その迷宮にハクスラ民は何を求めるか   作:乗っ取られ

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177話 Vsジャガ丸

 

 「――――属性変換(コンバージョン)英雄冀求(アルゴノゥト)

 

 

 彼女を中心に旋毛風の如く発生していた黒く禍々しい風が、一瞬にして純白に染まる。容易には破れぬ程に力強いことが一目でわかるその風は、攻守の両方を兼ね備えたアイズ・ヴァレンシュタインの新しいスキルだ。

 “憎悪の丈により効果が向上”する“復讐姫(アヴェンジャー)”とは違って、その効果は“想いの丈により効果が向上”。つまるところ、ベルが持つ憧憬一途(リアリス・フレーゼ)と似た性能向上効果を持ち合わせている。

 

 その想う相手が誰かとなれば、リヴェリアやタカヒロの愛念献身(アルタ・アモリス)とは違って名指しではない。そもそもにおいてデフォルトで好感度マックスかつ名指しとなっているこちらがイレギュラーなのだが、それらの点はさておくこととする。

 ともあれアイズの場合、対象となる相手は時と場合によって変わるだろう。愛し進む道で支えてあげたいベルならば効果は最大限に発揮され、リヴェリア達を守りたいと想う時にも高出力が維持されるのは言うまでもない事だ。

 

 

 まさかの言葉、英雄冀求(アルゴノゥト)の文言を耳にして驚いているのはベル・クラネルだ。スキルの効果内容までは知らないものの、自分と同じ名前のスキルを持っていることに驚きを隠せない。

 本来は英雄を欲する文言のスキルながらも、それを参照するのは想いの強さと己の精神(こころ)の依り代だけ。心中に掲げるのは、想う者の為に剣をとるというアイズ・ヴァレンシュタインの“戦う理由”に他ならない。

 

 

「――――ベルは。私が、護る」

 

 

 英雄を求めるだけではない。かつて、タカヒロに貰った一つの答えから、彼女が導き出した一つの答え(考え)。変換前と比べて対モンスター以外でも発動できるというメリットはあるものの、燃費の悪さも相変わらずだ。

 しかしそれは、英雄(ベル)を求めるだけではなく、己が護り支えても行くのだという決意と覚悟の表れだ。思わずジャガ丸もその身に力が入っており、強敵を見る目でもって見据えている。

 

 

 もっとも、“何故このようなことが出来るようになったか”については単純だ。例によって後ろに居る傍観者(タカヒロ)が、「気持ちの問題のようだし、スキルを連結できるなら変換もできるのでは?」と、己の装備における能力上昇や酸から物理変換などを参照して、安易なことを口走ったのが原因に他ならない。

 結果としては、見ての通り。最近まで密かに続いていた鍛錬において「あ、できた」というアイズの呑気な言葉と共に成功してしまっており、こうして新たな力として具現化している。

 

 なお、何故アイズ本人すら知らないスキルをタカヒロが知っていたかについては、彼女の母親役が要因なのは言うまでもないだろう。アイズ本人も知らないのだから露呈しても問題はないと表現すれば、個人情報に対する暴論だ。

 

 

「いくよ、ジャガ丸!」

『――――!!』

 

 

 始まりは、アイズが仕掛けた跳躍から繰り出される縦薙ぎの一撃だった。ダンジョンの階層を貫かんとする程に強力で大きなクレーターを作った一撃は、ジャガ丸はもとよりベルとリューにも大きな驚きの表情を与えている。

 

 

 ベル・クラネルと出会い、相手を知り、四六時中でこそなけれど共に過ごし。戦いを忘れて休むことで生まれる心身の余裕を、だからこそ発揮できる此処一番の力を覚えた。

 鍛錬の時は例によって微動だにしない人間らしい何かに通じる事はなかったが、此処一番の力はこうしてアイズ自身にも分かる程の力強さ。アイズ・ヴァレンシュタインが得た、新たな“武器”の一つである。

 

 ベルも彼女が速度も兼ね備えるパワーファイターの類であることは知っていたが、それでも彼の中にある彼女とは、かけ離れた速度と力。ダンジョンの階層を貫かんとする程に強力で大きなクレーターを作った一撃に驚いたが、それこそ驚いている暇はない。

 例えあれほどの力を得たとはいえ、ジャガ丸との間にある差は歴然だ。現にジャガ丸には回避されており、だからこそベルは、着地後で隙のあるアイズへの攻撃を阻止するために連携の一撃を叩きこむ。

 

 

「ッア……!?」

 

 

 隙を突いたはずの、完璧な一撃だった。それこそタカヒロ評価で90点後半が付くような、文句のない一撃である。

 しかし、アイズが繰り出した、それこそ目にもとまらぬ超高速の縦薙ぎを躱しつつ放たれた一撃。“先日に見たモノよりも弱く遅い”、アイズよりもやや速い超高速の刺突攻撃が、手に持つヘスティア・ナイフを弾き飛ばすかのように襲い掛かった。

 

 レベルは違えどかつて59階層で感じた、汚れた精霊の触手を弾いた時のような強烈な痛み。苦痛に顔が歪み、手に持つナイフの感覚さえ希薄である。

 それでもあの時のように、痛みに屈している時間などありはしない。かつての鍛錬においてもそうだったが、ベル・クラネルが倒れている暇などない事は、他でもない少年自身が分かっている。

 

 向けられる二人の攻撃に反応したジャガ丸は咄嗟に回避の動作を見せており、実のところは考えと共に余裕を抱えた行動だ。とある一点へと向かって回避を行ったことにより、アイズとベルが同じ地点へと横薙ぎの攻撃を見舞うこととなる。

 これでは、二人の攻撃は衝突する。頭が考える前に体が反応したベルは、直感のままに“デスペレートの刃先”にアイズ・ナイフを添えて横薙ぎの向きを変更した。

 

 

「ほう」

『――――!』

 

 

 思わず呟くタカヒロと、寄り添うかのような連携の攻撃により、結果としてジャガ丸の尾へと届く彼女の一撃。ある程度は自由に動かせる尾であったために明確なダメージとはならないが、それでも一撃は一撃だ。

 そしてジャガ丸にとっても、休む暇などありはしない。少しばかり体勢が乱れてしまったジャガ丸に向かって、疾風の風が襲い掛かる。

 

 

「ハアッ!!」

 

 

 ジャガーノートの装甲と刃がぶつかる甲高い白銀の声とは違い、打ち鳴らされるのは「木製のコップが落ちたような」と表現できる軽い音。木製かつ打撃形の武器だからこその音であり、外骨格に該当するジャガ丸にとっては有効打とは言えないだろう。

 基本として打撃用の武器とは、使用者の筋力と武器そのものの重量がモノを言う。知識こそ無いが直感的にそれを分かっているジャガ丸は、故にあまり注意を向けていない。

 

 それでもリューは、攻める気配を緩めない。“先程と似た”一撃が振るわれると判断したジャガ丸は防ぐ動作を見せつつも、ベルが放った“カウンター・ストライク”へと意識が向いてしまっていた。

 故に鍛錬と言えど、そこに確かな隙が生まれる。木刀による一撃、ナイフの一撃と順に弾き、再び木刀の一撃がジャガ丸に対して見舞われた時だった。

 

 

『――――!?』

 

 

 先程の全力めいた一撃は、何だったのか。そう思ってしまうほどに重く、己の身の骨が軋む一撃。

 傍から見ていたタカヒロだが、振りのモーションも、振りの速度も変わらない。ならば威力が上がった理由は筋力が極端に上昇したこと以外にあり得なく、何かしらのスキルなのだと真相を見抜いていた。

 

 

 その実は、正解である。リュー・リオンは、スキル“精神装填(マインド・ロード)”を発動させていた。

 攻撃時に精神力を消費することで、力のアビリティを強化する彼女のスキル。精神力の消費量を含め、任意で発動できる点が特徴と言えるだろう。

 

 彼女の口癖、「いつもやりすぎてしまう」。そんな一文を象徴するかのように、後先を考えない量の精神力(マインド)を消費させ、叩き込まれた一撃だ。

 冒険者とは元々が細身に似合わない怪力を発揮するモノであるが、その点を考慮したとしても予想外にも程がある一撃に匹敵する。飛び退いて態勢を立て直さなければ、目の前に迫るベルの一撃をマトモに受けることとなるのは明白だ。

 

 

 だからこそ、読みやすい。ジャガ丸が飛びのくであろう先へと、縦に振り下ろされるアイズの一撃が迫っていた。

 

 

『――――』

 

 

 全く隙のない、完璧な連携攻撃。例え地力で劣ることは分かっていながらも、それを補う各々の狡猾さ。

 ジャガ丸から見て、特に白と金の連携は微塵の隙もない程だ。もちろんそれは傍から見ているタカヒロも同様の感想であり、思わず唸りかける程のものがある。

 

 三人が狙っているのは短期決戦、あまりにも露骨ながら最も有効な戦法だ。それを証明するかのように、ベルとアイズが放つ一撃一撃は、日ごろの鍛錬におけるモノとは異なっている。

 防御面においては華奢なジャガ丸がマトモに食らってしまえば、当たりどころによっては致命傷となるだろう。そんなタカヒロの考えをジャガ丸も抱いていたのか、故に今までにはない行動を見せることとなった。

 

 

「っ!?」

「なっ!?」

「は、速い……!」

 

 

 加減無しに全力で回避するしか、ジャガ丸には道が残されていなかった。そうでもしなければ、その身は白い暴風に巻き込まれていたことは明らかである。

 ジャガ丸が全力を出したならば絶対に勝てない三名だが、それでも相手の加減を緩めることには成功したことに変わりは無い。ジャガ丸が全力で回避したことを見抜いたタカヒロは今まで黙っていたものの、ここで一つ口を開いた。

 

 

「一本取られたな、ジャガ丸。今の攻防は、加減を緩めざるを得なかった君の負けだ」

『……』

 

 

 先の攻防を思い返すジャガ丸だが、全くの事実であるためにぐうの音も出ない。もっともモンスターがそんな感情を抱くかはタカヒロも分からないが、悔しがっているようにも見て取れる。

 そして、ジャガ丸が抱く気配が変わったことも。ベル達もそれを感じており、無意識のうちに額に冷や汗が滲んでいた。

 

 

「来るよ、ベル……」

「頑張って、できる限りを防ぎます。二人は、なんとかして一撃を入れてください」

「っ……」

 

 

 絶対に勝てない者との戦い。鍛錬において何度かタカヒロと戦ってきたベルとアイズは、いくらか慣れた光景と言えるかもしれない。

 その実は全力を出すしか道がない事を知っているからこその諦めでもあるのだが、実戦においては重要なことだろう。己の実力を示すことが出来るならば、常識的には“万が一”の可能性も残されている。

 

 残る一人のリュー・リオンにとっては、向けられるプレッシャーが己の勇気を上回る。今迄において最も手足はガチガチに固まってしまっており、歯を食いしばって何とかして耐えている状態だ。

 

 

「リューさん」

 

 

 据わったベルの声を耳にして、華奢な身体が大きく震える。消えぬ恐怖を抱いたままそちらへと顔を向けた彼女だが、そこにあった姿は、豊饒の女主人で目にしてきた姿とは程遠い。

 その隣では、白い風を纏うアイズもまた据わった表情でジャガ丸を捉えていた。負けじと表情に力を入れたリューを目にして、ベルは再び前を見据える。

 

 

「……僕達が居ます。一緒に、行きましょう。すみませんが、最初の一撃は、リューさんが防いでください」

 

 

 返答を聞かずに、ベルとアイズが地を駆けるべく脚に力を入れたタイミング。見えているのは残像かと錯覚するかのような速さで、ジャガ丸が攻撃を仕掛けるべく突撃を実行した。

 ベルとアイズが何とかしてくれることを願い、リューは二人とジャガ丸との間に割って入る。木刀が粉砕されないかと瞬きよりも短い時間だけ心配になったが、そんなことよりもと、守るべき者のために力を発した。

 

 目にした迫る光景は、かつてのトラウマを上回っていた。だからこそリュー・リオンも全力を示さねば、下手をしたら死があり得ると、身体が本能的に動いている。

 

 

 突然の突風よりも早く条件反射に対応できたというのに、与えられた衝撃の凄まじさは過去一番を上回る。恐怖に耐えていた彼女の姿はどこにもなく、華奢な顔が苦痛に歪んだ。

 

 

「アガッっ……!?」

 

 

 凶悪と表現して足りないのではないかという移動速度と攻撃速度、一撃で己の木刀を吹き飛ばしかける程に出鱈目な威力の刺突攻撃。なんでコレをマトモに食らって平気でいられる人間がいるのかと、ジャガ丸の上を行く出鱈目な存在に心の内で抗議した。

 それでもって相手は、きっと今ですら3人に合わせて手加減してくれているのだろう。先日その出鱈目な存在と戦っていた時よりも一撃は遥かに弱く、動きも遅く余裕が見受けられる。

 

 

「っ……!」

 

 

 いくら手加減しようが、存在がジャガーノートであることに変わりは無い。よもや95階層産、更にその全ダメージが+100%となっていることなどリューが知る由はないが、三人がかりで押されていることは揺るぎない。

 続けざまに放たれたベルとアイズの連携攻撃も相変わらず見事ながら、先程と違って届く気配の欠片もない。倍近くあるのではないかと錯覚してしまう程にある敏捷の違いは、あらゆる近接攻撃を回避するのだ。

 

 そういった意味では、被ダメージをトリガーとして勝手に発動するカウンター満載のタカヒロは、やはりジャガーノートの天敵と言えるだろう。もしそれがあったならばベル達にもチャンスがあっただろうが、無いもの強請りをしても仕方がない。

 魔法を反射するために、ファイアボルトが実質的に無効化されている点も不利な点だ。前線で戦闘しつつ並行詠唱を伴う魔法を併用して戦うリューにとっては猶更のことであり、厳しい縛りを背負ったまま打開策を模索しながら戦った三名ながらも、やがて敗北する結果と相成った。

 

 

「勝て、なかった……」

「ジャガ丸、強すぎ……」

「……」

 

 

 手加減をしつつ相手をしていたジャガ丸に対し、もはや全員が体力切れ。効率の良い攻守から生まれるスタミナお化けのベルがアイズとリューを守りつつ最後まで抵抗を続けていたものの、もう立ち上がる力すら残っていない。

 

 ドヤァと言わんばかりにふんぞり返るジャガ丸に対して、「じゃあ自分が出るか?」とガンを飛ばす一般人。あっという間に怯えに変わってしまいガタガタと震えるジャガ丸の首根っこをつかみ、ちょっとツラ貸せと言わんばかりの様相で、邪魔者にならぬよう森の中へと消えていった。

 

 戦いに挑んだ三人は衣類に傷こそないながらも、それぞれが大の字で仰向けに倒れている。三人を見下ろす18階層特有の水晶が星々のように感じ、満開の拍手のように見えたのは三人の気のせいではないはずだ。

 ダンジョンの中だというのに頬を撫でる風は秋の様相を見せており、熱を持った身体を包んでくれる。揺れ擦れる木々の音色は、三人を癒す子守歌のようだ。

 

 

「クラネルさん、ヴァレンシュタインさん」

 

 

 静寂の中、最初に口を開いたのはリューだった。まず初めに、付き合ってくれた事に対して礼の言葉を述べている。

 

 どうやら今日という日は、彼女の中で一つの区切りとなったらしい。辛い過去を忘れる事や捨てることはできないが、ジャガーノートにやられた無念を晴らすために、向き合ったうえで前を向くことを口にした。

 もしあの時に戻れるならばと、5年を超える月日の間に何度思い描いたことだろうか。決して叶わぬと分かっていながら、なぜ自分が生き残ったのかとリュー・リオンは悩み続けた。

 

 どれほど過去を悔やんでも、後悔の念が消えることはない。何もできなかった自分に生まれる悔しさは、決して忘れることはないだろう。

 

 

「私は……掛け替えのない仲間たちが残してくれた、託してくれた想いを守っていく。そして私の正義を守れるように、示せるように。今よりも、もっと強くなるために努力する」

「はい」

「……」

 

 

 仰向けのままでベルとアイズは顔を向けあい、リューが立ち直ってくれて良かったと互いに薄笑みを浮かべている。その反対側、寝ころびながらベルが顔を向けた先にあるエルフらしい横顔は、酒場の様相とは程遠い。

 戦う理由を持った、戦士の顔。リュー・リオンが同じ理由で立ち止まってしまうことは、この先は二度とないだろう。

 

 

「だから、クラネルさん……私を、ヘスティア・ファミリアに置いてください」

「はい。……はい?」

 

 

 最後の文面が、どう頑張って考えても繋がらなかった。アイズと一緒に上半身を起こしてリューを見るも仰向けのままで反応はなく、二人は互いに首を傾げあっている。

 そしてリューとしては、“何故ベルに聞くのか”と問われているように受け取ってしまっている。だからこそ自信満々な様相で、思っていることを口にしたのだった。

 

 

「当然です。クラネルさんはヘスティア・ファミリアの団長ですし、私に対してここまでして下さった、“良い人”なのですから」

「っ!?」

「リューさん!?」

 

 

 突然と明後日の言葉を耳にしたアイズは宣戦布告と受け取り立ち上がって抜刀スタイル、ベルは「何を言い出すのか」と言わんばかりにアタフタ中。リヴェリアといいリューといい、エルフというのは揃って突拍子もないことを言うのだろうか。

 ともあれ原因としては、かつての彼女の仲間にある。赤く長い美しい髪をポニーテールで括っていたかつての団長がリュー・リオンへと吹き込んだ、“大ぼら”と言うワケだ。

 

 ちなみに何故ベルとアイズがその言葉の意味を知っているのかとなると、タカヒロが原因だ。「彼氏彼女の表現が恥ずかしい」と娘息子から代替案がないかの相談を受けた際に、その表現を伝えていたのである。

 だからこそアイズは両頬を膨らませ、“げきおこプンプン丸”へと変貌する。もちろん言葉だけ知っており意味なんて分かっていないリューは仏頂面のまま、頭上からクエスチョンマークを出す反応しかできないのは仕方のないことだろう。

 

 

「えーっと、リューさん。男女の間柄で“良い人”というのは……」

 

 

 残念な事実が伝えられた直後。無表情と言えるリューの顔は一瞬にして赤くなり、頭からボッと湯気が沸き立っている。

 

 

「そ、そそそそのような意味ではありません!!」

 

 

 目を見開くポンコツエルフ、必死になってアタフタしながら弁明中。慌てて立ち上がる際に盛大にズッコケるなど、中々のポンコツぶりを発揮していた。大丈夫だぞリュー・リオン、一族の王様だって根は同類(ポンコツ)だ。

 

 なお、示し合わせたかのようにベルの方に倒れてベルが抱き留めているのだから、それはもうアイズは頬を膨らませて過去一番にプンスカ状態である。相変わらずお目目グルグルなリュー・リオンはベルの両肩を掴んで「弁明してください」と言っているが、誰がどう見ても原因が彼女にあるのは明らかだ。

 この辺りは、ベルの祖父が残した呪いの類かもしれない。実際には様々なパターンがあれど、一人増えそうになっただけで過去一番にアイズが怒っている今の状況から「ハーレムなんてロクなもんじゃない」と実感したベル・クラネルは、いつか聞いた師の教えを噛み締めるのであった。

 




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