戦姫絶唱シンフォギア -月華の旅人-   作:乾燥海藻類

19 / 41
第19話 夢のしるし

玉座の間にはキャロルと、四人のオートスコアラーが勢揃いだった。各々が報告を行い、キャロルがそれに頷いている。

天羽々斬【大破】、イチイバル【大破】、アスカロン【中破】。

驚いたのはミカが一対一で奏を押し切ったことだ。アスカロンはその特性上、炎にはかなりの耐性をもつ。その不利を覆した。戦闘特化の面目躍如といったところか。

「で、お前はどうするつもりだ?」

一通り報告が終わったところで、今度は俺に水が向けられた。

「もうしばらくはここで厄介になろうと思う。キャロルが許可してくれれば、だけどな」

ここで退けば、また被害者が出るだろうしな。

「奴らを裏切るというのか?」

「少し違うな。あいつらとは偶々同じ船に乗り合わせて、偶々目的地が一緒だから協力していただけだ」

「――いいだろう。滞在を許可する。精々オレの役に立つことだ」

「じゃあ、シオンはこれからも一緒ってことだナ。早速チューするゾ。もーお腹ペコペコだゾ」

そう言ってミカが飛びついてきた。結局、手で補給したのは最初だけだった。ミカの中では、思い出の補給=チューという図式が出来上がっているらしい。

「皆はどうする?」

「ではお願いしますわ。今回はいささか張り切ってしまったものでして」

「ワタシも頼む」

「じゃーアタシもお願いしようからねー」

結局、全員に補給することになった。やはり戦闘行動は思い出の消費が激しいらしい。でも報告を聞く限り、ガリィは戦闘してないよな。

「な、なによその目はっ! アタシも裏で人死にが出ないように色々頑張ってたのよっ!」

俺の視線を読み取ったのだろう。ガリィが声を荒げて抗議してきた。

「あぁ、ちゃんと約束覚えてたんだな。やっぱりガリィは優しいな」

「勘違いすんなっ! 誰がテメェのためにやるかっ! マスターの命令だからに決まってんだろっ!」

「そうだゾ。ガリィは優しいんだゾ」

「テメェも乗っかってくるんじゃねぇよ!」

矛先がミカに変わったようだ。ミカは何故ガリィが怒っているのか分かっていないらしく、しきりに首を傾げている。

「紫音、話がある。付き合え」

「ん、了解」

 

 

 

玉座の間から場所を移し、キャロルの執務室にやってきた。棚には錬金術関連の書籍や宝石が並んでいる。

「すでに察しているのだろう。お前とエルフナインの会話はオレに筒抜けだった」

「まあ、そうだとは思っていた」

ここで惚ける意味もないので頷いておく。

「お前もオレが間違っていると思うのか?」

エルフナインの説得も無駄ではなかったらしい。他人に意見を求めるということは、心が揺らいでいるということだろう。

「以前に、錬金術の基本原理を教えてもらったことがあったな。確か『分解・解析・再構築』だったか」

「……それがどうした」

「世界を分解するんだろ? じゃあ、その後解析して、再構築するのか?」

「……それ、は……」

キャロルがハッとして、言葉を濁す。

「事の本質は、君のパパが何を望み、何を託したかってことだ。それは俺には分からない。彼が何を望み、何を願い、何を夢見たか。それは君にしか分からないことなんだ」

「……パパの夢」

「きっと、それが『答え』だ」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。