戦姫絶唱シンフォギア -月華の旅人-   作:乾燥海藻類

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第22話 呪いの譜面

短剣から射出されるビーム砲を回避しながら飛翔する。その背後にはセレナがついてきている。この短期間で飛行能力も自在に操るとはな。まあ、向こうには聖遺物のスペシャリストのナスターシャ教授やエルフナインもいるからな。

「だが、これでは埒が明かないな」

アイアスは防御特化のため攻撃性能はさほど高くない。反射しても普通に防がれる。こちらの攻撃も防御に専念されれば、崩すのには時間がかかる。しかもセレナからは攻める気配があまり感じられない。おそらくは本命が到着するまでの時間稼ぎが目的だろう。それはこちらも望むところだ。

その予想は正解だったらしい。飛来するミサイルは三つ。その上に人影が見える。

現れた三人、一見すると普通のギアに見えるが、さて。

「神宮寺さん。まさか貴方が我々の前に立ち塞がるとは……」

「アンタも世界を壊したいってのかよッ!」

「……紫音さん。なんでこんなことするんですか? こんな酷いことを……」

翼さんは困惑顔だ。クリスちゃんは怒ってるな。響ちゃんは悲しそうな顔をしている。

「俺は君の生き方を否定しない。むしろ憧れるよ。君の、太陽のような善性は多くの人々を幸せにするだろう。だが、人の心にはそれぞれの正義があり、譲れないものがある。ならば、戦うしかないときもある」

地面を踏み鳴らす。地割れが起こり、足場を揺らす。

「剣を抜け! 弓を番えろ! 拳を握れ! さあ、カーニバルの開幕だ!」

宣言とともに爆発が広がる。

「――ッ! 目眩ましか。だが――そこっ!」

甲高い音が響き、鍔迫り合いの火花が散る。

「剣で後れをとるわけにはいかないっ!」

俺の剣撃は全て防がれ、いなされる。やはり単純な剣技ではあちらに分があるようだ。

「――はあぁぁッ!」

白煙を切り裂いて、横合いから拳が飛んできた。それを柄頭で受けると、衝撃に従い後方へと飛ぶ。そこに無数のミサイルが飛んできた。

「受け取りなッ! ハンコは無用だッ!」

「ふっ、こんなばら撒きではなぁ!」

五つのミラーを召喚して受け止める。大気の震えが耳朶を打った。その隙間を縫うように、セレナの短剣が飛来する。それらを全て斬り落とし、ミラービームを撃ち放つ。

閃光と轟音が巻きあがる。煙が晴れると、そこにはいくつかのクレーターが出来ていた。

「単純にパワーが足りん。それでは俺の身体に傷一つつけることはできんぞ」

目の前ではセレナが三人を庇いながら、懸命に光の盾を維持していた。

「セレナさん……。翼さん、クリスちゃん、やりましょう。イグナイトモジュール」

「それしか、なさそーだな」

「ああ、口惜しいが、このままでは刃が届きそうにない」

三人の顔つきが変わる。どうやら覚悟を決めたようだ。

 

「「「イグナイトモジュール、抜剣!!」」」

 

三人の身体を黒い霧が包んでいく。禍々しい気配だが、そういえば呪いを力に変えるとか言ってたか。

三人の呻き声だけが響き渡る。湧き上がる情動を抑え込むために、三人は互いに手を取り、必死にそれを抑え込んでいる。その猛りが静まると、漆黒のシンフォギアが姿を現した。

なるほど、呪いの旋律か。

黒き刀身が煌めく。切り込み役は翼さんか。上段からの一撃を刀身で受ける。黒き刃と白き刃、ひび割れたのは白き刃だった。一合打ち合うと、翼さんは大きく飛翔した。

次いで飛来するのは無数のミサイル。ミラーで受け止めるが、先ほどとは比べるべくもない威力。俺は思わずよろめいた。

止めとばかりに黒い拳が現れた。近い。ここまで接近していたのか。吸い込まれるように、拳は狙い通りに俺の胸へと突き立った。その勢いのままに吹き飛ばされ、辺りは黒煙に包まれる。

≪上出来だ。譜面は完成した≫

「了解。これより帰還する」

キャロルからの通信を受け、俺はテレポート・ジェムを起動する。懐に忍ばせていた人形は、不気味なほどに淡い光を放っていた。

 

 

 

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