玉座の間にはキャロルと、四人のオートスコアラーが勢揃いだった。各々が報告を行い、キャロルがそれに頷いている。
天羽々斬【大破】、イチイバル【大破】、アスカロン【中破】。
驚いたのはミカが一対一で奏を押し切ったことだ。アスカロンはその特性上、炎にはかなりの耐性をもつ。その不利を覆した。戦闘特化の面目躍如といったところか。
「で、お前はどうするつもりだ?」
一通り報告が終わったところで、今度は俺に水が向けられた。
「もうしばらくはここで厄介になろうと思う。キャロルが許可してくれれば、だけどな」
ここで退けば、また被害者が出るだろうしな。
「奴らを裏切るというのか?」
「少し違うな。あいつらとは偶々同じ船に乗り合わせて、偶々目的地が一緒だから協力していただけだ」
「――いいだろう。滞在を許可する。精々オレの役に立つことだ」
「じゃあ、シオンはこれからも一緒ってことだナ。早速チューするゾ。もーお腹ペコペコだゾ」
そう言ってミカが飛びついてきた。結局、手で補給したのは最初だけだった。ミカの中では、思い出の補給=チューという図式が出来上がっているらしい。
「皆はどうする?」
「ではお願いしますわ。今回はいささか張り切ってしまったものでして」
「ワタシも頼む」
「じゃーアタシもお願いしようからねー」
結局、全員に補給することになった。やはり戦闘行動は思い出の消費が激しいらしい。でも報告を聞く限り、ガリィは戦闘してないよな。
「な、なによその目はっ! アタシも裏で人死にが出ないように色々頑張ってたのよっ!」
俺の視線を読み取ったのだろう。ガリィが声を荒げて抗議してきた。
「あぁ、ちゃんと約束覚えてたんだな。やっぱりガリィは優しいな」
「勘違いすんなっ! 誰がテメェのためにやるかっ! マスターの命令だからに決まってんだろっ!」
「そうだゾ。ガリィは優しいんだゾ」
「テメェも乗っかってくるんじゃねぇよ!」
矛先がミカに変わったようだ。ミカは何故ガリィが怒っているのか分かっていないらしく、しきりに首を傾げている。
「紫音、話がある。付き合え」
「ん、了解」
玉座の間から場所を移し、キャロルの執務室にやってきた。棚には錬金術関連の書籍や宝石が並んでいる。
「すでに察しているのだろう。お前とエルフナインの会話はオレに筒抜けだった」
「まあ、そうだとは思っていた」
ここで惚ける意味もないので頷いておく。
「お前もオレが間違っていると思うのか?」
エルフナインの説得も無駄ではなかったらしい。他人に意見を求めるということは、心が揺らいでいるということだろう。
「以前に、錬金術の基本原理を教えてもらったことがあったな。確か『分解・解析・再構築』だったか」
「……それがどうした」
「世界を分解するんだろ? じゃあ、その後解析して、再構築するのか?」
「……それ、は……」
キャロルがハッとして、言葉を濁す。
「事の本質は、君のパパが何を望み、何を託したかってことだ。それは俺には分からない。彼が何を望み、何を願い、何を夢見たか。それは君にしか分からないことなんだ」
「……パパの夢」
「きっと、それが『答え』だ」