!クソッ!」
相変わらずここは無線が繋がり辛い。
(だから来るべきじゃなかったんだ…!)
この森は磁場の影響か無線が伝わり辛くおまけに見通しが悪く、外部からも孤立していて連絡手段も少ないのだ。
何らかのアクシデントがあった場合はとんでも無い事になりかねない。
おまけに周囲の人間は『血のキャンプ場』を敬遠し意図的に避けてるのだ。救助は期待できない。
「どうしたものか…」
その時、不自然に後ろの草むらが揺れた。
(…なんだ?)
動物だろうか?だが音からして小動物ではないだろう。
(熊なんて居たか?まさか人か?)
人だとしたらうちのチームの仲間だろうか?それとも別のチーム?
それとも……
「…誰だ?大人しく出てこい…」
携帯訓練の為に持っていた小銃を構えて警告する。
「俺と同じ軍学校のものか?それとも近所の住民か?答えないのなら…」
そう呟き引き金に指を掛ける。
「手を上げて出て来ないなら撃つ…!3、2…1!」
「あぁ~分かったッ!?撃たないでくれ!?」
「私達隣のキャンプ場のカウンセラーなの!」
…出てきたのは如何にもなカップルである男女であった。
女の方は肩の紐が下がっているし男の方に至ってはズボンのホックが外れチャックが下まで下りている。
(何をしていたのやら)
呆れと安堵からため息が漏れたが丁度いいので彼らの力を借りよう。
「済まない、演習中に仲間とはぐれてしまってね。君らのキャンプに行っていいか?」
「ああ、いいけど…ここは立ち入り禁止じゃなかったっけ?」
「ああ、そうだなここには本来俺たち陸軍学校の生徒以外は居ない筈だ」
「やべっ」
「もう、馬鹿なんだから!」
藪蛇をつついて困惑する彼らをよそにこれからを考える。
夜までには合流するかせめて連絡を取らないと…。
そう思いながら彼は森を後にするのだった。
「あいつ何処へ行きやがった?」
「どうやらはぐれたようですね」
数人の銃を持ったグループが周囲を見渡している。
どうやら彼と同じチームメイトの様だ。
「どうだか?アイツここが怖くなって逃げたんじゃねーの?」
「確かに彼は常に何かに怯えてましたけど…」
「そりゃそうだ、なんでもアイツはここであった事件の当事者らしいぜ?」
そう言って彼は一つの本を見せる。
『彼は救世主か、死神か?それとも真犯人か?少年Lの凄まじき半生!』
そう表紙に書かれていた本を一人が手に取りパラパラとページをめくった。
「少年L…レオン・ストロードのことか?何々?彼の人生は生まれた頃から血に塗れており、赤ちゃんの時、彼の姉弟のわずか6歳ばかりの
「その後里親に引き取られるも入園した幼稚園の先生が子供ばかりを狙った大量殺人鬼であり彼がその殺人鬼の女性のお気に入りにされていた所で殺人鬼は事故で死んでしまう…これって…」
「
「6歳の頃にはまた周りで殺人が起き、彼は持っていた
「母親も同じ事を呼びかけ発狂していた為彼女を精神病院へ入れ、新しい里親の元へ。そこでも周りで事故や事件が起きる…」
「グッドガール人形か!確か入学したての頃にもそんな騒ぎがあったな!」
彼らは入学当時に彼が人形を没収され、その後演習中に銃の弾薬がペイント弾から実弾へすり替えられる事件が起こった。犯人はレオンだとか人形が動いていたなどあらぬ噂は確かに飛び交ってはいた。
一気にこの話の信憑性が増してきた。
「やばいだろ?そしてここだ。アイツはクリスタルレイクへも来てる…そしてコイツの恋人がここで死んだらしいぜ?」
「マジかよ…」
あまりの内容に皆、言葉を失う。
本当だとしたらとても壮絶な過去だ。
「俺は内心アイツが全ての事件の黒幕じゃないかって疑ってるぜ。今だって…逸れた振りして俺達を狙っているかも」
「おい!やめろよ!」
「冗談だって、それにあんなカマ野郎が殺しに来ても返り討ちだっての!」
そう笑いながら彼らは進んでいる。だが彼らは気付いていなかった。
彼らの後ろを何者かが覗いているのを。
辺り一面が血に染まっている。
傍には先程まで談笑していた生徒たちの死体があった。
その中心には布で顔面を覆ったおそらく女性であろう人物が立っていた。
彼女は死体には目もくれず彼らが持っていた本を穴が開くほどの形相で見つめていた。
とあるページに写る青年の写真を熱心に見つめ一言だけ呟いた。
「――――――ミツケタ。」
彼女は森を進みキャンプ場へと進んで行った。
リハビリ作です。